〔実施形態1〕
(ロボット1の構成)
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図2は、実施形態1に係るロボット1の構成を表す図である。
ロボット(自律走行体)1は、清掃、芝刈り又はその他の作業を行う機能を有し、さらに、左右独立した駆動輪により平面である床面を自律的に走行可能な装置である。本実施軽形態では、ロボット1は床面の清掃を行う自律走行体であるものとする。
ロボット1は、本体部2と、本体部2の進行方向前方側に配された作業ユニット3とを有する。図2に示す紙面上方向が、清掃のためにロボット1が進行する進行方向である。ロボット1は、作業をすべき作業領域が複数に分割されたサブエリアを、当該サブエリア毎に順次作業する。
本体部2は、バッテリー6と、2個のモータ4と、2個の駆動輪5と、入力部7と、演算部10とを備えている。また、図示しないが、本体部2は、ロボット1が自己の位置を検出するための位置検出センサを備える。ロボット1は、当該位置検出センサからの自己位置情報をもとに演算部10で演算することで自己位置を認識し、当該位置情報をもとに自律走行する。
作業ユニット3は、本実施形態では清掃を行う機能を有する。図示しないが、作業ユニット3は、床に落ちているゴミを吸引する吸引部や、モップ、洗浄液タンク及び廃液タンクを有するウェット洗浄部等を備える。なお、作業ユニット3が有する機能は清掃に限定されず、例えば、回転する刈刃を有することで芝を刈る芝刈り機能であってもよい。
2個のモータ4は、それぞれ、バッテリー6及び演算部10と接続されている。また、2個のモータ4のうち一方のモータ4は、2個の駆動輪5のうち一方の駆動輪5と接続されており、他方のモータ4は、他方の駆動輪5と接続されている。2個のモータ4は、それぞれに接続されている駆動輪5を回転させる。
2個の駆動輪5のうち一方の駆動輪5は本体部2の右側側面(図2の紙面右側)に配され、他方の駆動輪5は本体部2の左側側面(図2の紙面左側)に配されている。2個の駆動輪5はそれぞれ、自身に接続されているモータ4により回転する。2個の駆動輪5は、それぞれ、自身の回転数を検出するエンコーダ(不図示)を備える。
バッテリー6は、作業ユニット3、モータ4、演算部10、及びその他、本体部2が備える種々の部品と接続されている。バッテリー6はロボット1の動力源である。バッテリー6は、ロボット1が自律走行しつつ作業を行うために、各部に電力を供給する。なお、ロボット1は、バッテリー6の残量が少なくなっても充電ステーションには帰還せず、作業者がバッテリー6を交換することで作業を継続する。
入力部7は、作業者からの入力を受け付ける。入力部7は、作業者に、ロボット1が作業を行うべき作業領域を指定させる。入力部7は、作業者に指定された作業領域を示す作業領域情報を演算部10へ出力する。入力部7は、作業者に作業領域を指定させるための情報である作業地図情報を表示する表示部を備えていてもよい。
(演算部10の構成)
次に、図1、図3〜図5を用いて演算部10の構成について説明する。図1は、ロボット1の構成を表す機能ブロック図である。図3は演算部10の記憶部11に記憶されているサブエリア番号情報D2を表す図である。図4は演算部10の記憶部11に記憶されているサブエリア作業順情報D3を表す図である。図5は演算部10の記憶部11に記憶さている動作ログ情報D4を表し、(a)は作業すべき領域に含まれる何れのサブエリアの作業も終了していない場合を表し、(b)は第2のサブエリアの作業が終了した場合を表している。
演算部10は、記憶部11と、作業領域設定部12と、自己位置検出部13と、作業指示部14と、走行制御部15と、作業制御部16と、動作ログ情報生成部17と、バッテリー監視部18とを備えている。
記憶部11は、ロボット1の電源が遮断されても記憶内容を保持する記憶部である。記憶部11は、例えば、ROM、PROM、EPROM、フラッシュメモリ、ハードディスク等の不揮発性メモリである。
記憶部11には、作業地図情報D1、サブエリア番号情報D2、サブエリア作業順情報(作業順情報)D3、及び動作ログ情報D4が記憶されている。
作業地図情報D1は、ロボット1が清掃等の作業を行う領域を表す地図である作業地図30(図6参照)を作成するための地図を表す情報である。作業地図情報D1が示す地図の範囲のうち、実際にロボット1が作業を行う範囲は、作業者により指定される。
図3に示すように、サブエリア番号情報D2は、ロボット1が作業を行うべき領域である作業地図30(図6参照)が複数に分割された第1のサブエリア31、第2のサブエリア32及び第3のサブエリア33それぞれと、それぞれのサブエリアを特定するために、各サブエリアに割り当てられた番号との対応付けを表す情報である。一例として、図3では、第1のサブエリア31には番号「31」が対応付けられており、第2のサブエリア32には番号「32」が対応付けられており、第3のサブエリア33には番号「33」が対応付けられている。
図4に示すように、サブエリア作業順情報D3は、各サブエリアに割り当てられたサブエリア番号と、ロボット1の作業順との対応付けを表す情報である。一例として、図4では、作業順1にサブエリア番号「31」が対応づけられており、作業順2にサブエリア番号「32」が対応づけられており、作業順3にサブエリア番号「33」が対応づけられている。図4に示された作業順によると、ロボット1は、最初に第1のサブエリア31内で作業をし、次に、第2のサブエリア32へ移動して第2のサブエリア32内で作業をし、最後に、第3のサブエリア33へ移動し第3のサブエリア33内で作業をする。
図5に示すように、動作ログ情報D4は、ロボット1が作業を行うべき領域のうち、作業が終了したサブエリアのサブエリア番号を示す情報である。図5の(a)に示すように、第1のサブエリア31、第2のサブエリア32及び第3のサブエリア33の何れもロボット1の作業が終了していない場合は、作業が終了したサブエリアのサブエリア番号を空欄である動作ログ情報D4が記憶されている。そして、図5の(b)に示すように、第1のサブエリア31・第2のサブエリア32及び第3のサブエリア33のうち、ロボット1の作業が終了すると、動作ログ情報生成部17が、当該作業が終了したサブエリアの番号(例えば第2のサブエリア32)を示す動作ログ情報D4を生成して、記憶部11に記憶する。
図1に示すように、作業領域設定部12は、入力部7から、作業すべき領域を示す作業領域情報と、複数のサブエリアの位置や範囲を示すサブエリア情報とを取得し、それぞれ作業指示部14へ出力する。作業領域設定部12は、作業地図情報D1を、入力部7が備える表示部に表示させてから、作業者に作業領域を指定させることで入力された作業領域情報を、作業指示部14に出力してもよい。
自己位置検出部13は、図示しない位置検出センサからの出力や、駆動輪5のエンコーダからの駆動輪5の回転数を示す情報を取得し、ロボット1の自己の位置を示す自己位置情報を生成し、当該生成した自己位置情報を作業指示部14に出力する。自己位置情報は、作業地図情報D1が示す地図内におけるロボット1の位置(座標)を特定するための情報である。
作業指示部14は、作業領域設定部12から取得した作業領域情報と、記憶部11に記憶されている作業地図情報D1とから、ロボット1が作業をすべき領域を表す作業地図30(図6参照)を生成する。また、作業指示部14は、作業領域設定部12から取得したサブエリア情報から、作業地図30において、ロボット1が作業をすべき領域が複数に分割されたサブエリアである第1のサブエリア31、第2のサブエリア32及び第3のサブエリア33の範囲等を特定する。
作業指示部14は、記憶部11に記憶されているサブエリア番号情報D2及びサブエリア作業順情報D3を参照し、第1のサブエリア31・第2のサブエリア32・第3のサブエリア33の作業順を特定し、当該特定した作業に作業するように、走行制御部15に移動を指示したり、作業制御部16に作業ユニット3の動作を制御させたりする。
作業指示部14は、バッテリー監視部18から、バッテリー6の残量が少なくなった旨の情報を取得すると、ロボット1の電源を遮断する。
また、作業指示部14は、第1のサブエリア31、第2のサブエリア32及び第3のサブエリア33の作業が全て終了する前に、ロボット1の電源が再起動された場合、記憶部11に記憶された動作ログ情報D4を参照し、第1のサブエリア31、第2のサブエリア32及び第3のサブエリア33のうち、ロボット1の電源が遮断された時点で作業が既に終了していたサブエリアを特定する。
さらに、作業指示部14は、サブエリア番号情報D2及びサブエリア作業順情報D3を参照し、作業が既に終了していたサブエリアの次に作業をすべきサブエリアを特定する。そして、作業指示部14は、当該特定したサブエリア内の作業を行うために、走行制御部15及び作業制御部16に指示を出力する。これにより、ロボット1は、作業指示部14が特定した作業をすべきサブエリアから、作業を再開する。
走行制御部15は、作業指示部14からの指示によりモータ4の駆動を制御する。走行制御部15は、作業指示部14からの移動指示を取得すると、作業指示部14が指示する位置へロボット1が移動するようにモータ4の駆動を制御する。これにより、モータ4が駆動輪5を回転させ、ロボット1は、作業指示部14が指示する位置へ移動する。
作業制御部16は、作業指示部14からの指示により、作業ユニット3の動作を制御する。作業ユニット3の動作とは、例えば、モップの回転や、吸引等といった動作である。
動作ログ情報生成部17は、ロボット1が、各サブエリア内での作業が終了するたびに、順次、作業が終了したサブエリアを特定するための情報である。動作ログ情報生成部17は、上記作業が終了したサブエリアと対応付けられたサブエリア番号を、動作ログ情報D4として生成し、当該生成した動作ログ情報D4を記憶部11に記憶する。
バッテリー監視部18は、ロボット1が自律走行をしている際、常時、バッテリー6の残量を監視する。バッテリー6の残量が所定量を下回ると、バッテリー監視部18は、バッテリー6の残量が少なくなった旨の情報を作業指示部14へ出力する。これより、作業指示部14は、ロボット1の電源を遮断する。なお、作業指示部14は、動作ログ情報生成部17が動作ログ情報D4を記憶部11に記憶しているときに、バッテリー監視部18からバッテリー6の残量が少なくなった旨の情報を取得した場合、動作ログ情報D4の記憶部11への記憶が完了してから、ロボット1の電源を遮断する。
(通常に作業を終了する場合のロボット1の動作説明)
次に、主に図6を用いて、ロボット1の動作について説明する。まず、ロボット1が、清掃対象空間の作業中に電源が遮断されず、通常に作業を終了する場合のロボット1の動作について説明する。
図6は、ロボット1が作業をする作業地図30を表す図である。作業地図30は、ロボット1が清掃を行う清掃対象空間である、部屋を表している。
ロボット1の記憶部11には、予め、清掃範囲を表す作業地図情報D1が記憶されている。ロボット1は、その作業地図情報D1と、図示しない位置検出センサや駆動輪5のエンコーダから特定した自己位置を示す自己位置情報と、作業者により設定された作業領域を示す作業領域情報とから、作業をすべき範囲である地図を表す作業地図30を生成する。
作業地図30は、さらに、作業者により設定された、第1のサブエリア31、第2のサブエリア32、及び第3のサブエリア33に分割されている。
ロボット1の記憶部11には、各サブエリアを特定するための情報である各サブエリアそれぞれと対応づけられた番号が、サブエリア番号情報D2(図3参照)として記憶されている。このサブエリア番号情報D2は、各サブエリアの設定と合せて作業者により設定されてからロボット1が記憶部11に記憶してもよいし、記憶部11に予め記憶されていてもよい。
ロボット1の記憶部11には、各サブエリアの作業順を示す情報である、各サブエリアそれぞれと対応づけられた番号と作業順とが対応付けられたサブエリア作業順情報D3(図3参照)が記憶されている。このサブエリア作業順情報D3は、各サブエリアの設定と合せて作業者により設定されてからロボット1が記憶部11に記憶してもよいし、記憶部11に予め記憶されていてもよい。
第1のサブエリア31、第2のサブエリア32、及び第3のサブエリア33は、それぞれ、ロボット1の作業ユニット3で範囲内を塗りつぶすようにロボット1が移動することが必要である。ロボット1は、その条件を満たすように、各サブエリア毎に走行経路を算出し、その経路に沿って移動する。
ロボット1は、作業者により第1のサブエリア31が設定されると第1のサブエリア31内の作業開始位置S31と作業終了位置E31とを設定し、作業者により第2のサブエリア32が設定されると第2のサブエリア32内の作業開始位置S32と作業終了位置E32とを設定し、作業者により第3のサブエリア33が設定されると第3のサブエリア33内の作業開始位置S33と作業終了位置E33とを設定する。このうち、第1のサブエリア31の作業開始位置S31は、作業地図30が表す清掃対象空間全体の清掃開始位置でもあり、第3のサブエリア33の作業終了位置E33は作業地図30が表す清掃対象空間全体の清掃終了位置でもある。
そして、ロボット1は、自己位置9が、各サブエリア内を塗りつぶすように、各サブエリア毎に走行経路8を設定し、走行する。
ロボット1は、作業開始位置S31から第1のサブエリア31内の作業を開始すると、自身が設定した走行経路8に従って第1のサブエリア31内を走行し、第1のサブエリア31の作業終了位置E31に到達すると、作業が終了したサブエリア番号として、第1のサブエリア31と対応付けられた番号「31」を動作ログ情報D4として記憶部11に記憶する。
このときにロボット1が、作業が終了したサブエリア番号「31」を動作ログ情報D4として記憶する記憶部11は、ロボット1の電源が遮断されても記憶された情報が消去されない不揮発性の記憶部であるため、揮発性の記憶部と比べて情報の記憶速度が遅いものの、1つのサブエリアの作業を終了するまでにある程度の時間がかかるため、動作ログ情報D4を不揮発性の記憶部11に記憶する時間は十分にある。
また、動作ログ情報D4として記憶部11に記憶する情報は、サブエリアを特定するための番号だけであるため、比較的短時間で記憶部11に動作ログ情報D4を記憶することができる。このため、確実に、動作ログ情報生成部17は、動作ログ情報D4を確実に記憶部11に記憶することができる。
そして、作業終了位置E31に到達したロボット1は第1のサブエリア31内での作業を終了し、次に、矢印A1に示すように、第2のサブエリア32の作業開始位置S32へ移動する。
次に、ロボット1は、作業開始位置S32から第2のサブエリア32内の作業を開始すると、自身が設定した走行経路8に従って第2のサブエリア32内を走行し、第2のサブエリア32の作業終了位置E32に到達すると、作業が終了したサブエリア番号として、第2のサブエリア32と対応付けられた番号「32」を動作ログ情報D4として記憶部11に記憶する。
そして、作業終了位置E32に到達したロボット1は第2のサブエリア32内での作業を終了し、次に、矢印A2に示すように、第3のサブエリア33の作業開始位置S33へ移動する。
次に、ロボット1は、作業開始位置S33から第3のサブエリア33内の作業を開始すると、自身が設定した走行経路8に従って第3のサブエリア33内を走行し、第3のサブエリア33の作業終了位置E33に到達すると、作業が終了したサブエリア番号として、第3のサブエリア33と対応付けられた番号「33」を動作ログ情報D4として記憶部11に記憶する。または、清掃対象空間全ての作業が終了したため、ロボット1は作業終了位置E33に到達すると、作業が終了したサブエリア番号を空白にした動作ログ情報D4(図5の(a)参照)を記憶部11に記憶してもよい。
このように、ロボット1は、順次、清掃対象空間が複数に分割された各サブエリアを清掃していく。
(清掃対象空間の作業中に電源が再起動される場合のロボット1の動作説明)
次に、主に図6及び図7を用いて、清掃対象空間の作業中に電源が遮断された後、電源がオンされる場合のロボット1の動作について説明する。ここでは、一例として、第2のサブエリア32内でロボット1の電源が再起動される場合について説明する。図7は、ロボット1の処理の流れを表す図である。
作業指示部14は、記憶部11に記憶された作業地図情報D1と、図示しない位置検出センサや駆動輪5のエンコーダから自己位置検出部13が特定した自己位置を示す自己位置情報と、入力部7を通じて作業者により入力され作業領域設定部12が取得した作業領域情報とから、作業をすべき範囲である地図を表す作業地図30を生成する(ステップST1)。
また、作業指示部14は、記憶部11に記憶されたサブエリア番号情報D2及びサブエリア作業順情報D3を参照し、最初に作業をすべきサブエリアは第1のサブエリア31であることを特定する。
次に、作業指示部14は、走行制御部15に、第1のサブエリア31の作業開始位置S31へ移動するよう指示する。ロボット1が作業開始位置S31へ到達すると、ロボット1は第1のサブエリア31の作業を開始する(ステップS2)。すなわち、作業制御部16が作業ユニット3を動作させると共に、走行制御部15は走行経路8に沿ってロボット1を移動させる。
次に、ロボット1は走行経路8に沿って第1のサブエリア31内を走行することで、作業終了位置E31へ到達すると第1のサブエリア31の作業が終了する(ステップST3)。すなわち、自己位置検出部13からの自己位置情報に基づいて、作業指示部14が、自己位置9が作業終了位置E31へ到達したと判定すると、動作ログ情報生成部17は、作業が終了したサブエリア番号として、第1のサブエリア31と対応付けられた番号「31」を動作ログ情報D4として生成し、記憶部11に記憶する(ステップST4)。
そして、ロボット1は、次に作業をすべき第2のサブエリア32の作業開始位置S32へ移動し、到達すると走行経路8に沿って第2のサブエリア32の作業を開始する(ステップST5)。
次に、ロボット1が第2のサブエリア32を清掃中にバッテリー6の残量が少なくなると、バッテリー監視部18が、バッテリー6の残量が少なくなったことを検出し、作業指示部14へ、バッテリー6の残量が少なくなった旨の情報を出力する。
作業指示部14は、バッテリー6の残量が少なくなった旨の情報を取得すると、作業停止指示を走行制御部15及び作業制御部16へ出力する。走行制御部15は、作業指示部14から作業停止指示を取得するとモータ4の駆動を停止し、ロボット1は第2のサブエリア32内で停止する。また、作業制御部16は、作業指示部14から作業停止指示を取得すると、作業ユニット3の動作を停止する。そして、作業指示部14は、モータ4及び作業ユニット3の動作が停止した後、ロボット1の電源を遮断する(ステップST6)。
なお、ステップST6において、ロボット1の電源は、作業指示部14が遮断するのではなく、入力部7が、電源を遮断するようにメッセージを表示又は音声として出力するなどにより作業者へ電源の切断を促すことで、作業者が電源を遮断するようにしてもよい。
次に、作業者によりバッテリー6が交換又は充電される等により、電源を遮断した理由(不具合など)からの回復により、作業者がロボット1の電源をオンすることで、ロボット1を再起動する(ステップST7)。
再起動したロボット1は、電源を遮断したときに作業をしていたサブエリアから作業を開始する許可を問う表示を、例えば、入力部7が有する表示部等に表示する。そして、作業者が、電源を遮断したときに作業をしていたサブエリアから作業を開始することを選択すると、作業指示部14は、記憶部11に記憶された動作ログ情報D4を参照し、作業が終了したサブエリア番号が「31」であることを特定し、また、記憶部11に記憶されたサブエリア番号情報D2及びサブエリア作業順情報D3を参照し、サブエリア番号が「31」と対応付けられた第1のサブエリア31の次に作業をすべきサブエリアは、サブエリア番号「32」と対応付けられた第2のサブエリア32であると特定する。このように、作業指示部14は、作業を再開すべきサブエリアを特定する(ステップS8)。
そして、作業指示部14は、作業を再開すべきサブエリアを特定すると、走行制御部15に、第2のサブエリア32の作業開始位置S32へ移動するように指示する。走行制御部15がモータ4を制御しロボット1が作業開始位置S32へ到達すると、作業指示部14は作業制御部16へ作業開始指示を出力する。これにより、作業制御部16は作業ユニット3を動作させることで第2のサブエリア32の作業を開始する(ステップST9)。
次に、ロボット1は走行経路8に沿って第2のサブエリア32内を走行することで、作業終了位置E32へ到達すると第2のサブエリア32の作業が終了する(ステップST10)。すなわち、自己位置検出部13からの自己位置情報に基づいて、作業指示部14が、自己位置9が作業終了位置E32へ到達したと判定すると、動作ログ情報生成部17は、作業が終了したサブエリア番号として、第2のサブエリア32と対応付けられた番号「32」を動作ログ情報D4として生成し、記憶部11に記憶する(ステップST11)。
そして、ロボット1は、次に作業をすべき第3のサブエリア33の作業開始位置S33へ移動し、到達すると走行経路8に沿って第3のサブエリア33の作業を開始する(ステップST12)。
次に、ロボット1は走行経路8に沿って第3のサブエリア33内を走行することで、作業終了位置E33へ到達すると第3のサブエリア33の作業が終了する(ステップST13)。すなわち、自己位置検出部13からの自己位置情報に基づいて、作業指示部14が、自己位置9が作業終了位置E33へ到達したと判定すると、動作ログ情報生成部17は、作業が終了したサブエリア番号として、第3のサブエリア33と対応付けられた番号「33」を動作ログ情報D4として生成し、記憶部11に記憶する(ステップST14)。
(ロボット1による主な利点)
以上のように、ロボット1は、作業をすべき領域である作業地図30が複数に分割された第1のサブエリア31・第2のサブエリア・第3のサブエリア33毎に順次作業を行う自律走行体(ロボット1)である。そして、ロボット1の演算部10が有する不揮発性の記憶部11には、第1のサブエリア31・第2のサブエリア・第3のサブエリア33の作業順を示すサブエリア作業順情報D3が記憶されている。そして、動作ログ情報生成部17は、第1のサブエリア31・第2のサブエリア・第3のサブエリア33のうち、ロボット1による作業が終了したサブエリアを特定する情報である動作ログ情報D4を生成し、記憶部11に記憶する。
ここで、ロボット1は、バッテリー6からの電力により自律走行するため、作業者が作業を指示した作業地図30が示す領域の全ての作業が終了する前に、バッテリー6の残量が少なくなることで停止してしまうことがある。また、バッテリー6の残量が少なくなった場合だけでなく、外的要因を含む何らかの原因によるエラー事象により運転が停止してしまうことがある。
しかし、作業者が作業を指定した作業領域の途中で作業をやり残して放置してしまうことは、作業用のロボットの基本機能として問題である。このため、電源が遮断される前に、ロボットの状態を記憶させて電源が再びオンされた場所から作業を再開させたいが、ロボット1の電源が遮断されるタイミングは、ロボット側で検出できない場合がある。
そこで、本実施形態のロボット1によると、サブエリア作業順情報D3及び動作ログ情報D4が、不揮発性の記憶部11に記憶されているため、ロボット1の電源を再起動しても記憶内容が保持されている。これにより、作業地図30が示す領域の作業途中で、電源が再起動されても、再起動後、不揮発性の記憶部11に記憶されているサブエリア作業順情報D3及び動作ログ情報D4から、第1のサブエリア31・第2のサブエリア・第3のサブエリア33の作業中であったかどうか、また、第1のサブエリア31・第2のサブエリア・第3のサブエリア33の作業中であった場合、どのサブエリアまで作業が終わったかを、作業指示部14が判断することができる。このため、第1のサブエリア31・第2のサブエリア・第3のサブエリア33のうち、作業が終了していないサブエリアにおける作業開始位置から作業を開始することができる。
これにより、ロボット1は、作業地図30が示す領域の作業中に、バッテリー6の残量が少なくなった場合や、または何らかの外的要因を含むエラー事象の発生によりロボット1が予め検出できないタイミングで電源を遮断しても、作業者が指定した、作業地図30が示す領域の作業を、やり残すことなく最後まで完了させることができ、かつ、電源が遮断される前に既に作業が終了していたサブエリアの作業を再度行うことを防止することができる。このため、ロボット1は、作業地図30が示す領域の作業途中で電源が再起動されても、効率よく、確実に、作業すべき領域の作業を完了することができる。
また、ロボット1は、第1のサブエリア31・第2のサブエリア・第3のサブエリア33全ての作業が終了する前にロボット1の電源が遮断された後、ロボット1の電源がオンされると、サブエリア作業順情報D3及び動作ログ情報D4を参照し、作業が終了したサブエリアの次に作業を行うサブエリアを特定する作業指示部14を備える。
これにより、第1のサブエリア31・第2のサブエリア・第3のサブエリア33全ての作業が終了する前にロボット1の電源が遮断されたとしても、ロボット1は、作業指示部14により特定されたサブエリアから、作業を順次再開することで、効率よく、確実に、作業すべき領域の作業を完了することができる。
本実施形態では、特に、動作ログ情報生成部17は、動作ログ情報D4として、第1のサブエリア31・第2のサブエリア・第3のサブエリア33のそれぞれに割り当てられた番号を記憶部11に記憶する。このため、動作ログ情報生成部17が、動作ログ情報D4として記憶部11に記憶するのは番号であるため、情報量が少なく、動作ログ情報D4として記憶部11に記憶する情報を最小限に留めることができる。このため、動作ログ情報生成部17は、比較的短時間で動作ログ情報D4を記憶部11に記憶することができる。これにより、確実に、動作ログ情報D4を記憶部11に記憶することができる。
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、図8、図9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図8は、実施形態2に係る、ロボットシステム40の構成を表す機能ブロック図である。図9は、通信端末41の表示部42に表示された作業地図30を表す図である。
ロボットシステム(自律走行体システム)40は、ロボット(自律走行体)1Aと通信端末41とからなる。ロボットシステム40では、ロボット1Aに作業をさせる領域である作業地図30の設定や、各サブエリアの設定を、ロボット1Aとは別に設けた通信端末41を用いて行う。
図8に示すように、ロボット1Aは、図1に示したロボット1が備えていた入力部7及び演算部10に換えて、通信部19(送信部)及び演算部10Aを備える。演算部10Aは、演算部10が備えていた作業指示部14に換えて作業指示部14Aを備える。ロボット1Aの他の構成はロボット1と同様である。通信端末41は、表示部42と、入力部43と、通信部(受信部)44とを備えている。
通信端末41は、ロボット1の通信部19と無線通信可能な通信端末であり、例えばタブレット端末等である。表示部42は、作業者に知らせる種々の情報を表示する。入力部43は、作業者からの入力を受け付ける。通信部44は、入力部43から入力された情報をロボット1Aの通信部19へ送信したり、表示部42に表示すべき情報をロボット1Aの通信部19から受信したりする。なお、入力部43と表示部42とは、分離して配されている必要はなく、一体として配されたタッチパネルであってもよい。
本実施形態では、ロボット1Aが作業をすべき領域である作業地図30を生成するために、まず、作業指示部14Aは、記憶部11から作業地図情報D1を読み込み、当該作業地図情報D1を、通信部19・44を介して通信端末41へ送信する。通信端末41の表示部42は、通信部44が受信した作業地図情報D1が示す地図を表示し、作業者に、作業すべき領域設定及びとサブエリアの設定をさせる。これにより、作業者は、ロボット1Aに作業をさせる領域を、視覚的に認識し、設定することができる。
そして、入力部43は、作業者から入力された、作業すべき領域を示す作業領域情報と、複数のサブエリアの位置や範囲を示すサブエリア情報とを通信部44・19を通じてロボット1Aへ送信する。作業領域設定部12は、通信部19が受信した、作業領域情報とサブエリア情報とを作業指示部14Aへ出力する。
作業指示部14Aは、作業領域設定部12から取得した作業領域情報と、記憶部11に記憶されている作業地図情報D1と、図示しない位置検出センサや駆動輪5のエンコーダから自己位置検出部13が特定した自己位置を示す自己位置情報とから、ロボット1Aが作業をすべき領域を表す作業地図30(図9参照)を生成する。また、作業指示部14Aは、作業領域設定部12から取得したサブエリア情報から、作業地図30において、ロボット1Aが作業をすべき領域が複数に分割されたサブエリアである第1のサブエリア31、第2のサブエリア32及び第3のサブエリア33の範囲等を特定する。作業指示部14Aは、第1のサブエリア31・第2のサブエリア32・第3のサブエリア33が特定された作業地図30を示す情報を、通信部19・44を通じて通信端末41へ送信する。
そして、図9に示すように、通信端末41側の表示部42は、通信部44が受信した作業地図30を示す情報から、作業地図30を表示する。これにより、表示部42には、ロボット1Aが認識した作業領域を示す作業地図30が表示される。
このように、ロボットシステム40によると、作業者は、ロボット1Aから離れて通信端末41により、ロボット1Aの位置等を把握することができるため、利便性が高い。
さらに、図9に示すように、本実施形態では、作業地図30で示す領域の作業が完了する前に、ロボット1Aの電源の再起動がなされると、表示部42は、作業を再開すべきサブエリア(例えば、第2のサブエリア32)を、他のサブエリア(例えば、第1のサブエリア31・第3のサブエリア33)よりも、強調して表示する。
これにより、表示部42は、作業を再開すべきサブエリア(例えば、第2のサブエリア32)を、他のサブエリア(例えば、第1のサブエリア31・第3のサブエリア33)より強調して表示するため、作業者に、作業を再開すべきサブエリア(例えば、第2のサブエリア32)を視覚的に容易に把握可能に提示することができる。
本実施形態に係るロボットシステム40は、作業地図30を通信端末41の表示部42に表示するため、作業を再開すべきサブエリア(例えば、第2のサブエリア32)が強調して表示された当該作業地図30を、作業者に、ロボット1Aの作業再開を促す画面として用いることもできる。作業者は、何れのサブエリアから自律走行体の作業を再開させるべきかの把握が容易であるため、利便性が高いロボットシステム40を提供することができる。
ロボット1Aと通信端末41とは、通信部19及び通信端末41間において、所定の時間間隔で定期的に通信を行っているため、ロボット1Aの電源が遮断された場合、当該電源が遮断されたことを通信端末41側でも把握することができる。
第1のサブエリア31〜第3のサブエリア33のうち、例えば、途中の第2のサブエリア32の作業中にロボット1Aの電源が遮断されたとすると、ロボット1Aの通信部19と通信端末41の通信部44との間での通信が途絶えるため、通信端末41は、ロボット1Aが第2のサブエリア32の作業中に電源が遮断されたことを把握し、表示部42は当該電源が遮断された旨の情報を表示する。
次に、ロボット1Aは、電源が再起動されると、作業指示部14Aは、記憶部11を参照し、サブエリア作業順情報D3と動作ログ情報D4とから、作業が終了した第1のサブエリア31の次に作業を行うサブエリアとして第2のサブエリア32を特定する。そして、通信部19は、作業指示部14Aにより、作業を行うべきとして特定されたサブエリアを示す情報を通信部44に送信する。すると、表示部42は、表示している作業地図30のうち、上記特定されたサブエリアを示す情報に示された第2のサブエリア32を、他の第1のサブエリア31・第3のサブエリア33よりも強調して作業地図30を表示する。
第1のサブエリア31〜第3のサブエリア33の作業中にロボット1Aの電源が遮断された後、再起動した場合、ロボット1Aが再起動した旨の情報や、通常の状態(ロボット1Aが認識して遮断した状態)により電源が遮断されたのか、ロボット1Aが意図せず電源が遮断されたのかを、通信端末41側で認識する方法として、以下の2種類の方法を取りえる。
(1)第1の方法として、ロボット1Aの電源が遮断されると、当該電源が遮断されたことを通信端末41側でも把握する。その後、ロボット1Aが再起動したとき、ロボット1Aの通信部19から、通信端末41の通信部44へ、電源の遮断が通常の状態であったか、ロボット1Aが意図せず電源が遮断されたのかを示す電源遮断情報を送信する。通信端末41側は、通信部44が受信した電源遮断情報から、ロボット1Aが再起動したこと、及び、電源の遮断が通常の状態であったか、ロボット1Aが意図せず電源が遮断されたのかを把握することができる。
(2)第2の方法として、ロボット1Aの電源を遮断する場合、通常の状態であれば、ロボット1Aの通信部19から通信端末41の通信部44へ、ロボットの電源が遮断される旨の情報を送信し、その後に、ロボット1Aの通信部19と通信端末41の通信部44との通信が途絶える。通信端末41は、通信部44が受信したロボットの電源が遮断される旨の情報を受信した後、ロボット1Aの通信部19からの通信が途絶えた場合、通常の状態によりロボット1Aの電源が遮断されたと判断する。
一方、通信端末41の通信部44が、ロボット1Aの通信部19から、ロボットの電源が遮断される旨の情報を受信せず、ロボット1Aの通信部19との通信が途絶えた場合、通信端末41は、ロボットの電源が遮断される旨の情報を受信せず、ロボット1Aの電源が遮断された旨を認識する。この後、ロボット1Aが再起動し、ロボット1Aの通信部19は、通信端末41の通信部44へ、ロボット1Aが意図せず電源が遮断後復帰した旨の情報を送信する。これにより、通信端末41はロボット1Aが電源遮断から再起動したことを認識する。
なお、通信端末41の通信部44が、ロボット1Aの通信部19から、ロボットの電源が遮断される旨の情報を受信したにも関わらず、ロボット1Aが再起動した後、何らかの理由により、ロボット1Aの通信部19が、通信端末41の通信部44へ、ロボット1Aが意図せず電源が遮断後復帰した旨の情報を送信する場合がある。あるいは、逆に、通信端末41の通信部44が、ロボット1Aの通信部19から、ロボットの電源が遮断される旨の情報を受信せずロボット1Aの通信部19との通信が遮断され、ロボット1Aが再起動した後、ロボット1Aの通信部19から、通常の状態による再起動をした旨の情報を取得する場合がある。
この場合、ロボット1Aが再起動したときに、ロボット1Aの通信部19から通信端末41の通信部44へ送信される情報が示す通知内容を優先して、通信端末41は、ロボット1Aの電源の遮断が通常の状態であったか、ロボット1Aが意図せず電源が遮断されたのかを把握する。
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について、図10、図11に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図10は、実施形態3に係るロボット(自律走行体)1Bの構成を表す機能ブロック図である。ロボット1Bは、ロボット1(図1参照)が有していた演算部10に換えて、演算部10Bを有する点でロボット1と相違する。ロボット1Bの他の構成は、ロボット1と同様である。演算部10Bは、演算部10(図1参照)が有していた作業指示部14に換えて、作業指示部14Bを備えている点で、演算部10と相違する。演算部10Bの他の構成は演算部10と同様である。
作業指示部(作業指示部、経路生成部)14Bは、第1のサブエリア31・第2のサブエリア・第3のサブエリア33全ての作業が終了する前にロボット1Bの電源が遮断された後、ロボット1Bの電源がオンされると、記憶部11に記憶されたサブエリア作業順情報D3及び動作ログ情報D4を参照し、作業が終了したサブエリア(例えば、第1のサブエリア31)の次に作業を行うサブエリア(例えば第2のサブエリア32)を特定する。
図11に示すように、さらに、作業指示部14Bは、ロボット1Bの電源が再起動されたとき、自己位置検出部13が検出した自己位置9Bが、作業指示部14Bにより特定された、次に作業を行うサブエリア(例えば、第2のサブエリア32)の領域外であったとき、自己位置検出部13が検出した自己位置9Bから、作業指示部14Bにより特定されたサブエリア(例えば、第2のサブエリア32)内の作業開始位置(例えば、作業開始位置S32)までの走行経路(移動経路)8Bを生成する。そして、ロボット1Bは、走行経路8Bに沿って作業指示部14Bにより特定されたサブエリア(例えば、第2のサブエリア32)内の作業開始位置(例えば、作業開始位置S32)まで移動してから、作業指示部14Bにより特定されたサブエリア(例えば、第2のサブエリア32)内の作業を開始する。
これにより、例えば、ロボット1Bの電源が遮断された後、バッテリー6を交換するために、一旦、電源が遮断される直前にロボット1Bが作業をしていたサブエリア(例えば、第2のサブエリア32)外へロボット1Bを、作業者等が移動させた後、ロボット1Bの電源をオンしたとしても、作業指示部14Bは、自己位置検出部13が検出した自己位置9Bから、作業指示部14Bにより特定されたサブエリア(例えば、第2のサブエリア32)内の作業開始位置(例えば、作業開始位置S32)までの走行経路8Bを生成する。そして、ロボット1Bは、走行経路8Bに沿って作業指示部14Bにより特定されたサブエリア(例えば、第2のサブエリア32)内の作業開始位置(例えば、作業開始位置S32)まで移動してから、作業指示部14Bにより特定されたサブエリア(例えば、第2のサブエリア32)内の作業を開始する。
このため、ロボット1Bは、作業指示部14Bにより特定された、作業を開始すべきサブエリアから作業を再開することができる。
〔実施形態4〕
本発明の実施形態4について、図12〜図16に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、実施形態1〜3にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図12は、実施形態4に係るロボットシステム(自律走行体システム)40Cの構成を表す機能ブロック図である。ロボットシステム40Cは、ロボットシステム40(図8参照)のロボット1Aに換えてロボット(自律走行体)1Cを備える。ロボット1Cは、ロボット1Aの演算部10Aに換えて演算部10Cを備える。演算部10Cは、演算部10Aの作業指示部14A及び記憶部11に換えて、作業指示部(領域分割部)14C及び記憶部11Cを備える。演算部10Cの他の構成は、演算部10Aと同様である。本実施形態では、第1のサブエリア31〜第3のサブエリア33のそれぞれを、さらに複数の領域に分割する。
記憶部11Cは、記憶部11と同様に、不揮発性の記憶部である。記憶部11Cには、作業地図情報D1、サブエリア番号情報D2、サブエリア作業順情報D3に加え、動作ログ情報D4C、サブエリア領域番号情報D5及び領域作業順情報D6が記憶されている。
図13に示すように、サブエリア領域番号情報D5は、第1のサブエリア31がさらに複数の領域に分割された第1の領域31a・第2の領域31b・第3の領域31c、第2のサブエリア32がさらに複数の領域に分割された第1の領域32a・第2の領域32b・第3の領域32c、第3のサブエリア33がさらに複数の領域に分割された第1の領域33a・第2の領域33b・第3の領域33cそれぞれと、それぞれの領域を特定するために各領域に割り当てられた番号との対応付けを表す情報である。一例として、図13では、第1のサブエリア31の第1の領域31aに番号「31a」が対応付けられており、第1のサブエリア31の第2の領域31bに番号「31b」が対応付けられており、第1のサブエリア31の第3の領域31cに番号「31c」が対応付けられている。さらに、第2のサブエリア32の第1の領域32aに番号「32a」が対応付けられており、第2のサブエリア32の第2の領域32bに番号「32b」が対応付けられており、第2のサブエリア32の第3の領域32cに番号「32c」が対応付けられている。さらに、第3のサブエリア33の第1の領域33aに番号「33a」が対応付けられており、第3のサブエリア33の第2の領域33bに番号「33b」が対応付けられており、第3のサブエリア33の第3の領域33cに番号「33c」が対応付けられている。
図14に示すように、領域作業順情報D6は、各領域に割り当てられたサブエリア領域番号と、ロボット1Cの作業順との対応付けを表す情報である。一例として、図14では、作業順1にサブエリア領域番号「31a」が対応づけられており、作業順2にサブエリア領域番号「31b」が対応づけられており、作業順3にサブエリア領域番号「31c」が対応づけられており、作業順4にサブエリア領域番号「32a」が対応づけられており、作業順5にサブエリア領域番号「32b」が対応づけられており、作業順6にサブエリア領域番号「32c」が対応づけられており、作業順7にサブエリア領域番号「33a」が対応づけられており、作業順8にサブエリア領域番号「33b」が対応づけられており、作業順9にサブエリア領域番号「33c」が対応づけられている。
図15に示すように、動作ログ情報D4Cには、ロボット1Cが作業を行うべき領域のうち、作業が終了した領域のサブエリア領域番号を示す情報である。図15の(a)に示すように、第1のサブエリア31の第1の領域31a〜第3のサブエリア33の第3の領域33cの何れもロボット1Cの作業が終了していない場合は、作業が終了したサブエリア領域のサブエリア領域番号を空欄である動作ログ情報D4が記憶されている。そして、図15の(b)に示すように、第1のサブエリア31の第1の領域31a〜第3のサブエリア33ののうち、ロボット1Cの作業が終了すると、動作ログ情報生成部17が、当該作業が終了したサブエリア領域番号(例えば第2のサブエリア32の第2の領域32b)を示す動作ログ情報D4Cを生成して、記憶部11Cに記憶する。
ロボット1Cが作業をすべき領域である作業地図30C(図16参照)を生成するために、まず、作業指示部14Cは、記憶部11Cから作業地図情報D1を読み込み、当該作業地図情報D1を、通信部19・44を介して通信端末41へ送信する。通信端末41の表示部42は、通信部44が受信した作業地図情報D1が示す地図を表示し、作業者に、作業すべき領域設定及びとサブエリアの設定をさせる。これにより、作業者は、ロボット1Cに作業をさせる領域を、視覚的に認識し、設定することができる。
そして、入力部43は、作業者から入力された、作業すべき領域を示す作業領域情報と、複数のサブエリアの位置や範囲を示すサブエリア情報とを通信部44・19を通じてロボット1Cへ送信する。作業領域設定部12は、通信部19が受信した、作業領域情報とサブエリア情報とを作業指示部14Cへ出力する。
作業指示部14Cは、作業領域設定部12から取得した作業領域情報と、記憶部11Cに記憶されている作業地図情報D1と、図示しない位置検出センサや駆動輪5のエンコーダから自己位置検出部13が特定した自己位置を示す自己位置情報とから、ロボット1Cが作業をすべき領域を表す作業地図30C(図16参照)を生成する。また、作業指示部14Cは、作業領域設定部12から取得したサブエリア情報から、作業地図30Cにおいて、ロボット1Aが作業をすべき領域が複数に分割されたサブエリアである第1のサブエリア31、第2のサブエリア32及び第3のサブエリア33の範囲等を特定すると共に、さらに、記憶部11Cに記憶されたサブエリア領域番号情報D5及び領域作業順情報D6を参照し、第1のサブエリア31、第2のサブエリア32及び第3のサブエリア33それぞれを複数の領域に分割した、第1のサブエリア31の第1の領域31a・第2の領域31b・第3の領域31c、第2のサブエリア32の第1の領域32a・第2の領域32b・第3の領域32c、第3のサブエリア33の第1の領域33a・第2の領域33b・第3の領域33cを特定する。作業指示部14Cは、第1のサブエリア31の第1の領域31a・第2の領域31b・第3の領域31c、第2のサブエリア32の第1の領域32a・第2の領域32b・第3の領域32c、第3のサブエリア33の第1の領域33a・第2の領域33b・第3の領域33cが特定された作業地図30Cを示す情報を、通信部19・44を通じて通信端末41へ送信する。
そして、図16に示すように、通信端末41側の表示部42は、通信部44が受信した作業地図30Cを示す情報から、作業地図30Cを表示する。これにより、表示部42には、ロボット1Cが認識した作業領域を示す作業地図30Cが表示される。このように、ロボット1C側で分割した第1の領域31a〜第3の領域33cの分割数や分割内容は表示部42に表示されることで作業者に確認をさせる。
ロボット1Cが作業をすべき第1のサブエリア31〜第3のサブエリア33は作業者によって作業領域を設定される。本実施形態では、さらに、ロボット1Cの作業指示部14Cにより、各サブエリアを自動的に分割する。これにより、ロボット1Cは、電源遮断により動作が停止し、作業を再開する際に、作業を2回、重複して行う領域を減らすことができるため、より効率的に作業を行うことができる。
さらに、ロボット1Cの作業指示部14Cが自動的に行うサブエリアの分割を、作業地図30Cとして表示部42に表示し、作業者による確認を促すことで、より安全に、ロボット1Cは動作を行うことができる。
〔ソフトウェアによる実現例〕
ロボット1・1A〜1Cの制御ブロック(特に作業指示部14・14A〜14Cおよび動作ログ情報生成部17)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、ロボット1・1A〜1Cは、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る自律走行体(ロボット1)は、作業をすべき領域(作業地図30)が複数に分割された複数のサブエリア(第1のサブエリア31・第2のサブエリア・第3のサブエリア33)毎に順次作業を行う自律走行体(ロボット1)であって、上記複数のサブエリア(第1のサブエリア31・第2のサブエリア・第3のサブエリア33)の作業順を示す作業順情報(サブエリア作業順情報D3)が記憶された不揮発性の記憶部11と、上記複数のサブエリア(第1のサブエリア31・第2のサブエリア・第3のサブエリア33)のうち、上記自律走行体(ロボット1)による作業が終了したサブエリアを特定する情報である動作ログ情報D4を生成し、上記記憶部11に記憶する動作ログ情報生成部17とを備える。
上記構成によると、上記作業順情報及び上記動作ログ情報は、不揮発性の記憶部に記憶されているため、上記自律走行体の電源を再起動しても記憶内容が保持されている。これにより、作業すべき領域の作業途中で、電源が再起動されても、再起動後、不揮発性の記憶部に記憶されている上記作業順情報及び上記動作ログ情報から、作業をすべき領域が複数に分割された上記複数のサブエリアの作業中であったかどうか、また、上記複数のサブエリアの作業中であった場合、どのサブエリアまで作業が終わったかを、自律走行体が判断することができる。このため、上記複数のサブエリアのうち、作業が終了していないサブエリアにおける作業開始位置から作業を開始することができる。
これにより、上記自律走行体は、作業すべき領域の作業中に、バッテリーの残量が少なくなった場合や、または何らかの外的要因を含むエラー事象の発生により自律走行体が予め検出できないタイミングで電源を遮断しても、作業者が指定した作業すべき領域の作業を、やり残すことなく最後まで完了させることができ、かつ、電源が遮断される前に既に作業が終了していたサブエリアの作業を再度行うことを防止することができる。このため、上記自律走行体は、作業すべき領域の作業途中で電源が再起動されても、効率よく、確実に、作業すべき領域の作業を完了することができる。
本発明の態様2に係る自律走行体(ロボット1)は、上記態様1において、上記複数のサブエリア(第1のサブエリア31・第2のサブエリア・第3のサブエリア33)全ての作業が終了する前に上記自律走行体(ロボット1)の電源が遮断された後、当該自律走行体(ロボット1)の電源がオンされると、上記作業順情報(サブエリア作業順情報D3)及び上記動作ログ情報D4を参照し、作業が終了したサブエリアの次に作業を行うサブエリアを特定する作業指示部14・14A〜14Cを備えることが好ましい。
上記構成によると、上記複数のサブエリア全ての作業が終了する前に上記自律走行体の電源が遮断されたとしても、上記自律走行体は、上記作業指示部により特定されたサブエリアから、作業を順次再開することで、効率よく、確実に、作業すべき領域の作業を完了することができる。
本発明の態様3に係る自律走行体(ロボット1)は、上記態様2において、上記動作ログ情報生成部17は、上記動作ログ情報D4として、上記複数のサブエリアのそれぞれに割り当てられた番号を上記記憶部11に記憶することが好ましい。上記構成によると、上記動作ログ情報生成部が、上記動作ログ情報として記憶部に記憶するのは番号であるため、情報量が少なく最小限に留めることができる。このため、上記動作ログ情報生成部は、比較的短時間で上記動作ログ情報を上記記憶部に記憶することができる。これにより、確実に、上記動作ログ情報を記憶部に記憶することができる。
本発明の態様4に係る自律走行体(ロボット1B)は、上記態様2において、上記自律走行体(ロボット1B)の自己の位置を検出する自己位置検出部13と、上記自律走行体(ロボット1B)の電源がオンされた後、上記自己位置検出部13が検出した自己の位置(自己位置9B)が、上記作業指示部14Bにより特定されたサブエリア外であったとき、上記自己位置検出部13が検出した自己の位置(自己位置9B)から、上記作業指示部14Bにより特定されたサブエリア内の作業開始位置までの走行経路8Bを生成する経路生成部(作業指示部14B)とを備えることが好ましい。
これにより、例えば、電源が遮断された後、バッテリーを交換するために、一旦、電源が遮断される直前に自律走行体が作業をしていたサブエリア外へ自律走行体を移動させた後、自律走行体の電源をオンしたとしても、上記経路生成部は、上記自己位置検出部が検出した自己の位置から、上記作業指示部により特定されたサブエリア内の作業開始位置までの移動経路を生成する。このため、上記自律走行体は、上記作業指示部により特定された、作業を開始すべきサブエリアから作業を再開することができる。
本発明の態様5に係る自律走行体システム(ロボットシステム40)は、上記態様2〜4において、上記自律走行体(ロボット1A)と、上記自律走行体(ロボット1A)と通信可能な通信端末41とを備え、上記作業指示部14Aは、上記複数のサブエリア(第1のサブエリア31・第2のサブエリア・第3のサブエリア33)を表す作業地図30を生成し、上記自律走行体(ロボット1A)は、上記作業地図30を示す情報を上記通信端末41に送信する送信部(通信部19)を有し、上記通信端末41は、上記送信部(通信部19)から送信された上記作業地図30を示す情報を受信する受信部(通信部44)と、当該受信部(通信部44)が受信した上記作業地図30を示す情報から上記作業地図30を表示する表示部42とを有することが好ましい。
これによると、作業者は、自律走行体から離れて通信端末により、自律走行体の位置等を把握することができるため、利便性が高い。
本発明の態様6に係る自律走行体システム(ロボットシステム40)は、上記態様5において、上記送信部(通信部19)は、上記作業指示部14Aにより特定されたサブエリアを示す情報を上記受信部(通信部44)に送信し、上記表示部42は、上記受信部(通信部44)が受信した上記作業地図30を示す情報と、上記特定されたサブエリアを示す情報とから、上記特定されたサブエリアを強調して上記作業地図30を表示することが好ましい。
上記構成によると、表示部は、作業を再開すべきサブエリアを、他のサブエリアより強調して表示するため、作業者に、作業を再開すべきサブエリアを視覚的に容易に把握可能に提示することができる。この作業を再開すべきサブエリアが強調して表示された作業地図30を、作業者に、自律走行体の作業再開を促す画面として用いる場合、作業者は、何れのサブエリアから自律走行体の作業を再開させるべきかの把握が容易である。
本発明の態様7に係る自律走行体システム(ロボットシステム40C)は、上記態様5において、上記自律走行体(ロボット1C)は、上記複数のサブエリア(第1のサブエリア31・第2のサブエリア・第3のサブエリア33)のそれぞれを複数の領域(第1の領域31a・32a・33a〜第3の領域31C・32c・33c)に分割する領域分割部(作業指示部14C)を備え、上記作業指示部14Cは、上記領域分割部(作業指示部14C)により複数に分割されたサブエリア(第1のサブエリア31・第2のサブエリア・第3のサブエリア33)のそれぞれを表す作業地図30Cを生成することが好ましい。これにより、電源を遮断する前に作業をしていたサブエリアの領域のうち、上記自律走行体が再起動した後、重複して作業を行う領域を減らすことができるため、自律走行体は、さらに、効率よく、再起動後の作業を行うことができる。
本発明の態様8に係る自律走行体(ロボット1)の駆動方法は、不揮発性の記憶部11を備え、作業をすべき領域が複数に分割された複数のサブエリア(第1のサブエリア31・第2のサブエリア・第3のサブエリア33)毎に順次作業を行う自律走行体(ロボット1)の駆動方法であって、上記複数のサブエリア(第1のサブエリア31・第2のサブエリア・第3のサブエリア33)の作業順を示す作業順情報(サブエリア作業順情報D3)を上記不揮発性の記憶部11に記憶するステップと、上記複数のサブエリア(第1のサブエリア31・第2のサブエリア・第3のサブエリア33)のうち、上記自律走行体(ロボット1)による作業が終了したサブエリアを特定する情報である動作ログ情報D4を生成し、上記記憶部11に記憶するステップとを含む。
上記構成によると、上記自律走行体が、作業すべき領域の作業途中で電源が再起動されても、効率よく、確実に、作業すべき領域の作業を完了することができる。
本発明の各態様に係る自律走行体(ロボット1)は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記自律走行体(ロボット1)が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記自律走行体(ロボット1)をコンピュータにて実現させる上記自律走行体(ロボット1)の駆動プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。