JP6568318B2 - ガス警報器、制御装置、及びプログラム - Google Patents

ガス警報器、制御装置、及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、ガス警報器、制御装置、及びプログラムに関する。
従来、ガスセンサを内蔵したガス警報器が広く使用されている。ガス警報器を長期間使用すると、ガスセンサの感度低下状態である鈍化が生じる場合がある。そこで、ガスセンサの鈍化を検出することができるガス警報器が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2015−46160号公報
解決しようとする課題
ガス警報器において、ガスセンサの鈍化を検出する処理に起因して本来の対象ガスの検出精度が影響を受けることを防止することが望ましい。
一般的開示
本発明の第1の態様においては、ガス警報器を提供する。ガス警報器は、センサ素子とセンサ素子を加熱するためのヒータとを有してよい。ガス警報器は、ヒータにより検出処理温度に加熱されたセンサ素子の特性値に基づいて対象ガスを検出してよい。判定部は、センサ素子が感度低下した鈍化状態であるかを判定してよい。中断制御部は、センサ素子が鈍化状態であるか判定するための加熱処理を中断してよい。中断制御部は、加熱制御部による加熱処理の開始後に測定部によって測定されたセンサ素子の特性値が予め定められた条件を満たした場合に、加熱処理を中断してよい。
ガス警報器は、センサ素子とセンサ素子を加熱するためのヒータとを有してよい。ガス警報器は、ヒータにより検出処理温度に加熱されたセンサ素子の抵抗値に基づいて対象ガスを検出してよい。ガス警報器は、測定部、加熱制御部、第1取得部、判定部、及び中断制御部を備えてよい。測定部は、センサ素子の抵抗値を測定してよい。加熱制御部は、検出処理温度に比べて低い第1温度にセンサ素子を加熱処理するようにヒータを制御してよい。第1取得部は、センサ素子の第1抵抗値を取得してよい。第1抵抗値は、センサ素子の温度が第1温度に達した状態で測定部によって測定されてよい。判定部は、第1抵抗値に基づいて、センサ素子が感度低下した鈍化状態であるかを判定してよい。中断制御部は、センサ素子が鈍化状態であるか判定するための加熱処理を中断してよい。中断制御部は、加熱制御部による加熱処理の開始後に測定部によって測定されたセンサ素子の抵抗値が予め定められた条件を満たした場合に、加熱処理を中断してよい。
第2取得部は、センサ素子の第2抵抗値を取得してよい。第2抵抗値は、センサ素子の温度が第1温度より高い第2温度である状態で測定部によって測定されてよい。判定部は、第1抵抗値及び第2抵抗値に基づいて、センサ素子が鈍化状態であるかを判定してよい。
判定部は、第1抵抗値と第2抵抗値との比を予め定められた閾値と比較することによって、センサ素子が鈍化状態であるかを判定してよい。
加熱制御部は、センサ素子の温度が第2温度になるように加熱制御した後に、センサ素子の温度が第1温度となるように加熱制御してよい。第2取得部が第2抵抗値を取得するのに続いて、第1取得部が第1抵抗値を取得してよい。
中断制御部は、加熱制御部による加熱処理開始後に測定部によって測定されたセンサ素子の抵抗値が予め定められた閾値以下となる場合に、センサ素子が鈍化状態であるか判定するための加熱処理を中断してよい。
鈍化状態にないセンサ素子を清浄環境中で第1温度に安定させたときのセンサ素子の抵抗値が前記閾値として設定されてよい。
鈍化状態にないセンサ素子を清浄環境中で第1温度に安定させたときのセンサ素子の抵抗値より高い抵抗値が前記閾値として設定されてよい。
ガス警報器は、複数の第2温度を設定可能であってよい。ガス警報器は、第2温度毎に異なる閾値を記憶する記憶部を備えてよい。
中断制御部は、センサ素子の抵抗値における時間変化の傾きに基づいて、センサ素子が鈍化状態であるか判定するための加熱処理を中断してよい。センサ素子の抵抗値は、加熱制御部による加熱処理開始後に測定部によって測定されてよい。
中断制御部は、加熱制御部による加熱処理開始後に測定部によって測定されたセンサ素子の抵抗値を前回の測定値に比べた結果に基づいて、センサ素子が鈍化状態であるか判定するための加熱処理を中断してよい。
ガス警報器は、温度湿度計測部及び補正部を更に備えてよい。温度湿度計測部は、ガス警報器周辺の温度及び湿度の少なくとも一方を計測してよい。補正部は、第1抵抗値及び第2抵抗値を温度湿度計測部による計測結果に応じて補正してよい。判定部は、補正された第1抵抗値と補正された第2抵抗値とに基づいて、センサ素子が鈍化状態であるかを判定してよい。
本発明の第2の態様においては、制御装置を提供する。制御装置は、ガス警報器における制御装置であってよい。ガス警報器は、センサ素子とセンサ素子を加熱するためのヒータとを有してよい。ガス警報器は、ヒータにより検出処理温度に加熱されたセンサ素子の抵抗値に基づいて対象ガスを検出してよい。制御装置は、測定部、加熱制御部判定部、及び中断制御部を備えてよい。測定部は、センサ素子の抵抗値を測定してよい。加熱制御部は、検出処理温度に比べて低い第1温度にセンサ素子を加熱処理するようにヒータを制御してよい。判定部は、特性値に基づいて、センサ素子が感度低下した鈍化状態であるかを判定してよい。中断制御部は、センサ素子が鈍化状態であるか判定するための加熱処理を中断してよい。中断制御部は、加熱制御部による加熱処理の開始後に測定部によって測定されたセンサ素子の特性値が予め定められた条件を満たした場合に、加熱処理を中断してよい。
本発明の第3の態様においては、プログラムを提供する。プログラムは、ガス警報器を制御するコンピュータに手順を実行させてよい。ガス警報器は、センサ素子とセンサ素子を加熱するためのヒータとを有してよい。ガス警報器は、ヒータにより検出処理温度に加熱されたセンサ素子の特性値に基づいて対象ガスを検出してよい。プログラムは、センサ素子の特性値を測定する手順をコンピュータに実行させてよい。プログラムは、センサ素子を加熱処理するようにヒータを制御する手順をコンピュータに実行させてよい。プログラムは、特性値に基づいて、センサ素子が感度低下した鈍化状態であるかを判定する手順をコンピュータに実行させてよい。プログラムは、センサ素子が鈍化状態であるか判定するための加熱処理を中断する手順をコンピュータに事項させてよい。加熱処理を中断する手順は、センサ素子が鈍化状態であるか判定するための加熱処理の開始後に測定されたセンサ素子の特性値が予め定められた条件を満たした場合に、加熱処理を中断してよい。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
本発明の第1実施形態のガス警報器100の概略を示す図である。 検出部10の概略構成を示す断面図である。 センサ抵抗値とガス濃度との関係を示す図である。 センサ抵抗値の温度特性を示す図である。 ヒータ14によって加熱されたセンサ抵抗12の抵抗値の変化を示す図である。 図5のHigh領域を拡大した図である。 加熱処理を中断する処理を示す図である。 図7のHigh領域を拡大した図である。 本発明の第1実施形態のガス警報器100による処理内容を示すフローチャートの一例である。 ガス警報器100による鈍化状態判定処理の一例を示すフローチャートである。 ガス警報器100による鈍化状態判定処理の他の例を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態のガス警報器100による処理内容を示すフローチャートの一例である。 本発明の第3実施形態のガス警報器100による処理内容を示すフローチャートの一例である。 本発明の第4実施形態のガス警報器100による処理内容を示すフローチャートの一例である。 本発明の第5実施形態のガス警報器100による閾値設定処理を示すフローチャートである。 本発明の第6実施形態のガス警報器100による補正処理を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係るコンピュータ1900のハードウェア構成の一例を示す。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本発明の第1実施形態のガス警報器100の概略を示す図である。本例のガス警報器100は、対象ガスを検出した場合に警報を発報する。対象ガスは、可燃性ガスであってよい。対象ガスは、メタンを主成分とする都市ガスであってよく、あるいは、プロパン及びブタンを主成分とするLPガスであってもよい。また、ガス警報器100は、CO(一酸化炭素)の検出機能を搭載していてもよい。
ガス警報器100は、検出部10と制御装置200とを備える。検出部10は、ガスセンサである。検出部10は、センサ抵抗12、及びヒータ14を備える。センサ抵抗12は、センサ素子である。ヒータ14は、センサ抵抗12を加熱する。ガス警報器100は、ヒータ14によりガス検出処理温度に加熱されたセンサ抵抗12の抵抗値に基づいて、対象ガスを検出する。センサ抵抗12の抵抗値をセンサ抵抗値と称する場合がある。ガス検出処理温度は、350°C以上450°C以下であってよく、特に、400°C程度であってよい。
制御装置200は、ガス警報器100における制御装置である。制御装置200は、測定部20、加熱制御部30、及び警報発生部40を備える。測定部20は、センサ抵抗値を測定する。測定部20は、センサ素子の特性値を測定する。センサ素子の特性値は、センサ抵抗12の抵抗値に関係づけられる物性値または測定値であってよい。一例において、測定部20は、センサ抵抗12に電流を流してセンサ抵抗12の両端の電圧を測定する。一例において、測定部20は、センサ抵抗12に電圧を印加してセンタ抵抗12に流れる電流を測定する。センサ抵抗値を測定することには、センサ抵抗値に対応づけられた電圧または電流を測定することが含まれてよい。
加熱制御部30は、ヒータ14を制御する。加熱制御部30は、センサ抵抗12を加熱処理するようにヒータ14を制御する。加熱制御部30は、検出処理温度に比べて低い第1温度にセンサ抵抗12を加熱処理するようにヒータ14を制御してよい。第1温度は、好ましくは、150°C以上300°C以下であり、より好ましくは200°C以上280°C以下である。本例では、第1温度が、250°Cの場合を例にとって説明する。
警報発生部40は、検出部10による測定に基づいて対象ガスが検出された場合に警報を発する。また、警報発生部40は、検出部10が鈍化状態である旨等について報知する機能を有してよい。警報発生部40は、警報音等の音を発する警報音出力部を備えていてもよい。警報音出力部は、スピーカ及びブザー等で構成されてよい。警報発生部40は、LED(発光ダイオード)等を点滅または点灯させて警報状態を表示する警報表示部を備えてもよい。
本例の制御装置200は、判定部60及び中断制御部70を備える。制御装置200は、第1取得部52、第2取得部54、判定部60、及び中断制御部70を備えてよい。第1取得部52は、センサ抵抗12の第1抵抗値を取得する。第1抵抗値は、センサ抵抗12の温度が第1温度に達した状態で測定部20によって測定されたセンサ抵抗値である。第2取得部54は、センサ抵抗12の第2抵抗値を取得する。第2抵抗値は、センサ抵抗12の温度が第2温度である状態で測定部20によって測定されたセンサ抵抗値である。第2温度は、350°C以上450°C以下であってよく、特に、400°C程度であってよい。第2温度は、上述した対象ガスを検出するための検出処理温度であってよい。
判定部60は、検出部10が鈍化状態であるかを判定する。鈍化状態は、ガスセンサである検出部10の感度が低下する状態であり、より具体的には、センサ抵抗12による対象ガスの検出感度が低下した状態である。センサ抵抗12が鈍化状態となった場合には、ガス警報器100の検出部10を清浄品に交換することが望ましい。判定部60は、センサ抵抗12の温度が検出温度より低い第1温度に達した状態で測定部20によって測定された特定値(第1特定値)に基づいて、検出部10が鈍化状態か否かを判定してよい。特に、判定部60は、少なくとも第1抵抗値に基づいて、検出部10が鈍化状態か否かを判定してよい。
中断制御部70は、ガス警報器100が鈍化状態の判定に適切でない環境状態にある場合に、センサ抵抗12が鈍化状態であるか判定するための加熱処理を中断する。中断制御部70は、加熱処理の開始後に測定部20によって測定されたセンサ抵抗12の特性値が予め定められた条件を満たした場合に、センサ抵抗12が鈍化状態であるか判定するための加熱処理を中断する。具体的には、中断制御部70は、加熱制御部30による加熱処理の開始後に測定部20によって測定されたセンサ抵抗12の抵抗値が予め定められた条件を満たした場合に、センサ抵抗12が鈍化状態であるか判定するための加熱処理を中断してよい。
制御装置200は、更に、記憶部80及び補正部90を備えてよい。また、ガス警報器100は、温度湿度計測部92を備えてよい。温度湿度計測部92は、ガス警報器100周辺の温度及び湿度の少なくとも一方を計測する。補正部90は、第1抵抗値及び第2抵抗値を温度湿度計測部92による計測結果に応じて補正してよい。記憶部80は、閾値などの基準となる値を記憶してよい。
図2は、検出部10の概略構成を示す断面図である。本例の検出部10は、薄膜マイクロセンサである。本例の検出部10は、シリコン基板2と、熱絶縁支持層3と、ヒータ14として機能するヒータ層と、電気絶縁層4と、ガス検知層5とを備える。シリコン基板2には、貫通孔6が設けられている。ガス検知層5は、接合層7と、ガス検知層電極8と、センサ抵抗12と、選択燃焼層9とを備えている。センサ抵抗12は、例えば、SnO、In、WO、ZnO、TiO等の金属酸化物を主成分とする感知層として形成される。
選択燃焼層9は、例えば、Pd、PdO、及びPt等の少なくとも一種の触媒を担持した焼結体である。一例において、選択燃焼層9は、触媒担持Al焼結体であり、Cr、Fe、Ni、ZrO、SiO、ゼオライト等の金属酸化物を主成分として形成されてもよい。シリコン基板2はシリコンウェハーから構成される。ヒータ14はガス検知層5を加熱する。検出部10は、ヒータ14(ヒータ層)によって、センサ抵抗12(感知層)を加熱したときのセンサ抵抗12の抵抗値によって対象ガスを検出する。
図3は、センサ抵抗値とガス濃度との関係を示す図である。図3を参照して、鈍化状態について説明する。CO(一酸化炭素)、H(水素)、及びメタンの各ガスについて、ガス濃度(ppm)の変化に応じたセンサ抵抗値の変化を示す。CO(一酸化炭素)及びH(水素)については、それぞれ一点鎖線で示す。一方、対象ガスであるメタンに関しては、鈍化状態でない検出部10に関する特性は実線で示し、鈍化状態となっている検出部10に関する特性は点線で示している。
図上、一点鎖線で示すように、CO(一酸化炭素)及びH(水素)に関しては、ガス濃度が増加してもセンサ抵抗値は、ほとんど変化しない。一方、図上、実線や点線で示すように、メタンに関しては、検出部10が鈍化していても、鈍化していなくても、ガス濃度が大きくなっていくとセンサ抵抗値は小さくなる。しかし、鈍化状態にある検出部10は、鈍化状態にない検出部10よりも、任意のセンサ抵抗値に対応するガス濃度が大きくなる。
例えば、メタンのガス濃度が4000ppmを越えたらガス漏れ警報を発報すべきである場合、鈍化状態ではない検出部10の特性に基づいて4000ppmに対応するセンサ抵抗値Pが、ガス漏れ判定のための閾値に設定される。検出処理温度におけるセンサ抵抗値が閾値P未満となった場合に、警報が発報される。しかし、検出部10が鈍化状態である場合には、センサ抵抗値がP未満となったとき、既にメタンのガス濃度は、20000ppm程度となっている。したがって、検出部10が鈍化状態である場合には、メタンのガス濃度が20000ppm等の通常より高い値になって初めてガス漏れ警報が発報されるので、警報の発報が遅れる場合がある。
図4は、センサ抵抗値の温度特性を示す図である。図4において、鈍化状態にない正常品のガス警報器100の特性が一点鎖線で示される。鈍化状態となった鈍器品のガス警報器100の特性が点線で示される。なお、点線や一点鎖線で示す特性は、30秒以上60秒以下の周期において、50m秒以上300m秒以下のパルス幅でヒータ14をパルス駆動して、センサ抵抗12の温度を室温から400°Cまで上昇させた場合におけるセンサ抵抗値と温度との関係を示す。
鈍化状態ではない正常なガス警報器100において、センサ抵抗12の温度を室温から上昇させていくと、室温から第1温度までの間は、温度が上昇するにしたがってセンサ抵抗値は低下していく。鈍化品のガス警報器100における場合も室温から第1温度までの間は、温度が上昇するにしたがってセンサ抵抗値は低下していく。しかし、図に示されるとおり、鈍化品のガス警報器100のセンサ抵抗値の低下率は、鈍化状態ではない正常品のガス警報器100の場合に比べて低い。このため、例えば250°C付近である第1温度において、鈍化品のセンサ抵抗値は、鈍化状態ではないセンサ抵抗値より大きい。図に示される例では、鈍化品のセンサ抵抗値は、正常品のセンサ抵抗値の2倍以上となっている。
室温から第1温度までの温度領域でセンサ抵抗値の低下が生じる理由は、温度上昇に伴う酸素脱離(O脱離)が生じるためと考えられる。センサ抵抗12の温度が第1温度を超えて更に上昇していくと、正常品の場合には図示の一点鎖線で示すように、今度は温度上昇に応じてセンサ抵抗値が増加していく。但し、温度Qと第2温度(例えば、400°C)との間の温度領域では、図示のように、温度上昇に応じてセンサ抵抗値が低下していく。
第1温度と温度Qの間の温度領域でセンサ抵抗値が増加していく理由は、センサ抵抗12として構成される感知層上に、酸素吸着(O2−吸着)が生じるためと考えられる。酸素は、感知層に吸着するときに、感知層から電子を奪ってイオン(O2−)の形で吸着する。これによって感知層の抵抗値が増加する。酸素吸着は温度Qで完了し、そこから先では感知層の材料であるSnO等の半導体の特性により温度上昇に応じてセンサ抵抗値が低下していくものと考えられる。
一方、鈍化品の場合、点線で示されるように、第1温度と温度Q1の間における温度領域ではセンサ抵抗値はほとんど変化しないか、温度上昇に応じて低下する特性を示す。温度Q1から第2温度までの温度領域では、鈍化品の場合も鈍化状態でない場合と同様の特性となる。そして、第2温度における鈍化品のセンサ抵抗値は、鈍化状態でない正常品のセンサ抵抗値とほとんど変わらない。以上のようなセンサ抵抗値の温度特を利用して、本例の判定部60は、検出部10が鈍化状態となっているかについて判定する。
判定部60は、第1抵抗値に基づいて、センサ抵抗12が感度低下した鈍化状態であるかを判定してよい。具体的には、判定部60は、第1抵抗値が閾値以上の場合には、センサ抵抗12が鈍化状態であると判定してよい。判定部60は、出荷時または前回測定時の第1抵抗値に対して、今回測定された第1抵抗値が所定の値以上に大きくなった場合に、検出部10が鈍化状態であると判定してもよい。また、判定部60は、第1抵抗値及び第2抵抗値に基づいて、検出部10が鈍化状態であるかを判定してもよい。
特に、350°C以上450°C以下の第2温度における第2抵抗値は、鈍化状態の有無によらず大きく変化しない。一方、鈍化品は、鈍化状態でない場合に比べて、200°C以上280°C以下の第1温度における第1抵抗値がより高くなる。したがって、判定部60は、第1抵抗値と第2抵抗値との比を予め定められた閾値と比較することによって、検出部10が鈍化状態であるか否かを判定してもよい。
以上、説明した図4に示された特性は、空気中におけるセンサ抵抗値の変化を示す。したがって、空気中に雑ガスが存在する場合には、鈍化状態を正確に判定することができない。雑ガスは、対象ガスであるメタン、プロパン、ブタン、及びCO以外のガスを意味し、より具体的には、低沸点炭化水素であってよい。雑ガスは、例えば、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール、アンモニア、硫黄、または水素である。第1温度より高温である第2温度にセンサ抵抗12を加熱する場合には、検出部10の周辺に雑ガスが存在していても、雑ガスは、選択燃焼層9において燃焼される。したがって、第2温度に加熱する場合の雑ガスによるセンサ抵抗12への影響は第1温度に加熱する場合に比べて少ない。
一方、検出部10の周辺に雑ガスが存在している雰囲気中において、第1温度にセンサ抵抗12を加熱する場合には、雑ガスは、選択燃焼層9において十分に燃焼されず、センサ抵抗12の表面に到達するためセンサ抵抗12に影響を与える。具体的には、雑ガスは、第1温度において、センサ抵抗12として機能する感知層表面に吸着している酸素イオン(O2−)を必要以上に脱離させる。したがって、酸素イオン(O2−)が再び感知層表面に吸着するのに要する時間が長くなり、検出部10による対象ガスの検出に誤差が生じ得る。
本例のガス警報器100において、定められた条件を満たした場合に、加熱処理を中断する。中断制御部70は、必要以上に前期加熱処理の影響が及ばないようにする。したがって、検部10による対象ガスの検出に誤差が生じることを防止できる。
検出部10は、センサ抵抗12の表面に酸素イオン(O2−)を吸着させた状態を基準として、メタン等の対象ガスによる酸素イオンの脱離によるセンサ抵抗値の変化を検出する。雑ガスによる影響によって、センサ抵抗12の表面の酸素イオン(O2−)の吸着量が少ないと、メタン等の対象ガスがないのにもかかわらず、センサ抵抗値が小さい値となる。したがって、対象ガスが存在しないにもかかわらず、ガス漏れ警報を発報する場合がある。
本例のガス警報器100において、中断制御部70は、検出部10の周辺に雑ガスが存在する場合に、第1温度への加熱処理を中断する。中断制御部70は、感知層表面に吸着している酸素イオン(O2−)が雑ガスによって必要以上に脱離されないようにする。したがって、メタン等の対象ガスがないのにもかかわらず、センサ抵抗値が小さい値となることが防止され、対象ガスが存在しないにもかかわらず、ガス漏れ警報を発報することを防止できる。
図5は、ヒータ14によって加熱されたセンサ抵抗12の抵抗値の変化を示す図である。図5において、清浄環境中でのセンサ抵抗値の変化を実線で示し、雑ガスを含む環境中でのセンサ抵抗値の変化を点線で示す。なお、雑ガスを含む環境の場合、高湿度環境の場合、及び雑ガスを含み且つ高湿度の環境の場合のそれぞれにおいても、図5の点線と同様の傾向を示す。
加熱制御部30は、High_1領域において、50m秒以上300m秒以下のパルス幅でヒータ14を駆動してセンサ抵抗12の温度が第2温度になるように加熱制御する。一例において、加熱制御部30は、200m秒のパルス幅でヒータ14をパルス駆動してセンサ抵抗12を400°Cまで加熱する。加熱制御部30は、その後、Low領域において、30秒以上60秒の間、ヒータ14を駆動して、センサ抵抗12の温度が第1温度になるように加熱制御する。本例では、Low領域における加熱期間は、40秒と設定される。Low領域における加熱制御は、検出部10が鈍化状態であるか判定するためにセンサ抵抗12を第1温度まで加熱する加熱制御である。
加熱制御部30は、Low領域の後、5秒間の間、加熱制御をオフする。加熱制御部30は、その後、High_2領域において、再び、加熱制御部30は、50m秒以上300m秒以下のパルス幅でヒータ14を駆動してセンサ抵抗12の温度が第2温度になるように加熱制御する。図5に示されるとおり、High_1領域における第2温度から、Low領域における第1温度への加熱制御の過程において、雑ガスが存在する雰囲気中でのセンサ抵抗値が、雑ガスが所定以上に存在しない清浄環境中でのセンサ抵抗値に比べて小さい値を示す。
図6は、図5のHigh領域を拡大した図である。上述したとおり、第2温度の温度領域では、温度が高くなるほどセンサ抵抗値が低くなる。したがって、50m秒以上300m秒以下のパルス幅でヒータ14をパルス駆動してセンサ抵抗12を第2温度まで加熱すると、センサ抵抗値が低下して、下に凸の温度特性を示す。図6では、ヒータ駆動の最後のタイミングでセンサ抵抗値が測定される。そして、測定されたセンサ抵抗値に基づいて、対象ガスが検出される。
しかしながら、雑ガスが存在する環境で、鈍化状態判定のための加熱処理が実行された後においては、センサ抵抗12として機能する感知層表面に吸着している酸素イオン(O2−)が必要以上に脱離する。したがって、図6に示されるとおり、雑ガスが存在する環境で鈍化状態判定のための加熱処理が実行されたガス警報器100のセンサ抵抗特性102においては、センサ抵抗値が低くなりすぎて、センサ抵抗12に対する200m秒程度の加熱によってもセンサ抵抗値が回復しない。これに対し、清浄環境中で鈍化状態判定のための加熱処理が実行されたガス警報器100のセンサ抵抗特性101においては、センサ抵抗12に対する200m秒程度の加熱によって、センサ抵抗値が1×10Ωまで回復する。したがって、センサ抵抗値に基づいて対象ガスを検出した場合において誤差が生じない。
本例のガス警報器100においては、検出部10の周辺に雑ガスが存在する場合には、中断制御部70が、第1温度への加熱処理を中断する。これにより、センサ抵抗12として機能する感知層表面に吸着している酸素イオン(O2−)が必要以上に脱離することを防止する。中断制御部70は、検出部10の周辺が高湿度状態にある場合にも、第1温度への加熱処理を中断してよい。
図7は、加熱処理を中断する処理を示す図である。図7は、ヒータ14によって加熱されたセンサ抵抗12のセンサ抵抗値の変化を示す図である。図7において、清浄環境中でのセンサ抵抗値の変化を実線で示し、雑ガスを含む環境中でのセンサ抵抗値の変化を点線で示す。本例では、中断制御部70は、加熱制御部30による加熱処理開始後に測定部20によって測定されたセンサ抵抗12の抵抗値が予め定められた閾値以下となる場合に、センサ抵抗12が鈍化状態であるか判定するための加熱処理を中断する。
鈍化状態にないセンサ抵抗12を清浄環境中で第1温度に安定させたときのセンサ抵抗値Rrefが閾値として設定されてよい。このように閾値を設定することによって、周辺環境に雑ガスが発生していることを早期検出して、第1温度への加熱処理を中断できるので、その後の対象ガス検出処理において生じる影響を軽減できる。また、上記センサ抵抗値Rrefより高い抵抗値が閾値として設定されてもよい。このように閾値を設定することによって、周辺環境に雑ガスが発生していることを、さらに早期に検出して、第1温度への加熱処理を中断できる。
図8は、図7のHigh_2領域を拡大した図である。図8は、雑ガスを含む環境中でのセンサ抵抗値の変化を示している。図8において、加熱処理を中断する処理をしなかったガス警報器100のセンサ抵抗値のセンサ抵抗特性102を鎖線で示し、加熱処理を中断する処理をしたガス警報器100のセンサ抵抗特性103を実線で示す。加熱処理を中断しなかった場合のガス警報器のセンサ抵抗特性102は、図6における、雑ガスが存在する環境で鈍化状態判定のための加熱処理が実行されたガス警報器100のセンサ抵抗特性102と同じである。
加熱処理を中断する処理をしたガス警報器100のセンサ抵抗値のセンサ抵抗特性103において、図8に示されるとおり、センサ抵抗12に対する200m秒程度の加熱によって、センサ抵抗値が1×10Ωまで回復する。したがって、第1温度への加熱処理の過程において、第1抵抗値が予め定められた閾値未満となった場合に、中断制御部70が加熱処理を中断することによって、センサ抵抗12として機能する感知層表面に吸着している酸素イオン(O2−)が必要以上に脱離してしまうことを防止できる。したがって、その後の対象ガスの検出処理に与える影響を軽減することができる。
図9は、本発明の第1実施形態のガス警報器100による処理内容を示すフローチャートの一例である。加熱制御部30は、センサ抵抗12がガス検出処理温度となるまで、センサ抵抗12を間欠的に加熱する。ガス検出処理温度が第2温度であってよい。第2取得部54は、第2抵抗値を取得する(ステップS101)。第2抵抗値が予め定められた閾値未満であれば、対象ガスが検出されたとして(ステップS102:YES)、警報発生部40は、ガス漏れ警報を発報する(ステップS103)。第2抵抗値が閾値以上であれば、対象ガスが検出されていないとして(ステップS102:NO)、ステップS104の処理に進む。
なお、対象ガスの濃度が予め定められた濃度以下の場合に、対象ガスが検出されないと判断してよい。ステップS104において、判定部60は、鈍化判定の実行を開始するタイミングであるかを判断する。判定部60は、定期的に、鈍化判定を実行してよい。判定部60は、例えば1日に1回の回数で所定時刻において、鈍化判定を実行する。但し、鈍化判定を実行する頻度は、この場合に限られない。対象ガスの検出処理に引き続いて、毎周期に鈍化判定を実行してもよく、その他の頻度で鈍化判定を実行してもよい。
鈍化判定の実行を開始するタイミングでなければ(ステップS104:NO)、鈍化判定のためのセンサ診断の処理を実行することなく、処理がステップS101に戻る。そして、例えば、30秒以上60秒以下の周期において、再び、50m秒以上300m秒以下のパルス幅でヒータ14をパルス駆動する。加熱制御部30は、鈍化判定の実行を開始するタイミングとなるのを待って(ステップS104:YES)、検出処理温度に比べて低い第1温度にセンサ抵抗12(センサ素子)を加熱処理するようにヒータ14を加熱制御することを開始する(ステップS105)。
本例において、加熱制御部30は、センサ抵抗12の温度が第2温度になるように加熱制御した後に(ステップS101)、センサ抵抗12の温度が第1温度となるように加熱制御してよい(ステップS105)。第2取得部54が第2抵抗値を取得するのに続いて、第1取得部52が第1抵抗値を取得してよい。このように、第2温度へ加熱して、センサ抵抗12の感知層の表面に酸素吸着(O2−吸着)させてから、第1温度に加熱制御して雑ガスの影響を評価した方が、雑ガスの存在を検出しやすい。但し、加熱のプロファイルは、この場合に限られない。例えば、加熱制御部30は、第1温度への温度制御した後に、COの検出のために第1温度より低い温度にセンサ抵抗12がなるように制御してよい。
第1温度への加熱制御が開始された後においても、測定部20は、センサ抵抗12のセンサ抵抗値を測定する(ステップS106)。そして、中断制御部70は、加熱制御部30による加熱処理開始後に測定部20によって測定されたセンサ抵抗12のセンサ抵抗値が予め定められた閾値以下となる場合に(ステップS107:YES)、センサ抵抗12が鈍化状態であるか判定するための加熱処理を中断して、ステップS101の処理に戻る。したがって、選択燃焼層9において雑ガスを十分に燃焼できない温度である第1温度において加熱処理が継続することを中止できる。また、センサ抵抗12の感知層表面に吸着している酸素イオン(O2−)の必要以上の脱離を防止できる。一方、ステップS101では、第1温度より高温であるガス検出処理温度(第2温度)に加熱するので、検出部10の周辺に雑ガスが存在していても、雑ガスは、選択燃焼層9において燃焼される。したがって、雑ガスによるセンサ抵抗12への影響は無視できる。
中断制御部70は、加熱制御部30による加熱処理開始後に測定部20によって測定されたセンサ抵抗12のセンサ抵抗値が予め定められた閾値より大きい場合には(ステップS107:NO)、特に、第1温度への加熱制御を続けても問題が発生しない。したがって、予め定められたヒータ駆動時間が経過するまで待って(ステップS108:YES)、センサ抵抗12の温度が第1温度に達した状態で測定部20によって測定されたセンサ抵抗値が、第1取得部52によって第1抵抗値として取得される(ステップS109)。加熱制御部30は、加熱を一旦停止してよい(ステップS110)。
そして、判定部60は、鈍化状態判定処理を実行する(ステップS111)。鈍化状態判定処理の結果、検出部10が鈍化状態でないと判断されれば(ステップS112:NO)、特に問題がないので、処理が、ステップS101に戻る。一方、検出部10が鈍化状態であると判断されれば(ステップ112:YES)、警報発生部40は、検出部10が鈍化している旨をランプ表示や音声等によって報知する(ステップS113)。
図10は、ガス警報器100による鈍化状態判定処理の一例を示すフローチャートである。すなわち、図10は、図9のステップS111の鈍化状態判定処理の一例を示す。本例のガス警報器100では、例えば、ガス警報器100の出荷時において計測された第1抵抗値が記憶部80に基準抵抗値Rmとして予め記憶されている。
判定部60は、第1抵抗値に基づいて、センサ抵抗12が感度低下した鈍化状態であるかを判定する。一例として、判定部60は、基準抵抗値Rmと今回取得された第1抵抗値との比(R1/Rm)を算出する(ステップS11)。判定部60は、R1/Rmが、所定の閾値より大きいか判定する(ステップS12)。判定部60は、R1/Rmが、所定の閾値より大きい場合には(ステップS12:YES)、検出部10が鈍化状態であると判定する(ステップS13)。一方、判定部60は、R1/Rmが、所定の閾値以下である場合には(ステップS12:NO)、検出部10が鈍化状態ではないと判定する(ステップS14)。
図11は、ガス警報器100による鈍化状態判定処理の他の例を示すフローチャートである。図11は、図9のステップS111の鈍化状態判定処理の他の例を示す。判定部60は、第1抵抗値と第2抵抗値とに基づいて、センサ抵抗12が鈍化状態であるかを判定してよい。判定部60は、取得された第1抵抗値R1と第2抵抗値R2との比率(R1/R2)を算出する(ステップS21)。判定部60は、第1抵抗値と第2抵抗値との比率R1/R2を予め定められた閾値を比較する(ステップS22)。
判定部60は、比率R1/R2が、所定の閾値より大きい場合には(ステップS22:YES)、検出部10が鈍化状態であると判定する(ステップS23)。一方、判定部60は、比率R1/R2が、所定の閾値以下である場合には(ステップS22:NO)、検出部10が鈍化状態ではないと判定する(ステップS24)。第1抵抗値と第2抵抗値との比は、センサ抵抗値の製品によるバラツキの影響を受けにくいので、第1抵抗値と第2抵抗値との比に基づいて鈍化状態を判定することによって、より正確な判定が可能となる。
図12は、本発明の第2実施形態のガス警報器100による処理内容を示すフローチャートの一例である。上記の第1実施形態のガス警報器100では、対象ガスの検出処理において、センサ抵抗12をガス検出処理温度に加熱する段階を、センサ抵抗12を第2温度に加熱する段階として用いた。しかし、センサ抵抗12をガス検出処理温度に加熱する段階と、センサ抵抗12を第2温度に加熱する段階とを別に設けてもよい。なお、第2実施形態のガス警報器100は、第1実施形態のガス警報器100と制御内容の一部が異なることを除いて、同様の構造を有する。ステップS201からステップS204は、図9のステップS101からステップS104と同様である。ステップS207からステップS214の処理は、図9のステップS106からステップS113の処理と同様である。したがって、繰り返しの説明を省略する。
加熱制御部30は、鈍化判定の実行を開始するタイミングとなるのを待って(ステップS204:YES)、加熱制御部30は、センサ抵抗12が第1温度より高い第2温度になるまで、センサ抵抗12を間欠的に加熱する(ステップS205)。次いで、第2温度に比べて低い第1温度にセンサ抵抗12を加熱処理するようにヒータ14を加熱制御することを開始する(ステップS206)。第1温度より高い第2温度にセンサ抵抗12を加熱することによって、センサ抵抗12の感知層の表面に酸素吸着(O2−吸着)させてから、センサ抵抗12を第1温度に加熱制御して雑ガスの影響を評価することにより、雑ガスの影響を正確に評価することができる。
図13は、本発明の第3実施形態のガス警報器100による処理内容を示すフローチャートの一例である。第1及び第2実施形態のガス警報器100では、センサ抵抗12の抵抗値が予め定められた閾値以下となる場合に、センサ抵抗12が鈍化状態であるか判定するための加熱処理を中断する場合を説明した。しかしながら、中断処理は、この場合に限られない。本例のガス警報器100は、中断制御部70による中断処理の内容を除いて、第1実施形態及び第2実施形態のガス警報器100と同様の構成を有する。図13のステップS301からステップS306の処理は、図9のステップS101からステップS106の処理と同様である。また、図13のステップS309からステップS314の処理は、図9のステップS108からステップS113の処理と同様である。
中断制御部70は、センサ抵抗値の時間変化を算出する(ステップS307)。そして、中断制御部70が、加熱制御部30による加熱処理開始(ステップS305)の後に、測定部20によって測定されたセンサ抵抗12の抵抗値における時間変化の傾きに基づいて、センサ抵抗12が鈍化状態であるか判定するための加熱処理を中断する。図5に示されるとおり、第2温度への加熱直後は、清浄環境中でのセンサ抵抗値と、雑ガスを含む環境中でのセンサ抵抗値とは同様の値を示し、その後、センサ抵抗12を第1温度に加熱制御する過程においては、雑ガスを含む環境中でのセンサ抵抗値の方が、清浄環境中でのセンサ抵抗値に比べて急峻に低下する。したがって、雑ガスを含む環境中でのセンサ抵抗値の時間変化が、清浄環境中でのセンサ抵抗値の時間変化に比べて大きい。
判定部60は、センサ抵抗値の時間変化が閾値より大きいか判断する(ステップS308)。判定部60は、センサ抵抗値の時間変化が閾値より大きい場合には(ステップS308:YES)、センサ抵抗12が鈍化状態であるか判定するための加熱処理を中断して、ステップS301の処理に戻る。したがって、選択燃焼層9において雑ガスを十分に燃焼できない温度である第1温度において加熱処理することを中止できる。
一方、判定部60は、センサ抵抗値の時間変化が閾値以下である場合には(ステップS308:NO)、雑ガスが検出されないと考えられるため、第1温度への加熱制御を続けても問題が発生しない。したがって、予め定められたヒータ駆動時間が経過するまで待って(ステップS309:YES)、センサ抵抗12の温度が第1温度に達した状態で測定部20によって測定されたセンサ抵抗値が、第1取得部52によって第1抵抗値として取得される(ステップS310)。そして、加熱制御部30は、加熱を一旦停止する(ステップS311)。判定部60は、鈍化状態判定処理(ステップS312)を実行する。
図14は、本発明の第4実施形態のガス警報器100による処理内容を示すフローチャートの一例である。本例のガス警報器100は、中断制御部70による中断処理の内容を除いて、第1実施形態から第3実施形態のガス警報器100と同様の構成を有する。図14のステップS401からステップS406の処理は、図9のステップS101からステップS106の処理と同様である。また、図13のステップS409からステップS414の処理は、図9のステップS108からステップS113の処理と同様である。
第1温度への加熱制御が開始された後においても、測定部20は、センサ抵抗12のセンサ抵抗値を測定する(ステップS406)。そして、中断制御部70は、加熱制御部30による加熱処理開始後から所定時間経過後の時刻において測定部20によって測定されたセンサ抵抗値を取得して記憶部80に記憶する(ステップS407)。中断制御部70は、前回のセンサ抵抗値を記憶部80から読み出して、前回のセンサ抵抗値と今回測定されたセンサ測定値と比較してよい。
中断制御部70は、加熱制御部30による加熱処理開始後に測定部20によって測定されたセンサ抵抗12のセンサ抵抗値を前回のセンサ測定値に比べた結果に基づいて、センサ抵抗12が鈍化状態であるか判定するための加熱処理を中断する。一例において、中断制御部70は、前回のセンサ抵抗値と今回測定されたセンサ測定値との差分を算出し、差分が閾値以上の場合には(ステップS408:YES)、センサ抵抗12が鈍化状態であるか判定するための加熱処理を中断して、ステップS401の処理に戻る。
一方、算出された差分が閾値未満である場合には(ステップS408:NO)、特に、第1温度への加熱制御を続けても問題が発生しない。したがって、センサ抵抗12が鈍化状態であるか判定するための加熱処理を継続する。前回の測定時には雑ガスがなく、今回の測定時においては雑ガスが存在する場合には、第1温度への加熱制御が開始された後の一定時間経過後におけるセンサ抵抗値が大きく変化するため、前回のセンサ抵抗値と今回測定されたセンサ測定値との差分が大きくなる。
図5のグラフに示されるとおり、第1温度への加熱制御が開始された時点からの経過時間が短すぎると、雑ガスが含まる環境中でのセンサ抵抗値と、清浄環境中でのセンサ抵抗値との差が判別しづらい。一方、第1温度への加熱制御が開始された時点からの経過時間が長すぎると、第1温度への加熱処理によって、センサ抵抗12として機能する感知層表面に吸着している酸素イオン(O2−)を必要以上に脱離してしまう。したがって、第1温度への加熱制御が開始された時点から5秒以上10秒以下の時点で測定されたセンサ抵抗値を取得してよい。
図15は、本発明の第5実施形態のガス警報器100による閾値設定処理を示すフローチャートである。第5実施形態のガス警報器100は、第1から第4実施形態のガス警報器100において、複数の第2温度を設定可能であり、記憶部80が、第2温度毎に異なる閾値を記憶するものである。他の構造及び制御は、第1実施形態から第4実施形態のガス警報器100と同様である。制御装置200は、ガス検出処理温度(第2温度)の選択を受け付ける(ステップS31)。例えば、制御装置200は、検出対象の対象ガスに応じて、第2温度を切り換えるようにしてもよい。利用者は、複数の第2温度の候補の中から第2温度を選択することができる。
第2温度が選択されると、中断制御部70は、記憶部80を参照して、選択された第2温度に対応する閾値として読み出す。中断制御部70は、読み出された閾値を、加熱処理を中断するか判断するためにセンサ抵抗値と比較される閾値として設定する(ステップS32)。例えば、記憶部80には、複数のガス検出処理温度と閾値とを対応づけるテーブルが予め記憶される。本例のガス警報器100によれば、複数の第2温度の中から第2温度を選択でき、選択された第2温度に対応した閾値が設定される。
図16は、本発明の第6実施形態のガス警報器100による補正処理を示すフローチャートである。本例のガス警報器は、第1実施形態から第5実施形態のガス警報器100に対して、温湿度の影響を考慮した補正する機能が付加されている。他の構造及び制御は、第1実施形態から第5実施形態のガス警報器100と同様である。センサ抵抗値は、温湿度によって変動する。
温度湿度計測部92は、ガス警報器100周辺の温度及び湿度の少なくとも一方を計測する(ステップS41)検出部10自体を温度湿度計測部92として利用してもよい。具体的には、検出部10は、ヒータ14への通電を停止してから再度通電が開始されるまでのヒータ通電停止時におけるセンサ抵抗値に基づいて、周囲の空気の湿度を検出してよい。例えば、センサ抵抗12が50°C以上250°C以下の温度領域において、相対湿度が高くて、水蒸気の吸着量が多くなるほど、センサ抵抗値が小さくなる。したがって、50°C以上250°C以下の温度領域におけるセンサ抵抗値から相対湿度を検出してもよい。
補正部90は、第1抵抗値及び第2抵抗値を、温度湿度計測部92による計測結果に応じて補正する(ステップS42)。一例において、補正部90は、記憶部80を参照して、温度湿度計測部92による計測結果に対応する補正係数を読み出す。温度及び湿度とセンサ抵抗値との関係を予め計測しておき、計測結果に基づいて温度及び湿度と補正係数とを対応づけるテーブルまたは変換式が記憶部80に記憶されてよい。第1抵抗値用の補正係数と、第2抵抗値用の補正係数とが別々に用意されていてもよい。
補正部90は、読み出された補正係数を用いて、第1抵抗値及び第2抵抗値を補正する。補正部90は、補正係数を第1抵抗値及び第2抵抗値にそれぞれ乗じることによって、補正された第1抵抗値及び補正された第2抵抗値を算出してよい。判定部60は、補正された第1抵抗値に基づいて、センサ抵抗12が鈍化状態になるか否かを判定してよい。判定部60は、補正された第1抵抗値と補正された第2抵抗値とに基づいて、センサ抵抗12が鈍化状態になるか否かを判定してよい。特に、判定部60は、補正された第1抵抗値と補正された第2抵抗値の比率に基づいて、センサ抵抗12が鈍化状態になるか否かを判定してよい。
本例のガス警報器100によれば、温度及び湿度の少なくとも一方を計測し、その影響を考慮して、センサ抵抗12が鈍化状態であるかを判定することができるので、より正確に鈍化状態を正確に判定できる。
図17は、本発明の一実施形態に係るコンピュータ1900のハードウェア構成の一例を示す。本実施形態に係るコンピュータ1900は、例えば、マイクロコンピュータである。ホスト・コントローラ2082により相互に接続されるCPU2000、RAM2020、グラフィック・コントローラ2075、及び表示装置2080を有するCPU周辺部と、入出力コントローラ2084によりホスト・コントローラ2082に接続される通信インターフェイス2030、ハードディスクドライブ2040、及びCD−ROMドライブ2060を有する入出力部と、入出力コントローラ2084に接続されるROM2010、フレキシブルディスク・ドライブ2050、及び入出力チップ2070を有するレガシー入出力部とを備える。
ホスト・コントローラ2082は、RAM2020と、高い転送レートでRAM2020をアクセスするCPU2000及びグラフィック・コントローラ2075とを接続する。CPU2000は、ROM2010及びRAM2020に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。グラフィック・コントローラ2075は、CPU2000等がRAM2020内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得し、表示装置2080上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ2075は、CPU2000等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
入出力コントローラ2084は、ホスト・コントローラ2082と、比較的高速な入出力装置である通信インターフェイス2030、ハードディスクドライブ2040、CD−ROMドライブ2060を接続する。通信インターフェイス2030は、ネットワークを介して他の装置と通信する。ハードディスクドライブ2040は、コンピュータ1900内のCPU2000が使用するプログラム及びデータを格納する。CD−ROMドライブ2060は、CD−ROM2095からプログラム又はデータを読み取り、RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供する。
また、入出力コントローラ2084には、ROM2010と、フレキシブルディスク・ドライブ2050、及び入出力チップ2070の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM2010は、コンピュータ1900が起動時に実行するブート・プログラム、及び/又は、コンピュータ1900のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブ2050は、フレキシブルディスク2090からプログラム又はデータを読み取り、RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供する。入出力チップ2070は、フレキシブルディスク・ドライブ2050を入出力コントローラ2084へと接続すると共に、例えばパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を入出力コントローラ2084へと接続する。
RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供されるプログラムは、フレキシブルディスク2090、CD−ROM2095、又はICカード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。プログラムは、記録媒体から読み出され、RAM2020を介してコンピュータ1900内のハードディスクドライブ2040にインストールされ、CPU2000において実行される。
コンピュータ1900にインストールされ、コンピュータ1900を制御装置200として機能させるプログラムは、コンピュータ1900に、センサ抵抗12の特性値を測定する手順と、センサ抵抗12を加熱処理するようにヒータ14を制御する手順と、特性値に基づいて、センサ抵抗12が感度低下した鈍化状態であるかを判定する手順と、センサ抵抗12が鈍化状態であるか判定するための加熱処理の開始後に測定されたセンサ抵抗12の特性値が予め定められた条件を満たした場合に、センサ抵抗12が鈍化状態であるか判定するための加熱処理を中断する手順を実行させる。具体的には、プログラムは、センサ抵抗12の抵抗値を測定する手順と、検出処理温度に比べて低い第1温度にセンサ抵抗12を加熱処理するようにヒータ14を制御する手順と、センサ抵抗12の温度が第1温度に達した状態で測定されたセンサ抵抗12の第1抵抗値を取得する手順と、第1抵抗値に基づいて、センサ抵抗12が感度低下した鈍化状態であるかを判定する手順と、センサ抵抗12が鈍化状態であるか判定するための加熱処理の開始後に測定されたセンサ抵抗12の抵抗値が予め定められた条件を満たした場合に、センサ抵抗12が鈍化状態であるか判定するための加熱処理を中断する手順と、を実行させる。プログラムは、コンピュータ1900を、測定部20、加熱制御部30、警報発生部40、第1取得部52、第2取得部54、判定部60、中断制御部70、記憶部80、及び補正部90として機能させる。
プログラムに記述された情報処理は、コンピュータ1900に読込まれることにより、ソフトウェアと上述した各種のハードウェア資源とが協働した具体的手段である測定部20、加熱制御部30、警報発生部40、第1取得部52、第2取得部54、判定部60、中断制御部70、記憶部80、及び補正部90として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ1900の使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の制御装置200が構築される。
一例として、コンピュータ1900と外部の装置等との間で通信を行う場合には、CPU2000は、RAM2020上にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理内容に基づいて、通信インターフェイス2030に対して通信処理を指示する。通信インターフェイス2030は、CPU2000の制御を受けて、RAM2020、ハードディスクドライブ2040、フレキシブルディスク2090、又はCD−ROM2095等の記憶装置上に設けた送信バッファ領域等に記憶された送信データを読み出してネットワークへと送信し、もしくは、ネットワークから受信した受信データを記憶装置上に設けた受信バッファ領域等へと書き込む。このように、通信インターフェイス2030は、DMA(ダイレクト・メモリ・アクセス)方式により記憶装置との間で送受信データを転送してもよく、これに代えて、CPU2000が転送元の記憶装置又は通信インターフェイス2030からデータを読み出し、転送先の通信インターフェイス2030又は記憶装置へとデータを書き込むことにより送受信データを転送してもよい。
また、CPU2000は、ハードディスクドライブ2040、CD−ROMドライブ2060(CD−ROM2095)、フレキシブルディスク・ドライブ2050(フレキシブルディスク2090)等の外部記憶装置に格納されたファイルまたはデータベース等の中から、全部または必要な部分をDMA転送等によりRAM2020へと読み込ませ、RAM2020上のデータに対して各種の処理を行う。そして、CPU2000は、処理を終えたデータを、DMA転送等により外部記憶装置へと書き戻す。このような処理において、RAM2020は、外部記憶装置の内容を一時的に保持するものとみなせるから、本実施形態においてはRAM2020及び外部記憶装置等をメモリ、記憶部、または記憶装置等と総称する。本実施形態における各種のプログラム、データ、テーブル、データベース等の各種の情報は、このような記憶装置上に格納されて、情報処理の対象となる。なお、CPU2000は、RAM2020の一部をキャッシュメモリに保持し、キャッシュメモリ上で読み書きを行うこともできる。このような形態においても、キャッシュメモリはRAM2020の機能の一部を担うから、本実施形態においては、区別して示す場合を除き、キャッシュメモリもRAM2020、メモリ、及び/又は記憶装置に含まれるものとする。
また、CPU2000は、RAM2020から読み出したデータに対して、プログラムの命令列により指定された、本実施形態中に記載した各種の演算、情報の加工、条件判断、情報の検索・置換等を含む各種の処理を行い、RAM2020へと書き戻す。例えば、CPU2000は、条件判断を行う場合においては、本実施形態において示した各種の変数が、他の変数または定数と比較して、大きい、小さい、以上、以下、等しい等の条件を満たすかどうかを判断し、条件が成立した場合(又は不成立であった場合)に、異なる命令列へと分岐し、またはサブルーチンを呼び出す。
また、CPU2000は、記憶装置内のファイルまたはデータベース等に格納された情報を検索することができる。例えば、第1属性の属性値に対し第2属性の属性値がそれぞれ対応付けられた複数のエントリが記憶装置に格納されている場合において、CPU2000は、記憶装置に格納されている複数のエントリの中から第1属性の属性値が指定された条件と一致するエントリを検索し、そのエントリに格納されている第2属性の属性値を読み出すことにより、所定の条件を満たす第1属性に対応付けられた第2属性の属性値を得ることができる。
以上に示したプログラム又はモジュールは、外部の記録媒体に格納されてもよい。記録媒体としては、フレキシブルディスク2090、CD−ROM2095の他に、DVD又はCD等の光学記録媒体、MO等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスク又はRAM等の記憶装置を記録媒体として使用し、ネットワークを介してプログラムをコンピュータ1900に提供してもよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本明細書における各実施形態は、適宜組み合わせることができる。本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須であることを意味するものではない。
2・・・シリコン基板、3・・・熱絶縁支持層、4・・・電気絶縁層、5・・・ガス検知層、6・・・貫通孔、7・・・接合層、8・・・ガス検知層電極、9・・・選択燃焼層、10・・・検出部、12・・・センサ抵抗、14・・・ヒータ、20・・・測定部、30・・・加熱制御部、40・・・警報発生部、52・・・第1取得部、54・・・第2取得部、60・・・判定部、70・・・中断制御部、80・・・記憶部、90・・・補正部、92・・・温度湿度計測部、100・・・ガス警報器、200・・・制御装置、101・・・センサ抵抗特性、102・・・センサ抵抗特性、103・・・センサ抵抗特性、1900・・・コンピュータ、2000・・・CPU、2010・・・ROM、2020・・・RAM、2030・・・通信インターフェイス、2040・・・ハードディスクドライブ、2050・・・フレキシブルディスク・ドライブ、2060・・・CD−ROMドライブ、2070・・・入出力チップ、2075・・・グラフィック・コントローラ、2080・・・表示装置、2082・・・ホスト・コントローラ、2084・・・入出力コントローラ、2090・・・フレキシブルディスク、2095・・・CD−ROM

Claims (14)

  1. 表面に吸着した酸素が対象ガスによって脱離することに起因して、特性値が変化するセンサ素子と、前記センサ素子を加熱するためのヒータとを有し、前記ヒータにより検出処理温度に加熱された前記センサ素子の前記特性値に基づいて対象ガスを検出するガス警報器であって、
    前記センサ素子の特性値を測定する測定部と、
    前記センサ素子を前記検出処理温度に比べて低い第1温度に加熱処理するように前記ヒータを制御する加熱制御部と、
    予め定められた時間にわたって前記加熱処理された状態で前記測定部によって測定された前記センサ素子の特性値に基づいて、前記センサ素子が感度低下した鈍化状態であるかを判定する判定部と、
    前記加熱制御部による前記加熱処理の開始後に前記測定部によって測定された前記センサ素子の特性値が予め定められた条件を満たした場合に、前記鈍化状態の判定前であっても、前記加熱処理を中断する中断制御部と、を備える、ガス警報器。
  2. 前記測定部は、前記センサ素子の抵抗値を測定し、
    前記加熱制御部は、前記第1温度に前記センサ素子を加熱処理するように前記ヒータを制御し、
    前記ガス警報器は、前記センサ素子の温度が前記第1温度に達した状態で前記測定部によって測定された前記センサ素子の第1抵抗値を取得する第1取得部を有し、
    前記判定部は、前記第1抵抗値に基づいて、前記センサ素子が感度低下した鈍化状態であるかを判定し、
    前記中断制御部は、前記加熱制御部による前記加熱処理の開始後に前記測定部によって測定された前記センサ素子の抵抗値が予め定められた条件を満たした場合に、前記センサ素子が前記鈍化状態であるか判定するための前記加熱処理を中断する、
    請求項1に記載のガス警報器。
  3. 前記センサ素子の温度が前記第1温度より高い第2温度である状態で前記測定部によって測定された前記センサ素子の第2抵抗値を取得する第2取得部を更に備え、
    前記判定部は、前記第1抵抗値及び前記第2抵抗値に基づいて、前記センサ素子が前記鈍化状態であるかを判定する、
    請求項2に記載のガス警報器。
  4. 前記判定部は、前記第1抵抗値と前記第2抵抗値との比を予め定められた閾値と比較することによって、前記センサ素子が前記鈍化状態であるかを判定する、
    請求項3に記載のガス警報器。
  5. 前記加熱制御部は、前記センサ素子の温度が前記第2温度になるように加熱制御した後に、前記センサ素子の温度が前記第1温度となるように加熱制御し、
    前記第2取得部が前記第2抵抗値を取得するのに続いて、前記第1取得部が前記第1抵抗値を取得する、
    請求項3または4に記載のガス警報器。
  6. 前記中断制御部は、前記加熱制御部による加熱処理開始後に前記測定部によって測定された前記センサ素子の抵抗値が予め定められた閾値以下となる場合に、前記センサ素子が前記鈍化状態であるか判定するための前記加熱処理を中断する、
    請求項2から5の何れか1項に記載のガス警報器。
  7. 前記鈍化状態にない前記センサ素子を清浄環境中で前記第1温度に安定させたときの前記センサ素子の抵抗値が前記閾値として設定されている、
    請求項6に記載のガス警報器。
  8. 前記鈍化状態にない前記センサ素子を清浄環境中で前記第1温度に安定させたときの前記センサ素子の抵抗値より高い抵抗値が前記閾値として設定されている、
    請求項6に記載のガス警報器。
  9. 前記中断制御部は、前記加熱制御部による加熱処理開始後に前記測定部によって測定された前記センサ素子の抵抗値が予め定められた閾値以下となる場合に、前記センサ素子が前記鈍化状態であるか判定するための前記加熱処理を中断するものであり、
    複数の前記第2温度を設定可能であり、
    前記第2温度毎に異なる前記閾値を記憶する記憶部を備える、
    請求項3から5の何れか1項に記載のガス警報器。
  10. 前記中断制御部は、前記加熱制御部による加熱処理開始後に前記測定部によって測定された前記センサ素子の抵抗値における時間変化の傾きに基づいて、前記センサ素子が前記鈍化状態であるか判定するための前記加熱処理を中断する、
    請求項2から5の何れか1項に記載のガス警報器。
  11. 前記中断制御部は、前記加熱制御部による加熱処理開始後に前記測定部によって測定された前記センサ素子の抵抗値を前回の測定値に比べた結果に基づいて、前記センサ素子が前記鈍化状態であるか判定するための前記加熱処理を中断する、
    請求項2から5の何れか1項に記載のガス警報器。
  12. 前記ガス警報器周辺の温度及び湿度の少なくとも一方を計測する温度湿度計測部と、
    前記第1抵抗値及び前記第2抵抗値を前記温度湿度計測部による計測結果に応じて補正する補正部と、を更に備え、
    前記判定部は、補正された第1抵抗値と補正された第2抵抗値とに基づいて、前記センサ素子が前記鈍化状態であるかを判定する、
    請求項3から5の何れか1項に記載のガス警報器。
  13. 表面に吸着した酸素が対象ガスによって脱離することに起因して、特性値が変化するセンサ素子と、前記センサ素子を加熱するためのヒータとを有し、前記ヒータにより検出処理温度に加熱された前記センサ素子の前記特性値に基づいて対象ガスを検出するガス警報器における制御装置であって、
    前記センサ素子の特性値を測定する測定部と、
    前記センサ素子を前記検出処理温度に比べて低い第1温度に加熱処理するように前記ヒータを制御する加熱制御部と、
    予め定められた時間にわたって前記加熱処理された状態で前記測定部によって測定された前記センサ素子の特性値に基づいて、前記センサ素子が感度低下した鈍化状態であるかを判定する判定部と、
    前記加熱制御部による前記加熱処理の開始後に前記測定部によって測定された前記センサ素子の特性値が予め定められた条件を満たした場合に、前記鈍化状態の判定前であっても、前記加熱処理を中断する中断制御部と、を備える、制御装置。
  14. 表面に吸着した酸素が対象ガスによって脱離することに起因して、特性値が変化するセンサ素子と、前記センサ素子を加熱するためのヒータとを有し、前記ヒータにより検出処理温度に加熱された前記センサ素子の特性値に基づいて対象ガスを検出するガス警報器を制御するコンピュータに、
    前記センサ素子の特性値を測定する手順と、
    前記センサ素子を前記検出処理温度に比べて低い第1温度に加熱処理するように前記ヒータを制御する手順と、
    予め定められた時間にわたって前記加熱処理された状態で測定された前記センサ素子の特性値に基づいて、前記センサ素子が感度低下した鈍化状態であるかを判定する手順と、
    前記センサ素子が前記鈍化状態であるか判定するための前記加熱処理の開始後に測定された前記センサ素子の特性値が予め定められた条件を満たした場合に、前記鈍化状態の判定前であっても、前記加熱処理を中断する手順と
    を実行させるためプログラム。
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