図面を参照しながら、ここに開示される発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。また、後続の実施形態においては、先行する実施形態で説明した事項に対応する部分に百以上の位だけが異なる参照符号を付することにより対応関係を示し、重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については他の形態の説明を参照し適用することができる。第1実施形態から第9実施形態は、発明の適用対象となる基礎的な実施形態である。
(第1実施形態)
図1において、ここに開示される発明は、車両用動力システム1において実施される。車両用動力システム1は、車両に搭載された車両の動力源としてのエンジン2を含む。エンジン2は、内燃機関である。車両用動力システム1は、エンジン2に燃料を供給する燃料供給装置を含む。燃料供給装置は、燃料を蓄える燃料タンク3を有する。燃料タンク3には、燃料を補給するための給油管4が設けられている。給油管4から液体状の燃料が供給される。給油管4は、燃料タンク3内に筒状に突出している。燃料供給装置は、燃料タンク3内の液体燃料をエンジン2に供給するポンプ5を有する。以下の説明において、特に断らない場合には燃料の語は液体燃料を指す。
給油管4から燃料を燃料タンク3内に補給するためには、燃料タンク3内から気体を排出する必要がある。気体には、空気と、燃料の蒸気である燃料蒸気とが含まれる。以下の説明では、燃料蒸気、および燃料蒸気を含む空気をベーパとも呼ぶ。近年、大気へのベーパの放出を抑制することが求められている。車両用動力システム1は、大気へのベーパの排出を抑制するために、燃料蒸気処理装置(ベーパ処理装置)6を備える。
ベーパ処理装置6は、ベーパをエンジン2へ吸入させ燃焼させることにより処理する。ベーパ処理装置6は、燃料タンク3とエンジン2の吸気管とを連通するベーパ流路を提供する。ベーパ流路は、燃料タンク3内の換気のための通路であって、換気流路、呼吸流路とも呼ばれる。ベーパ流路は、燃料蒸気および液体燃料が流れる流路を提供する。ベーパ流路は、複数の部品および配管によって提供される。
ベーパ処理装置6は、ベーパ流路に、遮断弁7、換気弁8、液体燃料捕捉器9、封鎖弁10、およびキャニスタ11を有する。エンジン2と燃料タンク3との間にキャニスタ11が設けられている。キャニスタ11と燃料タンク3との間に遮断弁7、換気弁8、および液体燃料捕捉器9が設けられている。遮断弁7、換気弁8、および液体燃料捕捉器9は、燃料タンク3内に配置されたタンク内部品である。キャニスタ11と、タンク内部品との間に封鎖弁10が設けられている。液体燃料捕捉器9は、封鎖弁10と換気弁8との間、または封鎖弁10と遮断弁7との間に設けられている。液体燃料捕捉器9は、燃料タンク3の外に設置される封鎖弁10および/またはキャニスタ11に液体燃料が到達する前に、その液体燃料を捕捉できる位置に設けることができる。
遮断弁7は、ベーパ流路と燃料タンク3内との連通部分に設けられている。遮断弁7は、燃料タンク3内の燃料液面が所定の高い水準に到達するとベーパ流路と燃料タンク3内との連通を遮断する。また、遮断弁7は、車両が横転した場合にもベーパ流路と燃料タンク3内との連通を遮断し、燃料のベーパ通路への漏出を阻止する。例えば、遮断弁7は、後述の換気弁8に類似の構成をもつことができる。遮断弁7は、燃料タンクのための換気弁、または燃料蒸気の排出を制御する制御弁といった呼び名で呼ばれる場合がある。
換気弁8は、ベーパ流路と燃料タンク3内との連通部分に設けられている。換気弁8は、燃料タンク3内への急速な給油を可能とするために、比較的大量の燃料蒸気をベーパ流路に排出するための流路を提供する。換気弁8は、燃料タンク3内の燃料液面が所定の高い水準に到達するとベーパ流路と燃料タンク3内との連通を遮断する。例えば、換気弁8は、燃料の液面が急速な給油を許容できる水準に到達すると、閉弁状態となることによって低速の給油のみを許容する。また、換気弁8は、車両が横転した場合にもベーパ流路と燃料タンク3内との連通を遮断し、燃料のベーパ通路への漏出を阻止する。換気弁8は、燃料タンクへの給油速度を制御するための給油用の換気弁、または燃料蒸気の排出を制御する制御弁といった呼び名で呼ばれる場合がある。
換気弁8は、フロート弁30を有する。フロート弁30は、車両が正常な姿勢にあり、フロート弁30が燃料に浮いていないときに開弁状態となり、流路を開く。フロート弁30は、車両が異常な水準の傾斜姿勢にある場合、フロート弁30が燃料に浮いている場合、または、フロート弁30が重力に抗して上方向へ吸い上げられている場合に、閉弁状態となり、流路を閉じる。
換気弁8は、燃料タンク3からベーパ流路へベーパを選択的に流出させる。換気弁8は、ベーパ流路への燃料の流出を阻止する。換気弁8は、車両が正常な傾き範囲内にある間、燃料タンク3内の燃料の量が所定のレベルより低いときに開弁し、燃料タンク3とベーパ流路との連通を許容する。換気弁8は、燃料タンク3内の燃料の量が所定の高いレベルに到達すると閉弁し、燃料タンク3とベーパ流路との連通を遮断する。換気弁8は、車両の傾斜が異常範囲に到達することによって換気弁8に燃料が到達すると開弁状態から閉弁状態へ切り替わるフロート弁でもある。
液体燃料捕捉器9は、少なくともキャニスタ11へ燃料が到達することを阻止するために、燃料タンク3とキャニスタ11との間に設けられる。液体燃料捕捉器9は、少なくとも換気弁8から流入した燃料を捕捉するように、または遮断弁7から流入した燃料と換気弁8が流入した燃料との両方を捕捉するようにベーパ流路に設けることができる。液体燃料捕捉器9は、液体成分と気体成分とを分離し、気体成分を下流側へ流すとともに、液体成分を溜める。さらに、液体燃料捕捉器9は、液体成分を燃料タンク3内へ戻す。液体燃料捕捉器9は、液体成分と気体成分とを分離する気液分離器、またはセパレータといった呼び名で呼ばれる場合がある。
液体燃料捕捉器9は、ベーパ流路の中において、ベーパの流れを許容しながら、燃料を捕捉するための障壁40を提供する。しかも、液体燃料捕捉器9は、複数の障壁40を提供する。複数の障壁40によって複数の容積室50が区画形成される。複数の障壁40は、ケースによって提供される。
複数の容積室50は、ケースによって区画形成されている。複数の容積室50は、液体燃料が溜まるように流路において凹部として形成されている。容積室50のそれぞれは、液体燃料捕捉器9の前後におけるベーパ流路の高さより重力方向に低い底部をする。言い換えると、容積室50のそれぞれは、液体燃料捕捉器9の前後におけるベーパ流路より深い部分を有する。これにより容積室50は、捕捉された燃料を溜める燃料溜めとしても機能する。
複数の容積室50は、障壁40の上部だけに設けられた連通部60を経由して直列的に連結されている。連通部60は、ケースによって区画形成されている。連通部60は、複数の容積室50をそれらの上部において直列的に連通する。複数の障壁40は、隣接する容積室50の間に設けられて容積室50を区画形成するとともに、上部に連通部60が形成されている。これにより、ベーパは連通部60を経由して複数の容積室50を順に流れることができる。一方、燃料は自らの重量によって容積室50の下部に溜められる。
液体燃料捕捉器9の複数の容積室50は、ベーパ流路が曲がって延びるように配置されている。例えば、複数の容積室50は、ひとつめの容積室へのベーパの流入方向と、最後の容積室からのベーパの流出方向とが少なくとも反転した関係、すなわち少なくとも角度180度異なるように配置されている。この配置は、燃料タンク3が正規の姿勢から傾斜しても、例えば車両が傾斜しても、燃料がキャニスタ11へ向けて流入する可能性を低減する。望ましい形態においては、複数の容積室50は水平面上において曲がる軌跡を描くように配列される。より望ましい形態においては、複数の容積室50は、環状に配列される。このような曲がる配列、または環状の配列は、燃料の流出を阻止しやすい傾斜方向を増やすために貢献する。
液体燃料捕捉器9は、容積室50に溜められた燃料を燃料タンク3へ戻すための戻り通路70を有する。戻り通路70は、すべての容積室50と燃料タンク3とを連通可能である。戻り通路70は、複数の容積室50のそれぞれの底部に開口する。ケースは、容積室50の下部を区画形成しており、戻り通路70に向けて下がるように傾斜した底部を備える。戻り通路70は、容積室50の下部に設けられている。戻り通路70は、容積室50の最も深い部位の近傍、すなわち燃料タンク3が正規の姿勢にあるときに最も下に位置付けられる部位の近傍において容積室50に開口している。これにより、戻り通路70は、液体燃料捕捉器9に捕捉された燃料のほぼすべてを燃料タンク3に戻すことができる。
液体燃料捕捉器9は、さらに、戻り通路70を開閉する戻り弁80を備える。戻り弁80は、燃料タンク3内の燃料の液面の高さが所定の高さを上回るときに戻り通路70を閉じる。この所定の高さは、満タンに近い高水準に相当する。戻り弁80は、燃料タンク3内の燃料の液面の高さが所定の高さを下回るときに戻り通路70を開く。これにより、戻り弁80は、複数の容積室50から燃料タンク3へ燃料を戻す。この結果、戻り通路70から燃料タンク3へ燃料を戻せるときに戻り通路70から燃料タンク3へ燃料が戻される。また、燃料タンク3から戻り通路70への燃料の逆流が阻止される。さらに、戻り弁80は、車両が横転するなどして燃料タンク3が正規の姿勢にない場合に戻り通路70を閉じるロールオーバーバルブとしての機能も有する。
戻り弁80は、換気弁8とは異なる開閉特性を有する。戻り弁80の開閉特性は、燃料タンク3内の液面との関係によりあらわすことができる。
燃料タンク3内の液面が上昇するとき、戻り弁80が開弁状態から閉弁状態へ移行する液面高さは、換気弁8が開弁状態から閉弁状態へ移行する液面高さより低いか、または同じである。換気弁8の弁座は、戻り弁80の弁座より高い位置に位置付けられている。上記の閉弁特性は、戻り通路70を経由する燃料の逆流を阻止するために有効である。
燃料タンク3内の液面が低いとき、戻り弁80は、換気弁8よりも、閉弁状態から開弁状態へ移行しやすい。このような開弁特性は、ベーパ流路内の圧力と燃料タンク3内の圧力との差圧に対する特性によって与えることができる。例えば、戻り弁80が閉弁状態から開弁状態へ移行する差圧が、換気弁8が閉弁状態から開弁状態へ移行する差圧より高くなるように差圧を受ける受圧面積を設定することができる。これにより、戻り弁80が先に開き、その後に換気弁8が開く開閉特性を実現することができる。開弁特性は、容積室50に溜められる燃料の重さにより設定されてもよい。また、開弁特性は可動弁体の重さなどの要素によって設定されてもよい。この構成によると、燃料タンク3内が満タン状態になった後においては、すなわち液体燃料捕捉器9に燃料が捕捉されている可能性が高い場合には、換気弁8を開く前に戻り弁80を開いて容積室50から燃料を排出することができる。これにより、燃料を捕捉し溜めるための空き容量を迅速に確保できる。このため、換気弁8からベーパ流路へ燃料が再び流入しても、その燃料を再び捕捉し溜めることができる。
封鎖弁10は、電磁弁を含む開閉弁である。封鎖弁10は、電気的に開弁状態と閉弁状態とに切り換えられる電磁弁と、電磁弁によって調節される圧力差に応じて開弁状態と閉弁状態とに切り換えられる差圧弁とを備えることができる。差圧弁は、差圧に応じて変位するダイヤフラムを有するため、ダイヤフラム弁とも呼ばれる。封鎖弁10は、燃料タンク3とキャニスタ11との間を、連通状態と遮断状態とに切換えることができる。封鎖弁10は、燃料タンク3側の圧力が異常に高い圧力に到達すると閉弁状態から開弁状態へ切り替わるリリーフ弁としての機能を有することができる。封鎖弁10は、燃料タンク3からのベーパの排出を制御する用途、または検査のために燃料タンク3を意図的に密閉状態と連通状態とに切り換える用途などの多様な用途において利用される。
キャニスタ11は、ベーパを吸着し、一時的に蓄える。キャニスタ11は、ベーパを吸着することができる活性炭などの吸着剤を有する。キャニスタ11は、燃料蒸気を含まない新鮮な空気が供給されることによりベーパを放出する。
ベーパ処理装置6は、制御装置12を備える。制御装置12は、封鎖弁10を開閉するために、封鎖弁10を制御する。制御装置12は、多様な用途のために封鎖弁10を制御する。例えば、制御装置12は、燃料タンク3からキャニスタ11へのベーパ供給量を調節するように封鎖弁10を制御する。また、制御装置12は、検査のために燃料タンク3を意図的に密閉状態と連通状態とに切り換えるように封鎖弁10を制御する。制御装置12は、キャニスタ11へのベーパの吸着と、キャニスタ11からのベーパの放出とを制御するようにキャニスタ11を制御する。具体的には、制御装置12は、キャニスタ11に接続された複数の流路を開閉する。例えば、制御装置12は、キャニスタ11に新鮮な空気を供給するパージ流路を開閉するパージ弁を制御する。
制御装置12は、電子制御装置(Electronic Control Unit)である。制御装置は、少なくともひとつの演算処理装置(CPU)と、プログラムとデータとを記憶する記憶媒体としての少なくともひとつのメモリ装置(MMR)とを有する。制御装置は、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータによって提供される。記憶媒体は、コンピュータによって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納している。記憶媒体は、半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって提供されうる。制御装置は、ひとつのコンピュータ、またはデータ通信装置によってリンクされた一組のコンピュータ資源によって提供されうる。プログラムは、制御装置によって実行されることによって、制御装置をこの明細書に記載される装置として機能させ、この明細書に記載される方法を実行するように制御装置を機能させる。制御装置は、多様な要素を提供する。それらの要素の少なくとも一部は、機能を実行するための手段と呼ぶことができ、別の観点では、それらの要素の少なくとも一部は、構成的なブロック、またはモジュールと呼ぶことができる。
図2、図3、および図4は、換気弁8と液体燃料捕捉器9とを含む部品組立体21を示す。図2は、図3に図示されたII−II断面を示す。図3は、図2に図示されたIII−III断面を示す。図4は、図2に図示されたIV−IV断面を示す。部品組立体21は、ケース22を共用することによって換気弁8と液体燃料捕捉器9とを一体的に配置している。部品組立体21は、燃料蒸気制御弁、または燃料蒸気制御装置とも呼ばれる。部品組立体21は、後述のフロート32、82の移動方向が重力方向となる姿勢を正規の設置姿勢として設計されている。以下の説明において、上下方向または縦方向の語は、重力方向を指し、横方向の語は水平方向を指す。
換気弁8は全体としてほぼ円柱状の部品として構成されている。液体燃料捕捉器9も、ほぼ円柱状の部品として構成されている。これら換気弁8と液体燃料捕捉器9とは、横方向に並べて配置されている。換気弁8と液体燃料捕捉器9とは、樹脂製のケース22を共用している。言い換えるとケース22内に換気弁8と液体燃料捕捉器9とが配置されている。
ケース22は、換気弁8から延び出し、液体燃料捕捉器9を経由して延びるベーパ流路23を区画形成している。ケース22は、換気弁8を構成するための円筒状の第1ケース24と、液体燃料捕捉器9を構成するための円筒状の第2ケース25とを有する。これら第1ケース24と第2ケース25とは隣接して配置されている。ケース22は、第2ケース25からその接線方向に真っ直ぐに延び出す出口管26を有する。出口管26は、部品組立体21におけるベーパの出口通路を提供する。出口管26は、他の通路部材と連結するための連結管または下流管とも呼ぶことができる。
出口管26は、液体燃料捕捉器9から延び出し、換気弁8の径方向外側において換気弁8と接しながら延びている。ベーパ流路23は、換気弁8を一端部に位置付け、液体燃料捕捉器9をターン部において、ほぼU字形に延びている。換気弁8から液体燃料捕捉器9へ向かうベーパ流路23と、液体燃料捕捉器9から延び出すベーパ流路23とは、ほぼ角度180度だけ反転した関係にある。言い換えると、液体燃料捕捉器9と出口管26とが提供するベーパ流路23は、換気弁8の径方向外側に巻き付くように配置されている。
換気弁8は、円筒状の第1ケース24の上部に設けられた開口部31を開閉する。開口部31は、部品組立体21における上下方向の中間位置よりも上に設けられている。このような開口部31の配置は、燃料タンク3内の燃料の液面が最高の高さに到達することを可能としながら、その最高の液面に置いても燃料タンク3からベーパ流路23への燃料の流入を抑制するために設定される。
換気弁8は、第1ケース24内に収容された可動弁体であるフロート32を有する。フロート32は開口部31の下側に配置されている。フロート32は、上下方向に沿って移動可能に収容されている。フロート32は、内部に空洞を有する有底円筒状の部材である。フロート32は、図示の姿勢において燃料の中で浮力を生じる。換気弁8は、フロート32の一部として設けられたシール部材33を有する。シール部材33は、開口部31に接することにより開口部31を閉じるための部材である。換気弁8は、フロート32を図中の上方向、すなわち閉弁方向へ付勢するコイルスプリング34を有する。コイルスプリング34は、やや圧縮された状態で配置されている。図中には、フロート32が開口部31を閉じている閉弁状態が図示されている。フロート32が液体燃料の中に沈んでいない場合、フロート32は自重によってコイルスプリング34に抗して下方向に移動し、開口部31を開く。
換気弁8の開閉特性を調節するように複数のパラメータが設定されている。パラメータには、フロート32の重さによる力F1と、コイルスプリング34による付勢力F2と、フロート32が発生する浮力F3と、フロート32が開口部31を閉じているときの差圧に起因する閉弁保持力F4とが含まれる。閉弁保持力F4は、閉弁状態におけるベーパ流路23の圧力、燃料タンク3内の圧力、ベーパ流路23側の受圧面積、および燃料タンク3側の受圧面積に依存する。
燃料の液面が上昇するとき、フロート32が所定の浮上高さまで、例えば全高のおよそ半分が燃料に浸かると、フロート32の浮力F3とコイルスプリング34の付勢力F2とによってフロート32が燃料に浮く(F1≦F2+F3)。さらに燃料の液面が上昇すると、フロート32が開弁状態から閉弁状態に向けて移動する。さらに燃料の液面が上昇すると、フロート32が開口部31を閉じ、閉弁状態となる。
一方で、燃料の液面が下降するとき、閉弁状態においては差圧に起因する閉弁保持力F4が作用する。燃料の液面が低下すると、浮力F3が減少するが、閉弁保持力F4が浮力F3の減少に抗してフロート32を閉弁状態に維持する。燃料の液面がフロート32の浮上高さより下に下がっても、フロート32は閉弁状態を維持する。さらに、この実施形態では、閉弁保持力F4は浮力F3を上回ることがあるように設定されている。このため、燃料の液面がフロート32より下に下がっても、すなわちフロート32の全体が燃料の液面よりも完全に上に出ても、フロート32は閉弁状態を維持することがある。やがて、ベーパ流路にベーパが流入するなどして差圧が減少すると、閉弁保持力F4が小さくなる。閉弁保持力F4が小さくなると、フロート32は自重によって下方向へ移動し、閉弁状態から開弁状態へ移行する(F1≧F2+F3+F4)。
第1ケース24には、第1ケース24の外部と内部とを連通する複数の連通口35が設けられている。これら連通口35は、ベーパおよび液体燃料を導入するための入口として利用される。第1ケース24と第2ケース25とは、開口部31より上側に、液体燃料捕捉器9へ連通する流入通路36を有する。
液体燃料捕捉器9は、円筒状の第2ケース25内に設けられている。円筒状の第2ケース25は、蓋部と、円筒状の胴部と、下ほど細い円錐状の底部とを有する。液体燃料捕捉器9は、第2ケース25内の空洞を仕切る複数の障壁41、42、43、44を有する。これら障壁41−44は、縦方向に延在している。これら障壁41−44は、十字形に配置されている。複数の障壁41−44は、円柱状の空間を4等分している。
複数の障壁41−44によって、第1ケース24内には、複数の容積室51、52、53、54が区画形成されている。これら容積室51−54は、上下方向に所定の深さをもっている。容積室51−54は、液体燃料捕捉器9の入口である流入通路36の下面よりさらに下方向へ低く位置付けられた底部を有する。
最初の容積室51には、流入通路36が連通している。障壁41−43には、隣接する2つの容積室を連通する連通部61、62、63が設けられている。連通部61−63は、流入通路36とほぼ同じ高さに位置する開口によって提供されている。
部品組立体21が正規の姿勢に位置付けられるとき、連通部61−63を区画する縁部の最も低い部位と、流入通路36を区画する縁部の最も低い部位とは、ほぼ同じ高さである。別の観点では、開口部31が開口している高さと、連通部61−63の最も低い部位の高さとはほぼ等しい。これにより、障壁41−44が形成する容積室51−54は、開口部31および流入通路36よりも下方向に凹んだ凹部として形成される。
最初の容積室51と最後の容積室54とを仕切る障壁44は連通部をもたない。連通部61は、障壁41の上端部において開口している。連通部61は、第2ケース25の径方向内側において開口している。連通部62は、障壁42の上端部において開口している。連通部62は、第2ケース25の径方向外側において開口している。連通部63は、障壁43の上端部において開口している。連通部63は、第2ケース25の径方向内側において開口している。
最後の容積室54には、出口管26内の通路が連通している。出口管26が提供する通路は、流出通路とも呼ばれる。この流出通路は、流入通路36より低い位置において液体燃料捕捉器9に連通している。図4に図示されるように、流出通路の最も高い部位は、連通部61−63の最も低い部位よりもわずかに高いだけである。流出通路の最も低い部位は、連通部61−63より低く、容積室51−54の底部に近い位置に位置している。よって、最後の容積室54から出口管26への液体燃料の流出は容易である。よって、この実施形態では、主として3つの障壁41−43と3つの容積室51−53とが気液分離のための機能を提供する。
複数の連通部61−63が径方向に関して同じ位置になく、異なる位置に設けられることで、第2ケース25内において急激に曲がる流路が形成される。複数の容積室51−54は、障壁41−43の上部だけに設けられた連通部61−63を経由して直列的に連結されている。
この構成では、第2ケース25は、最初の容積室51への流入通路36と、最後の容積室54からの流出通路26とを区画形成している。流入通路36と流出通路26とが水平面上において異なる方向に向けて延びている。この構成では、図2−図4に矢印D1−D5で示されるように、ベーパと液体燃料とを含む流体が流れる。流体は、開口部31から流入通路36に流出する。流体は、流入通路36を矢印D1に沿って流れ、最初の容積室51に流入する。ここで、液体成分は自重によって容積室51の下部に向けて流れ、気体成分から分離される。流体は、矢印D2で図示されるように、障壁41を乗り越えるようにして連通部61を通過することにより容積室51から流出する。
流体は、矢印D2で図示されるように、容積室52に流入する。流体は、矢印D3で図示されるように、障壁42を乗り越えるようにして連通部62を通過することにより容積室52から流出する。ここでも、液体成分は分離され、容積室52の下部に向けて流れる。ここで、連通部61は第2ケース25の径方向内側に位置しているが、連通部62は、第2ケース25の径方向外側に位置している。この結果、矢印D2から矢印D3への流れは比較的急激に曲がる。これにより、容積室52における液体成分の分離が促進される。
流体は、矢印D3で図示されるように、容積室53に流入する。流体は、矢印D4で図示されるように、障壁43を乗り越えるようにして連通部63を通過することにより容積室53から流出する。ここでも、液体成分は分離され、容積室53の下部に向けて流れる。ここで、連通部62は第2ケース25の径方向外側に位置しているが、連通部63は、第2ケース25の径方向内側に位置している。この結果、矢印D3から矢印D4への流れは比較的急激に曲がる。これにより、容積室53における液体成分の分離が促進される。
流体は、矢印D4で図示されるように、最後の容積室54に流入する。流体は、矢印D5で図示されるように、深い容積室54から出口管26へ流出する。ここでも、液体成分は分離され、容積室54の下部に向けて流れる。
流体が複数の容積室51−54を流れる過程において、液体成分は容積室51−54の下部に流れる。一方、ベーパは、連通部61−63を経由して複数の容積室51−54を順に流れ、出口管26へ流出する。この結果、複数の容積室51−54は、流体から液体成分を繰り返して分離し、捕捉し、溜める。
さらに、複数の容積室51−54は、円筒状の第2ケース25内を周回するように配置されている。このため、流体はU字形に流れる。しかも、そのU字形の流路の中に深い容積室が複数個配置されている。このため、液体燃料はいずれかの容積室に捕捉され、溜められる。全体としてみると、最初の容積室51への流入方向を示す矢印D1と、最後の容積室54からの流出方向を示す矢印D5とは、反転した関係、すなわち角度180度異なるように配置されている。この配置は、燃料タンク3が正規の姿勢から傾斜しても、例えば車両が傾斜しても、燃料がキャニスタ11へ向けて流入する可能性を低減する。
この実施形態では、複数の容積室51−54は、第2ケース25の軸の周りを周るように環状に配列されている。このような配列は、液体燃料捕捉器9が傾斜していても、燃料の流出を阻止できる可能性を高くするために貢献する。
液体燃料捕捉器9は、容積室51−54に溜められた燃料を燃料タンク3へ戻すための戻り通路70を有する。戻り通路70は、すべての容積室51−54と燃料タンク3とを連通可能である。戻り通路70は、容積室51−54の底部の最も低い位置に設けられている。これにより、戻り通路70は、液体燃料捕捉器9に捕捉された燃料のすべてを燃料タンク3に戻すことができる。戻り通路70は、円錐状の底部の頂点部分に開設されている。
図5は、戻り通路70を示す拡大図である。戻り通路70は、容積室51−54のそれぞれに対応して開口する4つの通路71、72、73、74を含む。これら通路71−74は、円形の範囲を4等分して形成されている。通路71−74は、互いに仕切られたまま、底部の下面に開口している。底部の下面には、通路71−74のそれぞれに対応する4つの開口部が開口している。
この実施形態の戻り通路70は、複数の容積室51−54のそれぞれの底部に開口し、複数の容積室51−54の間の液体燃料の流通を許容することなく互いに独立しており、それぞれが戻り弁80によって開閉される複数の通路71−74を有する。この構成は、4つの通路71−74のすべてを単一の可動弁体によって閉じることを可能とする。また、この構成は、4つの通路71−74の間の相互の連通を阻止することを可能とする。4つの通路71−74の相互連通が阻止されることにより、ひとつの容積室から他の容積室への液体燃料の漏出が抑制される。これら通路71−74は、開閉通路とも呼ばれる。
図2、図3、図4に戻り、液体燃料捕捉器9は、さらに、戻り通路70を開閉する戻り弁80としてのフロート弁81を備える。フロート弁81は、部品組立体21におけるサブフロート弁とも呼ばれる。換気弁8は、部品組立体21におけるメインフロート弁とも呼ばれる。
フロート弁81は、上下方向に移動可能に支持されたフロート82を備える。フロート82は、4つの通路71−74を同時に閉じ、同時に開くことができるシール部材83を有する。フロート弁81は、フロート82を案内する案内部84を有する。案内部84はケース22の一部によって提供されている。
フロート弁81が開閉する戻り通路70の面積は、開口部31の面積に比べて充分に小さい。このため、フロート弁81が閉弁状態から開弁状態に移行するときに受ける差圧の影響は、換気弁8に比べて小さい。このため、燃料による浮力が失われた状態において、フロート弁81のほうが換気弁8より開弁状態に移行しやすい。さらに、容積室51−54に液体燃料が溜められている場合、液体燃料の重さもフロート弁81を開きやすくする。この結果、フロート弁81が換気弁8より先に開く特性が実現される。
この実施形態では、換気弁8は、燃料タンク3内への給油を可能とするために、高さ方向に関して所定の高さに位置付けられた開口部31を開閉するよう構成されている。複数の容積室51−54は、開口部31より下に向けて凹部となるように区画形成されている。また、戻り通路70は開口部31より下に位置付けられている。これにより、換気弁8が開閉する開口部31よりも下に向けて凹部となるように容積室51−54が区画形成される。このため、開口部31から流入した液体燃料が容積室51−54に捕捉され、溜められる。さらに開口部31より下に容積室51−54を区画形成することを可能とするように、戻り通路70が開口部31より下に配置されている。
図6、図7、図8、図9は、燃料タンク3内の燃料の液面の変化と、換気弁8およびフロート弁81の開閉状態の変化とを対応付けて示している。換気弁8とフロート弁81とは、燃料の液面が上昇するとき、フロート弁81が第1の液面高さにおいて開弁状態から閉弁状態に移行し、換気弁8が第1の液面高さよりさらに高い第2の液面高さにおいて開弁状態から閉弁状態に移行するように設定されている。これにより、開口部31よりも低い戻り通路70から燃料が流入することが防止される。なお、第1の液面高さにおいてフロート弁81と換気弁8とが同時に開弁状態から閉弁状態へ移行するように設定されてもよい。一方、換気弁8とフロート弁81とは、燃料の液面が下降するとき、フロート弁81が第3の液面高さにおいて閉弁状態から開弁状態に移行し、その後に、換気弁8が閉弁状態から開弁状態に移行するように設定されている。
図6は、燃料の液面が換気弁8にもフロート弁81にも到達しない高さFL0にある状態を示す。このとき、換気弁8およびフロート弁81の両方が開弁状態OPNにある。この結果、換気弁8を通して燃料タンク3内はベーパ通路と連通している。この状態では、燃料タンク3内のベーパは、ベーパ流路およびベーパ処理装置6に向けて排出可能である。よって、給油管4を封鎖しながら燃料を供給することができる。また、燃料タンク3内からベーパ流路へベーパが排出されるから、給油管4から大量の燃料を供給可能である。この結果、液面は急速に上昇する。
図7は、燃料の液面が、フロート弁81が開弁状態OPNから閉弁状態CLSへ移行する第1の液面高さFL1に到達した状態を示す。このとき、フロート弁81が開弁状態OPNから閉弁状態CLSへ移行する。この結果、液面が戻り通路70に到達する前に、戻り通路70が閉じられる。一方で、開口部31は、戻り通路70より高い位置にある。よって、第1の液面高さFL1においては換気弁8は依然として開弁状態OPNにあり、大量の給油を許容する。
図8は、燃料の液面が、換気弁8が開弁状態OPNから閉弁状態CLSへ移行する第2の液面高さFL2に到達した状態を示す。このとき、換気弁8が開弁状態OPNから閉弁状態CLSへ移行する。この結果、液面が開口部31に到達する前に、開口部31が閉じられる。換気弁8が閉じられると、給油管4から大量の燃料を供給することが困難となる。このため、給油作業者は少量ずつの給油作業に移行する。こうして、燃料タンク3への給油作業が完了する。
この実施形態では、戻り弁80は、燃料タンク3内の液体燃料の液面の高さが所定の第1高さFL1を上回るときに戻り通路70を閉じる。換気弁8は、燃料タンク3内の液体燃料の液面の高さが第1高さFL1より高い第2高さFL2を上回るときに開口部31を閉じる。これにより、戻り弁80が戻り通路70を閉じる液面高さFL1は、換気弁8が開口部31を閉じる液面高さFL2より低い(FL1<FL2)。このため、戻り通路70を経由する液体燃料の逆流を阻止しながら、液面が高い水準に到達するまで換気弁8を開くことができる。
上記のような給油過程において、または車両が走行する過程において液面の変動などに起因して、換気弁8から液体燃料が流入することがある。このような場合、液体燃料は容積室51−54に捕捉され、溜められる。しかも、複数の障壁41−44と複数の容積室51−54が次々と液体燃料の流入を妨げる。このため、液体燃料の流入が液体燃料捕捉器9において阻止される。
図9は、燃料タンク3内の燃料の液面が低下する過程を示す。図中には、燃料の液面が、フロート弁81が閉弁状態CLSから開弁状態OPNへ移行する第3の液面高さFL3まで低下した状態が示されている。液面が第3の液面高さFL3に低下すると、フロート弁81は開弁状態OPNに移行する。この結果、容積室51−54に溜められていた液体燃料は戻り通路70を経由して燃料タンク3に戻される。また、フロート弁81が開くことにより、ベーパ流路と燃料タンク3とが連通される。その後、燃料タンク3内の圧力と、部品組立体21内のベーパ流路内の圧力とが接近すると、換気弁8が閉弁状態CLSから開弁状態OPNへ移行する。
この実施形態では、換気弁8は、燃料タンク3内の液体燃料の液面の高さが第1高さFL1を下回ることによって戻り弁80が開いた後に開口部31を開く。このため、液面高さが低下して戻り弁80が開く場合に、戻り弁80が開いた後に換気弁8が開かれる。このため、開口部31からの追加的な液体燃料の流入が抑制される。また、戻り通路70から液体燃料を燃料タンク3に戻した後に、開口部31が開かれる。このため、開口部31から再び液体燃料が流入することがあっても、複数の容積室50によって再び液体燃料を捕捉することができる。
この実施形態によると、液体燃料の流出を阻止する性能が高い液体燃料捕捉器9が提供される。しかも、高さ方向の寸法を抑制しながら、高い性能が実現される。また、換気弁8のような部品に隣接して液体燃料捕捉器9を配置する場合でも、全体の高さの増加が抑制される。
この実施形態によると、液体燃料捕捉器9によってU字形のベーパ流路が提供される。このため、開口部31からの流出方向D1と、出口管26への流出方向D5とを逆方向とすることができる。これにより、燃料タンク3が傾斜したり揺れたりした場合でも液体燃料の流出を阻止できる可能性が高められる。
この実施形態によると、複数の容積室51−54が液体燃料を溜める液溜めとして機能するから、開口部31から液体燃料が流出しても、液体燃料の出口管26への到達を遅らせることができる。また、複数の容積室51−54のすべてに戻り通路70を有するから、液体燃料が出口管26へ到達する前に、燃料タンク3へ戻すことができる。また、戻り通路70には、サブフロート弁としてフロート弁81を設けたから、戻り通路70からの燃料の逆流を阻止できる。また、ひとつのフロート弁81によって複数の容積室51−54のための戻り通路70が開閉される。これにより、簡単な構成で高い機能を提供できる。
また、フロート弁81は、メインフロート弁である換気弁8よりも低い液面高さFL1において開弁状態から閉弁状態へ移行する。これにより、戻り通路70を経由する液体燃料の漏れ出しが確実に防止される。この実施形態では、換気弁8によって開閉される開口部31の高さ方向の位置より、フロート弁81によって開閉される戻り通路70の高さ方向の位置が低い。この構成は、液体燃料を溜める容積室51−54の深さを大きくし、溜めることのできる燃料量を多くするために貢献する。さらに、フロート弁81は、換気弁8より先に閉弁状態から開弁状態へ移行する。これにより、容積室51−54に溜められた液体燃料を早期に燃料タンク3内に戻すことができる。この結果、再度の液体燃料の流出に備えることができる。
(第2実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、換気弁8の横に、液体燃料捕捉器9を並列的に配置した。これに代えて、この実施形態では、換気弁8の周囲に、換気弁8を取り囲むようにして液体燃料捕捉器209が配置される。なお、以下に述べる実施形態において、先行する実施形態で説明した要素に対応する要素には百の位だけが異なる対応する符号を付し、説明を省略することがある。それらの要素については、先行する実施形態の説明を参照することができる。
図10は、部品組立体21の平面的な断面図を示す。図10は、図11のX−X断面を示す。図11は、図10のXI−XI断面を示す。図12は、図10のXII−XII断面を示す。
液体燃料捕捉器209は、換気弁8の径方向外側に、換気弁8を取り囲むように環状に配置されている。この実施形態でも、ケース22は、換気弁8を提供する第1ケース24と、液体燃料捕捉器209を提供する第2ケース225とを備える。これら第1ケース24と第2ケース225とは、多数の樹脂成形品を組み合わせることによって形成される。第2ケース225は、第1ケース24の径方向外側に、第1ケース24より大径の環状筒状体として形成されている。第2ケース225は、第1ケース24の上部に偏って配置されている。第2ケース225は、第1ケース24の径方向外側に環状室を区画形成している。第2ケース225は、第1ケース24の外側を周回する環状室を区画形成している。第2ケース225は螺旋状に延びているともいうことができる。第2ケース225の形状は、蝸牛状とも呼ぶことができる。
第2ケース225内は、隔壁245によって上部の環状室と、下部の環状室とに区画されている。隔壁245は、換気弁8の全周にわたって延びている。隔壁245は、径方向内側が径方向外側よりやや低くなるように傾斜した環状の板である。
上部の環状室は、複数の障壁241、242、243、244によって周方向に沿って仕切られている。よって、上部の環状室には、複数の容積室251、252、253、254が区画形成されている。これら複数の容積室251−254は、換気弁8を取り囲む。複数の障壁241−243のそれぞれには連通部261−263が設けられている。これら連通部261−263は、隣接する容積室を連通する。連通部261−263は、径方向外側に偏って設けられている。これにより、長いベーパ流路23が形成される。
液体燃料捕捉器209は、戻り通路270を備える。戻り通路270は、下部の環状室によって提供される集合容積室276を有する。集合容積室276は、液体燃料を溜める液溜めとして機能しうる大きい容積を有する。図示の例では、集合容積室276の容積は、複数の容積室251−254の総容積より大きい。集合容積室276は、最初の環状室251の下から、最後の環状室254の下に向けて、徐々に下る底部を有する。この結果、第2ケース225は、蝸牛状とも呼びうる形状を呈する。
隔壁245には、容積室251−254のそれぞれと集合容積室276とを連通する4つの通路271、272、273、274が設けられている。これら通路271−274は、容積室251−254のそれぞれの最も低い位置に開口している。通路271−274は、容積室251−254から集合容積室276への液体燃料が流れ落ちる大きさに設定されている。通路271−274は、集合容積室276から容積室251−254への液体燃料の逆流を阻止するために、小さく形成されている。これにより、集合容積室276内に溜められた液体燃料が揺れて、その飛沫が通路271−274に到達することがあっても、容積室252−254への逆流が抑制される。通路271−274は、常時、容積室251−254と集合容積室276とを連通しているから、常開通路とも呼ばれる。
集合容積室276の底部には、複数の容積室251−254に共通の集合通路277が設けられている。集合通路277は、集合容積室276の最も低い位置の近傍に開口している。
液体燃料捕捉器209の下部には、集合通路277の下側において集合通路277を開閉するフロート弁281が設けられている。フロート弁281は、上記実施形態のフロート弁81に相当する部品と機能とを有している。
換気弁8の開口部31と最初の容積室251とは流入通路236によって連通されている。最後の容積室254から上に向けて出口管26が延び出している。出口管26は、水平方向に向けて曲がり、水平方向に延びるエルボ管に接続されるか、置き換えることができる。
この実施形態では、換気弁8と出口管26内とを連通するベーパ流路23が提供される。ベーパ流路23は、換気弁8の周囲を周回することにより長い長さを有する。換気弁8から流出したベーパは、主として複数の容積室251−254を通して出口管26へ到達する。換気弁8から液体燃料が流入すると、液体燃料は障壁241−244によって阻止され、通路271−274を経由して集合容積室276に流入する。隔壁245と、そこに開設された小さい通路271−274は、集合容積室276から複数の容積室251−254への液体燃料の逆流を抑制する。集合容積室276に流入した燃料は、底部に沿って流れ下り、集合通路277に到達する。集合容積室276に溜められた液体燃料は、フロート弁281が開弁すると燃料タンク3へ戻される。
この実施形態によると、換気弁8の周囲を利用して液体燃料捕捉器209を設けることができる。この結果、複数の容積室251−254は、流路23が曲がるように配置されている。複数の容積室251−254は、環状に配置されているともいえる。この構成は、複数の容積室251−154をコンパクトに配置することを可能とする。
また、隔壁245によって主としてベーパが流れる上部の容積室251−254と、液体燃料を溜めるための集合容積室276とが上下に区画されるから、液体燃料の流出を確実に抑制することができる。
この実施形態でも、戻り通路270が採用される。戻り通路270は、複数の容積室251−254のそれぞれの底部に開口する通路271−274を有する。戻り通路270は、複数の容積室251−254の下に設けられ、複数の通路271−274が共通に連通する集合容積室276を有する。戻り通路270は、集合容積室276の底部に開口し、戻り弁80によって開閉される集合通路277を有する。この実施形態によると、液体燃料は、複数の容積室251−254から集合容積室276に集められ、集合通路277を経由して燃料タンク3に戻される。
この実施形態によると、戻り弁80は、共通化された集合通路277を開閉するように構成することができる。この実施形態によると、集合容積室276を経由した後に、単一の集合通路277をフロート弁281によって開閉しているから、簡単な構成によって燃料を燃料タンク3に戻すことができる。
(第3実施形態)
この実施形態は、第1実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、複数の容積室として、2つの容積室351、352が設けられる。
図13に図示されるように、液体燃料捕捉器309は、第2ケース25内に設けられた2つの障壁341、342を有する。障壁341には、連通部361が設けられる。これにより、2つの容積室351、352が区画形成される。すべての容積室351、352の底部には、戻り通路70が開口している。この戻り通路70は、容積室351、352の相互間における燃料の連通を許容することなく、容積室351、352から燃料タンク3へ燃料が流れ落ちること、すなわち燃料が戻ることを可能とする。戻り通路70は、2つの通路を有する。
(第4実施形態)
この実施形態は、第1実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、複数の容積室として、3つの容積室451、452、453が設けられる。
図14に図示されるように、液体燃料捕捉器409は、第2ケース25内に設けられた3つの障壁441、442、443を有する。障壁441、442には、それぞれに、連通部461、462が設けられる。これにより、3つの容積室451、452、453が区画形成される。すべての容積室451、452、453の底部には、戻り通路70が開口している。この戻り通路70は、容積室451、452、453の相互間における燃料の連通を許容することなく、容積室451、452、453から燃料タンク3へ燃料が流れ落ちること、すなわち燃料が戻ることを可能とする。戻り通路70は、3つの通路を有する。
(第5実施形態)
この実施形態は、第1実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、複数の容積室として、5つの容積室551、552、553、554、555が設けられる。さらに、この実施形態では、異なる容積をもつ複数の容積室551−554が採用される。
図15に図示されるように、液体燃料捕捉器509は、第2ケース25内に設けられた5つの障壁541、542、543、544、545を有する。障壁541、542、543、544には、それぞれに、連通部561、562、563、564が設けられる。これにより、5つの容積室551、552、553、554、555が区画形成される。すべての容積室551−555の底部には、戻り通路70が開口している。この戻り通路70は、容積室551−555の相互間における燃料の連通を許容することなく、容積室551−555から燃料タンク3へ燃料が流れ落ちること、すなわち燃料が戻ることを可能とする。戻り通路70は、5つの通路を有する。
この実施形態では、複数の容積室551−554に異なる容積を与えるために、複数の障壁541−544は不等間隔に配置されている。複数の容積室551−554は、入口側から出口側に向けてそれらの容積が段階的に変化するように形成されている。より具体的には、複数の容積室551−554は、入口側から出口側に向けてそれらの容積が段階的に減少するように形成されている。この構成は、上流側の容積室において多くの液体燃料を溜めることを可能とする。
(第6実施形態)
この実施形態は、第2実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、複数の容積室として、2つの容積室651、652が設けられる。
図16に図示されるように、液体燃料捕捉器609は、第2ケース225内に設けられた2つの障壁641、642を有する。障壁641には、連通部661が設けられる。これにより、2つの容積室651、652が区画形成される。この実施形態では、先行する実施形態の通路271−274に相当する2つの通路671、672が設けられている。
(第7実施形態)
この実施形態は、第2実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、複数の容積室として、3つの容積室751、752、753が設けられる。
図17に図示されるように、液体燃料捕捉器709は、第2ケース225内に設けられた3つの障壁741、742、743を有する。障壁741、742には、それぞれに、連通部761、762が設けられる。これにより、3つの容積室751、752、753が区画形成される。この実施形態では、先行する実施形態の通路271−274に相当する3つの通路771、772、773が設けられている。
(第8実施形態)
この実施形態は、第2実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、複数の容積室として、5つの容積室851、852、853、854、855が設けられる。さらに、この実施形態では、異なる容積をもつ複数の容積室851−854が採用される。
図18に図示されるように、液体燃料捕捉器809は、第2ケース225内に設けられた5つの障壁841、842、843、844、845を有する。障壁841、842、843、844には、それぞれに、連通部861、862、863、864が設けられる。これにより、5つの容積室851、852、853、854、855が区画形成される。この実施形態では、先行する実施形態の通路271−274に相当する5つの通路871、872、873、874、875が設けられている。
この実施形態では、複数の容積室851−854に異なる容積を与えるために、複数の障壁841−844は不等間隔に配置されている。複数の容積室851−854は、入口側から出口側に向けてそれらの容積が段階的に変化するように形成されている。より具体的には、複数の容積室851−854は、入口側から出口側に向けてそれらの容積が段階的に減少するように形成されている。この構成は、上流側の容積室において多くの液体燃料を溜めることを可能とする。
(第9実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、複数の容積室が周回するように配列されている。これに代えて、この実施形態では、複数の容積室951、952、953が一直線状に並べて配置される。
図19は、フロート弁81が閉弁状態にある状態を示している。図20は、フロート弁81が開弁状態にある状態を示している。液体燃料捕捉器909は、複数の容積室951−953を区画形成している。これら容積室951−953は、換気弁8の横に一直線状に並べて配置されている。液体燃料捕捉器909は、戻り通路70を開閉するフロート弁81を有する。
図19に図示されるように、燃料の液面が高い時に換気弁8から液体燃料が流入すると容積室951に液体燃料が捕捉され、溜められる。燃料の液面が低下すると、図20に図示されるようにフロート弁81が開き、容積室951の燃料は燃料タンク3に戻される。
(第10実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、液体燃料捕捉器は燃料タンク3内に設けられている。これに代えて、この実施形態では、図21に図示されるように、液体燃料捕捉器A09は、燃料タンク3の主たる容器部分の外に、主たる容器部分から離れて設けられている。このような配置は、制限された搭載条件の下で、燃料タンク3の容積をできるだけ大きくするために有利である。このような配置は、液体燃料捕捉器A09の設置位置の選択の自由度を高める。
液体燃料捕捉器A09は、燃料タンク3の上部と換気通路管3aおよび戻り通路管3bを経由して接続されている。換気通路管3aおよび戻り通路管3bは、樹脂製または金属製の管によって提供される。換気通路管3aは、換気通路の一部を提供する。換気通路管3aは、換気弁8に接続されている。戻り通路管3bは、戻り通路の一部を区画形成する。戻り通路管3bの中には、戻り弁80が配置されている。換気通路管3aおよび戻り通路管3bは、戻り弁80と燃料タンク3との間において共通の管によって提供されてもよい。
図22に図示されるように、この実施形態は、第2実施形態に類似の形状と、複数の構成部品の配置とを有している。この実施形態でも、部品組立体21は、ケース22内に換気弁8と、液体燃料捕捉器A09とを有する。ベーパ流路23は、換気弁8の横に、換気弁8の周囲に巻きつけられるように配置されている。液体燃料捕捉器A09は、ベーパ流路23に複数の容積室50を区画するように配置された複数の障壁40を有する。複数の障壁40は、複数の連通部60を提供している。
図23に図示されるように、流入通路236と、流出通路26との間には、複数の容積室A51−A55が設けられている。複数の隔壁A41−A44は、ベーパ通路23の底部に設けられている。複数の隔壁A41−A44は、それより上に複数の連通部A61−A64を区画形成している。複数の通路A71−A75は、複数の容積室A51−A55のそれぞれの底面の最も低い部分に開口している。複数の通路A71−A75は、複数の容積室A51−A55のそれぞれと、集合容積室276とを連通している。
図24に図示されるように、複数の容積室A51−A55の下には、集合容積室276が区画形成されている。集合通路277は、集合容積室276の底面の最も低い部分に開口している。図22−図24に図示されるように、液体燃料捕捉器A09は、複数の筒状のケース部分を接合することによって形成されている。
図22に戻り、液体燃料捕捉器A09は、集合容積室276を有する。集合容積室276は、集合通路277に連通している。集合通路277は、集合容積室276の下壁から、下方向へ向けて延びている。集合通路277の下端は、戻り通路管3bに連通している。集合容積室276、集合通路277、および戻り通路管3bとは、戻り通路270を提供している。戻り通路270には、戻り弁80が設けられている。
戻り弁80は、ダックビルバルブA85である。ダックビルバルブA85は、複数の容積室50から燃料タンク3へ液体燃料を戻し、燃料タンク3から複数の容積室50への燃料の逆流を阻止する。ダックビルバルブA85は、戻り通路270を開閉するように設けられている。ダックビルバルブA85は、ゴム製または軟質樹脂製の筒状部材である。ダックビルバルブA85は、自らの弾性によって閉じるリップ状の開口部を有する。例えば、開口部は、筒状部材を切開した切開部によって提供される。ダックビルバルブA85は、常閉型の逆止弁を提供する。ダックビルバルブA85は、液体燃料に浮くことにより戻り通路270を閉じるフロートのような機能を備えない。
集合容積室276、および集合通路277は、液体燃料を溜める。集合容積室276、および集合通路277は、そこに溜められた液体燃料によって、水頭圧を発生させる。集合容積室276、および集合通路277は、液体燃料に起因する水頭圧を、ダックビルバルブA85の開弁方向に向けて、ダックビルバルブA85に作用させる。ダックビルバルブA85は、上記水頭圧が、自らの弾性による閉弁圧およびダックビルバルブA85に作用する差圧を上回ると閉弁状態から開弁状態へ移行する。よって、ダックビルバルブA85は、容積室50および戻り通路270に溜められる液体燃料の重さにより閉弁状態から開弁状態へ移行する。
換気弁8は、開口部31を開閉するためのフロート弁、およびロールオーバー弁として機能する。シール部材33は、リテーナ32aに装着され、支持されている。リテーナ32aは、フロート32に対してわずかに上下方向に移動可能に支持されている。リテーナ32aとフロート32との間には、差圧を減少させるためのパイロット弁32bが設けられている。
この実施形態によると、燃料タンク3の主要な容器部分から離れた場所に液体燃料捕捉器A09が設置される。これにより、燃料タンク3の形状の選択の自由度が高められる。また、液体燃料捕捉器A09を設置する場所の選択の自由度が高められる。
この実施形態によると、フロート機能をもたない常閉型の逆止弁が提供される。ダックビルバルブA85は、安価で簡単な構造によって、捕捉された燃料の戻しと、燃料タンク3からの燃料の逆流阻止とを実現する。
(第11実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、ダックビルバルブA85によって戻り弁80が提供される。これに代えて、この実施形態では、図25に図示されるように、可動弁体B88を有する常閉チェック弁B86によって戻り弁80が提供される。常閉チェック弁B86は、常閉型の逆止弁を提供する。
常閉チェック弁B86は、弁座B87を区画形成するボディと、弁座B87に対して着座または離座することによって戻り通路を開閉するように可動の可動弁体B88とを有する。可動弁体B88は、ボールである。可動弁体B88は、キノコ型など多様な形状を採用することができる。可動弁体B88は、複数の容積室50および戻り通路270に溜められる液体燃料の重さを開弁方向に向けて受ける。
常閉チェック弁B86は、可動弁体B88を付勢する弾性部材B89を有する。弾性部材B89は、複数の容積室50および戻り通路270に液体燃料がない場合に可動弁体B88を閉弁位置に位置づける。弾性部材B89は、複数の容積室50および戻り通路270に溜められる液体燃料の重さにより可動弁体B88の開弁方向への移動を許容する。弾性部材B89は、コイルスプリングによって提供されている。弾性部材B89は、ゴム、板バネなど多様な部材によって提供することができる。
この実施形態でも、フロート機能をもたない常閉型の逆止弁が提供される。常閉チェック弁B86は、安価で簡単な構造によって、捕捉された燃料の戻しと、燃料タンク3からの燃料の逆流阻止とを実現する。
(第12実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、常閉型の逆止弁によって戻り弁80が提供される。これに代えて、この実施形態では、図26に図示されるように、常開チェック弁C86によって戻り弁80が提供される。常開チェック弁C86は、常開型の逆止弁を提供する。
液体燃料捕捉器C09は、戻り通路管3bと並列的に設けられ、集合容積室276と燃料タンク3とを連通する補助通路管3cを有する。補助通路管3cが区画形成する補助通路は、燃料タンク3とベーパ通路23とを連通する複数の通路のうちのひとつを提供する。常開チェック弁C86は、集合容積室276と補助通路との間に設けられている。
常開チェック弁C86は、弁座C87を区画形成するボディと、弁座C87に対して着座または離座することによって戻り通路を開閉するように可動の可動弁体C88とを有する。ボディは、補助通路を経由する通気量を制限する絞りを提供する。可動弁体C88は、ボールである。可動弁体C88は、液体燃料捕捉器C09の傾斜、つまり車両の傾斜に応答して、弁座C87に着座し、戻り通路270を閉じる。常開チェック弁C86は、正規の姿勢において戻り通路を開き、正規の姿勢にない場合に戻り通路を閉じる可動弁体C88を有する。常開チェック弁C86は、水頭圧を要することなく液体燃料を燃料タンク3に戻すことを可能とする。常開チェック弁C86は、ロールオーバーバルブを提供する。常開チェック弁C86は、換気弁8に作用する差圧を減少させる機能も提供する。集合容積室276は、差圧減少用の通路としても、さらにその通路のための液体燃料捕捉器としても利用される。
この実施形態では、フロート機能をもたない常開型の逆止弁が提供される。常開チェック弁C86は、安価で簡単な構造によって、捕捉された燃料の戻しと、燃料タンク3からの燃料の逆流阻止とを実現する。
さらに、常開チェック弁C86は、集合容積室276に接続され、連通している。したがって、もしも常開チェック弁C86を液体燃料が突破しても、集合容積室276が液体燃料に対する障壁を提供する。また、常開チェック弁C86を突破した液体燃料はダックビルバルブB85から燃料タンク3に戻される。
(他の実施形態)
ここに開示される発明は、その発明を実施するための実施形態に何ら制限されることなく、種々変形して実施することが可能である。開示される発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。実施形態は追加的な部分をもつことができる。実施形態の部分は、省略される場合がある。実施形態の部分は、他の実施形態の部分と置き換え、または組み合わせることも可能である。実施形態の構造、作用、効果は、あくまで例示である。開示される発明の技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される発明のいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
例えば、制御装置が提供する手段と機能は、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。例えば、制御装置をアナログ回路によって構成してもよい。
上記実施形態では、液体燃料捕捉器は、換気弁8と一体的に構成され、部品組立体21を構成する。これに代えて、燃料蒸気処理装置に属する他の部品に液体燃料捕捉器を一体化してもよい。また、燃料タンク3に属する他の部品に液体燃料捕捉器を一体化してもよい。さらに、液体燃料捕捉器だけを独立した部品として構成し、他の燃料蒸気処理装置の部品とホース等を介して接続してもよい。例えば、流入通路36、236を部品のホースによって提供することができる。
上記実施形態では、液体燃料捕捉器は、円筒状のケース25、225内に形成される。これに代えて、四角形、多角形などの角筒状のケース内に複数の容積室を区画することにより液体燃料捕捉器を形成してもよい。また、上記実施形態では、ケース25、225内を周回するように複数の容積室が連通されている。これに代えて、複数の容積室がジグザグ状に連通するように連通部が配置されてもよい。例えば、ケース内をハニカム状に仕切ることによって複数の容積室を区画形成し、それらの間を直列に連通するように連通部を形成してもよい。
上記実施形態の液体燃料捕捉器9は、互いに独立した通路71−74を備える。これに代えて、通路71−74を戻り弁80の直上において相互に連通してもよい。