JP6565496B2 - 導光装置及び虚像表示装置 - Google Patents
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以下、本発明の第1実施形態に係る導光装置を組み込んだ虚像表示装置について説明する。
なお、虚像表示装置100は、全体としては、例えば一般の眼鏡のような外観(不図示)を有するものとなっており、画像形成装置10や導光装置20を支持するリム部分38やテンプル部分39を備えている。
ここで、図2(A)に示すように、観察者に観察される虚像の画面PW(つまり投影範囲PR)の第1方向(具体的にはx方向)に関するサイズは、画面PWの第2方向(具体的にはy方向)に関するサイズよりも大きい。これにより、理由は後述するが、サイズが大きな第1方向に関して画面PWの色斑を低減でき、画面PW全体として色斑が目立たないようにすることができる。なお、投射レンズ12によって形成される虚像は、眼EYの並ぶ横の第1方向と、眼EYの並びに直交する縦の第2方向とで、結像倍率が異なっていてもよい。つまり、図2(B)に示すように、液晶デバイス11の表示エリアIAは、図2(A)に示す虚像の画面PWの縦横のアスペクト比と一致させることもできるが、図2(C)に示すように、液晶デバイス11の表示エリアIAは、図2(A)に示す虚像の画面PWの縦横のアスペクト比と相違させること(例えば相対的に横長とすること)もできる。
入射部21は、パワー又は屈折力を有しない光学素子であり、平坦な平面である入射面ISと、同様に平坦な平面である反射面RSとを備える。入射面ISは、後述する第1面S1を延長した面となっている。反射面RSは、表面に金属膜等を形成した非透過性のミラーである。入射部21は、画像形成装置10から入射面ISを介して第1導光部材31に入射した映像光GLを、第1部分31a内に結合する役割を有する。
第1部分31aは、パワー又は屈折力を有しない平坦な平面である第1面S1と、第1面S1と平行に延びる平坦な平面である第2面S2とを有するとともに、映像光GLの伝搬角度を変更する角度変換部31dを有する。第1面S1及び第2面S2は、平面の表面を露出させた光学素子部分であり、所定以上の入射角を有する映像光GLを反射する全反射面である。つまり、第1部分31aにおいて、第1及び第2面S1,S2を含む四角角柱は、第1方向(具体的には−x方向)に延びる導波路状の部材であり、xz断面に関して映像光GLを全反射によって多重反射させつつ第1方向に映像光GLを伝搬させる。この際、映像光GLは、互いに平行な第1及び第2面S1,S2間で全反射されつつ伝搬されるので、角度情報が維持され、平行光線が平行光線のまま伝搬される。角度変換部31dは、半透過性を有する多数のミラー31fを互いに平行に配置した構造を有し、光線の向きを変更しつつ光線を分割する役割を有する。角度変換部31dを構成する多数のミラー31fは、映像光GLを第2部分32aに向けるようにそれぞれ傾斜している。つまり、各ミラー31fの法線は、y軸に対して直交し、x軸及びz軸に対して30°〜60°程度の所定の傾きを有する。角度変換部31dも、パワー又は屈折力を有しない光学素子となっている。角度変換部31dは、回折を実質的に生じさせないようになっている。なお、第2面S2の一部は、第1導光部材31又は第1部分31aを経た映像光GL、つまり角度変換部31dで進行方向が変更された映像光GLを、第2導光部材32又は第2部分32a側に射出する第1結合部C1となっている。
以上から明らかなように、第1導光部材31は、パワー又は屈折力を有しない光学素子のみで構成される。
なお、第1導光部材31を構成する角度変換部31dは、その他の入射部21等とは別に作製され、これらを接合によって一体化することができる。角度変換部31dは、例えば特開2013−210633号公報等に開示の方法によって作製される。第1導光部材31を構成する第1及び第2面S1,S2は、樹脂やガラスからなる本体を露出させたものに限らず、本体をハードコート層で被覆したものとできる。
第1導光部材31の第1結合部C1を通過して第2導光部材32に入射する映像光GLのうち、図1(B)に示す画像形成装置10の液晶デバイス11の表示エリアIA(図2(A)参照)の各点から射出された映像光GLは、平行光線の状態で第1導光部材31から射出される。この際、眼EYの並ぶ横方向又は装着時の水平方向に対応するxz面内において、第1結合部C1から射出される映像光GLの第1結合部C1又は第2面S2に対する角度θは、表示エリアIA上の横方向D1(図1(A)参照)を反映したものとなっている。つまり、表示エリアIA上の横方向D1の位置が眼EYの等価位置(つまり観察用の瞳(又はアイリング)HI)に入射する映像光GLの光軸AXに対するxz面内での入射角度φに対応したものとなっており、横方向に関して虚像に対応する映像光GLが射出される。具体的には、図1(B)に示す液晶デバイス11の中央からの映像光GL0は、第1導光部材31(最終的には第2導光部材32)から、角度θ0=0で光軸AXに平行な状態で射出される。また、液晶デバイス11の図面右寄り(+x寄り)の位置からの映像光GL1は、第1導光部材31から、光軸AXに対して角度θ1をなす状態で射出される。液晶デバイス11の図面左寄り(−x寄り)の位置からの映像光GL2は、第1導光部材31から、光軸AXに対して角度θ2をなす状態で射出される。この際、多数の半透過性のミラー31fによって角度関係が保持されたままで、第1方向(具体的には±x方向)の光線幅が広がる。つまり、第1導光部材31を経て実効的な射出瞳の幅(瞳サイズ)が広がり、第1方向である眼EYの並ぶ横方向に関して虚像が観察される。この際、第1結合部C1から瞳HIまでの距離LEは、映像光GLの第2導光部材32での標準的な導光距離又は光路長を考慮したものとなっている。つまり、横方向に関して十分な瞳サイズが確保されて映像光GLが効率良く眼EY又は観察用の瞳HIに取り込まれる。
なお、導光板41の第1面S21のうち上側の一部は、第1導光部材31の第1結合部C1から射出された映像光GLを第2導光部材32側に入射させる第2結合部C2となっている(図4(A)参照)。第1結合部C1と第2結合部C2とは完全に接しておらず、近接している。第1結合部C1の第2面S2と、第2結合部C2の第1面S21との間の隙間GAは、干渉縞を生じさせない程度、つまり1μm又は数μm程度以上確保することが望ましい。
なお、以上において、説明を簡単にするため、第1面S21又は第2結合部C2での光線の屈折を無視している。ただし、光線の屈折を考慮しても映像光GLの相対的な角度関係が維持される点については影響がない。
なお、第2ホログラム素子43は、第1ホログラム素子42と対称性を持たせたものとなっており、映像光GLが取り出される角度の波長依存性(色分散)を相殺する関係となっている。
図6(A)は、画像形成装置10のみによる虚像の形成を説明する図であり、テレセントリックな構成とした場合、投射レンズ12の後側焦点位置に射出瞳EPが存在する。この射出瞳EPのサイズは、投射レンズ12の直径程度以下であり、本来の射出瞳EPの後方に離れて眼EYを配置する場合、画面のケラレが多くなって画面の中心部しか観察されなくなる。なお、本来の射出瞳EPの位置に眼EYを配置すれば、上記のような問題は生じないが、投射レンズ12を眼EYに近づける配置となって、外界光OLの透視を可能にするめがね状の虚像表示装置100を構成することが困難になる。
図6(B)は、第1導光部材31の作用を概念的に説明する図であり、矢印BBで示す横の第1方向(具体的には±x方向)に画像形成装置10を多数配列したような効果を生じさせる。つまり、本来の射出瞳EPに対応する位置POにおける、光線束の幅が広がって、横の第1方向BBに関して合成した瞳(又はアイリング)HIのサイズ、すなわち実効的な射出瞳の幅(瞳サイズ)を広げることができる。この結果、本来の射出瞳EPの後方に離れて眼EYを配置する場合であっても、複数の画像形成装置10によって形成される虚像を繋ぎ合わせ或いは重畳さることができ、ケラレのない画面の観察が可能になる。なお、図6(B)では、3つの画像形成装置10を図示しているが、実際は多数の画像形成装置10が第1方向に重畳しつつ配列されるのと等価な光学系が実現される。
以上では、第1導光部材31による瞳サイズの実効的な拡大を説明したが、第2導光部材32によって、光学的原理が異なるものの、縦の第2方向(具体的には±y方向)に関しても瞳サイズの実効的な拡大が行われる。
図7は、第2導光部材32による瞳サイズの拡大を概念的に説明する図である。第2導光部材32では、第2ホログラム素子43の各所で画像光の一部を眼EY側に射出させつつ残りを導光板41で導光させる作用が生じ、縦方向の瞳サイズの拡大が達成される。具体的には、例えば導光板41で導光されて第2ホログラム素子43によって最初に回折された画像光GLaは、眼EYの位置よりも高い位置に設定された射出観察用の瞳(又はアイリング)HIaに入射する。また、導光板41で導光されて第2ホログラム素子43に当たって最初は回折されず導光板41の第1面S21で全反射されて再度第2ホログラム素子43に1度入射して回折された画像光GLaは、略眼EYの位置に設定された射出観察用の瞳(又はアイリング)HIbに入射する。また、導光板41で導光されて第2ホログラム素子43に2度入射するが回折されず導光板41の第1面S21で全反射されて再度第2ホログラム素子43に入射して回折された画像光GLcは、眼EYの位置よりも低い位置に設定された射出観察用の瞳(又はアイリング)HIcに入射する。つまり、縦方の第2方向CCに関して、瞳HIa〜HIcを合わせることによって実効的な瞳サイズの拡大が達成される。
図8(A)は、具体的な実施例について、第2導光部材32による縦方向の像形成に関して、緑色周辺での波長と回折効率との関係を示す。また、図8(B)は、比較例の像形成に関して、緑色周辺での波長と回折効率との関係を示す。各チャートにおいて、横軸は波長を示し、縦軸は回折効率を示す。ここで、導光装置20による投影画面は、縦:横=9:16であるとし、横が縦の1.8倍の長さを有するものとする。図8(A)の実施例の場合、第2導光部材32によって、比較的短い縦方向についてホログラム素子を用いて瞳サイズを拡大しつつ像を形成する場合を示し、図8(B)の比較例の場合、第2導光部材32と同様の部材によって、比較的長い横方向に対応するサイズで瞳サイズを拡大しつつ像を形成する場合を示している。各チャートにおいて、複数の特性曲線は、画面上の縦方向の複数点(両端を含む)における特性を示しており、特性曲線のピーク波長のバラツキ範囲が大きいほど、第2導光部材32による縦方向の像形成に関して、色表示が偏りやすいことを意味する。
図8(A)に示す像形成範囲が狭い実施例の場合、全体としてのピーク波長のバラツキ範囲が8nm程度と比較的小さくなっている。一方、図8(B)に示す像形成範囲が広い比較例の場合、全体としてのピーク波長のバラツキ範囲が20nmを超えて比較的大きくなっている。つまり、投影画面が横長である場合、第2導光部材32によって、第2方向である縦方向(画面が相対的に狭い方向)に関して回折を利用した虚像を形成する方が、第1方向である横方向に関して回折を利用した虚像を形成するよりも、色斑抑制の観点で好ましいことが分かる。
なお、図8(C)は、色度図である。図8(C)中に丸印で示した点は、図8(A)に示す実施例の場合に相当し、瞳サイズ拡大の方向に相対的に小サイズのホログラム素子による緑色のバラツキを示し、図8(C)中に四角印で示した点は、図8(B)に示す比較例の場合に相当し、瞳サイズ拡大の方向に相対的に大サイズのホログラム素子による緑色のバラツキを示す。図からも明らかなように、実施例の緑色のバラツキは、比較例の緑色のバラツキよりも大幅に少なくなっており、三角形によって示される色域の変化が少ないことが分かる。つまり、実施例の場合、投影画面における色斑防止のために色バランスを大きく調整する必要がなく、色の再現範囲も広く確保することができる。
以下、本発明の第2実施形態に係る導光装置を組み込んだ虚像表示装置について説明する。なお、第2実施形態に係る導光装置は、第1実施形態に係る導光装置を部分的に変更したものであり、共通部分については説明を省略する。
なお、以上では、第1ホログラム素子42と第2ホログラム素子43とがともに透過型であるとしたが、第1及び第2ホログラム素子42,43の一方のみを透過型としてもよい。
以下、本発明の第3実施形態に係る導光装置を組み込んだ虚像表示装置について説明する。なお、第3実施形態に係る導光装置は、第1実施形態に係る導光装置を部分的に変更したものであり、共通部分については説明を省略する。
本実施形態の場合、第1ホログラム素子42が反射型で導光板41の眼EY側に配置され、第2ホログラム素子43が反射型で導光板41の眼EYの反対側に配置される。
なお、以上では、第1ホログラム素子42と第2ホログラム素子43とがともに反射型であるとしたが、第1及び第2ホログラム素子42,43のいずれか一方又は双方を透過型としてもよい。
以下、本発明の第4実施形態に係る導光装置を組み込んだ虚像表示装置について説明する。なお、第4実施形態に係る導光装置は、第1実施形態に係る導光装置を部分的に変更したものであり、共通部分については説明を省略する。
以下、本発明の第5実施形態に係る導光装置を組み込んだ虚像表示装置について説明する。なお、第5実施形態に係る導光装置は、第1実施形態に係る導光装置を部分的に変更したものであり、共通部分については説明を省略する。
本実施形態の場合、画像形成装置10が非テレセントリックな構成となっており、第1導光部材31内の領域ARで一旦光線束が絞られたものとなっており、角度変換部131d付近で光線束が広がっている。これにより、画像形成装置10から角度変換部131dを離しつつ、角度変換部131dに至るまでの各光線の面S1,S2での反射回数を一致させることができ、画面の輝度の制御が容易になっている。
なお、微小ミラー131fは、表面に金属膜等を形成した非透過性のミラーであるが、半透過性のミラーとすることもできる。
以下、本発明の第6実施形態に係る導光装置を組み込んだ虚像表示装置について説明する。なお、第6実施形態に係る導光装置は、第1実施形態に係る導光装置を部分的に変更したものであり、共通部分については説明を省略する。
なお、本実施形態の導光装置20では、射出部23が±y方向である縦方向に長い縦長となっており、投影画面もy方向に縦長である。このため、ホログラム素子を組み込んだ第1導光部材131によって短辺側で虚像を形成することになるので、色斑の発生を抑えることができる。
以上各実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
Claims (14)
- 映像光を入射させる入射部と、
前記入射部を介して映像光を導く導光部と、
前記導光部からの映像光を眼の位置に射出する射出部とを備え、
前記導光部は、前記入射部側の第1部分と、前記射出部側の第2部分とを有し、
前記入射部及び前記第1部分によって、眼前を覆う所定面に沿った第1方向に関して瞳サイズを拡大し、前記第2部分及び前記射出部によって、前記所定面に沿って前記第1方向と交差する第2方向に関して回折光学素子によって瞳サイズを拡大し、
前記第1方向は、装着時の水平方向に対応し、前記第1部分は、眼の上方に配置され、前記第2部分は、眼の正面に配置される、導光装置。 - 前記入射部、前記導光部、及び前記射出部は、実効的なパワーがゼロの光学要素で構成される、請求項1に記載の導光装置。
- 前記入射部には、コリメートされた映像光を入射させる、請求項2に記載の導光装置。
- 前記入射部及び前記第1部分によって、前記第1方向に関して幾何光学的に瞳サイズを拡大し、前記第2部分及び前記射出部によって、前記第2方向に関して回折を利用して瞳サイズを拡大する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導光装置。
- 前記第1部分は、前記第1方向に延びる導波路状の部材であり、互いに平行で映像光を前記第2部分に向くように傾斜している複数のミラーを有する、請求項4に記載の導光装置。
- 前記第2部分及び前記射出部は、前記回折光学素子を複数組み込んだ導光部材である、請求項4または5に記載の導光装置。
- 前記導光部材は、導光板と、前記導光板の入射側に設けられて映像光を射出側に送り込む前記回折光学素子に相当する第1ホログラム素子と、前記導光板の射出側に設けられて映像光を眼側に送り出す前記回折光学素子に相当する第2ホログラム素子とを有する、請求項6に記載の導光装置。
- 前記第1部分は、前記第2部分に対して眼のある側に配置される、請求項2〜7のいずれか一項に記載の導光装置。
- 前記第1部分は、前記第2部分を挟んで眼の反対側に配置される、請求項2〜7のいずれか一項に記載の導光装置。
- 虚像の画面の前記第1方向に関するサイズは、前記第2方向に関するサイズよりも大きい、請求項1〜9のいずれか一項に記載の導光装置。
- 前記射出部の光学系は、射出側の光軸に対して略直交するように配置される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の導光装置。
- 前記射出部の光学系は、射出側の光軸に対して傾けて配置される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の導光装置。
- 前記回折光学素子は、反射型のホログラム素子又は透過型のホログラム素子である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の導光装置。
- 映像光を生じさせる映像素子と、映像光をコリメートする投射レンズと、請求項1〜13のいずれか一項に記載の導光装置とを備える虚像表示装置。
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