以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
<実施の形態1>
図1は、需要家の施設等に設置される、実施の形態1の電力制御システムの概略を示す図である。施設20Aは、例えば一般家庭の建屋である。本実施形態の電力制御システム1は、蓄電池830と、パワーコンディショナ820と、制御装置10とを含む。
以下の実施の形態1の説明では、需要家にとって、系統からの電力の供給を有効に利用することができるよう、電子ブレーカ850に許容される容量の電力を系統から電力負荷へ供給する。また、系統から施設等の電力負荷へ供給される電力が、系統にとって過剰な負荷とならないよう、蓄電池830の充電電力を電気負荷へ供給する。ブレーカ装置は、通常、定格電流を超える電流が流れる場合においても、直ちに通電を遮断するのではなく、規定時間以内に通電遮断動作を行うことが日本工業規格(JIS(Japanese Industrial Standards))等によって規定されている。
実施の形態1の制御装置10は、系統から、負荷800等の施設の電気負荷へ供給される電力に関する電力情報の計測結果を電子ブレーカ850から取得して、計測結果が定格値を超える場合(例えば、定格電流を超える電流が電子ブレーカ850によって計測される場合)に、その系統からの電力が電気負荷へ供給される期間が、電子ブレーカ850について定められる定格値に対応する規定時間を超えないよう蓄電池830の放電を制御する。すなわち、実施の形態1の電力制御システム1は、電子ブレーカ850が遮断を行う前に、蓄電池830から負荷800へ放電することで、系統の送配電網の負荷を軽減する。これにより、需要家は、電子ブレーカ850に許容される範囲で系統の送配電網に過剰な負荷をかけないようにしつつ、系統から供給される電力を有効に利用することができる。
以下、具体的に電力制御システムの構成を説明する。図1を参照して、需要家の施設20Aには、建屋の屋根部分に、複数の太陽電池モジュールを含む太陽電池モジュール810が配置されている。施設20Aにおいて、パワーコンディショナ820、蓄電池830も屋外に配置されている。建屋の屋内には、電子ブレーカ850、多回路CT(Current Transformer)センサ870、施設の電気負荷となる負荷800(エアコンディショナ801、空気清浄機802、冷蔵庫803および洗濯機804など複数の家電機器を含む)、タップ880および制御装置10が配置されている。
電子ブレーカ850は、バイメタル遮断回路と、負荷800等の電気負荷に対して与えられる電流値を電子的に計測するための電流検知回路と、電気負荷への通電を遮断する遮断回路とを有している。すなわち、電子ブレーカ850は、通電路を流れる電流をバイメタルによって熱エネルギーとして検知することで、機械的に通電を遮断する機能と、電子的に計測した電流値に基づき通電を遮断する機能とを有する。これにより、電子ブレーカ850は、予め需要家と電力会社とが契約により定めた定格電流に基づいて、系統に過剰な負荷がかからないよう通電を遮断することができる。電子ブレーカ850は、計測した電流値を、入出力端子を介して制御装置10等の外部の装置へ出力することができる。
制御装置10は、パワーコンディショナ820、電子ブレーカ850および多回路CTセンサ870と接続し、系統から蓄電池830および負荷800等の電気負荷へ供給される電力に関する情報の計測結果を取得する機能を有する。また、制御装置10は、これら系統から電気負荷へ供給される電流が、電子ブレーカ850について定められる定格電流を超えるか否かを判断する機能と、定格電流を超える期間を計測し、電子ブレーカ850において定格電流に対応付けられた作動時間に達しないよう、パワーコンディショナ820に対し蓄電池830の放電を指示する機能を有する。
CTセンサ870は、設置対象の機器の消費電力を測定し、測定した消費電力のデータを、制御装置10および図示しないHEMSコントローラ等へ送信する。実施の形態1では、CTセンサ870は、電子ブレーカ850の主幹ブレーカと分岐ブレーカとに接続することができる。これにより、需要家は、主幹ブレーカについての消費電力の測定結果に基づき、施設20A全体の消費電力を管理し、分岐ブレーカについての消費電力の測定結果に基づき、施設20Aにおける各機器の消費電力を管理することができる。
タップ880は、図示しないプラグを備え、建屋内のコンセントと接続する。タップ880に接続される各家電機器(例えば、エアコンディショナ801、空気清浄機802、冷蔵庫803および洗濯機804など)は、タップ880とコンセントとが接続されることで、電子ブレーカ850から給電される。
パワーコンディショナ820には、蓄電池830と、太陽電池モジュール810とが接続されている。パワーコンディショナ820は、系統からの電力を、蓄電池830および建屋の電子ブレーカ850へ供給する。
パワーコンディショナ820は、太陽電池モジュール810で発電された直流電力を、建屋で使用できる交流電力に変換する機能を有しており、太陽電池モジュール810で発電された電力を、建屋の電子ブレーカ850または蓄電池830へ供給し、また、太陽電池モジュール810で発電された電力を、電力量計を通じて外部に売電する。また、パワーコンディショナ820は、蓄電池830への充電および蓄電池830からの放電を制御する。
蓄電池830は、パワーコンディショナ820の制御により電力が供給されて充電され、充電された電力を、放電により、負荷800等の電気負荷へ供給する。
<制御装置10の構成>
図2は、電力制御システム1に含まれる制御装置10の構成を示すブロック図である。図2を参照して、制御装置10は、入出力I/F(Interface)102、入出力I/F103および入出力I/F104等の複数の入出力部と、記憶部106と、制御部107とを含む。図2に示すように、制御装置10は、入出力I/F102によりパワーコンディショナ820と接続し、入出力I/F103によりCTセンサ870と接続し、入出力I/F104により電子ブレーカ850と接続する。
制御装置10は、電子ブレーカ850から、系統から電気負荷へ供給される電力に関する電力情報として、電子ブレーカ850が計測した電流値を示す電流計測値を受信する。また、制御装置10は、電子ブレーカ850に設定される定格値として、電子ブレーカ850の定格電流を示す定格電流情報とを受信する。また、制御装置10は、CTセンサ870から、消費電力に関する情報を受信する。制御装置10は、パワーコンディショナ820に対し、蓄電池830の放電を開始させて蓄電池830の充電電力を電気負荷へ供給させる制御信号を送信する。
記憶部106は、RAM(Random Access Memory)等により構成され、制御装置10が使用するプログラムを記憶し、制御装置10が使用する各種のデータを蓄積する。ある局面において、記憶部106は、作動時間情報161と、定格電流情報162とを記憶する。作動時間情報161は、定格電流に基づいて定まる、基準となる電流値と、系統から電気負荷へ、定格値を超える電流が供給されることを許容する一定期間とを対応付けた情報である。定格電流情報162は、電子ブレーカ850に設定される定格電流の大きさを示す。
制御部107は記憶部106に記憶される制御プログラムを読み込んで実行することにより、制御装置10の動作を制御する。制御部107は、例えばプロセッサにより実現される。制御部107は、プログラムに従って動作することにより、計測値取得部171と、超過期間管理部172と、放電制御部173として機能する。
計測値取得部171は、制御装置10が接続する外部の装置から、系統から電気負荷へ供給される電力に関する電力情報の計測結果を取得する。例えば、計測値取得部171は、電子ブレーカ850から、系統が電気負荷へ供給する電流の計測結果を示す電流計測値を取得する。
超過期間管理部172は、作動時間情報161を参照して、計測値取得部171が取得した計測結果に示される値と、定格電流情報162と、電子ブレーカ850について定められる定格値に基づく基準値(例えば、定格電流値の125%や定格電流値の190%など、定格値を超える値)とを比較することにより、計測結果に示される値が定格値を超える期間(超過期間)を計測する。また、超過期間管理部172は、計測結果に示される値が定格値を下回る場合に、超過期間の計測値をリセットする。超過期間管理部172は、計測値により示される超過期間を管理し、超過期間が、後述する作動時間情報161に示される一定期間に達しているか否かを判定する。
放電制御部173は、超過期間管理部172により、計測値取得部171が取得した計測結果に示される値が定格値を超える超過期間が、作動時間情報161に示される一定期間に達すると判定される場合に、パワーコンディショナ820に対して制御信号を送信して、蓄電池830の放電を開始させて蓄電池830の充電電力を負荷800へ供給させる。これにより系統の送配電網の負荷を軽減する。
なお、作動時間情報161に示される一定期間は、電子ブレーカ850に規定される、定格電流に応じた作動時間により定められている。ここで、電子ブレーカ850に規定される作動時間について説明する。
図3は、ブレーカについて規格により規定される作動時間の例を示す図である。図3に示すように、ブレーカには、定格電流を超過する電流が流れる場合においても、直ちに通電を遮断するのではなく、電流の大きさに応じて、作動を許容する作動時間が設定されており、この作動時間に達するまでに、通電を遮断するよう設計されている。図3に示す例では、ブレーカの定格電流が40(A)(定格電流が30Aを超え50A以下)である場合、定格電流の125%までは、60分以内に通電を遮断すればよい。
<データ構造>
図4は、制御装置10に記憶される作動時間情報161のデータ構造を示す図である。図4を参照して、作動時間情報161の各レコードは、基準値161Aと、過負荷判別期間161Bとを対応付けたものである。
基準値161Aは、定格電流を超える電流であって、制御装置10が、電子ブレーカ850から取得する電流の計測値と比較する対象となる電流の大きさを示す。
過負荷判別期間161Bは、制御装置10が取得する電流計測値が定格電流を超える場合に、蓄電池830からの放電を開始すると判定するまでの期間を示す。制御装置10の超過期間管理部172は、電子ブレーカ850から取得される電流計測値が、定格電流値を超えて基準値161Aに示される基準値までの範囲内にある場合に、その定格電流値を超える期間を計測する。計測される超過期間が図3に示す作動時間に達すると、ブレーカ装置による通電の遮断が行われるため、過負荷判別期間161Bに示す期間を、図3に示すブレーカ装置の作動時間より短い時間としている。制御部107の超過期間管理部172は、計測される超過期間と、過負荷判別期間161Bに示される期間とを比較し、超過期間が過負荷判別期間161Bに示される期間に達すると、放電制御部173により蓄電池830の放電を開始させる。
<動作>
図5から図8を参照して、実施の形態1における電力制御システム1の制御装置10の動作を説明する。
図5は、系統から電気負荷へ供給される電流の計測結果と、電子ブレーカ850の定格電流とを比較した結果に基づいて、制御装置10が状態を変更して蓄電池830の放電を制御するための状態遷移図である。
図5に示すように、制御装置10は、超過期間管理部172により、「HIGH」状態H1、「DISCHARGE」状態D1、「RESET」状態R1、「LOW」状態L1の4つの状態を管理する。
「HIGH」状態H1は、電子ブレーカ850の定格電流を超える電流値が計測されている状態であり、制御装置10は、超過期間管理部172により、電流計測値が定格電流値を超える超過期間を、タイマーTimer1により計測する。超過期間管理部172は、タイマーTimer1の計測値を、作動時間情報161の過負荷判別期間161Bに示される一定期間T1と比較する。例えば、図4の例では、電流計測値が、定格電流値を超えて定格電流値の125%までの範囲内においては、一定期間T1は期間「54分」である。図5に示すように、タイマーTimer1の計測値を参照して、「HIGH」状態H1の状態が一定期間T1に達していない場合、超過期間管理部172は、「HIGH」状態H1を継続する。「HIGH」状態H1において、電流計測値が定格電流値を超えており、タイマーTimer1が一定期間T1に達した場合に、超過期間管理部172は、制御装置10の状態を、「DISCHARGE」状態D1に遷移させる。また、「HIGH」状態H1において、電流計測値が定格電流値を下回った場合、超過期間管理部172は、制御装置10の状態を、「RESET」状態R1に遷移させる。
制御装置10は、「DISCHARGE」状態D1において、放電制御部173により蓄電池830の充電電力を電気負荷へ放電させる。「DISCHARGE」状態D1において、電流計測値が定格電流値を下回った場合、超過期間管理部172は、制御装置10の状態を、「LOW」状態L1へ遷移させる。また、「DISCHARGE」状態D1において、電流計測値が定格電流値を上回る場合、超過期間管理部172は、タイマーTimer1の計測値をリセットして、制御装置10の状態を「HIGH」状態H1へ遷移させる。
「RESET」状態R1において、電流計測値が定格電流値を上回る場合、超過期間管理部172は、制御装置10の状態を、「HIGH」状態H1へ遷移させる。また、「RESET」状態R1において、電流計測値が定格電流値を下回る場合、超過期間管理部172は、制御装置10の状態を「LOW」状態L1へ遷移させる。
「LOW」状態L1において、電流計測値が定格電流値を下回る間は、超過期間管理部172は、「LOW」状態L1を維持し、電流計測値が定格電流値を上回ると、タイマーTimer1をリセットして、制御装置10の状態を「HIGH」状態H1へ遷移させる。
図6は、制御装置10の動作を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートは、図5に示す状態遷移図に従って制御装置10が動作するための処理の流れを示す。例えば、制御装置10が起動し、電流計測値を取得するための電子ブレーカ850との接続をすること等により、制御装置10は、図6に示す処理を開始する。
ステップS1において、制御装置10の制御部107は、制御装置10の状態を「HIGH」状態H1とし、タイマーTimer1の計測値を初期化する。
ステップS3において、制御部107は、系統から電気負荷へ供給される電力に関する情報として、電子ブレーカ850から電流計測値を取得する。
ステップS5において、制御部107は、制御装置10の状態が「HIGH」状態H1であるか否かを判定し、「HIGH」状態H1である場合はステップS7の処理を行い、そうでない場合は、ステップS21の処理を行う。
ステップS7において、制御部107は、電流計測値と電子ブレーカ850の定格電流値とを比較し、電流計測値が定格電流値を下回るか否かを判定する。すなわち、ステップS7の処理は、電子ブレーカ850の定格容量を超えない範囲で系統から電気負荷へ電力が供給されているか否かを判定するものである。ステップS7において、電流計測値が定格電流値を下回る場合(ステップS7においてYES)、制御部107は、ステップS9の処理を行い、そうでない場合(ステップS7においてNO)、制御部107は、ステップS11の処理を行う。
ステップS9において、制御部107は、制御装置10の状態を「RESET」状態R1に遷移させて、ステップS3の処理に戻る。
ステップS11において、制御部107は、タイマーTimer1に示される計測値と、電流計測値および作動時間情報161により定まる一定期間T1とを比較して、タイマーTimer1の計測値が、一定期間T1を超えるか否かを判定する。すなわち、制御部107は、「HIGH」状態H1の期間が、一定期間T1に達しているか否かを判定する。ステップS11において、タイマーTimer1の計測値が一定期間T1を超える場合(ステップS11においてYES)、制御部107は、ステップS13の処理を行い、そうでない場合(ステップS11においてNO)、制御部107は、ステップS3の処理に戻る。
ステップS13において、制御部107は、制御装置10の状態を「DISCHARGE」状態D1に遷移させて、ステップS3の処理に戻る。
ステップS21において、制御部107は、制御装置10の状態が「DISCHARGE」状態D1であるか否かを判定し、「DISCHARGE」状態D1である場合は(ステップS21においてYES)、放電制御部173により蓄電池830の充電電力を電気負荷へ放電させ、ステップS23の処理を行い、そうでない場合は(ステップS21においてNO)、ステップS41の処理を行う。
ステップS23において、制御部107は、電流計測値と電子ブレーカ850の定格電流値とを比較し、電流計測値が定格電流値を下回るか否かを判定する。ステップS23において、電流計測値が定格電流値を下回る場合(ステップS23においてYES)、制御部107は、ステップS25の処理を行い、そうでない場合(ステップS23においてNO)、ステップS27の処理を行う。
ステップS25において、制御部107は、制御装置10の状態を「LOW」状態L1に遷移させて、ステップS3の処理を行う。
ステップS27において、制御部107は、タイマーTimer1の計測値をリセットし、制御装置10の状態を「HIGH」状態H1に遷移させて、ステップS3の処理に戻る。
ステップS41において、制御部107は、制御装置10の状態が「RESET」状態R1であるか否かを判定し、「RESET」状態R1である場合は(ステップS41においてYES)、ステップS43の処理を行い、そうでない場合は(ステップS41においてNO)、ステップS61の処理を行う。
ステップS43において、制御部107は、電流計測値と電子ブレーカ850の定格電流値とを比較し、電流計測値が定格電流値を上回るか否かを判定する。ステップS43において、電流計測値が定格電流値を上回る場合(ステップS43においてYES)、制御部107は、ステップS45の処理を行い、そうでない場合(ステップS43においてNO)、ステップS47の処理を行う。
ステップS45において、制御部107は、制御装置10の状態を「HIGH」状態H1に遷移させて、ステップS3の処理に戻る。
ステップS47において、制御部107は、制御装置10の状態を「LOW」状態L1に遷移させて、ステップS3の処理に戻る。
ステップS61において、制御装置10は、「LOW」状態L1となっており、制御部107は、電流計測値と電子ブレーカ850の定格電流値とを比較し、電流計測値が定格電流値を上回るか否かを判定する。ステップS61において、電流計測値が定格電流値を上回る場合(ステップS61においてYES)、制御部107は、ステップS63の処理を行い、そうでない場合(ステップS61においてNO)、ステップS3の処理に戻る。
ステップS63において、制御部107は、タイマーTimer1の計測値をリセットし、制御装置10の状態を「HIGH」状態H1に遷移させて、ステップS3の処理に戻る。
図7と図8とを参照して、制御装置10による蓄電池830の放電の制御により、系統から電気負荷へ供給される電流の計測値がどのように変化するかの一例を説明する。
図7は、電流計測値が定格電流値を超える期間が一定期間T1に達することにより制御装置10が蓄電池830を放電させる場合の電流計測値の変化を示す図である。図7において、横軸は時間、縦軸は電流計測値を示す。
期間71において、系統から電気負荷に対し、電子ブレーカ850の定格電流(定格値)を超える電流が供給されている。この期間71において、制御装置10は、「HIGH」状態H1を出力する。制御装置10の制御部107は、タイマーTimer1により、電流計測値が定格電流値を超えている期間を計測し、作動時間情報161を参照して、電流計測値に対応する過負荷判別期間161Bを読み出して一定期間T1とする(ステップS5、S7、S11)。制御部107は、タイマーTimer1の計測値と一定期間T1とを比較して、タイマーTimer1の計測値が一定期間T1に示される期間の長さに達すると(ステップS11においてYES)、制御装置10の状態を「DISCHARGE」状態D1に遷移させて(ステップS13)、蓄電池830の充電電力を、期間72の間、電気負荷へ供給する。
期間72において、制御装置10の状態は「DISCHARGE」状態D1であり、蓄電池830が期間72の間、放電されることにより、系統の送配電網への負荷を軽減して、系統から供給される電流が定格電流値を下回っている(ステップS21)。この間、電気負荷における電力の消費量はほぼ変わらないものとする。期間72における蓄電池830の放電を終えると、再び系統から電気負荷に供給される電流計測値が定格電流値を超え(ステップS23においてNO)、制御部107は、タイマーTimer1の計測値をリセットして制御装置10を「HIGH」状態H1に遷移させる(ステップS27)。
期間73において、期間71と同様に、制御部107は、「HIGH」状態H1を出力する。制御部107は、タイマーTimer1の計測値と一定期間T1とを比較して、タイマーTimer1の計測値が一定期間T1に示される期間の長さに達するか否かを管理する。
図8は、電流計測値が定格電流値を下回ることにより、電流計測値が定格電流値を超える超過期間の計測値をリセットする場合の、電流の計測値の変化および制御装置10の状態の遷移を示す図である。
期間81において、系統から電気負荷に対し、電子ブレーカ850の定格電流(定格値)を超える電流が供給されている。この期間81において、制御装置10は、「HIGH」状態H1を出力する。制御装置10の制御部107は、タイマーTimer1により、電流計測値が定格電流値を超えている期間を計測し、タイマーTimer1の計測値と一定期間T1とを比較する。図8の例では、タイマーTimer1の計測値が一定期間T1に達する前に、電流計測値が定格電流値を下回っている。制御部107は、制御装置10を「RESET」状態R1に遷移させる(ステップS9)。一時的に電流計測値が定格電流値を下回る場合もあるため、制御部107は、「HIGH」状態H1において、電流計測値が定格電流値を下回った場合、タイマーTimer1の計測値をリセットせず、制御装置10を、まず「RESET」状態R1に遷移させる。
期間82において、制御部107は、制御装置10を「RESET」状態R1としている。この間、制御部107は、電流計測値と定格電流値とを比較して、電流計測値が定格電流値を上回っていない場合に(ステップS43においてNO)、制御装置10を「LOW」状態L1へ遷移させる。
期間83において、制御部107は、電流計測値が定格電流値を上回るまで、制御装置10を「LOW」状態L1で動作させ(ステップS61においてNO)、電流計測値が定格電流値を上回ると、タイマーTimer1をリセットして制御装置10を「HIGH」状態H1に遷移させる(ステップS63)。
このようにして、制御部107は、電流計測値が定格電流値を上回っている状態(「HIGH」状態H1)で、一時的に電流計測値が定格電流値を下回ったとしても、タイマーTimer1をリセットせず、再び電流計測値が定格電流値を上回った場合に、系統に過剰な負荷をかけないよう蓄電池830の放電を制御することができる。
<実施の形態2>
次に、別の実施形態の電力制御システムについて説明する。
図9は、実施の形態2の電力制御システム2の概略を示す図である。実施の形態2の制御装置10は、記憶部106において、作動時間情報161と、定格電流情報162と、放電期間情報163とを記憶する。
放電期間情報163は、系統の送配電網の負荷を軽減するため、制御部107が蓄電池830の充電電力を電気負荷へ供給させる場合に、蓄電池830を放電させる期間の長さ(例えば、3分)を示す情報である。このように、制御部107は、蓄電池830を放電させる場合、少なくとも放電期間情報163に示される期間、放電を行う。制御装置10が「DISCHARGE」状態D1となり、蓄電池830の充電電力の放電を開始するよう、制御装置10からパワーコンディショナ820へ制御信号を送信する場合、制御信号の送信から、制御装置10からの制御信号を受けたパワーコンディショナ820が充電電力の放電を開始するまでに、一定の時間差(例えば1〜2秒)を要することがある。そこで、蓄電池830から十分な電力量の放電がなされるよう、制御部107が蓄電池830の放電を指示した場合に、放電期間情報163に示される期間にわたって、蓄電池830から電気負荷へ電力が供給される。
また、放電期間情報163に示される期間は、以下のようにして設定してもよい。電子ブレーカ850は、系統から電気負荷へ供給される電力にかかる計測値が、電子ブレーカ850の定格値を超える場合に、その超過期間を計測し、超過期間の計測値と、図3に示す作動時間とを比較して、系統からの電力の供給を遮断するか否かを制御する。
電子ブレーカ850が超過期間を計測している間に、ごく短期的に系統から電気負荷へ供給される電力が定格値に収まったとしても、その後、再び供給電力が定格値を超えると、系統の送配電網への負荷が大きいままとなる。そのため、電子ブレーカ850は、系統から電気負荷へ供給される電力の計測結果が定格値を下回った場合に、その期間が、予め定められた待機期間(例えば、3分)を経過することで、超過期間の計測値をリセットするものがある。
そこで、実施の形態2の電力制御システム2では、制御部107が蓄電池830の充電電力を放電させる場合に、少なくとも待機期間の長さの期間にわたって放電を行うことで、電子ブレーカ850における超過期間の計測値をリセットする。
こうすることにより、系統の送配電網に過剰な負荷をかけないようにしつつ、系統から安定して電力の供給を受けることができる。
<動作>
図10から図14を参照して、実施の形態2における電力制御システム2の制御装置10の動作を説明する。
図10は、系統から電気負荷へ供給される電流の計測結果と、電子ブレーカ850の定格電流とを比較した結果に基づいて、制御装置10が状態を変更して蓄電池830の放電を制御するための状態遷移図である。実施の形態1と比較すると、制御装置10は、「HIGH」状態H1から「DISCHARGE」状態D1または「RESET」状態R1に遷移する際に、タイマーTimer2による計測値をリセットして、タイマーTimer2と、放電期間情報163に示される放電期間T2とを比較する。制御装置10は、「DISCHARGE」状態D1または「RESET」状態R1のいずれに遷移する場合においても、電流計測値が定格電流値を下回る期間が放電期間T2に達するまでは、電流計測値が定格電流値を上回らないよう、すなわち系統から電気負荷へ供給される電力が定格電流値を超えないよう、蓄電池830の放電を制御することで、電子ブレーカ850の超過期間の計測値をリセットさせる。
図10に示すように、制御装置10は、タイマーTimer2が放電期間T2に達するまで、「DISCHARGE」状態D1または「RESET」状態R1から「LOW」状態L1へ遷移せず、「DISCHARGE」状態D1においては蓄電池830の充電電力を放電させる。また、制御装置10は、「HIGH」状態H1から、電流計測値が定格電流値を下回ることにより「RESET」状態R1へ遷移した場合に、電流計測値が定格電流値を下回る期間が放電期間T2に達すると、「LOW」状態L1へ遷移する。
制御装置10は、「RESET」状態R1において、タイマーTimer1の計測値が一定期間T1に達するまでは、電流計測値が定格値を上回ることにより、「HIGH」状態H1へ遷移する。また、「RESET」状態R1において、タイマーTimer1の計測値が一定期間T1に達すると、制御装置10は、「RESET」状態R1から「DISCHARGE」状態D1へ遷移して、蓄電池830の充電電力を放電させる。
制御装置10は、「DISCHARGE」状態D1において、少なくともタイマーTimer2が放電期間T2に達するまで、蓄電池830の充電電力を放電させる。すなわち、制御装置10は、蓄電池830から、少なくとも放電期間情報163に示される期間にわたって充電電力を放電させる。その後、制御装置10は、電流計測値が定格電流値を下回る場合、制御装置10の状態を「LOW」状態L1へ遷移させ、電流計測値が定格電流値を上回る場合、制御装置10の状態を「HIGH」状態H1へ遷移させる。
図11は、実施の形態2の制御装置10の動作を示すフローチャートである。
ステップS2において、制御装置10の制御部107は、制御装置10の状態を「HIGH」状態H1とし、タイマーTimer1の計測値とタイマーTimer2の計測値をリセットする。
ステップS7において、制御部107は、電流計測値が定格電流値を下回る場合(ステップS7においてYES)、ステップS10の処理を行い、そうでない場合(ステップS7においてNO)、ステップS11の処理を行う。
ステップS10において、制御部107は、タイマーTimer2の計測値をリセットし、制御装置10の状態を「RESET」状態R1に遷移させて、ステップS3の処理に戻る。
ステップS11において、制御部107は、タイマーTimer1の計測値が一定期間T1を超える場合(ステップS11においてYES)、タイマーTimer2の計測値をリセットし、制御装置10の状態を「DISCHARGE」状態D1に遷移させて、ステップS3の処理に戻る。
ステップS21において、制御部107は、制御装置10の状態が「DISCHARGE」状態D1である場合は(ステップS21においてYES)、ステップS22の処理を行う。
ステップS22において、制御部107は、タイマーTimer2の計測値と放電期間T2とを比較し、タイマーTimer2の計測値が放電期間T2を超えない場合(ステップS22においてYES)、ステップS3の処理に戻り、そうでない場合(ステップS22においてNO)、ステップS23の処理を行う。
ステップS41において、制御部107は、制御装置10の状態が「RESET」状態R1であるか否かを判定し、「RESET」状態R1である場合は(ステップS41においてYES)、ステップS42の処理を行い、そうでない場合は(ステップS41においてNO)、ステップS61の処理を行う。
ステップS42において、制御部107は、タイマーTimer1と一定期間T1とを比較し、タイマーTimer1が一定期間T1を上回る場合は(ステップS42においてYES)、ステップS44の処理を行い、そうでない場合は(ステップS42においてNO)、ステップS43の処理を行う。ステップS43において、電流計測値が定格電流値を上回らない場合(ステップS43においてNO)、制御部107は、ステップS46の処理を行う。
ステップS44において、制御部107は、制御装置10の状態を「DISCHARGE」状態D1に遷移させて、ステップS3の処理に戻る。
ステップS46において、制御部107は、タイマーTimer2の計測値と放電期間T2とを比較し、タイマーTimer2の計測値が放電期間T2を上回る場合(ステップS46においてYES)、ステップS47の処理を行い、そうでない場合(ステップS46においてNO)、ステップS3の処理に戻る。
図12から図14を参照して、制御装置10による蓄電池830の放電の制御により、系統から電気負荷へ供給される電流の計測値がどのように変化するかの一例を説明する。
図12は、制御装置10が「DISCHARGE」状態D1において、放電期間T2にわたって蓄電池830を放電制御する場合の電流の計測値の変化および制御装置10の状態の遷移を示す図である。
期間21に示すように、制御装置10は、「HIGH」状態H1において、電流計測値が定格電流値を超えている期間を計測し、タイマーTimer1の計測値と一定期間T1とを比較して、タイマーTimer1の計測値が一定期間T1に示される期間の長さに達すると(ステップS11においてYES)、制御装置10の状態を「DISCHARGE」状態D1に遷移させ、タイマーTimer2の計測値をリセットする(ステップS14)。
期間22に示すように、制御装置10の状態は「DISCHARGE」状態D1であり、タイマーTimer2の計測値と放電期間T2とが比較されることにより、タイマーTimer2の計測値が放電期間T2に達するまで、すなわち放電期間情報163に示される期間にわたって、制御部107によって蓄電池830の充電電力が放電される(ステップS22においてNO)。期間22における蓄電池830の放電を終えると、再び系統から電気負荷に供給される電流計測値が定格電流値を超え(ステップS23においてNO)、制御部107は、タイマーTimer1の計測値をリセットして制御装置10を「HIGH」状態H1に遷移させる(ステップS27)。
期間23において、期間21と同様に、制御部107は、「HIGH」状態H1を出力する。
図13は、制御装置10が「RESET」状態R1に遷移する場合において、電流計測値が定格電流値を下回る期間が放電期間T2に達しない場合に、電流の計測値の変化および制御装置10の状態の遷移を示す図である。
期間31において、制御装置10は、「HIGH」状態H1を出力する。制御装置10の制御部107は、タイマーTimer1の計測値と一定期間T1とを比較する。図13の例では、タイマーTimer1の計測値が一定期間T1に達する前に、電流計測値が定格電流値を下回る(ステップS7においてYES)。これにより、制御部107は、制御装置10の状態を「RESET」状態R1へ遷移させる(ステップS10)。この際、タイマーTimer1の計測値はリセットされず、タイマーTimer2の計測値がリセットされる。
期間32において、制御部107は、制御装置10を「RESET」状態R1としている。この間、制御部107は、タイマーTimer2を計測し、タイマーTimer2の計測値と放電期間T2とを比較する(ステップS46)。図13の例では、期間32の長さは、放電期間T2に満たないとする(ステップS46においてNO)。期間32から期間33へ至る時点において、電流計測値が定格電流値を上回るとする(ステップS43においてYES)。これにより、制御部107は、制御装置10を「HIGH」状態H1に遷移させる(ステップS45)。この間、タイマーTimer1の計測は継続されている。
期間33において、制御部107は、タイマーTimer1の計測値と一定期間T1とを比較し、タイマーTimer1の計測値が一定期間T1に達すると(ステップS11においてYES)、制御装置10の状態を「DISCHARGE」状態D1に遷移させ、タイマーTimer2をリセットする(ステップS14)。このように、制御部107は、電流計測値が定格電流値を上回る場合に、一時的に電流計測値が定格電流値を下回ったとしても、その下回った期間が放電期間T2に満たない場合は、一定期間T1に基づき蓄電池830の充電電力を電気負荷へ供給して、系統の送配電網の負荷を軽減する。
期間34において、制御部107は、放電期間T2の長さの期間にわたって、蓄電池830の充電電力を電気負荷へ供給することにより、系統の送配電網の負荷を軽減する。図13の例では、期間34における蓄電池830の放電の後、電流計測値が定格電流値を下回るとする(ステップS23においてYES)。この場合、制御部107は、制御装置10の状態を「LOW」状態L1に遷移させる(ステップS25)。
期間35において、制御部107は、制御装置10を「LOW」状態L1にして動作する。
図14は、「RESET」状態R1から「DISCHARGE」状態D1へ遷移する場合の、電流の計測値の変化および制御装置10の状態の遷移を示す図である。
期間41において、制御装置10は、「HIGH」状態H1を出力する。図14の例では、タイマーTimer1の計測値が一定期間T1に達する前に、電流計測値が定格電流値を下回る(ステップS7においてYES)。これにより、制御部107は、制御装置10の状態を「RESET」状態R1へ遷移させる。
期間42において、制御部107は、制御装置10を「RESET」状態R1としている。この間、制御部107は、タイマーTimer2を計測するが、継続して計測されているタイマーTimer1の計測値が期間42においてタイマーTimer1に達する(ステップS42においてYES)。この場合、制御部107は、制御装置10を「DISCHARGE」状態D1に遷移させ(ステップS44)、蓄電池830から充電電力を電気負荷へ放電させる。
期間43において、制御部107は、制御装置10の状態を「DISCHARGE」状態D1としている。期間43においては、当初、蓄電池830の放電により、系統から電気負荷へ供給される電流値が減少し、その後、電気負荷の消費電力が増大することにより、定格電流値を下回る範囲で、系統から電気負荷へ供給される電流値が増加している。期間43に示すように、制御部107は、「DISCHARGE」状態D1において、放電期間T2に示される期間、蓄電池830から充電電力を電気負荷へ放電させ、放電期間T2に示される期間の放電を終えると(ステップS22においてNO)、電流計測値と定格電流値とを比較する。この図14の例では、電流計測値が定格電流値を下回るものとする(ステップS23においてYES)。制御部107は、制御装置10の状態を「LOW」状態L1に遷移させる(ステップS25)。
期間44において、制御部107は、制御装置10を「LOW」状態L1としている。
<まとめ>
実施の形態1および2で説明したように、本開示に係る電力制御システムによると、ブレーカ装置において許容された時間内においては、定格電流以上の電流を負荷に供給することにより、系統から供給される電力を利用し、ブレーカ装置が遮断を行う前に、蓄電池の充電電力を、放電により電気負荷へ供給することで、系統の送配電網の負荷を低減することができる。したがって、需要家にとっては、ブレーカ装置に規定された作動時間の範囲内で、系統の送配電網に過剰な負荷をかけないようにしつつ、系統から供給される電力を有効に利用することができる。
以上の実施形態の説明では、制御装置10は、系統から電気負荷へ供給される電力に関する情報として、電流の計測値を電子ブレーカ850から取得して定格電流値と比較するものとして説明したが、他にも、系統から電気負荷へ供給される電圧に関する計測値を所定の電圧値と比較することで、蓄電池830の放電を制御することとしてもよい。
また、実施の形態1において、電力制御システム1に含まれる制御装置10と、パワーコンディショナ820と、蓄電池830とが別々の装置であるとして説明しているが、装置の構成はこれに限られない。例えば制御装置10は、パワーコンディショナ820に含まれるものとしてもよいし、パワーコンディショナ、蓄電池830および制御装置10が一体となった装置であるとしてもよい。例えば、施設にパワーコンディショナおよび蓄電池が既に設置されている場合は、制御装置10を施設に取り付けることで、本開示に係る電力制御システムを実現することができる。
本実施の形態に係る電力制御システムは、プロセッサと、その上で実行されるプログラムにより実現される。本実施の形態を実現するプログラムは、通信インタフェースを介してネットワークを利用した送受信等により提供される。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。