以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 発振器
1−1. 第1実施形態
図1は、第1実施形態に係る発振器の機能ブロック図の一例である。また、図2は、第1実施形態に係る発振器を模式的に示す平面図である。図3は、第1実施形態に係る発振器を模式的に示す断面図であり、図2のIII−III線断面図である。
図1に示すように、第1実施形態に係る発振器1は、振動片(共振子)20と、D/A変換集積回路(IC:Integrated Circuit)5と、発振用集積回路(IC)6と、可変容量素子7と、可変容量素子8と、発熱体40と、感温素子50と、基準電圧生成回路70と、を含んで構成されている。ただし、本実施形態に係る発振器1は、図1に示した構成要素の一部を省略または変更し、あるいは他の構成要素を追加した構成としてもよい。
図2および図3に示すように、第1実施形態に係る発振器1は、さらに、第1容器2(容器の一例)と、第2容器3と、支持体4と、を含んで構成されている。
第1容器2は、図2および図3に示すように、振動片20、発熱体40、感温素子50、基準電圧生成回路70を収容している。なお、第1容器2は、発振器1を構成するその他の部材を収容していてもよい。第1容器2は、パッケージ2aと、リッド2bと、を含んで構成されている。なお、便宜上、図2では、リッド2bの図示を省略している。
パッケージ2aは、例えば、セラミックパッケージである。図示の例では、パッケージ
2aは、セラミックグリーンシートを成形して積層した後、焼成して形成されたセラミック積層パッケージである。パッケージ2aは凹部を有し、凹部内の空間(収容室)2cに振動片20、発熱体40、感温素子50、基準電圧生成回路70が、収容されている。図示の例では、パッケージ2aの上部には開口部が設けられ、当該開口部をリッド2bで覆うことにより収容室2cが形成されている。収容室2cは、例えば、減圧雰囲気(真空状態)である。なお、収容室2cは、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気であってもよい。
なお、図示はしないが、パッケージ2aには、振動片20の励振電極20b,20cに電気的に接続されている電極や、発熱体40に電気的に接続されている電極、感温素子50に電気的に接続されている電極、基準電圧生成回路70に電気的接続されている電極等が設けられている。また、図示はしないが、パッケージ2aの下面には、電源端子や、接地端子、その他の外部端子が設けられており、パッケージ2aの内部または表面には、電源端子および接地端子と、発熱体40と、を電気的に接続するための配線や、その他の外部端子と振動片20および基準電圧生成回路70とを電気的に接続するための配線等も設けられている。
リッド2bは、パッケージ2aの開口部を覆っている。リッド2bの形状は、例えば、板状である。リッド2bとしては、例えば、パッケージ2aと同じ材質の板部材(例えばセラミックスプレート)や、コバール、42アロイ、ステンレス鋼などの金属板を用いることができる。リッド2bは、例えば、シールリング、低融点ガラス、接着剤などの接合部材2dを介して、パッケージ2aに接続されている。
発振器1では、第1容器2の内部(第1容器2で形成される空間(収容室2c))を恒温槽として、発熱体40により第1容器2の内部(恒温槽内部)の温度を一定に保つように制御されている。
振動片20は、第1容器2の内部に収容されている。振動片20は、パッケージ2aに搭載(配置)されている。図示の例では、振動片20は、発熱体40を介して、パッケージ2a上に配置されている。振動片20は、接合部材22を介して、発熱体40に機械的、熱的に接続されている。また、振動片20(第1励振電極20b)は、後述するように、接合部材22を介して、発熱体40上に設けられた配線(図示せず)と電気的に接続されている。接合部材22としては、例えば、銀ペースト、半田、導電性接着剤(樹脂材料中に金属粒子などの導電性フィラーを分散させた接着剤)等が挙げられる。
振動片20は、例えば、SCカットの水晶振動子である。振動片20は、水晶基板20aと、励振電極20b,20cと、を有している。なお、便宜上、図2では、振動片20を簡略化して図示している。
水晶基板20aとしては、SCカット水晶基板(圧電基板)が用いられる。水晶基板20aの平面形状(水晶基板20aの厚さ方向からみた形状)は、例えば、円、楕円、四角形、その他の多角形等である。
第1励振電極20bと第2励振電極20cは、水晶基板20aを挟んで設けられている。励振電極20b,20cは、水晶基板20aに電圧を印加して水晶基板20aを振動させる。
第1励振電極20bは、水晶基板20aの下面に設けられている。第1励振電極20bは、水晶基板20aの下面に設けられている引出電極を介して接合部材22に電気的に接続されている。接合部材22は、図示はしないが、発熱体40上に設けられた配線、およ
びボンディングワイヤーを介して、パッケージ2a上に設けられた電極に電気的に接続されている。すなわち、第1励振電極20bは、接合部材22等を介して、パッケージ2a上に設けられた電極に電気的に接続されている。
なお、第1励振電極20bとパッケージ2a上に設けられた電極とを直接、ボンディングワイヤー等で電気的に接続し、接合部材22を非導電性としてもよい。すなわち、接合部材22は、振動片20と発熱体40とを熱的に接続するが、電気的には接続しなくてもよい。
第2励振電極20cは、水晶基板20aの上面に設けられている。第2励振電極20cは、水晶基板20aの上面に設けられている引出電極、およびボンディングワイヤー24を介して、パッケージ2a上に設けられた電極(図示せず)に電気的に接続されている。なお、図2では、便宜上、ボンディングワイヤー24、および後述するボンディングワイヤー42の図示を省略している。励振電極20b,20cとしては、例えば、水晶基板20a側からクロム、金をこの順で積層したものを用いる。
なお、振動片20は、SCカットの水晶振動子に限定されず、例えば、ATカットやBTカットの水晶振動子、SAW(Surface Acoustic Wave)共振子などを用いることができる。また、振動片20として、水晶振動子以外の圧電振動子やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)振動子などを用いることもできる。また、振動片20の基板材料としては、水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電単結晶や、ジルコン酸チタン酸鉛等の圧電セラミックス等の圧電材料、またはシリコン半導体材料等を用いることができる。また、振動片20の励振手段としては、圧電効果によるものを用いてもよいし、クーロン力による静電駆動を用いてもよい。
発熱体40は、第1容器2の内部に収容されている。発熱体40は、パッケージ2aに配置(搭載)されている。発熱体40は、ボンディングワイヤー42を介して、パッケージ2a上に設けられた電極(図示せず)と電気的に接続されている。発熱体40上には接合部材22を介して振動片20が配置されている。このように振動片20を接合部材22を介して発熱体40上に配置することにより、発熱体40で発生した熱を効率よく振動片20に伝えることができ、低消費電力化を図りつつ、振動片20の温度制御をより安定化させることができる。発熱体40は、例えばヒーターであり、電流を流すことで発熱する素子(パワートランジスターや抵抗等)を用いることができる。発熱体40は、第1容器2の内部(収容室2c)の温度を制御する。発熱体40は、発熱制御回路60によって、第1容器2の内部の温度が一定(または、ほぼ一定)になるように制御される。
なお、発熱体40が配置される場所は、第1容器2の内部の温度を制御することができれば特に限定されないが、振動片20の近傍であることが望ましい。発熱体40は、第1容器2の外部(例えば第1容器2の外面)に配置されていてもよい。
感温素子50は、第1容器2の内部に収容されている。感温素子50は、パッケージ2aに配置(搭載)されている。感温素子50は、振動片20の近傍に配置されることが望ましい。感温素子50は、第1容器2の内部の温度を検出する。感温素子50としては、例えば、サーミスター(NTCサーミスター(Negative Temperature Coefficient)やPTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスターなど)や白金抵抗などを用いることができる。
なお、図示の例では、発熱体40と感温素子50とは、それぞれ別の素子として第1容器2の内部に収容されているが、発熱体40(例えばパワートランジスター)と感温素子50とが1つの半導体素子を構成し、当該半導体素子が第1容器2の内部に収容されてい
てもよい。
基準電圧生成回路70は、第1容器2の内部に収容されている。基準電圧生成回路70は、例えば1つの半導体素子70aで構成されており、半導体素子70aは第1容器2の内部に収容されている。半導体素子70aは、凹部の内底面に配置されている。半導体素子70aは接着剤等の接合部材62によりパッケージ2aに接合されている。半導体素子70aは、ボンディングワイヤー64を介して、パッケージ2a上に配置された電極(図示せず)と電気的に接続されている。
第2容器3は、ベース基板3aと、カバー3bと、を含んで構成されている。なお、便宜上、図2では、カバー3bの図示を省略している。ベース基板3aは、絶縁性を有するガラスエポキシ樹脂や、セラミック等の材料で構成されている。ベース基板3aの下面には、第2容器3の内部に収容されている素子と外部の装置等とを電気的に接続するための外部端子3dが設けられている。カバー3bは、ベース基板3aに被せられて、ベース基板3aとともに空間3cを形成する。カバー3bの材質は、例えば、金属や樹脂などである。カバー3bとして、例えば、42アロイ(鉄ニッケル合金)等の熱伝導率の低い鉄系の合金にニッケルめっきを施したものを用いてもよい。カバー3bは、ベース基板3a上に半田等を用いて固定されている。空間3cは、例えば、減圧雰囲気(真空状態)である。なお、空間3cは、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気であってもよい。空間3c(第2容器3の内部)には、第1容器2、支持体4、D/A変換IC5、発振用IC6、可変容量素子7、可変容量素子8、および電子部品9が収容されている。
支持体4は、ベース基板3a上に設けられ、第1容器2を支持している。支持体4は複数設けられており、複数の支持体4によって第1容器2が支持されている。第1容器2は、支持体4によって支持されることで、ベース基板3aから離間している。そのため、第1容器2は、例えば第1容器2がベース基板3aに接している場合と比べて、発振器1の周囲温度(第2容器3の外の温度)の影響を受けにくい。支持体4は、熱伝導率の小さい材料で構成されることが好ましい。具体的には、支持体4の材質としては、鉄、チタン、白金のいずれか一種、もしくはそれらの材料を一種以上含む合金を用いる。特に、支持体4の材質としては鉄系の合金であるコバール、42アロイを用いることが好ましい。このように支持体4を熱伝導率の小さい材料で構成することにより、第1容器2から支持体4を介して外部へ逃げる熱量を低減することができ、低消費電力化を図ることができる。支持体4は、第1容器2の内部に収容された部材と、第1容器2の外部に配置された部材と、を電気的に接続するための配線の一部として機能してもよい。
ベース基板3a上には、D/A変換IC5、発振用IC6、可変容量素子7、可変容量素子8、およびその他の1つ以上の電子部品9(抵抗、コンデンサー、コイル等)が配置(搭載)されている。可変容量素子7、可変容量素子8、電子部品9、振動片20、発熱体40、感温素子50、および基準電圧生成回路70の各端子は、それぞれD/A変換IC5または発振用IC6の所望の各端子と不図示の配線パターンで電気的に接続されている。
なお、図示はしないが、D/A変換IC5、発振用IC6、可変容量素子7、可変容量素子8、および電子部品9の少なくとも一部が第1容器2(パッケージ2a)の下面に配置されていてもよい。これにより、これらの部材を、ベース基板3aから離間して配置することができ、発振器1の周囲温度の影響を受けにくくすることができる。
図1に示すように、基準電圧生成回路70は、発振器1の外部から供給される電源電圧VCCを基に、D/A変換回路80の高電位側基準電圧VDH及び低電位側基準電圧VDLを生成し、D/A変換回路80に供給する。基準電圧生成回路70は、例えば、レギュ
レーターを含んで構成されている。
D/A変換IC5は、D/A変換回路80(D/Aコンバーター)およびシリアルインターフェース回路90を含んで構成されている。ただし、D/A変換IC5は、これらの構成要素の一部を省略または変更し、あるいは他の構成要素を追加した構成としてもよい。
シリアルインターフェース回路90は、D/A変換IC5の外部(発振器1の外部)から入力されるシリアルデータ信号(発振回路30の周波数を制御するためのデジタルデータ)を取得し、Nビットのデータ信号に変換してD/A変換回路80に出力する。
D/A変換回路80は、シリアルインターフェース回路90が出力するNビットのデータ信号(発振回路30の周波数を制御するためのデジタルデータ)が入力され、当該Nビットのデータ信号を、高電位側基準電圧VDHと低電位側基準電圧VDLの間の電圧のアナログ信号に変換して出力する。D/A変換回路80としては、よく知られている、抵抗分圧型(電圧分配型、抵抗ストリング型、あるいは電圧ポテンショメータ型とも呼ばれる)、抵抗ラダー型(R−2Rラダー型等)、容量アレイ型、デルタ・シグマ型などの種々のタイプのものを用いることができる。
D/A変換回路80が出力するアナログ信号の電圧(制御電圧)VCは、D/A変換IC5の外部の可変容量素子8に印加され、制御電圧VCに応じて可変容量素子8の容量値が変化する。可変容量素子8は、例えば、一端に印加される制御電圧VCに応じて容量値が変化するバリキャップダイオード(バラクタ―)であってもよい。
発振用IC6は、温度補償回路10、感温素子13、発振用回路32、発熱制御回路60、基準電圧生成回路72、シリアルインターフェース回路92、および記憶部100を含んで構成されている。ただし、発振用IC6は、これらの構成要素の一部を省略または変更し、あるいは他の構成要素を追加した構成としてもよい。
温度補償回路10は、感温素子13と接続され、感温素子13の出力信号に応じて、発振回路30の出力信号の周波数温度特性を補正するための温度補償電圧TCを生成する。例えば、温度補償回路10は、発振回路30の出力信号の周波数温度特性の1次成分の補正(以下、「1次補正」という)のみ可能であってもよいし、2次成分の補正(以下、「2次補正」という)のみ可能であってもよいし、1次補正と2次補正の両方が可能であってもよい。また、温度補償回路10は、1次補正と2次補正の両方が可能である場合、1次補正と2次補正をそれぞれ有効にするか無効にするかを独立に設定可能であってもよいし、1次補正の補正パラメーターと2次補正の補正パラメーターをそれぞれ独立に設定可能であってもよい。さらに、温度補償回路10は、複数の温度領域(例えば、低温側と高温側)で互いに独立に2次補正が可能であってもよい。
感温素子13は、例えば、その周辺の温度に応じた電圧を出力するものであり、温度が高いほど出力電圧が高い正極性のものであってもよいし、温度が高いほど出力電圧が低い負極性のものであってもよい。
温度補償回路10が出力する温度補償電圧TCは、発振用IC6の外部の可変容量素子7に印加され、温度補償電圧TCに応じて可変容量素子7の容量値が変化する。可変容量素子7は、例えば、一端に印加される温度補償電圧TCに応じて容量値が変化するバリキャップダイオード(バラクタ―)であってもよい。
発振用回路32は、発振用IC6の端子に外付けされる可変容量素子7、可変容量素子
8及びその他の電子部品9(図1では不図示)とともに、振動片20を発振させる発振回路30を構成する。
発振回路30は、振動片20に電気的に接続されている。発振回路30は、可変容量素子7の容量値及び可変容量素子8の容量値に応じた周波数で振動片20を発振させ、発振信号VOを出力する。発振回路30が出力する発振信号VOは、発振用IC6の外部(発振器1の外部)に出力される。
発熱制御回路60は、感温素子50の出力電圧に基づいて、振動片20を加熱するための発熱体40を制御する。具体的には、感温素子50の出力電圧に応じて、温度を一定に保つように発熱体40の発熱を制御する。
例えば、正の傾きの温度特性を有する感温素子50を第1容器2の内部に配置しておき、発熱制御回路60は、感温素子50の出力電圧が基準値よりも低い時は発熱体40に電流を流して発熱させ、感温素子50の出力電圧が基準値よりも高い時は発熱体40に電流を流さないように制御してもよい。
基準電圧生成回路72は、発振用IC6の外部(発振器1の外部)から供給される電源電圧VCCを基に、発振回路30の電源電圧VA、温度補償回路10の基準電圧VREF1、発熱制御回路60の基準電圧VREF2等を生成する。
記憶部100は、不図示の不揮発性のメモリーやレジスターを含んで構成され、不揮発性メモリーには、温度補償回路の設定情報(1次補正と2次補正をそれぞれ行うか否かの情報、1次補正の補正パラメーター、2次補正の補正パラメーター等)等が記憶されている。不揮発性メモリーは、例えば、MONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Silicon)メモリー等のフラッシュメモリーやEEPROM(Electrically Erasable Programmable
Read-Only Memory)等で実現することができる。
不揮発性メモリーに記憶されている各設定情報は、発振用IC6の電源投入時(電源電圧VCCが0Vから所望の電圧まで立ち上がる時)に不揮発性メモリーからレジスターに転送され、レジスターに保持される。そしてレジスターに保持された各設定情報が温度補償回路10等に供給される。
シリアルインターフェース回路92は、発振用IC6の外部(発振器1の外部)から記憶部100(不揮発性メモリー及びレジスター)に対するリード/ライトを行うための回路である。シリアルインターフェース回路92は、例えば、I2C(Inter-Integrated Circuit)バスに対応したインターフェース回路であってもよいし、SPI(Serial Peripheral Interface)バスに対応したインターフェース回路であってもよい。
図4は、発振回路30の構成例を示す図である。図4に示す発振回路30では、可変容量素子8(バリキャップダイオード)の一端に制御電圧VCが印加され、この電圧値に応じて可変容量素子8の容量値が変化し、これにより発振周波数が変化する。また、可変容量素子7(バリキャップダイオード)の一端に温度補償電圧TCが印加され、この電圧値に応じて可変容量素子7の容量値が変化し、これにより温度によらず発振周波数がほぼ一定に保たれる。
図5は、発熱制御回路60の構成例を示す図である。図5では、発熱体40としてNPN型パワートランジスターが用いられており、感温素子50としてNTCサーミスターが用いられている。図5に示す発熱制御回路60では、温度が低下すると感温素子50(NTCサーミスター)の抵抗値が上昇し、演算増幅器の入力電位差が大きくなる。逆に、温
度が上昇すると感温素子50(NTCサーミスター)の抵抗値が低下し、演算増幅器の入力電位差が小さくなる。演算増幅器の出力電圧は入力電位差に比例する。発熱体40(NPN型パワートランジスター)は、演算増幅器の出力電圧が所定の電圧値よりも高い時は電圧値が高いほど電流が流れて発熱量が大きくなり、演算増幅器の出力電圧が所定の電圧値よりも低い時は電流が流れず発熱量が徐々に低下する。したがって、感温素子50(NTCサーミスター)の抵抗値が所望の値になるように、すなわち所望の温度に保つように発熱体40の動作が制御される。
このような構成の本実施形態に係る発振器1では、発熱制御回路60により、振動片20やIC(D/A変換IC5や発振用IC6)等の温度特性に応じて決まる発振回路30の出力信号の周波数温度特性に基づき、第1容器2の内部温度(恒温槽の内部温度)を所望の温度(例えば、振動片20がSCカット水晶振動子であれば周波数が最大となる温度)に保つように制御される。
しかしながら、恒温槽内(第1容器2の内部)の温度は、発振器1の周囲温度に応じて変化するため一定とはならない場合がある。図6は、図2および図3に示した構造の発振器1において、発振器1の周囲温度の変化による振動片20の温度変化およびIC(D/A変換IC5や発振用IC6)の温度変化の様子の一例を示す図である。振動片20は第1容器2に収容されているため、周囲温度の影響を受けにくいものの、図6に示すように、周囲温度が−40℃〜90℃の範囲で変化すると振動片20の温度もわずかに変化する。また、恒温槽の外(第1容器2の外部)に配置されているIC(D/A変換IC5や発振用IC6)の温度は、恒温槽内に配置されている振動片20に比べて、周囲温度の影響を受けやすい。
本実施形態では、温度補償回路10により、周囲温度の変化による振動片20の温度変化やICの温度変化に起因して生じる周波数偏差が補正される。特に、周囲温度の変化によるICの温度変化が大きいために、温度補償回路10は、感温素子50とは別に発振用IC6の内部に設けられ、その温度をより正確に検出する感温素子13の出力信号に基づいて、温度補償電圧TCを発生させることにより、主としてICの温度変化に起因して生じる周波数偏差が補正される。これにより、従来のOCXOよりも高い周波数安定性を実現することができる。
以上に説明した第1実施形態に係る発振器1は、外部端子から入力されるデジタル信号によって発振周波数が制御可能な新規の恒温槽型発振器である。特に、本実施形態に係る発振器1では、D/A変換回路80が出力する制御電圧VCと温度補償回路10が出力する温度補償電圧TCとを加算した電圧を1つの可変容量素子に印加するのではなく、制御電圧VCと温度補償電圧TCとを別個の可変容量素子8と可変容量素子7にそれぞれ印加することにより、発振回路30の周波数を制御している。これにより、D/A変換回路80の出力の電圧レンジの一部を温度補償用に割り当てる必要がなく、D/A変換回路80の出力のフル電圧レンジを周波数制御範囲に割り当てることに成功している。従って、本実施形態に係る発振器1によれば、周波数制御の分解能を維持しながら周波数制御範囲を広げることができ、あるいは、周波数制御範囲を維持しながら周波数制御の分解能を上げることができる。このように、本実施形態によれば、周波数制御範囲を狭めることなく温度補償を行うことが可能な発振器1を実現することができる。
基準電圧生成回路70(レギュレーター)の出力電圧は温度に起因して大きく変動するが(例えば図27参照)、第1実施形態に係る発振器1では、基準電圧生成回路70が第1容器2の内部に収容されているため、例えば基準電圧生成回路が第1容器の外部に配置されている場合と比べて、発振器1の周囲温度の変化による基準電圧生成回路70の温度変化が小さい。したがって、本実施形態に係る発振器1によれば、周囲温度の変化による
基準電圧生成回路70の出力電圧の変動を低減することができる。
例えば、基準電圧生成回路が図27に示す温度特性を有する場合、基準電圧生成回路の温度が−40℃〜85℃の範囲で変化すると基準電圧生成回路の出力電圧は大きく変動する。これに対して、例えば第1容器内の温度の変動を85℃±1℃の範囲で制御することで、周囲温度が−40℃〜85℃の範囲で変動したとしても、第1容器の内部に収容された基準電圧生成回路の温度の変動を85℃±1℃の範囲程度とすることができる。したがって、周囲温度の変化による基準電圧制御回路の出力電圧の変動を極めて小さくすることができる。
このように本実施形態に係る発振器1によれば、周囲温度の変化による基準電圧生成回路の出力電圧の変動を低減させることができるため、基準電圧生成回路70の出力電圧の変動によるD/A変換回路80の出力電圧の変動を低減することができる。これにより、発振器の周波数(出力周波数)の安定性を高めることができる。
1−2. 第2実施形態
図7は、第2実施形態に係る発振器の機能ブロック図の一例である。図8は、第2実施形態に係る発振器を模式的に示す平面図である。図9は、第2実施形態に係る発振器を模式的に示す断面図であり、図8のIX−IX線断面図である。以下、第2実施形態に係る発振器において、上述した第1実施形態に係る発振器の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
第2実施形態に係る発振器1では、図7〜図9に示すように、発振回路30は、発振用回路32と、可変容量素子7,8および電子部品9等の電子部品と、を含んで構成されている。発振用回路32を含む発振用IC6は、1つの半導体素子6aで構成されている。
半導体素子6aは、半導体素子70a(基準電圧生成回路70)とともに第1容器2の内部に収容されている。半導体素子6aは、凹部の内底面に配置されている。半導体素子6aは接着剤等の接合部材62によりパッケージ2aに接合されている。半導体素子6aは、ボンディングワイヤー64を介して、パッケージ2a上に配置された電極(図示せず)と電気的に接続されている。
発振回路30を構成している電子部品7,8,9は、第1容器2の外部であって、第2容器3の内部に配置されている。図示の例では、電子部品7,8,9は、ベース基板3aに配置(搭載)されている。
第2実施形態に係る発振器1では、発振用IC6は第1容器2の内部に収容されているため、第1容器2の外部に配置されていた第1実施形態に係る発振器1と比較して、周囲温度の影響を受けにくい。図10は、第2実施形態に係る発振器1において、発振器1の周囲温度の変化による振動片20の温度変化及び発振用IC6の温度変化の様子を示す図である。図10に示すように、第2実施形態に係る発振器1では、第1実施形態に係る発振器1(図6)と比較して、発振器1の周囲温度の変化による発振用IC6の温度変化が小さく、発振用IC6と振動片20との温度差も小さい。
そこで、図7に示すように、第2実施形態に係る発振器1では、第1実施形態に係る発振器1とは異なり、発振用IC6に感温素子13が設けられておらず、温度補償回路10は、感温素子50と接続されている。すなわち、第2実施形態に係る発振器1では、発振用IC6と振動片20との温度差が小さいことから、発熱制御回路60による発熱制御と温度補償回路10による温度補償の両方に感温素子50を兼用することで、発振用IC6を小型化している。感温素子50が検出する温度(≒振動片20の温度)と実際の発振用
ICの温度には少しの差があるが、温度補償回路10による十分な温度補償が可能な範囲である。従って、第2実施形態に係る発振器1によれば、高い周波数安定性を実現しながら、製造コストの削減や小型化にも有利である。
なお、図示はしないが、第2実施形態に係る発振器1においても、図1に示す第1実施形態に係る発振器1と同様に、発振用IC6に感温素子13を設けて、温度補償回路10を感温素子13に接続してもよい。
発振用回路32の出力電圧は温度に起因して変動するが、第2実施形態に係る発振器1では、基準電圧生成回路70および発振用回路32が第1容器2の内部に収容されているため、例えば基準電圧生成回路および発振用回路が第1容器の外部に配置されている場合と比べて、発振器1の周囲温度の変化による基準電圧生成回路70および発振用回路32の温度変化が小さい。したがって、本実施形態に係る発振器1によれば、周囲温度の変化による基準電圧生成回路70の出力電圧の変動および発振用回路32の出力電圧の変動を低減することができる。これにより、発振器の周波数の安定性をより高めることができる。
1−3. 第3実施形態
図11は、第3実施形態に係る発振器の機能ブロック図の一例である。図12は、第3実施形態に係る発振器を模式的に示す平面図である。図13は、第3実施形態に係る発振器を模式的に示す断面図であり、図12のXIII−XIII線断面図である。以下、第3実施形態に係る発振器において、上述した第1実施形態および第2実施形態に係る発振器の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
第3実施形態に係る発振器1では、図11に示すように、発振用IC6は、温度補償回路10、発振用回路32、発熱制御回路60、基準電圧生成回路72、シリアルインターフェース回路92、および記憶部100に加えて、さらに、可変容量素子7、可変容量素子8を含んで構成されている。また、発振用IC6は、図11には図示していないが、さらに電子部品9を含んで構成されている。すなわち、発振用IC6は、発振回路30を含んで構成されている。
発振用IC6は、半導体素子6bで構成されている。半導体素子6bは、図12および図13に示すように、半導体素子70a(基準電圧生成回路70)とともに第1容器2の内部に収容されている。
発振回路30の出力電圧は温度に起因して変動するが、第3実施形態に係る発振器1では、基準電圧生成回路70および発振回路30が第1容器2の内部に収容されているため、例えば基準電圧生成回路および発振回路が第1容器の外部に配置されている場合と比べて、発振器1の周囲温度の変化による基準電圧生成回路70および発振回路30の温度変化が小さい。したがって、本実施形態に係る発振器1によれば、周囲温度の変化による基準電圧生成回路70の出力電圧の変動および発振回路30の出力電圧の変動を低減することができる。これにより、発振器の周波数の安定性をより高めることができる。
1−4. 第4実施形態
図14は、第4実施形態に係る発振器の機能ブロック図の一例である。図15は、第4実施形態に係る発振器を模式的に示す平面図である。図16は、第4実施形態に係る発振器を模式的に示す断面図であり、図15のXVI−XVI線断面図である。以下、第4実施形態に係る発振器において、上述した第1〜第3実施形態に係る発振器の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
第4実施形態に係る発振器1では、図14に示すように、D/A変換IC5は、基準電圧生成回路70と、D/A変換回路80と、シリアルインターフェース回路90と、を含んで構成されている。D/A変換IC5は、半導体素子5aで構成されている。半導体素子5aは、図15および図16に示すように、第1容器2の内部に収容されている。すなわち、基準電圧生成回路70とD/A変換回路80とは、1つの半導体素子5aで構成されており、第1容器2の内部に収容されている。図示の例では、半導体素子5aは、半導体素子6a(発振用IC6)とともに第1容器2の内部に収容されている。
D/A変換回路80の出力電圧は温度に起因して変動するが、第4実施形態に係る発振器1では、基準電圧生成回路70およびD/A変換回路80が第1容器2の内部に収容されているため、例えば基準電圧生成回路およびD/A変換回路が第1容器の外部に配置されている場合と比べて、発振器1の周囲温度の変化による基準電圧生成回路70およびD/A変換回路80の温度変化が小さい。したがって、本実施形態に係る発振器1によれば、周囲温度の変化による基準電圧生成回路70の出力電圧の変動およびD/A変換回路80の出力電圧の変動を低減することができる。これにより、発振器の周波数の安定性をより高めることができる。
さらに、第4実施形態に係る発振器1では、発振用IC6(半導体素子6a)が第1容器2に収容されているため、周囲温度の変化による発振用回路32の出力電圧の変動を低減することができる。これにより、発振器の周波数の安定性をより高めることができる。
また、第4実施形態に係る発振器1では、D/A変換回路80および基準電圧生成回路70は1つの半導体素子5aで構成されているため、製造コストの削減や小型化にも有利である。
1−5. 第5実施形態
図17は、第5実施形態に係る発振器の機能ブロック図の一例である。図18は、第5実施形態に係る発振器を模式的に示す平面図である。図19は、第5実施形態に係る発振器を模式的に示す断面図であり、図18のXIX−XIX線断面図である。以下、第5実施形態に係る発振器において、上述した第1〜第4実施形態に係る発振器の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
第5実施形態に係る発振器1では、図17に示すように、D/A変換IC5および発振用IC6が1つの半導体素子6cで構成されている。半導体素子6cは、図18および図19に示すように、第1容器2の内部に収容されている。
第5実施形態に係る発振器1では、上述した第4実施形態に係る発振器1と同様に、発振器の周波数安定性をより高めることができる。さらに、第5実施形態に係る発振器1では、D/A変換IC5および発振用IC6が1つの半導体素子6cで構成されているため、製造コストの削減や小型化にも有利である。
なお、上記では、図18および図19に示すように、D/A変換IC5、および発振用IC6が1つの半導体素子6cで構成されていたが、図示はしないが、D/A変換IC5,発振用IC6、可変容量素子7,8、および電子部品9を1つの半導体素子として、第1容器2に収容してもよい。
1−6. 第6実施形態
図20は、第6実施形態に係る発振器1の機能ブロック図の一例である。なお、第6実施形態に係る発振器の平面図は図2と同様であり、断面図は図3と同様であるため、図示
を省略する。以下、第6実施形態に係る発振器において、上述した第1〜第5実施形態に係る発振器の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
第6実施形態に係る発振器1では、図20に示すように、温度補償回路10、可変容量素子7、感温素子13、シリアルインターフェース回路92、および記憶部100を有さない点で、図1に示す第1実施形態に係る発振器1と異なる。すなわち、第6実施形態に係る発振器1では、周囲温度の変化による振動片20の温度変化やICの温度変化に起因して生じる周波数偏差の補正を行わずに、発熱制御回路60によって第1容器2の内部温度(恒温槽の内部温度)を所望の温度に保つように発熱体40を制御することで、高い周波数安定性を実現している。なお、この形態は、第2〜第5実施形態に係る発振器1にも適用できる。
2. 電子機器
図21は、本実施形態に係る電子機器300の機能ブロック図である。なお、上述された各実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
本実施形態に係る電子機器300は、発振器1を含む電子機器300である。図21に示される例では、電子機器300は、発振器1、逓倍回路310、CPU(Central Processing Unit)320、操作部330、ROM(Read Only Memory)340、RAM(Random Access Memory)350、通信部360、表示部370、音出力部380を含んで構成されている。なお、本実施形態に係る電子機器300は、図21に示される構成要素(各部)の一部を省略または変更してもよいし、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
逓倍回路310は、クロックパルスをCPU320だけでなく各部に供給する(図示は省略)。クロックパルスは、例えば、発振器1からの発振信号から所望の高調波信号を逓倍回路310で取り出した信号であってもよいし、発振器1からの発振信号を、PLLシンセサイザーを有する逓倍回路310で逓倍した信号であってもよい(図示は省略)。
CPU320は、ROM340等に記憶されているプログラムに従い、逓倍回路310が出力するクロックパルスを用いて各種の計算処理や制御処理を行う。具体的には、CPU320は、操作部330からの操作信号に応じた各種の処理、外部とデータ通信を行うために通信部360を制御する処理、表示部370に各種の情報を表示させるための表示信号を送信する処理、音出力部380に各種の音を出力させる処理等を行う。
操作部330は、操作キーやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、ユーザーによる操作に応じた操作信号をCPU320に出力する。
ROM340は、CPU320が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。
RAM350は、CPU320の作業領域として用いられ、ROM340から読み出されたプログラムやデータ、操作部330から入力されたデータ、CPU320が各種プログラムにしたがって実行した演算結果等を一時的に記憶する。
通信部360は、CPU320と外部装置との間のデータ通信を成立させるための各種制御を行う。
表示部370は、LCD(Liquid Crystal Display)や電気泳動ディスプレイ等により
構成される表示装置であり、CPU320から入力される表示信号に基づいて各種の情報を表示する。
そして、音出力部380は、スピーカー等の音を出力する装置である。
本実施形態に係る電子機器300によれば、デジタルデータによって発振周波数が制御されるとともに、周囲温度の変化による基準電圧生成回路の出力電圧の変動を低減して周波数安定性を高めることが可能な発振器を含むため、より信頼性の高い電子機器300を実現できる。
電子機器300としては種々の電子機器が考えられる。例えば、パーソナルコンピューター(例えば、モバイル型パーソナルコンピューター、ラップトップ型パーソナルコンピューター、タブレット型パーソナルコンピューター)、携帯電話機などの移動体端末、ディジタルカメラ、インクジェット式吐出装置(例えば、インクジェットプリンター)、ルーターやスイッチなどのストレージエリアネットワーク機器、ローカルエリアネットワーク機器、移動体端末基地局用機器、テレビ、ビデオカメラ、ビデオレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ゲーム用コントローラー、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS(point of sale)端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター、ヘッドマウントディスプレイ、モーショントレース、モーショントラッキング、モーションコントローラー、PDR(歩行者位置方位計測)等が挙げられる。
図22は、電子機器300の一例であるスマートフォンの外観の一例を示す図である。電子機器300であるスマートフォンは、操作部330としてボタンを、表示部370としてLCDを備えている。そして、電子機器300であるスマートフォンは、発振器1を含んでいるので、より信頼性の高い電子機器300を実現できる。
3. 移動体
図23は、本実施形態に係る移動体400の一例を示す図(上面図)である。なお、上述された各実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
本実施形態に係る移動体400は、発振器1を含む移動体400である。図23に示される例では、移動体400は、エンジンシステム、ブレーキシステム、キーレスエントリーシステム等の各種の制御を行うコントローラー420、コントローラー430、コントローラー440、バッテリー450およびバックアップ用バッテリー460を含んで構成されている。なお、本実施形態に係る移動体400は、図23に示される構成要素(各部)の一部を省略または変更してもよいし、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
本実施形態に係る移動体400によれば、デジタルデータによって発振周波数が制御されるとともに、周囲温度の変化による基準電圧生成回路の出力電圧の変動を低減して周波数安定性を高めることが可能な発振器を含むため、より信頼性の高い移動体400を実現することができる。
このような移動体400としては種々の移動体が考えられ、例えば、自動車(電気自動車も含む)、ジェット機やヘリコプター等の航空機、船舶、ロケット、人工衛星等が挙げられる。
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能であ
る。
例えば、上述した第1実施形態に係る発振器1では、例えば図1〜図3に示すように、発熱体40を第1容器2の内部に収容して、発熱制御回路60によって第1容器2の内部の温度(振動片20の温度)が一定になるように発熱体40を制御していたが、例えば、図24〜図26に示すように、冷却体41を第1容器2の内部に収容して、冷却制御回路61によって第1容器2の内部の温度が一定になるように冷却体41を制御してもよい。すなわち、第1容器2の内部を冷却することにより第1容器2の内部の温度が一定になるように制御してもよい。冷却体41は、例えば、ペルチェ素子である。
なお、図示はしないが、発熱体40および冷却体41の両方を第1容器2の内部に収容して、各制御回路60,61によって、第1容器2の内部の温度が一定になるように発熱体40および冷却体41を制御してもよい。ここでは、第1実施形態に係る発振器1を用いて本変形例を説明したが、本変形例は、第2〜第6実施形態に係る発振器1にも適用できる。
上述した実施形態は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。