以下、実施の形態では、荷電粒子ビームの一例として、電子ビームを用いた構成について説明する。但し、荷電粒子ビームは、電子ビームに限るものではなく、イオンビーム等の荷電粒子を用いたビームでも構わない。また、荷電粒子ビーム装置の一例として、可変成形型の描画装置について説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における描画システムの構成を示す概念図である。図1において、描画システムは、描画装置100、及び描画データ変換装置300を有している。
描画装置100は、描画部150と制御部160を備えている。描画装置100は、荷電粒子ビーム描画装置の一例である。特に、可変成形型の描画装置の一例である。描画部150は、電子鏡筒102と描画室103を備えている。電子鏡筒102内には、電子銃201、照明レンズ202、第1のアパーチャ203、投影レンズ204、偏向器205、第2のアパーチャ206、対物レンズ207、主偏向器208及び副偏向器209が配置されている。描画室103内には、XYステージ105が配置される。XYステージ105上には、描画時には描画対象となるマスク等の試料101が配置される。試料101には、半導体装置を製造する際の露光用マスクが含まれる。また、試料101には、レジストが塗布された、まだ何も描画されていないマスクブランクスが含まれる。
制御部160は、制御計算機110、メモリ111、制御回路130、及び、磁気ディスク装置等の記憶装置140,142を有している。制御計算機110、メモリ111、制御回路130、及び記憶装置140,142は、図示しないバスを介して接続されている。制御計算機110内には、ショットデータ生成部112、照射量演算部113、及び描画制御部114が配置される。ショットデータ生成部112、照射量演算部113、及び描画制御部114といった機能は、電気回路等のハードウェアで構成されてもよいし、これらの機能を実行するプログラム等のソフトウェアで構成されてもよい。或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより構成されてもよい。ショットデータ生成部112、照射量演算部113、及び描画制御部114に入出力される情報および演算中の情報はメモリ111にその都度格納される。
描画データ変換装置300には、磁気ディスク装置等の記憶装置340,342が図示しないバスを介して接続されている。
また、描画装置100の制御計算機110には、図示しないネットワーク等を介して、描画データ変換装置300、及び記憶装置340,342に接続されている。記憶装置340には、設計データであるレイアウトデータ(CADデータ)が格納される。そして、描画データ変換装置300内でデータ変換が行われ、描画装置100に入力可能な描画データが作成される。作成された描画データは、記憶装置342に格納される。
ここで、図1では、実施の形態1を説明する上で必要な構成を記載している。描画装置100にとって、通常、必要なその他の構成を備えていても構わない。例えば、位置偏向用には、主偏向器208と副偏向器209の主副2段の多段偏向器を用いているが、1段の偏向器或いは3段以上の多段偏向器によって位置偏向を行なう場合であってもよい。また、描画装置100には、マウスやキーボード等の入力装置、モニタ装置、及び外部インターフェース回路等が接続されていても構わない。
描画装置100で描画処理を行うためには、かかるレイアウトデータを描画装置100へ入力可能な描画データにデータ変換する必要がある。また、描画装置100では、図示しないが、一般に、その内部で近接効果補正等のドーズ量補正計算を行うが、描画装置内での計算されたドーズ量を使用しても補正残差等が残る場合もある。そのため、ユーザは、描画装置へ入力する前の段階で、図形パターン毎にドーズ変調量を設定する。或いは、描画装置100内で行われる近接効果補正計算を描画装置へ入力する前の段階で実施して、図形パターン毎にドーズ変調量を設定する。かかるドーズ変調量の計算および設定は、描画装置100へのデータ入力前の段階で、例えば、レイアウトデータから描画データにデータ変換する前に行われる。或いは、描画データにデータ変換する途中の段階で行われてもよい。或いは、描画データにデータ変換した後に行われてもよい。描画データにデータ変換した後の場合には、改めてドーズ変調量付きのデータフォーマットにデータ変換されればよい。ドーズ変調量は、ユーザ或いは図示しない補正ツール等によって設定される。実施の形態1では、図形パターン毎にドーズ変調量が計算および設定されている場合を想定して、その後のデータ変換処理について説明する。
図2は、実施の形態1における描画データ変換装置の構成を示す概念図である。図2において、描画データ変換装置300内には、分類処理部50,52、設定部54、判定部56、アレイ認識処理部58、判定部60、抽出部62、変換部64、判定部66、判定部68、抽出部70,72、変換部74、格納部76、設定部78、変換部80、判定部82、バッファメモリ81、及びメモリ83が配置される。分類処理部50,52、設定部54、判定部56、アレイ認識処理部58、判定部60、抽出部62、変換部64、判定部66、判定部68、抽出部70,72、変換部74、格納部76、設定部78、変換部80、及び判定部82といった機能は、電気回路等のハードウェアで構成されてもよいし、これらの機能を実行するプログラム等のソフトウェアで構成されてもよい。或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより構成されてもよい。分類処理部50,52、設定部54、判定部56、アレイ認識処理部58、判定部60、抽出部62、変換部64、判定部66、判定部68、抽出部70,72、変換部74、格納部76、設定部78、変換部80、及び判定部82に入出力される情報および演算中の情報はメモリ83にその都度格納される。
ここで、図2では、実施の形態1を説明する上で必要な構成を記載している。描画データ変換装置300にとって、通常、必要なその他の構成を備えていても構わない。例えば、マウスやキーボード等の入力装置、モニタ装置、及び外部インターフェース回路等が接続されていても構わない。
図3は、実施の形態1における図形毎にドーズ変調量が定義されたパターンレイアウトの一例を示す図である。図3の例では、各周辺レイアウトに囲まれた領域において、中央部にアレイパターン12が配置される。アレイパターンの図面左側の位置にドーズ変調量141%の縦長の矩形パターン10aが配置される。アレイパターンの図面下側の位置にドーズ変調量139%の横長の矩形パターン10bが配置される。アレイパターンの図面右側の位置にドーズ変調量135%の縦長の矩形パターン10cが配置される。アレイパターンの図面上側の位置にドーズ変調量148%の横長の矩形パターン10dが配置される。近接効果補正或いは/及び近接効果よりもさらに影響範囲の小さい現象に対する補正を描画装置に入力する前の段階で行った場合、図3に示すように、アレイ配置されたアレイパターン12を構成する各図形パターンについても、図形パターン毎にドーズ変調量が変化する。図形パターン毎にドーズ変調量が変化するため、上述したデータフォーマットでパターンデータを定義する場合、中央のアレイ部分についても、図28(b)に示すように、すべてノーマル表現でのドーズ変調量付きデータフォーマットで定義しなければならない。これでは、上述したように、ドーズ変調量が定義されていないデータフォーマットのデータ量(図27の例では例えば66バイト)の数倍(図28の例では例えば約6.18倍)になってしまうといった問題があった。そこで、実施の形態1では、データフォーマットを改良し、データ量を低減する。
図4は、実施の形態1における描画データの作成方法の要部工程を示すフローチャート図である。レイアウトデータから描画データへと変換する際、例えば、描画領域を複数の領域に仮想分割したフレーム領域、その下層のブロック領域、その下層のセル領域、及びその下層の各図形といった階層化を行い、データ圧縮を図る場合がある。また、図形の回転処理、ミラー処理、拡大/縮小処理等の処理を行う場合もある。実施の形態1では、これらの処理については従来手法で同様で構わないので説明を省略する。例えば、かかる処理が終了した各図形パターンデータを描画データとして定義する段階のデータ変換処理について重点を置いて説明する。
分類処理工程(S102)において、分類処理部50は、記憶装置340からレイアウトデータを読み込み(或いは、さらに上述した変換処理が終了したパターンデータを読み込み)、図形種毎に分類する。これにより、図形コードによるデータ圧縮ができる。
分類処理工程(S104)において、分類処理部52は、分類された1つの図形種の図形群について、図形サイズ毎に分類する。図形サイズは、x,y両方向について、それぞれ同一の図形毎にK種類(図形サイズ番号1〜K)に分類する。
設定工程(S106)において、設定部54は、図形サイズ番号iに1(分類された1番目の図形サイズ)を設定する。
判定工程(S108)において、判定部56は、図形サイズ番号iがK以下かどうかを判定する。図形サイズ番号iがK以下の場合、アレイ認識処理工程(S110)に進む。図形サイズ番号iがK以下でない場合、抽出工程(S131)に進む。
アレイ認識処理工程(S110)において、アレイ認識処理部58は、図形サイズ番号iの図形群の中からアレイ配置された図形群を認識し、抽出する。
判定工程(S112)において、判定部60は、図形サイズ番号iの図形群の中からアレイ配置された図形群を抽出できたかどうかを判定する。アレイ配置された図形群を抽出できた場合には、抽出工程(S114)に進む。アレイ配置された図形群を抽出できない場合には、判定工程(S120)に進む。
抽出工程(S114)において、抽出部62は、アレイ配置された図形群の各図形のドーズ量情報(例えば、ドーズ変調量情報)を抽出する。
変換工程(S116)において、変換部64は、アレイ配置された図形群のパターンデータについて、実施の形態1におけるアレイ表現(D−AR1)のデータフォーマットを用いて、フォーマット変換(データ変換)を実施する。
図5は、実施の形態1におけるアレイ表現でのドーズ変調量付きデータフォーマットの一例を示す図である。図5の例では、同じ図形種およびサイズでアレイ配置されるNX×NY個の図形パターンについて定義している。図5に示すデータフォーマットでは、同じ図形種およびサイズでアレイ配置される複数の図形パターンを定義したアレイ表現(D−AR1)であることを示す1バイトの表現コード(codeD−AR1)、図形種を示す1バイトの図形種コード(codeFIG)、基準となる1個目の図形パターンの各3バイトの図形パターンの座標(X,Y)及び各2バイトのx、y方向のサイズ(W,H)が定義される。続いて、各3バイトの配置ピッチ(PX,PY)、及び各2バイトの配置個数(NX,NY)が定義される。表現コード(codeD−AR1)は、同じ図形がアレイ配置されることを示す識別子の一例である。図形種コード(codeFIG)は、図形種を示す識別子の一例である。1個目の図形パターンの座標(X,Y)は、アレイ配置される図形の基準座標の一例である。このように、まず、表現コード(codeD−AR1)、図形種コード(codeFIG)、1個目の図形パターンの座標(X,Y)、サイズ(W,H)、配置ピッチ(PX,PY)、及び配置個数(NX,NY)といった、複数の図形情報が定義される。実施の形態1のアレイ表現のデータフォーマットでは、かかる複数の図形情報が定義される前或いは後に各図形のドーズ量情報が連続して定義される。図5の例では、かかる複数の図形情報が定義された後に各図形のドーズ量情報が連続して定義される。ドーズ量情報として、ドーズ量或いはドーズ変調量を示すドーズ量Diの定義順を示す1バイトの定義順コード(Odef)、定義される複数の図形情報の全ドーズ量Diの2バイトのデータ長(Ldose)が定義される。続いて、定義される複数の図形情報の2バイトの各ドーズ量Diが定義順コード(Odef)に従って順に定義される。ドーズ量Diは、各図形のドーズ量情報の一例となる。定義順コード(Odef)は、各図形のドーズ量情報の定義順情報の一例となる。よって、図5に示すデータフォーマットで、かかる図形パターン群のパターンデータを作成した場合、1+1+2×(3×2+2×2)+1+2+2×(NX×NY)=25+2×(NX×NY)バイトのデータ量で定義できる。
図6は、実施の形態1におけるアレイ表現でのドーズ量の定義順の一例を示す図である。図6(a)では、x,y方向に3×3のアレイ配置された矩形パターンを一例として示している。ドーズ量の定義順は、まず、x方向の1列目に、x方向の1列目の下側端(−y方向端)の図形からy方向に向かって順に定義され、y方向最上段まで定義する。続いて、y方向最上段まで定義した後、x方向の1列目から2列目に移動し、y方向最上段から−y方向に向かって順に定義され、y方向最下段まで定義する。続いて、y方向最下段まで定義した後、x方向の2列目から3列目に移動し、y方向最下段からy方向に向かって順に定義され、y方向最上段まで定義する。このように、x方向に向かって順に、y方向に対してジグザグに進む定義順で、各図形のドーズ量D1〜D9が定義される。定義順はかかる場合に限るものではない。
図6(b)では、x,y方向に3×3のアレイ配置された矩形パターンを他の一例として示している。ドーズ量の定義順は、まず、x方向の1列目に、x方向の1列目の下側端(−y方向端)の図形からy方向に向かって順に定義され、y方向最上段まで定義する。続いて、y方向最上段まで定義した後、y方向最上段の位置でx方向に向かって順に定義され、x方向最後列まで定義する。x方向最後列まで定義した後、−y方向に向かって順に定義され、y方向最下段まで定義する。y方向最下段まで定義した後、−x方向に向かって順にまだ定義されてないx方向列のうちのより前側のx方向列(x方向最前列+1列目)まで定義される。続いて、その位置からy方向に向かって順にまだ定義されてないy方向段のうちのより上段のy方向段(y方向最上段−1段目)まで定義される。このように、外周部から螺旋状に内側に向かう定義順で、各図形のドーズ量D1〜D9が定義されてもよい。定義順の種類に応じて、それぞれ識別子を定義すればよい。
判定工程(S118)において、判定部66は、アレイ抽出されなかった残りの図形が存在するかどうかを判定する。残りの図形が存在する場合には判定工程(S120)に進む。残りの図形が存在しない場合には設定工程(S130)に進む。
判定工程(S120)において、判定部68は、残りの図形の個数が1個より多いかどうかを判定する。1個より多い場合には抽出工程(S122)に進む。1個より多くない場合(1個の場合)には抽出工程(S128)に進む。
抽出工程(S122)において、抽出部70は、残りの図形の個数が1個より多い場合に、残りの図形群の各図形のドーズ量情報(例えば、ドーズ変調量情報)を抽出する。
変換工程(S124)において、変換部74は、残りの図形群のパターンデータについて、実施の形態1におけるオプティマイズ表現(D−OR1)のデータフォーマットを用いて、フォーマット変換(データ変換)を実施する。
図7は、実施の形態1におけるオプティマイズ表現でのドーズ変調量付きデータフォーマットの一例を示す図である。図7の例では、同じ図形種およびサイズで配置座標の異なるN個の図形パターンについて定義している。図7に示すデータフォーマットでは、1個目の図形パターンの位置とサイズとに続き、2個目以降の図形パターンの位置を順に列記するオプティマイズ表現(D−OR1)であることを示す1バイトの表現コード(codeD−OR1)、図形種を示す1バイトの図形種コード(codeFIG)、及び2バイトの図形数(N)が定義される。続いて、第1番目の図形パターンの各3バイトの各図形パターンの座標(X1,Y1)及び各2バイトのx、y方向の図形サイズ(W,H)が定義される。続いて、第2番目以降の図形パターンの座標(Xi,Yi)が順に定義される。表現コード(codeD−OR1)は、同じ図形が繰り返し配置されることを示す識別子の一例である。図形種コード(codeFIG)は、図形種を示す識別子の一例である。このように、まず、表現コード(codeD−OR1)、図形種コード(codeFIG)、図形数(N)、座標(X1,Y1)、図形サイズ(W,H)、及び座標(Xi,Yi)といった、複数の図形情報が定義される。実施の形態1のオプティマイズ表現のデータフォーマットでは、かかる複数の図形情報が定義される前或いは後に各図形のドーズ量情報が連続して定義される。図7の例では、かかる複数の図形情報が定義された後に各図形のドーズ量情報が連続して定義される。ドーズ量情報として、ドーズ量或いはドーズ変調量を示すドーズ量Diの定義順を示す1バイトの定義順コード(Odef)、定義される複数の図形情報の全ドーズ量Diの2バイトのデータ長(Ldose)が定義される。続いて、定義される複数の図形情報の2バイトの各ドーズ量Diが定義順コード(Odef)に従って順に定義される。ドーズ量Diは、各図形のドーズ量情報の一例となる。定義順コード(Odef)は、各図形のドーズ量情報の定義順情報の一例となる。定義順コード(Odef)が示す定義順の例は、アレイ配置のように規則的には配置されていないかもしれないが、蛇行或いは螺旋状に定義するといった図6と同様で構わない。その他の定義順でもよい。よって、図7に示すデータフォーマットで、かかる図形パターン群のパターンデータを作成した場合、1+1+2+(3×2+2×2)+(N−1)×(3×2)+1+2+2×N=11+8Nバイトのデータ量で定義できる。
格納工程(S128)において、格納部76は、残りの図形の個数が1個の場合に、残りの1つの図形のパターンデータを、実施の形態1におけるノーマル表現(D−NR1)のデータフォーマット用に、バッファメモリ81に格納する。
設定工程(S130)において、設定部78は、図形サイズ番号iに1を加算する。そして、判定工程(S108)に戻り、図形サイズ番号iがKを超えるまで、判定工程(S108)から設定工程(S130)を繰り返す。判定工程(S108)において、図形サイズ番号iがKより大きくなった場合に抽出工程(S131)に進む。
かかる構成により、図形種および図形サイズが同じ図形群について、図形毎にドーズ量が異なる場合でもデータ量を低減できるアレイ表現(D−AR1)のデータフォーマット及び/或いはオプティマイズ表現(D−OR1)のデータフォーマットを用いて、描画データを作成できる。
抽出工程(S131)において、抽出部72は、図形サイズ番号1〜Kにおいて、アレイ表現(D−AR1)及びオプティマイズ表現(D−OR1)のいずれにも該当せずにバッファメモリ81に格納された、図形種が同じで図形サイズが異なる図形群について、それぞれ、該当図形のドーズ量情報(例えば、ドーズ変調量情報)を抽出する。
変換工程(S132)において、変換部80は、バッファメモリ81に格納された、図形種が同じで図形サイズが異なる図形群のパターンデータについて、実施の形態1におけるノーマル表現(D−NR1)のデータフォーマットを用いて、フォーマット変換(データ変換)を実施する。
図8は、実施の形態1におけるノーマル表現でのドーズ変調量付きデータフォーマットの一例を示す図である。図8の例では、同じ図形種で、図形サイズと配置座標の異なるN個の図形パターンについて定義している。図8に示すデータフォーマットでは、各図形パターンの位置とサイズを順に列記するノーマル表現(D−NR1)であることを示す1バイトの表現コード(codeD−NR1)、図形種を示す1バイトの図形種コード(codeFIG)、及び2バイトの図形数(N)が定義される。続いて、各図形パターンについて各3バイトの各図形パターンの座標(Xi,Yi)及び各2バイトのx、y方向の図形サイズ(Wi,Hi)が第1番目の図形パターンから順に定義される。表現コード(codeD−NR1)は、同じ図形種の図形が繰り返し配置されることを示す識別子の一例である。図形種コード(codeFIG)は、図形種を示す識別子の一例である。このように、まず、表現コード(codeD−NR1)、図形種コード(codeFIG)、図形数(N)、第1番目の図形から順に繰り返した座標(Xi,Yi)、及び図形サイズ(Wi,Hi)といった、複数の図形情報が定義される。実施の形態1のノーマル表現のデータフォーマットでは、かかる複数の図形情報が定義される前或いは後に各図形のドーズ量情報が連続して定義される。図8の例では、かかる複数の図形情報が定義された後に各図形のドーズ量情報が連続して定義される。ドーズ量情報として、ドーズ量或いはドーズ変調量を示すドーズ量Diの定義順を示す1バイトの定義順コード(Odef)、定義される複数の図形情報の全ドーズ量Diの2バイトのデータ長(Ldose)が定義される。続いて、定義される複数の図形情報の2バイトの各ドーズ量Diが定義順コード(Odef)に従って順に定義される。ドーズ量Diは、各図形のドーズ量情報の一例となる。定義順コード(Odef)は、各図形のドーズ量情報の定義順情報の一例となる。定義順コード(Odef)が示す定義順の例は、アレイ配置のように規則的には配置されていないかもしれないが、蛇行或いは螺旋状に定義するといった図6と同様で構わない。その他の定義順でもよい。或いはバッファメモリ81への格納順で構わない。よって、図8に示すデータフォーマットで、かかる図形パターン群のパターンデータを作成した場合、1+1+2+N×(3×2+2×2)+1+2+2×N=7+12Nバイトのデータ量で定義できる。
よって、図形毎にドーズ量が異なる図形群をノーマル表現のデータフォーマットで定義する場合でも、図28(b)に示したようなそれぞれ個別のデータフォーマットで定義する場合に比べてデータ量を低減できる。
判定工程(S136)において、判定部82は、すべての図形種についてフォーマット変換(データ変換)が終了したかどうかを判定する。すべての図形種について終了していない場合には、分類処理工程(S104)に戻る。そして、すべての図形種について終了するまで分類処理工程(S104)から判定工程(S136)までの各工程を繰り返す。すべての図形種について終了した場合には終了する。
以上のようにして、電子ビームを用いて試料101に複数の図形パターンを描画する描画装置100に入力されるための描画データを作成する。作成された描画データは、記憶装置342に格納される。このように、実施の形態1によれば、図形毎にドーズ量が異なる場合でもデータ量を低減できる。
次に、描画装置100では、かかる描画データを記憶装置342から入力(転送)し、記憶装置140に格納する。そして、描画装置100において描画処理が行われる。
ショットデータ生成工程として、ショットデータ生成部112は、記憶装置140から描画データを読み出し、複数段のデータ変換処理を行って、装置固有のショットデータを生成する。描画装置100で図形パターンを描画するためには、1回のビームのショットで照射できるサイズに描画データに定義された各図形パターンを分割する必要がある。そこで、ショットデータ生成部112は、実際に描画するために、各図形パターンを1回のビームのショットで照射できるサイズに分割してショット図形を生成する。そして、ショット図形毎にショットデータを生成する。ショットデータには、例えば、図形種、図形サイズ、照射位置、及びドーズ量(或いはドーズ変調量)といったパターンデータが定義される。
照射量演算工程として、照射量演算部113は、所定のサイズのメッシュ領域毎の照射量dを演算する。照射量dは、基準照射量Dbaseにドーズ量(ドーズ変調量)を乗じた値で演算できる。描画データに定義されたドーズ量(ドーズ変調量)に近接効果補正分が考慮されていない場合には、近接効果を補正する近接効果補正照射係数をさらに乗じても好適である。或いは、さらに、かぶり効果を補正するかぶり効果補正照射係数やローディング効果を補正するローディング効果補正照射係数といった補正係数を乗じても好適である。近接効果補正等の各現象に対する補正計算は、従来と同様の手法で構わない。
描画工程として、描画制御部114は、制御回路120に描画処理を行うように制御信号を出力する。制御回路120は、ショットデータと各補正照射量のデータを入力し、描画制御部114から制御信号に従って描画部150を制御し、描画部150は、電子ビーム200を用いて、当該図形パターンを試料100に描画する。具体的には、以下のように動作する。
電子銃201(放出部)から放出された電子ビーム200は、照明レンズ202により矩形の穴を持つ第1のアパーチャ203全体を照明する。ここで、電子ビーム200をまず矩形に成形する。そして、第1のアパーチャ203を通過した第1のアパーチャ像の電子ビーム200は、投影レンズ204により第2のアパーチャ206上に投影される。偏向器205によって、かかる第2のアパーチャ206上での第1のアパーチャ像は偏向制御され、ビーム形状と寸法を変化させる(可変成形させる)ことができる。そして、第2のアパーチャ206を通過した第2のアパーチャ像の電子ビーム200は、対物レンズ207により焦点を合わせ、主偏向器208及び副偏向器209によって偏向され、連続的に移動するXYステージ105に配置された試料101の所望する位置に照射される。図1では、位置偏向に、主副2段の多段偏向を用いた場合を示している。かかる場合には、主偏向器208でストライプ領域をさらに仮想分割したサブフィールド(SF)の基準位置にステージ移動に追従しながら該当ショットの電子ビーム200を偏向し、副偏向器209でSF内の各照射位置にかかる該当ショットのビームを偏向すればよい。
以上のように実施の形態1では、描画データのデータ量を小さくできるので、描画装置100への転送時間を短縮できる。
実施の形態2.
実施の形態1では、各図形のドーズ量情報を2バイトのデータとして定義したが、これに限るものではない。実施の形態2では、ドーズ量情報を圧縮したデータフォーマットについて説明する。実施の形態2における描画装置100の構成は図1と同様である。また、以下、特に説明する点以外の内容は実施の形態1と同様である。
図9は、実施の形態2における描画データ変換装置の構成を示す概念図である。図2において、描画データ変換装置300内に、さらに、圧縮処理部84,86,88が配置された点以外は図2と同様である。よって、圧縮処理部84,86,88といった機能は、描画データ変換装置300内の他の機能と同様、電気回路等のハードウェアで構成されてもよいし、これらの機能を実行するプログラム等のソフトウェアで構成されてもよい。或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより構成されてもよい。分類処理部50,52、設定部54、判定部56、アレイ認識処理部58、判定部60、抽出部62、変換部64、判定部66、判定部68、抽出部70,72、変換部74、格納部76、設定部78、変換部80、判定部82、及び圧縮処理部84,86,88に入出力される情報および演算中の情報はメモリ83にその都度格納される。
ここで、図9では、実施の形態2を説明する上で必要な構成を記載している。描画データ変換装置300にとって、通常、必要なその他の構成を備えていても構わない。例えば、マウスやキーボード等の入力装置、モニタ装置、及び外部インターフェース回路等が接続されていても構わない。
図10は、実施の形態2における描画データの作成方法の要部工程を示すフローチャート図である。実施の形態2では、実施の形態1と同様、階層化、回転処理、ミラー処理、拡大/縮小処理等の処理については従来手法で同様で構わないので説明を省略する。例えば、かかる処理が終了した各図形パターンデータを描画データとして定義する段階のデータ変換処理について重点を置いて説明する。
分類処理工程(S102)から抽出工程(S114)までの各工程の内容は実施の形態1と同様である。
圧縮工程(S115)において、圧縮処理部84は、抽出されたアレイ配置された図形群のドーズ量情報を圧縮処理する。具体的には、アレイ配置されるNX×NY個の図形パターンについて、基準となる第1番目の図形パターン以外の第2番目以降の各図形パターンのドーズ量情報を、それぞれ1つ手前のドーズ量(ドーズ変調量)との差分に圧縮処理する。かかる処理により、第2番目以降の各図形パターンのドーズ量情報のデータ量を1バイトずつ低減できる。なお、2番目以降のドーズ量定義は、全て、差分C−D定義であるわけではなく、差分が±64階調以内に入らない場合には、新規C−D定義を使う。
図11は、実施の形態2におけるアレイ表現でのドーズ変調量付きデータフォーマットの一例を示す図である。図11のC−D圧縮ドーズ定義に示すように、基準となる第1番目の図形パターンのドーズ量情報(C−D1)について、新規データであることを識別する1ビットの識別フラグ(C−D識別フラグ「0」)とドーズ量(ドーズ変調量)を示す符号なしデータ(符号なし15ビット)との合計2バイトのデータで定義する。一方、第2番目以降の各図形パターンのドーズ量情報(C−D2)〜(C−DNX×NY)については、差分データであることを識別する1ビットの識別フラグ(C−D識別フラグ「1」)と1つ手前のドーズ量(ドーズ変調量)との差分を示す符号付きデータ(符号付き7ビット)の合計1バイトのデータで定義する。
変換工程(S117)において、変換部64は、アレイ配置された図形群のパターンデータについて、実施の形態1におけるアレイ表現(D−AR2)のデータフォーマットを用いて、フォーマット変換(データ変換)を実施する。
図11の例では、同じ図形種およびサイズでアレイ配置されるNX×NY個の図形パターンについて定義している。図11に示すデータフォーマットでは、同じ図形種およびサイズでアレイ配置される複数の図形パターンを定義した実施の形態2のアレイ表現(D−AR2)であることを示す1バイトの表現コード(codeD−AR2)、図形種を示す1バイトの図形種コード(codeFIG)、基準となる1個目の図形パターンの各3バイトの図形パターンの座標(X,Y)及び各2バイトのx、y方向のサイズ(W,H)が定義される。続いて、各3バイトの配置ピッチ(PX,PY)、及び各2バイトの配置個数(NX,NY)が定義される。表現コード(codeD−AR2)は、同じ図形がアレイ配置されることを示す識別子の一例である。図形種コード(codeFIG)は、図形種を示す識別子の一例である。1個目の図形パターンの座標(X,Y)は、アレイ配置される図形の基準座標の一例である。このように、まず、表現コード(codeD−AR2)、図形種コード(codeFIG)、1個目の図形パターンの座標(X,Y)、サイズ(W,H)、配置ピッチ(PX,PY)、及び配置個数(NX,NY)といった、複数の図形情報が定義される。実施の形態2のアレイ表現のデータフォーマットでは、かかる複数の図形情報が定義される前或いは後に各図形のドーズ量情報が連続して定義される。図11の例では、かかる複数の図形情報が定義された後に各図形のドーズ量情報が連続して定義される。ドーズ量情報として、ドーズ量或いはドーズ変調量を示すドーズ量(C−Di)の定義順を示す1バイトの定義順コード(Odef)、定義される複数の図形情報の全ドーズ量Diの2バイトのデータ長(Ldose)が定義される。続いて、定義される基準となる第1番目の図形パターンの2バイトのドーズ量情報(C−D1)と定義順コード(Odef)に従った第2番目以降の各図形パターンの1バイトのドーズ量情報(C−D2)〜(C−DNX×NY)が順に定義される。ドーズ量(C−Di)は、各図形のドーズ量情報の一例となる。定義順コード(Odef)は、各図形のドーズ量情報の定義順情報の一例となる。このように、2番目以降の図形のドーズ量情報に、当該図形のドーズ量と1つ前の図形のドーズ量との差分値を用いる。よって、図11に示すデータフォーマットで、かかる図形パターン群のパターンデータを作成した場合、例えば2個目以上が全部差分にできた場合に、1+1+2×(3×2+2×2)+1+2+2+(NX×NY−1)=26+(NX×NY)バイトのデータ量で定義できる。定義順コード(Odef)が示す定義順は、図6と同様である。なお、2番目以降のドーズ量定義は、全て、差分C−D定義であるわけではなく、差分が±64階調以内に入らない場合には、新規C−D定義を使う。
判定工程(S118)から抽出工程(S122)までの各工程の内容は実施の形態1と同様である。
圧縮工程(S123)において、圧縮処理部86は、抽出された残りの図形群のドーズ量情報を圧縮処理する。具体的には、図形種および図形サイズが同じで配置位置が異なるN個の図形パターンについて、基準となる第1番目の図形パターン以外の第2番目以降の各図形パターンのドーズ量情報を、それぞれ1つ手前のドーズ量(ドーズ変調量)との差分に圧縮処理する。かかる処理により、第2番目以降の各図形パターンのドーズ量情報のデータ量を1バイトずつ低減できる。なお、2番目以降のドーズ量定義は、全て、差分C−D定義であるわけではなく、差分が±64階調以内に入らない場合には、新規C−D定義を使う。
図12は、実施の形態2におけるオプティマイズ表現でのドーズ変調量付きデータフォーマットの一例を示す図である。図12のC−D圧縮ドーズ定義に示すように、基準となる第1番目の図形パターンのドーズ量情報(C−D1)について、新規データであることを識別する1ビットの識別フラグ(C−D識別フラグ「0」)とドーズ量(ドーズ変調量)を示す符号なしデータ(符号なし15ビット)との合計2バイトのデータで定義する。一方、第2番目以降の各図形パターンのドーズ量情報(C−D2)〜(C−DN)については、差分データであることを識別する1ビットの識別フラグ(C−D識別フラグ「1」)と1つ手前のドーズ量(ドーズ変調量)との差分を示す符号付きデータ(符号付き7ビット)の合計1バイトのデータで定義する。
変換工程(S125)において、変換部74は、残りの図形群のパターンデータについて、実施の形態2におけるオプティマイズ表現(D−OR2)のデータフォーマットを用いて、フォーマット変換(データ変換)を実施する。
図12の例では、同じ図形種およびサイズで配置座標の異なるN個の図形パターンについて定義している。図12に示すデータフォーマットでは、1個目の図形パターンの位置とサイズとに続き、2個目以降の図形パターンの位置を順に列記する実施の形態2のオプティマイズ表現(D−OR2)であることを示す1バイトの表現コード(codeD−OR2)、図形種を示す1バイトの図形種コード(codeFIG)、及び2バイトの図形数(N)が定義される。続いて、第1番目の図形パターンの各3バイトの各図形パターンの座標(X1,Y1)及び各2バイトのx、y方向の図形サイズ(W,H)が定義される。続いて、第2番目以降の図形パターンの座標(Xi,Yi)が順に定義される。表現コード(codeD−OR2)は、同じ図形が繰り返し配置されることを示す識別子の一例である。図形種コード(codeFIG)は、図形種を示す識別子の一例である。このように、まず、表現コード(codeD−OR2)、図形種コード(codeFIG)、図形数(N)、座標(X1,Y1)、図形サイズ(W,H)、及び座標(Xi,Yi)といった、複数の図形情報が定義される。実施の形態2のオプティマイズ表現のデータフォーマットでは、かかる複数の図形情報が定義される前或いは後に各図形のドーズ量情報が連続して定義される。図12の例では、かかる複数の図形情報が定義された後に各図形のドーズ量情報が連続して定義される。ドーズ量情報となる、ドーズ量或いはドーズ変調量を示すドーズ量(C−Di)の定義順を示す1バイトの定義順コード(Odef)、定義される複数の図形情報の全ドーズ量(C−Di)の2バイトのデータ長(Ldose)が定義される。続いて、第1番目の図形パターンの2バイトのドーズ量情報(C−D1)と定義順コード(Odef)に従った第2番目以降の各図形パターンの1バイトのドーズ量情報(C−D2)〜(C−DN)が順に定義される。ドーズ量(C−Di)は、各図形のドーズ量情報の一例となる。定義順コード(Odef)は、各図形のドーズ量情報の定義順情報の一例となる。定義順コード(Odef)が示す定義順の例は、アレイ配置のように規則的には配置されていないかもしれないが、蛇行或いは螺旋状に定義するといった図6と同様で構わない。その他の定義順でもよい。このように、2番目以降の図形のドーズ量情報に、当該図形のドーズ量と1つ前の図形のドーズ量との差分値を用いる。よって、図12に示すデータフォーマットで、かかる図形パターン群のパターンデータを作成した場合、例えば2個目以上が全部差分にできた場合に、1+1+2+(3×2+2×2)+(N−1)×(3×2)+1+2+2+N−1=12+7Nバイトのデータ量で定義できる。なお、2番目以降のドーズ量定義は、全て、差分C−D定義であるわけではなく、差分が±64階調以内に入らない場合には、新規C−D定義を使う。
格納工程(S129)において、格納部76は、残りの図形の個数が1個の場合に、残りの1つの図形のパターンデータを、実施の形態2におけるノーマル表現(D−NR2)のデータフォーマット用に、バッファメモリ81に格納する。
設定工程(S130)において、設定部78は、図形サイズ番号iに1を加算する。そして、判定工程(S108)に戻り、図形サイズ番号iがKを超えるまで、判定工程(S108)から設定工程(S130)を繰り返す。判定工程(S108)において、図形サイズ番号iがKより大きくなった場合に抽出工程(S131)に進む。
かかる構成により、図形種および図形サイズが同じ図形群について、図形毎にドーズ量が異なる場合でもデータ量を実施の形態1よりもさらに低減できるアレイ表現(D−AR2)のデータフォーマット及び/或いはオプティマイズ表現(D−OR2)のデータフォーマットを用いて、描画データを作成できる。
抽出工程(S131)において、抽出部72は、図形サイズ番号1〜Kにおいて、アレイ表現(D−AR2)及びオプティマイズ表現(D−OR2)のいずれにも該当せずにバッファメモリ81に格納された、図形種が同じで図形サイズが異なる図形群について、それぞれ、該当図形のドーズ量情報(例えば、ドーズ変調量情報)を抽出する。
圧縮工程(S133)において、圧縮処理部88は、バッファメモリ81に格納された、図形種が同じで図形サイズが異なる図形群のドーズ量情報を圧縮処理する。具体的には、図形種および図形サイズが同じで配置位置が異なるN個の図形パターンについて、基準となる第1番目の図形パターン以外の第2番目以降の各図形パターンのドーズ量情報を、それぞれ1つ手前のドーズ量(ドーズ変調量)との差分に圧縮処理する。かかる処理により、第2番目以降の各図形パターンのドーズ量情報のデータ量を1バイトずつ低減できる。なお、2番目以降のドーズ量定義は、全て、差分C−D定義であるわけではなく、差分が±64階調以内に入らない場合には、新規C−D定義を使う。
図13は、実施の形態2におけるノーマル表現でのドーズ変調量付きデータフォーマットの一例を示す図である。図13のC−D圧縮ドーズ定義に示すように、基準となる第1番目の図形パターンのドーズ量情報(C−D1)について、新規データであることを識別する1ビットの識別フラグ(C−D識別フラグ「0」)とドーズ量(ドーズ変調量)を示す符号なしデータ(符号なし15ビット)との合計2バイトのデータで定義する。一方、第2番目以降の各図形パターンのドーズ量情報(C−D2)〜(C−DN)については、差分データであることを識別する1ビットの識別フラグ(C−D識別フラグ「1」)と1つ手前のドーズ量(ドーズ変調量)との差分を示す符号付きデータ(符号付き7ビット)の合計1バイトのデータで定義する。
変換工程(S135)において、変換部80は、バッファメモリ81に格納された、図形種が同じで図形サイズが異なる図形群のパターンデータについて、実施の形態2におけるノーマル表現(D−NR2)のデータフォーマットを用いて、フォーマット変換(データ変換)を実施する。
図13の例では、同じ図形種で、図形サイズと配置座標の異なるN個の図形パターンについて定義している。図13に示すデータフォーマットでは、各図形パターンの位置とサイズを順に列記するノーマル表現(D−NR2)であることを示す1バイトの表現コード(codeD−NR2)、図形種を示す1バイトの図形種コード(codeFIG)、及び2バイトの図形数(N)が定義される。続いて、各図形パターンについて各3バイトの各図形パターンの座標(Xi,Yi)及び各2バイトのx、y方向の図形サイズ(Wi,Hi)が第1番目の図形パターンから順に定義される。表現コード(codeD−NR2)は、同じ図形種の図形が繰り返し配置されることを示す識別子の一例である。図形種コード(codeFIG)は、図形種を示す識別子の一例である。このように、まず、表現コード(codeD−NR2)、図形種コード(codeFIG)、図形数(N)、第1番目の図形から順に繰り返した座標(Xi,Yi)、及び図形サイズ(Wi,Hi)といった、複数の図形情報が定義される。実施の形態2のノーマル表現のデータフォーマットでは、かかる複数の図形情報が定義される前或いは後に各図形のドーズ量情報が連続して定義される。図13の例では、かかる複数の図形情報が定義された後に各図形のドーズ量情報が連続して定義される。ドーズ量情報として、ドーズ量或いはドーズ変調量を示すドーズ量Diの定義順を示す1バイトの定義順コード(Odef)、定義される複数の図形情報の全ドーズ量(C−Di)の定義順を示す1バイトの定義順コード(Odef)、定義される複数の図形情報の全ドーズ量(C−Di)の2バイトのデータ長(Ldose)が定義される。続いて、第1番目の図形パターンの2バイトのドーズ量情報(C−D1)と定義順コード(Odef)に従った第2番目以降の各図形パターンの1バイトのドーズ量情報(C−D2)〜(C−DN)が順に定義される。ドーズ量(C−Di)は、各図形のドーズ量情報の一例となる。定義順コード(Odef)は、各図形のドーズ量情報の定義順情報の一例となる。定義順コード(Odef)が示す定義順の例は、アレイ配置のように規則的には配置されていないかもしれないが、蛇行或いは螺旋状に定義するといった図6と同様で構わない。その他の定義順でもよい。或いはバッファメモリ81への格納順で構わない。このように、2番目以降の図形のドーズ量情報に、当該図形のドーズ量と1つ前の図形のドーズ量との差分値を用いる。よって、図13に示すデータフォーマットで、かかる図形パターン群のパターンデータを作成した場合、例えば2個目以上が全部差分にできた場合に、1+1+2+N×(3×2+2×2)+1+2+2+N−1=8+11Nバイトのデータ量で定義できる。なお、2番目以降のドーズ量定義は、全て、差分C−D定義であるわけではなく、差分が±64階調以内に入らない場合には、新規C−D定義を使う。
よって、図形毎にドーズ量が異なる図形群をノーマル表現のデータフォーマットで定義する場合でも、図28(b)に示したようなそれぞれ個別のデータフォーマットで定義する場合に比べてデータ量を低減できる。
判定工程(S136)において、判定部82は、すべての図形種についてフォーマット変換(データ変換)が終了したかどうかを判定する。すべての図形種について終了していない場合には、分類処理工程(S104)に戻る。そして、すべての図形種について終了するまで分類処理工程(S104)から判定工程(S136)までの各工程を繰り返す。すべての図形種について終了した場合には終了する。
以上のようにして、電子ビームを用いて試料101に複数の図形パターンを描画する描画装置100に入力されるための描画データを作成する。作成された描画データは、記憶装置342に格納される。このように、実施の形態2によれば、図形毎にドーズ量が異なる場合でもデータ量を低減できる。描画装置100の動作については、実施の形態1と同様である。
以上のように実施の形態2では、描画データのデータ量をさらに小さくできるので、描画装置100への転送時間をさらに短縮できる。
ここで、アレイ配置される図形群については、すべての図形のドーズ量(ドーズ変調量)が異なるとは限らない。例えば、一部分の領域内の各図形については同じドーズ量(ドーズ変調量)になる場合もある。
図14は、実施の形態2におけるアレイ表現でのドーズ変調量付きデータフォーマットの他の一例を示す図である。図14(a)の例では、同じ図形種およびサイズでアレイ配置されるNX×NY個の図形パターンについて定義している。また、NX×NY個の図形パターンのうち、図14(b)の点線で示す一部分の領域内の各図形(中同じ図形群)については、同じドーズ量(ドーズ変調量)に設定されている。図14(a)に示すデータフォーマットでは、同じ図形種およびサイズでアレイ配置され、一部分の領域内の各図形(中同じ図形群)が同じドーズ量となる複数の図形パターンを定義した実施の形態2のアレイ表現(D−AR3)であることを示す1バイトの表現コード(codeD−AR3)、図形種を示す1バイトの図形種コード(codeFIG)、基準となる1個目の図形パターンの各3バイトの図形パターンの座標(X,Y)及び各2バイトのx、y方向のサイズ(W,H)が定義される。続いて、各3バイトの配置ピッチ(PX,PY)、及び各2バイトの配置個数(NX,NY)が定義される。続いて、同じドーズ量となる一部分の領域内の各図形のうちの基準となる1個目の図形パターンの各3バイトの座標(IDX,IDY)、及び同じドーズ量となる一部分の領域内の各2バイトの配置個数(NNX,NNY)が定義される。表現コード(codeD−AR3)は、同じ図形がアレイ配置されることを示す識別子の一例である。図形種コード(codeFIG)は、図形種を示す識別子の一例である。1個目の図形パターンの座標(X,Y)は、アレイ配置される図形の基準座標の一例である。このように、まず、表現コード(codeD−AR3)、図形種コード(codeFIG)、1個目の図形パターンの座標(X,Y)、サイズ(W,H)、配置ピッチ(PX,PY)、及び配置個数(NX,NY)、座標(IDX,IDY)、及び配置個数(NNX,NNY)といった、複数の図形情報が定義される。実施の形態2のアレイ表現のデータフォーマットでは、かかる複数の図形情報が定義される前或いは後に各図形のドーズ量情報が連続して定義される。図14の例では、かかる複数の図形情報が定義された後に各図形のドーズ量情報が連続して定義される。ドーズ量情報として、ドーズ量或いはドーズ変調量を示すドーズ量(C−Di)の定義順を示す1バイトの定義順コード(Odef)、定義される複数の図形情報の全ドーズ量(C−Di)の2バイトのデータ長(Ldose)が定義される。続いて、座標(IDX,IDY)、及び配置個数(NNX,NNY)の一部分の領域内の各図形の同一ドーズ量情報(C−D0)、基準となる第1番目の図形パターンの2バイトのドーズ量情報(C−D1)、そして、定義順コード(Odef)に従った、中同じ図形群以外の第2番目以降の各図形パターンの1バイトのドーズ量情報(C−D2)〜(C−DNX×NY)が順に定義される。
ここで、図14の例では、中同じ図形群の各図形パターンのドーズ量情報(C−D0)については、新規データであることを識別する1ビットの識別フラグ(C−D識別フラグ「0」)とドーズ量(ドーズ変調量)を示す符号なしデータ(符号なし15ビット)の合計2バイトのデータで定義する。基準となる第1番目の図形パターンのドーズ量情報(C−D1)について、新規データであることを識別する1ビットの識別フラグ(C−D識別フラグ「0」)とドーズ量(ドーズ変調量)を示す符号なしデータ(符号なし15ビット)の合計2バイトのデータで定義する。一方、中同じ図形群以外の第2番目以降の各図形パターンのドーズ量情報(C−D2)〜(C−DNX×NY)については、差分データであることを識別する1ビットの識別フラグ(C−D識別フラグ「1」)と1つ手前のドーズ量(ドーズ変調量)との差分を示す符号付きデータ(符号付き7ビット)の合計1バイトのデータで定義する。よって、データ長(Ldose)が示す複数の図形の個数は、NX×NY−NNX×NNY+1個となる。なお、2番目以降のドーズ量定義は、全て、差分C−D定義であるわけではなく、差分が±64階調以内に入らない場合には、新規C−D定義を使う。
ドーズ量(C−Di)は、各図形のドーズ量情報の一例となる。定義順コード(Odef)は、各図形のドーズ量情報の定義順情報の一例となる。このように、中同じ図形群以外の2番目以降の図形のドーズ量情報に、当該図形のドーズ量と1つ前の図形のドーズ量との差分値を用いる。かかるデータフォーマットによれば、中同じ図形群のドーズ量情報について統合できるので、データ量をさらに圧縮できる。
また、アレイ配置される図形群については、規則的に配置されずに一部分の領域内の各図形が抜けている場合(中抜けアレイ)もある。
図15は、実施の形態2におけるアレイ表現でのドーズ変調量付きデータフォーマットの他の一例を示す図である。図15(a)の例では、同じ図形種およびサイズでアレイ配置されるNX×NY個の図形パターンについて定義している。また、NX×NY個の図形パターンのうち、図15(b)の点線で示す一部分の領域内の各図形(中抜け図形群)が抜けたアレイ配置に設定されている。図15(a)に示すデータフォーマットでは、同じ図形種およびサイズでアレイ配置され、一部分の領域内の各図形(中抜け図形群)が抜けた実施の形態2のアレイ表現(D−AR4)であることを示す1バイトの表現コード(codeD−AR4)、図形種を示す1バイトの図形種コード(codeFIG)、基準となる1個目の図形パターンの各3バイトの図形パターンの座標(X,Y)及び各2バイトのx、y方向のサイズ(W,H)が定義される。続いて、各3バイトの配置ピッチ(PX,PY)、及び各2バイトの配置個数(NX,NY)が定義される。続いて、中抜け部分の各図形のうちの基準となる1個目の図形パターンの各3バイトの座標(IDX,IDY)、及び各2バイトの抜け個数(NNX,NNY)が定義される。表現コード(codeD−AR4)は、同じ図形がアレイ配置されることを示す識別子の一例である。図形種コード(codeFIG)は、図形種を示す識別子の一例である。1個目の図形パターンの座標(X,Y)は、アレイ配置される図形の基準座標の一例である。このように、まず、表現コード(codeD−AR3)、図形種コード(codeFIG)、1個目の図形パターンの座標(X,Y)、サイズ(W,H)、配置ピッチ(PX,PY)、及び配置個数(NX,NY)、座標(IDX,IDY)、及び抜け個数(NNX,NNY)といった、複数の図形情報が定義される。実施の形態2のアレイ表現のデータフォーマットでは、かかる複数の図形情報が定義される前或いは後に各図形のドーズ量情報が連続して定義される。図15(a)の例では、かかる複数の図形情報が定義された後に各図形のドーズ量情報が連続して定義される。ドーズ量情報として、ドーズ量或いはドーズ変調量を示すドーズ量(C−Di)の定義順を示す1バイトの定義順コード(Odef)、定義される複数の図形情報の全ドーズ量(C−Di)の2バイトのデータ長(Ldose)が定義される。続いて、基準となる第1番目の図形パターンの2バイトのドーズ量情報(C−D1)、そして、定義順コード(Odef)に従った、中抜け図形群以外の第2番目以降の各図形パターンの1バイトのドーズ量情報(C−D2)〜(C−DNX×NY)が順に定義される。
ここで、図15(a)の例では、基準となる第1番目の図形パターンのドーズ量情報(C−D1)について、新規データであることを識別する1ビットの識別フラグ(C−D識別フラグ「0」)とドーズ量(ドーズ変調量)を示す符号なしデータ(符号なし15ビット)の合計2バイトのデータで定義する。一方、中抜け図形群以外の第2番目以降の各図形パターンのドーズ量情報(C−D2)〜(C−DNX×NY)については、差分データであることを識別する1ビットの識別フラグ(C−D識別フラグ「1」)と1つ手前のドーズ量(ドーズ変調量)との差分を示す符号付きデータ(符号付き7ビット)の合計1バイトのデータで定義する。よって、ドーズ量情報が定義される複数の図形の個数は、NX×NY−NNX×NNY個となる。なお、2番目以降のドーズ量定義は、全て、差分C−D定義であるわけではなく、差分が±64階調以内に入らない場合には、新規C−D定義を使う。
ドーズ量(C−Di)は、各図形のドーズ量情報の一例となる。定義順コード(Odef)は、各図形のドーズ量情報の定義順情報の一例となる。このように、中抜け図形群以外の2番目以降の図形のドーズ量情報に、当該図形のドーズ量と1つ前の図形のドーズ量との差分値を用いる。かかるデータフォーマットによれば、中抜け図形群のドーズ量情報について不要にできるので、データ量をさらに圧縮できる。
また、オプティマイズ表現或いはノーマル表現で定義可能な図形群についても、一部の領域で同じドーズ量(ドーズ変調量)が設定されている場合もある。
図16は、実施の形態2におけるオプティマイズ表現及びノーマル表現でのドーズ変調量付きデータフォーマットの他の一例をそれぞれ示す図である。図16(a)では、実施の形態2におけるノーマル表現でのドーズ変調量付きデータフォーマットの他の一例を示している。図16(b)では、実施の形態2におけるオプティマイズ表現でのドーズ変調量付きデータフォーマットの他の一例を示している。
図16(b)の例では、同じ図形種およびサイズで配置座標の異なるN個の図形パターンについて定義している。図16(b)に示すデータフォーマットでは、1個目の図形パターンの位置とサイズとに続き、2個目以降の図形パターンの位置を順に列記する、一部の図形で同じドーズ量となる実施の形態2のオプティマイズ表現(D−OR5)であることを示す1バイトの表現コード(codeD−OR5)、図形種を示す1バイトの図形種コード(codeFIG)、及び2バイトの図形数(N)が定義される。続いて、第1番目の図形パターンの各3バイトの各図形パターンの座標(X1,Y1)及び各2バイトのx、y方向の図形サイズ(W,H)が定義される。続いて、第2番目以降の図形パターンの座標(Xi,Yi)が順に定義される。表現コード(codeD−OR5)は、同じ図形が繰り返し配置されることを示す識別子の一例である。図形種コード(codeFIG)は、図形種を示す識別子の一例である。このように、まず、表現コード(codeD−OR5)、図形種コード(codeFIG)、図形数(N)、座標(X1,Y1)、図形サイズ(W,H)、及び座標(Xi,Yi)といった、複数の図形情報が定義される。実施の形態2の一部同一ドーズ量のオプティマイズ表現のデータフォーマットでは、かかる複数の図形情報が定義される前或いは後に各図形のドーズ量情報が連続して定義される。図16(b)の例では、かかる複数の図形情報が定義された後に各図形のドーズ量情報が連続して定義される。ドーズ量情報となる、ドーズ量或いはドーズ変調量を示すドーズ量(C−Di)の定義順を示す1バイトの定義順コード(Odef)、定義される複数の図形情報の全ドーズ量(C−Di)の2バイトのデータ長(Ldose)が定義される。続いて、第1番目の図形パターンの2バイトのドーズ量情報(C−D1)と定義順コード(Odef)に従った第2番目以降の各図形パターンの1バイトのドーズ量情報(C−D2)〜(C−DN)が順に定義される。ドーズ量(C−Di)は、各図形のドーズ量情報の一例となる。定義順コード(Odef)は、各図形のドーズ量情報の定義順情報の一例となる。
図16(a)の例では、同じ図形種で、図形サイズと配置座標の異なるN個の図形パターンについて定義している。図16(a)に示すデータフォーマットでは、各図形パターンの位置とサイズを順に列記するノーマル表現(D−NR5)であることを示す1バイトの表現コード(codeD−NR5)、図形種を示す1バイトの図形種コード(codeFIG)、及び2バイトの図形数(N)が定義される。続いて、各図形パターンについて各3バイトの各図形パターンの座標(Xi,Yi)及び各2バイトのx、y方向の図形サイズ(Wi,Hi)が第1番目の図形パターンから順に定義される。表現コード(codeD−NR5)は、同じ図形種の図形が繰り返し配置されることを示す識別子の一例である。図形種コード(codeFIG)は、図形種を示す識別子の一例である。このように、まず、表現コード(codeD−NR5)、図形種コード(codeFIG)、図形数(N)、第1番目の図形から順に繰り返した座標(Xi,Yi)、及び図形サイズ(Wi,Hi)といった、複数の図形情報が定義される。実施の形態2の一部同一ドーズ量のノーマル表現のデータフォーマットでは、かかる複数の図形情報が定義される前或いは後に各図形のドーズ量情報が連続して定義される。図16(a)の例では、かかる複数の図形情報が定義された後に各図形のドーズ量情報が連続して定義される。ドーズ量情報として、ドーズ量或いはドーズ変調量を示すドーズ量Diの定義順を示す1バイトの定義順コード(Odef)、定義される複数の図形情報の全ドーズ量(C−Di)の定義順を示す1バイトの定義順コード(Odef)、定義される複数の図形情報の全ドーズ量(C−Di)の2バイトのデータ長(Ldose)が定義される。続いて、第1番目の図形パターンの2バイトのドーズ量情報(C−D1)と定義順コード(Odef)に従った第2番目以降の各図形パターンの1バイトのドーズ量情報(C−D2)〜(C−DN)が順に定義される。ドーズ量(C−Di)は、各図形のドーズ量情報の一例となる。定義順コード(Odef)は、各図形のドーズ量情報の定義順情報の一例となる。定義順コード(Odef)が示す定義順の例は、アレイ配置のように規則的には配置されていないかもしれないが、蛇行或いは螺旋状に定義するといった図6と同様で構わない。その他の定義順でもよい。或いはバッファメモリ81への格納順で構わない。
図16(a)及び図16(b)の例では、基準となる第1番目の図形パターンのドーズ量情報(C−D1)について、新規データであることを識別する2ビットの識別フラグ(C−D識別フラグ「0」)とドーズ量(ドーズ変調量)を示す符号なしデータ(符号なし14ビット)との合計2バイトのデータで定義する。一方、第2番目以降の各図形パターンのドーズ量情報(C−D2)〜(C−DN)については、1つ手前のドーズ量(ドーズ変調量)と異なるドーズ量(ドーズ変調量)である場合には、差分データであることを識別する2ビットの識別フラグ(C−D識別フラグ「1」)と1つ手前のドーズ量(ドーズ変調量)との差分を示す符号付きデータ(符号付き7ビット)の合計1バイトのデータで定義する。他方、1つ手前のドーズ量(ドーズ変調量)と同じドーズ量(ドーズ変調量)である場合には、繰り返しデータであることを識別する2ビットの識別フラグ(C−D識別フラグ「2」)と繰り返し数を示す符号なしデータ(符号なし6ビット)の合計1バイトのデータで定義する。同じドーズ量(ドーズ変調量)が2個以上の図形で続く場合には、その個数から1を引いた値を定義する。或いは、1つ手前のドーズ量(ドーズ変調量)と同じドーズ量(ドーズ変調量)である場合には、繰り返しデータであることを識別する2ビットの識別フラグ(C−D識別フラグ「3」)と繰り返し数を示す符号なしデータ(符号なし14ビット)の合計2バイトのデータで定義してもよい。同じドーズ量(ドーズ変調量)が2個以上の図形で続く場合には、その個数から1を引いた値を定義する。よって、ドーズ量情報が定義される複数の図形の個数は、N−(繰り返し定義iの繰り返し数の合計)個となる。
ドーズ量(C−Di)は、各図形のドーズ量情報の一例となる。定義順コード(Odef)は、各図形のドーズ量情報の定義順情報の一例となる。このように、2番目以降の図形のドーズ量情報に、当該図形のドーズ量と1つ前の図形のドーズ量との差分値或いは繰り返し数を用いる。かかるデータフォーマットによれば、繰返し数分のドーズ量情報について不要にできるので、データ量をさらに圧縮できる。
次に、上述した各実施の形態で説明したデータフォーマットの効果について説明する。
図17は、各実施の形態におけるアレイ表現でのデータフォーマットの効果を説明するための概念図である。図17(a)に示すように、アレイ配置されるNX×NY個の図形パターンを想定する。図17(b)に示すように、アレイ配置されるNX×NY個の図形パターンを個別に独立したノーマル表現(NR)のデータフォーマットで定義した場合、データ量は17×NX×NYバイトになる。これに対して、図17(c)に示すように、実施の形態1のアレイ表現(D−AR1)でのデータフォーマット(非圧縮)で定義した場合、データ量は25+2×NX×NYバイトになる。よって、NX×NYを無限大に想定すると、その圧縮比は約8.5倍にできる(約1/8.5のデータ量に圧縮できる)。さらに、図17(d)に示すように、実施の形態2のアレイ表現(D−AR2)でのデータフォーマット(圧縮)で定義した場合、データ量は26+NX×NYバイトになる。よって、NX×NYを無限大に想定すると、その圧縮比は約17倍にできる(約1/17のデータ量に圧縮できる)。
図18は、各実施の形態におけるノーマル表現或いはオプティマイズ表現でのデータフォーマットの効果を説明するための概念図である。図18(a)に示すように、N個の図形パターンを想定する。図17(b)に示すように、N個の図形パターンを個別に独立したノーマル表現(NR)のデータフォーマットで定義した場合、データ量は17×Nバイトになる。これに対して、図18(a)に示すように、実施の形態2のノーマル表現(D−NR2)でのデータフォーマット(圧縮)で定義した場合、データ量は8+11Nバイトになる。よって、Nを無限大に想定すると、その圧縮比は約1.54倍にできる(約1/1.54のデータ量に圧縮できる)。また、図18(b)に示すように、実施の形態2のオプティマイズ表現(D−OR2)でのデータフォーマット(圧縮)で定義した場合、データ量は12+7×Nバイトになる。よって、Nを無限大に想定すると、その圧縮比は約2.43倍にできる(約1/2.43のデータ量に圧縮できる)。
図19は、各実施の形態におけるアレイ表現でのデータフォーマットの効果を説明するための他の概念図である。図19(a)にはテストパターンの一例が示されている。かかるテストパターンでは、セルサイズが128μmで、3×363のアレイパターンが51個、1×363のアレイパターンが1個、及び1×51のアレイパターンが1個、それぞれ配置されているものとする。かかるセルを80mm×120mmの領域に敷き詰めた場合を想定する。かかる図形パターン群を従来の個別に独立したノーマル表現(NR)でのドーズ量を定義しないデータフォーマットで定義した場合、データ量は例えば約0.69GBになる。一方、かかる図形パターン群を従来の個別に独立したノーマル表現(NR)でのドーズ量付きのデータフォーマットで定義した場合、データ量は例えば約519GBになり、データ量が膨大に増加してしまう。これに対して、かかるドーズ量付きの図形パターン群を実施の形態1のアレイ表現(D−AR1)のデータフォーマット(非圧縮)で定義した場合、データ量は例えば約61.85GBになり、データ量を1/8.4に圧縮できる。さらに、かかるドーズ量付きの図形パターン群を実施の形態2のアレイ表現(D−AR2)のデータフォーマット(差分による圧縮)で定義した場合、データ量は例えば約31.34GBになり、データ量を1/16.6に圧縮できる。
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。例えば、描画装置100を制御する制御部構成については、記載を省略したが、必要とされる制御部構成を適宜選択して用いることは言うまでもない。
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての荷電粒子ビーム描画装置及び方法は、本発明の範囲に包含される。