JP6569485B2 - 原料のリチャージ又は単結晶引上げに用いられる蓋付容器 - Google Patents

原料のリチャージ又は単結晶引上げに用いられる蓋付容器 Download PDF

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本発明は、1つのルツボでシリコン単結晶を複数本引上げるときに、ドーパントを単結晶にドープするために用いられる蓋付容器に関するものである。
従来、種結晶の先端にドーパントを収容したシリコン容器を取付け、シリコン融液に先端を浸け、ドーパントを収容したシリコン容器を溶融させることによりドーパントを融液中に添加するドーパントの添加方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このドーパントの添加方法では、シリコン容器と種結晶にそれぞれ外側部より切込みを入れ、シリコン容器の切込みと種結晶の切込みとに嵌挿するようにシリコン板を差し込むことにより、種結晶にシリコンの容器が取付けられる。
このように構成されたドーパントの添加方法では、種結晶の先端にドーパントを収容したシリコン容器を取付け、これをゆっくりと降下させ融液中に沈めて溶融することにより融液中にドーパントを添加するので、有転位化の原因となる融液のはねやドーパントのはねを起こさない。この結果、引上げられる単結晶の有転位化を防止できるので、製品の歩留まりの向上や生産性の向上に寄与することができる。
特開平5−201790号公報(請求項1及び2、段落[0021]、図1〜図3)
しかし、上記従来の特許文献1に示されたドーパントの添加方法では、シリコン容器の切込みと種結晶の切込みとに嵌挿するようにシリコン板を差し込んでいるため、シリコン容器のドーパント収容部がシリコン板により完全に塞がれておらず、比較的大きな隙間が形成されているため、この隙間からシリコン融液が流入すると、シリコン容器のドーパント収容部に収容されたドーパントがシリコン融液に接触して、ドーパントが弾け飛ぶおそれがある。
本発明の目的は、ルツボ内の融液にドーパントを供給するとき、ドーパントが融液に接触して弾け飛ぶのを確実に防止できる、原料のリチャージ又は単結晶引上げに用いられる蓋付容器を提供することにある。
本発明者は、従来、マルチ引上げ法により引上げられる複数本の単結晶のうち最後に引上げられる単結晶では、単結晶の全長に対して抵抗率仕様が所定の高抵抗率の範囲を外れる長さの割合が大きくなり、歩留まりが低下していたことに鑑み、最後の単結晶を引上げる前に、高濃度のドーパントを原料とともにルツボに供給して溶融させることにより、最後に引上げられる単結晶の全長に対する抵抗率仕様が所定の低抵抗率の範囲内に収まる長さの割合を大きくして歩留まりの低下を防止できることを知見し、本発明をなすに至った。
本発明の第の観点は、原料のリチャージ又は単結晶引上げに用いられ、単結晶のドーパントを融液に添加するために原料と同一材質により形成された蓋付容器であって、ドーパントを収容する容器本体と、この容器本体の開口部を開放可能に閉止する蓋と、蓋が容器本体から離脱するのを阻止する離脱阻止機構とを備え、容器本体が円筒状に形成され、蓋が容器本体に遊挿可能な円板状にそれぞれ形成された第1及び第2蓋体を有し、離脱阻止機構が、容器本体の開口部内周面に形成された突起と、第1及び第2蓋体の外周面に突起に相応する形状にそれぞれ形成された第1及び第2凹部とを有することを特徴とする。
本発明の第の観点は、原料のリチャージ又は単結晶引上げに用いられ、単結晶のドーパントを融液に添加するために原料と同一材質により形成された蓋付容器であって、ドーパントを収容する容器本体と、この容器本体の開口部を開放可能に閉止する蓋と、蓋が容器本体から離脱するのを阻止する離脱阻止機構とを備え、容器本体が円筒状に形成され、蓋が容器本体に遊嵌可能な円筒状に形成され、離脱阻止機構が、容器本体の外周面に形成された突起と、蓋の外周面に形成され突起に遊嵌可能なL字状溝とを有し、L字状溝が、容器本体の軸線方向に延びる縦溝と、容器本体の円周方向に延びる横溝とからなることを特徴とする。
本発明の第の観点は、原料のリチャージ又は単結晶引上げに用いられ、単結晶のドーパントを融液に添加するために原料と同一材質により形成された蓋付容器であって、ドーパントを収容する容器本体と、この容器本体の開口部を開放可能に閉止する蓋と、蓋が容器本体から離脱するのを阻止する離脱阻止機構とを備え、容器本体が四角筒状に形成され、容器本体の開口部近傍の互いに対向する側面に一対の第1長孔がそれぞれ形成され、蓋が、容器本体に遊挿可能な四角板状の中蓋と、容器本体の一対の第1長孔に挿通可能に形成され基端に第1長孔に挿通不能な頭部が形成された外蓋とを有し、離脱阻止機構が、外蓋の第1長孔から突出した先端近傍に形成された第2長孔と、この第2長孔に挿通可能な抜止め板とを有することを特徴とする。
本発明の第の観点は、原料のリチャージ又は単結晶引上げに用いられ、単結晶のドーパントを融液に添加するために原料と同一材質により形成された蓋付容器であって、ドーパントを収容する容器本体と、この容器本体の開口部を開放可能に閉止する蓋と、蓋が容器本体から離脱するのを阻止する離脱阻止機構とを備え、容器本体が円筒状に形成され、蓋が容器本体に遊嵌可能な円筒状に形成され、離脱阻止機構が、容器本体の開口部近傍の周面に形成された第1係止孔と、蓋の周面に形成され蓋の容器本体への遊嵌時に第1係止孔に連通する第2係止孔と、第2係止孔及び第1係止孔に圧入されてこれらの係止孔に係止可能なテーパピンとを有することを特徴とする。
本発明の第の観点の蓋付容器では、原料のリチャージ又は単結晶引上げに用いられる蓋付容器を原料と同一材質により形成し、離脱阻止機構が蓋の容器本体からの離脱を阻止するので、ドーパントの収容された蓋付容器を原料供給管又はルツボ内の融液に供給するときに、蓋が容器本体から外れない。この結果、ドーパントが蓋付容器に収容されたまま融液中に沈み、蓋付容器が融液中で溶解した後にドーパントが融液中で融液に接触して融液に添加されるので、ドーパントが弾け飛ぶのを確実に防止できる。従って、蓋付容器内のドーパントを全て融液に添加でき、正確な量のドーパントを融液に添加できる。
また、本発明の第の観点の蓋付容器では、先ず、容器本体にドーパントを収容した後に、容器本体の突起に第1蓋体の第1凹部を合せて第1蓋体を容器本体内に挿入し、第1凹部が突起に合わなくなるように第1蓋体を回転させる。次に、容器本体の突起に第2蓋体の第2凹部を合せて第2蓋体を容器本体内に挿入し、第2凹部が第1凹部に合わなくなるように第2蓋体を回転させる。この結果、第1及び第2蓋体が容器本体から離脱するのを突起が阻止する。また、第1凹部と第2凹部とが合わずにずれて配置されるので、容器本体内のドーパントが容器本体から飛び出すことはない。
本発明の第の観点の蓋付容器では、先ず、容器本体にドーパントを収容した後に、容器本体に蓋を被せる。次に、容器本体の突起に蓋のL字状溝の縦溝を遊嵌して、L字状溝の横溝が突起に臨む位置まで蓋を容器本体に対し軸方向にスライドさせる。更に、蓋を容器本体に対して円周方向に回転させ、突起にL字状溝の横溝を遊嵌して、横溝の端部が突起に当接するまで回転させる。この結果、突起にL字状溝の横溝が係合するので、蓋の容器本体からの離脱が阻止される。また、容器本体の開口部は蓋の上面により塞がれ、蓋のL字状溝は容器本体の周面により塞がれるので、容器本体内のドーパントが容器本体から飛び出すことはない。
本発明の第の観点の蓋付容器では、先ず、容器本体にドーパントを収容した後に、中蓋を容器本体に遊挿する。次に、容器本体の一対の第1長孔に外蓋を挿通した後に、第1長孔から容器本体外に突出した外蓋の第2長孔に係止板を挿通する。この結果、外蓋が容器本体の一対の第1長孔から抜けるのを抜止め板が阻止するので、蓋の容器本体からの離脱が阻止される。また、容器本体の開口部は中蓋及び外蓋により塞がれるので、容器本体内のドーパントが容器本体から飛び出すことはない。
本発明の第の観点の蓋付容器では、先ず、容器本体にドーパントを収容した後に、容器本体の第1係止孔に蓋の第2係止孔が一致するように蓋を被せる。次に、第2係止孔から第1係止孔にかけてテーパピンを打込む。この結果、テーパピンが蓋を容器本体に固定するので、蓋の容器本体からの離脱が阻止される。また、容器本体の開口部は蓋の上面により塞がれるので、容器本体内のドーパントが容器本体から飛び出すことはない。
本発明第1実施形態の原料のリチャージ方法を示しドーパントを原料とともに原料供給管に収容した状態を示す単結晶引上げ装置の縦断面構成図である。 その原料供給管に収容されたドーパントを原料とともにルツボ内のシリコン融液に供給している状態を示す単結晶引上げ装置の縦断面構成図である。 その原料のリチャージ方法に用いられる蓋付容器にドーパントを収容して蓋を取付ける手順を示す斜視図である。 図5のA−A線断面図である。 図4のB矢視図である。 本発明第2実施形態の蓋付容器にドーパントを収容して蓋を取付ける手順を示す斜視図である。 本発明第3実施形態の蓋付容器の分解斜視図である。 その蓋付容器にドーパントを収容して蓋を取付ける手順を示す縦断面図である。 本発明第4実施形態の蓋付容器にドーパントを収容して蓋を取付ける手順を示す斜視図である。 参考例1の抵抗率仕様が8〜12Ω・cmを想定してシリコン融液の初期チャージ質量に対し固化率90%強の引上げを行ったときの抵抗率プロファイルを示す図である。 参考例2の抵抗率仕様が1.5〜2.0Ω・cmを想定してシリコン融液の初期チャージ質量に対し固化率90%強の引上げを行ったときの抵抗率プロファイルを示す図である。 実施例1の抵抗率仕様が0.010〜0.020Ω・cmを想定してシリコン融液の初期チャージ質量に対し固化率90%強の引上げを行ったときの抵抗率プロファイルを示す図である。 実施例2の抵抗率仕様が0.005〜0.010Ω・cmを想定してシリコン融液の初期チャージ質量に対し固化率90%強の引上げを行ったときの抵抗率プロファイルを示す図である。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
図1及び図2に示す引上げ装置10により引上げられる単結晶は、この実施の形態ではシリコン単結晶である。このシリコン単結晶の引上げ装置10は、内部を真空可能に構成されたメインチャンバ12と、このチャンバ12内の中央に設けられたルツボ13とを備える。メインチャンバ12は円筒状の真空容器である。またルツボ13は、石英により形成されシリコン融液14が貯留される有底円筒状の内層容器13aと、黒鉛により形成され上記内層容器13aの外側に嵌合された有底円筒状の外層容器13bとからなる。外層容器13bの底部にはシャフト16の上端が接続され、このシャフト16の下端にはシャフト16を介してルツボ13を回転させかつ昇降させるルツボ駆動手段17が設けられる。更にルツボ13の外周面は円筒状のヒータ18によりルツボ13の外周面から所定の間隔をあけて包囲され、このヒータ18の外周面は円筒状の保温筒19によりヒータ18の外周面から所定の間隔をあけて包囲される。
図1及び図2に示すように、メインチャンバ12にはシリコン原料21をルツボ13内のシリコン融液14に供給するための原料供給管22が挿入される。具体的には、後述する引上げ軸34の下端に取付けられたシードチャック33に、原料供給管22が吊下げられる。この原料供給管22は1つのルツボ13から複数本のシリコン単結晶を引上げるマルチ引上げ法に用いられる。このマルチ引上げ法では、ルツボ13に貯留されたシリコン融液14からシリコン単結晶を引上げた後であって、このシリコン単結晶を引上げたルツボ13内のシリコン融液14から新たに別のシリコン単結晶を引上げる前に、原料供給管22からルツボ13内にシリコン原料21を供給して溶融させる。シリコン原料21は、この実施の形態では、シリコン単結晶又はシリコン多結晶の塊からなる。また、上記原料供給管22は両端が開放された円筒状に形成され、この原料供給管22にはその下端を開閉可能な開閉弁23が設けられる。この開閉弁23は、円錐状の弁本体23aと、下端が弁本体23aの頂部に接続され原料供給管22内を通って上端がシードチャック33に連結された操作棒23bとを有し、シードチャック33は引上げ軸34の下端に連結軸36を介して接続される。また、原料供給管22の上端部には拡径部22aが形成され、プルチャンバ31の下端部内面にはストッパ31aが突設される。原料供給管22は縮径部31a内に挿通され、その拡径部22aはプルチャンバ31のストッパ31aに載るように構成される。シリコン原料21を充填した原料供給管22は、引上げ軸34に吊り下げられ(図1)、引上げ軸34の操作によって炉内を下方に移動し、原料供給管22の拡径部22aがプルチャンバ31のストッパ31aに載ると(図2)、原料供給管22が停止した状態で操作棒23bが下降し、これにより開閉弁23が開いて、原料供給管22に収容されているシリコン原料21がルツボ13に供給されるようになっている。
この実施の形態では、シリコン単結晶にドープするためのドーパント24を、シリコン原料21と同一材質の蓋付容器26であって蓋28の離脱阻止機構29を有する蓋付容器26に収容するドーパント収容工程と、このドーパント24を収容した蓋付容器26をシリコン原料21とともにルツボ13内のシリコン融液14に供給するドーパント供給工程とを含む。上記ドーパント24は、シリコン単結晶にドープするためにシリコン融液14に添加されるボロン(B)、カーボン(C)等であり、シリコン原料21と同一材質の蓋付容器26に収容される(図3(a)及び図4)。
上記蓋付容器26は、この実施の形態では、純度99.999999999%以上の高純度のシリコン単結晶又はシリコン多結晶により、外径及び高さがそれぞれ30〜50mm及び30〜50mm程度である円筒状に形成される(図3〜図5)。ここで、蓋付容器26の純度を上記範囲に限定したのは、蓋付容器26がシリコン融液14に溶解した後にシリコン単結晶の一部となって引上げられても、シリコン単結晶の品質が低下するのを防止するためである。また、蓋付容器26は、ドーパント24を収容する容器本体27と、この容器本体27の開口部を開放可能に閉止する蓋28と、この蓋28が容器本体27から離脱するのを阻止する離脱阻止機構29とを備える。上記容器本体27は円筒状に形成される。蓋28は容器本体27に遊挿可能な円板状にそれぞれ形成された第1及び第2蓋体28a,28bを有する。第1及び第2蓋体28a,28bは同一形状に形成される。また、離脱阻止機構29は、容器本体27の開口部内周面に形成された突起29aと、第1及び第2蓋体28a,28bの外周面に突起29aに相応する形状にそれぞれ形成された第1及び第2凹部29b,29cとを有する。突起29aは容器本体27の軸を中心として互いに対向する位置にそれぞれ1つずつ合計2つ形成される。第1凹部29bは円板状の第1蓋体28aの軸を中心として互いに対向する位置にそれぞれ1つずつ合計2つ形成され、第2凹部29cは円板状の第2蓋体28bの軸を中心として互いに対向する位置にそれぞれ1つずつ合計2つ形成される。上記突起29aは三角板状に形成され、第1及び第2突起29b,29cは三角形状に形成される。この離脱阻止機構29は、シリコン原料21とともに蓋付容器26に収容されたドーパント24をルツボ13内に供給するときに、蓋付容器26の蓋28が容器本体27から離脱するのを阻止する機能を有する。更に、上記蓋付容器26は、その機械加工後に、硝酸(HNO3)とフッ酸(HF)の混合液をエッチング液としてエッチングされることが好ましい。ここで、蓋付容器26をエッチングするのは、機械加工時に蓋付容器26に付着した不純物を除去し、蓋付容器26を高純度のまま保ち、シリコン単結晶の品質の低下を防止するためである。
一方、メインチャンバ12の上端には、内部が連通するようにメインチャンバ12より小径の円筒状のプルチャンバ31が接続される(図1及び図2)。このプルチャンバ31の上端には引上げ回転手段32が設けられる。この引上げ回転手段32は、下端にシードチャック33が取付けられた引上げ軸34を昇降させるとともに、この引上げ軸34をその軸線を中心に回転させるように構成される。また上記シードチャック33には種結晶36が着脱可能に装着される。この種結晶36の下端をシリコン融液14中に浸漬した後、種結晶36を引上げ回転手段32により回転させかつ引上げるとともに、ルツボ13をルツボ駆動手段17により回転させかつ上昇させることにより、種結晶36の下端からシリコン単結晶を引上げて引上げるように構成される。
メインチャンバ12内にはアルゴンガス等の不活性ガスが流通される(図1及び図2)。プルチャンバ31の側面にはガス供給パイプ37の一端が接続され、このガス供給パイプ37の他端は不活性ガスを貯留するタンク(図示せず)に接続される。またメインチャンバ12の下面にはガス排出パイプ38の一端が接続され、このガス排出パイプ38の他端は真空ポンプ39の吸入口に接続される。タンク内の不活性ガスは、ガス供給パイプ37を通ってプルチャンバ31内に導入され、メインチャンバ12内を通った後、ガス排出パイプ38を通ってメインチャンバ12から排出されるように構成される。なお、ガス供給パイプ37及び排出パイプ38にはこれらのパイプを流れる不活性ガスの流量を調整する第1及び第2流量調整弁41,42がそれぞれ設けられる。
またメインチャンバ12内には、シリコン単結晶外周面へのヒータ18の輻射熱の照射を遮るとともに、上記不活性ガスを整流するための熱遮蔽体43が設けられる(図1及び図2)。この熱遮蔽体43は、下方に向うに従って直径が次第に小さくなりかつシリコン融液14から引上げられるシリコン単結晶の外周面をこの外周面から所定の間隔をあけて包囲する円錐台状の筒体43aと、この筒体43aの上縁に連設され外方に略水平方向に張り出すフランジ部43bとを有する。熱遮蔽体43は、フランジ部43bを保温筒19上にリング板43cを介して載置することにより、筒体43aの下縁がシリコン融液14表面から所定のギャップをあけて上方に位置するようにメインチャンバ12内に固定される。
このように構成されたシリコン単結晶の引上げ装置10を用いてマルチ引上げ法によりシリコン単結晶を引上げる方法を説明する。ルツボ13に貯留されたシリコン融液14からシリコン単結晶を引上げた後であって、このシリコン単結晶を引上げたルツボ13内のシリコン融液14から新たに別のシリコン単結晶を引上げる前に、原料供給管22からルツボ13内にシリコン原料21を供給して溶融させる。上記ルツボ13を用いて新たに引上げる別のシリコン単結晶が最後(n番目)のシリコン単結晶でないとき、即ち上記ルツボ13を用いて新たに引上げる別のシリコン単結晶が1番目から(n−1)番目のシリコン単結晶であるとき、この1番目から(n−1)番目のシリコン単結晶のいずれかを引上げる前に、シリコン原料21を原料供給管22からルツボ13に供給する。具体的には、先ず、シリコン単結晶を取出した後の引上げ軸34に、シリコン原料21と低濃度のドーパント(シリコンと合金化したドーパント)とを収容した原料供給管22を吊す(原料収容工程)。このときルツボ13には、各シリコン単結晶の引上げ初期の約半分のシリコン融液14が残されている。次に、引上げ軸34を徐々に下降させていくと、原料供給管22の拡径部22aがプルチャンバ31のストッパ31aに載る。その後、原料供給管22が停止した状態で操作棒23bが下降して、弁本体23aが原料供給管22の下端から離れて開閉弁23が開くので、原料供給管22の開放された下端からシリコン原料21及び低濃度のドーパントがルツボ13に供給される(原料供給工程)。上記原料収容工程と上記原料供給工程とを複数回繰り返してルツボ13に所定量のシリコン原料21及び低濃度のドーパントを投入する。なお、上記低濃度のドーパントは、ボロン等の不純物とシリコンとの合金であるため、シリコン融液の表面と直接接触しても弾け飛ばない。更に、ルツボ13に貯留されたシリコン融液14にシリコン種結晶36を浸して、シリコン単結晶を引上げる。このようなマルチ引上げ法により引上げられるシリコン単結晶は抵抗率の仕様幅がせまいものに適用されるのが大方であって、実施例に記載した参考例1及び2のように、ルツボ13内のシリコン融液14のチャージ量の概ね50%程度の長さの短いシリコン単結晶が製造される。
一方、上記ルツボ13を用いて新たに引上げるシリコン単結晶が最後(n番目)のシリコン単結晶であるときは、その引上げ部分の全域が抵抗率仕様に合致できる製品、主に低抵抗品であれば、歩留まりロスがなく理想的であるので、シリコン原料21とともに多くのドーパント24を供給する必要がある。この最後のシリコン単結晶を引上げる前に、シリコン原料21とともにドーパント24をルツボ13内に供給する。具体的には、先ず、所定量のドーパント24を蓋付容器26に収容した後に(図3(a))、容器本体27の突起29aに第1蓋体28aの第1凹部29bを合せて第1蓋体28aを容器本体27内に挿入し(図3(b))、第1凹部29bが突起29aに合わなくなるように第1蓋体28aを所定の角度だけ回転させる(図3(c))。次いで、容器本体27の突起29aに第2蓋体28bの第2凹部29cを合せて第2蓋体28bを容器本体27内に挿入し(図3(e))、第2凹部29cが第1凹部29bに合わなくなるように第2蓋体28bを所定の角度だけ回転させる(図3(f))。これにより第1及び第2蓋体28a,28bが容器本体27から離脱するのを突起29aが阻止する、即ち蓋28が容器本体27から離脱するのを離脱阻止機構29が阻止する。また、第1凹部29bと第2凹部29cとが合わずにずれて配置されるので(図4及び図5)、容器本体27内のドーパント24が容器本体27から飛び出すことはない。
次に、1番目から(n−1)番目のシリコン単結晶を引上げるときと同様に、原料収容工程と原料供給工程とを複数回繰り返してルツボ13に所定量のシリコン原料21を投入する。但し、上記複数回の原料収容工程のいずれかの工程において、ドーパント24が収容された蓋付容器26を原料供給管22の下端に配置する。このとき蓋付容器26の蓋28が容器本体27から離脱するのを離脱阻止機構29が阻止するので、ドーパント24の収容された蓋付容器26が原料供給管22内を落下している間に、蓋28が容器本体27から容易に外れず、蓋付容器26内のドーパント24が原料供給管22内に流出することはない。この状態で開閉弁23を開き原料供給管22の下端を開放して、ドーパント24を収容した蓋付容器26をシリコン原料21とともにルツボ13内に供給する。このとき蓋付容器26の蓋28が容器本体27から離脱するのを離脱阻止機構29が阻止するので、ドーパント24の収容された蓋付容器26がシリコン融液14表面に落下して蓋付容器26に衝撃荷重が作用しても、蓋28が容器本体27から外れず、またドーパント24の収容された蓋付容器26がシリコン融液14中を下降している間に、蓋28が容器本体27から外れない。
そして、ドーパント24が収容された蓋付容器26はルツボ13の底又は底近傍に達し、その上にシリコン原料14が積み重なるので、ドーパント24が収容された蓋付容器26はルツボ13の底又は底近傍に位置した状態で徐々に溶解して、蓋付容器26内のドーパント24がルツボ13の底又は底近傍でシリコン融液14に添加される。この結果、ドーパント24がシリコン融液14の表面と直接接触する機会がないため、ドーパントが弾け飛ぶのを確実に防止できるので、蓋付容器26内のドーパント24を全てシリコン融液14に添加でき、正確な量のドーパント24をシリコン融液14に添加できる。従って、上記シリコン融液14から引上げられるシリコン単結晶は、ほぼ全長にわたって抵抗率仕様が所定の低抵抗率の範囲内に収まるシリコン単結晶となるので、シリコン単結晶の歩留まりの低下を防止できる。
なお、この実施の形態では、マルチ引上げ法により1つのルツボを用いて、抵抗率仕様が所定の高抵抗率の範囲内に収まる複数本のシリコン単結晶を引上げ、最後のシリコン単結晶を引上げる前に、シリコン原料とともにドーパントをルツボ内に供給して、抵抗率仕様が所定の低抵抗率の範囲内に収まるシリコン単結晶を引上げたが、マルチ引上げ法により引上げられる複数のシリコン単結晶の抵抗率仕様が全て所定の低抵抗率の範囲内に収まるシリコン単結晶にも、本発明の原料のリチャージ方法、又は本発明の単結晶の引上げ方法を適用できる。
<第2の実施の形態>
図6は本発明の第2の実施の形態を示す。この実施の形態では、蓋付容器66の容器本体67が円筒状に形成され、蓋68が容器本体67に遊嵌可能な円筒状に形成される。容器本体67の下面は閉止され、容器本体67の上面は開放される。また、蓋68の上面は閉止され、蓋68の下面は開放される。一方、離脱阻止機構69は、容器本体67の外周面に形成された突起69aと、蓋68の外周面に形成され突起69aに遊嵌可能なL字状溝69bとを有する。上記突起69aは円柱状に形成され、容器本体67の軸方向の略中央に突設される。また、L字状溝69bは、容器本体67の軸線方向に延びる縦溝69cと、容器本体67の円周方向に延びる横溝69dとからなる。縦溝69cは蓋68の下端から軸方向の中央まで延びて設けられ、横溝69dの一端は縦溝69cの上端に連通接続される。更に、蓋68の中心から横溝69dの一端に向って延びる直線と、蓋68の中心から横溝69dの他端に向って延びる直線とのなす角度は、90〜180度程度であることが好ましい。上記蓋付容器66以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
このように構成された蓋付容器66の容器本体67にドーパント24を収容して蓋68をする方法を説明する。先ず、容器本体67にドーパント24を収容した後に(図6(a))、容器本体67に蓋68を被せる。次に、容器本体67の突起69aに蓋68のL字状溝69bの縦溝69cを遊嵌して、L字状溝69bの横溝69dが突起69aに臨む位置まで蓋68を容器本体67に対し軸方向にスライドさせる(図6(b))。更に、蓋68を容器本体67に対して円周方向に回転させ、突起69aにL字状溝69bの横溝69dを遊嵌して、横溝69dの他端が突起69aに当接するまで回転させる(図6(c))。この結果、突起69aにL字状溝69bの横溝69dが係合するので、蓋68の容器本体67からの離脱が阻止される。また、容器本体67の開口部は蓋68の上面により塞がれ、蓋68のL字状溝69bは容器本体67の周面により塞がれるので、容器本体67内のドーパント24が容器本体67から飛び出すことはない。上記以外のシリコン単結晶の引上げ方法、即ちシリコン単結晶の引上げ装置を用いてマルチ引上げ法によりシリコン単結晶を引上げる方法は、第1の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
<第3の実施の形態>
図7及び図8は本発明の第3の実施の形態を示す。この実施の形態では、蓋付容器76の容器本体77が四角筒状に形成され、容器本体77の開口部近傍の互いに対向する側面に一対の第1長孔77a,77aがそれぞれ形成される。容器本体77の下面は閉止され、容器本体77の上面は開放される。上記一対の第1長孔77a,77aは容器本体77の上部に水平方向に延びてそれぞれ形成される。また、蓋78は、容器本体77に遊挿可能な四角板状の中蓋78aと、容器本体77の一対の第1長孔77a,77aに挿通可能に形成され基端に第1長孔77aに挿通不能な頭部78cが形成された外蓋78bとを有する。上記中蓋78aは落とし蓋として機能を有する。また、外蓋78bの基端には、この外蓋78bの一方の面に突出することにより第1長孔77aに挿通不能な頭部78cが形成される、即ち外蓋78bは側面視略L字状に形成される。更に、離脱阻止機構79は、外蓋78bのうち容器本体77の第1長孔77aから容器本体77の外方に突出した先端近傍に形成された第2長孔79aと、この第2長孔79aに挿通可能な抜止め板79bとを有する。抜止め板79bの基端には、この抜止め板79bの一方の面に突出することにより第2長孔79aに挿通不能な頭部79cが形成される、即ち抜止め板79bは側面視略L字状に形成される。上記蓋付容器76以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
このように構成された蓋付容器76の容器本体77にドーパント24を収容して蓋78をする方法を説明する。先ず、容器本体77にドーパント24を収容した後に(図8(a))、中蓋78aを容器本体77に遊挿する(図8(b))。次に、容器本体77の一対の第1長孔77a,77aに外蓋78bを挿通した後に(図8(c))、第1長孔77aから容器本体77の外方に突出した外蓋78bの第2長孔79aに抜止め板79bを挿通する(図8(d))。この結果、外蓋78bが容器本体77の一対の第1長孔77a,77aから抜けるのを抜止め板79bが阻止するので、蓋78の容器本体77からの離脱が阻止される。また、容器本体77の開口部は中蓋78a及び外蓋78bにより塞がれるので、容器本体77内のドーパント24が容器本体77から飛び出すことはない。上記以外のシリコン単結晶の引上げ方法、即ちシリコン単結晶の引上げ装置を用いてマルチ引上げ法によりシリコン単結晶を引上げる方法は、第1の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
<第4の実施の形態>
図9は本発明の第4の実施の形態を示す。この実施の形態では、蓋付容器86の容器本体87が円筒状に形成され、蓋88が容器本体87に遊嵌可能な円筒状に形成される。円筒状の容器本体87の下面は閉止され、上面は開放される。また、円筒状の蓋88の上面は閉止され、下面は開放される。一方、離脱阻止機構89は、容器本体87の開口部近傍の周面に形成された第1係止孔89aと、蓋88の周面に形成され蓋88の容器本体87への遊嵌時に第1係止孔89aに連通する第2係止孔89bと、第2係止孔89b及び第1係止孔89aに圧入されてこれらの係止孔89b,89aに係止可能なテーパピン89cとを有する。第1及び第2係止孔89a,89bは円形にそれぞれ形成され、テーパピン89cの大径部は第1及び第2係止孔89a,89bの孔径より僅かに大きく形成され、テーパピン89cの小径部は第1及び第2係止孔89a,89bの孔径より僅かに小さく形成される。上記蓋付容器以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
このように構成された蓋付容器86の容器本体87にドーパント24を収容して蓋89をする方法を説明する。先ず、容器本体87にドーパント24を収容した後に(図9(a))、容器本体87の第1係止孔89aに蓋89の第2係止孔89bが一致するように蓋89を被せる(図9(b))。次に、第2係止孔89bから第1係止孔89aにかけてテーパピン89cを打込む(図9(c)及び図9(d))。この結果、テーパピン89cが蓋88を容器本体87に固定するので、蓋88の容器本体87からの離脱が阻止される。また、容器本体87の開口部は蓋88の上面により塞がれるので、容器本体87内のドーパント24が容器本体87から飛び出すことはない。上記以外のシリコン単結晶の引上げ方法、即ちシリコン単結晶の引上げ装置を用いてマルチ引上げ法によりシリコン単結晶を引上げる方法は、第1の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
なお、第1の実施の形態では、容器本体の開口部内周面に突起を2つ形成し、第1蓋体の外周面に第1凹部を2つ形成し、第2蓋体の外周面に第2凹部を2つ形成したが、容器本体の開口部内周面に突起を1つ形成し、第1蓋体の外周面に第1凹部を1つ形成し、第2蓋体の外周面に第2凹部を1つ形成してもよい。また、上記第1の実施の形態では、開閉弁を閉じた状態で原料供給管にシリコン原料を収容するときに、ドーパントが収容された蓋付容器を原料供給管の下端に配置させたが、ドーパントが収容された蓋付容器を原料供給管の下端近傍に配置させてもよい。
次に本発明の実施例を参考例とともに詳しく説明する。
<参考例1及び実施例1>
図1及び図2に示すシリコン単結晶の引上げ装置を用いて、抵抗率仕様を8〜12Ω・cmと高抵抗率の範囲内に想定した直径約200mmの2本のシリコン単結晶を1つのルツボから引上げた。上記ルツボを用いて引上げるシリコン単結晶が1番目のシリコン単結晶であるとき、この1番目のシリコン単結晶を引上げる前に、シリコン原料を原料供給管からルツボに供給した。具体的には、先ず、開閉弁を閉じた状態で原料供給管に一定量の原料及び低濃度のドーパント(シリコンとボロンの合金)を収容した(原料収容工程)。このとき、ドーパントが収容された蓋付容器は原料供給管に収容しなかった。次に、開閉弁を開いて原料供給管の開放された下端からシリコン原料及び低濃度のドーパントをルツボに供給した(原料供給工程)。上記原料収容工程と上記原料供給工程とを3回繰り返してルツボに所定量のシリコン原料及び低濃度のドーパントを投入した。更に、ルツボに貯留されたシリコン融液にシリコン種結晶を浸して、シリコン単結晶を引上げた。このシリコン単結晶を参考例1とした。
上記ルツボを用いて引上げるシリコン単結晶が最後(3番目)のシリコン単結晶であるとき、このシリコン単結晶の抵抗率仕様を0.010〜0.020Ω・cmと低抵抗率の範囲内に想定した。このため、最後のシリコン単結晶を引上げる前に、シリコン原料とともにドーパントとして所定量のボロン(B)をルツボ内に供給した。具体的には、先ず、所定量のドーパントを蓋付容器に収容した後に(図3(a))、容器本体の突起に第1蓋体の第1凹部を合せて第1蓋体を容器本体内に挿入し(図3(b))、第1凹部が突起に合わなくなるように第1蓋体を所定の角度だけ回転させた(図3(c))。次いで、容器本体の突起に第2蓋体の第2凹部を合せて第2蓋体を容器本体内に挿入し(図3(e))、第2凹部が第1凹部に合わなくなるように第2蓋体を所定の角度だけ回転させた(図3(f))。次に、1番目のシリコン単結晶を引上げるときと同様に、原料収容工程と原料供給工程とを3回繰り返してルツボに所定量のシリコン原料を投入した。但し、上記3回の原料収容工程のうちの1回目の原料収容工程において、ドーパントが収容された蓋付容器を原料供給管の下端に配置した。この状態で開閉弁を開き原料供給管の下端を開放して、ドーパントを収容した蓋付容器をシリコン原料とともにルツボ内に供給した。そして、ドーパントが収容された蓋付容器はルツボの底に達し、その上にシリコン原料が積み重なった。更に、ドーパントが収容された蓋付容器はルツボの底に位置した状態で徐々に溶解して、蓋付容器内のドーパントがルツボの底でシリコン融液に添加された。このルツボ内のドーパント(ボロン(B))が添加されたシリコン融液にシリコン種結晶を浸して、シリコン単結晶を引上げた。このシリコン単結晶を実施例1とした。
<参考例2及び実施例2>
図1及び図2に示すシリコン単結晶の引上げ装置を用いて、抵抗率仕様を1.5〜2.0Ω・cmと高抵抗率の範囲内に想定した直径約200mmの2本のシリコン単結晶を1つのルツボから順次引上げた。上記ルツボを用いて引上げるシリコン単結晶が1番目のシリコン単結晶であるとき、参考例1と同様にして原料収容工程と原料供給工程とを3回繰返してルツボに所定量のシリコン原料を投入した。更に、ルツボに貯留されたシリコン融液にシリコン種結晶を浸して、シリコン単結晶を引上げた。このシリコン単結晶を参考例2とした。
上記ルツボを用いて引上げるシリコン単結晶が最後(3番目)のシリコン単結晶であるとき、このシリコン単結晶の抵抗率仕様を0.005〜0.010Ω・cmと低抵抗率の範囲内に想定した。このため、最後のシリコン単結晶を引上げる前に、シリコン原料とともに所定量のドーパントとしてボロン(B)をルツボ内に供給した。そして、実施例1と同様に、蓋付容器の容器本体に所定量のドーパントを収容して蓋をした後に、原料収容工程と原料供給工程とを3回繰り返してルツボに所定量のシリコン原料を投入した。但し、上記3回の原料収容工程のうちの1回目の原料収容工程において、ドーパントが収容された蓋付容器を原料供給管の下端に配置した。この状態で開閉弁を開き原料供給管の下端を開放して、ドーパントを収容した蓋付容器をシリコン原料とともにルツボ内に供給した。更に、ドーパントが収容された蓋付容器はルツボの底に位置した状態で徐々に溶解して、蓋付容器内のドーパントがルツボの底でシリコン融液に添加された。このルツボ内のドーパント(ボロン(B))が添加されたシリコン融液にシリコン種結晶を浸して、シリコン単結晶を引上げた。このシリコン単結晶を実施例2とした。
<比較試験1及び評価>
参考例1及び2と実施例1及び2のシリコン単結晶を所定の幅で切断して複数の輪切り体を作製し、この輪切り体の抵抗率をLoresta-GP MCP-T610(三菱化学アナリテック社製)によりそれぞれ測定した。その結果を図10〜図13に示す。なお、図10〜13において、固化率とは、ルツボに貯留されたシリコン融液の初期チャージ質量に対するシリコン単結晶の引上げ質量の割合をいう。また、図10には、抵抗率仕様が8〜12Ω・cmを想定してシリコン融液の初期チャージ質量に対し固化率90%強の引上げを行ったときの抵抗率プロファイルを示し、図11には、抵抗率仕様が1.5〜2.0Ω・cmを想定してシリコン融液の初期チャージ質量に対し固化率90%強の引上げを行ったときの抵抗率プロファイルを示す。更に、図12には、抵抗率仕様が0.010〜0.020Ω・cmを想定してシリコン融液の初期チャージ質量に対し固化率90%強の引上げを行ったときの抵抗率プロファイルを示し、図13には、抵抗率仕様が0.005〜0.010Ω・cmを想定してシリコン融液の初期チャージ質量に対し固化率90%強の引上げを行ったときの抵抗率プロファイルを示す。
図10から明らかなように、抵抗率仕様を8〜12Ω・cmと高抵抗率の範囲内に想定した参考例1のシリコン単結晶では、固化率が約0.85のときに抵抗率が抵抗率仕様の下限値の8Ω・cmとなり、斜線領域の破線部が抵抗率仕様に合致せず製品化できない部分となってしまうので、シリコン単結晶の引上げは50%程度の固化率で行った。また、図11から明らかなように、抵抗率仕様を1.5〜2.0Ω・cmと高抵抗率の範囲内に想定した参考例2のシリコン単結晶では、固化率が約0.73のときに抵抗率が抵抗率仕様の下限値である1.5Ω・cmとなり、斜線領域の破線部が抵抗率仕様に合致せず製品化できない部分となってしまうので、参考例1の1番目及び2番目のシリコン単結晶の引上げと同様に、参考例2の1番目及び2番目のシリコン単結晶の引上げは、それぞれ50%程度の固化率で行った。
一方、図12から明らかなように、抵抗率仕様を0.010〜0.020Ω・cmと低抵抗率の範囲内に想定した実施例1のシリコン単結晶では、全ての固化率領域で抵抗率仕様に合致し、製品化できない部分は発生しなかった。また、図13から明らかなように、抵抗率仕様を0.005〜0.010Ω・cmと低抵抗率の範囲内に想定した実施例2のシリコン単結晶では、全ての固化率領域で抵抗率仕様に合致し、製品化できない部分は発生しなかった。
上述のことから、マルチ引上げ法により引上げられる複数本のシリコン単結晶のうち最後に引上げられるシリコン単結晶では、シリコン単結晶の全長に対して抵抗率仕様が所定の高抵抗率の範囲を外れる長さの割合が大きくなり、歩留まりが低下したけれども(参考例1及び2)、最後のシリコン単結晶を引上げる前に、高濃度のドーパントを原料とともにルツボに供給して溶融させることにより、最後に引上げられるシリコン単結晶の全長に対する抵抗率仕様が所定の低抵抗率の範囲内に収めることができるので、歩留まりの低下を防止できることが分かった(実施例1及び2)。なお、実施例1及び2に記載の低抵抗結晶(P型 抵抗率:0.005〜0.020Ω・cm程度)を得るには、高濃度のドーパント(ボロン:1018〜1020/cm3程度)を引上げ単結晶に添加する必要があるため、ドーパントとして通常は金属ボロンを用いる。一方、参考例1及び2に記載の高抵抗結晶(P型 抵抗率:1〜20Ω・cm程度)を得るには、低濃度のドーパント(ボロン:1015〜1016/cm3程度)を引上げ単結晶に添加すればよいので、ドーパントとして通常はシリコンに微量のボロンが添加されたシリコン−ボロン合金を用いる。金属ボロンはシリコン融液の表面に接触すると弾け飛ぶことがあるけれども、シリコン−ボロン合金は大部分がシリコン融液と同じシリコンであるので弾け飛ぶことはない。
13 ルツボ
14 シリコン融液
21 シリコン原料
22 原料供給管
23 開閉弁
24 ドーパント
26,66,76,86 蓋付容器
27,67,77,87 容器本体
28,68,78,88 蓋
28a 第1蓋体
28b 第2蓋体
29 離脱阻止機構
29a,69a 突起
29b 第1凹部
29c 第2凹部
69b L字状溝
69c 縦溝
69d 横溝
77a 第1長孔
78a 中蓋
78b 外蓋
78c 外蓋の頭部
79a 第2長孔
79b 抜止め板
89a 第1係止孔
89b 第2係止孔
89c テーパピン

Claims (4)

  1. 原料のリチャージ又は単結晶引上げに用いられ、単結晶のドーパントを融液に添加するために原料と同一材質により形成された蓋付容器であって、
    ドーパントを収容する容器本体と、
    この容器本体の開口部を開放可能に閉止する蓋と、
    前記蓋が前記容器本体から離脱するのを阻止する離脱阻止機構と
    を備え、
    前記容器本体が円筒状に形成され、前記蓋が前記容器本体に遊挿可能な円板状にそれぞれ形成された第1及び第2蓋体を有し、前記離脱阻止機構が、前記容器本体の開口部内周面に形成された突起と、前記第1及び第2蓋体の外周面に前記突起に相応する形状にそれぞれ形成された第1及び第2凹部とを有することを特徴とする蓋付容器。
  2. 原料のリチャージ又は単結晶引上げに用いられ、単結晶のドーパントを融液に添加するために原料と同一材質により形成された蓋付容器であって、
    ドーパントを収容する容器本体と、
    この容器本体の開口部を開放可能に閉止する蓋と、
    前記蓋が前記容器本体から離脱するのを阻止する離脱阻止機構と
    を備え、
    前記容器本体が円筒状に形成され、前記蓋が前記容器本体に遊嵌可能な円筒状に形成され、前記離脱阻止機構が、前記容器本体の外周面に形成された突起と、前記蓋の外周面に形成され前記突起に遊嵌可能なL字状溝とを有し、前記L字状溝が、前記容器本体の軸線方向に延びる縦溝と、前記容器本体の円周方向に延びる横溝とからなることを特徴とする蓋付容器。
  3. 原料のリチャージ又は単結晶引上げに用いられ、単結晶のドーパントを融液に添加するために原料と同一材質により形成された蓋付容器であって、
    ドーパントを収容する容器本体と、
    この容器本体の開口部を開放可能に閉止する蓋と、
    前記蓋が前記容器本体から離脱するのを阻止する離脱阻止機構と
    を備え、
    前記容器本体が四角筒状に形成され、前記容器本体の開口部近傍の互いに対向する側面に一対の第1長孔がそれぞれ形成され、前記蓋が、前記容器本体に遊挿可能な四角板状の中蓋と、前記容器本体の一対の第1長孔に挿通可能に形成され基端に前記第1長孔に挿通不能な頭部が形成された外蓋とを有し、前記離脱阻止機構が、前記外蓋の前記第1長孔から突出した先端近傍に形成された第2長孔と、前記第2長孔に挿通可能な抜止め板とを有することを特徴とする蓋付容器。
  4. 原料のリチャージ又は単結晶引上げに用いられ、単結晶のドーパントを融液に添加するために原料と同一材質により形成された蓋付容器であって、
    ドーパントを収容する容器本体と、
    この容器本体の開口部を開放可能に閉止する蓋と、
    前記蓋が前記容器本体から離脱するのを阻止する離脱阻止機構と
    を備え、
    前記容器本体が円筒状に形成され、前記蓋が前記容器本体に遊嵌可能な円筒状に形成され、前記離脱阻止機構が、前記容器本体の開口部近傍の周面に形成された第1係止孔と、前記蓋の周面に形成され前記蓋の前記容器本体への遊嵌時に前記第1係止孔に連通する第2係止孔と、前記第2係止孔及び前記第1係止孔に圧入されてこれらの係止孔に係止可能なテーパピンとを有することを特徴とする蓋付容器。
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