JP6568689B2 - 粒子線治療システムおよび粒子線治療システムの制御方法 - Google Patents

粒子線治療システムおよび粒子線治療システムの制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、粒子線治療システムおよび粒子線治療システムの制御方法に関する。
スポットスキャニング法による粒子線治療に好適な照射ビームが得られ、しかも、安価な粒子線治療システムを得るために、特許文献1では、加速空胴に印加した高周波加速電圧で荷電粒子ビームを所定のエネルギーまで加速し、出射装置に印加した高周波電磁場で安定限界を超えさせて荷電粒子ビームを出射するシンクロトロンと、シンクロトロンから出射された荷電粒子ビームを治療室まで導くビーム輸送系と、治療室で患者の患部形状に合わせて荷電粒子ビームを照射する照射装置から構成される粒子線治療システムであって、照射装置に荷電粒子ビームを供給する際に、出射装置に印加する高周波電磁場をONし、照射装置への荷電粒子ビームの供給を遮断する際に、出射装置に印加する高周波電磁場をOFFするとともに、ビーム輸送系あるいはシンクロトロンに設置した電磁石で荷電粒子ビームの供給を遮断し、さらに、出射装置に印加する高周波電磁場のONからOFFに同期して、加速空胴に印加する高周波加速電圧をONからOFFにする制御装置を備える粒子線治療システムが開示されている。
特開2009−45170号公報
上述した特許文献1に記載の粒子線治療システムを構成するシンクロトロンでは、高周波キッカなどのビーム取り出し装置がオンである間(ビーム照射中)は高周波加速空胴をオンとし、ビーム取り出し装置のオフ時点(ビーム照射オフタイミング)において高周波加速空胴をオフとする制御を行っている。これにより、ビーム停止タイミング以降は周回ビーム粒子の運動量の振動(シンクロトロン振動)が停止し、シンクロトロン振動に起因して取り出される周回ビームの量が減少するため、ビームの照射量を高い精度で制御することが可能となる。
しかしながら、特許文献1に記載の粒子線治療システムでは、高周波加速空胴をオフにしてから周回ビーム粒子のビーム進行方向の分布が一様となるまでの間に、空間電荷効果による影響で周回ビーム粒子の運動量が変化する。このため、ビーム照射オフタイミング以降もシンクロトロンからわずかにビームが取り出されるという問題があり、より高精度なビーム照射量制御が求められている。
そこで本発明では、ビームの照射量を従来に比べて高い精度で制御することができる粒子線治療システムおよび粒子線治療システムの制御方法を提供する。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、荷電粒子ビームを加速して出射するシンクロトロンと、このシンクロトロンから出射された前記荷電粒子ビームを照射対象に対して照射する照射装置と、前記荷電粒子ビームを前記シンクロトロンから前記照射装置まで導くビーム輸送系と、前記シンクロトロン、前記ビーム輸送系および前記照射装置を制御する制御装置とを備えた粒子線治療システムであって、前記シンクロトロンは、高周波加速電圧で前記荷電粒子ビームを所定のエネルギーまで加速する高周波加速空胴と、荷電粒子ビームを前記シンクロトロンから出射させる取り出し装置とを有し、前記制御装置は、前記取り出し装置によって前記荷電粒子ビームの出射制御が行われている間に前記高周波加速空胴に印加する高周波電圧の振幅値を減少させる制御を行う加速用高周波制御部を有することを特徴とする。
本発明によれば、ビームの照射量を従来より高い精度で制御することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
第1の実施形態の粒子線治療システムの構成の一例を示す図である。 第1の実施形態の粒子線治療システムの照射野形成装置の模式図である。 スキャニング照射法における従来のビーム照射の制御方法のタイムチャート図である。 第1の実施形態のビーム照射の制御方法のタイムチャート図である。 第2の実施形態のビーム照射の制御方法のタイムチャート図である。
以下に本発明の粒子線治療システムおよび粒子線治療システムの制御方法の実施形態を、図面を用いて説明する。
<第1の実施形態>
本発明の粒子線治療システムおよび粒子線治療システムの制御方法の第1の実施形態を、図1乃至図4を用いて説明する。なお、本実施形態では、ビームの照射量を高い精度で制御することのできる粒子線治療システムの例を説明する。
図1は、本実施形態による粒子線治療システムの一例を示す図である。
図1において、本実施形態の粒子線治療システムは、入射器1よりシンクロトロン10へ入射された荷電粒子ビーム(以下、ビームという)をシンクロトロン10により所定の運動エネルギー(以下、運動エネルギーを単にエネルギーという)まで加速して取り出し、患者40中の患部41へ照射するものである。この粒子線治療システムは、シンクロトロン10、照射野形成装置30、高エネルギービーム輸送系20、制御装置50を備えている。
入射器1には、例えば、イオン源(図示せず)で生成したビームをシンクロトロン10への入射に適したエネルギー(以下、入射エネルギーという)まで加速する線形加速器(ライナック)が用いられる。
入射器1から取り出された荷電粒子ビームは、低エネルギービーム輸送系2および入射用インフレクタ15を経由してシンクロトロン10へ入射される。
シンクロトロン10は、入射用インフレクタ15と、偏向電磁石11と、四極電磁石12と、六極電磁石13と、高周波加速空胴14と、取り出し用高周波電圧印加装置16と、取り出し用デフレクタ17とにより構成されている。
偏向電磁石11は、シンクロトロン10中を周回するビーム(以下、周回ビームという)を偏向して所定の周回軌道(以下、周回ビーム軌道という)を形成する。
ここで、図1において、周回ビームの進行方向に沿った方向を進行方向(ビームが進む方向を正)、進行方向に垂直で偏向電磁石11の動径方向に沿った方向を水平方向(シンクロトロン外側方向を正)、進行方向および水平方向の両方に垂直な方向を垂直方向と呼ぶ(図面手前方向を正)。また、シンクロトロン10の設計上の周回ビーム軌道を中心軌道と呼ぶ。周回ビーム粒子は中心軌道の周りを水平および垂直方向に振動しており、この振動をベータトロン振動という。また、シンクロトロン一周あたりのベータトロン振動の振動数をチューンという。
四極電磁石12は、周回ビームに収束あるいは発散の力を加えて周回ビームのチューンを周回ビームが安定となる値に保つ。
高周波加速空胴14は、周回ビームに進行方向の高周波電圧(以下、加速電圧という)を印加して周回ビームを進行方向の所定の位相に捕獲し(以下、高周波捕獲という)、所定のエネルギーまで加速する。
ここで、高周波捕獲された周回ビーム粒子の運動量は設計上の運動量(以下、中心運動量という)を中心として振動しており、この振動をシンクロトロン振動という。
シンクロトロン10では、周回ビームを加速する間は、偏向電磁石11の励磁量と四極電磁石12の励磁量とを周回ビームの運動量に比例して増加させるとともに、加速電圧の周波数(以下、加速周波数という)を適切な値に制御し、周回ビーム軌道および周回ビームのチューンを一定に保つ。
周回ビームの加速が完了した後、シンクロトロン10は四極電磁石12の励磁量を変更して周回ビームの水平チューンを周回ビームが不安定となる値(以下、共鳴線という)に接近させるとともに、六極電磁石13を励磁して周回ビームに中心軌道からの距離の二乗に比例する強度の磁場(以下、六極磁場という)を印加し、周回ビーム粒子の水平方向の位置と傾きにより定義される位相空間上に水平ベータトロン振動の安定限界(以下、セパラトリクスという)を形成する。
取り出し用高周波電圧印加装置16は、周回ビームに水平チューンと同期する周波数の水平方向の高周波電圧を印加し、周回ビーム粒子の水平ベータトロン振動の振幅を増大させる。水平ベータトロン振動の振幅が増大してセパラトリクスを越えた周回ビーム粒子は水平ベータトロン振動の振幅が急激に増大し、取り出し用デフレクタ17に入射する。
取り出し用デフレクタ17は入射した周回ビーム粒子を水平方向に偏向し、シンクロトロン10の外へ取り出す。
シンクロトロン10から取り出されたビーム(以下、取り出しビームという)は、高エネルギービーム輸送系20および照射野形成装置30を経由した後に患部41へ照射される。高エネルギービーム輸送系20および照射野形成装置30内の座標系はシンクロトロン10の座標系に準じる。また、ビーム進行方向における患部41の位置を照射地点と呼ぶ。
高エネルギービーム輸送系20は、シンクロトロン10と照射野形成装置30とを接続しており、シンクロトロン10から出射された取り出しビームを照射野形成装置30まで輸送する。この高エネルギービーム輸送系20は、取り出しビームを患者40へ向けて偏向する偏向電磁石、取り出しビームに収束あるいは発散の力を加える四極電磁石、取り出しビームの軌道を調整するステアリング電磁石などにより構成される。
照射野形成装置30は、高エネルギービーム輸送系20からのビームを整形し、患部41の形状に合わせた照射線量の分布(以下、照射野という)を形成する。本実施形態の粒子線治療システムは、ビームを走査電磁石により患部41の形状に合わせて走査するスキャニング照射法を照射野の形成に用いる。
シンクロトロン10は、周回ビームの取り出しが完了した後、偏向電磁石11の励磁量、四極電磁石12の励磁量、加速周波数をシンクロトロン10へのビーム入射時の値に変更し、次のビーム入射に備える。シンクロトロン10へビームを入射してから次にシンクロトロン10へビームを入射するまでの期間をシンクロトロン10の周期と呼ぶ。
制御装置50は照射野形成装置30や高エネルギービーム輸送系20、シンクロトロン10に接続されており、制御装置50はこれら照射野形成装置30や高エネルギービーム輸送系20、シンクロトロン10を構成する機器を制御する。この制御装置50は、加速用高周波制御部50aを有している。この加速用高周波制御部50aは、ビーム照射オンに同期して高周波加速空胴14をオンする際に高周波加速空胴14の印加電圧の振幅値を瞬時に立ち上げる制御を行う。また、加速用高周波制御部50aは、高周波電圧印加装置16によって荷電粒子ビームの出射制御が行われている間(ビーム照射オンの間)に高周波加速空胴14に印加する高周波電圧の振幅値を瞬時に立ち下げる制御を行う。
ここで、高周波加速空胴14の印加電圧の振幅値を瞬時に立ち上げる制御とは、シンクロトロン10中を周回ビーム粒子が一周する程度の時間で高周波加速空胴14の印加電圧の振幅値を立ち上げる、実質的にはオンにすることを表す。同様に、高周波加速空胴14の印加電圧の振幅値を瞬時に立ち下げる制御とは、シンクロトロン10中を周回ビーム粒子が一周する程度の時間で高周波加速空胴14の印加電圧の振幅値を急激に減少させる、実質的にはオフにすることを表す。
表示装置51は、制御装置50に接続されており、シンクロトロン10が運転されている間、ビーム照射可能信号の時間変化および高周波加速空胴14の印加電圧の時間変化を同一の画面上に表示する。粒子線治療システムの調整者や使用者は、表示装置51に表示されたこれらの信号を確認することにより、照射オフタイミングよりも前に高周波加速空胴14がオフとなっていることを確認できる。なお、照射可能信号の時間変化および高周波加速空胴14の印加電圧の時間変化は、制御装置50が制御装置50の備えるハードディスクドライブなどの記録装置(図示せず)にファイルとして保存し、粒子線治療システムの調整者および使用者が当該ファイルの内容から照射オフタイミングよりも前に高周波加速空胴14がオフとなっていることを確認してもよい。
本実施形態の粒子線治療システムは、あらかじめ治療計画装置(図示せず)が定めたビームの照射が完了するまで、ビームの加速、取り出し、照射を繰り返す。
照射野形成装置30が患部41の形状に合わせた照射野を形成する方法について図2を用いて以下説明する。図2は照射野形成装置30の構成を示す模式図である。
照射野形成装置30は、この例では、走査電磁石31,32、線量モニタ33、照射ビーム位置モニタ34により構成されている。走査電磁石31,32はそれぞれ走査電磁石電源31a,32aに接続されている。また、走査電磁石電源31a,32a、線量モニタ33、照射ビーム位置モニタ34は制御装置50に接続されている。
照射野はビーム進行方向(深さ方向)について複数の照射レイヤー42に分割されており、各照射レイヤー42はビーム進行方向に垂直な平面内に分布する複数の照射スポット43に分割されている。ビームがどの照射レイヤー42に照射されるか、即ち、ビームが患者40の体内において最大のエネルギーを与えるビーム進行方向の位置(飛程)がどの照射レイヤー42と一致するかは、照射ビームのエネルギーにより定まる。シンクロトロン10は、加速完了時点における周回ビームのエネルギー、即ち照射ビームのエネルギーを調整し、ビームが照射される照射レイヤー42を決定する。照射野を構成する照射レイヤー42および照射スポット43の情報は、粒子線治療システムの使用者からの指示に応じて治療計画装置(不図示)が作成する。
制御装置50は治療計画装置から照射野を構成する照射レイヤー42および照射スポット43の情報を読み込み、最初にビームを照射する照射レイヤー42に対応したエネルギーまで周回ビームを加速するようシンクロトロン10を制御する。周回ビームの加速が完了しシンクロトロン10からの周回ビーム取り出しの準備が完了すると、シンクロトロン10は制御装置50へ照射準備完了信号を出力する。
照射準備完了信号を受けた制御装置50は、ビームが最初の照射スポット43の位置へ向けて偏向されるよう走査電磁石31,32を所定の励磁量に励磁する。走査電磁石31,32の励磁が完了すると制御装置50は照射可能信号をオンにする。
照射可能信号がオンになるとシンクロトロン10の取り出し用高周波電圧印加装置16がオンとなり、周回ビームに水平方向の高周波電圧が印加されて周回ビームがシンクロトロン10の外へ取り出される。ここで、取り出し用高周波電圧装置16がオンであるとは、取り出し用高周波電圧印加装置16が周回ビームに高周波電圧を印加していることを表し、出射制御を行っていることと同義である。また、取り出し用高周波電圧装置16がオフであるとは、取り出し用高周波電圧印加装置16から周回ビームに高周波電圧が印加されていないことを表し、出射制御が行われていないことと同義である。
シンクロトロン10からの取り出しビームは、高エネルギービーム輸送系20を経由した後、走査電磁石31,32が発生する磁場により偏向されて最初の照射スポット43に照射される。
ビーム照射中は、照射ビーム位置モニタ34は走査電磁石31,32により偏向されたビームの照射位置を測定し、照射ビーム位置の測定結果が治療計画の定める照射スポット43の位置と異なるか否かを判定している。この判定において計画位置と実際の照射位置とが異なると判定される場合は、制御装置50は照射可能信号をオフにしてシンクロトロン10からのビームの取り出しを停止する。
また、ビーム照射中は線量モニタ33は各照射スポット43へのビームの照射量(以下、ビームの照射量を照射線量という)を測定し、制御装置50は現在の照射スポットへの照射線量が治療計画の定める目標値に到達した時点で照射可能信号をオフにしてシンクロトロン10からのビームの取り出しを停止する。
照射線量が目標値に到達してビームの取り出しが停止した後、制御装置50は走査電磁石31,32の励磁量をビームが次の照射スポット43へ偏向される様に変更し、シンクロトロン10からのビーム取り出しを再開するよう制御する。制御装置50は、現在の照射レイヤー42を構成する全ての照射スポット43へのビーム照射が完了するまでビームの照射と照射ビーム位置の移動とを繰り返す。制御装置50は、最初の照射レイヤー42と同様に、照射野を構成する全ての照射レイヤー42に対してビームを照射し、患者40の体内に患部41の形状に応じた照射野を形成する。
本実施形態における照射線量の精度を向上する制御方法について以下説明する。ここで、照射線量の精度が高いとは、各照射スポットへ照射される照射線量の目標値からのずれが小さいことを表す。
まず、従来のスキャニング照射法におけるビーム照射のオン,オフの制御方法について図3を用いて説明する。図3は、スキャニング照射法における従来のビーム照射の制御方法のタイムチャート図である。
図3において、横軸は時間、縦軸は上から順に、走査電磁石31,32の励磁量(折れ線100)、制御装置50が保持するビーム照射可能信号(折れ線101)、取り出し用高周波電圧印加装置16が周回ビームに印加する水平方向の高周波電圧の振幅(以下、取り出し用高周波電圧印加装置16の印加電圧という)(折れ線102)、高周波加速空胴14が周回ビームに印加する進行方向の高周波電圧の振幅(以下、高周波加速空胴14の印加電圧という)(折れ線103)、シンクロトロン10から取り出され、患部41へ照射されるビームの電流(以下、照射ビーム電流という)(折れ線104)の時間変化を示している。本実施形態の照射ノズルは2台の走査電磁石31,32を備えているが、図3は一本の折れ線100で2台の走査電磁石31,32の励磁量を模式的に示している。
図3において、走査電磁石31,32の所定の励磁量への励磁が完了して照射可能信号101がオンとなると、取り出し用高周波電圧印加装置16がオンとなり、周回ビームに水平方向の高周波電圧が印加されて患部41へビームが照射される。また、ビーム照射中は周回ビームに高周波加速空胴14からの加速電圧が印加されている。
照射線量が現在の照射スポットの目標値に到達すると、照射可能信号101がオフとなり、取り出し用高周波電圧印加装置16がオフとなって患部41へのビーム照射が停止する。
ここで、周回ビームに加速電圧が印加されている間は、周回ビームを構成する個々の荷電ビーム粒子はシンクロトロン振動によりその運動量が変化する。周回ビーム粒子の運動量が変化すると、シンクロトロン10が持つ運動量と水平チューンに関する収差(水平クロマティシティ)により周回ビーム粒子の水平チューンが変化する。このとき、周回ビーム粒子のチューンがビーム取り出しで使用する共鳴線に接近するように変化すると、当該周回ビーム粒子のセパラトリクスが縮小し、周回ビーム粒子がセパラトリクスの外に移動して取り出されることがある。これにより、取り出し用高周波電圧印加装置16がオフであっても、高周波加速空胴14がオンである間は周回ビームが取り出される可能性がある。この場合、照射線量と目標線量との間にずれが生じるため、照射線量の更なる精度向上を図るうえで問題となる。
このため、従来のスキャニング照射法では、取り出し用高周波電圧印加装置16のオフと同時に高周波加速空胴14をオフとする、即ち高周波加速空胴14からの高周波電圧の印加を停止することにより、周回ビーム粒子のシンクロトロン振動を停止し、周回ビームがビーム照射停止タイミング以降に取り出されることを抑制している。しかし、高周波加速空胴14がオフである間は周回ビーム粒子のシンクロトロン振動が停止するが、走査電磁石の励磁量を変更するために必要な時間(例えば5ms)に比べて極端に長い時間(例えば100ms)高周波加速空胴14をオフにすると、周回ビーム粒子同士の相互作用等により周回ビームが不安定となり失われる可能性がある。
そこで、従来のスキャニング照射法では、次に照射可能信号がオンとなるタイミング(照射オンタイミング)と同時に高周波加速空胴14をオンとし、周回ビーム粒子のシンクロトロン振動を再開することで周回ビームが不安定となることを防いでいる。これにより、照射可能信号がオンである間は、セパラトリクスの収縮により周回ビームが取り出されても照射線量の精度を低下させていない。
このように、従来のスキャニング照射法では、照射可能信号(高周波電圧印加装置16)のオン,オフに同期して高周波加速空胴14のオン,オフを繰り返すことにより、照射可能信号がオフである間にシンクロトロン10から取り出されるビームの量を低減し、照射線量の精度の低下を抑制している。
次に、本実施形態の粒子線治療システムにおいて照射線量の精度を従来のスキャニング照射法よりも向上させる制御について図4を用いて以下説明する。
シンクロトロン10では、高周波加速空胴14をオフとすると、それまで高周波捕獲されていた周回ビーム粒子は進行方向に徐々に広がり、高周波加速空胴14がオンである間のシンクロトロン振動の周期と同程度の時間をかけて進行方向に一様なビームとなる。このシンクロトロン振動の周期はシンクロトロンの機器配置および運転条件に依存するが、陽子線治療用シンクロトロンの場合、例えば100μs〜2000μsの範囲である。この高周波加速空胴14をオフしてから周回ビームが進行方向に一様な分布となるまでの間に、周回ビーム粒子は進行方向に密度勾配を持つため、空間電荷効果による進行方向の力を受けその運動量をわずかに変化させる。このため、上述したように、従来のスキャニング照射法では、空間電荷効果による運動量変化によって照射停止タイミング以降に周回ビームが取り出される可能性があった。
図4は、スキャニング照射法における本実施形態のビーム照射の制御方法のタイムチャート図である。
図4において、横軸は時間、縦軸は上から順に、本実施形態の粒子線治療システムにおける走査電磁石31,32の励磁量(折れ線110)、照射可能信号(折れ線111)、取り出し用高周波電圧印加装置16の印加電圧(折れ線112)、高周波加速空胴14の印加電圧(折れ線113)、照射ビーム電流(折れ線114)の時間変化を模式的に示している。
図4の折れ線113に示すように、本実施形態では図3に示すスキャニング照射法と同様に、ビーム取り出しのオフ時にあわせて高周波加速空胴14の印加電圧をオフとしているが、制御装置50の加速用高周波制御部50aにより、照射可能信号をオフとするタイミングよりも前に高周波加速空胴14をオフとするよう制御されている。
この制御を実施するために、制御装置50では線量モニタ33により測定された現在の照射スポットへの照射線量と現在の照射スポットにおける目標線量とを逐次比較し、照射線量が目標線量の一定の割合を越えた時点で加速用高周波制御部50aによって高周波加速空胴14をオフとする制御を行っている。この高周波加速空胴14をオフとする照射線量の目標線量に対する割合は、高周波加速空胴14をオフする時点(高周波加速空胴14オフタイミング)から照射線量が目標線量に到達する時点(照射オフタイミング)までの経過時間が周回ビーム粒子のシンクロトロン振動周期と同程度となるよう粒子線治療システムの調整者あるいは使用者が設定する。
上述のような制御により、高周波加速空胴14がオフとなった後も、照射可能信号がオンである間は周回ビームに取り出し用高周波電圧印加装置16からの高周波電圧が印加され続けているため、シンクロトロン10からの取り出しビーム電流は高周波加速空胴14のオフにより変化しない。一方で、高周波加速空胴14オフタイミングから照射オフタイミングまでにはシンクロトロン振動周期程度の時間が経過しているため、照射オフタイミングにおいては周回ビーム粒子の進行方向の分布が一様なものとなっている。これにより、本実施形態では照射オフタイミング以降に空間電荷効果による周回ビーム粒子の運動量の変化が生じないため、照射オフタイミング以降にシンクロトロン10から取り出される周回ビームの量を低減し、照射線量の精度を従来に比べて向上することが可能である。
なお、本実施形態の粒子線治療システムでは、高周波加速空胴14オフタイミングから照射オフタイミングまでの経過時間がシンクロトロン振動の周期と同程度となるよう高周波加速空胴14をオフとするタイミングを設定したが、高周波加速空胴14がオフとなってから照射オフタイミングまでの経過時間はシンクロトロン振動の周期より短くても、または長くても構わない。
例えば、高周波加速空胴14オフタイミングから照射オフタイミングまでの経過時間が周回ビーム粒子のシンクロトロン振動周期の1/4以上であれば照射線量の精度を向上する本実施形態の効果を得ることが可能である。高周波加速空胴14オフタイミングからシンクロトロン振動周期の1/4に相当する時間が経過すると、進行方向で高周波バケットの中心付近の位相に分布していた運動量の高い粒子と運動量の低い粒子が高周波バケットの端部付近まで移動する。このため、周回ビーム粒子の進行方向の密度勾配が小さくなり、空間電荷効果による影響が緩和され、照射オフタイミング以降にシンクロトロン10から取り出される周回ビームの量を低減し、照射線量の精度を従来に比べて向上することが可能である。
また、本実施形態の粒子線治療システムでは、現在の照射スポットへの照射線量と現在の照射スポットにおける目標線量とを逐次比較し、照射線量が目標線量の一定の割合を越えた時点で高周波加速空胴14をオフとするとしたが、高周波加速空胴14は照射開始から所定の時間が経過した時点でオフとしても良い。
この場合、照射を開始してから高周波加速空胴14をオフとするまでの時間は、高周波加速空胴14オフタイミングから照射オフタイミングまでの経過時間がシンクロトロン振動の周期と同程度となるよう、現在の照射スポットにおける目標線量や周回ビームの量から制御装置50が決定する。
更に、本実施形態の粒子線治療システムでは、高周波電圧印加装置16をシンクロトロン10からのビーム取り出し装置としたが、シンクロトロン10からのビーム取り出し装置は四極電磁石であっても構わない。四極電磁石をビーム取り出し装置として使用する場合、周回ビームのチューン調整用の四極電磁石12をビーム取り出し装置として兼用しても良いし、ビーム取り出し用の四極電磁石を別途シンクロトロン10に設置しても良い。ビーム取り出し用の四極電磁石を別途シンクロトロン10に設置する場合、励磁量の高速な変更が可能な空芯の四極電磁石を用いることができる。
ビーム取り出し装置として四極電磁石を用いる場合、照射可能信号がオンである間は、取り出し用四極電磁石の励磁量を周回ビームの水平チューンが取り出し用の共鳴線に接近するよう変化させる。照射可能信号がオフである間は、取り出し用四極電磁石の励磁量を変化させないか、取り出し用四極電磁石の励磁量を周回ビームの水平チューンが取り出し用の共鳴線から遠ざかるよう変化させる。
また、本実施形態の粒子線治療システムでは、シンクロトロン10からのビーム取り出し装置に周回ビーム粒子の運動量を変化させるエネルギー量変更装置を用いても良い。シンクロトロン10の水平クロマティシティが0以外の値である場合、周回ビームの運動量が変化すると周回ビームの水平チューンが変化する。従って、シンクロトロン10の水平クロマティシティを適切な値に制御することにより、例えば周回ビームの運動量が増加する場合にのみ周回ビームの水平チューンを共鳴線に接近させ、シンクロトロン10からビームを取り出すことが可能となる。
ビーム取り出し装置としてエネルギー変更装置を用いる場合、照射可能信号がオンである間は、周回ビームの運動量を周回ビームの水平チューンが取り出し用の共鳴線に接近するよう変化させる。照射可能信号がオフである間は、周回ビームの運動量を変化させないか、周回ビームの運動量を周回ビームの水平チューンが取り出し用の共鳴線から遠ざかるよう変化させる。このエネルギー変更装置としては、例えば、誘導起電力により周回ビームを加速あるいは減速するベータトロンコアが挙げられる。
更に、本実施形態の粒子線治療システムでは制御装置50の加速用高周波制御部50aは、高周波電圧印加装置16によって荷電粒子ビームの出射制御が行われている間に高周波加速空胴14に印加する高周波電圧の振幅値をオフにする制御の替わりに、高周波加速空胴14に印加する高周波電圧の振幅値を徐々に減らすよう制御することができる。
<第2の実施形態>
本発明の粒子線治療システムおよび粒子線治療システムの制御方法の第2の実施形態を図5を用いて説明する。本実施形態では、照射線量の精度を向上し、なおかつ機器のコストを低減することのできる粒子線治療システムの形態について説明する。
本実施形態の粒子線治療システムは、制御装置50の加速用高周波制御部50aにおける高周波加速空胴14から周回ビームに印加される高周波電圧の立ち上がりおよび立ち下がりの制御が相違する以外のその他の構成は、第1の実施形態の粒子線治療システムの構成と略同じであり、詳細は省略する。
第1の実施形態の粒子線治療システムでは、制御装置50の加速用高周波制御部50aは、ビーム照射オンに同期して高周波加速空胴14をオンする際は高周波加速空胴14の印加電圧の振幅値を瞬時に立ち上げ、ビーム照射オフの前に高周波加速空胴14の印加電圧の振幅値を瞬時に立ち下げる制御を行うものとした。
ここで、シンクロトロン10中を周回する周回ビームに対して高周波加速空胴14の印加電圧の振幅値の瞬時の立ち上げ,立ち下げを繰り返すと、周回ビームが進行方向に擾乱を受けて周回ビームの運動量の広がり(以下、運動量分散という)が増大する。また、周回ビームの運動量分散が増大することによりシンクロトロン10の取り出しビームの運動量分散も増大する。
高エネルギービーム輸送系20中のビームサイズsx(水平方向)、sy(垂直方向)は、取り出しビームのエミッタンスεx,εy、運動量分散Δp/p、高エネルギービーム輸送系20中のビームサイズを計算する地点におけるTwissパラメータβx,βy、ディスパージョンηx,ηyを用いて式1および式2により表される。
ここで、取り出しビームのエミッタンスεx,εyには例えば周回ビーム粒子の90%が含まれる値を、運動量分散Δp/pには例えば周回ビーム粒子の90%が含まれる範囲の片側を用いる。また、添え字xは水平方向を表し、添え字yは垂直方向を表す。
これら式1および式2によれば、取り出しビームの運動量分散が増大すると高エネルギービーム輸送系20中のビームサイズが増大することがある。従って、第1の実施形態の粒子線治療システムでは、ビーム照射のオン,オフに連動した高周波加速空胴14のオン,オフに伴い高エネルギービーム輸送系20中のビームサイズが増大する、との懸念がある。
高エネルギービーム輸送系20中のビームは真空ダクト(図示せず)中を通過しており、この真空ダクトの内径は、真空ダクト中を通過するビーム粒子が真空ダクトの内壁に衝突して失われることの無いよう高エネルギービーム輸送系20中のビームサイズよりも大きな値とする必要がある。
従って、高周波加速空胴14のオン,オフに伴い高エネルギービーム輸送系20中のビームサイズが増大するとなると、増大したビームサイズに対して十分な大きさの内径を持つ真空ダクトを使用する必要がある。したがって、ビームサイズの増大が無い制御系に比べて真空ダクトの製作にかかるコストが増大する。また、高エネルギービーム輸送系20中のビームサイズが増大すると高エネルギービーム輸送系20中のビームに対して磁場を印加する必要のある領域が拡大する。このため、高エネルギービーム輸送系20を構成する電磁石の磁極を大きくする必要が生じ、これら電磁石の製作コストが増大する、との懸念が生じることになる。
そこで、高周波加速空胴14のオン,オフに起因する高エネルギービーム輸送系20中のビームサイズの増大を抑制するため、本実施形態の粒子線治療システムにおける制御装置50の加速用高周波制御部50aは、高周波加速空胴14の印加電圧の振幅値を、図5の折れ線123に示すように、高周波電圧印加装置16によって荷電粒子ビームの出射制御が行われている間に徐々に減少させるとともに、出射制御の開始後から徐々に増加させるように制御する。
図5は、スキャニング照射法における本実施形態のビーム照射の制御方法のタイムチャート図であり、本実施形態の粒子線治療システムにおける走査電磁石31,32の励磁量(折れ線120)、照射可能信号(折れ線121)、取り出し用高周波電圧印加装置16の印加電圧(折れ線122)、高周波加速空胴14の印加電圧(折れ線123)、照射ビーム電流(折れ線124)の時間変化を示す。
より具体的には、本実施形態の制御装置50は、第1の実施形態と同様に、ビーム照射のオン,オフに連動して高周波加速空胴14のオン,オフを繰り返すよう制御する。
なお、シンクロトロン振動の周期は高周波加速空胴の印加電圧の振幅値の1/2乗に反比例するため、高周波加速空胴14の印加電圧の振幅値が増加している間はシンクロトロン振動の周期が減少し、高周波加速空胴14の印加電圧の振幅値が減少している間はシンクロトロン振動の周期が増加する。本実施形態では、単にシンクロトロン振動の周期という場合は、高周波加速空胴14の印加電圧の振幅値の立ち上がりが完了してから高周波加速空胴14の印加電圧の振幅値の立下りが開始するまでの間、即ち高周波加速空胴14の印加電圧の振幅値が最大となっている間のシンクロトロン振動の周期を指すものとする。
本実施形態では、高周波加速空胴14をオフとする際、高周波加速空胴14の印加電圧の立ち下がり時間が周回ビーム粒子のシンクロトロン振動の周期と同程度になるよう、照射オフタイミングよりも前に制御装置50の加速用高周波制御部50aは高周波加速空胴14の印加電圧の振幅値を徐々に減少させる。また、ビーム照射の開始時に高周波加速空胴14をオンとする際に、高周波加速空胴14の印加電圧の立ち上がり時間がシンクロトロン振動の周期と同程度になるよう制御装置50の加速用高周波制御部50aは高周波加速空胴14の印加電圧を徐々に増加させる制御を実行する。
本実施形態の制御装置50は、第1の実施形態と同様に、線量モニタ33により測定された現在の照射スポットへの照射線量と現在の照射スポットにおける目標線量とを逐次比較し、照射線量が目標線量の一定の割合に到達した時点で加速用高周波制御部50aにおいて高周波加速空胴14の印加電圧の振幅値を減少させ始めるようシンクロトロン10を制御する。
高周波加速空胴14の印加電圧の振幅値を減少させ始める照射線量の目標線量に対する割合は、振幅値の減少開始から照射オフまでの経過時間が周回ビーム粒子のシンクロトロン振動周期と同程度となるよう粒子線治療システムの調整者あるいは使用者が適宜設定する。
また、本実施形態の制御装置50では、高周波加速空胴14をオンとする際には、高周波加速空胴14の印加電圧の振幅値がシンクロトロン振動の周期と同程度の時間をかけて立ち上がるよう、加速用高周波制御部50aにより高周波加速空胴14を制御する。
表示装置51は、第1の実施形態と同様、制御装置50に接続されており、ビーム照射可能信号の時間変化および高周波加速空胴14の印加電圧の時間変化を同一の画面上に表示する。粒子線治療システムの調整者や使用者は、表示装置51に表示されたこれらの信号を確認することにより、照射オフタイミングよりも前に高周波加速空胴14の印加電圧の振幅値が減少し始めていることおよび高周波加速空胴14の印加電圧の立ち上がり時間、立ち下がり時間がシンクロトロン振動の周期と同程度であることを確認することができる。
上述のような制御により、第1の実施形態と同様、照射可能信号がオンである間は周回ビームに高周波電圧印加装置16からの高周波電圧が印加され続けているため、シンクロトロンからの取り出しビーム電流は高周波加速空胴14のオフにより変化しない。また、高周波加速空胴14の印加電圧の振幅値の立ち下がり時間がシンクロトロン振動の周期と同程度であるため、高周波加速空胴14の印加電圧が0となって以降は周回ビーム粒子の進行方向の分布が一様なものとなる。このため、本実施形態の粒子線治療システムでは、照射オフタイミングにおいて周回ビーム粒子の進行方向の分布が一様なものとなっており、照射オフタイミング以降は空間電荷効果による周回ビーム粒子の運動量の変化が生じない。更に、本実施形態では照射オフタイミングにおいて高周波加速空胴14の印加電圧がほぼ0であるため、照射オフタイミング以降にシンクロトロン振動によって周回ビーム粒子の運動量が変化しない。
このように、本実施形態の粒子線治療システムでは、照射オフタイミング以降に周回ビーム粒子の運動量が変化しないため、第1の実施形態と同様照射オフタイミング以降にシンクロトロン10から取り出される周回ビームの量を低減し、照射線量の精度を向上することが可能である。
また、本実施形態では、高周波加速空胴14をオンとする際には高周波加速空胴14の印加電圧の振幅値がシンクロトロン振動の周期と同程度の時間をかけて立ち上がるよう制御装置50によって制御され、高周波加速空胴14をオフとする際には高周波加速空胴14の印加電圧の振幅値がシンクロトロン振動の周期と同程度の時間をかけて立ち下がるよう制御装置50によって制御される。
このため、高周波加速空胴14のオン,オフに伴う周回ビーム粒子の運動量および進行方向の位相の変化が断熱的な変化となり、高周波加速空胴14のオン,オフの繰り返しによる周回ビームの運動量分散の増大が抑制される。これにより、本実施形態ではシンクロトロン10の取り出しビームの運動量分散の増大が抑制されるため、高エネルギービーム輸送系20中を通過するビームのビームサイズの増大が抑制され、高エネルギービーム輸送系20を構成する真空ダクトや電磁石の製作にかかるコストを低減することが可能となる。
なお、本実施形態の粒子線治療システムでは、高周波加速空胴14の印加電圧の立ち上がり時間および立ち下がり時間を周回ビーム粒子のシンクロトロン振動の周期と同程度となるよう制御装置50が高周波加速空胴14の印加電圧を制御するとしたが、高周波加速空胴14の印加電圧の立ち上がり時間および立ち下がり時間はシンクロトロン振動の周期より短くても、または長くても構わない。
例えば、高周波加速空胴14の印加電圧の立ち上がり時間や立ち下がり時間は周回ビーム粒子のシンクロトロン振動周期の1/4以上であれば、高エネルギービーム輸送系20中のビームサイズの増大を抑制する本実施形態の効果を得ることができる。これは、高周波加速空胴14の印加電圧の立ち上がり時間や立ち下がり時間がシンクロトロン振動周期の1/4であれば、高周波バケットの境界の移動速度が高周波捕獲後の周回ビーム粒子の進行方向位相空間における移動速度と同程度となることに起因している。
また、図5における折れ線123に示すように、高周波加速空胴14の印加電圧の振幅値を直線的に増加,減少させる場合について説明したが、高周波加速空胴14の印加電圧の振幅値の増加,減少のパターンは直線的に限定されず、指数関数や対数関数,二次関数等のように増加,減少させてもよく、更には細かなステップ状に増加,減少させることもできる。
更に、本実施形態では、第1の実施形態と同様、シンクロトロン10からのビーム取り出し装置が四極電磁石や周回ビーム粒子の運動量を変化させるエネルギー変更装置(例えばベータトロンコア)であっても構わない。
<その他>
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。更に、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上の必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
また、上述の実施形態では、照射野をスポットスキャニング照射法により形成する形態について説明したが、照射野を形成する方法としては、他には、ラスタースキャニング法や散乱体照射法などを用いることができる。
1…入射器、
2…低エネルギービーム輸送系、
10…シンクロトロン、
11…偏向電磁石、
12…四極電磁石、
13…六極電磁石、
14…高周波加速空胴、
15…入射用インフレクタ、
16…高周波キッカ、
17…取り出し用デフレクタ、
20…高エネルギービーム輸送系、
30…照射野形成装置、
31,32…走査電磁石、
31a,32a…走査電磁石電源、
33…線量モニタ、
34…照射ビーム位置モニタ、
40…患者、
41…患部、
42…照射レイヤー、
43…照射スポット、
50…制御装置、
50a…加速用高周波制御部、
51…表示装置、
100,110,120…走査電磁石31,32の励磁量、
101,111,121…照射可能信号、
102,112,122…取り出し用高周波電圧印加装置16の印加電圧、
103,113,123…高周波加速空胴14の印加電圧、
104,114,124…照射ビーム電流。

Claims (9)

  1. 荷電粒子ビームを加速して出射するシンクロトロンと、
    このシンクロトロンから出射された前記荷電粒子ビームを照射対象に対して照射する照射装置と、
    前記荷電粒子ビームを前記シンクロトロンから前記照射装置まで導くビーム輸送系と、
    前記シンクロトロン、前記ビーム輸送系および前記照射装置を制御する制御装置とを備えた粒子線治療システムであって、
    前記シンクロトロンは、高周波加速電圧で前記荷電粒子ビームを所定のエネルギーまで加速する高周波加速空胴と、荷電粒子ビームを前記シンクロトロンから出射させる取り出し装置とを有し、
    前記制御装置は、前記取り出し装置によって前記荷電粒子ビームの出射制御が行われている間に前記高周波加速空胴に印加する高周波電圧の振幅値を減少させる制御を行う加速用高周波制御部を有する
    こと特徴とする粒子線治療システム。
  2. 請求項1に記載の粒子線治療システムにおいて、
    前記照射対象における照射線量の分布をスキャニング照射法により形成する
    ことを特徴とする粒子線治療システム。
  3. 請求項2に記載の粒子線治療システムにおいて、
    前記制御装置は、照射スポットへの照射線量が現在の照射スポットへの目標線量の所定の割合を超えると前記高周波加速空胴の印加電圧の振幅値を減少させ始める
    ことを特徴とする粒子線治療システム。
  4. 請求項1乃至3いずれか一項に記載の粒子線治療システムにおいて、
    前記制御装置の前記加速用高周波制御部は、前記取り出し装置によって前記荷電粒子ビームの出射制御が行われている間に前記高周波加速空胴に印加する高周波電圧の振幅値を徐々に減少させるとともに、前記取り出し装置による前記荷電粒子ビームの出射制御の開始後から前記高周波加速空胴に印加する高周波電圧の振幅値を徐々に増加させる
    ことを特徴とする粒子線治療システム。
  5. 請求項4に記載の粒子線治療システムにおいて、
    前記制御装置の前記加速用高周波制御部は、前記高周波加速空胴に印加する高周波電圧の振幅値の減少開始時点から減少終了時点までの時間および前記高周波加速空胴に印加する高周波電圧の振幅値の増加開始時点から増加終了時点までの時間を、前記シンクロトロン中を周回する荷電ビーム粒子のシンクロトロン振動の周期の四分の一よりも長い時間とする
    ことを特徴とする粒子線治療システム。
  6. 請求項5に記載の粒子線治療システムにおいて、
    前記減少開始時点から前記減少終了時点までの時間および前記増加開始時点から前記増加終了時点までの時間を、前記シンクロトロン中を周回する前記荷電ビーム粒子のシンクロトロン振動の周期と同じ時間とする
    ことを特徴とする粒子線治療システム。
  7. 請求項1乃至6いずれか一項に記載の粒子線治療システムにおいて、
    前記取り出し装置は、前記シンクロトロン中を周回する前記荷電粒子ビームに前記荷電粒子ビームの進行方向と垂直な方向の高周波電圧を印加する高周波電圧印加装置である
    ことを特徴とする粒子線治療システム。
  8. 請求項1乃至6いずれか一項に記載の粒子線治療システムにおいて、
    前記取り出し装置は、前記荷電粒子ビームの進行方向と垂直な平面内において前記シンクロトロン中を周回する前記荷電粒子ビームを収束あるいは発散させる四極電磁石である
    ことを特徴とする粒子線治療システム。
  9. 請求項1乃至6いずれか一項に記載の粒子線治療システムにおいて、
    前記取り出し装置は、前記シンクロトロン中を周回する前記荷電粒子ビームの運動エネルギーを変化させるエネルギー変更装置である
    ことを特徴とする粒子線治療システム。
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