JP6575249B2 - 人工透析液の製造方法および人工透析液製造システム - Google Patents

人工透析液の製造方法および人工透析液製造システム Download PDF

Info

Publication number
JP6575249B2
JP6575249B2 JP2015178911A JP2015178911A JP6575249B2 JP 6575249 B2 JP6575249 B2 JP 6575249B2 JP 2015178911 A JP2015178911 A JP 2015178911A JP 2015178911 A JP2015178911 A JP 2015178911A JP 6575249 B2 JP6575249 B2 JP 6575249B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
artificial
water
hollow fiber
dialysate
concentrated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015178911A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016064122A (ja
Inventor
櫻井 秀彦
秀彦 櫻井
門田 典子
典子 門田
昌平 合田
昌平 合田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Publication of JP2016064122A publication Critical patent/JP2016064122A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6575249B2 publication Critical patent/JP6575249B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • External Artificial Organs (AREA)

Description

本発明は、従来よりもエネルギー消費を抑制しつつ効率的に人工透析液を製造することができる方法と、より簡略化された人工透析液製造システムに関するものである。
慢性糸球体腎炎や間質性腎炎、糖尿病性腎症、高血圧などにより腎不全に陥ると、尿毒症になるおそれがある。腎不全に陥った患者、特に慢性腎不全患者が尿毒症になるのを防ぐべく、血液の老廃物除去、電解質維持および水分量維持のために人工透析が行われる。
人工透析には、大きく分けて血液透析と腹膜透析がある。腹膜透析とは、腹内に人工透析液を導入し、腹膜を介して血液中の老廃物や余分な水分を人工透析液中へ移動させ、血液を人工的に浄化する治療方法である。腹膜透析は24時間連続して透析を行うことができ、体への負担が少なく、通院も月に1〜2回でよいという利点がある一方で、被嚢性腹膜硬化症という致命的な症状が生じる場合があり得る。よって、腹膜透析は時間的な制約があって血液透析を受けられない患者などに限って行われることが多く、腎不全に対しては、通常、血液透析が主に行われる。血液透析は、透析器を介して、患者から抜き出した血液と人工透析液とを接触させることにより血液を浄化する方法である。
上記のように、血液透析でも腹膜透析でも人工透析液が必要となる。腹膜透析では、腹腔内に入れる人工透析液の量は1回2Lが標準である。それに対して血液透析では、1回あたりに必要な人工透析液の量は120〜150Lであり、また、通常、血液透析は1週間に3回程度行われるため、大量の人工透析液が必要となる。このように大量の人工透析液をメーカーから人工透析の現場にそのまま運搬するとコストが増大し、患者に肉体的、心理的のみでなく、経済的にも負担を与えることになる。そこで、一般的に、メーカーからは人工透析液の高濃度原液や、粉末状または顆粒状の人工透析液原末が販売され、用事希釈または用事溶解した上で、患者に使用される。
しかし、水道水や井戸水には様々な固体不純物や電解質が含まれており、そのままでは人工透析液の調製に用いることができない。一方、純水などを逐一購入していては、上述したコストの問題は解消されない。そこで人工透析現場では、図1に示すような水処理装置を用いて水道水などの原水を浄化し、人工透析液の製造に用いている(非特許文献1、特許文献1など)。
特許第4004523号公報
「透析液清浄化ガイドライン Ver.2.01」(公社)日本臨床工学技士会 透析液等安全委員会,2014年3月11日
上述したように、人工透析の現場では水道水などの原水を浄化し、人工透析液の調製に用いている。かかる原水の浄化には、図1に示されているように逆浸透装置が用いられている。よって、逆浸透装置において負荷する圧力のため、電力などのエネルギーが必要となる。
そこで本発明は、従来よりもエネルギー消費を抑制しつつ効率的に人工透析液を製造することができる方法と、より簡略化された人工透析液製造システムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、逆浸透装置を用いず、酢酸セルロースまたはスルホン化ポリスルホンからなる半透膜を介して濃厚部分人工透析液を希釈用水と接触させ、加圧することなく正浸透で希釈すれば、逆浸透のための加圧に必要なエネルギーが必要でなくなり、また、希釈用水の浄化と希釈とを同時に行えることから人工透析液製造システム全体を簡略化できることを見出して、本発明を完成した。
以下、本発明を示す。
[1] 人工透析液を製造するための方法であって、
第一濃厚部分人工透析液と希釈用水とを、酢酸セルロースまたはスルホン化ポリスルホンからなる半透膜を介して接触させることにより第一濃厚部分人工透析液の希釈液を得る工程を含むことを特徴とする製造方法。
[2] さらに、上記第一濃厚部分人工透析液の希釈液と第二濃厚部分人工透析液または第二部分人工透析液原末とを混合することにより人工透析液を得る工程を含む上記[1]に記載の製造方法。
[3] さらに、上記第一濃厚部分人工透析液の希釈液の濃度を測定し、目的の濃度となるように第一濃厚部分人工透析液の流量を調節する工程を含む上記[1]または[2]に記載の製造方法。
[4] 酢酸セルロースまたはスルホン化ポリスルホンからなる半透膜と、当該半透膜により仕切られたドローソリューション流路およびフィードソリューション流路を有する正浸透膜モジュールを含むことを特徴とする人工透析液製造システム。
[5] 上記正浸透膜モジュールの上記ドローソリューション流路が、上記半透膜からなる中空糸膜で構成されている上記[4]に記載の人工透析液製造システム。
[6] さらに、上記正浸透膜モジュールから得られる第一濃厚部分人工透析液の希釈液と第二濃厚部分人工透析液または第二部分人工透析液原末との混合装置を含む上記[4]または[5]に記載の人工透析液製造システム。
[7] さらに、上記正浸透膜モジュールから排出される第一濃厚部分人工透析液の希釈液の濃度の測定装置を含む上記[4]〜[6]のいずれかに記載の人工透析液製造システム。
従来、人工透析液を調製するための希釈用水は、逆浸透装置を用いて人工透析現場で精製されていた。しかし、逆浸透のための加圧に要するエネルギーが必要となる。それに対して本発明では、同じく半透膜を用いるものでありながら正浸透により希釈用水の精製と濃厚部分人工透析液の希釈とを謂わば同時に行う。よって、逆浸透のための加圧に必要なエネルギーが必要でなくなり、また、人工透析液製造システム全体を簡略化できる。
図1は、人工透析液の調製に必要な希釈液を調製するための従来の人工透析用水処理装置の概略図である。 図2は、本発明に係る人工透析液製造システムの概略図である。 図3は、中空糸型半透膜を用いた正浸透膜モジュールの一例の断面を示す模式図である。 図4は、多孔分配管の周りに中空糸膜または中空糸膜の束を螺旋状で且つ交差状に複数巻上げた巻き上げ体の模式図である。
以下では、図2を参照しつつ、本発明に係る人工透析液製造システムを説明する。
1.原水
本発明で用いる原水は、市販の超純水、純水、蒸留水、精製水などを用いることもできるが、コスト抑制の観点からは水道水や井戸水を用いることが好ましく、水道水を用いることがより好ましい。また、図2に示すとおり、本発明に係る人工透析液製造システムの正浸透膜モジュールを通過した後の希釈用水を原水として用いてもよい。
2.一次プレフィルタ
原水には、水道管中の鉄錆などの固形不純物が含まれていることがある。よって、本発明システムでは一次プレフィルタを設け、比較的粗大な固形不純物を除去することが好ましい。一次プレフィルタの材質としては、雑菌などの繁殖防止のためステンレス製や不透明な樹脂製のもので、孔径が1μm以上、25μm以下程度のものを用いることが好ましい。
3.軟水装置
水道水や井戸水などには、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオンなどの多価金属イオンが含まれていることがある。かかる多価金属イオンは、排水中で濃縮されて塩として析出するおそれがある。このような場合には、排水を希釈せざるを得なくなり、排水量が増えてしまう。よって、本発明に係る人工透析液製造システムでは、軟水装置を設け、原水中の多価金属イオンを除去または低減することが好ましい。
軟水装置としては、従来公知のものを用いることができる。例えば、ナトリウムイオンを担持した陽イオン交換樹脂を含み、原水中の多価金属イオンと当該ナトリウムイオンとを交換できるものを用いればよい。なお、多価金属イオンを吸着した陽イオン交換樹脂は、濃厚食塩水により再生することができる。
4.活性炭濾過装置
人工透析液に遊離塩素、塩化物イオン、クロラミンなどの残留塩素が混入すると、人工透析患者に悪影響が出るおそれがある。そこで、希釈用水は活性炭濾過装置を通して浄化することが好ましい。
なお、従来の人工透析用水処理装置では、逆浸透装置の半透膜としてポリアミド製のものが主に使われていた。ポリアミド製半透膜は安価ではあるが残留塩素に対する耐性が低いため、特にそれらを厳密に除去する必要があり、活性炭濾過装置を直列に2段並べることが推奨されていた。それに対して本発明では、後述するように酢酸セルロース製またはスルホン化ポリスルホン製の半透膜を用いており、しかも加圧することなく正浸透で希釈用水を浄化するため、残留塩素の除去は従来より厳密でなくてもよい。よって、本発明に係る人工透析液製造システムでは、活性炭濾過装置を2段に並べる必要がなく、より簡便なものを用いることもでき、場合によっては活性炭濾過装置を省略するなど、システム全体を簡略化することが可能である。
5.二次プレフィルタ
二次プレフィルタは、一次プレフィルタと同様のものを用いればよいが、一次プレフィルタを通過した原水を再度濾過するという観点からは、通常、一次プレフィルタよりも孔径の小さいものを用いる。また、二次プレフィルタは、活性炭濾過装置に起因する固体不純物を除去するという目的もある。この点で本発明は、上記のとおり残留塩素を厳密に除去する必要がないため、活性炭濾過装置に起因する固体不純物の混入が従来よりも抑制されているという利点を有する。
6.正浸透膜モジュール
本発明に係る人工透析液製造システムは、酢酸セルロースまたはスルホン化ポリスルホンからなる半透膜と、当該半透膜により仕切られたドローソリューション流路およびフィードソリューション流路を有する正浸透膜モジュールを含むことを特徴とする。本発明では、正浸透膜モジュールを用いることにより、逆浸透のための加圧に要するエネルギーが不要である。また、従来、希釈用水の調製と濃厚部分人工透析液の希釈などを別々に行っていたことから、希釈用水を貯蔵するためのタンクや、貯蔵中における雑菌の繁殖を抑制するための殺菌灯などが必要であった。それに対して本発明では、正浸透膜モジュールによって、希釈用水の調製と希釈とを謂わば同時に行えるので、上記のような貯蔵タンクなどは必要ない。さらに、本発明の正浸透膜モジュールでは残留塩素に耐性を示す酢酸セルロースまたはスルホン化ポリスルホンからなる半透膜が用いられているため、残留塩素の除去を比較的厳密に行う必要がなく、システム全体を簡略化することができる。
本発明に係る正浸透膜モジュールの半透膜は、酢酸セルロースまたはスルホン化ポリスルホンからなるものである。酢酸セルロースとしては、特に優れた耐久性を有することから三酢酸セルロースが好ましい。スルホン化ポリスルホンとしては、スルホン化ポリエーテルスルホンが好ましい。
本発明に係る半透膜の形態は、平面型、スパイラル型、中空糸型など特に制限されないが、容積効率が非常に高く正浸透膜モジュールをコンパクトにできることから中空糸型が好ましい。
本発明では、従来の逆浸透ではなく正浸透で原水を浄化する。よって、本発明に係る半透膜は、従来の逆浸透装置の半透膜ほどの耐久性は要求されないため、透水性を高めることもできる。例えば、中空糸型半透膜の場合、当然に外径>内径の条件の下、外径を100μm以上、350μm以下程度、内径を50μm以上、250μm以下程度とし、外側表面近傍に厚さ0.1μm以上、7μm以下程度の緻密層を設ける一方で内側は比較的粗化し、中空率を24%以上、51%以下程度とすることにより、透水性を高めればよい。
半透膜は、一般的に、例えば海水の淡水化など逆浸透により溶液の濃縮化や真水化に利用されるものであることから逆浸透膜ともいわれるものであり、分離性や加圧耐久性の向上のため、その膜構造の緻密化に主眼がおかれていた。よって従来の一般的な半透膜は、加圧することなく液体間の濃度差を駆動力として溶液の濃縮化と希釈化を行う正浸透で使用する場合、透水量は十分でなかった。それに対して本発明では、正浸透により第一濃厚部分人工透析液を希釈するため、加圧しない場合においても十分な透水性を示す半透膜、即ち正浸透膜を用いることが好ましい。
半透膜の構造に関する研究は未だ十分ではなく、逆浸透膜と正浸透膜との構造的な具体的相違は明らかではないが、特許第5418739号公報に記載のとおり、逆浸透膜に比べて正浸透膜は、溶質と水との分離機能を有する緻密層が薄く緻密化している一方で支持層が比較的厚く、膜厚方向での非対称性が高いことが分かっている。また、本発明において「正浸透膜」は、上記一次プレフィルタから二次プレフィルタを経た希釈用水と、第一濃厚部分人工透析液、例えば後記の実施例で用いた扶桑薬品工業社製の「キンダリー(登録商標)透析剤AF4号」のA液とを当該膜を隔てて加圧することなく接触させた場合に、当該第一濃厚部分人工透析液を30倍以上に希釈することが可能な半透膜と定義する。
上記のとおり正浸透膜の詳細な構造的特徴は必ずしも明らかではないが、正浸透膜は、例えば、原料ポリマー濃度が比較的高く且つ可溶性溶媒/非溶媒比が比較的高い製膜原液を紡糸糸口から空中走行部を経て凝固浴中に吐出することにより中空糸膜とした後、水洗し、熱水処理に供して膜を収縮させることによって中空糸型正浸透膜として製造することができる(特許第5418739号公報)。この際、例えば可溶性溶媒/非溶媒比が比較的高いことから、凝固浴中で相分離(ポリマーの核化と成長)の進行よりも早く凝固が完了するため、外側表面構造がより薄く緻密化される一方で、内側は中空部に接する閉鎖系であり溶媒の蒸発が制限されるので、空中走行部から凝固浴にかけて相分離が進行するため、膜厚方向の非対称化が促進される。さらに塩漬処理を行うことにより脱水し、緻密層をより一層緻密化して安定化することが好ましい。
上記製膜原液における酢酸セルロースまたはスルホン化ポリスルホンの濃度は、40質量%以上、45質量%以下に調整することが好ましい。当該濃度が40質量%未満であると、正浸透膜構造が粗くなりすぎて十分な分離性能および膜強度が得られないことがあり得る。一方、当該濃度が45質量%を超えると、製膜原液の粘度が高くなり、製膜の安定性が得られなかったり、得られる膜の透水性を高めることができなくなる可能性があり得る。
製膜原液の溶媒としては、原料ポリマーを溶解可能な可溶性溶媒と、原料ポリマーに対する溶解性が低いか或いは不溶性の非溶媒との混合溶媒を用いることが好ましい。可溶性溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルスルホキシドから選ばれる1種以上を挙げることができる。非溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールから選ばれる1種以上を挙げることができる。
製膜原液の溶媒の可溶性溶媒/非溶媒の質量比は80/20〜95/5であることが好ましい。当該比が上記範囲より低いと、溶媒蒸発が進行しないため膜表面の構造が緻密化せず、透水性は大きく変化しないが分離性能が低いものとなるおそれがある。一方、上記範囲より高いと、極端な非対称膜化が進行して十分な膜強度が得られない可能性があり得る。
凝固浴は、製膜原液に使用した可溶性溶媒、非溶媒と同一組成のものを使用することが好ましい。或いは、凝固浴の組成割合は、可溶性溶媒/非溶媒/水(質量比)=0〜15/0〜8/100〜77が好ましい。水の比率が低すぎると、膜の相分離が進行し、細孔径が大きくなり過ぎることがあり得る。
水洗処理した正浸透膜は、無緊張状態で水中に浸漬して熱水処理を行うことが好ましい。かかる熱水処理によって、膜構造の固定化や寸法安定性の向上、熱安定性の向上を図ることができる。熱水処理の条件は適宜調整すればよいが、65℃以上、80℃以下で5分間以上、60分間以下とすることが好ましい。本発明においては、熱水処理温度を比較的低く設定することにより、膜構造の過度の緻密化を抑制している。当該温度としては68℃以上がより好ましく、72℃以上がさらに好ましい。
熱水処理を施した正浸透膜は、引続き、塩漬処理に付すことが好ましい。塩漬処理に使用する塩としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムおよび塩化カルシウムを挙げることができる。これらの塩化物は高分子などの有機物に比べて濃度あたりの浸透圧が高く、水に対する溶解性が高いため、高濃度で用いることができるため好ましい。塩漬処理に用いる水溶液の濃度としては0.5質量%以上、20質量%以下が好ましく、1.0質量%以上、10質量%以下がより好ましい。当該濃度が高すぎると、膜のゲル構造が破壊されて水透過性が低下することがあり得る。また、当該濃度が低すぎると、塩漬処理の効果が不十分となり得る。塩漬処理の温度としては15℃以上、35℃以下が好ましく、時間としては5分間以上、120分間以下が好ましい。
本発明に係る正浸透膜モジュールは、酢酸セルロースまたはスルホン化ポリスルホンからなる半透膜と、当該半透膜により仕切られたドローソリューション流路およびフィードソリューション流路を有する。以下、中空糸型半透膜を用いた正浸透膜モジュールの一例の断面図である図3を代表例として説明する。
図3の正浸透膜モジュールは、容器9に一つの中空糸膜エレメントが装填されたものであり、中空糸膜41の内部(中空部)であるドローソリューション流路に第一濃厚部分人工透析液が流れ、中空糸膜41の外側であるフィードソリューション流路31に希釈用水が流れる。
中空糸膜エレメントは、中心に配置された複数の孔21aを有する多孔分配管21と、その周囲に配置された複数の中空糸膜41と、多孔分配管21および複数の中空糸膜41をそれらの両端で固定する樹脂壁61とを備える。なお、複数の中空糸膜41はその両端に開口部を有している。当該中空糸膜エレメントは、保持部材51,52にO−リング51a,52aが介在した状態で、容器9の内部に保持されている。
中空糸膜41は、図3に示すように、中空糸膜エレメントや多孔分配管21と並行に配置してもよい。しかし、多孔分配管21の周りに中空糸膜または中空糸膜の束を螺旋状に複数巻上げることによって、中空糸膜を中空糸膜エレメントの断面方向に積層することにより形成された中空糸膜巻上げ体であることが好ましい。中空糸膜巻上げ体では、図4に示すように、中空糸膜は交差状に配置されていてもよい。一般的に、交差配置を取ることにより、中空糸膜の交差部に空隙が規則的に形成される。この規則的な空隙が存在するため、フィルターで除去しきれなかった流体中の非溶解成分や粒子成分等が、中空糸膜間に捕捉されることが少なく、圧力損失の増大が生じにくくなる。
中空糸膜巻上げ体は、従来公知の方法により製造することができる。例えば、特許4412486号公報、特許4277147号公報、特許3591618号公報、特許3008886号公報などに記載されているように、中空糸膜を45本以上、90本以下、またはそれ以上を集めて1つの中空糸膜集合体とし、さらにこの中空糸膜集合体を複数横に並べて偏平な中空糸膜束として、多数の孔を有する多孔分配管に交差させながら巻き付ける。この時の多孔分配管の長さ、回転速度、中空糸膜束の交差速度などを調節することによって、巻き上げ体の特定位置の周面上に交差部が形成されるように巻き上げることができる。
中空糸膜エレメントにおいて、中空糸膜41の開口部は、外部ポートに接続されている。即ち、中空糸膜エレメントは、複数の中空糸膜41の内部および中空糸膜モジュールの外部に連通する外部ポートとして、第一濃厚部分人工透析液用のドローソリューション供給口11aおよびドローソリューション排出口11bを有し、中空糸膜41の一端の開口部である第一開口部41aがドローソリューション供給口11aに接続され、他端の開口部である第二開口部41bがドローソリューション排出口11bに接続されている。
フィードソリューションである希釈用水は、フィードソリューション供給口10aより、中空糸膜エレメント内の多孔分配管21内に流入し、中空糸膜41の外側であるフィードソリューション流路31に供給される。中空糸膜エレメントを通過した希釈用水は、フィードソリューション排出口10bから取り出される。
ドローソリューション11aより供給される第一濃厚部分人工透析液は、中空糸膜41の第一開口部41aより中空糸膜41の内部(中空部)に流入して、中空糸膜41の第二開口部41bから流出し、ドローソリューション排出口11bよりモジュール外に取り出される。
中空糸膜エレメントの有効長としては、20cm以上、180cm以下が好ましい。当該長さが20cm未満であると、接着樹脂部の割合が大きくなり、製造コストの面で不利になるおそれがあり得る。一方、当該長が180cm超であると、中空糸膜41の中空部を流れる流体の圧力損失が大きくなるため、当該長に比べて透過水量の増大が少なく、非効率になるおそれがあり得る。なお、上記有効長とは、中空糸膜エレメントにおいて、接着樹脂部などを除いた、浸透処理に有効に作用する部分の長さを指す。
中空糸膜エレメントの外径は、5cm以上、60cm以下が好ましい。当該外径が5cm未満であると、工業的に使い難くなるおそれがあり得る。一方、当該外径が60cm超であると、重量増によりモジュールの取扱性が悪化したり、中空糸膜間への接着樹脂の充填不良が起こるおそれがあり得る。
中空糸膜エレメントの有効長をA(cm)、外径をB(cm)としたとき、A/Bの値が1.5以上、8.0以下となるようにすることが好ましい。当該値が1.5未満である場合、中空糸膜の外側を流れる流体に局所的な淀みが生じやすくなり、効率が低下するおそれがあり得る。一方、当該値が8.0超であると、圧力損失が大きくなり、純水が透過し難くなったり、濾過効率が低下するおそれがあり得る。
中空糸膜の有効長としては、20cm以上、250cm以下が好ましい。当該有効長が20cm未満であると、接着樹脂部の割合が大きくなり、製造コストの面で不利になるおそれがあり得る。一方、当該長が250cm超であると、中空糸膜41の中空部を流れる流体の圧力損失が大きくなるため、当該長に比べて透過水量の増大が少なく、非効率になるおそれがあり得る。なお、中空糸膜の有効長は、エレメント内の中空糸膜が中空糸膜エレメントや多孔分配管21と並行して配置されている場合(図3)は、中空糸膜エレメント長から接着樹脂部を除外した部分の長さを数点測定し平均したものである。即ち、この場合には中空糸膜エレメントの有効長と中空糸膜の有効長はほぼ同じになる。一方、中空糸膜巻上げ体など、エレメント内の中空糸膜が中空糸膜エレメントや多孔分配管21と並行して配置されていない場合(図4に示す交差配置など)、中空糸膜の有効長は、中空糸膜エレメント長から接着樹脂部を除外した部分の長さを数点測定し平均して求めた有効長(LE)、エレメント胴部の外径(DO)、芯管の外径(DI)を測定し、これらの測定値を中空糸膜のワインド数(WD)とともに下記式に代入することにより算出することができる。
LO2=LE2+(π×DO×WD)2
LI2=LE2+(π×DI×WD)2
中空糸膜の有効長=[(LO2)0.5+(LI2)0.5]/2
中空糸膜の内径は、特に制限されないが、例えば50μm以上、200μm以下とすることができる。当該内径が50μm未満であると、中空部を流れる流体の圧力損失が大きくなるので、中空糸膜の長さを短くせざるを得ず、十分な透過水量を得ることができないおそれがあり得る。一方、当該内径が200μmを超えると、エレメント容積あたりの膜面積が小さくなるので非効率になるおそれがあり得る。
中空糸膜の有効長をC(cm)、その内径をD(cm)としたとき、C/Dの値が3,000以上、25,000以下となるようにすることが好ましい。当該値が3,000未満であると、中空糸膜の長さが短くなるため所望の分離効率が得られないことがある。一方、当該値が25,000を超えると、モジュールの膜面積に対する中空糸膜の長さが長くなり、中空部内の流動圧損が大きくなるため非効率になるおそれがあり得る。
本発明において、第一濃厚部分人工透析液の成分が希釈用水に透過することは、第一濃厚部分人工透析液の成分の喪失となるばかりでなく、作製された人工透析液の組成が変化することにつながるので、半透膜の溶質阻止性能は高いことが好ましい。この溶質阻止性能としては、一般的に逆浸透条件における塩化ナトリウム透過係数を表すB値が用いられる。B値は、圧力1.5MPa、濃度1500mg/L、温度25℃の条件下で、透過液の塩化ナトリウム濃度を測定し、以下の式により求めることができる。
B値=(Cp×Qp/S)/(Cf−Cp)
[式中、Cp:透過液の塩化ナトリウム濃度(mg/mL),Qp:透過液の流量(mL/sec),S:膜面積(cm2),Cf:供給液の塩化ナトリウム濃度(mg/mL)]
B値は、1.0×10-9g/cm2/sec以上、1.0×10-5g/cm2/sec以下とすることが好ましい。B値が1.0×10-5g/cm2/sec超であると、フィードソリューションである希釈用水に透過するドローソリューションである第一濃厚部分人工透析液の成分が多く、成分喪失が増えるとともに、作製された人工透析液の組成が変化することがある。B値は小さいほど成分喪失が減るので好ましいが、1.0×10-9g/cm2/sec未満であると、半透膜の透水性が低下して、第一濃厚部分人工透析液の成分の希釈が不十分となったり、大きな膜面積が必要となるおそれがあり得る。
上記のとおり、本発明では、正浸透により第一濃厚部分人工透析液を希釈し、希釈用水を加圧する必要がない。しかし、本発明に係る人工透析液製造システムは、加圧ポンプなど、希釈用水を加圧するための手段を含んでいてもよい。例えば、半透膜の詰まりなどにより正浸透性能が低下したような場合に、フィードソリューションである希釈用水を加圧して透過水量の低下を補うことが考えられる。
また、正浸透膜モジュールにおいて、第一濃厚部分人工透析液の希釈液は浸透圧により容量が増えるため、その排出口の孔径を絞ることにより圧力が得られる。この圧力の用途としては、例えば、人工透析液を患者のベッドサイドに供給する、発電に利用して本発明システムに電力を供給するといったことが考えられる。
7.第一濃厚部分人工透析液の供給装置
上記正浸透膜モジュールのフィードソリューション流路(中空糸膜の外側)には、一次プレフィルタから二次プレフィルタまでを経た希釈用水が供給され、ドローソリューション流路(中空糸膜の内側)には、第一濃厚部分人工透析液が供給される。第一濃厚部分人工透析液の供給装置は、例えば、第一濃厚部分人工透析液のタンク、送液ポンプおよび流量バルブを含む。
なお、中空糸膜を用いる場合、通常は中空糸膜外側に濃厚液を流し、中空糸膜内側に希釈用液を流す。しかし、一般的に、中空糸膜外側の構造は複雑でデッドスペースができ、雑菌が繁殖するおそれがあり得る。そこで本発明では、中空糸膜の内側には敢えて第一濃厚部分人工透析液を供給し、中空糸膜の外側に希釈用水を供給することにより、人工透析液を安全かつ衛生的に製造できるようにすることが好ましい。
8.濃度測定装置
上記正浸透膜モジュールにおいて、浸透圧により希釈用水が半透膜を透過して第一濃厚部分人工透析液を希釈する。当該希釈液の濃度を、濃度測定装置により測定する。
上記希釈液の濃度の測定方法は特に制限されない。例えば、第一濃厚部分人工透析液の電解質成分の種類などは既知であるので、上記希釈液の電気伝導度を測定すれば、濃度を簡便に把握することができる。
測定された上記希釈液の濃度のデータは、第一濃厚部分人工透析液の供給装置にフィードバックし、第一濃厚部分人工透析液の供給量を調整することにより、上記希釈液の濃度を所定値に調節することが可能になる。
また、別途、上記正浸透膜モジュールから排出されるフィードソリューションの溶質濃度を測定してもよい。当該濃度は基本的にゼロであるが、半透膜にリークがある場合には第一濃厚部分人工透析液中の溶質がフィードソリューション中に漏出することにより、ゼロ超の濃度が測定されることがある。即ち、かかる濃度測定により、半透膜のリークの検知が可能になる。
9.第二濃厚部分血液透析液または第二部分人工透析液原末の混合装置
本発明システムの正浸透膜モジュールにおいては、浸透圧により希釈用水が半透膜を透過して第一濃厚部分人工透析液を希釈する。当該希釈液の濃度を上記濃度測定装置で測定した後、その測定データに基づいて第二濃厚部分血液透析液または第二部分人工透析液原末を適量混合することにより人工透析液とすることができる。
当該混合装置は、例えば、第二濃厚部分血液透析液のタンク、流量バルブ、攪拌手段を有する混合槽、または、第二部分人工透析液原末のフィーダーと攪拌手段を有する混合槽を含む。
次に、本発明に係る人工透析液の製造方法を工程ごとに説明する。
工程1: 希釈工程
本工程では、上記の本発明に係る人工透析液製造システムなどを用い、第一濃厚部分人工透析液と希釈用水とを、酢酸セルロースまたはスルホン化ポリスルホンからなる半透膜を介して接触させることにより第一濃厚部分人工透析液の希釈液を得る。
人工透析液は、一般的に、運搬コストなどの問題から濃厚液またはその成分を含む原末の形で販売されており、また、カルシウムイオンやマグネシウムイオンと炭酸水素イオンを含み、濃厚液の状態では塩が析出するおそれがあることから、少なくともこれらを分けた二剤の形で販売されている。本発明において、カルシウムイオン等を含む濃厚部分透析液と炭酸水素イオンを含む濃厚部分人工透析液のいずれを第一濃厚部分人工透析液と呼ぶかは全くの任意であり、「第一」は便宜上付した記号に過ぎない。
第一濃厚部分人工透析液は、市販の濃厚部分人工透析液の一方をそのまま用いてもよいし、市販の部分人工透析液原末を希釈用水に溶解して濃厚液としたものでもよいが、本発明方法では希釈用水の精製と希釈とを同時に行うことを特徴としているので、第一濃厚部分人工透析液としても、市販の濃厚部分人工透析液の一方をそのまま用いることが好ましい。
本工程では、希釈用水中の水分子が半透膜を透過して、第一濃厚部分人工透析液を希釈する。その際の希釈液の濃度は、半透膜上における第一濃厚部分人工透析液の流速により調整することが可能である。即ち、かかる流速が速いほど希釈液の濃度は低くなり、遅いほど希釈液の濃度は高くなる。なお、半透膜上における希釈用水の流速は、希釈液の濃度に影響を与えない。また、正浸透膜モジュールへの第一濃厚部分人工透析液と希釈用液の通液方向は、同方向であっても反対方向であってもよい。
工程2: 希釈液濃度の測定工程
本工程では、上記工程で得られた第一濃厚部分人工透析液の希釈液の濃度を測定し、目的の濃度となるように第一濃厚部分人工透析液の流量を調節する。
第一濃厚部分人工透析液の流量を調節することにより希釈液の濃度を調整することができ、所望の濃度の希釈液を得ることが可能である。しかし、希釈液の濃度が所望の濃度となっているか測定により確認し、目的の濃度と実測値との間に差が確認された場合には、そのデータをフィードバックし、所望の濃度の希釈液が得られるように測定値により上記流速を調整することが好ましい。
工程3: 第二成分の混合工程
上述したように、不溶性塩の析出の問題から、一般的に、市販の人工透析液は二剤の濃厚液または原末の形で販売され、用事希釈または混合される。よって、第一濃厚部分人工透析液を希釈した後には、残りの成分を含む第二濃厚部分人工透析液または第二部分人工透析液原末を混合することにより、人工透析液を得る。
第二部分人工透析液原末における「原末」とは、粉末や顆粒を問わず、第一濃厚部分人工透析液の希釈液に混合・溶解しやすいよう、微細な固形状であるものであれば特に制限されない。
第二濃厚部分人工透析液または第二部分人工透析液原末の混合量は、第一濃厚部分人工透析液の希釈液に含まれている成分の濃度を考慮し、所望の人工透析液が得られるよう調整すればよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
先ず、水道水を一次プレフィルタ(アドバンテック東洋社製「PPプリーツカートリッジフィルター TCPE−10」,孔径:10μm)に通した後、自動軟水装置(栗田工業社製「KS−MA−6J」)を使って軟水化した。次いで、活性炭濾過装置(栗田工業社製「KA−A2」)を用い、残留塩素などを低減した後、二次プレフィルタ(アドバンテック東洋社製「PPプリーツカートリッジフィルターTCP−1」,孔径:1μm)に通し、希釈用水とした。
中空糸膜型浸透膜モジュールとしては、東洋紡社製の「HPC5230」を用いた。当該モジュール中、中空糸膜は図3に示されているようにモジュール容器と並行に配置されており、モジュール中に含まれている中空糸膜エレメントの有効長は57cm、その外径は12cm、中空糸膜の有効長は57cm、その内径は100μm、B値は7.2×10-7cm/secであった。また、第一濃厚部分人工透析液と第二濃厚部分人工透析液としては、それぞれ扶桑薬品工業社製の「キンダリー(登録商標)透析剤AF4号」のA液とB液を用いた。それぞれの組成は、以下に示すとおりである。
上記中空糸膜型浸透膜モジュールの中空糸膜の内側にドローソリューションとして扶桑薬品工業社製の「キンダリー(登録商標)透析剤AF4号」のA液を、外側にフィードソリューションとして上記希釈用水を導入した。モジュールから排出される希釈用水の流量を5000mL/minに設定した。排出される希釈用水の電気伝導度が1.25S/mとなるようにドローソリューションの送液量を調整したところ、送液量は148mL/minとなった。また、上記ドローソリューションは、33.74倍に希釈された。
次に、得られた希釈液33.74に対して、「キンダリー(登録商標)透析剤AF4号」のB液を1.26の体積比率で添加し混合することにより、人工透析液が得られた。
以上のとおり、逆浸透に必要な加圧をすることなく、正浸透により原水の浄化と濃厚液の希釈を同時に行うことにより、人工透析液を簡便かつ効率に製造することができた。
実施例2
上記実施例1において、中空糸膜型浸透膜モジュールを、東洋紡社の「HPC5230」から「HPC3105」に変更した。「HPC3105」は、塩化ビニール製ハウジングに中空糸膜が容器と並行に配置され、ハウジングの両端を接着した構造であり中空糸エレメントの有効長は57cm、その外径は9cm、中空糸膜の有効長は57cm、その内径は100μm、B値は7.2×10-7cm/secであった。
また、モジュールから排出される希釈用水の流量を1500mL/minに設定し、排出される希釈用水の電気伝導度が1.25S/mとなるようにドローソリューションの送液量を調整したところ、送液量は45mL/minとなった。また、上記ドローソリューションは、33.74倍に希釈された。
次に、得られた希釈液33.74に対して、「キンダリー(登録商標)透析剤AF4号」のB液を1.26の体積比率で添加混合することにより、人工透析液が得られた。
以上のとおり、逆浸透に必要な加圧をすることなく、正浸透により原水の浄化と濃厚液の希釈を同時に行うことにより、人工透析液を簡便かつ効率に製造することができた。
実施例3
上記実施例1において、中空糸膜を、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン二ナトリウム塩、2,6−ジクロロベンゾニトリルおよび4,4’−ビフェノールを重合して得られたスルホン化ポリエーテルスルホン製のものに変更し、当該中空糸が図4に示すように交差状に巻上げられて配置されている中空糸膜型浸透膜モジュールに変更した。中空糸エレメントの有効長は58cm、その外径は13cm、中空糸膜の有効長は62cm、その内径は85μm、B値は1.2×10-6cm/secであった。
また、モジュールから排出される希釈用水の流量を5000mL/minに設定し、排出される希釈用水の電気伝導度が1.25S/mとなるようにドローソリューションの送液量を調整したところ、送液量は148mL/minとなった。また、上記ドローソリューションは、33.74倍に希釈された。
次に、得られた希釈液33.74に対して、「キンダリー(登録商標)透析剤AF4号」のB液を1.26の体積比率で添加混合することにより、人工透析液が得られた。
以上のとおり、逆浸透に必要な加圧をすることなく、正浸透により原水の浄化と濃厚液の希釈を同時に行うことにより、人工透析液を簡便かつ効率に製造することができた。
1:加圧ポンプ,2:一次プレフィルタ,3:軟水装置,4:活性炭濾過装置,5:二次プレフィルタ,6:第1濃厚部分人工透析液のタンク,7:正浸透膜モジュール,8:第一濃厚部分血液透析液の希釈液と第二濃厚部分血液透析液との混合装置,9:中空糸膜モジュール容器,10a:FS供給口,10b:FS排出口,11a:DS供給口,11b:DS排出口,13,14:壁部材,21:多孔分配管,21a:多孔分配管孔,31
:FS流路,41:中空糸膜,41a:中空糸膜第一端,41b:中空糸膜第二端,51,52:保持部材,51a,52a:O−リング,61:樹脂壁

Claims (7)

  1. 人工透析液を製造するための方法であって、
    水道水を一次プレフィルタに通し、固形不純物を除去する工程、
    一次プレフィルタを通した水道水を、軟水装置を使って軟水化する工程、
    軟水化した水道水に含まれる残留塩素を、活性炭濾過装置を使って低減する工程、
    残留塩素が低減された水道水を二次プレフィルタで再度濾過して希釈用水を得る工程、および、
    第一濃厚部分人工透析液と希釈用水とを、酢酸セルロースまたはスルホン化ポリスルホンからなる半透膜を介して接触させることにより第一濃厚部分人工透析液の希釈液を得る工程を含むことを特徴とする製造方法。
  2. さらに、上記第一濃厚部分人工透析液の希釈液と第二濃厚部分人工透析液または第二部分人工透析液原末とを混合することにより人工透析液を得る工程を含む請求項1に記載の製造方法。
  3. さらに、上記第一濃厚部分人工透析液の希釈液の濃度を測定し、目的の濃度となるように第一濃厚部分人工透析液の流量を調節する工程を含む請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 水道水から固形不純物を除去するための一次プレフィルタと、
    水道水から多価金属イオンを除去または低減するための軟水装置と、
    水道水に含まれる残留塩素を低減するための活性炭濾過装置と、
    水道水を再度濾過して希釈用水を得るための二次プレフィルタと、
    第一濃厚部分人工透析液が供給されるドローソリューション流路および希釈用水が供給されるフィードソリューション流路を有し、ドローソリューション流路とフィードソリューション流路が酢酸セルロースまたはスルホン化ポリスルホンからなる半透膜により仕切られている正浸透膜モジュールを含むことを特徴とする人工透析液製造システム。
  5. 上記正浸透膜モジュールの上記ドローソリューション流路が、上記半透膜からなる中空糸膜で構成されている請求項4に記載の人工透析液製造システム。
  6. さらに、上記正浸透膜モジュールから得られる第一濃厚部分人工透析液の希釈液と第二濃厚部分人工透析液または第二部分人工透析液原末との混合装置を含む請求項4または5に記載の人工透析液製造システム。
  7. さらに、上記正浸透膜モジュールから排出される第一濃厚部分人工透析液の希釈液の濃度の測定装置を含む請求項4〜6のいずれかに記載の人工透析液製造システム。
JP2015178911A 2014-09-19 2015-09-10 人工透析液の製造方法および人工透析液製造システム Active JP6575249B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014191123 2014-09-19
JP2014191123 2014-09-19

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016064122A JP2016064122A (ja) 2016-04-28
JP6575249B2 true JP6575249B2 (ja) 2019-09-18

Family

ID=55804411

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015178911A Active JP6575249B2 (ja) 2014-09-19 2015-09-10 人工透析液の製造方法および人工透析液製造システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6575249B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112245691A (zh) * 2019-07-22 2021-01-22 巴克斯特医疗保健股份有限公司 从原水制备透析液的方法和系统
CN114849488B (zh) * 2022-03-14 2023-04-07 中国科学院宁波材料技术与工程研究所 一种非对称浸润性正渗透膜及其制备方法与应用

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4004523B1 (ja) * 2006-04-21 2007-11-07 株式会社日本トリム 透析液調製用水およびそれを用いた透析液、透析液の製造方法ならびに透析装置
CN104247159B (zh) * 2012-02-17 2018-02-09 泰连公司 用于电连接器的触头组件和制造触头组件的方法
DK177696B1 (en) * 2013-02-25 2014-03-17 Aquaporin As Systems for water extraction
DK179128B1 (en) * 2014-02-24 2017-11-20 Aquaporin As Systems for utilizing the water content in fluid from a renal replacement therapy process

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016064122A (ja) 2016-04-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5370871B2 (ja) 中空糸型逆浸透膜
JP5418739B1 (ja) 中空糸型半透膜及びその製造方法及びモジュール及び水処理方法
JP6269241B2 (ja) 正浸透処理システム
JP5856821B2 (ja) 腹水濾過濃縮装置
CN112867554B (zh) 中空纤维膜元件、中空纤维膜组件及正渗透水处理方法
JP6521077B2 (ja) 水処理方法および水処理システム
US20230054094A1 (en) Method and system for preparing dialysis fluid from raw water
TW201334858A (zh) 造水裝置及造水裝置
JPWO2012098969A1 (ja) 膜モジュールの洗浄方法、造水方法および造水装置
JP6575249B2 (ja) 人工透析液の製造方法および人工透析液製造システム
JP5964114B2 (ja) 内圧式の中空糸型nf膜とその製造方法
EP4061519A1 (en) Porous membranes comprising sorbent particles for improved urea capture
WO2017122673A1 (ja) 逆浸透用または正浸透用の中空糸型半透膜
JPWO2013125681A1 (ja) 中空糸型半透膜及びその製造方法及びモジュール及び水処理方法
JP6081290B2 (ja) 内圧式の中空糸型nf膜とその製造方法
US20180104399A1 (en) Dialysate regenerating device
Zhao et al. Fabrication of dialyzer membrane-based forward osmosis modules via vacuum-assisted interfacial polymerization for the preparation of dialysate
CN213446623U (zh) 浓缩系统
JP6743810B2 (ja) 中空糸型半透膜、中空糸膜モジュールおよび正浸透水処理方法
EP2363196B1 (en) Diffusion and/or filtration device
JP2009269028A (ja) 複合半透膜および複合半透膜モジュールの製造方法
KR101511232B1 (ko) 유도물질 내재형 정삼투 분리막, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 정삼투 장치
CN217886650U (zh) 一种水处理设备及血液透析系统
JP2022103007A (ja) 溶液処理方法および溶液処理装置
JP2001000970A (ja) 膜モジュールを利用した排水の高度処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180604

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190315

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190416

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190515

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20190515

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190625

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190708

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190723

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190805

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6575249

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350