以下、本実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
[画像形成装置1の構成]
図1は、本発明の実施の形態における画像形成装置1の全体構成を示す図である。図2は、本実施の形態における画像形成装置1の制御ブロックを示す図である。図1、2に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に転写(一次転写)し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙Sに転写(二次転写)することにより、画像を形成する。
また、画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
図2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60、通信部70、記憶部80及び制御部100を備える。
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。CPUは、ROMから処理内容に応じたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部80に格納されている各種データが参照される。記憶部80は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
制御部100は、通信部70を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部100は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙Sに画像を形成させる。通信部70は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11及び原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることが可能となる。
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部100の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示す。図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413(感光体)、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備える。
感光体ドラム413は、例えばドラム径が80[mm]のアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。電荷発生層は、電荷発生材料(例えばフタロシアニン顔料)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト)に分散させた有機半導体からなり、露光装置411による露光により一対の正電荷と負電荷を発生する。電荷輸送層は、正孔輸送性材料(電子供与性含窒素化合物)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト樹脂)に分散させたものからなり、電荷発生層で発生した正電荷を電荷輸送層の表面まで輸送する。
制御部100は、感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413を一定の周速度で回転させる。
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
現像装置412は、二成分現像方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレード等を有し、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーを除去する。感光体ドラム413を含むドラムユニットには、潤滑剤塗布ブラシで削り取り粉体となった潤滑剤を感光体ドラム413に塗布する潤滑剤塗布装置が設けられる。
中間転写ユニット42(本発明の「転写装置」に対応)は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424(本発明の「転写部材」に対応)、対向ローラー425(本発明の「対向部材」に対応)、付勢ローラー426(本発明の「付勢部材」に対応)、保持部材427、移動部428及びベルトクリーニング装置460等を備える。
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423及び二次転写ローラー424にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも一つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
中間転写ベルト421は、導電性および弾性を有するベルトであり、表面に体積抵抗率が8〜11[logΩ・cm]である高抵抗層を有する。中間転写ベルト421は、制御部100からの制御信号によって回転駆動される。なお、中間転写ベルト421については、導電性および弾性を有するものであれば、材質、厚さおよび硬度を限定しない。
一次転写ローラー422は、芯金と、芯金の外周を覆う弾性層とを有する発泡ローラーである。芯金の材質は、アルミ等の金属である。弾性層の材質は、導電性を有するポリウレタンフォームである。一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側の中間転写ベルト421の内周面側に配置される。対向ローラー425は、二次転写ローラー424に対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424が対向ローラー425に圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側(一次転写ローラー422と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
その後、用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙Sの裏面側(二次転写ローラー424と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙Sに静電的に転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
ベルトクリーニング装置460は、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。なお、二次転写ローラー424に代えて、二次転写ローラーを含む複数の支持ローラーに、二次転写ベルトがループ状に張架された構成(いわゆるベルト式の二次転写ユニット)を採用しても良い。
定着部60は、用紙Sの定着面(トナー像が形成されている面)側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Sの裏面(定着面の反対の面)側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B、及び加熱源60C等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙Sを狭持して搬送する定着ニップが形成される。
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。また、定着器Fには、エアを吹き付けることにより、定着面側部材又は裏面側支持部材から用紙Sを分離させるエア分離ユニットが配置されていても良い。
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類ごとに収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53a等の複数の搬送ローラー対を有する。
給紙トレイユニット51a〜51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
次に、図3を参照し、中間転写ユニット42(転写装置)の構成について説明する。図3は、本実施の形態における中間転写ユニット42(転写装置)の構成の一例を示す図である。
図3に示すように、二次転写ローラー424、付勢ローラー426、保持部材427、移動部428は、中間転写ベルト421の内側に配置される。また、対向ローラー425は、中間転写ベルト421の外側に配置される。また、図3に示す中間転写ユニット42は、二次転写ローラー424と対向ローラー425との間で二次転写ニップが形成された状態を示している。そして、図3の直線Xは、二次転写ニップが形成された状態で、二次転写ローラー424の回転軸と対向ローラー425の回転軸とを結ぶ直線である。
二次転写ローラー424は、芯金424aを回転軸にして回転するローラーである。例えば、二次転写ローラー424は、外径φ=12mm、芯金径φ=6mmであり、半導電性のソリッドゴム層と、ソリッドゴム層の表面に設けられたコート層とを有する。コート層は、ソリッドゴム層の表面を平滑にし、汚れや異物の付着を防止するために設けられる。また、芯金424aには、トナーと同極性であるマイナスの二次転写バイアスが電圧印加部100aにより印加される。
付勢ローラー426は、芯金426aを回転軸にして回転するローラーである。付勢ローラー426は、外径φ=20mmの金属製である。付勢ローラー426のヤング率は、二次転写ローラー424のヤング率よりも大きい。付勢ローラー426は、二次転写ローラー424に付勢し、二次転写ローラー424の回転に従動して回転する。付勢ローラー426は、二次転写ローラー424に印加される二次転写バイアスがリークしないように、電気的に絶縁されている。
対向ローラー425は、回転中心425aを中心に回転する支持部材425bに支持されて、中間転写ベルト421に対して離接可能に移動する。例えば、対向ローラー425は、外径φ=30mm、芯金径φ=20mmのローラーであり、半導電性のソリッドゴム層と、ソリッドゴム層の表面に設けられたコート層とを有する。また、対向ローラー425のヤング率は、二次転写ローラー424のヤング率よりも大きい。対向ローラー425は、中間転写ベルト421を挟んで二次転写ローラー424に当接するように移動することにより、二次転写ローラー424との間で二次転写ニップを形成する。対向ローラー425は、電気的に接地されている。そのため、対向ローラー425と二次転写ローラー424との間に転写電界が形成され、用紙に中間転写ベルト421上のトナーが転写される。
保持部材427は、二次転写ローラー424および付勢ローラー426の軸方向の両端に設けられ、二次転写ローラー424および付勢ローラー426を保持する。具体的には、保持部材427は、丸穴427aと、長穴427bとを有する。丸穴427aは、芯金426aの芯金径と略同一の径を有し、付勢ローラー426の芯金426aの端部を回転可能に保持する。長穴427bは、直線X方向に延びた穴である。直線Xの方向における長穴427bの両端の弧は、芯金424aと略同一の曲率を有する。長穴427bは、二次転写ローラー424の芯金424aの端部を回転可能に、かつ、直線X方向に移動可能に保持する。
直線Xは、二次転写ニップが形成された状態で、二次転写ローラー424の回転軸と対向ローラー425の回転軸とを結ぶ直線である。つまり、保持部材427は、二次転写ニップが形成された場合において、二次転写ローラー424が付勢ローラー426の軸の中心と対向ローラー425の軸の中心とを結ぶ直線上を移動するように、二次転写ローラー424を保持する。
移動部428は、制御部100の制御によって回転可能なカムである。移動部428は、保持部材427の一端と当接し、保持部材427を押圧して、二次転写ニップ側へ移動させる。図3に示す移動部428は、時計回りに回転する回転量が多いほど、保持部材427を押圧する量が多くなる。移動部428は、反時計回りに回転する回転量が多いほど、保持部材427を押圧する量が少なくなる。
異物除去部430は、付勢ローラー426の表面に摺接されるスクレイパーなどを含む。異物除去部430は、付勢ローラー426の表面に付着するホコリなどの異物を除去する。
位置検出部429は、対向ローラー425と二次転写ローラー424との間で形成される二次転写ニップの位置を検出するセンサーである。例えば、位置検出部429は、二次転写ローラー424の外周のうち、二次転写ローラー424の下端が所望の二次転写ニップ位置に存在するか否かを検出する。位置検出部429は、検出した位置を制御部100へ出力する。
図4を参照し、具体的な位置検出部429の構成について説明する。図4は、本実施の形態における位置検出部429の構成の一例を示す図である。なお、図4は、図3の直線Xにおける断面に垂直な方向から見た、位置検出部429、二次転写ローラー424、付勢ローラー426、保持部材427、および、移動部428を示している。
図4の例では、位置検出部429は、検出光を所望の検出点に向けて出射し、反射光を検出することにより、所望の検出点に検出対象が存在するか否かを検出する反射型のフォトセンサーである。図4に示すように、位置検出部429は、二次転写ローラー424の軸方向の外側に設けられる。そして、位置検出部429は、図4における二次転写ローラー424の下端が所望の二次転写ニップ位置に存在するか否かを検出する。
具体的には、位置検出部429は、所望の二次転写ニップ位置に向けて検出光を出射する。そして、位置検出部429は、反射光を検出しない場合、二次転写ローラー424の下端が所望の二次転写ニップ位置よりも直線Xの方向において中間転写ベルト421の内側に存在することを検出する。位置検出部429は、反射光を検出した場合、二次転写ローラー424の下端が所望の二次転写ニップ位置か、または、所望の二次転写ニップ位置よりも直線Xの方向において中間転写ベルト421の外側に存在することを検出する。位置検出部429は、検出結果を制御部100へ出力する。
次に、図3、4を参照し、制御部100における二次転写ニップの形成方法について説明する。
制御部100は、位置検出部429から受け取る検出結果に基づいて、移動部428を回転させることにより、保持部材427を移動させる。保持部材427が移動することにより、二次転写ローラー424の下端は、付勢ローラー426に付勢された状態を保ったまま、所望の二次転写ニップ位置まで移動する。
例えば、制御部100は、二次転写ローラー424の下端が所望の二次転写ニップ位置よりも直線Xの方向において中間転写ベルト421の内側に存在することを示す検出結果を受け取った場合、移動部428を時計回りに回転させ、保持部材427を中間転写ベルト421の外側の方へ移動させる。また、制御部100は、二次転写ローラー424の下端が所望の二次転写ニップ位置か、または、所望の二次転写ニップ位置よりも直線Xの方向において中間転写ベルト421の外側に存在することを示す検出結果を受け取った場合、移動部428を反時計回りに回転させ、保持部材427を中間転写ベルト421の内側の方へ移動させる。
制御部100は、移動部428の回転量を徐々に小さくしながら移動部428を時計回りまたは反時計回りに繰り返し回転させることにより、二次転写ローラー424の下端を所望の二次転写ニップ位置に位置するように、保持部材427を移動させる。
制御部100が位置検出部429の検出結果に基づいて保持部材427を移動させることにより、二次転写ローラー424が所望の二次転写ニップ位置に移動する。その後、対向ローラー425は、中間転写ベルト421を挟んで二次転写ローラー424に圧接するように移動することにより、二次転写ローラー424と二次転写ニップを形成する。
以上詳しく説明したように、本実施の形態における転写装置は、二次転写ローラー(転写部材)424と、二次転写ローラー(転写部材)424に対向する位置に設けられ、二次転写ローラー(転写部材)424との間で転写ニップを形成する対向ローラー(対向部材)425と、二次転写ローラー(転写部材)424に当接して当該二次転写ローラー(転写部材)424を転写ニップ側に付勢する付勢ローラー(付勢部材)426と、二次転写ローラー(転写部材)424および付勢ローラー(付勢部材)426の少なくとも一方が前記転写ニップ側に移動するように、二次転写ローラー(転写部材)424および付勢ローラー(付勢部材)426を保持する保持部材427と、保持部材427を転写ニップ側に移動させる移動部428と、を備える。
このように構成した本実施の形態によれば、保持部材427により二次転写ローラー424および付勢ローラー426の少なくとも一方は移動可能に保持されることにより、二次転写ローラー424および付勢ローラー426に外径公差がある場合でも二次転写ローラー424および付勢ローラー426の軸の間隔の調整を行う事ができる。この構成により、二次転写ローラー424の撓みを抑制しつつ、正確な転写ニップ位置でのピーク圧を大きくすることができる。
ここで、正確な転写ニップ位置とは、用紙が二次転写ニップに導入された際に、画像のチリや中間転写ベルト421とのこすれによる汚れが発生せず、放電ノイズが発生しないような導入角度を維持することができる位置であり、かつ、用紙が二次転写ニップから導出された際に、放電ノイズが発生せず、巻きつきジャムが発生しないような導出角度を維持することができる位置である。
また、この構成によれば、二次転写ローラーの摩耗等に起因して、経時でのローラー径の変動が生じた場合でも、二次転写ローラーおよび付勢ローラーの軸の間隔を転写装置の使用開始時点の軸の間隔と同じ状態に保持することができる。これにより、転写装置の使用開始時点と同様の当接状態を実現することができる。
また、本実施の形態における転写装置は、二次転写ローラー424の位置を検出する位置検出部429を更に備え、移動部428は、位置検出部429の検出結果に基づいて、二次転写ローラー424の位置が所定位置となるように、保持部材427を移動させる。
このように構成した本実施の形態によれば、保持部材427が二次転写ローラー424および付勢ローラー426の少なくとも一方を移動可能に保持する構成であっても、正確な転写ニップ位置で二次転写ニップを形成でき、中間転写ベルト421と用紙が搬送される経路の軌跡を狙い通りの位置、より具体的には転写ニップにおける放電ノイズの発生、および、用紙搬送負荷が生じることによるジャムや転写ずれの発生を防止することができる位置に維持することができる。
また、本実施の形態では、付勢ローラー426および対向ローラー425のヤング率は、二次転写ローラー424のヤング率よりも大きい。この構成により、外径の小さい二次転写ローラーを使用して、狭いニップ幅でピーク圧を高くしようとする場合であっても、付勢ローラー426および対向ローラー425の撓み剛性により二次転写ローラー424の撓みを抑制することができる。
また、本実施の形態では、二次転写ローラー424には、ソリッドゴム層が用いられる。この構成により、より狭いニップ幅で高いピーク圧の転写ニップを得ることができる。
また、本実施の形態では、付勢ローラー426は、電気的に絶縁されている。これにより、二次転写ローラー424に印加された二次転写バイアスが付勢ローラー426へリークすることを防ぐことができるため、転写性能の低下を防ぐことができる。
また、本実施の形態では、保持部材427は、転写ニップが形成された場合において二次転写ローラー424および付勢ローラー426の少なくとも一方が、付勢ローラー426の軸の中心と対向ローラー425の軸の中心とを結ぶ直線上を移動するように、二次転写ローラー424および付勢ローラー426の少なくとも一方を保持する。この構成により、移動部428が保持部材427を介して二次転写ローラー424および付勢ローラー426を押圧する押圧力が、無駄なく転写ニップにおけるピーク圧に変換される。
また、本実施の形態における転写装置は、付勢ローラー426の表面に付着する異物を除去する異物除去部を備える。この構成により、付勢ローラー426の表面に付着した異物の影響で付勢ローラー426と二次転写ローラー424とが当接する部分に隙間ができ、その隙間により二次転写ローラー424に撓みが発生してしまうことを防止することができる。
(本実施の形態の変形例)
次に、図5を参照し、中間転写ユニット42の構成の変形例について説明する。なお、図5において、図3と同一の構成については、同一の符番を付し、その説明を省略する。
図5に示すように、二次転写ローラー(本発明の「転写部材」に対応)431、付勢ローラー(本発明の「付勢部材」に対応)432、保持部材(本発明の「保持部材」に対応)433は、中間転写ベルト421の外側に配置される。また、対向ローラー(本発明の「対向部材」に対応)434、付勢ローラー(本発明の「第2付勢部材」に対応)435、保持部材(本発明の「第2保持部材」に対応)436は中間転写ベルト421の内側に配置される。
二次転写ローラー431は、芯金431aを回転軸にして回転するローラーである。例えば、二次転写ローラー431は、外径φ=12mm、芯金径φ=6mmであり、半導電性のソリッドゴム層と、ソリッドゴム層の表面に設けられたコート層とを有する。コート層は、ソリッドゴム層の表面を平滑にし、汚れや異物の付着を防止するために設けられる。また、芯金431aには、トナーと逆極性であるプラスの二次転写バイアスが電圧印加部100aにより印加される。
付勢ローラー432は、芯金432aを回転軸にして回転するローラーである。付勢ローラー432は、外径φ=20mmの金属製である。付勢ローラー432のヤング率は二次転写ローラー431のヤング率よりも大きい。付勢ローラー432は、二次転写ローラー431に付勢し、二次転写ローラー431の回転に従動して回転する。付勢ローラー432は、二次転写ローラー431に印加される二次転写バイアスがリークしないように、電気的に絶縁されている。
保持部材433は、二次転写ローラー431および付勢ローラー432の軸方向の両端に設けられ、二次転写ローラー431および付勢ローラー432を保持する。具体的には、保持部材433は、丸穴433aと、長穴433bとを有する。丸穴433aは、芯金432aの芯金径と略同一の径を有し、付勢ローラー432の芯金432aの端部を回転可能に保持する。長穴433bは、直線X方向に延びた穴であり、直線Xの方向における長穴433bの両端の弧は、芯金431aと略同一の曲率を有する。長穴433bは、二次転写ローラー431の芯金431aの端部を回転可能に、かつ、直線X方向に移動可能に保持する。
また、保持部材433は、二次転写ローラー431および付勢ローラー432を保持した状態で、回転中心433cを中心に回転する支持部材433dに支持されて、中間転写ベルト421に対して離接可能に移動する。保持部材433が二次転写ローラー431および付勢ローラー432を保持した状態で中間転写ベルト421の方向へ移動することにより、二次転写ローラー431と対向ローラー434とが転写ニップを形成する。
対向ローラー434は、芯金434aを回転軸にして回転するローラーである。例えば、対向ローラー434は、外径φ=30mm、芯金径φ=20mmであり、半導電性のソリッドゴム層と、ソリッドゴム層の表面に設けられたコート層とを有する。また、対向ローラー434のヤング率は、二次転写ローラー431のヤング率よりも大きい。対向ローラー434は、中間転写ベルト421を挟んで二次転写ローラー431に当接するように移動することにより、二次転写ローラー431との間で二次転写ニップを形成する。対向ローラー434は、電気的に接地されている。そのため、対向ローラー434と二次転写ローラー431との間に転写電界が形成され、用紙に中間転写ベルト421上のトナーが転写される。
付勢ローラー435は、芯金435aを軸にして回転するローラーである。付勢ローラー435は、外径φ=20mmの金属製である。付勢ローラー435のヤング率は対向ローラー434のヤング率よりも大きい。付勢ローラー435は、対向ローラー434に付勢し、対向ローラー434の回転に従動して回転する。
保持部材436は、対向ローラー434および付勢ローラー435の軸方向の両端に設けられ、対向ローラー434および付勢ローラー435を保持する。具体的には、保持部材436は、丸穴436aと、長穴436bとを有する。丸穴436aは、芯金435aの芯金径と略同一の径を有し、付勢ローラー435の芯金435aの端部を回転可能に保持する。長穴436bは、直線X方向に延びた穴であり、直線Xの方向における長穴436bの両端の弧は、芯金434aと略同一の曲率を有する。長穴436bは、対向ローラー434の芯金434aの端部を回転可能に、かつ、直線X方向に移動可能に保持する。
移動部437は、制御部100の制御によって回転可能なカムである。移動部437は、保持部材436の一端と当接し、保持部材436を押圧して、二次転写ニップ側へ移動させる。図5に示す移動部437は、時計回りに回転する回転量が多いほど、保持部材436を押圧する量が多くなる。移動部437は、反時計回りに回転する回転量が多いほど、保持部材436を押圧する量が少なくなる。
異物除去部438は、付勢ローラー435の表面に摺接されるスクレイパーなどを含む。異物除去部438は、付勢ローラー435の表面に付着するホコリなどの異物を除去する。
位置検出部439は、対向ローラー434と二次転写ローラー431との間で形成される二次転写ニップの位置を検出するセンサーである。例えば、位置検出部439は、対向ローラー434の外周のうち、二次転写ニップが形成される位置を検出する。位置検出部439は、検出した位置を制御部100へ出力する。位置検出部439の具体的な構成例については図4にて説明した位置検出部429の構成と同様であるので説明を省略する。
次に、図5を参照し、制御部100における二次転写ニップの形成方法について説明する。
制御部100は、位置検出部439から受け取る検出結果に基づいて、移動部437を回転させることにより、保持部材436を移動させる。保持部材436が移動することにより、対向ローラー434は、付勢ローラー435に付勢された状態を保ったまま、所望の転写ニップ位置まで移動する。
例えば、制御部100は、対向ローラー434の下端が所望の二次転写ニップ位置よりも直線Xの方向において中間転写ベルト421の内側に存在することを示す検出結果を受け取った場合、移動部437を時計回りに回転させ、保持部材436を中間転写ベルト421の外側の方へ移動させる。また、制御部100は、対向ローラー434の下端が所望の二次転写ニップ位置か、または、所望の二次転写ニップ位置よりも直線Xの方向において中間転写ベルト421の外側に存在することを示す検出結果を受け取った場合、移動部437を反時計回りに回転させ、保持部材436を中間転写ベルト421の内側の方へ移動させる。
制御部100は、移動部437の回転量を徐々に小さくしながら移動部437を時計回りまたは反時計回りに繰り返し回転させることにより、対向ローラー434の下端を所望の二次転写ニップ位置に位置するように、保持部材436を移動させる。
制御部100が位置検出部439の検出結果に基づいて保持部材436を移動させることにより、対向ローラー434が所望の二次転写ニップ位置に移動する。その後、保持部材433が二次転写ローラー431および付勢ローラー432を保持した状態で中間転写ベルト421の方向へ移動することにより、二次転写ローラー431と対向ローラー434とが二次転写ニップを形成する。
以上説明した本実施の形態の変形例の転写装置は、対向ローラー(対向部材)434に当接して対向ローラー434を転写ニップ側に付勢する付勢ローラー(第2付勢部材)435と、対向ローラー(対向部材)434および付勢ローラー(第2付勢部材)435の少なくとも一方が転写ニップ側に移動するように、対向ローラー(対向部材)434および付勢ローラー(第2付勢部材)435を保持する保持部材(第2保持部材)436と、を更に備える。
この構成により、対向ローラー434および二次転写ローラー431の両方で径の細い部材を用いた場合においても、両方の撓みを抑制しつつ、二次転写ローラー431のみが転写ニップ側に移動するように保持されている構成に比べて、正確な転写ニップ位置でのピーク圧を更に大きくすることができる。
次に、図6を参照し、保持部材の構成の変形例について説明する。なお、図6Aにおいて、図3と同一の構成については、同一の符番を付し、その説明を省略する。
図6Aに示す保持部材441は、図3に示した保持部材427と同様に、二次転写ローラー424および付勢ローラー426の軸方向の両端に設けられ、二次転写ローラー424および付勢ローラー426を保持する。具体的には、保持部材441は、長穴441aと、丸穴441bを有する。長穴441aは、直線X方向に延びた穴であり、直線Xの方向における長穴441aの両端の弧は、芯金426aと略同一の曲率を有する。長穴441aは、付勢ローラー426の芯金426aの端部を回転可能に、かつ、直線X方向に移動可能に保持する。丸穴441bは、芯金424aの芯金径と略同一の径を有し、二次転写ローラー424の芯金424aの端部を回転可能に保持する。
つまり、図6Aに示す保持部材441は、二次転写ニップが形成された場合において、付勢ローラー426が付勢ローラー426の軸の中心と対向ローラー425の軸の中心とを結ぶ直線上を移動するように、付勢ローラー426を保持する。
図6Bに示す保持部材442は、図3に示した保持部材427と同様に、二次転写ローラー424および付勢ローラー426の軸方向の両端に設けられ、二次転写ローラー424および付勢ローラー426を保持する。具体的には、保持部材442は、長穴442aと、長穴442bを有する。長穴442aは、直線X方向に延びた穴であり、直線Xの方向における長穴442aの両端の弧は、芯金426aと略同一の曲率を有する。長穴442aは、付勢ローラー426の芯金426aの端部を回転可能に、かつ、直線X方向に移動可能に保持する。長穴442bは、直線X方向に延びた穴である。直線Xの方向における長穴442bの両端の弧は、芯金424aと略同一の曲率を有する。長穴442bは、二次転写ローラー424の芯金422aの端部を回転可能に、かつ、直線X方向に移動可能に保持する。
つまり、図6Bに示す保持部材442は、二次転写ニップが形成された場合において、付勢ローラー426および二次転写ローラー424が付勢ローラー426の軸の中心と対向ローラー425の軸の中心とを結ぶ直線上を移動するように、付勢ローラー426および二次転写ローラー424を保持する。
次に、図7を参照し、位置検出部の変形例について説明する。なお、図7Aにおいて、図4と同一の構成については、同一の符番を付し、その説明を省略する。
図7Aの例では、位置検出部451は、発光部451aと受光部451bから構成される透過型フォトセンサーである。発光部451aは、光を受光部451bに向けて出射する。受光部451bは、出射された光を検出することにより、所望の検出点に検出対象が存在するか否かを検出する。図7Aに示すように、発光部451aは、二次転写ローラー424の軸方向の一方の外側に設けられる。受光部451bは、二次転写ローラー424の軸方向の他方の外側に設けられる。そして、発光部451aから出射され、受光部451bが受け取る光の経路は、所望の二次転写ニップ位置となる。位置検出部451は、図7Aにおける二次転写ローラー424の下端が所望の二次転写ニップ位置に存在するか否かを検出する。
具体的には、位置検出部451の発光部451aは、受光部451bに向けて検出光を出射する。そして、受光部451bは、検出光を検出しない場合、二次転写ローラー424の下端が所望の二次転写ニップ位置よりも直線Xの方向において中間転写ベルト421の内側に存在することを検出する。受光部451bは、検出光を検出した場合、二次転写ローラー424の下端が所望の二次転写ニップ位置か、または、所望の二次転写ニップ位置よりも直線Xの方向において中間転写ベルト421の外側に存在することを検出する。位置検出部429は、検出結果を制御部100へ出力する。
次に、図7Bに示す位置検出部の変形例について説明する。なお、図7Bにおいて、図3と同一の構成については、同一の符番を付し、その説明を省略する。
図7Bにおいて、位置検出部452は、中間転写ベルト421の外側に設けられるフォトセンサーである。位置検出部452は、中間転写ベルト421と位置検出部452との距離を検出する。具体的には、位置検出部452は、中間転写ベルト421に向けて検出光を出射し、中間転写ベルト421に向けて反射光を受光する。そして、位置検出部452は、検出光を出射した時間と反射光を受光した時間との時間差から中間転写ベルト421と位置検出部452との距離を検出する。二次転写ローラー424の位置が変わると、その位置に応じて、中間転写ベルト421と位置検出部452との距離が変わる。図7Bに示す位置検出部452は、中間転写ベルト421と位置検出部452との距離を検出することにより、間接的に、二次転写ローラー424の下端の位置を検出する。
なお、図3に示した本実施の形態の構成では、二次転写ローラー424が、中間転写ベルト421の内側に配置され、対向ローラー425が中間転写ベルト421の外側に配置される構成について説明した。本発明はこれに限定されず、二次転写ローラーが、中間転写ベルトの外側に配置され、対向ローラーが中間転写ベルトの内側に配置される構成であってもよい。この構成であっても、二次転写ローラーに当接して二次転写ニップ側に付勢する付勢ローラーと、二次転写ローラーおよび付勢ローラーの少なくとも一方が二次転写ニップ側に移動するように、二次転写ローラーおよび付勢ローラーを保持する保持部材と、保持部材を二次転写ニップ側に移動させる移動部とを設けることにより、二次転写ローラーおよび付勢ローラーに外径公差がある場合でも二次転写ローラーおよび付勢ローラーの軸の間隔の調整を行う事ができる。
また、図5に示した本実施の形態の変形例では、二次転写ローラー431が、中間転写ベルト421の外側に配置され、対向ローラー434が中間転写ベルト421の内側に配置される構成について説明した。本実施の形態の変形例では、これに限定されず、図5の中間転写ベルト421の内側に配置された構成が、中間転写ベルト421の外側に配置され、図5の中間転写ベルト421の外側に配置された構成が、中間転写ベルト421の内側に配置される構成であってもよい。