JP6573049B2 - フロントアクスルビームおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フロントアクスルビームおよびその製造方法に関する。
フロントアクスルビーム(以下では「フロントアクスル」と称する場合がある)は、主に、車両(たとえば貨物自動車やバス等(但し、2輪車は除く))の前輪が取り付けられて車体を支持するために使用される。フロントアクスルは、左右の前輪に車体の荷重を伝達する部品として、および、構造保安部品として、重要である。フロントアクスルは、所定位置に車輪を固定するとともに前輪の操舵性能を確保することによって、走行安定性を担う。また、ブレーキ時において、フロントアクスルは、車輪の制動力を伝える伝達経路となる。このように、フロントアクスルは、走行性、操舵性、および制動性に強く影響を及ぼす部品である。フロントアクスルには高い剛性が求められるため、フロントアクスルの質量は大きい。一方、燃費向上の観点から、フロントアクスルの軽量化が求められている。
特開2003−285771号公報(特許文献1)は、車両走行時の空力抵抗を減らすことが可能なフロントアクスルを提案している。特許文献1に記載の発明は、空力抵抗を減らすことによる燃費向上を目的としている。
また、フロントアクスルの製造方法についても従来から提案されている。特開2009−106955号公報(特許文献2)は、左右一対のバネ座を備えるアクスルビームの製造方法を開示している。この製造方法では、一方のバネ座を第1回目のプレス工程でプレス成形し、他方のバネ座を第2回目のプレス工程でプレス成形する。
フロントアクスルの軽量化の方策の1つとして、フロントアクスルの剛性を高めることが挙げられる。フロントアクスルの剛性を高めることができれば、従来品と同じ剛性を、より軽いフロントアクスルや、よりコンパクトなフロントアクスルで実現できる。また、フロントアクスルの剛性を高めることができれば、従来品と同じ断面サイズや同じ質量で、フロントアクスルが関係する様々な特性を向上させることが可能となる。そのため、フロントアクスルの剛性を高めることが可能な新たな技術が求められている。
一般に、車両の走行安定性のため、重量物は車両の車高方向の低い位置に配置される。すなわち、フロントアクスルの上に搭載されるエンジンの位置は車高方向の低い位置に搭載されることが望ましい。フロントアクスルの両端にはキングピン取り付け部が設けられる。車両の前輪には足回り部品が取り付けられている。キングピンは車高方向上側からキングピン取り付け部を通って前輪の足回り部品に差し込まれてフロントアクスルと前輪とを接続する。この構成により車両の舵をきるとキングピンを軸に前輪が旋回する。この構成のため、例えば図2に示す通り、フロントアクスルは、車幅方向中央は車高方向で低く、車幅方向端部は車高方向で高い、弓型形状である。フロントアクスルは横断面がH型ではあるが、H型鋼のようにユニバーサル圧延機では製造されない。なぜなら、弓型形状にはユニバーサル圧延機では成形できないからである。
通常、フロントアクスルは型鍛造によって製造される。鍛造の場合、例えば図5Bに示されるように、型抜きのために角度Q、Q’の抜き勾配が必要となる。そのため、フロントアクスルの形状が制限される。その結果、フロントアクスルの剛性の向上が制約される。
一方で、フロントアクスルの周囲には、エンジンおよび操舵用の可動部品が密集して配置されている。そのため、フロントアクスルには、これら周辺部品と干渉しないように狭いスペースに収まることも求められている。従って、フロントアクスルの断面サイズを大きくすることなくその剛性を高めることが可能な技術が、特に求められている。
特開2003−285771号公報 特開2009−106955号公報
このような状況において、本発明の目的の1つは、その剛性を高めることが可能なフロントアクスルビーム、および、その製造方法を提供することである。
本発明の一実施形態による製造方法は、ウエブ部と、ウエブ部の両端部に接合されるフランジ部と、を備えるH型の横断面のビーム部を備えるフロントアクスルビームの製造方法である。製造方法は、前記横断面において、フランジ部を金型に収納し、フランジ部の延在方向に金型で挟んで鍛造する。さらに、前記横断面において、フランジ部の先端をウエブ部の延在方向の直交方向に押して前記先端をウエブ部の延在方向の外側に曲げる。
本発明の一実施形態によるフロントアクスルビームは、ウエブ部と、ウエブ部の両端部に接合されるフランジ部と、を備えるH型の横断面のビーム部を備えるフロントアクスルビームである。フランジ部は、前記横断面において、フランジ部の厚みの中心線がウエブ部の延在方向外側に曲がる曲部を備える。
本発明によれば、剛性の高いフロントアクスルビームが得られる。本発明の製造方法によれば、当該フロントアクスルビームを容易に製造できる。
図1は、第1実施形態のフロントアクスルの一例を模式的に示す斜視図である。 図2は、図1に示したフロントアクスルの正面を模式的に示す図である。 図3は、図1に示したフロントアクスルの上面を模式的に示す図である。 図4は、図1に示したフロントアクスルの断面を模式的に示す図である。 図5Aは、第2実施形態の製造方法で製造される、バリ抜き工程後の鍛造品の一例の一部を模式的に示す斜視図である。 図5Bは、図5Aに示した鍛造品の断面を模式的に示す図である。 図6Aは、第2工程の一例について変形開始前の状態を模式的に示す断面図である。 図6Bは、図6Aに示した一例について変形完了時の状態を模式的に示す断面図である。 図7Aは、第3工程の一例について変形開始前の状態を模式的に示す断面図である。 図7Bは、図7Aに示した一例について変形完了時の状態を模式的に示す断面図である。 図8は、曲げ工程(第2工程および第3工程)の前後における鍛造品の断面の輪郭の変化を示す図である。 図9Aは、第2工程の他の一例について変形開始前の状態を模式的に示す断面図である。 図9Bは、図9Aに示した一例について変形完了時の状態を模式的に示す断面図である。 図10Aは、第3工程の他の一例について変形開始前の状態を模式的に示す断面図である。 図10Bは、図10Aに示した一例について変形完了時の状態を模式的に示す断面図である。 図11Aは、第3工程のその他の一例について変形開始前の状態を模式的に示す断面図である。 図11Bは、図11Aに示した一例について変形完了時の状態を模式的に示す断面図である。 図12は、実施例で仮定したサンプルの断面形状を示す図である。 図13は、実施例で仮定した試験の方法を示す図である。 図14は、本実施形態のフロントアクスルの断面を模式的に示す図である。
鋭意検討した結果、本願発明者らは、フロントアクスルの断面形状を工夫することでフロントアクスルの剛性を向上させることを見出した。また、剛性の高いフロントアクスルの製造方法も見出した。本発明は、この新たな知見に基づくものである。
本発明の一実施形態による製造方法は、ウエブ部と、ウエブ部の両端部に接合されるフランジ部と、を備えるH型の横断面のビーム部を備えるフロントアクスルビームの製造方法である。製造方法は、前記横断面において、フランジ部を金型に収納し、フランジ部の延在方向に金型で挟んで鍛造する。さらに、前記横断面において、フランジ部の先端をウエブ部の延在方向の直交方向に押して前記先端をウエブ部の延在方向の外側に曲げる。
上記の製造方法では、向かい合ったフランジ部の間にウエブ部に向かって凸金型を入れて、前記先端をウエブ部の延在方向の外側に曲げる、ことが好ましい。
上記の製造方法では、さらに、前記横断面において、曲がった前記先端を、ウエブ部の延在方向の直交方向に外側から拘束したまま、ウエブ部の延在方向に外側から押す、ことが好ましい。この場合、前記横断面において、フロントアクスルビームのウエブ部の延在方向の最大幅は、ウエブ部のある箇所の幅である、ことが好ましい。
上記の製造方法では、凸金型は、ウエブ部に向かって突出する凸部と、この凸部に隣接する面とを備え、前記横断面において、前記面はウエブ部延在方向外側ほどウエブ部から離間する、ことが好ましい。
上記の製造方法では、曲がった前記先端を、凹部を備えた凹金型の凹部に入れ、ウエブ部の延在方向に外側から押す、ことが好ましい。
本発明の一実施形態によるフロントアクスルビームは、ウエブ部と、ウエブ部の両端部に接合されるフランジ部と、を備えるH型の横断面のビーム部を備えるフロントアクスルビームである。フランジ部は、前記横断面において、フランジ部の厚みの中心線がウエブ部の延在方向外側に曲がる曲部を備える。
また、別の観点では、本発明の一実施形態による製造方法は、ビーム部と、ビーム部の長手方向の両端にそれぞれ設けられた2つのキングピン取り付け部とを含むフロントアクスルビームの製造方法である。ビーム部は、長手方向に延びるウエブ部と、ウエブ部の上端および下端のそれぞれから前方および後方に突出している4つのフランジ部とを含む。
製造方法は、
ウエブ部となる粗ウエブ部と、粗ウエブ部の上端および下端のそれぞれから前方および後方に向かって突出している板状の4つの粗フランジ部とを含む鍛造品を、型を用いて鋼材を鍛造することによって形成する第1工程と、
少なくとも1つの第1金型によって、4つの粗フランジ部のうちの少なくとも1つの特定粗フランジ部を押すことによって、鍛造品の上下方向の外側に向かって曲がっている第1の曲がり部を特定粗フランジ部に形成する第2工程と、
少なくとも1つの第2金型によって第1の曲がり部の端部を押して上下方向の内側に向かって前記端部を変形させることによって、第2の曲がり部を特定粗フランジ部に形成する第3工程と、をこの順に含む。第3工程において、前記端部の前後方向への変形を拘束した状態で前記端部を変形させる。
上記の製造方法では、第3工程において、前記端部以外の一部分よりも上下方向の外側に突出しない位置まで前記端部を変形させる、ことが好ましい。
上記の製造方法では、第2金型は、前記端部を前記内側に向かって押すための第1面と、前記端部の前後方向への変形を拘束する第2面とを含む、ことが好ましい。
上記の製造方法では、少なくとも1つの特定粗フランジ部は、上下方向に並んでいる第1および第2の特定粗フランジ部を含んでもよい。第1金型は、第1斜面と、第1斜面となす角度が180°より大きい第2斜面とを含んでもよい。この場合、第2工程は、第1金型の第1斜面によって第1の特定粗フランジ部を押し、かつ、第1金型の第2斜面によって第2の特定粗フランジ部を押すことによって行われてもよい。さらにこの場合、第3工程は、鍛造品を挟むように上下方向に配置された2つの第2金型で行われてもよい。
この製造方法において、4つの粗フランジ部は、第1および第2の特定粗フランジ部と、特定粗フランジ部ではない2つの通常粗フランジ部とからなるものであってもよい。この場合、2つの通常粗フランジ部を固定した状態で第2工程を行ってもよい。また、第3工程において、第2金型は、第1の曲がり部の前記端部を押すとともに、通常粗フランジ部を押すことによって通常粗フランジ部の変位を制限するものであってもよい。
また、上記の製造方法では、少なくとも1つの特定粗フランジ部は、第1および第2の特定粗フランジ部と、上下方向に並んでいる第3および第4の特定粗フランジ部とからなるものであってもよい。この場合、第2工程は、第1および第2の特定粗フランジ部を1つの第1金型の第1斜面および第2斜面によって押すと同時に、第3の特定粗フランジ部を他の第1金型の第1斜面によって押し、かつ、第4の特定粗フランジ部を他の第1金型の第2斜面によって押すことによって行われてもよい。
上記の製造方法では、第2工程は、鍛造品を上下方向から2つの第3金型によって挟んだ状態で行われてもよい。上記の製造方法では、第3工程は、鍛造品の粗ウエブ部を前後方向から2つの第4金型によって挟んだ状態で行われてもよい。
また、別の観点では、本発明の一実施形態によるフロントアクスルビームは、ビーム部と、ビーム部の長手方向の両端にそれぞれ設けられた2つのキングピン取り付け部とを含むフロントアクスルビームである。ビーム部は、長手方向に延びるウエブ部と、ウエブ部の上端および下端のそれぞれから前方および後方に突出している4つのフランジ部とを含む。4つのフランジ部のうちの少なくとも1つは、曲がり部を含む特定フランジ部である。曲がり部の表面のうちフロントアクスルビームの上下方向の外側の表面は、ウエブ部から離れるに従って上下方向の内側に向かって傾斜した後に上下方向の外側に向かって傾斜している。
このフロントアクスルの場合、曲がり部の端部は、前記端部以外の一部分よりも上下方向の外側に突出していなくてもよい。
以下に、本発明の実施形態について例を挙げて説明する。なお、本発明は以下で説明する例に限定されない。
この明細書において、フロントアクスルおよびそれを構成する部材の方向について言及するときは、特に記載がない限り、フロントアクスルを使用時の向きに配置した状態における方向を意味する。たとえば、フロントアクスルの上下方向というときには、特に記載がない限り、フロントアクスルを使用時の向きに配置した状態における上下方向を意味する。すなわち、上下方向とはフロントアクスルの車高方向である。水平方向および前後方向についても同様に、フロントアクスルを使用時の向きに配置した状態における方向を意味する。すなわち、水平方向とはフロントアクスルの車幅方向である。前後方向とはフロントアクスルの車長方向である。ここで、フロントアクスルは、H型の横断面を有するビーム部を備え、このビーム部は、板状のウエブ部と、ウエブ部の両端から突出する4つの板状のフランジ部と、を含む。フロントアクスルを使用時の向きに配置したとき、ビーム部は水平方向に配置される。さらに、フロントアクスルの横断面において、ウエブ部は上下方向に延在し、4つのフランジ部は前後方向に突出する。そのため、フロントアクスルの横断面において、上下方向はウエブ部の延在方向と同じ方向であり、前後方向はウエブ部の延在方向と直交する方向と同じ方向である。なお、フロントアクスルの前方および後方はそれぞれ、フロントアクスルが配置される車両の前方および後方と同じ方向を意味する。ただし、フロントアクスルが前後で対称の形状である場合には、いずれか一方向を前方とし他方向を後方とする。また、フロントアクスルを製造する際の中間品(鍛造品など)およびそれを構成する部材の方向について言及するときは、特に記載がない限り、完成品であるフロントアクスルと同じ方向を意味する。
(フロントアクスルビームの製造方法)
本実施形態の製造方法は、ビーム部と、ビーム部の長手方向の両端にそれぞれ設けられた2つのキングピン取り付け部とを含むフロントアクスル(フロントアクスルビーム)の製造方法である。ビーム部は、長手方向に延びるウエブ部と、ウエブ部の上端および下端のそれぞれから前方および後方に突出している4つのフランジ部とを含む。つまり、本実施形態の製造方法は、ウエブ部と、ウエブ部の両端部に接合されるフランジ部と、を備えるH型の横断面のビーム部を備えるフロントアクスル(フロントアクスルビーム)の製造方法である。なお、本開示において、接合とは単に一体化していることを意味し、必ずしも溶接や締結などの手段によってつなぎ合わせることを意味しない。
この製造方法は、以下で説明する第1及び第2の工程を含む。この製造方法は、以下で説明する第1、第2、および第3の工程をこの順に含む。
第1工程は、型を用いて鋼材を鍛造することによって鍛造品を形成する工程(型鍛造工程)である。当該鍛造品は、ウエブ部となる粗ウエブ部と、粗ウエブ部の上端および下端のそれぞれから前方および後方に向かって突出している板状の4つの粗フランジ部とを含む。4つの粗フランジ部は、フロントアクスルの4つのフランジ部となる部分である。第1工程で得られる鍛造品は、たとえば図5Bに示すものである。
つまり、本実施形態の製造方法では、フランジ部(粗フランジ部)を金型に収納し、フランジ部の延在方向に金型で挟んで鍛造する。
鍛造品は、ビーム部となる粗ビーム部を含む。以下では、ビーム部および粗ビーム部の長手方向を、「長手方向LD」と称する場合がある。さらに、フロントアクスルおよび鍛造品の前後方向を「前後方向HD」と称し、それらの上下方向を「上下方向VD」と称する場合がある。
通常、第1工程で得られる鍛造品にはバリが形成される。そのため、第1工程と第2工程との間でバリ抜き工程を行ってもよい。バリ抜き工程に限定はなく、公知の方法を適用してもよい。バリ抜き工程を行う場合、バリが除去された鍛造品が、第2工程に供される。
第2工程は、少なくとも1つの第1金型によって、4つの粗フランジ部のうちの少なくとも1つの特定粗フランジ部を押すことによって、鍛造品の上下方向VDの外側に向かって曲がっている第1の曲がり部(たとえば図7Aの232a)を特定粗フランジ部に形成する工程である。第2工程で得られる成形品は、たとえば図6Bに示すものである。
つまり、本実施形態の製造方法では、フランジ部(特定粗フランジ部)の先端をウエブ部(粗ウエブ部)の延在方向の直交方向に押すことによって、その先端をウエブ部(粗ウエブ部)の延在方向の外側に曲げる。
この明細書において、フランジ部(または粗フランジ部)について内側および外側という場合には、文脈に反しない限り、フロントアクスルまたは鍛造品の上下方向VD(横断面におけるウエブ部の延在方向)における内側および外側を意味する。ウエブ部(または粗ウエブ部)の上端から突出しているフランジ部(または粗フランジ部)の場合、内側の方向は下方を意味し、外側の方向は上方を意味する。ウエブ部(または粗ウエブ部)の下端から突出しているフランジ部(または粗フランジ部)の場合、内側の方向は上方を意味し、外側の方向は下方を意味する。
上記の第1及び第2の工程を含むフロントアクスルの製造方法によれば、フロントアクスルの横断面において、フランジ部(特定フランジ部)の厚みの中心線がウエブ部の延在方向外側に曲がる(湾曲する)曲部を備えるフランジ部を形成できる。
通常、第1金型は、鍛造品の前後方向HDに配置され、少なくとも1つの第1金型は鍛造品の前後方向HDに移動する。第2工程では、通常、1つまたは2つの第1金型が用いられる。
4つの粗フランジ部のうちの少なくとも1つ(1つ、2つ、3つ、または4つ)は、特定粗フランジ部である。製法上の観点から、並んでいる2つの粗フランジ部を同時に曲げることが好ましい。そのため、好ましい一例では、4つの粗フランジ部のうちの2つまたは4つが特定粗フランジ部である。
第3工程は、少なくとも1つの第2金型によって第1の曲がり部の端部を押して上下方向VDの内側に向かって当該端部を変形させることによって、第2の曲がり部(例えば図7Bの232b)を特定粗フランジ部に形成する工程である。第3工程で得られる成形品は、たとえば図7Bに示すものである。
通常、第2金型は、鍛造品の上下方向VDに配置され、少なくとも1つの第2金型は鍛造品の上下方向VDに移動する。第3工程では、通常、1つまたは2つの第2金型が用いられる。
第3工程において、第1の曲がり部の端部の前後方向HDへの変形を拘束した状態で当該端部を変形させる。この構成によれば、第1の曲がり部の端部が前後方向HDに伸びることを抑制しながら、当該端部を上下方向VDの内側に変形させることができる。
つまり、本実施形態の製造方法では、外側に曲げられたフランジ部(特定粗フランジ部)の先端を、ウエブ部の延在方向の直交方向に外側から拘束したまま、その先端をウエブ部の延在方向に外側から押す。
以上の第1、第2及び第3の工程を含むフロントアクスルの製造方法によれば、特定の形状を有する第2の曲がり部を形成できる。具体的には、上下方向VDの外側の表面が、ウエブ部から離れるに従って内側に向かって傾斜した後に外側に向かって傾斜している第2の曲がり部を形成できる。
第2の曲がり部は、粗ビーム部の長手方向LDの全体にわたって形成されていてもよいし、粗ビーム部の長手方向LDの一部のみに形成されていてもよい。通常、フロントアクスルは、2つのバネ取り付け座を有する。第2の曲がり部は、その2つのバネ取り付け座の間の領域の全部または一部に形成されていてもよい。第1の曲がり部は、第2の曲がり部が形成される部分に対応した位置に形成される。
通常、第3工程の後に整形工程が行われる。整形工程では、所定の部分(たとえばバネ取り付け座)の形状が整えられる。第3工程と同時に、整形工程を実施してもよい。すなわち、第3工程の際に第1の曲がり部以外の部分の整形を行ってもよい。この場合、第2金型が整形工程の金型を兼ねてもよい。
第3工程において、第1の曲がり部の端部以外の一部分よりも上下方向VDの外側に突出しない位置まで上記端部を変形させてもよい。この構成によれば、断面サイズを増大させることなく剛性が高いフロントアクスルを製造することが可能である。第3工程の一例では、端部以外の一部分よりも上下方向VDの内側に位置するように、端部を変形させてもよい。この場合、フロントアクスルのウエブ部の延在方向の最大幅は、ウエブ部のある箇所の幅である。
第2金型は、第1面と第2面とを含んでもよい。第1面は、第1の曲がり部の端部を上下方向VDの内側に向かって押すための面である。第2面は、第1の曲がり部の端部の前後方向HDへの変形を拘束する面である。第3工程は、第1の曲がり部の端部を第1面で押しつつ、その端部を第2面で拘束することによって行うことができる。それによって、第1の曲がり部の端部が前後方向HDに伸びることを抑制しながら、当該端部を上下方向VDの内側に変形させることができる。なお、第1面と第2面との間に明確な境界がなくてもよい。つまり、本実施形態の製造方法では、外側に曲げられたフランジ部(特定粗フランジ部)の先端を、凹部を備えた凹金型の凹部に入れ、その先端をウエブ部(粗ウエブ部)の延在方向に外側から押す。
第2の金型には、凹部が形成されていてもよい。そして、凹部の底面が上記第1面であり、凹部の側面が上記第2面であってもよい。凹部の例については第1実施形態で説明する。
上記少なくとも1つの特定粗フランジ部は、上下方向VDに並んでいる第1および第2の特定粗フランジ部を含んでもよい。第1金型は、第1斜面と、第1斜面となす角度が180°より大きい第2斜面とを含んでもよい。この場合、第2工程は、第1金型の第1斜面によって第1の特定粗フランジ部を押し、かつ、第1金型の第2斜面によって第2の特定粗フランジ部を押すことによって行われてもよい。この構成によれば、少なくとも2つの第1の曲がり部を同時に形成できる。つまり、本実施形態の製造方法では、向かい合った2つのフランジ部(特定粗フランジ部)の間に、ウエブ部に向かって凸金型を入れることによって、それらのフランジ部の先端それぞれをウエブ部の延在方向の外側に曲げてもよい。たとえば凸金型は、ウエブ部に向かって突出する凸部と、この凸部に隣接する2つの面とを備え、それらの面それぞれはウエブ部延在方向外側ほどウエブ部から離間する。
さらにこの場合、第3工程は、鍛造品を挟むように上下方向VDに配置された2つの第2金型で行われてもよい。この構成によれば、少なくとも2つの第2の曲がり部を同時に形成できる。
以下では、第1斜面と第2斜面とがなす角度を、「角度P」と称する場合がある。角度Pに限定はなく、所望の第1の曲がり部を形成できる角度であればよい。角度Pは、例えば、190°〜300°の範囲(望ましくは200°〜270°の範囲)にあってもよい。
上記4つの粗フランジ部は、上下方向VDに並んでいる第1および第2の特定粗フランジ部と、特定粗フランジ部ではない2つの通常粗フランジ部とからなるものであってもよい。この場合、以下の(1)および/または(2)の条件が満たされてもよい。
(1)2つの通常粗フランジ部を固定した状態で第2工程が行われる。
(2)第3工程において、第2金型は、第1の曲がり部の端部を押すとともに、通常粗フランジ部を押すことによって通常粗フランジ部の変位を制限する。
上記少なくとも1つの特定粗フランジ部は、上記第1および第2の特定粗フランジ部と、上下方向VDに並んでいる第3および第4の特定粗フランジ部とからなってもよい。この場合、4つの粗フランジ部はすべて特定粗フランジ部である。この場合、第2工程は、第1および第2の特定粗フランジ部を1つの第1金型の第1斜面および第2斜面によって押すと同時に、第3の特定粗フランジ部を他の第1金型の第1斜面によって押し、かつ、第4の特定粗フランジ部を他の第1金型の第2斜面によって押すことによって行われてもよい。すなわち、4つの特定フランジ部を2つの第1金型で挟むように押してもよい。
第2工程は、鍛造品を上下方向VDから2つの第3金型によって挟んだ状態で行われてもよい。別の観点では、第1金型の移動方向に対して垂直な方向から2つの第3金型で鍛造品を挟んだ状態で、第2工程が行われてもよい。第3金型に限定はなく、第2工程において鍛造品を固定できるものであればよい。
第3工程は、鍛造品の粗ウエブ部を前後方向HDから2つの第4金型によって挟んだ状態で行われてもよい。別の観点では、第2金型の移動方向に対して垂直な方向から2つの第4金型で鍛造品を挟んだ状態で、第3工程が行われてもよい。第4金型に限定はなく、第3工程において鍛造品を固定できるものであればよい。
(フロントアクスルビーム)
本実施形態のフロントアクスル(フロントアクスルビーム)は、本実施形態の製造方法で製造できる。本実施形態の製造方法について説明した事項は、本実施形態のフロントアクスルに適用できるため、重複する説明を省略する場合がある。また、本実施形態のフロントアクスルについて説明した事項は、本実施形態の製造方法に適用できる。なお、本実施形態のフロントアクスルは、本実施形態の製造方法以外の方法で製造してもよい。
本実施形態のフロントアクスルは、ウエブ部と、ウエブ部の両端部に接合される4つのフランジ部と、を備えるH型の横断面のビーム部を備える。4つのフランジ部のうちの少なくとも1つのフランジ部(特定フランジ部)は、フロントアクスルの横断面において、フランジ部の厚みの中心線がウエブ部の延在方向外側に曲がる曲部を備える。なお、本開示において、接合とは単に一体化していることを意味し、必ずしも溶接や締結などの手段によってつなぎ合わせることを意味しない。
フランジ部の厚みの中心線がウエブ部の延在方向外側に曲がる曲部を備える特定フランジ部は、上述した第1及び第2工程によって形成できる。この場合、第2工程で形成された第1の曲がり部が、特定フランジ部の曲がり部となる。
特定フランジ部は上記曲がり部(第1の曲がり部)を含む。つまり、特定フランジ部は、フロントアクスルの横断面において、フランジ部の厚みの中心線がウエブ部の延在方向外側に曲がる曲部を備える。この場合、フロントアクスルの横断面において、ビーム部の重心から比較的遠い位置に特定フランジ部の重心が配置される。そのため、平板状に延びる従来のフロントアクスルのフランジ部に比べて、特定フランジ部の断面二次モーメントを大きくすることが可能である。その結果、本実施形態のフロントアクスルによれば、前後方向HDの曲げ剛性を高めることが可能である。さらに、通常のフランジ部に比べて、特定フランジ部の極二次モーメントを大きくすることが可能である。その結果、本実施形態のフロントアクスルによれば、ねじり剛性を高めることが可能である。
また、本実施形態のフロントアクスルは、ビーム部と、ビーム部の長手方向LDの両端にそれぞれ設けられた2つのキングピン取り付け部とを含む。ビーム部は、長手方向LDに延びるウエブ部と、ウエブ部の上端および下端のそれぞれから前方および後方に突出している4つのフランジ部とを含む。4つのフランジ部のうちの少なくとも1つは、曲がり部を含む特定フランジ部である。曲がり部の表面のうちフロントアクスルビームの上下方向VDの外側の表面は、ウエブ部から離れるに従って当該上下方向VDの内側に向かって傾斜した後に当該上下方向VDの外側に向かって傾斜している。
1つの観点では、曲がり部は、ウエブ部から離れるに従って上下方向VDの内側に向かって傾斜した後に上下方向VDの外側に向かって傾斜している。
特定フランジ部の曲がり部は、上述した第1〜第3工程によって形成できる。この場合、第3工程で形成された第2の曲がり部が、特定フランジ部の曲がり部となる。
特定フランジ部は上記曲がり部(第2の曲がり部)を含む。つまり、特定フランジ部は、フロントアクスルの横断面において、フランジ部の厚みの中心線がウエブ部の延在方向外側に曲がる曲部を備える。この場合、フロントアクスルの横断面において、限られた範囲内で、ビーム部の重心から比較的遠い位置(従来のフロントアクスルに比べ遠い位置)に特定フランジ部の重心が配置される。そのため、平板状に延びる従来のフロントアクスルのフランジ部に比べて、フロントアクスルの断面サイズを大きくすることなく特定フランジ部の断面二次モーメントを大きくすることが可能である。その結果、本実施形態のフロントアクスルによれば、断面サイズを大きくすることなくその剛性(前後方向HDの曲げ剛性、及び上下方向VDの曲げ剛性)を高めることが可能である。さらに、従来のフランジ部に比べて、フロントアクスルの断面サイズを大きくすることなく特定フランジ部の極二次モーメントを大きくすることが可能である。その結果、本実施形態のフロントアクスルによれば、フロントアクスルの断面サイズを大きくすることなくねじり剛性を高めることが可能である。
別の観点では、1つの特定フランジ部の曲がり部は、当該特定フランジ部が突出する側から水平に見たときに、上下方向VDの外側の表面に死角となる部分を有する。このような曲がり部は、型鍛造工程において逆勾配となるため、このような曲がり部を型鍛造工程のみで形成することは困難である。そのため、型鍛造工程を含む製造方法によって特定フランジ部を形成する場合、上述した曲げ工程(第2工程、または第2および第3工程)が必要となる。逆に、上記曲がり部の形状は、上述した型鍛造工程(第1工程)および曲げ工程(第2工程、または第2および第3工程)を含む製造方法によって容易に形成できる。そのため、本実施形態のフロントアクスルは、製造上の点でも有利である。
上述したように、4つのフランジ部のうちの少なくとも1つ(1つ、2つ、3つ、または4つ)は、特定フランジ部である。好ましい一例では、4つのフランジ部のうちの2つまたは4つが特定フランジ部である。2つの特定フランジ部は、上下方向VDに並んでいてもよい。
曲がり部の表面のうちフロントアクスルの上下方向VDの内側の表面は、ウエブ部から離れるに従って当該上下方向の内側に向かって傾斜した後に当該上下方向の外側に向かって傾斜していてもよい。あるいは、曲がり部の表面のうちフロントアクスルの上下方向VDの内側の表面の全体が、当該上下方向VDの外側に向かって傾斜していてもよい。
曲がり部の端部は、当該端部以外の一部分よりも上下方向VDの外側に突出していなくてもよい。この構成によれば、コンパクトで剛性が高いフロントアクスルを実現できる。
上述したように、曲がり部は、2つのバネ取り付け座の間の領域の少なくとも一部(一部または全部)に形成されていてもよい。たとえば、曲がり部は、2つのバネ取り付け座の間の領域の50%(長手方向LDの長さを基準とする)以上に形成されていてもよい。
(製造装置)
別の観点では、本発明はフロントアクスルの第1および第2の製造装置に関する。第1の製造装置は、第2工程で用いられる上述の金型と、当該金型を上述したように移動させる機構とを有する。第2の製造装置は、第3工程で用いられる上述の金型と、当該金型を上述したように移動させる機構とを有する。金型を移動させる機構には、公知のプレス装置などで用いられている機構を適用できる。
以下では、本発明の実施形態の例について図面を参照しながら説明する。以下で説明する実施形態は例示であり、以下の実施形態の構成の少なくとも一部を、上述した構成に置き換えることができる。以下の説明では、同様の部分に同一の符号を付して重複する説明を省略する場合がある。さらに、以下に示す図はすべて模式図であり、説明に不要な部分を省略する場合がある。
(第1実施形態)
第1実施形態では、本発明のフロントアクスルの一例について説明する。第1実施形態のフロントアクスル100の斜視図を、図1に示す。フロントアクスル100の前方から水平にフロントアクスル100を見たときの正面図を、図2に示す。フロントアクスル100の上面図を図3に示す。さらに、図3の線IV−IVにおける断面図を、図4に示す。これらの図および以下で説明する図には、フロントアクスル100(または鍛造品200)の、前方の方向FwD、上下方向VD、および前後方向HDを示す場合がある。同様に、それらの図には、ビーム部110(または粗ビーム部210)の長手方向LDを示す場合がある。
図1を参照して、フロントアクスル(フロントアクスルビーム)100は、ビーム部110と、ビーム部110の長手方向LDの両端にそれぞれ設けられた2つのキングピン取り付け部150とを含む。キングピン取り付け部150には、キングピンが取り付けられる貫通孔が形成されている。通常、フロントアクスル100は、車幅方向中央を中心に概ね対称の形状を有し、且つ、全体としては概ね弓形の形状を有する。図2に示すように、キングピン取り付け部150には、キングピンを介してタイヤ1が接続される。
ビーム部110は、ウエブ部120と、4つのフランジ部130とを含む。4つのフランジ部130は、ウエブ部120の上端および下端のそれぞれから前方および後方に突出している。すなわち、4つのフランジ部130のうちの1つはウエブ部120の上端から前方に突出し、1つはウエブ部120の上端から後方に突出し、1つはウエブ部120の下端から前方に突出し、1つはウエブ部120の下端から後方に突出する。別の観点では、ビーム部110は、ウエブ部120と、ウエブ部120の両端部に接合される4つのフランジ部130とを備え、H型の横断面を有する。4つのフランジ部130のうちの少なくとも1つは、曲がり部132を含む特定フランジ部131である。図1〜図4には、4つのフランジ部130のすべてが特定フランジ部131である場合を例示する。
ここで、4つの特定フランジ部131を、第1〜第4の特定フランジ部131a〜131dとする。図4では、一例として、ウエブ部120の前方において上下に並んでいる特定フランジ部131を、第1および第2の特定フランジ部131aおよび131bとする。さらに、ウエブ部120の後方において上下に並んでいる特定フランジ部131を、第3および第4の特定フランジ部131cおよび131dとする。なお、いずれの特定フランジ部を第1〜第4の特定フランジ部とするかは任意である。たとえば、前後に並んでいる2つの特定フランジ部を、第1および第2の特定フランジ部としてもよい。
図4に示すように、曲がり部132の表面のうち上下方向VDの外側の表面132sは、ウエブ部120から離れるに従って上下方向VDの内側に向かって傾斜した後に上下方向VDの外側に向かって傾斜している。すなわち、表面132sは、内側に向かって傾斜している面132saと、外側に向かって傾斜している面132sbとを含む。別の観点では、表面132sには、凹部132cが形成されている。
別の観点では、本実施形態のフロントアクスル100は以下のように解釈できる。図14に、図4に対応する本実施形態のフロントアクスル100におけるビーム部110の断面を示す。ビーム部110はH型の横断面を有する。ビーム部110は、ウエブ部120と、ウエブ部120の両端部に接合した4つのフランジ部131a〜131dと、を備える。フランジ部131a〜131dは、フランジ部131a〜131dの厚みの中心線がウエブ部120の延在方向(上下方向VD)の外側に曲がる曲部を備える。図14に示される一点鎖線は、フランジ部131a〜131dの厚みの中心線である。
前後方向HDから曲がり部132を水平に見たときに、曲がり部132の外側の表面132sには、死角となる部分が存在する。上述したように、このような曲がり部132を、型鍛造工程のみによって形成することは困難である。
曲がり部132の表面のうち上下方向VDの内側の表面132tは、ウエブ部120から離れるに従って上下方向VDの内側に向かって傾斜した後に上下方向VDの外側に向かって傾斜していてもよい。あるいは、当該表面132tは、全体にわたって上下方向VDの外側に向かって傾斜していてもよい。その傾斜は、ウエブ部120から離れるに従って大きくなってもよい。
1つの観点では、前後方向HDに並んでいる2つの特定フランジ部131の断面(図4の断面)は、W字状である。別の観点では、特定フランジ部131は、ウエブ部120から離れるに従って上下方向VDの内側に傾いた後に、上下方向VDの外側に傾いている。
ウエブ部120の上方から突出する2つのフランジ部130には、2つのバネ取り付け座111が形成されている。2つのバネ取り付け座111は、間隔を置いて左右対称な位置に配置されている。バネ取り付け座111にはバネが配置され、バネの上には車体(エンジンを含む)が取り付けられる。第1実施形態では、曲がり部132が2つのバネ取り付け座111の間に形成される場合について説明するが、他の部分に曲がり部132が形成されてもよい。
図4に示す一例において、前後方向に隣接する2つのフランジ部130(特定フランジ部131)の境界130aは、鉛直線Lct上にある。鉛直線Lctは、長手方向LDに垂直な断面において、ウエブ部120の前後方向HDの中心を通る鉛直線(上下方向VDに平行な線)である。図4に示す一例において、特定フランジ部131とウエブ部120との境界は、丸められた形状(R形状)を有する。図4において、特定フランジ部131とウエブ部120との境界は、上記R形状の終端(R終い)のうち、特定フランジ部131側の2つの終端(第1フランジ部131aにおける終端と第3フランジ部131cにおける終端)を結ぶ直線である。第2フランジ部131bおよび第4フランジ部131d側においても同様である。
図1〜図4には、4つのフランジ部130のすべてが、曲がり部132を含む特定フランジ部131である一例を図示した。しかし、少なくとも1つのフランジ部130が曲がり部132を有すればよい。たとえば、4つのフランジ部130のうち、上下方向に並ぶ2つのフランジ部130のみが特定フランジ部131であってもよい。それらは、ウエブ部120から前方に突出していてもよいし後方に突出していてもよい。あるいは、4つのフランジ部130のうち、前後方向に並ぶ2つのフランジ部130のみが特定フランジ部131であってもよい。それらは、ウエブ部120の上端に配置されていてもよいし、ウエブ部120の下端に配置されていてもよい。
(第2実施形態)
第2実施形態では、図1〜図4に示したフロントアクスル100を製造する一例について、図面を参照しながら説明する。この製造方法は、以下で説明する第1、第2、および第3の工程をこの順に含む。第1〜第3の工程は、加工対象を加熱して行われる熱間加工である。
第1工程(型鍛造工程)では、鋼材を型鍛造することによって所定の鍛造品を形成する。型鍛造工程に限定はなく、公知の型鍛造工程によって実施できる。型鍛造工程では、通常、鍛造品にバリが形成される。鍛造品にバリが形成される場合、第2工程の前にバリ抜き工程が行われる。バリ抜き工程に限定はなく、公知のバリ抜き工程によって実施できる。
図5Aは、バリ抜き工程が実施された後の鍛造品200の一部の断面を示す斜視図である。鍛造品200は、ビーム部110となる粗ビーム部210を含む。粗ビーム部210は、ウエブ部120となる粗ウエブ部220と、粗ウエブ部220の上端および下端のそれぞれから前方および後方に向かって突出している板状の4つの粗フランジ部230とを含む。4つの粗フランジ部230はすべて、特定フランジ部131となる特定粗フランジ部231である。鍛造品200には、バネ取り付け座111となる部分211が形成されている。
鍛造品200の断面(長手方向LDに垂直な断面)を、図5Bに示す。図5Bの断面は、曲がり部132となる部分の断面である。4つの特定粗フランジ部231は、第1〜第4の特定フランジ部131a〜131dとなる第1〜第4の特定粗フランジ部231a〜231dからなる。
型鍛造工程は、粗フランジ部230が突出する方向(前後方向HD(粗ウエブ部220の延在方向と直交する方向))に型(鍛造型)を移動させることによって行われる。鍛造型は、粗ウエブ部220の中心線を境界にして対になっている。そのため、粗フランジ部230には、型抜きのための勾配が設けられている。図5Bには、型打ち方向(前後方向HD)に対する抜き勾配の角度Q、Q’を示す。この勾配のため、粗フランジ部230は、その端部に近づくほど薄くなっている。前後方向HDに隣接する2つの粗フランジ部230の境界部230aが、鍛造品200の上端および下端となる。
型鍛造工程の材料となる鋼材は、通常、型鍛造に適した形状を有する。そのような鋼材は、出発材料であるビレットを予備成形工程で予備成形することによって形成できる。すなわち、鋼材は、予備成形品であってもよい。予備成形工程に限定はなく、公知の予備成形工程を適用してもよい。たとえば、予備成形工程は、ビレットを絞る工程や、曲げ打ち工程を含んでもよい。予備成形工程は通常、熱間加工である。
第2工程の一例を図6Aおよび図6Bの断面図に示す。第2工程では、特定粗フランジ部231を少なくとも1つの第1金型310で押すことによって、鍛造品200の上下方向VD(粗ウエブ部の延在方向)の外側に向かって曲がっている第1の曲がり部232aを特定粗フランジ部231に形成する。少なくとも1つの第1金型310は、前後方向HD(粗ウエブ部の延在方向と直交する方向)に移動する。
第2工程ではまず、図6Aに示すように、下方の第1金型310と上方の第1金型310との間に鍛造品200を配置する。第1金型310は、第1斜面310aと、第1斜面310aとなす角度Pが180°より大きい第2斜面310bとを含む。角度Pは、上述した範囲にある。なお、第1斜面310aおよび第2斜面310bはそれぞれ、曲面であってもよい。別の観点では、第1金型310は凸金型であり、粗ウエブ部に向かって突出する凸部と、この凸部に隣接する2つの面(第1斜面310a及び第2斜面310b)とを備える。それらの面それぞれは、粗ウエブ部の延在方向の外側ほど粗ウエブ部から離間する。
図6Aに示す一例では、特定粗フランジ部231が延びる方向(前後方向HD)と第1斜面310a(または第2斜面310b)とがなす角度は、角度Pの半分である。なお、特定粗フランジ部231が延びる方向と第1斜面310aとがなす角度と、特定粗フランジ部231が延びる方向と第2斜面310bとがなす角度とは、異なっていてもよい。
第2工程は、図6Aに示すように、鍛造品200を上下方向VD(粗ウエブ部の延在方向)から2つの第3金型330によって挟んだ状態で行われてもよい。第3金型330で鍛造品200を挟んで固定することによって、第2工程を精度よく実施できる。さらに、第3金型330で鍛造品200を挟んで固定することによって、前後方向に隣接する粗フランジ部230(または特定粗フランジ部231)の境界部で座屈が生じる可能性を低減できる。
次に、図6Bに示すように、上方の第1金型310を下降させて鍛造品200を圧下する。具体的には、1つの第1金型310の第1斜面310aによって第1の特定粗フランジ部231aを押し、かつ、第2斜面310bによって第2の特定粗フランジ部231bを押す。このとき、他方の第1金型310の第1斜面310aによって第3の特定粗フランジ部231cを押し、かつ、第2斜面310bによって第4の特定粗フランジ部231dを押す。別の観点では、向かい合った2つの特定粗フランジ部(第1および第2の特定粗フランジ部231aおよび231b、第3および第4の特定粗フランジ部231cおよび231d)の間に、粗ウエブ部に向かって凸金型(上方および下方の第1金型310)を入れる。これによって、それらの特定粗フランジ部の先端それぞれを粗ウエブ部の延在方向(上下方向VD)の外側に曲げる。第2工程によって、第1の曲がり部232aが特定フランジ部231a〜231dに形成される。
次の第3工程の一例を図7Aおよび図7Bの断面図に示す。次の第3工程では、少なくとも1つの第2金型320によって第1の曲がり部232aの端部232aeを押して上下方向VD(粗ウエブ部の延在方向)の内側に向かって端部232aeを変形させることによって、第2の曲がり部232bが特定粗フランジ部231a〜231dに形成される。少なくとも1つの第2金型320は、上下方向VDに移動する。
第3工程ではまず、図7Aに示すように、下方の第2金型320と上方の第2金型320との間に鍛造品200を配置する。第2金型320には、凹部320gが形成されている。凹部320gは、第1面(底面)320aと、第2面(側面)320bとを含む。第1面320aは、端部232aeを、鍛造品200の上下方向VDの内側に向かって押す面である。第2面320bは、端部232aeの鍛造品200の前後方向HDへの変形を拘束する面である。別の観点では、第2金型320は、凹部320gを備えた凹金型である。
第3工程は、図7Aに示すように、鍛造品200の粗ウエブ部220を前後方向HD(粗ウエブ部220の延在方向と直交する方向)から2つの第4金型340によって挟んだ状態で行われてもよい。第4金型340で鍛造品200を挟んで固定することによって、第3工程を精度よく実施できる。さらに、第4金型340で鍛造品200を挟んで固定することによって、粗ウエブ部220が変形することを抑制できる。
次に、図7Bに示すように、上方の第2金型320を下降させて鍛造品200を圧下する。具体的には、上方の第2金型320の第1面320aによって第1の特定粗フランジ部231aの端部232aeを押し、かつ、第2面320bによって第2の特定粗フランジ部231bの端部232aeを押す。このとき、他方の第2金型320の第1面320aによって第3の特定粗フランジ部231cの端部232aeを押し、かつ、第2面320bによって第4の特定粗フランジ部231dの端部232aeを押す。別の観点では、外側に曲げられた特定粗フランジ部231a〜231dの先端を、粗ウエブ部220の延在方向と直交する方向(前後方向HD)に外側から拘束したまま、その先端を粗ウエブ部220の延在方向(上下方向VD)に外側から押す。さらに別の観点では、外側に曲げられた特定粗フランジ部231a〜231dの先端を、凹金型(第2金型320)の凹部320gに入れ、その先端を粗ウエブ部220の延在方向(上下方向VD)に外側から押す。第3工程によって、第2の曲がり部232bが特定フランジ部231a〜231dに形成される。
このようにして、第2の曲がり部232bを有する鍛造品201が得られる。第2の曲がり部232bは、通常、曲がり部132と同等の形状を有する。すなわち、通常、第2の曲がり部232bはそのまま曲がり部132となる。
図7Aおよび図7Bでは、第1面320aが平坦である第2金型320を示した。この第2金型320では、上下方向VDにおける境界部130a(図4参照)の位置と、当該上下方向VDにおける端部232aeの位置とが同じとなる。一方、端部232aeを押す第1面320aの位置を、底面の他の位置よりも浅くすることによって、端部232aeを境界部130aよりも内側に変形させることができる。この場合、ウエブ部220の延在方向(上下方向VD)の最大幅は、ウエブ部220のある箇所の幅である。
上記の第1工程〜第3工程によって、フロントアクスル100とほぼ同じ外形を有する鍛造品201が得られる。得られた鍛造品201は、必要に応じて様々な工程に供されてもよい。それらの工程の例には、整形工程、穴あけ工程、熱処理工程、曲がり取り工程、表面処理工程、塗装工程などが含まれる。これらの工程は、公知の方法で行うことができる。このようにして、フロントアクスル100が製造される。
上記の製造方法における、第2工程前の鍛造品200および第3工程後の鍛造品201のそれぞれの断面の輪郭を、図8に重ねて示す。さらに、図8には、鍛造品200の輪郭を囲む四角形を一点鎖線で示す。
剛性を向上させる方法の1つとして、フランジ部を前後方向HDに長くすることが考えられる。しかし、単にフランジ部を前後方向HDに長くした場合、フロントアクスルの前後方向HDのサイズが大きくなる。一方、第1〜第3工程を含む本実施形態の製造方法によれば、図8に示すように、前後方向HDに伸びているフランジ部を曲げている。つまり、フランジ部が第2の曲がり部を備える。そのため、前後方向HDのサイズを小さくできる。すなわち、本実施形態の製造方法によれば、剛性を向上させるとともにサイズの増大を抑制することが可能である。
また、第1および第2工程を含む本実施形態の製造方法によれば、図6Bに示すように、フランジ部の先端部をウエブ部の延在方向(上下方向VD)の外側に曲げている。つまり、フランジ部が第1の曲がり部を備える。そのため、本実施形態の製造方法によれば、剛性を向上させることが可能である。
(その他の例)
上記の例では、4つのフランジ部130のすべてが特定フランジ部131であるフロントアクスル100を製造する場合について説明した。しかし、4つのフランジ部130のうち、上下方向VDに並んでいる2つのフランジ部130のみが特定フランジ部131である場合も、同様に製造できる。
以下では、特定粗フランジ部231ではない通常の粗フランジ部230を、通常粗フランジ部230nと称する場合がある。特定粗フランジ部231と通常粗フランジ部230nとが前後方向HDに並んでいる場合、曲げ工程(第2工程および第3工程)ではそれらのうちの特定粗フランジ部231のみに曲がり部232が形成される。その場合、特定粗フランジ部231のみに力が加えられると、粗ウエブ部220と特定粗フランジ部231との境界部分を支点として、通常粗フランジ部230nが変位するおそれがある。そのような変位を抑制するために、通常粗フランジ部230nの変位を抑制した状態で曲げ工程を行うことが好ましい。通常粗フランジ部230nの変位を抑制する第2工程の一例を、図9Aおよび図9Bの断面図に示す。
図9Aの断面図は第2工程における変形を開始する前の状態を示し、図9Bの断面図は、第2工程における変形完了時の状態を示す。図示した鍛造品200は、上下方向VDに並んでいる第1および第2の特定粗フランジ部231aおよび231bと、上下方向に並んでいる2つの通常粗フランジ部230nとを含む。2つの通常粗フランジ部230nは、固定型350の凹部に嵌合するように配置されている。すなわち、固定型350には、通常粗フランジ部230nが嵌合する凹部が形成されている。固定型350を用いることによって、2つの通常粗フランジ部230nを固定した状態で第2工程を行うことができる。2つの特定粗フランジ部231の上方には、第1金型310が配置されている。
なお、第2工程において、通常粗フランジ部230nには、上下方向VDの内側に変形する力が働く。そのため、図9Aに示す固定型350ではなく、通常粗フランジ部230nの内側の部分のみを固定する型を用いてもよい。
次に、図9Bに示すように、第1金型310を下降させて、第1斜面310aで特定粗フランジ部231aを押し、第2斜面310bで特定粗フランジ部231bを押して、第1の曲がり部232aを形成する。このようにして第2工程が行われる。
次の第3工程の一例を図10Aおよび図10Bの断面図に示し、第3工程の他の一例を図11Aおよび図11Bの断面図に示す。図10Aおよび図10Bに示す工程は、図7Aおよび図7Bで説明した工程と同様であるため、重複する説明を省略する。この第3工程では、第2金型320によって、第1の曲がり部232aの端部232aeを押して第2の曲がり部232bを形成する。このようにして第3工程が行われる。
図11Aおよび図11Bに示す第3工程では、通常粗フランジ部230nを押す面320cを有する第2金型320を用いる。図11Aに示す第2金型320は、凹部320gを有する。凹部320gは、第1面320a、第2面320b、および、通常粗フランジ部230nを押す面320cを備える。
図11Aおよび図11Bに示す第3工程でも、固定型340を用いることができる。この一例では、固定型340として、固定型340aと固定型340bとを用いている。固定型340aは、粗ウエブ部220に当接する。固定型340bは、通常粗フランジ部230nの内側の面および粗ウエブ部220と接する形状を有する。第3面320cを有する第2金型320と固定型340bとを用いることによって、通常粗フランジ部230nを正確に位置決めできる。
この第3工程では、まず、図11Aに示すように、下方の第2金型320と上方の第2金型320との間に鍛造品200を配置し、固定型340aと固定型340bとによって鍛造品200を固定する。
次に、図11Bに示すように、上方の第2金型320を下降させ、第1面320aおよび第2面320bによって第1の曲がり部232aを押して第2の曲がり部232bを形成する。このとき、第3面320cによって通常粗フランジ部230nを押す。これによって、通常粗フランジ部230nの変位を抑制できる。
以上のようにして、第2の曲がり部232bを有する鍛造品201が形成される。第3工程の後の工程については上述したため、説明を省略する。
なお、4つのフランジ部130のうちの1つのみが特定フランジ部131である場合には、その特定フランジ部131のみを第2工程および第3工程で曲げればよい。その場合、上述したように、特定粗フランジ部231と前後方向に隣接する通常粗フランジ部230nの変位を抑制した状態で、第2工程および第3工程を実施することが好ましい。
以下では、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
この実施例では、曲がり部を有する本実施形態のビーム部の剛性と、曲がり部を有さない比較例のビーム部の剛性とをシミュレーションによって評価した。シミュレーションでは、ビーム部のモデルとして、長手方向に垂直な断面形状が一定で長さが100mmのモデルを仮定した。サンプル1および2の物性としては、ヤング率を210GPaと仮定し、ポアソン比を0.293と仮定した。シミュレーションは、有限要素法によって行った。サンプル1およびサンプル2の質量は同じとした。すなわち、長手方向に垂直な断面積は、サンプル1およびサンプル2で同じとした。
本実施形態のサンプル1の断面形状、および、比較例のサンプル2の断面形状を図12に示す。図12に示す断面(長手方向LDに垂直な断面)において、サンプル1およびサンプル2の断面は左右対称で且つ上下対称である。サンプル2のフランジ部は、ウエブ部の上端および下端から前後方向HDに水平に突出していると仮定した。なお、サンプル2の抜き勾配の角度Q、Q’(図5B参照)は、5°と仮定した。
図12に示すように、図12の断面におけるそれぞれのサンプルの重心CTを原点とするX座標およびY座標を仮定する。X座標はビーム部の前後方向HDに平行であり、Y座標はビーム部の上下方向VDに平行である。そして、X座標およびY座標がともに正である領域、すなわち断面の4分の1について、重心を求めた。サンプル1の重心CG1の位置、および、サンプル2の重心CG2の位置を図12に示す。それらの座標(単位:mm)は、以下の通りであった。
サンプル1の重心CG1:(X,Y)=(22.111,23.318)
サンプル2の重心CG2:(X,Y)=(21.982,21.135)
上記のように、本実施形態のサンプル1の重心CG1のX座標およびY座標は、比較例のサンプル2の重心CG2のそれらよりも大きかった。このX座標およびY座標が大きいことによって、前後荷重による曲げ変形に対する断面2次モーメントとねじりに対する極2次モーメントの増大、また上下荷重による曲げ変形に対する断面2次モーメントの増大を軽量で行えるという効果が得られる。
サンプル1およびサンプル2について、図13に示すように荷重を加えたときの剛性を、シミュレーションによって求めた。具体的には、2つの端面のうちの一方の端面を拘束し、他方の端面に図13に示す向きの荷重を加えた。図13に示す前後曲げの荷重によって、前後方向の剛性を求めた。図13に示す上下曲げの荷重によって、上下方向の剛性を求めた。図13に示す回転トルクの荷重によって、ねじり剛性を求めた。評価結果を表1に示す。
Figure 0006573049
表1に示すように、本実施形態のサンプル1の前後方向の剛性およびねじり剛性は、比較例2のサンプル2のそれらよりも高かった。さらに、サンプル1の上下方向の剛性は、サンプル2のそれに比べて大幅に高かった。
以上の結果から明らかなように、本実施形態の曲がり部を有するビーム部を用いることによって、質量が同じで剛性が高いフロントアクスルが得られる。このことは、所定の剛性を低下させることなくフロントアクスルを軽量化できることを示している。このことは、さらに、従来品と同等以下の断面サイズで従来品と同等以上の剛性を実現できる可能性があることを示している。
本発明は、フロントアクスルビームに利用できる。
100:フロントアクスル(フロントアクスルビーム)
110:ビーム部
111:バネ取り付け座
120:ウエブ部
130:フランジ部
131:特定フランジ部
132:曲がり部
150:キングピン取り付け部
200、201:鍛造品
210:粗ビーム部
220:粗ウエブ部
230:粗フランジ部
230n:通常粗フランジ部
231:特定粗フランジ部
232a:第1の曲がり部
232b:第2の曲がり部
310:第1金型
310a:第1斜面
310b:第2斜面
320:第2金型
320a:第1面
320b:第2面
330:第3金型
340:第4金型
LD:長手方向
HD:前後方向
VD:上下方向

Claims (7)

  1. ウエブ部と、前記ウエブ部の両端部に接合されるフランジ部と、を備えるH型の横断面のビーム部を備えるフロントアクスルビームの製造方法であって、
    前記横断面において、前記フランジ部を金型に収納し、前記フランジ部の延在方向に前記金型で挟んで鍛造し、
    前記横断面において、前記フランジ部の先端を前記ウエブ部の延在方向の直交方向に押して前記先端を前記ウエブ部の延在方向の外側に曲げる、フロントアクスルビームの製造方法。
  2. 向かい合った前記フランジ部の間に前記ウエブ部に向かって凸金型を入れて、前記先端を前記ウエブ部の延在方向の外側に曲げる、請求項1に記載のフロントアクスルビームの製造方法。
  3. 前記横断面において、曲がった前記先端を、前記ウエブ部の延在方向の直交方向に外側から拘束したまま、前記ウエブ部の延在方向に外側から押す、請求項1又は請求項2に記載のフロントアクスルビームの製造方法。
  4. 前記横断面において、前記フロントアクスルビームの前記ウエブ部の延在方向の最大幅は、前記ウエブ部のある箇所の幅である、請求項3に記載のフロントアクスルビームの製造方法。
  5. 前記凸金型は、前記ウエブ部に向かって突出する凸部と、前記凸部に隣接する面とを備え、
    前記横断面において、前記面は前記ウエブ部延在方向外側ほど前記ウエブ部から離間する、請求項2〜4のいずれか1項に記載のフロントアクスルビームの製造方法。
  6. 曲がった前記先端を、凹部を備えた凹金型の前記凹部に入れ、前記ウエブ部の延在方向に外側から押す、請求項3〜5のいずれか1項に記載のフロントアクスルビームの製造方法。
  7. ビーム部と、前記ビーム部の長手方向の両端にそれぞれ設けられた2つのキングピン取り付け部とを含むフロントアクスルビームであって、
    前記ビーム部は、前記長手方向に延びるウエブ部と、前記ウエブ部の上端および下端のそれぞれから前方および後方に突出している4つのフランジ部とを含み、
    前記4つのフランジ部のうちの少なくとも1つは、曲がり部を含む特定フランジ部であり、
    前記曲がり部の表面のうち前記フロントアクスルビームの上下方向の外側の表面は、前記ウエブ部から離れるに従って前記上下方向の内側に向かって傾斜した後に前記上下方向の外側に向かって傾斜しており、
    前記曲がり部の端部は、前記端部以外の一部分よりも前記上下方向の外側に突出していない、フロントアクスルビーム。
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