JP6573558B2 - 焼却灰の処理方法および処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、廃棄物焼却炉からの焼却灰を無害化処理する焼却灰の処理方法および処理装置に関する。
都市ゴミなどを焼却する廃棄物焼却炉から排出される焼却灰を有効に利用するため、焼却灰に含まれる鉛や六価クロムなどの重金属を不溶化して無害な状態にする方法として、焼却灰に対し二酸化炭素を接触させて無害化するエージング処理が知られている(例えば、特許文献1参照)。
そのエージング処理を実際に実施するにあたり、従来、廃棄物焼却炉からの焼却灰に対し、廃棄物焼却炉から排出される二酸化炭素を含有する排ガスを接触させてエージングし、それによって焼却灰に含まれる鉛などを無害化する焼却灰の処理方法と、その処理方法を実施するための処理装置が提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。
特開2002−18392号公報 特開2003−126807号公報 特開2006−281150号公報 特開2014−176807号公報
しかし、上記特許文献2、3に記載の方法および装置では、二酸化炭素を含有する排ガスとして、廃棄物焼却炉から排出される排ガスを使用するため、安定したエージング処理を行うことができないという問題があった。
すなわち、廃棄物焼却炉は、生ゴミや廃プラスチックなど、雑多な種類のゴミからなる都市ゴミなどを焼却するためのものであり、例えば、都市ゴミ中に生ゴミが多量に含まれていると、水分量が多くなって単位重量当りの熱エネルギーが低下し、廃プラスチックなどが多量に含まれていると、逆に単位重量当りの熱エネルギーが高くなる。その結果、排ガスの温度が大きく変動するばかりか、排ガス中に含まれる二酸化炭素や酸素などの濃度も、ゴミの種類によって大きく変動することになる。
したがって、上記特許文献2、3に記載の方法および装置では、エージング処理に使用する排ガスの温度や排ガスに含まれる二酸化炭素濃度などが大きく変動して、安定したエージング処理を行うことができず、その結果、焼却灰に含まれる鉛と六価クロムを安定して無害化できないという問題があった。
また、エージング処理を行った場合、エージング処理された焼却灰は、大部分が埋め立て処理等に用いるための基準(環境庁告示13号(溶出量試験:Pb=0.3mg/L以下)試験)は満足するものの、レンガブロックやコンクリート二次製品の原料等に再利用可能な基準(環境庁告示46号(溶出量試験:Pb=0.01mg/L以下)試験、および環境省告示19号(含有量試験:Pb=150mg/kg)試験)を満足するものではなく、再利用効率が十分とは言えないため、さらにエージング処理効率の向上が望まれていた。
さらに、廃棄物焼却炉からの焼却灰を、当該焼却灰の含水率を調整した後、ロータリーキルン内でガスエンジンから排出される排ガスを用いてエージング処理する焼却灰の処理方法と、その処理方法を実施するための処理装置が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
上記特許文献4に記載の方法および装置では、ガスエンジンから排出される排ガスが、その排ガスの温度、二酸化炭素および酸素の含有量などにおいて、廃棄物焼却炉から排出される排ガスに比べて非常に安定している点に着目し、ガスエンジンからの排ガスにより焼却灰をエージング処理することで、焼却灰に含まれる鉛や六価クロムを安定的に処理することができるとされている。
しかし、ガスエンジンから排出される排ガスによりエージング処理した場合でも、エージング処理された焼却灰は、大部分が埋め立て処理等に用いるための基準(環境庁告示13号(溶出量試験:Pb=0.3mg/L以下)試験)およびレンガブロックやコンクリート二次製品の原料等に再利用可能な基準の一部(環境庁告示46号(溶出量試験:Pb=0.01mg/L以下)試験)を満足するものの、依然として、当該再利用可能な基準の一部(環境省告示19号(含有量試験:Pb=150mg/kg)試験)を満足するものではなく、再利用効率が十分とは言えないため、より一層のエージング処理効率の向上が望まれていた。
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、焼却灰をエージング処理した際に、焼却灰をより有効に再利用可能にする技術を提供することある。
〔構成1〕
上記目的を達成するための本発明の焼却灰の処理方法の特徴構成は、
廃棄物焼却炉からの焼却灰を無害化処理する焼却灰の処理方法であって、
ロータリーキルン内において、上流側から下流側へ向けて移動する前記焼却灰に対して対向流となるように、5〜15体積%の二酸化炭素および5〜15体積%の酸素を含有するガスエンジンからの排ガスを、下流側から上流側へ向けて0.1m/s以上5.0m/s以下の線速度で供給して、前記焼却灰を、焼却炉排ガスの不存在下且つ300〜500℃で乾燥およびエージングする処理を実行することにより、
前記焼却灰を、前記排ガスとともに気流搬送されて前記ロータリーキルンの上流側から排出される飛灰と、前記ロータリーキルンの下流側から排出される処理済み焼却灰とに分離する点にある。
〔作用効果1〕
上記構成によると、廃棄物焼却炉からの焼却灰を、焼却炉排ガスの不存在下且つ300〜500℃のロータリーキルン内に供給するので、ロータリーキルン内で焼却灰を加熱乾燥することができる。これにより、ロータリーキルン内に供給する焼却灰の前処理としては、異物等を除去するだけでよく、焼却灰の含水率等を調整する必要が無くなる。
また、ロータリーキルン内には、ガスエンジンからの排ガスが供給されるので、焼却灰に含まれる鉛成分は二酸化炭素と反応して炭酸鉛に変換されて不溶化し、有効にエージング処理を行うことができる。
なお、ガスエンジンからの排ガスは、5〜15体積%の二酸化炭素および5〜15体積%の酸素を含有するので、廃棄物焼却炉からの排ガスに比べて、二酸化炭酸濃度と酸素濃度の変動範囲が遥かに小さく、安定したエージング処理を行うことができる。
そして、ロータリーキルン内では、上流側から下流側へ向けて移動する焼却灰に対して対向流となるように、ガスエンジンからの排ガスを下流側から上流側へ向けて供給して、当該焼却灰を乾燥およびエージングする処理が実行される。
ここで、ロータリーキルン内において乾燥およびエージング処理された焼却灰は、乾燥撹拌されることにより破砕されることに加えて、鉛成分が炭酸鉛に変化することでも微粉化するが、微粉化した焼却灰は、比較的粒径の大きな焼却灰に付着して簡単には分離除去することが困難となっている。
そのため、ロータリーキルンの下流側から上流側へ向けて供給するガスエンジンからの排ガスを、0.1m/s以上5.0m/s以下の線速度で通流させる。これにより、ロータリーキルン内において、乾燥およびエージング処理された焼却灰を、排ガスとともに気流搬送される飛灰(微粉化された炭酸鉛等の飛灰)と、当該飛灰よりも粒径の大きな処理済み焼却灰とに良好に分離することができる。そして、分離された飛灰はロータリーキルンの上流側から排出され、分離された処理済み焼却灰はロータリーキルンの下流側から排出される。このとき、焼却灰と排ガスとを対向流で供給させることにより、焼却灰の撹拌効率が向上するとともに焼却灰と排ガスとの接触効率を大きく向上することができ、乾燥微粉化した飛灰を気流搬送してロータリーキルン外へ排出する効率を高めることができる。
したがって、処理済み焼却灰(比較的粒径の大きな焼却灰)よりも炭酸鉛(鉛)の含有率の高い飛灰(微粉化された炭酸鉛等の飛灰)を簡便且つ良好に分離することができるので、当該飛灰が分離された処理済み焼却灰の鉛含有量を相対的に低減することができる。
よって、環境省告示19号および環境庁告示46号の条件を満たし、廃棄物処理炉からの焼却灰のうち再利用可能な処理済み焼却灰の割合を増大させることができ、当該処理済み焼却灰の再資源化を図ることができる。また、再利用可能とまではならないものの埋め立て利用できる焼却灰の割合が減少し、埋め立て利用する際に薬剤処理等が必要となるような場合であっても、薬剤使用量を減少させられる。
なお、ロータリーキルン内における排ガスの線速度は、飛灰(微粉化された炭酸鉛等の飛灰)を当該排ガスとともに気流搬送することができる0.1m/s以上5.0m/s以下の線速度であればよいが、あまり高速にし過ぎると、エネルギーを消費する傾向にあること、炭酸鉛以外の再利用可能な処理済み焼却灰まで飛灰として回収してしまう虞があることから、5.0m/s以下の線速度とすることが好ましい。また、0.1m/s未満の線速度とすると、焼却灰の撹拌効率を向上する効果が少なくなること、例えば粒径1μm〜100μm程度の炭酸鉛を気流搬送することが困難になることから、線速度0.1m/s以上の線速度とすることが好ましい。気流を高速にするほど、焼却灰と排ガスの接触効率を向上させる効果があり、低速にするほど二酸化炭素の固定化効率を向上させる効果があるため、これら事情を勘案して、上記範囲で好適な線速度を設定することができる。
また、ロータリーキルン内の処理温度に関しては、300℃未満になると、鉛の溶出量が環境庁告示46号の基準を上回ることがあり、ガスエンジンからの排ガスは500℃程度である場合が多いため、取り扱いの利便性から、300〜500℃が最適である。
ちなみに、エージング時間に関しては、30分未満であると、エージング効果が不十分で環境庁告示46号の基準を達成できないことがあり、60分であれば十分なエージング効果を得ることができるため、30〜60分程度が最適であるが、処理対象物の性状に合わせて適宜設定することができる。
〔構成2〕
本発明の焼却灰の処理方法の更なる特徴構成は、
前記処理済み焼却灰を、粒径が0.5mm未満の成分と粒径が0.5mm以上の成分とに分級して、
前記飛灰と前記処理済み焼却灰のうち粒径が0.5mm未満の成分とを、埋め立て処分可能処理済み焼却灰として得るとともに、前記処理済み焼却灰のうち粒径が0.5mm以上の成分を、再利用可能処理済み焼却灰として得る点にある。
〔作用効果2〕
一般に、焼却灰のうち、大粒径のものほど鉛含有量が低くなることが知られている。また、上述のように、廃棄物焼却炉からの焼却灰からは、比較的鉛含有率の高い飛灰(微粉化された炭酸鉛等の飛灰)が既に分離されており、当該飛灰が分離された処理済み焼却灰は、鉛含有量が低下したものになっている。
そのため、処理済みの焼却灰を、粒径が0.5mm以上のものと粒径が0.5mm未満の成分とに分級すると、粒径が0.5mm未満の成分は、粒径が0.5mm以上の成分よりも鉛含有率が高いため、再利用には適さないが埋め立て処分可能な処理済み焼却灰として得ることができる一方で、粒径が0.5mm以上の成分は鉛含有率が低いため、より再利用可能な処理済み焼却灰として適したものとして得られやすい。
〔構成3〕
また、上記目的を達成するための本発明の焼却灰の処理装置の特徴構成は、
廃棄物焼却炉からの焼却灰を無害化処理する焼却灰の処理装置であって、
前記焼却灰を、焼却炉排ガスの不存在下且つ300〜500℃で、上流側から下流側へ向けて加熱搬送するロータリーキルンと、
前記ロータリーキルン内に、前記焼却灰に対して対向流となるように、5〜15体積%の二酸化炭素および5〜15体積%の酸素を含有するガスエンジンからの排ガスを、下流側から上流側へ向けて0.1m/s以上5.0m/s以下の線速度で供給する排ガス供給装置と、
前記排ガスとともに気流搬送されて前記ロータリーキルンの上流側から排出される飛灰を回収するバグフィルタ装置と、
前記ロータリーキルンの下流側から排出される処理済み焼却灰を分級する分級装置とを備えた点にある。
〔作用効果3〕
すなわち、上記構成によると、先の焼却灰の処理方法を行えるから、焼却灰を効率よくエージングしつつ、ロータリーキルンから排出される焼却灰に含まれる鉛含有量を効果的に減少させることができる。
〔構成4〕
なお、上記構成に加えて、前記バグフィルタ装置により、前記飛灰を回収し、
前記分級装置により、前記処理済み焼却灰を、粒径が0.5mm未満の成分と粒径が0.5mm以上の成分とに分級して、
前記飛灰と前記処理済み焼却灰のうち粒径が0.5mm未満の成分とを、埋め立て処分可能処理済み焼却灰として得るとともに、前記処理済み焼却灰のうち粒径が0.5mm以上の成分を、再利用可能処理済み焼却灰として得ることができる。
〔作用効果4〕
上記構成によると、ロータリーキルンから排出される焼却灰を分級して得られる、0.5mm未満の成分および、排ガスにより気流搬送された飛灰を埋め立て処分可能な処理済み焼却灰として得るとともに、排出される焼却灰を分級し、0.5mm以上の成分を再利用可能な処理済み焼却灰として得ることができ、再利用可能な処理済み焼却灰の割合を増大することができる。
したがって、廃棄物焼却炉からの焼却灰の内、再利用可能な焼却灰を効率よく回収できるようになり、焼却灰をより有効に再利用可能にできる。
焼却灰処理装置の概略図
本発明に係る焼却灰の処理方法と装置につき、その実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に好適な実施形態を記すが、これら実施形態はそれぞれ、本発明をより具体的に例示するために記載されたものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能であり、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。
本発明による焼却灰の処理装置は、図1に示すように、
焼却灰を加熱搬送しながらエージング処理するロータリーキルン1と、前記ロータリーキルンに廃棄物焼却炉からの焼却灰を供給する焼却灰供給装置2と、前記ロータリーキルン1にガスエンジン31からの排ガスを供給する排ガス供給装置3と、前記排ガスにより気流搬送される飛灰を回収するバグフィルタ4と、前記ロータリーキルン1から排出される処理済みの焼却灰を分級する分級装置5とを備える。
この焼却灰の処理装置で必要となる電力の少なくとも一部をガスエンジン31により駆動される発電装置32で発電した電力で賄うとともに、その廃棄物焼却炉から生じた焼却灰と、そのガスエンジン31からの排ガスをともに焼却灰の処理装置に供給することにより、焼却灰を効率よく無害化処理する工程が行われるように配設されるものである。
〔ロータリーキルン〕
前記ロータリーキルン1は、焼却灰を投入する焼却灰投入部11と、ガスエンジン31から排出される排ガスを導入する排ガス導入部12と、エージングされた焼却灰を取り出す排出部13と、エージング後の排ガスを排出する飛灰排出部14とを有する胴部10を軸心周りに回転させ、供給される焼却灰を撹拌混合しつつ下流側に搬送する構成としてある。具体的には、上流側(図面の左側)が高く、下流側(図面の右側)が低くなるよう傾斜をつけ、かつ、内部に回転する多数の撹拌羽を備える撹拌装置15を別途設けて胴部10内で搬送される焼却灰の撹拌混合を促進する構成となっている。焼却灰投入部11から供給される焼却灰は、図中左から右に向かって、上流側から下流側へ向けて移動搬送される。
それに対し、ガスエンジン31からの排ガスは、下流側から供給されて、図中右から左に向かって、下流側から上流側へ通流し、焼却灰に対して対向接触するとともに、撹拌装置15による撹拌作用により排ガスと焼却灰との直接的な接触を図ることによりエージングされる。
そして、エージングにより無害化された後の焼却灰は、排出部13に排出され、エージングに供した後の排ガスは、飛灰とともに飛灰排出部14に排出される。
〔焼却灰供給装置〕
焼却灰供給装置2は、前記ロータリーキルン1に廃棄物焼却炉からの焼却灰を供給するスクリューフィーダ21を備えた焼却灰貯留槽20により構成される。前記焼却灰貯留槽20は、廃棄物焼却炉で発生した後、水冷された湿灰を、異物(乾電池など)と一緒に38mm径を越える難処理物を取り除いた、含水率10〜20%程度の状態で貯留する。以下の実施例ではロータリーキルン1に供給される焼却灰としては、焼却灰貯留槽20で貯留されるものをそのまま用いている。
〔排ガス供給装置〕
前記排ガス供給装置3は、ガスエンジン31を備え、ガスエンジン31を駆動した排ガスを適宜温度調整した後、前記ロータリーキルン1の下流側に設けられる排ガス導入部12に供給される。
前記ガスエンジン31は、メタンを主成分とする炭化水素混合ガスを燃料とし、発電装置32を駆動する構成としてあり、別途需要のある熱と電力を供給することのできるコジェネレーション設備の一角を担うもので、理論空気比よりも薄い混合気(例えば、空気比1.6〜2.1程度)で運転することにより、リーンバーン状態となって燃費効率の高い状態で運転される。
このようなガスエンジン31から排出される排ガスは、二酸化炭素を5〜15体積%含有し、酸素を5〜15体積%含有することが確認されている。また、その排ガスの温度は400〜600℃程度であり、排ガスの温度、二酸化炭酸濃度、酸素濃度の全てにおいて、廃棄物焼却炉からの排ガスに比べて、その変動範囲が遥かに小さいことも確認された。
ガスエンジン31より排出される排ガスは、300〜500℃に維持された状態で、かつ、線速度0.1m/s以上5.0以下で前記ロータリーキルン1の下流側に設けられる排ガス導入部12に対向流として供給される。なお線速度としては、粒径1μm〜100μmの炭酸鉛を気流搬送可能な流速であれば、上述の範囲のものに限るわけではなく、焼却灰やロータリーキルン1の性状によって適宜最適化して設定することができる。
このような流速でロータリーキルン1に排ガスを供給すると、ロータリーキルン1内で加熱乾燥されるとともにエージングされた粒径1μm〜100μmの炭酸鉛を主成分とする飛灰が、良好に気流搬送されることがわかり、撹拌効率を良好に維持することにより、ロータリーキルン1から排出される焼却灰中に含まれる粒径1μm〜100μmの飛灰の量を大幅に減少させられることが分かった。これにより、ロータリーキルン1から排出される焼却灰を種々環境基準を満たし、埋め立て処分可能な処理済み焼却灰や再利用可能な処理済み焼却灰として得ることができるとともに、再利用可能な処理済み焼却灰の割合を向上することができた。
なお、ロータリーキルン1内での焼却灰の撹拌効率は胴部10内空間を排ガスにより300℃〜500℃に維持することにより、焼却灰の加熱乾燥およびエージングが良好に進行するとともに、撹拌装置により撹拌しつつ排ガスを供給することにより焼却灰と排ガスとの接触を図ることができる。ここで、ロータリーキルン1は焼却灰の時間当たり投入量100kg/hに対して4m3程度の容量のものを用いて、回転速度30rpmで焼却灰と排ガスとを直接接触させて30〜60分間乾燥およびエージング処理することにより、きわめて高い飛灰回収効率が発揮される。
〔バグフィルタ〕
前記ロータリーキルン1内で前記排ガスにより気流搬送される飛灰は、バグフィルタ4により回収する。前記ロータリーキルン1の飛灰排出部14より排出された排ガスは200℃程度にまで冷却された後、バグフィルタ4に供給される。バグフィルタ4は、上端解放の遊底筒状のフィルタ41を垂下してなるフィルタ室40を設けるとともに、フィルタ41を通過した排ガスを吸引排出する排気ファン42を備えてなり、フィルタ室40に飛灰を伴う排ガスを供給するとともに、飛灰をフィルタ41によりろ別して回収し、清浄な排ガスを外部に放出可能な構成となっている。なお、排ガスには、フィルタ通過後適宜別途の浄化処理(たとえば、活性炭処理による有害ガス等の低減処理)や冷却処理(たとえば、さらに100〜150℃まで冷却)を行ってもよく、これらの処理により直接大気放出することができることが望ましい。
ここで、排ガスにより気流搬送され、ろ別された飛灰は、バグフィルタ4のフィルタ室40に設けられた飛灰取り出し部43より回収され、埋め立て処分可能な処理済み焼却灰として得られる。
〔分級装置〕
前記ロータリーキルン1から排出される処理済みの飛灰は、振動ふるい51を備えた分級装置5により分級される。分級装置5は、ロータリーキルン1の排出部13から排出される焼却灰の供給を受けて、振動ふるい51により0.5mm以上の粒子のみを選別する。これにより、比較的大粒子径で、鉛成分の含有率の低い粒子のみを再利用可能な処理済み焼却灰として回収することができる。また、0.5mm未満の成分を埋め立て処分可能な処理済み焼却灰として得ることができる。
〔実施例〕
上述の焼却灰の処理装置により表1に記載の運転条件で得られた粒径0.5mm以上および、0.5mm未満の処理済みの焼却灰(処理灰)とバグフィルタ4により回収された飛灰に含まれる鉛成分量を調べたところ、表2のようになった。
なお、ロータリーキルン1としては、直径950mm、長さ5mの鋼製円筒を用い、バグフィルタ4としては、ホソカワミクロン社製のパルスジェットコレクタ標準型SPを用いた。
〔比較例〕
上述の焼却灰の処理装置により、ガスエンジン31からの排ガスを0.04m/sで供給(炭酸鉛微粒子を回収することができない流量で供給)しつつ、得られた粒径0.5mm以上および、0.5mm未満の処理済みの焼却灰(処理灰)とバグフィルタ4により回収された飛灰に含まれる鉛成分量を同様に調べた。
Figure 0006573558
Figure 0006573558
本実施例の処理条件によると、投入飛灰の乾燥重量の80%を再利用可能な処理済み焼却灰として回収することができ、従来の方法で2mm以上の処理済みの焼却灰(処理灰)とバグフィルタ4により回収した場合には、40%程度しか再利用可能な処理済み焼却灰が回収されなかったのに対して、高効率で焼却灰の再資源化を図ることができることが分かった。
〔再資源化事例〕
上述の実施例により再資源化された焼却灰を、表層アスファルト用に用いられる混合して再利用を図る場合に、耐久性に問題が出ないか調べた。
表層アスファルトとして、たとえば、密粒度アスファルト組成物は、粒径2.5mm以上13mm未満程度の粗骨材を50〜60%(%は質量%を示す。以下同じ)程度、粒径0.5mm以上2.5mm未満程度の細骨材を30〜35%程度、フィラーを4〜6%程度、アスファルトを4〜6%程度混合して得られる。このアスファルト組成物に用いられる粗骨材には、上述の実施例により再資源化された焼却灰のうち、粒径2.5mm以上13mm未満程度のものを10%以下混合してある。また、細骨材には、上述の実施例により再資源化された焼却灰のうち、粒径0.5mm以上2.5mm未満程度のものを15%以下混合して道路舗装用アスファルトとした。
この道路舗装用アスファルト組成物を用いてアスファルト舗装を行い、舗装面の水浸マーシャル安定度試験(アスファルト舗装要綱による)およびホイールトラッキング試験(舗装試験法便覧3−7−3による)を行った。水浸マーシャル安定度試験では、60℃、48時間水浸後のマーシャル安定度と、60℃、30分水浸後の標準マーシャル安定度の比を残留安定度として求め、評価した。また、ホイールトラッキング試験では、舗装面が1mm変形するのに要する車輪の通過回数を動的安定度として求め、評価した。
その結果、粒径0.5mm以上2.5mm未満の焼却灰を混合率5%〜15%で混合した細骨材を混合してなる道路舗装用アスファルト組成物により作成された表層アスファルトは、水浸マーシャル安定度試験結果、残留安定度がきわめて高く(75%以上)維持され、ホイールトラッキング試験においても高い(800回/mm以上)動的安定性が確認された。また、粒径2.5mm以上13mm未満の焼却灰を混合率10%〜30%で混合した粗骨材を混合してなる道路舗装用アスファルト組成物により作成された表層アスファルトは、水浸マーシャル安定度試験結果、残留安定度が高く(70%以上)維持されたものの、混合率20%以上では、推奨基準値75%を下回る傾向が見られた。一方ホイールトラッキング試験においては、混合率10%〜30%で混合した粗骨材を用いた場合、高い(800回/mm以上)動的安定性が確認された。
そのため、細骨材に混入する粒径0.5mm以上2.5mm以下の焼却灰量は5〜15%が好ましく、粗骨材に混入する粒径2.5mm以上13mm未満の焼却灰量は、10%が好ましいことが分かった。さらに、これら細骨材、粗骨材をともに用いた密粒度アスファルトコンクリートについても同様に試験を行ったところ、いずれの組み合わせによっても、水浸マーシャル安定度試験結果、残留安定度がきわめて高く(90%以上)維持され、ホイールトラッキング試験においても高い(1000回/mm以上)動的安定性が確認された。
本発明は、焼却灰を高効率に再資源化するための焼却灰の処理装置として用いることができる。
1 :ロータリーキルン
10 :胴部
11 :焼却灰投入部
12 :排ガス導入部
13 :排出部
14 :飛灰排出部
15 :撹拌装置
2 :焼却灰供給装置
20 :焼却灰貯留槽
21 :スクリューフィーダ
3 :排ガス供給装置
31 :ガスエンジン
32 :発電装置
4 :バグフィルタ
40 :フィルタ室
41 :フィルタ
42 :排気ファン
43 :飛灰取り出し部
5 :分級装置
51 :振動ふるい

Claims (4)

  1. 廃棄物焼却炉からの焼却灰を無害化処理する焼却灰の処理方法であって、
    ロータリーキルン内において、上流側から下流側へ向けて移動する前記焼却灰に対して対向流となるように、5〜15体積%の二酸化炭素および5〜15体積%の酸素を含有するガスエンジンからの排ガスを、下流側から上流側へ向けて0.1m/s以上5.0m/s以下の線速度で供給して、前記焼却灰を、焼却炉排ガスの不存在下且つ300〜500℃で乾燥およびエージングする処理を実行することにより、
    前記焼却灰を、前記排ガスとともに気流搬送されて前記ロータリーキルンの上流側から排出される飛灰と、前記ロータリーキルンの下流側から排出される処理済み焼却灰とに分離する焼却灰の処理方法。
  2. 前記処理済み焼却灰を、粒径が0.5mm未満の成分と粒径が0.5mm以上の成分とに分級して、
    前記飛灰と前記処理済み焼却灰のうち粒径が0.5mm未満の成分とを、埋め立て処分可能処理済み焼却灰として得るとともに、前記処理済み焼却灰のうち粒径が0.5mm以上の成分を、再利用可能処理済み焼却灰として得る請求項1に記載の焼却灰の処理方法。
  3. 廃棄物焼却炉からの焼却灰を無害化処理する焼却灰の処理装置であって、
    前記焼却灰を、焼却炉排ガスの不存在下且つ300〜500℃で、上流側から下流側へ向けて加熱搬送するロータリーキルンと、
    前記ロータリーキルン内に、前記焼却灰に対して対向流となるように、5〜15体積%の二酸化炭素および5〜15体積%の酸素を含有するガスエンジンからの排ガスを、下流側から上流側へ向けて0.1m/s以上5.0m/s以下の線速度で供給する排ガス供給装置と、
    前記排ガスとともに気流搬送されて前記ロータリーキルンの上流側から排出される飛灰を回収するバグフィルタ装置と、
    前記ロータリーキルンの下流側から排出される処理済み焼却灰を分級する分級装置とを備えた焼却灰の処理装置。
  4. 前記バグフィルタ装置により、前記飛灰を回収し、
    前記分級装置により、前記処理済み焼却灰を、粒径が0.5mm未満の成分と粒径が0.5mm以上の成分とに分級して、
    前記飛灰と前記処理済み焼却灰のうち粒径が0.5mm未満の成分とを、埋め立て処分可能処理済み焼却灰として得るとともに、前記処理済み焼却灰のうち粒径が0.5mm以上の成分を、再利用可能処理済み焼却灰として得る請求項3に記載の焼却灰の処理装置。
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