実施形態で説明する圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブは、主として、鉄鋼・アルミメーカー等において、鋼板やアルミ板の形状制御に使用されることができる。具体的には、圧延制御装置のワークロールに水または、油、水溶液などのクーラントをスプレーし、ワークロールの冷却や潤滑に供するものである。現在、高級鋼板の圧延ラインには、種々の方法で、クーラントがスプレーされている。
従来、ロールの幅方向にクーラントを送出可能なパイプを設け、適当なピッチで複数のノズルを当該パイプに取付けて、圧延時にスプレーしていた。最近では、圧延板のひずみ等を検知するプロフィールセンサーのピッチ幅(例えば25mm)で、スプレーをしている。ノズルには、それぞれオン、オフバルブが取付けられており、プロフィールセンサーからの信号に基づいて、弁のオン、オフが行われる。
このようなオン、オフのバルブは、構造上ストップバルブであるので、開もしくは閉、即ち開閉のいずれか一方のみの選択的制御となり、流体の全停止または流体の全開によるスプレーの繰り返しとなる。
実施形態の圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブは、各ノズルの入口側に取付け、流量の制御を多段階で行う。ノズルは、25mmピッチまたは50mmピッチで取付けられ、各ノズルは、25mmピッチの場合、40L/min、50mmピッチでは80L/minが標準的である。
これらのノズルは、圧延板の幅方向に約50台取付けられおり、遠隔操作で制御する。25mmピッチで横一列に並べることの出来るパルスモーターを使うことで、本実施形態の圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブを開発した。しかしこのパルスモーター(ステッピングモーター)は、小型故に5kg程度しか押圧力がなく、このままでは弁を動かすことは出来ない。弁の開閉をするためには、約30kg程度の力が必要である。
モータが、ポペットをダイレクトで動かすことが出来ない為、自己のもつ流体圧を利用することでこれを可能とする。まず角型のボデー(縦70mm×横85mm×幅1500mm)に中空の通し穴をあけ、幅方向に実施形態のロールクーラントバルブを、25mm〜50mmピッチで差込み、一方にノズル、反対方向に駆動部のパルスモーターを取付けることで弁駆動機構を実現する。
また、圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブは、鉄、アルミ、鋼などの圧延機に使用されるロールクーラント弁である。従来、圧延機には、潤滑と冷却の為に種々のクーラントシステムが使用されているが、これを用いて、板の形状(凹凸、ひずみ、厚さ等)制御に利用する。即ち、ワークロール及び/または圧延板のロール噛み込み部に、プロフィールセンサーの信号に基づいて、流量制御の可能な実施形態の圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブから水、油、もしくは、水溶性流体を噴射スプレーする。これにより、圧延板の微妙な形状をコントロールする。
また、オンオフバルブを縦方向に複数個並べ、かつ板の幅方向に25〜50mmピッチで数十台並べ、プロフィールセンサーの形状検出信号またはワークロールの温度検出信号に基づいて、噴射バルブオンまたはオフさせる方法が一般には知られている。
この方法では、メリットとして、クーラントスプレー流量を、射出または射出しないの二択でデジタル的に変えられるメリットがある。しかし、デメリットとしては、流量をアナログ的に微妙かつ精確に制御することが不可能であると同時に、ヘッダー部(先端ノズルを含めた弁部全体)が大きくなってしまう欠点がある。
そこで、本発明者は、安価な超小型(幅25mm)の圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブを開発した。個々の圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブは、それぞれ超小型故、押圧力が小さく(約5kg)、対応する噴射ノズルの開閉弁の直接駆動(約30kg必要)は困難です。
従って、圧力流体(クーラント)がノズルからスプレーされている状態下等でも、ポペットの位置をパルスモーターで間接的に制御可能な、バランスピストンタイプとすることで、これを解決した。ポペットの中央にノズル側に通じるパイロット穴を設け、このパイロット穴を流れる流量(パイロット穴の開口大きさ)をパルスモーターに連結された可動芯で制御することによって、ポペットの位置が決められ、噴射されるクーラント流量が制御される。そこで、以下図面に基づいて、本実施形態の圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブについて説明する。
図1は、本実施形態の圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ1000の構成概要を説明する図である。図1において、圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ1000は、説明の便宜上、横方向から観察しかつ内部構成を可視化して示している。図1に示すように、圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ1000は、台座1140に防振ゴム1130を介してバンド1120で固定・実装されたステッピングモータ1100を備える。
また、ステッピングモータ1100は、防水カバー1160内に収納されており、防水カバー1160の内部空間は、ステッピングモータ1100を冷却するためにエアパージされている。詳しくは後述するが、圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ1000は、紙面手前方向及び紙面奥行き方向に複数個が連続して実装されているので、好ましくは、パージエアは隣接する防水カバー1160内で連通されている。
また、ステッピングモータ1100への入力パルスに対応して押し出される長さが決まるステッピングモータ1100のシャフト1110は、図1においては収納された状態(最も収縮された状態)であるので、示されていない。
また、圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ1000は、取り付けブロック1150を用いて固定され、その内部空洞がクーラントで満たされている、ボディ1800を備える。ボディ1800は、ステンレススチール(SS)で形成されることができる。
上述のように好ましくは、隣接する圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ1000間で、ボディ1800内の空洞は連通しており、このためクーラントがボディ1800内を通過して隣接するボディ1800へとスムースに供給されることができる。典型的には、ボディ1800は、紙面手前から紙面奥行き方向に長手方向(幅方向:例えば幅1500mm)が配置された、内部空洞を有する縦75mm×横80mmのSS角材である。
ボディ1800内部空洞には、その前方をシート1700で後方をリテーナー1210で固定されたバルブボディ1600が備えられる。バルブボディ1600の周囲及び内部はクーラントが充填されている。バルブボディ1600の内部には、バルブボディ1600の前後方向に移動可能な、ポペット1500が配置されている。
ポペット1500は、前方(噴射ノズル側)のクーラントを後方のパイロット空間1300へと流入させる流入経路となる一対のオリフィス1510を備える。また、ポペット1500は、パイロット空間1300のパイロット流体(クーラントが流入してきたもの)を前方へと流出させる流出経路となるパイロット穴1400を備える。
パイロット穴1400の流路大きさは、ステッピングモータ1100のシャフト1110に連結された可動芯1200の押し出し長さ程度によって、調整されることができる。これにより、パイロット穴1400を経由して流出するパイロット流体と、一対のオリフィス1510からパイロット空間1300に流入してくるクーラントと、の量がバランスする位置で、ポペット1500が安定して静止することとなる(バランスピストンタイプ)。
ここで、例えば、幅25mm未満程度の小型のステッピングモータ1100を用いた場合には、シャフト1110は5〜7mm程度押し出し突出することが可能であるが、その押圧力は例えば5kg程度くらいであり、圧力流体の弁を直接作動させる力(例えば、30kg程度)としては不足するものとなる。この点、本実施形態では、可動芯1200を突出させるだけであるので、上述したような小さな押圧力であってもスムースな動作が可能となる。
また、ポペット1500の先端(前方側、すなわち噴射ノズル側)は、外側面が先細りのテーパとなっており、該ポペット1500のテーパとシート1700の内壁に設けられたテーパと、の間で、ボディ1800内部のクーラントが噴射ノズル1900側へと流出する流路大きさが調整される。
また、図1に示すように噴射ノズル1900は、ノズルカバー1910によりボディ1800に実装されることができる。ボディ1800内部のクーラントは、例えば0.4〜0.7MPa程度の流体圧力とすることができる。バランスピストンタイプにより、クーラント自体の流体圧を利用してポペット1500を比較的小さな押圧力で動かすため、実稼働中においては、ボディ1800内部のクーラントの流体圧を一定にすることが好ましい。
これにより、さらに容易にかつ再現性良く安定した噴射量の制御が可能となる。バルブボディ1600やポペット1500、可動芯1200等は、SUSを用いて形成することができる。また、圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ1000の流量を例えば10〜40リットル/分で変化させた場合でも、噴射ノズル1900は、その噴射角度の変動が少ない特性を有するノズルを使用することが好ましい。
図2は、圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ2500を備える圧延制御装置2000の構成概要を説明する概念図である。図2においては、本発明に密接に関連する部分のみの概要を概念的に示しており、その他の部分や部品・構成等は記載を省略している。
図2に示すように圧延制御装置2000は、高速で連続移送される圧延材2300を両側から挟み込む一対のワークロール2200(1),2200(2)と、ワークロール2200(1),2200(2)の外側にそれぞれ配置される一対のバックアップロール2100(1),2100(2)を備える。
ここで、圧延材2300の移送速度は、生産性や生産効率に直結するため、例えば新幹線なみのスピードで連続的に移送される場合もある。また、ワークロール2200(1),2200(2)は30分〜1時間毎に研磨されてメンテナンスされるとともに、バックアップロール2100(1),2100(2)は1〜3日毎に研磨されてメンテナンスされる。また、ワークロール2200(1),2200(2)を研磨メンテナンスしながら実稼働させるオンライングラインダー等も用いられている。
また、図2に示すように、ワークロール2200(1),2200(2)は、それぞれ圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ2500(1),2500(2)から噴射されるクーラントで、必要に応じて適宜冷却される。クーラントは、ケロシンや水ソリブルや工業用水等であってよく、圧延材2300にも供給されることができる。
また、バックアップロール2100(1),2100(2)は、それぞれ1対のロールクーラントバルブ2400(1),2400(2),2400(3),2400(4)で冷却される。ロールクーラントバルブ2400(1),2400(2),2400(3),2400(4)の各々から噴射されるクーラントの量は、圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ2500(1),2500(2)から噴射されるクーラントの量の、およそ10倍程度とすることができる。
ワークロール2200(1),2200(2)で圧延された圧延材2300は、プロフィールメータ2600(または形状センサーとも称する)で、ひずみや凹凸を計測される。その計測結果に基づいて、当該ひずみや凹凸を解消するように本実施形態の圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ2500(1),2500(2)の噴射量が調整される。プロフィールメータ2600に替わって、またはプロフィールメータ2600とともに、ワークロール2200(1),2200(2)の温度をそれぞれ計測する温度計測器を備えてもよい。当該温度計測器は、ロールの幅全体について25mmピッチで計測可能なように、例えば25mmピッチで複数個備えていてもよい。
また、圧延材2300は、例えば1500mm程度の幅を有することができるので、ワークロール2200(1),2200(2)も紙面手前から奥行き方向に、幅1500mm〜2000mm程度とすることができる。これに対応して、本実施形態の圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ2500(1),2500(2)も、例えば単一での幅25mmを80個連続して備えるものとし、ワークロール2200(1),2200(2)の幅方向全体について、冷却可能な構成とする。例えば、圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ2500(1),2500(2)のそれぞれの一列につき、800リットル/分〜1000リットル/分の噴射量としてもよい。
また、プロフィールメータ2600では、幅方向に25mm乃至50mmピッチで、圧延材2300のひずみや凹凸等を検知することができる。このため、例えば、ひずみ等が検出された幅方向の位置に対応する圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ2500(1),2500(2)を、個別に、独立して噴射制御してひずみ等を解消するものとできる。
また、図2では説明の便宜上、ロール4段構成を示しているが、ロールが6段構成であってもよい。また、図2では説明の簡便のために1セットのみを示しているが、図2に示す構成を圧延材2300の流れ方向に沿って複数セット備えていてもよい。なお、図2における圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ2500(1),2500(2)の個々の構成は、図1に説明した圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ1000である。次に、図3を用いてプロフィールメータ2600のさらに詳細な構成について説明する。
図3は、プロフィールメータ2600の構成概要を模式的に説明する図である。図3から理解できるように、プロフィールメータ2600は、圧延材2300の幅方向に亘って、25mm乃至50mmピッチで、ドーナツ形状の複数のピース2600(1),2600(2),2600(3),2600(4),2600(5),2600(6)・・で構成されている。また、ドーナツ形状の複数のピース2600(1)等のピッチは、圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ2500(1),2500(2)の幅方向の実装ピッチと、同一とすることができる。
また、各ピース2600(1)等は、それぞれその中心穴を棒状体2610で貫通されており、棒状体2610の周囲には各ピース2600(1)等の内壁面との間に間隔を有している。そして、該間隔にはエアが装填されており、各ピース2600(1)等の例えば上下動を該エアの圧力差の検出等により、各ピース2600(1)等毎に検知することができる。
このような構成により、プロフィールメータ2600は、圧延材2300の幅方向全体について、25mm乃至50mmピッチで、凹凸やひずみの有無、厚さの均一性等を検出することができる。そして、異常が検出された部位に対応する圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ2500(1),2500(2)について、当該異常が解消されるように、クーラント噴射量の調節することができる。
この場合に、ひずみや凹凸等異常の内容によっては、周辺部位との兼ね合いで生じる異常もあるので、必ずしも異常検出部位に対応するバルブのみではなく、必要に応じてその周辺部位も含めて、当該検出された異常を解消できるように、噴射するクーラント量を調整することが好ましい。
図4は、圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ1000のクーラント(圧力流体)の流れの概要を簡便に説明する図である。図4においては、圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ1000の構成は、図1で既に説明したものであるので、図1と同一の符号を用いることとし構成の説明はここでは省略する。
図4において、ボディ1800内に到達した所定の圧力を有するクーラントは、矢印1で示すように、バルブボディ1600の穴(符号は付与せず)を経由して、バルブボディ1600の外部から内部へと流入する。そして、不図示の噴射ノズル1900から噴射されるクーラントは、矢印5で示すように、ポペット1500とシート1700との間に形成される流路を経由して、ボディ1800外部へと流出する。
また、矢印2で示すように、バルブボディ1600の内部へと流入したクーラントの一部または全部(例えば、噴射量ゼロ時)は、オリフィス1510を経由してパイロット空間1300へと流入する。一方、パイロット空間1300のパイロット流体(クーラントが流入したもの)は、矢印3で示すように、可動芯1200の先端とポペット1500後端で形成されるパイロット穴1400を経由して、矢印4で示すようにポペット前方へと流出する。
上述したようにポペット1500はバランスピストンタイプであるので、パイロット空間1300への流入量と流出量とのバランスにより、その安定静止位置が決定される。今、仮にある位置でポペット1500が安定静止していたものとする場合に、可動芯1200を前方へ少し押し出せば、パイロット穴1400は一時的に小さくなり、矢印3を経由して流出するパイロット流体の量が一時的に減少する。
すると、パイロット空間1300への流入量と流出量のバランスが崩れ、流入量が流出量よりも多くなる。これにより、パイロット空間1300を増大させるように、ポペット1500は、紙面左方向の前方(噴射ノズル1900側)へと移動するものとなる。
そして、ある程度ポペット1500が前方へ移動すれば、ポペット1500後端と可動芯1200との間隔が再び空くこととなるので、矢印3を経由して流出するパイロット流体の量が再び増え(例えば、元に戻り)、流入量と流出量のバランスが再確保されてその位置でポペット1500が安定静止する。
また、該ポペット1500の前方への移動後に再安定静止した位置においては、矢印5で示すクーラントの流路は移動前の安定静止位置の時よりも狭くなるので、噴射ノズル1900からの噴射量はより低減するものとなる。
また、今、仮にある位置でポペット1500が安定静止していたものとする場合に、可動芯1200を後方へ少し引っ込めると、パイロット穴1400は一時的に大きくなり、矢印3を経由して流出するパイロット流体の量が一時的に増大する。
すると、パイロット空間1300への流入量と流出量のバランスが崩れ、流出量が流入量よりも多くなる。これにより、パイロット空間1300を低減させるように、ポペット1500は、紙面右方向の後方(ステッピングモータ1100側)へと移動するものとなる。
そして、ある程度ポペット1500が後方へ移動すれば、ポペット1500後端と可動芯1200との間隔が再び狭くなることとなるので、矢印3を経由して流出するパイロット流体の量が再び減少し(例えば、元に戻り)、流入量と流出量のバランスが再確保されてその位置でポペット1500が安定静止する。
また、該ポペット1500の後方への移動後に再安定静止した位置においては、矢印5で示すクーラントの流路は移動前の安定静止位置の時よりも広くなるので、噴射ノズル1900からの噴射量はより増大するものとなる。
図5は、噴射ノズル1900側から、圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ2500のように複数個実装された、圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ1000を観察した状態を説明する図である。図5(a)が噴射ノズル1900側から観察した連続実装された複数の圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ1000(1),1000(2),1000(3)を示し、図5(b)が噴射角度15°を付与されて噴射する様子を示す図である。図5(a)において、圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ1000(1),1000(2),1000(3)・・は、ノズルカバー1910(1),1910(2),1910(3)・・に覆われて、角度を付与された噴射ノズル1900(1),1900(2),1900(3)・・が露出される。
図5から理解できるように、圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ1000は、圧延材2300の幅方向全体以上に亘って、典型的には幅25mmピッチで複数個実装される。例えば、圧延材2300の幅が1500mmであった場合には、ロール幅2000mmに対して80個実装されることができる。また、このように80個から構成された圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ2500を、同一のワークロール2200(1)等に対して複数段設けることも可能である。図5では、説明の便宜上、三個の弁のみが連続配置されている外観を示しているが、これに限定されるものではなく、任意の複数個(例えば、数十個)を連接できることは上述したとおりである。
図6は、圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ1000の流量制御特性の試験結果を説明する図である。図6において、使用流体はアルミ圧延油(ケロシン)であり、バルブへの流体供給圧力(P1)は0.4MPaで一定となるように調整した。図6に示す表において、「算出流量(L/min)」は、噴射ノズルへと送出されスプレーされる流量のことを意味するものであるが、15秒間だけスプレーを容器に採集してその重さを測定し、容積に変換して1分間に換算するため4倍にした値である。
また、実験では図6の上段に示すように、バルブの全開(パルス数1450)から全閉(パルス数0)へとパルスを順に、1250,1000,750,500,250と低減させて噴射量を少しずつ低減させた。その後、図6の下段に示すように、バルブの全閉(パルス数0)から全開(パルス数1450)へとパルスを順に、250,500,750,1000と増大させて噴射量を少しずつ増大させた。
図6から理解できるように、パルス数1450に対応する噴射量は、上段で43.1L/minであり下段で40.9L/minである。また、パルス数1250に対応する噴射量は、上段で42.2L/minであり下段で40.4L/minである。パルス数1000に対応する噴射量は、上段で38.7L/minであり下段で38.2L/minである。
さらに、パルス数750に対応する噴射量は、上段で34.2L/minであり下段で32.9L/minである。また、パルス数500に対応する噴射量は、上段で23.1L/minであり下段で21.8L/minである。また、パルス数250に対応する噴射量は、上段で6.2L/minであり下段で4.9L/minである。いずれの噴射量においても、極めて再現性の高い噴射量が得られており、良好な噴射制御が遂行されていることが理解できる。
なお、図6において、P2として示すのは、噴射ノズルにおける噴射圧力である。図4に示すように一次圧P1を0.4MPa一定としてボディ1800に供給されたクーラントは、図4の矢印1から矢印5を経由して噴射ノズル手前においては噴射圧力P2に低減されているものとなり、この低減された圧力に対応して噴射量も低減される。
また、図6の確認実験にあたり、噴射されたクーラントを採集する容器の重さは0.9kgであり、ケロシン1Lの重さは0.9kgである。また、ケロシンの温度は、実験開始時には34℃であったが、実験終了時には54℃にまで上昇しており、実験の中央時点すなわちバルブ全閉状態となった時点では、46℃であった。
図6に示すように、ステッピングモータ1100へ入力するパルス数に対応して、シャフト1110及び可動芯1200のストローク(mm)が決定され、このストロークに対応してポペット1500の位置が決まることで、噴射量が良好に制御されることが理解できる。
また、図7は、図6に示した表の結果をグラフ化した、ステッピングモータ1100への入力パルス値に対する噴射バルブ1900の噴射流量を示すグラフである。図7からも、パルス数に対する噴射量(図7では流量(縦軸)として記載)が、極めて良好に再現性良く制御されていることが理解できる。すなわち、バルブ全開から全閉、バルブ全閉から全開のいずれの状態への変位においても、特異なヒステリシス等を発現することなく、パルス数に対してバルブ開度(すなわち噴射量)が一対一で対応していることが理解できる。
本発明の圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブは、ワークロール及び/又は圧延材を冷却するためのクーラント噴射量を制御する圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブであって、ステッピングモータと、ステッピングモータのシャフトに連結された可動芯と、可動芯により、パイロット流体がパイロット空間から流出するためのパイロット穴の開口程度を調整されるバランスピストンタイプのポペットと、を備え、ポペットのオリフィスを介してポペット後端のパイロット空間に流入するパイロット流体の量と、パイロット穴を介してパイロット空間からポペット前端方向に流出するパイロット流体の量と、の関係によりポペットの位置が調整されることにより、クーラント噴射量が調整されることを特徴とする。
これにより、ステッピングモータに入力するパルス数により、任意のクーラント噴射量に制御できる圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブとなる。ステッピングモータのシャフトに連結された可動芯は、ポペットのパイロット穴の開口大きさを調整するのみであるので、ポペットを直接駆動する大きな押圧力は必要とされない。
ポペット自体は、バランスピストン機構により、ノズル側からオリフィスを介してパイロット空間に流入するクーラントとの量と、パイロット穴から排出されるクーラントの量と、のバランスされた位置で安定するように駆動する。
パイロット空間は、ポペットの後端と、バルブボディと可動芯を内包するリテーナーとの間で形成される。そして、ポペットが弁を閉じる方向に移動すれば、ポペット後端とリテーナーとの間が離間して、パイロット空間は増大してこの中のパイロット流体(クーラント)は増える。逆に、ポペットが弁を空ける方向に移動すれば、ポペット後端とリテーナーとの間が近接して、パイロット空間は減少してこの中のパイロット流体(クーラント)は減少する。
すなわち、ノズル側からオリフィスを介してパイロット空間に流入するクーラント(パイロット空間内のクーラントをパイロット流体と称する)の量と、パイロット穴を介してパイロット空間からノズル側に流出するクーラントの量と、のバランスされた位置でポペットは静止する。
ノズル側からオリフィスを介してパイロット空間に流入するクーラント(パイロット空間内のクーラントをパイロット流体と称する)の量が、パイロット穴を介してパイロット空間からノズル側に流出するクーラントの量より多ければ、パイロット空間を増大するようにポペットは弁を閉じる方向に移動する。
一方、ノズル側からオリフィスを介してパイロット空間に流入するクーラント(パイロット空間内のクーラントをパイロット流体と称する)の量が、パイロット穴を介してパイロット空間からノズル側に流出するクーラントの量より少なければ、パイロット空間を減少するようにポペットは弁を空ける方向に移動する。
また、ノズル側からオリフィスを介してパイロット空間に流入するクーラント(パイロット空間内のクーラントをパイロット流体と称する)の量が、パイロット穴を介してパイロット空間からノズル側に流出するクーラントの量と同じであれば、パイロット空間を維持するようにポペットはその位置で静止する。
ステッピングモータの押圧力のみで弁の開閉を遂行可能であれば、複雑な開閉機構は不要でありモータの力のみによるシンプルな弁開閉動作機構とできるが、25mm幅程度の小型のステッピングモータでは押圧力が小さく、そのままでは弁の開閉を遂行させることができない。
このため、クーラントの流体圧それ自体を利用することで、より小さなモータ押圧力で、弁の開閉を遂行可能なバランスピストン型の圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブとできる。弁が完全に閉状態、すなわちクーラント噴射量ゼロの場合であっても、ポペットが紙面左側に最大限変位した状態において、可動芯は、ポペット後端のパイロット穴を閉塞しないように構成されることができる。すなわち、この場合にはポペットが弁を完全に封鎖した位置状態において、オリフィスを介したパイロット空間へのクーラント流入量と、パイロット穴を介したノズル側へのクーラント流出量と、がバランスされたものとなっている。
また、ステッピングモータのシャフトのストローク(押し出し長さ)は、例えば0〜7mm程度まで可能であり、シャフトの先端にシャフト軸方向に当該軸を延長するように連結された可動芯も、シャフトのストロークに対応して押し出される。
そして、可動芯の押し出し量が大きくなればパイロット空間は増大し、可動芯の押し出し量が小さくなればパイロット空間は減少する。また、可動芯の位置に対応して、上述したパイロット空間へのクーラントの流入量とパイロット空間からの流出量とがバランスする位置においてポペットが静止する。そして、当該静止したポペットの位置に基づいて、ポペット先端とシートのテーパとの間隔、すなわち弁の開度が決定されて、クーラントの噴射量が再現性良く決定されるものとなる。
また、本発明の圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブは、好ましくは、25mm乃至50mmのピッチで圧延材の幅方向に連続して複数並設されることを特徴とする。これにより、圧延材の幅方向全体に亘って、途切れなくクーラントを噴射することが可能となるとともに、当該配置ピッチ毎に、独立して、噴射量を個別制御することができる。
プロフィールメータは、圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブの幅方向への配置ピッチに整合する25mm乃至50mmピッチで、圧延材の凹凸形状等を検出することが可能である。このため、当該プロフィールメータからの検出値フィードバックに基づいて、25mmピッチ等で圧延材の形状に対応するようにより細かく個別箇所毎のクーラント噴射量制御としてより精確な個別箇所毎の形状調整が可能となるので好ましい。
また、本発明の圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブは、さらに好ましくは、ポペットの先端外壁に設けられたテーパと、ポペットの先端に対応する位置において、ポペットを収容するバルブボディの内壁に設けられたシートのテーパと、の間隔により、クーラント噴射量が調整されることを特徴とする。
すなわち、ボディの内部のクーラントは、ポペットの先端外壁に設けられたテーパと、ポペットを収容するバルブボディの内壁に設けられたシートのテーパと、の間を通過してノズル方向へと送出される。
このため、ポペットの先端外壁に設けられたテーパと、ポペットを収容するバルブボディの内壁に設けられたシートのテーパと、の間隔が広ければ、クーラントの射出量は多くなり、両テーパの間隔が狭ければクーラントの射出量は少なくなる。また、両テーパの間隔が無くなれば、クーラントの射出量はゼロとなってクーラントは射出されない。
ポペットを収容するバルブボディの内壁に設けられたシートのテーパは固定されているので、両テーパの間隔は、ポペットの位置によってのみ決定される。すなわち、ポペットが安定的に静止する位置に依存して、これに対応するクーラントの射出量が決定されることとなる。また、既に上述したように、ポペットの位置は、ステッピングモータへのパルス入力により決まる可動芯のストロークに対応して決まることから、結局のところ、ステッピングモータへのパルス入力に対応してクーラント射出量が決定されるものとなる。
また、本発明の圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブは、さらに好ましくは、パイロット流体がパイロット空間から流出するためのパイロット穴の開口程度を調整する可動芯の先端は、先細りのテーパ形状であることを特徴とする。
これにより、モータシャフトに連結された可動芯のストロークに対応して、可動芯の先端部がパイロット穴の開口程度を調整する場合に、比較的緩慢にかつ穏やかに、開口程度を変化させることが可能となるので好ましい。急激な開口度合いの変化とすれば、パイロット流体やクーラント等の圧力流体に予期せぬ衝撃等が生じる懸念も生じるが、このような懸念を払拭するとともに、より細やかな開口程度調整が可能となる。これにより、可動芯のストロークに対応して移動するポペットの位置変動も、比較的緩和されるものとなり、急激な位置変動による衝撃等やこれにより生じる障害等も回避できるので好ましい。また、衝撃や障害を回避することで、圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブを含む冷却システム全体の耐久性や信頼性も向上できるものとなるので好ましい。
また、本発明の圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブは、さらに好ましくは、圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブに供給されるクーラントの一次供給圧は、0.4〜0.7MPaであることを特徴とする。
上述した実施例では、0.4MPaで一定とした場合を示したが、実施例での説明に限定されるものではなく、クーラントの一次供給圧すなわち圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブに供給されるクーラントの圧力は、典型的には0.4〜0.7MPaの範囲とすることができる。
バランスピストンタイプのポペットを用いていることから、クーラントの一次供給圧が変動してしまうと、ステッピングモータのパルス数変動が無くても(すなわち可動芯の位置が一定でも)、ポペットの位置が変動し得ることとなる。
そして、ポペットの位置が変動すれば、クーラント噴射量が変動することとなる。従って、現実の生産ラインで圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブを稼働させる場合には、クーラントの一次供給圧を常に一定にしておくことで、再現性の良いクーラント噴射量の制御調整が可能となる。
また、本発明の圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブは、さらに好ましくは、ステッピングモータは、防振弾性材を介して台座に固定されて、エアーパージにより冷却されることを特徴とする。
ステッピングモータが駆動されるとそれ自体が発熱する。また、圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブが配置される生産ラインは、温度や湿度等比較的厳しい環境下である。さらに、ステッピングモータを含む圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブは、25mmピッチ等で隣接して連続して複数個(例えば80個)並設される。
このため、ステッピングモータが発熱や蓄熱等により、ダウンすることを回避するためにエアパージの空冷により冷却することが好ましい。パージエアは、隣接するステッピングモータ同士で連通させて、共通にパージできるものとすることができる。
また、ステッピングモータが防振ゴムを典型例とする防振弾性材を介して台座に固定されることで、細かな振動の発生を抑制し、当該振動によりノズルから噴射されるクーラントが脈動したり乱れることを抑止できるので好ましい。また、ステッピングモータ自体の振動を抑制できるので、入力パルスに基づく可動芯のストローク制御を安定的に精確に遂行でき、より安定的に精確なクーラント噴射量の制御が可能となる。
また、本発明の圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブは、さらに好ましくは、パイロット穴を介してパイロット空間からポペット前端方向に流出するパイロット流体の流出経路は、ポペットの長手方向に、ポペットの中央部に設けられ、ポペットのオリフィスを介してポペット後端のパイロット空間に流入するパイロット流体の流入経路は、流出経路に対して対称に一対設けられることを特徴とする。
これにより、一本の流出経路と一対二本の流入経路となるので、パイロット空間へのクーラント(パイロット流体)の流入や流出がスムースに行えるものとなるので好ましい。
また、本発明の圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブは、さらに好ましくは、クーラント噴射量は、0乃至43リットル/分の間で調整可能であることを特徴とする。
クーラント噴射量は、同一の圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブを用いた場合であっても、クーラント一次供給圧に依存して変動する。また、ノズルの形状等によっても変わり得る。但し、典型的には、実施形態で説明したように、クーラント一次供給圧が0.4MPa一定とした場合に0乃至43リットル/分の間で調整可能とすることができる。これは、従来、噴射するかしないかのみの二択選択であったバルブに比べると、より精緻かつきめ細やかなクーラント噴射制御を実現する上で極めて有利である。
また、本発明の圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブは、さらに好ましくは、クーラント噴射圧は、圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブに供給されるクーラントの一次供給圧が0.4MPaである場合に、0乃至0.25MPaの間で調整可能であることを特徴とする。
ノズル形状によってもクーラント噴射量とクーラント噴射圧との関係は変動するが、実施形態で説明した典型例においては、0乃至0.25MPaの間で調整可能である。この場合のノズルは、クーラント噴射圧やこれに対応するクーラント噴射量が変動した場合であっても、噴射広がり角度を含む噴射形状が変動しないバルブを用いたものである。
このようなクーラント噴射圧の制御は、従来、噴射するかしないかのみの二択選択であったバルブに比べると、より精緻かつきめ細やかなクーラント噴射制御を実現する上で極めて有利である。また、前記クーラントの噴射ノズルと、本実施形態の圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブとは、一対一で設けられるものとする。さらに好ましくは、モータシャフトの軸と可動芯の軸とポペットのパイロット穴及びパイロット流体流出経路、及び噴射ノズルが直線状に同軸に配置されるものとする。
また、本発明の圧延制御装置は、上述のいずれか一に記載の圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブを用いた圧延制御装置であることを特徴とする。これにより、厚さや凹凸形状、ひずみ等をミクロンレベルで低減した高い品質の圧延工程を遂行できる圧延制御装置とできるので好ましい。
また、本発明の圧延制御装置における噴射ノズルからのクーラント噴射量調整方法は、ワークロールの温度を検出する工程と、検出されたワークロールの温度に基づいて、ステッピングモータへの入力パルスを変更する工程と、を有することを特徴とする。これにより、厚さや凹凸形状、ひずみ等をミクロンレベルで低減した高い品質の圧延工程を遂行できる圧延制御装置とできるので好ましい。
ワークロールの温度が高くなるとステッピングモータへの入力パルスを大きくしてクーラント噴射量を増大させ、ワークロールの温度が低くなるとステッピングモータへの入力パルスを小さくしてクーラント噴射量を低減させることができる。さらに、このような制御を、典型的には圧延材の幅方向の25mmピッチ毎に別個に、個別独立して遂行できるので好ましい。局所的なワークロールの温度変動等が生じた場合であっても、局所的に任意の適切量のクーラントを噴射する対応が可能となる。
また、本発明の圧延制御装置における噴射ノズルからのクーラント噴射量調整方法は、プロフィールセンサーにより圧延材の凹凸、厚さ、ひずみ、形状の少なくともいずれか一つを検出する工程と、圧延材の凹凸、厚さ、ひずみ、形状の少なくともいずれか一つの検出結果に基づいて、ステッピングモータへの入力パルスを変更する工程と、を有することを特徴とする。これにより、厚さや凹凸形状、ひずみ等をミクロンレベルで低減した高い品質の圧延工程を遂行できる圧延制御装置とできるので好ましい。
プロフィールセンサーにより圧延材の凹凸、厚さ、ひずみ、形状の少なくともいずれか一つを検出すると、これを減少させるように、ステッピングモータへの入力パルスを大きくまたは小さくしてクーラント噴射量を増大または低減させることができる。さらに、このような制御を、典型的には圧延材の幅方向の25mmピッチ毎に別個に、個別独立して遂行できるので好ましい。局所的な圧延材のひずみや凹凸等が生じた場合であっても、局所的に任意の適切量のクーラントを噴射する対応が可能となる。
なお、圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ1000は、ワークロール2200の幅方向に50〜60台程度並べて配置しても良い。そして、その中央付近は、20〜30台の任意の台数だけ同時に作動させる制御とすることができる。当該任意の台数は、必要に応じて時には20台としたり、また他の時には25台としたりして、その時の圧延状況により一定ではないものとできる。
さらに、中央付近の当該任意の台数(例えば25台)については、同時に作動させるため、弁の開閉を制御する電気信号は同時に同一の信号が入力されることとできる。この場合に、各個別の弁の開閉動作は、シール1700の抵抗やその他のバラツキに起因して、完全には同時に動作せず1〜2秒程度の時間差が生じる場合もある。
加えて、図8に示すように、50台並列に連続して設けられた圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ1000を含むヘッダーに対して、クーラント導入口をその一方側にのみに設ける場合に、クーラント導入口のサイズや口数の相違等により各弁の動作が影響を受ける場合もある。図8は、50台並列に連続して設けられた圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ1000を含むヘッダーの概要を説明する図である。
具体的には、クーラント導入口との間隔が小さい弁(すなわちクーラント導入口に近い弁)と、クーラント導入口との間隔が大きい弁(すなわちクーラント導入口に遠い弁)と、では同時に同一のステッピングモータ1100制御信号を入力しても、個々に流量が異なることもある。
このような場合には、図1においてパイロット空間1300とオリフィス1510の場所とポペット1500の左側に配置されている噴射ノズル1900に通じるパイロット流体の出側1520にオリフィスを入れて、複数の弁動作を同調させるように調整することも可能である。
上述の説明による圧延制御用可変流量ロールクーラントバルブ及び圧延制御装置及び圧延制御装置における噴射ノズルからのクーラント噴射量調整方法は、実施形態での説明に限定されるものではなく、本発明の範囲内かつ当業者に自明な範囲内で適宜構成を変更し、動作や工程を変更することができるものである。