以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る電力管理システム1は、需要家施設に設置されるものであり、図1に示すように、電力管理装置10と、太陽光発電装置20と、電流センサ30,31とを備える。図1において、各ブロックを結ぶ実線は電力線を示し、破線は通信線又は信号線を示す。通信線又は信号線が示す接続は、有線接続であってもよいし、無線接続であってもよい。なお、電力管理装置10及び太陽光発電装置20内では、電力線及び通信線等の一部は図示を省略している。
なお、以降の説明においては電力系統100からの買電を用いて判定を行う事例としているので、便宜上、図1に示すように、電流の方向について、電力系統100から電力管理システム1が設置される需要家施設へ電流が流れているとき「正方向」に電流が流れているという表現を用いるものとする。また、需要家施設から電力系統100へ電流が流れているとき「負方向」に電流が流れているという表現を用いるものとする。
電力系統100は、単相三線式の配線によって電力を供給する。単相三線式の配線は、U相、W相及びO相から構成される。U相及びW相は、「電圧線」とも称するものとし、O相は「中性線」とも称するものとする。電力系統100によって、U相とO相との間には交流100Vが供給され、W相とO相との間には交流100Vが供給され、U相とW相との間には交流200Vが供給される。
負荷200,201は、需要家施設に設置される負荷機器である。負荷200,201は、電力系統100又は太陽光発電装置20から供給される交流100Vを消費する。負荷200はU相とO相との間に接続され、負荷201はW相とO相との間に接続される。負荷200,201は、任意の数であってよい。
負荷300は、需要家施設に設置される電気機器である。負荷300は、電力系統100又は太陽光発電装置20から供給される交流200Vを消費する。負荷300は、U相とW相との間に接続される。負荷300は、任意の数であってよい。
電力管理装置10は、U相に設置された電流センサ30からU相の電流値を取得し、W相に設置された電流センサ31からW相の電流値を取得する。また、電力管理装置10は、電力管理装置10に引き込まれた電圧検出用配線40から、U相とO相との間の電圧値(以下「U相の電圧値」という)を取得する。また、電力管理装置10は、電力管理装置10に引き込まれた電圧検出用配線41から、W相とO相との間の電圧値(以下「W相の電圧値」という)を取得する。なお、本実施形態では、電力管理装置10は、U相及びW相の電圧値を、有線の電圧検出用配線40,41によって取得しているが、これに限られず、例えば、電力管理装置10は、無線で電圧値を取得してもよい。また、理論値を適用するものとして電圧検出用配線40及び41を省略することも可能である。
電力管理装置10は、取得したU相及びW相の電流値・電圧値を用いて、太陽光発電装置20の管理及び制御等を行う。例えば、需要家施設が電力会社と売電契約をしている場合、電力管理装置10は、取得したU相及びW相の電流値等を用いて、太陽光発電装置20から電力会社(電力系統100)へ売電する電力量を算出する。また、例えば、電力会社から、太陽光発電装置20の出力を抑制するよう指示を受けた場合、電力管理装置10は、取得したU相及びW相の電流値等を用いて、太陽光発電装置20からの電力が電力系統100へ逆潮流しないよう、太陽光発電装置20を制御する。
また、電力管理装置10は、取得したU相及びW相の電流値・電圧値を用いて、電流センサ30,31の設置方向を判定する。電力管理装置10の構成及び機能の詳細については後述する。
太陽光発電装置20は、太陽電池21と、電力変換部22とを備える。太陽電池21は、太陽光のエネルギーを直流電力に変換する。電力変換部22は、電力管理装置10の制御に基づき、太陽電池21から供給される直流電力を、交流200Vに変換する。電力変換部22は、変換後の交流200VをU相とW相との間に供給する。
電流センサ30は、U相に設置される。電流センサ30は、検出したU相の電流値を、アナログ信号として連続的に、電力管理装置10に送信する。電流センサ31は、W相に設置される。電流センサ31は、検出したW相の電流値を、アナログ信号として連続的に、電力管理装置10に送信する。電流センサ30,31は、例えば、電力線の設置後に取り付け可能な分割式のクランプセンサである。なお、電流センサ30,31は、分割式のクランプセンサに限定されず、電流を検出することが可能なセンサであればよい。電流センサ30,31は、電力線の設置後、例えば、設置業者によって、それぞれ、U相及びW相に取り付けられる。
続いて、電力管理装置10の構成及び機能について説明する。電力管理装置10は、表示部11と、入力部12と、取得部13と、記憶部14と、制御部15とを備える。
表示部11は、太陽光発電装置20の発電状況及び負荷200,201の電力消費状況等を表示する。また、表示部11は、電流センサ30,31の方向判定処理中に、判定処理の進行状況を表示したり、判定結果を表示したりする。
入力部12は、ユーザの入力を受け付ける。ユーザは、電流センサ30,31の設置方向が正しいか否かを確認したい際、入力部12から、「電流センサの方向判定処理モードへの移行指示」を入力する。また、入力部12は定期的に所定日時に実行指令を送出するタイマーであってもよい。
取得部13は、電流センサ30からU相の電流値を取得し、電流センサ31からW相の電流値を取得する。なお、電流センサ30,31が検出した電流値は、電流センサ30,31から、アナログ信号として連続的に、電力管理装置10へ送信されてくる。そのため、取得部13は、例えば、電流センサ30(又は電流センサ31)から連続的に送信されてくるアナログ信号をサンプリングし、規定時間積算させた値の平均値を、U相の電流値(又はW相の電流値)として取得してもよい。又は、取得部13は、電流センサ30(又は電流センサ31)から連続的に送信されてくるアナログ信号の規定時間における瞬間値を、U相の電流値(又はW相の電流値)として取得してもよい。又は、制御部15は、電流センサ30(又は電流センサ31)から連続的に送信されてくるアナログ信号の規定時間における実効値を、U相の電流値(又はW相の電流値)として取得してもよい。
また、取得部13は、電圧検出用配線40からU相の電圧値を取得し、電圧検出用配線41からW相の電圧値を取得する。なお、U相及びW相からの電圧値は、電圧検出用配線40,41を経由して、アナログ信号として連続的に電力管理装置10に取り込まれる。そのため、取得部13は、電圧検出用配線40(又は電圧検出用配線41)を経由して電力管理装置10に連続的に取り込まれるアナログ信号を、規定時間積算させた値の平均値をU相の電圧値(又はW相の電圧値)として取得してもよい。又は、取得部13は、電圧検出用配線40(又は電圧検出用配線41)を経由して電力管理装置10に連続的に取り込まれるアナログ信号の規定時間における瞬間値を、U相の電圧値(又はW相の電圧値)として取得してもよい。又は、取得部13は、電圧検出用配線40(又は電圧検出用配線41)を経由して電力管理装置10に連続的に取り込まれるアナログ信号の規定時間における実効値を、U相の電圧値(又はW相の電圧値)として取得してもよい。また、電流センサの方向判定処理に関しては、U相の電圧値及びW相の電圧値にそれぞれU相とW相間の電圧値(200V)を適用してもよい。
記憶部14は、電力管理装置10の処理に必要な情報及び電力管理装置10の各機能を実現する処理内容を記述したプログラム等を記憶している。記憶部14は、例えば、後述のU相の電流値又は電力値と測定時間との対応付け(図4参照)を記憶している。W相の電流値又は電力値の場合も同様である。
制御部15は、電力管理装置10全体を制御及び管理するものであり、例えばプロセッサで構成することができる。制御部15は、記憶部14に記憶されているプログラムを読み出して実行し、様々な機能を実現させる。
制御部15は、「電流センサの方向判定処理モードへの移行指示」を、入力部12を介して取得する。制御部15によって入力部12を介して取得される「電流センサの方向判定処理モードへの移行指示」は、電力管理装置10に電流センサ30,31の方向判定に関する処理を開始させるための、特許請求の範囲における「所定トリガー」の1つである。「所定トリガー」としてはユーザのマニュアル操作による信号入力や、タイマーによる所定日時に送出される実行指令、電流センサからの信号入力などが挙げられる。制御部15は、「電流センサの方向判定処理モードへの移行指示」を取得すると、電力管理システム1の状態が電流センサ30,31の設置方向を判定するのに適した状態であるか否か(以下「電流センサの設置方向の判定可否」という)を判定する。この処理を、下記<電流センサの設置方向の判定可否に関する処理>において説明する。なお、制御部15が、電流センサ30と電流センサ31とのそれぞれに関して行う処理は同様である。そのため、以後、U相に設置された電流センサ30を例に説明する。
<電流センサの設置方向の判定可否に関する処理>
制御部15は、入力部12を介して、「電流センサの方向判定処理モードへの移行指示」を取得すると、「太陽光発電装置の停止指示及び負荷作動指示」を、表示部11に表示させ、ユーザに提示する。ユーザは、この表示を見ると、太陽光発電装置20の電力変換部22を停止させ、さらに、U相に接続された負荷200の電源を投入する。すると、U相には、正方向の電流が流れるようになる。その後、ユーザは、「電流センサの方向判定処理の実行開始指示」を、入力部12から入力する。制御部15は、「電流センサの方向判定処理の実行開始指示」を取得すると、電源投入された負荷200の状態を安定させるために、規定時間(例えば20秒程度)待機する。
制御部15は、規定時間(例えば20秒程度)待機した後、電流センサ30から取得部13によって、U相の電流値を取得する。そして、制御部15は、取得したU相の電流値が、電流センサ30の検出精度が低下する範囲(以下「精度低下域」という)に含まれるか否か判定する。例えば、負荷200の負荷電力が小さくU相に流れる電流が小さい場合に、電流センサ30から取得部13によって取得されるU相の電流値が、精度低下域に含まれることがある。なお、精度低下域は、電流センサ30の検出精度が低下する範囲としたが、電流センサ30の検出精度が低下する閾値であってもよい。電流センサ30の設置方向の判定はU相の電流値等を用いて行われるため、U相の電流値が精度低下域に含まれる場合、電力管理システム1の状態は、電流センサ30の設置方向を判定するのに適した状態ではない。
従って、制御部15は、取得したU相の電流値が精度低下域に含まれる場合、電流センサ30の設置方向は判定不可であると判定する。さらに、制御部15は、電流センサ30の設置方向が判定不可であると判定した場合、「電流センサの設置方向を判定する条件が成立しない旨」又は「負荷電力が足りない旨」を、表示部11に表示させて処理を終了する。図2に、表示部11に表示される「負荷電力が足りない旨」の表示の一例を示すが、これに限定されず、同じことを意味する注意喚起又は通知を用いることができる。図2の例では、負荷電力の値(50W)と伴に、「負荷電力が足りない旨」として“U相の負荷を追加又は200Vの負荷を使用してください”と、表示部11に表示されている。このように、負荷200の負荷電力が小さく、電力管理システム1の状態が電流センサ30の設置方向を判定するのに適した状態ではない場合、図2に示す「負荷電力が足りない旨」等が、当初予定されていた処理時間が経過する前に表示部11によってユーザに直ちに提示される。これにより、ユーザは、無駄な時間を費やすことなく、負荷200に接続させる電気機器を追加したり又は負荷300の電源を投入したりして、直ちに、電流センサ30の方向判定処理を再開することができる。
なお、制御部15は、電流センサ30から取得部13によって、U相の電流値を複数回取得し、取得した複数回のU相の電流値の平均値が精度低下域に含まれる場合に、電流センサ30の設置方向は判定不可であると判定してもよい。
一方、制御部15は、取得したU相の電流値が精度低下域に含まれない場合、取得したU相の電流値に含まれるノイズ量が所定量を下回るか否か判定する。例えば、電流センサ30から取得部13によって取得されるU相の電流値には、電力管理装置10を含む装置の電源ノイズ等の外来ノイズによって、ノイズが生じることがある。電流センサ30の設置方向の判定はU相の電流値等を用いて行われるため、U相の電流値に含まれるノイズ量が大きい場合、電力管理システム1の状態は、電流センサ30の設置方向を判定するのに適した状態ではない。なお、ノイズ量が所定量を下回る場合について以下説明するが、所定量は予め設定されている値だけに限定されず、所定の比率であってもよく、この場合、所定の比率以下であれば所定量を下回ると判定する。
従って、制御部15は、取得したU相の電流値に含まれるノイズ量が所定量以上であると判定した場合、電流センサ30の設置方向は判定不可であると判定する。さらに、制御部15は、電流センサ30の設置方向が判定不可であると判定した場合、「電流センサの設置方向を判定する条件が成立しない旨」又は「ノイズ量が大きい旨」を、表示部11に表示させて処理を終了する。図3に、表示部11に表示される「ノイズ量が大きい旨」の表示の一例を示すが、これに限定されず、同じことを意味する注意喚起又は通知を用いることができる。図3の例では、「ノイズ量が大きい旨」として“ノイズ量が大きいです”と表示されている。このように、U相の電流値に含まれるノイズ量が大きく、電力管理システム1の状態が電流センサ30の設置方向を判定するのに適した状態ではない場合、図3に示す「ノイズ量が大きい旨」等が、表示部11によってユーザに直ちに提示される。これにより、ユーザは、無駄な時間を費やすことなく、外来ノイズ対策をした後、直ちに、電流センサ30の方向判定処理を再開することができる。
なお、制御部15は、電流センサ30から取得部13によって、U相の電流値を複数回取得し、取得した複数回のU相の電流値の平均値に含まれるノイズ量が所定量以上であると判定した場合に、電流センサ30の設置方向は判定不可であると判定してもよい。
一方、制御部15は、取得したU相の電流値に含まれるノイズ量が所定量を下回ると判定した場合、電流センサ30の設置方向は判定可であると判定する。そして、制御部15は、電流センサ30の設置方向の判定処理を行うための初期設定を行った後、電流センサ30の設置方向の判定処理を開始する。以下、この処理を下記<電流センサの設置方向の判定処理>において説明する。なお、本例においてはユーザの操作をトリガーとして開始されるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、太陽光による発電が行われない夜間時間帯の所定の時刻に自動的に方向判定を実行するなどのように自動化されてもよい。この場合、負荷容量やノイズ量で判定処理が開始されなかった等の結果は表示されるようにすることができる。電流センサの判定は設置時に行なえば十分だが、このように定期的に方向判定することによって、常に電流センサの方向が正しいか否かを確認して、変更があれば修正を実行することができる。
<電流センサの設置方向の判定処理>
制御部15は、電流センサ30から取得部13によってU相の電流値を取得し、かつ電圧検出用配線40から取得部13によってU相の電圧値を取得する。制御部15は、取得したU相の電流値とU相の電圧値とを乗算して電力値を算出し、該電力値を測定時間積算して積算電力値を算出する。さらに、制御部15は、積算電力値を測定回数算出する。そして、制御部15は、該測定回数算出した積算電力値を用いて、電流センサ30の設置方向が正しいか否か判定する。以下、この処理内容について詳細に説明する。
U相に流れる電流が正方向である場合、例えば、U相において電動機などの誘導負荷を使用したとすると、交流電圧に対する交流電流の位相のずれは0度以上90度以下となる(抵抗負荷のみなら0度、誘導負荷では遅れ方向、容量負荷では進み方向で、それらの合成抵抗で位相のずれの大きさが決まる)。すなわち、電流センサ30から電力管理装置10へアナログ信号として送信されてくる交流電流と、電力管理装置10に電圧検出用配線40を経由してアナログ信号として取り込まれる交流電圧との位相のずれは、0度以上90度以下となる。そのため、電力管理装置10において、アナログ信号である交流電流及び交流電圧から取得部13によって同じタイミングでU相の電流値及びU相の電圧値をそれぞれ取得した場合、取得したU相の電流値及びU相の電圧値の符号の正負は、多くの場合、同一となる。従って、取得部13によって取得した、U相の電流値とU相の電圧値とを乗算させて算出される電力値の符号は、多くの場合、正となる。なお、交流電流に対する交流電圧の位相のずれとして取り扱う場合は、遅れ方向と進み方向が逆になるので、位相のずれは0度以下−90度以上とするが、符号の正負が多くの場合、同一となることは同じである。
一方、U相に流れる電流が負方向である場合、U相において誘導負荷を使用したとすると、交流電圧と交流電流の位相のずれは180度以上270度以下となる(誘導負荷と容量負荷の合成抵抗で位相のずれの大きさが決まる)。すなわち、電流センサ30から電力管理装置10へアナログ信号として送信されてくる交流電流と、電力管理装置10に電圧検出用配線40を経由してアナログ信号として取り込まれる交流電圧との位相のずれは、180度以上270度以下となる。そのため、電力管理装置10において、アナログ信号である交流電流及び交流電圧から取得部13によって同じタイミングでU相の電流値及びU相の電圧値をそれぞれ取得する場合、取得したU相の電流値及びU相の電圧値の符号の正負は、多くの場合、反対となる。従って、取得部13によって取得した、U相の電流値とU相の電圧値とを乗算させて算出される電力値の符号は、多くの場合、負となる。
ここで、電流センサ30の設置方向が正しい場合、上述のように、U相に流れる電流は正方向である。従って、電流センサ30の設置方向が正しい場合、算出される電力値の符号は、多くの場合、正となる。一方で、電流センサ30の設置方向が正しくない場合、算出される電力値の符号は、多くの場合、負となる。
ところで、電流センサ30の設置方向が正しい場合、算出される電力値の符号は、多くの場合に正となるのであって、負となる場合もある。同様に、電流センサ30の設置方向が正しくない場合、算出される電力値の符号は、多くの場合に負となるのであって、正となる場合もある。加えて、電流センサ30の設置方向が正しい場合であっても、例えば外来ノイズ及び負荷機器の電力消費の変動等によって、電流波形及び電圧波形が歪むことで、サンプリングされる電流値の一部が負の値で取得されるために、算出される電力値の符号が負となる場合がある。従って、単に、算出される電力値の符号を用いて電流センサ30の設置方向が正しいか否かを判定すると、電流センサ30の設置方向を誤判定してしまうことがある。
そこで、本実施形態では、電流センサ30の設置方向の誤判定を防止するために、U相の電流値とU相の電圧値とを乗算して電力値を算出し、該電力値を測定時間積算して算出される積算電力値の符号を、電流センサ30の設置方向が正しいか否かの判定に用いる。加えて、本実施形態では、電流センサ30の設置方向の誤判定をさらに防止するために、積算電力値を測定回数算出し、測定回数算出した積算電力値の符号に基づき、電流センサの設置方向が正しいか否か判定する。例えば、制御部15は、測定回数算出した積算電力値の符号が所定割合以上(例えば7割以上)正である場合、電流センサ30の設置方向が正しいと判定する。又は、制御部15は、測定回数算出した積算電力値の符号が全て正である場合に電流センサ30の設置方向が正しいと判定してもよい。
なお、例えば外来ノイズ及び負荷機器の電力消費の変動等によって、電流波形及び電圧波形が歪んだりすることは、U相に流れる電流値が小さいほど、顕著に生じ得る。従って、U相に流れる電流値が小さいほど、電流センサ30の設置方向の誤判定を防ぐために、上述の測定時間を長くすることが望ましく、同様に、上述の測定回数を多くすることが望ましい。一方、別の見方をすれば、U相に流れる電流値が大きいほど、電流センサ30の設置方向を誤判定するリスクは低くなる。従って、U相に流れる電流値が大きいほど、上述の測定時間を短くすることができ、同様に、上述の測定回数を少なくすることができる。
そこで、本実施形態では、U相に流れる電流値、すなわち、電流センサ30から取得部13によって取得されるU相の電流値に基づき、上述の測定時間又は測定回数を変更する。これにより、本実施形態では、U相に流れる電流値に基づき、電流センサ30の方向判定処理にかかる時間を適切に制御することができる。第1の実施形態では、電流センサ30から取得部13によって取得されるU相の電流値に基づき、測定時間を変更して、電流センサ30の方向判定処理にかかる時間を適切に制御する。
以下、電流センサ30から取得部13によって取得されるU相の電流値に基づき、測定時間を変更する一例について、図4を用いて説明する。
図4に、電力値と測定時間との対応付けの一例を示す。なお、図4では、便宜上、U相の電流値の代わりに、該電流値と電圧値(100V)との積である電力値と、測定時間との対応付けを示すが、電流値と測定時間の対応付けであってもよい。また、図4では、電力値100W未満が電流センサ30の精度低下域に相当する。従って、電力値100W未満では、測定時間は電力値に対応付けされていない。また、図4では、測定回数は5回の固定値である。
図4に示す電力値と測定時間の対応付けを用いて、制御部15は、電流センサ30から取得部13によって取得するU相の電流値に基づき、測定時間を変更する。例えば、制御部15は、取得するU相の電力値が100W以上300W未満の範囲にある場合、測定時間を120秒に変更する。また、制御部15は、電力値が300W以上1000W未満の範囲にある場合、測定時間を、Pを電力値[W]として、120−(P−300)/7.78秒と表される値に変更する。言い換えると、制御部15は、電力値が300W以上1000W未満の範囲にある場合、電力値が7.78W大きくなる毎に、測定時間が1秒短くなるように、測定時間を変更する。また、制御部15は、電力値が1000W以上である場合、測定時間を30秒に変更する。
図4の例のように、電力値が100Wから300W未満の範囲にあり、電流センサ30に流れる電流値が小さい場合、電流センサ30の設置方向の誤判定を防ぐために、測定時間は、ある程度精度の良い方向判定ができる120秒としている。また、図4では、電力値(電流値)が300W(第1所定値)以上になると、電力値(電流値)が300W(第1所定値)未満であるときよりも、電流センサ30の設置方向を誤判定するリスクが低くなる。そのため、電力値(電流値)が300W(第1所定値)以上である場合、測定時間は、電力値(電流値)が300W(第1所定値)を下回るときの120秒よりも短くなるように、変更される。さらに、図4では、電力値(電流値)が300W(第1所定値)以上1000W(第2所定値)未満の範囲にある場合、U相に流れる電流値が大きくなるほど、電流センサ30の設置方向を誤判定するリスクが低くなる。そのため、電力値(電流値)が300W(第1所定値)以上1000W(第2所定値)未満の範囲にある場合、電力値(電流値)が7.78W(第1所定量)大きくなる毎に、測定時間が1秒(第1時間)短くなるように変更される。また、電力値が1000W(第2所定値)以上である場合、電流センサ30の設置方向を誤判定するリスクは十分に低くなる。従って、電力値が1000W(第2所定値)以上である場合、測定時間は30秒に変更される。
第1の実施形態では、U相に流れる電流値に基づき、測定時間を変更することで、電流センサ30の方向判定処理にかかる時間(以下「総合時間」とも称する)を適切に制御する。この一例を、図5を用いて説明する。
図5に、図4に示す測定時間及び測定回数を用いた場合の総合時間の一例を示す。なお、図5においても、図4と同様に、便宜上、U相の電流値の代わりに、該電流値と電圧値(100V)との積である電力値を示す。
図5に示すように、電力値が100W以上300W未満の範囲にある場合、電流センサ30の設置方向の誤判定を防止するために、総合時間は10分(=120秒×5回)となる。また、電力値が300W以上1000W未満の範囲にある場合、U相に流れる電流値が大きくなるほど電流センサ30の設置方向を誤判定するリスクは低くなるため、電力値が7.78W大きくなる毎に、総合時間は5秒(=1秒×5回)短くなる。また、電力値が1000W以上である場合、U相に流れる電流値が大きく電流センサ30の設置方向を誤判定するリスクは十分に低くなるため、総合時間は2分30秒(=30秒×5回)と短くなる。
このように、第1の実施形態では、U相に流れる電流値が小さく電流センサ30の設置方向の誤判定を防止する必要がある場合、測定時間を長くして、精度良い方向判定処理を行うようにする。一方、U相に流れる電流値が大きく電流センサ30の設置方向を誤判定するリスクが低い場合は、測定時間を短くして総合時間を短くする。従って、第1の実施形態では、U相に流れる電流値に基づき測定時間を変更することで、総合時間を適切に制御することができる。
また、制御部15は、電流センサ30の方向判定処理中に、電流センサ30の方向判定処理の進行状況を、表示部11に表示させ、ユーザに提示する。図6に、表示部11に表示される電流センサ30の方向判定処理の進行状況の一例を示す。図6の例では、U相に設置された電流センサ30の方向判定処理は40%進行しており、さらに、負荷電力の値が500Wであることが示されている。このように、電流センサ30の方向判定処理中に、電流センサ30の方向判定処理の進行状況をユーザに提示することで、ユーザは、電流センサ30の方向判定処理中に、電流センサ30の進行状況を把握することができる。なお、進行状況が分かるような表示であればこれに限定されず、同じことを意味する注意喚起又は通知を用いることができる。例えば、具体的に、全体処理の進行度合いとして何%進行したかを表示してもよいし、残り何%残っているかを表示してもよいし、経過時間又は残り時間等を表示してもよいし、これらをグラフ化又はアイコン等により意匠化してもよい。
また、制御部15は、電流センサ30の方向判定処理中に、太陽光発電装置20からU相及びW相へ電力供給が行われていることを検出した場合は、警告を、表示部11に表示させ、ユーザに提示する。図7に、表示部11に表示される警告の一例を示す。図7の例では、警告として“太陽光発電装置が稼働中です。太陽光発電装置を停止させてください”と表示されている。このように、方向判定処理に影響を及ぼす情報を電流センサや電圧センサ以外からも取得して判定不可な状態であることを判定実行中に表示するとなお良い。なお、太陽光発電装置20から電力供給されていることを検出する方法としては、太陽光発電装置20の電力変換部22から供給状況を例えばホームネットワークで受信することにより検出してもよいし、太陽光発電装置20の発電電力を測定する電流センサからの信号を受信することにより検出してもよい。
制御部15は、電流センサ30の方向判定処理中に、取得部13によって電流センサ30から取得したU相の電流値に基づき、電流センサ30の設置方向が判定不可であると判定してもよい。この場合、制御部15は、U相の電流値が電流センサ30の精度低下域に含まれると判定した場合に、電流センサ30の設置方向が判定不可であると判定してもよい。このとき、制御部15は、「電流センサの設置方向を判定する条件が成立しない旨」又は「負荷電力が足りない旨」(図2参照)を、表示部11に表示させ、ユーザに提示してもよい。又は、制御部15は、U相の電流値に含まれるノイズ量が所定量以上であると判定した場合に、電流センサ30の設置方向が判定不可であると判定してもよい。このとき、制御部15は、「電流センサの設置方向を判定する条件が成立しない旨」又は「ノイズ量が大きい旨」(図3参照)を、表示部11に表示させ、ユーザに提示してもよい。
また、制御部15は、電流センサ30の方向判定処理が終了した際は、電流センサ30の方向判定結果を、表示部11に表示させ、ユーザに提示する。図8に、表示部11に表示される電流センサ30の方向判定結果の一例を示す。図8の例では、表示部11に“電流センサは正常に設置されています”と表示され、電流センサ30の設置方向が正常であるという方向判定結果が示されている。
[システム動作]
以下、本発明の第1の実施形態に係る電力管理装置10の動作の一例について説明する。電流センサ30,31の方向判定に関する処理は同様にして行うことができるため、以下では、電流センサ30を例に説明する。なお、電流センサ30,31の方向判定に関する処理は、それぞれ独立に並行して実施してもよい。まず、電流センサ30の方向判定に関する処理において、電流センサ30の設置方向の判定可否を判定する際の電力管理装置10の動作について、図9を参照して説明する。
<電流センサの設置方向の判定可否に関する動作>
電流センサ30を設置させた後、ユーザ(例えば設置業者)は、電力管理装置10に電流センサ30,31の方向判定に関する処理を開始させるためのトリガーとして、「電流センサの方向判定処理モードへの移行指示」を、入力部12から入力する。
制御部15は、入力部12を介して、「電流センサの方向判定処理モードへの移行指示」を取得すると(ステップS101)、「太陽光発電装置の停止指示及び負荷作動指示」を、表示部11に表示させ、ユーザに提示する(ステップS102)。ユーザは、この表示を見ると、太陽光発電装置20の電力変換部22を停止させ、さらに、U相に接続された負荷200の電源を投入する。すると、U相には、正方向の電流が流れるようになる。その後、ユーザは、「電流センサの方向判定処理の実行開始指示」を、入力部12から入力する。
制御部15は、「電流センサの方向判定処理の実行開始指示」を取得すると(ステップS103)、電源投入された負荷200の状態を安定させるために、規定時間(例えば20秒程度)待機する(ステップS104)。規定時間待機することによって精度を高めることができるが、これに限定されず、規定時間待機しなくてもよい。
規定時間待機した後、制御部15は、電流センサ30から取得部13によって、U相の電流値を取得する(ステップS105)。そして、制御部15は、取得したU相の電流値が、精度低下域に含まれるか否か判定する(ステップS106)。
制御部15は、取得したU相の電流値が精度低下域に含まれると判定した場合(ステップS106:Yes)、電流センサ30の設置方向は判定不可であると判定する。この場合、制御部15は、「電流センサの設置方向を判定する条件が成立しない旨」又は「負荷が足りない旨」(図2参照)を、表示部11に表示させ(ステップS107)、処理を終了する。一方、制御部15は、取得した電流値が、精度低下域に含まれないと判定した場合(ステップS106:No)、ステップS108の処理に進む。
このようにステップS106,S107の処理を行うことで、負荷200の負荷電力が小さく電力管理システム1の状態が電流センサ30の設置方向を判定するのに適した状態ではない場合、「負荷が足りない旨」等が、表示部11によってユーザに直ちに提示される。これにより、ユーザは、無駄な時間を費やすことなく、負荷200に接続させる電気機器を追加したり又は負荷300の電源を投入したりして、直ちに、電流センサ30の方向判定処理を再開することができる。
ステップS108の処理では、制御部15は、取得したU相の電流値に含まれるノイズ量が所定量を下回るか否か判定する。ノイズの大きさを判定する手段としては、例えば、電流波形を1周期分サンプリングし、電流値が瞬間的にでも大きく変動しているポイントの電流値の変動量をチェックする等が挙げられる。制御部15は、取得したU相の電流値に含まれるノイズ量が所定量を下回ると判定した場合(ステップS108:Yes)、ステップS110の処理に進む。一方、制御部15は、取得したU相の電流値に含まれるノイズ量が所定量以上であると判定した場合(ステップS108:No)、電流センサ30の設置方向は判定不可であると判定する。この場合、制御部15は、「電流センサの設置方向を判定する条件が成立しない旨」又は「ノイズ量が大きい旨」(図3参照)を、表示部11に表示させ(ステップS109)、処理を終了する。
このようにステップS108,S109の処理を行うことで、ノイズ量が大きく電力管理システム1の状態が電流センサ30の設置方向を判定するのに適した状態ではない場合、「ノイズ量が大きい旨」等が、表示部11によってユーザに直ちに提示される。これにより、ユーザは、無駄な時間を費やすことなく、外来ノイズ対策をした後、直ちに、電流センサ30の方向判定処理を再開することができる。
ステップS110の処理では、制御部15は、電流センサ30の設置方向の判定処理を行うための初期設定を行う。第1の実施形態において積算電力値を算出する際に用いる測定回数を固定値にする場合、制御部15は、ステップS110の処理において測定回数を設定しておくとよい。初期設定後、制御部15は、電流センサ30の設置方向の判定処理を開始する。
なお、制御部15は、ステップS105の処理で複数回のU相の電流値を取得し、取得した複数回のU相の電流値の平均値を用いて、ステップS106,S108の処理を行ってもよい。
次に、図9に示すステップS110の処理の終了後、電流センサ30の設置方向の判定処理を行う際の電力管理装置10の動作を、図10を参照して説明する。
<電流センサの設置方向の判定処理に関する動作>
まず、制御部15は、U相の電流値と測定時間との対応付け(図4参照)を、記憶部14から読み出して取得する(ステップS201)。次に、制御部15は、電流センサ30から取得部13によって、U相の電流値を取得する(ステップS202)。
制御部15は、ステップS201の処理で取得した測定時間の対応付け(図4参照)と、ステップS202の処理で取得したU相の電流値とを用いて、測定時間を設定(変更)する(ステップS203)。例えば、制御部15は、図4に示す対応付けを用いる場合に、ステップS202の処理で取得した電流値が400Wの電力値に相当する場合、測定時間を107秒(P=400で算出)に変更する。
次に、制御部15は、電流センサ30の設置方向が正しいか否かの判定に用いる積算電力値を算出する。すなわち、制御部15は、電圧検出用配線40から取得部13によってU相の電圧値を取得し、かつ電流センサ30から取得部13によってU相の電流値を取得する(ステップS204)。さらに、制御部15は、U相の電圧値とU相の電流値とを乗算して電力値を算出し、該電力を測定時間積算して積算電力値を算出する(ステップS205)。この際、制御部15は、算出した積算電力値の符号の正負を、記憶部14に記憶させておく。
次に、制御部15は、ステップS204,S205の処理によって算出される積算電力値の算出回数が測定回数に達しているか否か判定する(ステップS206)。制御部15は、積算電力値の算出回数が測定回数に達していると判定した場合(ステップS206:Yes)、ステップS208の処理に進む。一方、制御部15は、積算電力値の算出回数が測定回数に達していないと判定した場合(ステップS206:No)、ステップS207の処理に進む。
ステップS207の処理では、制御部15は、電流センサ30の方向判定処理の進行状況(図6参照)を、表示部11に表示させ、ユーザに提示する。その後、制御部15は、ステップS204からの処理を繰り返し行う。
このようにステップS207の処理を行うことで、電流センサ30の方向判定処理中に、ユーザは、電流センサ30の方向判定処理の進行状況を把握することができる。
ステップS208の処理では、制御部15は、記憶部14に記憶されている積算電力値の符号の正負を用いて、電流センサ30の設置方向が正しいか否か判定する。例えば、制御部15は、測定回数算出した積算電力値において、符号が正となる積算電力値が所定割合以上(例えば7割以上)存在する場合、電流センサの設置方向は正しいと判定する。
ステップS209の処理では、制御部15は、ステップS208の処理による方向判定結果(図8参照)を、表示部11に表示させる。
また、制御部15は、ステップS201〜S209の処理中に、太陽光発電装置20からU相及びW相へ電力供給が行われていることを検出した場合は、警告(図8参照)を、表示部11に表示させ、ユーザに提示する。
さらに、制御部15は、ステップS201〜S209の処理中に、取得部13によって電流センサ30から取得したU相の電流値に基づき、電流センサ30の設置方向が判定不可であると判定してもよい。この場合、制御部15は、ステップS202,S204の処理で取得したU相の電流値が電流センサ30の精度低下域に含まれると判定した場合に、電流センサ30の設置方向が判定不可であると判定してもよい。このとき、制御部15は、「電流センサの設置方向を判定する条件が成立しない旨」又は「負荷電力が足りない旨」(図2参照)を、表示部11に表示させ、ユーザに提示してもよい。又は、制御部15は、ステップS202,S204の処理で取得したU相の電流値に含まれるノイズ量が所定量以上であると判定した場合に、電流センサ30の設置方向が判定不可であると判定してもよい。このとき、制御部15は、「電流センサの設置方向を判定する条件が成立しない旨」又は「ノイズ量が大きい旨」(図3参照)を、表示部11に表示させ、ユーザに提示してもよい。
また、制御部15は、電流センサ30の方向判定処理の進行具合に応じて、ステップS207の処理を行うようにしてもよい。例えば、制御部15は、電流センサ30の方向判定処理が20%進行する毎に、ステップS207の処理を実行し、電流センサ30の方向判定処理の進行状況を、表示部11によってユーザに提示してもよい。
また、制御部15は、ステップS201〜S203の処理と、ステップS204〜S207の処理とを、並列に実行してもよい。さらに、制御部15は、ステップS204〜S207の処理を繰り返し行っている間に、ステップS202,S203の処理を繰り返し行うようにしてもよい。この場合、制御部15は、ステップS203の処理の完了前に、ステップS204,S205の処理を行う場合のために、図9に示すステップS110の処理で、測定時間を、U相の電流値が小さい場合を想定して最大値である120秒に設定しておいてもよい。また、この場合、制御部15は、ステップS203の処理で測定時間を再度変更した場合、再度変更した測定時間に基づき、ステップS204〜S207の処理を続けてもよい。これにより、電流センサ30の方向判定処理中に、負荷200の負荷電力が変動しても、制御部15は、負荷200の負荷電力の変動に応じた適切な長さに測定時間を変更し、電流センサ30の方向判定処理を継続することができる。
さらに、本実施形態に係る電力管理装置10では、制御部15によって図9に示すステップS101〜S110の処理及び図10に示すステップS201〜S209の処理を、太陽光発電装置20が発電を行わない夜間(朝方及び夕方)に定期的に実行させてもよい。この場合、制御部15は、図9に示すステップS101〜S104の処理を行わなくてもよい。また、この場合、特許請求の範囲における「所定トリガー」は、例えば、朝の4時、夕方8時及び夜間0時等である。このように定期的に電流センサ30,31の設置方向の判定処理を行うことで、例えば電力線の工事等で第3者により電流センサ30,31が間違った方向に設置されても、電力管理装置10によって電流センサ30,31の誤設置を自動的に検出し、電流方向を内部処理で補正することができる。
また、本実施形態に係る電力管理装置10は、電力管理システム1が、太陽光発電装置20の代わりに、例えば、蓄電装置及び燃料電池装置等といった他の種類の発電装置を備える場合であっても、上述の制御及び処理を実施することができる。蓄電装置及び燃料電池装置は、蓄電装置及び燃料電池装置からの電力が電力系統へ逆潮流しないよう制御する必要がある。そのため、蓄電装置及び燃料電池装置を設置させる際は、併せて電流センサも設置される。従って、電力管理システム1が蓄電装置又は燃料電池装置を備えている場合にも、本実施形態に係る電力管理装置10の上述の制御及び処理を行う必要が生じ得る。
以上のように、第1の実施形態に係る電力管理装置10では、電流センサ30から取得部13によって取得されるU相の電流値に基づき、電流センサ30の設置方向を判定する際に用いる積算電力値を算出する際の測定時間を変更する。これにより、第1の実施形態に係る電力管理装置10では、U相に流れる電流値に基づき、電流センサ30の方向判定処理にかかる時間である総合時間を適切に制御することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る電力管理装置について説明する。第2の実施形態に係る電力管理装置には、第1の実施形態に係る電力管理装置10と同様の構成を採用することができる。従って、以下では、図1を参照し、第1の実施形態との相違点について主に説明する。
第2の実施形態では、電流センサ30の方向判定処理において、電流センサ30から取得部13によって取得したU相の電流値に基づき、積算電力値を算出する回数である測定回数を変更する。これにより、第2の実施形態では、電流センサ30の方向判定処理にかかる時間である総合時間を適切に制御する。以下、電流センサ30から取得部13によって取得されるU相の電流値に基づき、測定回数を変更する一例について、図11を用いて説明する。なお、第2の実施形態において、図11に示す測定時間及び測定回数は、記憶部14に記憶されているものとする。
図11に、電力値と測定回数との対応付けの一例を示す。なお、図11でも、図4と同様に、便宜上、U相の電流値の代わりに、該電流値と電圧値(100V)との積である電力値と測定回数との対応付けを示す。また、図11でも、図4と同様に、電力値100W未満が電流センサ30の精度低下域に相当する。従って、電力値100W未満では、測定回数が電力値に対応付けされていない。また、図11では、測定時間は30秒の固定値である。
図11に示す電力値と測定回数との対応付けを用いて、制御部15は、電流センサ30から取得部13によって取得するU相の電流値に基づき、測定回数を変更する。例えば、制御部15は、取得するU相の電力値が、100W以上300W未満の範囲にある場合、測定回数を20回に変更する。また、制御部15は、電力値が300W以上1100W未満の範囲にある場合、電力値が200W大きくなる毎に、測定回数が4回減るように、測定回数を変更する。また、制御部15は、電力値が1100W以上である場合、測定回数を2回に設定する。
図11の例のように、電力値が100W以上300W未満の範囲にあり、U相に流れる電流値が小さい場合、電流センサ30の設置方向の誤判定を防ぐために、測定回数は、ある程度精度の良い方向判定ができる20回としている。また、図11では、電力値(電流値)が300W(第1所定値)以上になると、電力値が300W未満であるときよりも、電流センサ30の設置方向を誤判定するリスクが低くなる。そのため、電力値(電流値)が300W(第1所定値)以上である場合、測定回数は、電力値(電流値)が300W(第1所定値)を下回るときの測定回数20回よりも減るように、変更される。つまり、電力値(電流値)が300W(第1所定値)以上になると、測定回数は、20回未満になる。さらに、電力値が300W(第1所定値)以上1100W(第2所定値)未満の範囲にある場合、電力値(電流値)が大きくなるほど、電流センサ30の設置方向を誤判定するリスクが低くなる。従って、電力値が300W(第1所定値)以上1100W(第2所定値)未満の範囲にある場合、測定回数は、電力値(電流値)が200W(第2所定量)大きくなる毎に、4回(第1所定数)減るように、変更される。また、電力値が1100W(第2所定値)以上である場合、U相に流れる電流値が大きく電流センサ30の設置方向を誤判定するリスクは十分低くなる。従って、電力値が1100W(第2所定値)以上である場合、測定回数は2回になる。
第2の実施形態では、U相の電流値に基づき、測定回数を変更することで、電流センサ30の方向判定処理にかかる時間である総合時間を適切に制御する。この一例を、図12を用いて説明する。
図12に、図11に示す測定時間及び測定回数を用いた場合の総合時間の一例を示す。なお、図12においても、図11と同様に、便宜上、U相の電流値の代わりに、該電流値と電圧値(100V)との積である電力値を示す。
図12に示すように、電力値が100W以上300W未満の範囲にある場合、電流センサ30の設置方向の誤判定を防止するために、総合時間は10分(=30秒×20回)となる。また、電力値が300W以上になると、U相に流れる電流値が大きくなるほど、電流センサ30の設置方向の誤判定のリスクは低くなる。従って、電力値が300W以上1100W未満の範囲にある場合、電力値が200W大きくなる毎に、総合時間は2分(=30秒×4回)短くなる。また、電力が1100W以上である場合、つまり、U相に流れる電流値が大きく電流センサ30の設置方向を誤判定するリスクが十分に低い場合、総合時間は1分(=30秒×2回)と短くなる。
このように、第2の実施形態では、U相に流れる電流値が小さく電流センサ30の設置方向の誤判定を防止する必要がある場合は、測定回数を増加させて、精度良い方向判定処理を行うようにする。一方、U相に流れる電流値が大きく電流センサ30の設置方向を誤判定するリスクが低い場合は、測定回数を減らし、総合時間を短くする。従って、第2の実施形態では、U相に流れる電流値に基づき測定回数を変更することで、総合時間を適切に制御することができる。
[システム動作]
以下、第2の実施形態に係る電力管理装置10の動作について説明する。なお、電流センサ30の方向判定に関する処理において、電流センサ30の設置方向の判定可否を判定する際の電力管理装置10の動作(図9参照)は、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。従って、以下では、図9に示すステップS110の処理の終了後、電流センサ30の設置方向の判定処理を行う際の電力管理装置10の動作を、図13を参照して説明する。
<電流センサの設置方向の判定処理に関する動作>
まず、制御部15は、U相の電流値と測定回数との対応付け(図11参照)を、記憶部14から読み出して取得する(ステップS301)。次に、制御部15は、電流センサ30から取得部13によって、U相の電流値を取得する(ステップS302)。
制御部15は、ステップS301の処理で取得した測定回数の対応付け(図11参照)と、ステップS302の処理で取得したU相の電流値とを用いて、測定回数を設定(変更)する(ステップS303)。例えば、制御部15は、図11に示す対応付けを用いる場合に、ステップS302の処理で取得した電流値が400Wの電力値に相当する場合、測定回数を16回に変更する。
ステップS304〜S309の処理は、図10に示すステップS204〜S209の処理と同様であるため、説明を省略する。
さらに、第2の実施形態でも第1の実施形態と同様に、制御部15は、ステップS301〜S303の処理と、ステップS304〜S307の処理とを、並列に実行してもよい。加えて、制御部15は、ステップS304〜S307の処理を繰り返し行っている間に、ステップS302,S303の処理を繰り返し行うようにしてもよい。この場合、制御部15は、ステップS303の処理の完了前に、ステップS304,S305の処理を行う場合のために、図9に示すステップS110の処理で、測定回数を、U相に流れる電流値が小さい場合を想定して最大値である20回に設定しておいてもよい。また、この場合、制御部15は、負荷200の負荷電力の変動によって、ステップS303の処理で測定回数を再設定した場合、再設定した測定回数に基づき、ステップS304〜S307の処理を続けてもよい。このとき、制御部15は、測定回数を再設定する前(負荷200の負荷電力が変動する前)のステップS304〜S307の処理の進行状況等に基づき、測定回数をステップS303の処理で再設定してもよい。以下、この際の処理を、実施例1及び2を用いて説明する。なお、以下では、便宜上、U相の電流値の代わりに、該電流値と電圧値(100V)との積である電力値を用いて説明する。また、電力値と測定回数との対応付けは、図11の例を用いる。
[実施例1]:負荷電力値が低下又は増加する前のステップS304〜S307の処理の進行度と、負荷電力値が低下する場合か又は増加する場合かとに基づいて、測定回数を再度設定する場合
例1.負荷電力値950WでステップS304〜S307の処理が25%まで進行した後、負荷電力値が950Wから400Wに低下した場合
例1では、負荷電力値が低下する前の950WでのステップS304〜S307の処理によって、積算電力値が1回(=4回×0.25)算出されている。しかしながら、負荷電力値950WでのステップS304〜S307の処理の進行度合いは25%と低い。従って、この場合、制御部15は、負荷電力値が低下する前の950WでのステップS304〜S307の処理によって算出された積算電力値の結果を破棄する。そして、制御部15は、負荷電力値が400Wに低下した後のステップS304〜S307の処理によって算出された積算電力値のみを、ステップS309の処理で用いるようにする。そのため、制御部15は、負荷電力値が低下した後のステップS303の処理において、測定回数を400Wの電力値に対応する16回に再設定し、新たに、ステップS304〜S307の処理を行う。
例2.負荷電力値950WでステップS304〜S307の処理が50%まで進行した後、負荷電力値が950Wから400Wに低下した場合
例2では、負荷電力値が低下する前の950WでのステップS304〜S307の処理によって、積算電力値が2回(=4回×0.5)算出されている。さらに、負荷電力値950WでのステップS304〜S307の処理の進行度合いも50%と高い。加えて、負荷電力値が大きい場合は、積算電力値の算出において、ノイズ等の影響が低減される。そのため、負荷電力値950Wで算出された2回の積算電力値の結果は信頼性が高い。従って、制御部15は、負荷電力値の低下前の950Wで算出された積算電力値の結果と、負荷電力値の低下後の400Wで算出される積算電力値の結果とを、ステップS309の処理で用いるようにする。従って、制御部15は、負荷電力値が低下した後のステップS303の処理において、測定回数を12回(400Wの電力に対応する16回の80%)に再設定する。これにより、負荷電力値が400Wに低下した後のステップS304〜S307の処理によって、積算電力値が12回算出される。その後、制御部15は、ステップS309の処理において、950Wで算出された2回の積算電力値による電流センサ30の方向判定結果と、400Wで算出された12回の積算電力値による電流センサ30の方向判定結果とを比較する。そして、制御部15は、両者が、共に、電流センサ30の設置方向が正しいという結果である場合、電流センサ30の設置方向は正しいと判定する。
例3.負荷電力値400WでステップS304〜S307の処理が20%まで進行した後、負荷電力値が400Wから950Wに増加した場合
例3では、負荷電力値が増加する前の400WでのステップS304〜S307の処理によって、積算電力値が3回(=16回×0.2)算出されている。しかしながら、400WでのステップS304〜S307の処理の進行度合いは20%と低い。従って、この場合、制御部15は、負荷電力値が増加する前の400WでのステップS304〜S307の処理によって算出された積算電力値の結果を破棄する。そして、制御部15は、負荷電力値が950Wに増加した後のステップS304〜S307の処理によって算出される積算電力値のみを、ステップS309の処理で用いるようにする。そのため、制御部15は、負荷電力値が増加した後のステップS303の処理において、測定回数を950Wの電力値に対応する4回に再設定し、新たに、ステップS304〜S307の処理を行う。
なお、例3において、負荷電力値が増加する前の400WでのステップS304〜S307の処理によって算出された積算電力値を記憶部14に記憶させておいてもよい。そして、制御部15は、負荷電力値の増加後のステップS304〜S307の処理が50%まで進んだときに、400Wでの積算電力値による方向判定結果と、950Wでの積算電力値による方向判定結果とを比較し、両者が一致する場合、処理を終了してもよい。
例4.負荷電力値400WでステップS304〜S307の処理が50%まで進行した後、負荷電力値が400Wから950Wに増加した場合
例4では、負荷電力値が増加する前の400WでのステップS304〜S307の処理によって、積算電力値が8回(=16回×0.5)算出されている。加えて、負荷電力値400WでのステップS304〜S307の処理の進行度合いも50%と高い。そのため、制御部15は、負荷電力値が増加する前の400Wで算出された積算電力値の結果と、負荷電力値が増加した後の950Wで算出される積算電力値の結果とを、ステップS309の処理で用いるようにする。従って、制御部15は、負荷電力値が増加した後のステップS303の処理において、測定回数を3回(950Wの電力に対応する4回の75%)に再設定する。これにより、負荷電力値が950Wに増加した後のステップS304〜S307の処理によって、積算電力値が3回算出される。その後、制御部15は、ステップS309の処理において、400Wでの8回の積算電力値による電流センサ30の方向判定結果と、950Wでの3回の積算電力値による電流センサ30の方向判定結果とを比較する。そして、制御部15は、両者が、共に、電流センサ30の設置方向が正しいという結果である場合、電流センサ30の設置方向は正しいと判定する。
[実施例2]:負荷電力値が低下又は増加する前のステップS304〜S307の処理の進行度に基づくポイント付与によって、測定回数を再度設定する場合
例5.負荷電力値950WでステップS304〜S307の処理が25%まで進行した後、負荷電力値が950Wから400Wに低下した場合
算出完了時における積算電力値の算出回数を100ポイントとする。例5では、負荷電力値が低下する前の950WでのステップS304〜S307の処理は25%進行している。そのため、制御部15は、負荷電力値が低下する前の950Wで1回(=4回×0.25)算出された積算電力値に25ポイントを付与する。そして、制御部15は、負荷電力値が400Wに低下した後のステップS304〜S307の処理で75ポイント分の積算電力値を算出する。このために、制御部15は、負荷電力値が400Wに低下した後のステップS303の処理において、測定回数を12回(400Wの電力値に対応する16回の75%)に再設定する。そして、制御部15は、ステップS309の処理では、950Wで算出された25ポイント分の積算電力値と、400Wで算出された75ポイント分の積算電力値とを合算して、電流センサ30の設置方向が正しいか否か判定する。
例6.負荷電力値400WでステップS304〜S307の処理が25%まで進行した後、負荷電力値が400Wから950Wに増加した場合
算出完了時における積算電力値の算出回数を100ポイントとする。例6では、負荷電力値が増加する前の400WでのステップS304〜S307の処理は25%進行している。そのため、制御部15は、負荷電力値が増加する前の400Wで4回(=16回×0.25)算出された積算電力値に25ポイントを付与する。そして、制御部15は、負荷電力値が950Wに増加した後のステップS304〜S307の処理で75ポイント分の積算電力値を算出する。このために、制御部15は、電力値が950Wに増加した後のステップS303の処理において、測定回数を3回(950Wの電力値に対応する4回の75%)に再設定する。そして、制御部15は、ステップS309の処理では、400Wで算出された25ポイント分の積算電力値と、950Wで算出された75ポイント分の積算電力値とを合算して、電流センサ30の設置方向が正しいか否か判定する。
なお、例5及び例6において、負荷電力値が低下又は増加する場合の負荷電力値が低い(例えば電力値が500W未満)ときに算出される積算電力値への信頼性を懸念する場合、負荷電力値が低いときに算出される積算電力値のポイントに補正係数を掛けてもよい。これにより、負荷電力値が高いときに算出される積算電力値へのポイント配分を高くすることができ、より信頼性の高い電流センサの方向判定結果を得ることができる。この場合、例5では、400Wで4回算出された積算電力値に付与する25ポイントに、例えば、補正係数0.5〜0.9を掛ける。
なお、上記では、測定時間を固定として説明したが、第2の実施形態においても、第1の実施形態のように、電流センサ30から取得部13によって取得されるU相の電流値に基づいて測定時間を変更してもよい。
以上のように、第2の実施形態に係る電力管理装置10では、電流センサ30から取得部13によって取得されるU相の電流値に基づき、電流センサ30の設置方向を判定する際に用いる積算電力値を算出する際の測定回数を変更する。これにより、第2の実施形態では、U相に流れる電流値に基づき、電流センサ30の方向判定処理にかかる時間である総合時間を適切に制御することができる。
第2の実施形態に係る電力管理装置10において、その他の制御及び効果は、第1の実施形態に係る電力管理装置10と同様である。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る電力管理装置について説明する。第3の実施形態に係る電力管理装置には、第1の実施形態に係る電力管理装置10と同様の構成を採用することができる。従って、以下では、図1を参照し、第1の実施形態との相違点について主に説明する。
第3の実施形態では、電流センサ30の方向判定処理において、電流センサ30から取得部13によって取得したU相の電流値に基づき、第2の実施形態と同様に、積算電力値を算出する回数である測定回数を変更する。なお、第3の実施形態では、第2の実施形態とは異なり、U相の電流値に基づき、より細かく測定回数を変更する。これにより、第3の実施形態では、電流センサ30の方向判定処理にかかる時間である総合時間を適切に制御する。以下、電流センサ30から取得部13によって取得されるU相の電流値に基づき、測定回数を変更する一例について、図14を用いて説明する。なお、第3の実施形態において、図14に示す測定時間及び測定回数は、記憶部14に記憶されているものとする。
図14に、電力値と測定回数との対応付けの一例を示す。なお、図14でも、図4と同様に、便宜上、U相の電流値の代わりに、該電流値と電圧値(100V)との積である電力値と測定回数との対応付けを示す。また、図14でも、図4と同様に、電力値100W未満が電流センサ30の精度低下域に相当する。従って、電力値100W未満では、測定回数が電力値に対応付けされていない。また、図14では、測定時間は30秒の固定値である。
図14に示す電力値と測定回数との対応付けを用いて、制御部15は、電流センサ30から取得部13によって取得するU相の電流値に基づき、測定回数を変更する。例えば、制御部15は、取得するU相の電力値が100W以上300W未満の範囲にある場合、測定回数を20回に変更する。また、制御部15は、電力値が300W以上500W未満の範囲にある場合、測定回数を16回に変更する。また、制御部15は、電力値が600W以上1000W未満の範囲にある場合、電力値が100W大きくなる毎に、測定回数が2回減るように、測定回数を変更する。また、制御部15は、電力値が1000W以上である場合、測定回数を2回に設定する。
図14の例のように、電力値が100W以上300W未満の範囲にあり、U相に流れる電流値が小さい場合、電流センサ30の設置方向の誤判定を防ぐために、測定回数は、ある程度精度の良い方向判定ができる20回としている。また、図14の例では、電力値(電流値)が300W(第1所定値)以上になると、電力値が300W未満であるときよりも、電流センサ30の設置方向を誤判定するリスクが低くなる。そのため、電力値(電流値)が300W(第1所定値)以上である場合、測定回数は、電力値(電流値)が300W(第1所定値)を下回るときの測定回数20回よりも減るように、変更される。つまり、電力値(電流値)が300W(第1所定値)以上になると、測定回数は20回未満になる。また、電力値が300W(第1所定値)以上500W(第3所定値)未満の範囲にある場合、測定回数は、電力値(電流値)が200W(第3所定量)大きくなる毎に、4回(第2所定数)減るように、変更される。また、電力値が500W(第3所定値)以上1000W(第4所定値)未満の範囲にある場合、電力値が100W(第4所定量)大きくなる毎に、2回(第3所定数)減るように、変更される。また、電力値が1000W(第4所定値)以上である場合、U相に流れる電流値が大きく電流センサ30の設置方向を誤判定するリスクは十分低くなる。従って、電力値が1000W(第4所定値)以上である場合、測定回数は2回と少なくなる。
第3の実施形態では、U相の電流値に基づき、測定回数を変更することで、電流センサ30の方向判定処理にかかる時間である総合時間を適切に制御する。この一例を、図15を用いて説明する。
図15に、図14に示す測定時間及び測定回数を用いた場合の総合時間の一例を示す。なお、図15においても、図14と同様に、便宜上、U相の電流値の代わりに、該電流値と電圧値(100V)との積である電力値を示す。
図15に示すように、電力値が100W以上300W未満の範囲にある場合、電流センサ30の設置方向の誤判定を防止するために、総合時間は10分(=30秒×20回)となる。また、電力値が300W以上になると、U相に流れる電流値が大きくなるほど、電流センサ30の設置方向の誤判定のリスクは低くなる。従って、総合時間は、電力値が300W以上500W未満の範囲にある場合は8分となる。また、電力値が500W以上1000W未満の範囲にある場合は、電力値が100W大きくなる毎に、総合時間が1分(=30秒×2回)短くなる。また、電力が1000W以上である場合、つまり、U相に流れる電流値が大きく電流センサ30の設置方向を誤判定するリスクが十分に低い場合、総合時間は1分(=30秒×2回)と短くなる。
このように、第3の実施形態では、U相に流れる電流値が小さく電流センサ30の設置方向の誤判定を防止する必要がある場合、測定回数を増加させて、精度良い方向判定処理を行うようにする。一方、U相に流れる電流値が大きく電流センサ30の設置方向を誤判定するリスクが低い場合は、測定回数を減らし、総合時間を短くする。従って、第3の実施形態では、U相に流れる電流値に基づき測定回数を変更することで、総合時間を適切に制御することができる。さらに、第3の実施形態では、U相に流れる電流値に基づき測定回数をより細かく変更することで、総合時間をより適切に制御することができる。
[システム動作]
第3の実施形態に係る電力管理装置10の動作は、第2の実施形態に係る電力管理装置10の動作と同様であるため、説明を省略する。
第3の実施形態に係る電力管理装置10において、その他の制御及び効果は、第1及び第2の実施形態に係る電力管理装置10と同様である。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係る電力管理装置について説明する。第4の実施形態に係る電力管理装置には、第1の実施形態に係る電力管理装置10と同様の構成を採用することができる。従って、以下では、図1を参照し、第1の実施形態との相違点について主に説明する。
第4の実施形態では、電流センサ30の方向判定処理において、電流センサ30から取得部13によって取得したU相の電流値に基づき、積算電流値の算出に用いる測定回数と測定時間との両方を変更する。これにより、第4の実施形態では、電流センサ30の方向判定処理にかかる時間である総合時間を適切に制御する。以下、電流センサ30から取得部13によって取得されるU相の電流値に基づき、測定時間及び測定回数を変更する一例について、図16を用いて説明する。なお、第4の実施形態において、図16に示す測定時間及び測定回数は、記憶部14に記憶されているものとする。
図16に、電力値と測定回数及び測定時間との対応付けの一例を示す。なお、図16でも、図4と同様に、便宜上、U相の電流値の代わりに、該電流値と電圧値(100V)との積である電力値と測定回数との対応付けを示す。また、図16でも、図4と同様に、電力値100W未満が電流センサ30の精度低下域に相当する。従って、電力値100W未満では、測定回数が電力値に対応付けされていない。
図16に示す電力値と測定回数との対応付けを用いて、制御部15は、電流センサ30から取得部13によって取得するU相の電流値に基づき、測定回数を変更する。例えば、制御部15は、取得するU相の電力値が100W以上300W未満の範囲にある場合、測定時間を30秒に変更し、測定回数を20回に変更する。また、制御部15は、電力値が300W以上500W未満の範囲にある場合、測定時間を30秒に変更し、測定回数を16回に変更する。また、制御部15は、電力値が500W以上1000W未満の範囲にある場合、測定時間を、Pを電力値[W]として、72−(P−500)/8.3[秒]と表される値に変更し、測定回数を5回に変更する。言い換えると、制御部15は、電力値が500W以上1000W未満の範囲にある場合、電力値が8.3W大きくなる毎に、測定時間が1秒短くなるように、測定時間を変更する。また、制御部15は、電力値が1000W以上である場合、測定時間を12秒に変更し、測定回数を5回に変更する。
図16の例のように、電力値が100W以上300W未満の範囲にあり、U相に流れる電流値が小さい場合、電流センサ30の設置方向の誤判定を防ぐために、測定時間はある程度精度の良い方向判定ができる30秒となり、かつ測定回数はある程度信頼性が確保できるよう20回となる。また、図16では、電力値(電流値)が300W(第1所定値)以上になると、電力値が300W未満であるときよりも、電流センサ30の設置方向の誤判定のリスクは低くなる。従って、電力値(電流値)が300W(第1所定値)以上である場合、測定時間又は測定回数は、電力値(電流値)が300W(第1所定値)を下回るときの測定時間又は測定回数よりも減るように、変更される。例えば、電力値(電流値)が300W(第1所定値)以上である場合、測定回数は、20回未満になる。また、電力値(電流値)が300W(第1所定値)500W(第5所定値)の範囲にある場合、測定回数は、電力値(電流値)が200W(第5所定量)大きくなる毎に、測定回数は4回(第4所定数)減るように、変更される。また、電力値(電流値)が500W(第5所定値)以上1000W(第6所定値)未満の範囲にある場合、測定時間は、電力値(電流値)が8.3W(第6所定量)大きくなる毎に、測定時間が1秒(第2時間)短くなるように、変更される。
第4の実施形態では、U相の電流値に基づき、測定時間及び測定回数の両方を変更することで、電流センサ30の方向判定処理にかかる時間である総合時間を適切に制御する。この一例を、図17を用いて説明する。
図17に、図16に示す測定時間及び測定回数を用いた場合の電流センサ30の総合時間の一例を示す。なお、図17においても、図16と同様に、便宜上、U相の電流値の代わりに、該電流値と電圧値(100V)との積である電力値を示す。
図17に示すように、電力値が100W以上300W未満の範囲にある場合、電流センサ30の設置方向の誤判定を防止するために、総合時間は10分(=30秒×20回)となる。また、電力値が300W以上になると、U相に流れる電流値が大きくなるほど、電流センサ30の設置方向の誤判定のリスクは低くなる。そのため、電力値が300W以上になると、総合時間は10分よりも短くなる。例えば、電力値が300W以上500未満の範囲にある場合、総合時間は8分(=30秒×16回)となる。また、電力値が500W以上1000W未満の範囲にある場合、総合時間は、電力値が8.3W大きくなる毎に、5秒(=1秒×5回)短くなる。また、電力が1000W以上である場合、つまり、U相に流れる電流値が大きく電流センサ30の設置方向を誤判定するリスクが十分に低い場合、総合時間は1分(=12秒×5回)と短くなる。
このように、第4の実施形態では、U相に流れる電流値が小さく電流センサ30の方向判定処理における誤判定を防止する必要がある場合、測定時間及び測定回数を増加させて、精度良い方向判定処理を行うようにする。一方、U相に流れる電流値が大きく電流センサ30の設置方向を誤判定するリスクが低い場合、測定時間及び測定回数を減らし、総合時間を短くする。従って、第4の実施形態では、U相に流れる電流値に基づき測定回数を変更することで、総合時間を適切に制御することができる。さらに、第4の実施形態では、U相に流れる電流値に応じて、測定時間及び測定回数の両方を変更することで、総合時間をより適切に制御することができる。
[システム動作]
以下、第4の実施形態に係る電力管理装置10の動作について説明する。なお、電流センサ30の方向判定に関する処理において、電流センサ30の設置方向の判定可否を判定する際の電力管理装置10の動作(図9参照)は、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。従って、以下では、図9に示すステップS110の処理の終了後、電流センサ30の設置方向の判定処理を行う際の電力管理装置10の動作を、図18を参照して説明する。
<電流センサの設置方向の判定処理に関する動作>
まず、制御部15は、U相の電流値と測定時間及び測定回数との対応付け(図16参照)を、記憶部14から読み出して取得する(ステップS401)。次に、制御部15は、電流センサ30から取得部13によって、U相の電流値を取得する(ステップS402)。
制御部15は、ステップS401の処理で取得した測定時間及び測定回数の対応付け(図16参照)と、ステップS402の処理で取得したU相の電流値とを用いて、測定時間及び測定回数を設定(変更)する(ステップS403)。例えば、制御部15は、図16に示す対応付けを用いる場合に、ステップS402の処理で取得した電流値が400Wの電力値に相当する場合、測定時間を30秒に変更し、測定回数を16回に変更する。
ステップS404〜S409の処理は、図10に示すステップS204〜S209の処理と同様であるため、説明を省略する。
なお、第4の実施形態でも第1の実施形態と同様に、制御部15は、ステップS401〜S403の処理と、ステップS404〜S407の処理とを、並列に実行してもよい。さらに、制御部15は、ステップS404〜S407の処理を繰り返し行っている間に、ステップS402,S403の処理を繰り返し行うようにしてもよい。この場合、制御部15は、ステップS403の処理の完了前に、ステップS404,S405の処理を行う場合のために、図9に示すステップS110の処理で、測定時間を、U相に流れる電流値が小さい場合を想定して最大値である30秒に設定しておいてもよい。同様に、図9に示すステップ110の処理で、測定回数を、U相に流れる電流値が小さい場合を想定して最大値である20回に設定しておいてもよい。また、この場合、制御部15は、負荷200の負荷電力の変動し、ステップS403の処理で測定時間及び測定回数を再設定した場合、再設定した測定回数に基づき、ステップS404〜S407の処理を続けてもよい。
第4の実施形態に係る電力管理装置10について、その他の制御及び効果は、第1〜第3の実施形態に係る電力管理装置10の制御及び効果と同様である。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、負荷300を用いてU相とW相の200V系で実施する場合はU相とO相についての説明を適用すればよい。よって、単相二線式においても同様に実施することが可能である。また、1回の測定時間を十分長く取れていれば、測定回数はゼロであってもよい。本発明について装置を中心に説明してきたが、本発明は装置が備えるプロセッサにより実行される方法、プログラム、又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
また負荷機器として蓄電池の充電であったり、燃料電池の内部負荷を用いたりしてもよい。また本発明の実施形態の方向判定は電力が正方向に流れる場合について説明したが、負方向に流れる場合に適用してもよい。電力が負方向に流れる場合としては、例えば、太陽電池の逆潮流動作であったり、蓄電池又は燃料電池の逆潮流動作又は放電動作であったり等が想定される。