JP6562684B2 - 中間転写体、画像記録方法、及び画像記録装置 - Google Patents

中間転写体、画像記録方法、及び画像記録装置 Download PDF

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Description

本発明は、中間転写体、画像記録方法、及び画像記録装置に関する。
近年、情報の多様化とともに印刷物の多品種小ロット化が進んでいる。そのような市場の要求に応える上で、インクジェット印刷方式が好適な技術として注目されている。しかし、インクジェット印刷方式では、ある特有の画像品位低下が発生する場合がある。この画像品位低下の原因となる現象として具体的に、2つの現象を挙げることができる。
1つ目は、ブリーディングと呼ばれる現象である。ブリーディングとは、表面平滑性の高い印刷用紙に直接、インクジェットデバイスを用いてインクを付与した場合に、インクが紙に吸収しきれずに表面に残り、隣接して付与されたインク滴同士が混ざりあう現象である。
また、2つ目はビーディングと呼ばれる現象である。ビーディングとは、先に着弾したインク滴が後に着弾したインク滴に引き寄せられることにより、画像形成品位の低下や、乾燥不良を引き起こす現象である。
さらに、上記の現象以外にも、記録媒体がインク中の液体分を過剰に吸収することによるカール、コックリングといった画像品位低下の原因となる現象が発生する場合もある。
そこで、このような画像品位低下を低減するために、下記工程(1)〜(3)を有する、中間転写方式の画像記録方法が提案されている。
(1)反応液付与工程:中間転写体上に、インク中の色材成分と接触して高粘度化させる反応液を付与する。
(2)中間画像形成工程:反応液が付与された中間転写体上に、インクジェットデバイスを用いて色材成分を含有するインクを付与する。これにより、中間画像を形成する。
(3)転写工程:中間画像が形成された中間転写体を、記録媒体に圧着して、中間画像を記録媒体へ転写する。
前述の画像記録方法に用いる画像記録装置は、中間画像を担持する中間転写体を具備している。
また、特許文献1には、従来の中間転写方式の画像記録方法に供される中間転写体が開示されている。この中間転写体は、金属製ドラムからなる支持体上にゴム層と、ゴム層の上に表層部材を有する。表層部材の材料としては、ポリウレタン、フッ素化弾性体、及びフッ素化ゴムやシリコーンゴムから選択された材料が提案されている。表層部材の材料としては、ゾルゲル、セラメール、及びポリウレタンから選択された材料が提案されている。特許文献2には、反応液の単位面積当たりの付与量を、インクの単位面積当たりの付与量以上にすることで、反応液が乾燥して引けが生じた場合でも良好な画像品質が得られることが提案されている。また、特許文献3には、中間転写体の表面をRa=0.2μm〜2.5μmの表面粗さとすることで画像品質向上と転写性を向上できることが提案されている。特許文献4には、中間転写体の表面に凹凸を設けること、特許文献5には、中間転写体の表面に高さが5μm以上の突起を設けることがそれぞれ記載されている。
特開2003−182064号公報 特開2007−268802号公報 特開2002−370442号公報 特開2000−280460号公報 特開2001−277715号公報
上記の画像記録方法では、中間転写体上に、インク中の色材成分と接触して高粘度化した中間画像を形成する液体(反応液)を塗布する。ここで、商業印刷分野においては、画像の再現性が重要な要素となる。本発明者が検討した結果、反応液の塗布状態が画像の再現性に影響する場合があることが分かった。
これに対して、特許文献1では、反応液の塗布状態を安定させるために必要な中間転写体の構成については、何ら具体的に検討されていない。例えば、中間転写体として例示されている材料の中で、特にフッ素化ゴムのような低表面エネルギー材料を用いた場合、反応液は中間転写体の表面から弾かれてしまう。この結果、中間転写体上に、安定的に反応液が存在することは困難となる。また、中間転写体からの反応液の弾き方を制御することも難しいため、画像の再現性に劣るものとなる。
特許文献2では、中間転写体としてシリコーンゴム、反応液として表面張力28.0mN/m、低pHの液体を使用し、接触角が62°となる構成が提案されている。しかし、本発明者らが確認した結果、特許文献2の構成では未だ中間転写体上での反応液の濡れ性が不十分であり、中間転写体上で反応液の塗布状態を安定的に形成することは難しいことが分かった。
特許文献3においても同様に、画像品質の向上のために重要と考えられる反応液の塗布状態の安定化技術に関しては何ら具体的に検討されていなかった。
そこで、画像の再現性を向上させる方法として、中間転写体の表面を粗くし反応液の担持性を向上させて、反応液の塗布状態を安定化させることが考えられる。しかし、中間転写体の表面を粗くすると中間転写体からの中間画像の離型性が低下するため、中間画像の転写性が悪化することとなっていた。以上のように、画像の再現性と中間画像の転写性はトレードオフの関係となっていた。
そこで、本発明者らはこれらの技術を詳細に検討した。この結果、中間転写体上へ所定の関係を満たす凸状構造を形成することで、画像の再現性及び中間画像の転写性を両立できることを見出した。すなわち、本発明は、前述した従来からの課題を考慮してなされたものであり、画像の再現性及び中間画像の転写性に優れた中間転写体、画像記録方法、及び画像記録装置を提供することを目的とする。
一実施形態は、
中間転写体上に反応液を付与する工程と、前記反応液が付与された中間転写体上にインクを付与して中間画像を形成する工程と、前記中間画像を記録媒体に転写する工程とを有する画像記録方法に用いる中間転写体であって、
前記中間転写体の表面が、平均高さが3.0μm以下である凸状構造を有し、
中間転写体の表面の単位面積当たりの表面積の平均比率をR、中間転写体の表面の単位面積当たりの、各凸状構造の最大高さに対して95%以上の高さを有する部分である凸状構造上部の総表面積の平均比率をSとしたとき、下記式(1)を満たすことを特徴とする、中間転写体に関する。
S≦1/24・(10R−13) (1)
(但し、R≧1.3、0.03≦S≦0.35である)
他の実施形態は、
中間転写体上に反応液を付与する工程と、
前記反応液が付与された中間転写体上にインクを付与して中間画像を形成する工程と、前記中間画像を記録媒体に転写する工程と、
を有し、
前記中間転写体の表面が、平均高さが3.0μm以下である凸状構造を有し、
中間転写体の表面の単位面積当たりの表面積の平均比率をR、中間転写体の表面の単位面積当たりの、各凸状構造の最大高さに対して95%以上の高さを有する部分である凸状構造上部の総表面積の平均比率をSとしたとき、下記式(1)を満たすことを特徴とする、画像記録方法に関する。
S≦1/24・(10R−13) (1)
(但し、R≧1.3、0.03≦S≦0.35である)
画像の再現性及び中間画像の転写性を優れたものとすることができる。
本発明の一実施形態の中間転写体を備えた画像記録装置の構成を表す模式図である。 一実施形態における中間転写体表面の凸状構造の断面を表す図である。
1.画像記録装置
画像記録装置は、中間転写体と、中間転写体上に反応液を付与可能な反応液付与手段と、中間転写体上にインクを付与して中間画像を形成可能なインク付与手段と、中間画像を記録媒体に転写する転写手段を有する。図1は、本実施形態の画像記録装置の一例を表す模式図である。図1において、中間転写体は、回転軸13を中心に回転可能なドラム状の支持部材12と、その外周面に配置された表層部材11とを有する。支持部材12は、軸13を中心として矢印方向に回転駆動し、その回転と同期して、周辺に配置された各デバイスが作動するようになっている。
図1の画像記録装置では、以下のようにして画像記録が行われる。中間転写体の外周面にはローラー式塗布装置(反応液付与手段)14の塗布ローラーが当接しており、このローラー式塗布装置14から中間転写体上に反応液が付与される。次に、中間転写体の外周面と対向するように設けられたインクジェット記録ヘッド(インク付与手段)15から、中間転写体の表面上にインクが付与され、中間画像が形成される。続いて、中間転写体の表面と対向するように設けられた送風装置16と支持部材12に内蔵された加熱ヒータ17によって、中間転写体上の中間画像を乾燥させて、その液体分を減少させる。これにより、後述する転写時の中間画像の乱れを抑制することができる。次に、記録媒体18を間に介して、中間転写体の外周面と当接するように配置された加圧ローラー(転写手段)19によって、中間転写体上に形成された中間画像を記録媒体18に接触させ、中間画像を記録媒体18に転写させる。図1の装置では、支持部材12と加圧ローラー19により、中間画像と記録媒体18を挟み込むように加圧することで、効率の良い中間画像の転写を実現することができる。更に、中間転写体の外周面上には、クリーニングユニット20を構成するモルトンローラーが間欠的に当接するようになっている。モルトンローラーは、イオン交換水により常時、湿潤される。このクリーニングユニット20により、中間画像を記録媒体に転写後の中間転写体はクリーニングされ、繰り返し次の中間画像の形成に用いられる。
この中間転写体の表面は、平均高さが3.0μm以下である凸状構造(以下、単に「凸状構造」ともいう)を有し、中間転写体の表面の単位面積当たりの表面積の平均比率をR、中間転写体の表面の単位面積当たりの、各凸状構造の最大高さに対して95%以上の高さを有する部分である凸状構造上部の総表面積の平均比率をSとしたとき、下記式(1)を満たす。
S≦1/24・(10R−13) (1)
(但し、R≧1.3、0.03≦S≦0.35である)
以下では、図1の装置で得られる作用効果について説明する。
一般に、濡れ性の異なる2成分からなる複合表面と液滴との静的接触角をΦ、表面成分1と液滴との静的接触角をΦ、表面成分2と液滴との静的接触角をΦ、表面における表面成分1の面積比率をSとする。すると、これらの間には、下記式(2)で表されるCassieの式が成立する。
cosΦ=S・cosΦ+(1−S)・cosΦ (2)
すなわち、Φを小さくするためには、S・cosΦ、又は(1−S)・cosΦを大きくすれば良いことが分かる。言い換えれば、Φが小さい場合は表面成分1の面積比率Sを最大にし、Φが小さい場合は表面成分2の面積比率(1−S)を大きくすれば良い。
反応液は、隣り合う凸状構造の間の空隙内に侵入した後、中間転写体の表層部材を被覆しながら層を形成する。このとき、中間転写体の最表層を一つの界面として考えると、中間転写体の凸状構造の上部と、反応液とからなる複合表面として捉えることができる。従って、上記式(2)に従い、複合表面における凸状構造上部の面積比率をS、反応液成分の面積比率を(1−S)とすると、(1−S)を最大にすることで、界面上に存在する反応液層の濡れ性を向上させることができる。言い換えれば、中間転写体の表面の単位面積当たりの凸状構造上部の総表面積の平均比率Sを小さくすれば良いことになる。
この一方で、平均比率RとSは独立した因子ではないため、各因子の好ましい関係について、発明者らは以下のように詳細に検討した。すなわち、中間転写体の表面上への反応液の好ましい塗布状態としては、以下の2つの条件を挙げることができる。
1つ目は、反応液が中間転写体の表面から弾かれず、中間転写体の表面を被覆できることである。本条件においては、平均比率Rの影響が大きく、平均比率Rが大きいと中間転写体の表面に反応液は広がりやすくなり、反応液は中間転写体の表面を被覆できると考えられる。従って、平均比率Rは、できるだけ大きくすることが好ましい。
2つ目は、反応液が中間転写体の表面上にできるだけ均一な層を形成することである。本条件においては、平均比率Sの影響が大きく、平均比率Sが小さいと中間転写体の表面に存在する凸状構造上部の割合が少なくなるため、中間転写体上で反応液は均一な層を形成するものと考えられる。従って、平均比率Sはできるだけ小さくすることが好ましい。
そこで、本発明者らは、上記2つの条件を考慮しつつ、様々な試験例において、上述した平均比率RとSの好ましい範囲について鋭意検討した。この結果、これら2つの条件を満たすために各因子の範囲は、下記式(1)を満たす必要があることが分かった。
S≦1/24・(10R−13) (1)
中間転写体の表面に、上記式(1)の関係を満たす凸構造を設けることにより、以下のように、画像の再現性及び中間画像の転写性を向上させることができる。
すなわち、関連する技術では、反応液とインクが接触することにより、反応液と反応したインクの部分が中間画像を形成する。この際、反応液とインクの反応が不均一に起こる等の原因により、中間画像が収縮する等の変形を起こすことがある。例えば、この例としては、反応液とインクの凝集反応が不均一に起こり、反応が進んでいない中間画像の部分の凝集力が不足し、中間画像の転写時に凝集破壊を起こす場合を挙げることができる。そこで、中間画像の変形を抑制するために、中間転写体の表面に凸構造を形成することが考えられる。しかし、関連する技術では、このように凸構造を設けることにより中間転写体は所定の表面粗さを有することとなり、中間画像の転写性が低下することとなっていた。
これに対して、本実施形態では、中間転写体の表面に、上記式(1)の関係を満たす凸構造を設ける。これにより、反応液の見かけの静的接触角を低下させて、中間転写体の表面に対する反応液の濡れ性を向上させることができる。この結果、反応液は、中間転写体の表面上の所望の領域に均一に広がり反応液の塗布部の面積を大きくして、反応液の塗布性を向上させることができる。この反応液の塗布性の向上により、反応液とインクの反応の進行度を均一化させて、中間画像の変形を抑制できる。さらに、反応液の塗布性が向上するため、中間転写体上で反応液が被覆しない部位を少なくすることができる。これにより、本発明における画像記録を繰り返した場合、反応液が塗布された状態の再現性が向上する。また、中間画像は、転写時に中間転写体上から適度な離型性を有することができる。この結果、画像の再現性の向上と中間画像の転写性の向上を両立させることができる。ここで「凸状構造」とは、中間転写体の任意の面(例えば、底面)に対してある高さを有する、突出した構造のことを指す。
また、一般に、平滑な固体表面と液滴との静的接触角がθであるとき、液体の表面張力をγ、固体の表面張力をγ、固液界面の表面張力をγSLとすると、これらの間にはYoungの式が成立する。
γ=γSL+γ・cosθ
固体表面の粗さと濡れ性の関係を表すモデルとして、Wenzelモデルが知られている。固体表面に所定の粗さが形成されている場合、形成された凹凸面に伴い固液界面の接触面積が増大する。この結果、粗化表面での見かけの静的接触角θ’は固体の単位面積当たりの表面積の平均比率をRとすれば以下のように表される。
cosθ’=R・(γ−γSL)/γ=R・cosθ (3)すなわち、式(3)から、R≧1であることにより、0<θ<90°のとき、θ’<θとなることが分かる。
本実施形態において、反応液の塗布状態を安定させるためには、反応液が偶発的に弾かれる状態を避けることが重要であると考えられる。すなわち、反応液の塗布部と未塗布部が共存する環境では、反応液の塗布部の面積比率を安定的に制御することが難しい。そこで、反応液をできるだけ中間転写体の全面に均一に塗布することで、すなわち反応液の塗布部の面積をできるだけ大きくすることで、反応液の安定性がより発現されるものと考えられる。従って、中間転写体の表面上に反応液を広げて反応液の塗布部の面積を大きくするためには、中間転写体上での反応液の見かけの静的接触角を小さくして、中間転写体に対する反応液の濡れ性を向上させるのが良い。具体的には、見かけの静的接触角は40°以下であることが好ましく、20°以下であることがより好ましい。
上記のように中間転写体表面の見かけの静的接触角を低下させるためには、中間転写体の表面の単位面積当たりの表面積の平均比率Rを、1.3以上とする。これにより、中間転写体上に反応液が付与された場合、反応液は、中間転写体の隣り合う凸状構造の間の空隙に侵入しながら濡れ広がることが可能となる。この結果、中間転写体の表面において反応液に被覆されない部位を少なくすることができる。また、Rは1.3以上3以下とすることが好ましい。これにより見かけの静的接触角をより安定的に低下させ、中間転写体表面上での反応液の塗布部の面積を大きくすることができる。
ここで、付与される反応液の量は、中間転写体表面に形成された凸状構造の表面を十分に被覆できる量とすることが好ましい。本実施形態では中間転写体の表面積の平均比率Rを大きくすることで反応液の塗布性を向上させることができる。
以下に、平均比率R、S、及び中間転写体上の反応液層の均一性の測定方法を記載する。
(中間転写体の単位面積当たりの表面積の平均比率Rの測定法)
まず、中間転写体の表面の単位面積は、例えば、シート状の中間転写体を縦1cm、横1cmのサイズに切り出した場合、縦の長さと横の長さの積として計算できる。その表面プロファイルは考慮しない。なお、中間転写体の表面の単位面積は、中間転写体がシート形状以外の場合でも、その平均表面粗さRa=0μmとした場合の表面積、すなわち平坦化された場合の表面積として計算することができる。ここで、測定試料として切り出す中間転写体の大きさは変更することができる。
中間転写体の表面の単位面積当たりの表面積の平均比率Rは、試料表面を微細な探針(カンチレバー)で走査することで、試料表面の3次元形状を測定する走査型プローブ顕微鏡(SPM)により測定することができる。例えば、任意のサイズに切り出した中間転写体表面の10μm×10μmの範囲を、走査型プローブ顕微鏡にて複数回の形状測定を行う。SPMによれば、中間転写体の各測定点における高さ情報を数10nm毎に取得することができる。隣り合う3つの測定点により形成される三角形の面積の総和を100μmで除することによって、中間転写体の表面の単位面積当たりの表面積の平均比率Rを算出することができる。尚、隣り合う3つの測定点は形成された三角形の内部に他の測定点が存在しないように選択されることが好ましい。また、形成された三角形同士が重なり合うことのないように選択されることが好ましい。
(単位面積当たりの凸状構造上部の総表面積の平均比率Sの測定法)
凸状構造の上部は、各凸状構造の最大高さの95%の位置に、中間転写体の表面を平面状とした際における平面と平行面を設けた際に、この平行面から上方に突出する部分に当たる。この平行面は凸状構造により異なるが、各平行面のうち最大高さを有する面、又は平均高さを基準に形成される面と考えることができる。平均比率Sは、この突出した部分の表面積の総和を単位面積当たりの比率として近似的に表したものである。なお、凸状構造の最大高さは、中間転写体の表面を平面状とした場合に、この平面に垂直な面での凸状構造の、最も低い底部と最も高い頂部又は頂点が現れる断面における、最も低い底部から最も高い頂部又は頂点までの高さである。例えば、円錐状の凸状構造の場合における頂点を通る断面は三角形状となり、底辺から頂点までの高さが凸状構造の最大高さとなる。凸状構造の最大高さは少なくとも0.05μm以上であることが好ましく、この範囲の構造を本発明における凸状構造として考えることができる。
平均比率Sは、以下のようにして測定する。まず、中間転写体の表面の単位面積は、例えばシート状の中間転写体を縦1cm、横1cmのサイズに切り出した場合、縦の長さと横の長さの積として計算できる。その表面プロファイルは考慮しない。ここで、測定試料として切り出す中間転写体の大きさは変更することができる。また、中間転写体の表面の単位面積当たりの凸状構造上部の総表面積の平均比率Sは、試料表面を微細な探針(カンチレバー)で走査することで、試料表面の3次元形状を測定する走査型プローブ顕微鏡(SPM)により測定することができる。例えば、任意のサイズに切り出した中間転写体表面の10μm×10μmの範囲を走査型プローブ顕微鏡にて複数回の形状測定を行う。SPMによれば、中間転写体の各点における高さ情報を数10nm毎に取得することができる。各凸状構造の最大高さに対して、95%以上の高さを有する測定点の集合を凸状構造上部とする。そして、その隣り合う3つの測定点により形成される三角形の面積の総和を100μmで除することによって、中間転写体の表面の単位面積当たりの凸状構造上部の総表面積の平均比率Sを算出することができる。
(中間転写体上の反応液層の均一性の測定)
任意のサイズに切り出した中間転写体の表面に、グラビアローラーにより反応液を塗布する。その表面において例えば、100μm×100μmの範囲を光学顕微鏡により観察し、その干渉による色の変化を記録する。そして、反応液層の均一性は、10000μmにおける干渉が観察できない程度に均一化された部分の面積比率として算出することができる。
以下では、本実施形態の中間転写体、画像記録方法、画像記録装置、及びこれらに用いる部材等について詳細に説明する。
<中間転写体>
中間転写体は、反応液、及びインクを保持し、中間画像を形成する基材となるものであり、その表面に凸状構造を有する。中間転写体の構成としては、中間転写体をハンドリングし必要な力を伝達するための支持部材と、画像を形成する表層部材を有する。これらは均一の部材からなっていても良いし、各々独立した複数の部材からなっていても良い。
中間転写体の表層部材は単層からなっていても良く、複数の層からなっていても良い。中間転写体の表層部材の層構成は、記録媒体の種類、中間転写体上における中間画像の保持性、転写時の記録媒体への画像転写効率や中間画像の画質などに対応できる最適なものを任意に選択することができる。例えば、中間転写体の表層部材中に、転写時の圧力ムラを均一化させるなどの目的のために、圧縮層を設けても良い。ここで、「圧縮層」とは、ゴム又はエラストマーからなる多孔体であり、従来から公知の材料を使用することができる。また、中間転写体の表層部材中に、好ましい弾性特性、強度、熱的特性などを持たせるために、樹脂層、基布層、金属層などを設けても良い。また、表層部材と支持部材の間に、これらを固定・保持するための各種接着剤や両面テープが存在していても良い。中間転写体の形状としては、シート形状、ローラー形状、ドラム形状、ベルト形状、無端ウエブ形状等を挙げることができる。これらの形状の中でも、ドラム形状やベルト形状の無端ウエブ構成の中間転写体を用いると、同一の中間転写体を連続して繰り返し使用することが可能となり、生産性の面から極めて好適な構成となる。中間転写体のサイズは、目的の記録媒体のサイズに合わせて自由に選択することができる。
中間転写体の支持部材は、その搬送精度や耐久性の観点から、ある程度の構造強度が求められる。支持部材の材質としては金属、セラミック、樹脂などが好適である。これらの中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために要求される特性から、下記の材料が好適に用いられる。なお、下記の材料はこれらを組み合わせて用いても良い。
アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ナイロン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリカセラミックス、アルミナセラミックス。
中間転写体の表層部材は、紙などの記録媒体に中間画像を圧着させて中間画像を転写させるため、ある程度の弾性を有していることが望ましい。例えば、記録媒体として紙を用いる場合、表層部材に用いるゴム部材の硬度はデュロメータ・タイプA硬度(JIS・K6253準拠)で10度以上100度以下の範囲のものを含んでいることが好ましい。表層部材は、20度以上60度以下のゴム部材を含んでいることがより好ましい。
表層部材の材質としてはポリマー、セラミック、金属など各種材料を適宜、用いることができるが、特性及び加工特性より各種ゴム材料、及びエラストマー材料を好ましく用いることができる。特に、表層部材として適度な低表面エネルギーを有する、いわゆる撥水性材料を用いた場合、反応液とインクの反応凝集物との付着エネルギーが低減され、中間画像の転写効率を高めることができる。具体的には、中間転写体表面の平滑面における水との静的接触角が90°以上となることが好ましい。尚、平滑面とはその表面の算術平均粗さRaが概ね0.1μm以下となる表面のことをいう。このような静的接触角となるように、表層部材は例えば、フッ素化合物又はシリコーン化合物を含む化合物を含有するものを挙げることができる。具体的には、シリコーンゴム、フッ素ゴム、及びこれらの骨格構造を含む化合物が好適である。また、表層部材は、上記材料の層上に更に表面層を形成しても良い。表面エネルギーの観点から、表面層の材質としては、シリコーン骨格、パーフルオロアルキル骨格などに代表される撥水性構造を含む化合物が好適である。
本発明において、凸状構造の平均高さとは、中間転写体の表面を平面状とした場合に、この平面に垂直な面で凸状構造を見たときに、凸状構造の底辺から凸状構造の最も高い部分までの長さの平均値である。上述の通り、凸状構造の平均高さは3.0μm以下である必要があり、更には1.0μm以下であることが好ましい。この凸状構造の平均高さは、図2(a)〜(f)に示す各凸状構造においては「h」で表される。すなわち、図2(a)〜(f)はそれぞれ、断面が矩形、三角形、台形、これらが組み合わせた形状等の凸状構造を表している。これらの様々な断面形状を有する凸状構造の何れにおいても、その平均高さは、凸状構造の断面において底辺から最も高い部分までの長さの平均値を表す。凸状構造の平均高さが3.0μmより大きいと、画像の再現性及び中間画像の転写性が十分に得られない。上述の特許文献4及び5に記載の中間転写体は、凸状構造の平均高さが3.0μmより高いため、画像の再現性及び中間画像の転写性が十分に得られなかった。凸状構造の平均高さを1.0μm以下とすることで、中間転写体と記録媒体が接触した際に十分に転写圧力がかかり、中間画像の転写性が向上する。
凸状構造の平均幅(中間転写体の表面を平面状とした場合に、この平面に垂直な面で凸状構造を見たときに、最も広がっている部分の長さの平均値)は1.0μm以下であることが好ましい。この凸状構造の平均幅は、図2(a)〜(f)に示す各凸状構造においては「w」で表される。すなわち、図2(a)〜(f)に示すように、様々な断面形状を有する凸状構造の何れにおいても、その平均幅は、凸状構造の断面において最も広がっている部分の長さの平均値を表す。凸状構造の間隔(任意の配列方向において隣り合う凸状構造の側壁間の最短距離)は1.0μm以下であることが好ましい。凸状構造がこれらの範囲の寸法を有することにより、中間転写体上の反応液の塗布状態を均一にして、画像の再現性をより向上させることができる。凸状構造の平均幅、間隔は上述した走査型プローブ顕微鏡を用い、取得された中間転写体表面の三次元形状の計測データから算出できる。
凸状構造の形状は特に限定されないが、柱状、錐状、モスアイ状、又は錐台状の形状を有することが好ましい。なお、モスアイ状とは、蛾の目状とも呼ばれ、円錐状の形状が周期的に配置された形状を表す。凸状構造が柱状、又は錐状の形状を有する場合、それぞれ、N角柱状、又はN角錐状の形状(Nは、自然数)とすることができる。また、中間転写体の表面上に複数の凸状構造が存在し、各々の凸状構造は、柱状、錐状、モスアイ状、及び錐台状の形状のうち互いに異なる形状を有しても良い。なお、錐台状とは、前記の錐状の形状において、底面と平行な任意の平面とによって囲まれた形状を表す。柱状の凸状構造を用いると、中間転写体の表面の単位面積当たりの表面積の平均比率Rを効果的に向上させることができる。錐状の凸状構造を用いると、中間転写体の表面の単位面積当たりの凸状構造上部の総表面積の平均比率S≒0とする事ができるため、効果的にSを低減することができる。また、錐状、モスアイ状、錐台状の形状においては、本実施形態における画像記録を繰り返した場合、凸状構造が倒れる等の変形の発生頻度を小さくすることができるため好ましい。
凸状構造は中間転写体の表面上に例えば、正方配列、三角配列、又はランダムに配列することができる。ここで、正方配列とは碁盤の目のように凸状構造を水平及び垂直方向に等間隔で配列する方法である。三角配列は3つの凸状構造が三角形を形成するように配列する方法である。ランダム配列とは、特に秩序を設けず、本発明の範囲内で任意に凸状構造を配置する方法である。これらは、画像品位に影響を与えることがあり、画像品位を損なわない範囲で任意に選択することができる。尚、凸状構造をランダムに配列した場合、光の干渉などの影響をより抑制できることがある。
凸状構造は、所望の形状を有する型を作製し、その形状を中間転写体の表面に転写することで形成することができる。これらの手法としては従来から公知の手法を任意に選択できる。特に、凸状構造として微細なパターンを形成する場合には例えば、従来から公知のナノインプリント法を用いることができる。この方法は、微細なパターン形状が形成されたモールドを、ポリマーやガラスなどからなる基板に圧接することで所望の形状の転写を行うものである。モールドは、フォトリソグラフィー技術、エッチング技術を応用して、シリコンウェハーから作製することができる。その他にも、電子ビームリソグラフィーなどの微細加工法などを任意に用いることができる。ナノインプリント法を用いる場合、所望の高さ、幅、ピッチの凸状構造に対応する溝形状を有するモールドを準備すれば良い。すなわち、高さA、幅B、ピッチCの凸状構造を形成する場合には、ほぼ同寸法の深さが略A、幅が略B、ピッチが略Cの溝を有するモールドを準備すれば良い。
また、アルミニウム材を酸性液中で陽極酸化することで得られるポーラスアルミナは、円柱状の細孔が規則配列した構造を有する。ポーラスアルミナの凸状構造は、陽極酸化前のテクスチャリング処理や陽極酸化時の電解液、電圧などにより、そのピッチを制御し、陽極酸化時間などによりその深さを制御できる。また、陽極酸化後に形成された細孔をエッチング処理することなどで、その幅、間隔を制御できる。このポーラスアルミナ、又は、それを型として形成したネガ型構造体を使用して、これらの形状を中間転写体の表面に転写することも可能である。
<反応液>
反応液は、本実施形態の画像記録方法で使用するインクを高粘度化させる成分(以下では、「インク高粘度化成分」と記載する場合がある)を含有する。ここで、インクの高粘度化とは、インクを構成している色材や樹脂等が、インク高粘度化成分と接触することによって化学的に反応し、あるいは物理的に吸着し、インク全体の粘度上昇が認められる場合を表す。また、この場合に限らず、色材などインク組成物の一部が凝集することにより局所的に粘度上昇を生じる場合をも含む。なお、ここで、「反応液」における「反応」とは、インクとの間に化学反応が起こるだけでなく、物理的な作用(吸着など)が起こる場合も含む。インク高粘度化成分は、中間転写体上でのインク、及び/又はインク組成物の一部の流動性を低下させて、画像形成時のブリーディング、ビーディングを抑制する効果がある。
インク高粘度化成分としては、多価の金属イオン、有機酸、カチオンポリマー、多孔質性微粒子など、旧来から公知の物を特に制限無く用いることができる。これらの中でも特に多価の金属イオン、及び有機酸が好適である。また、反応液は、複数の種類のインク高粘度化成分を含有することも好適である。なお、反応液中のインク高粘度化成分の含有量は、インク高粘度化成分の種類、中間転写体への付与条件、インクの種類等に応じて選択すればよい。例えば、反応液全質量に対して5質量%以上であることが好ましい。
具体的にインク高粘度化成分として使用できる金属イオンとしては、例えば、二価の金属イオンや三価の金属イオンを挙げることができる。二価の金属イオンとしては、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+、及びZn2+等を挙げることができる。三価の金属イオンとしては、Fe3+、Cr3+、Y3+、及びAl3+等を挙げることができる。
また、具体的にインク高粘度化成分として使用できる有機酸としては、例えば、シュウ酸、ポリアクリル酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、レブリン酸、コハク酸、グルタル酸、グルタミン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、オキシコハク酸、ジオキシコハク酸等を挙げることができる。
反応液は、適量の水や有機溶剤を含有しても良い。この場合に用いる水は、イオン交換等により脱イオン化した水であることが好ましい。また、反応液に用いることのできる有機溶剤としては特に限定されず、公知の有機溶剤を何れも用いることができる。反応液には、各種樹脂を添加することもできる。例えば、反応液に適当な樹脂を添加することで転写時の、中間画像の記録媒体への接着性を良好なものとしたり、最終画像の機械強度を高めたりすることが可能であるため好適である。この樹脂に用いる材料としては、インク高粘度化成分と共存できるものであれば特に制限は無い。
また、反応液中に界面活性剤や粘度調整剤を加えて、その表面張力や粘度を適宜、調整して用いることができる。この際に用いる材料としては、インク高粘度化成分と共存できるものであれば特に制限は無い。具体的に用いる界面活性剤としては、アセチレノールE100(川研ファインケミカル社製)等を挙げることができる。反応液の表面エネルギーは、50mN/m以下に調整されることが好ましく、20mN/m以上40mN/m以下に調整されることがより好ましい。このとき、中間転写体表面の平滑面上において、反応液の静的接触角は40°以下であることが好ましく、20°以下であることがより好ましい。反応液の静的接触角を40°以下とすることで、中間転写体への反応液の濡れ性を効果的に高めることが可能となる。
また、反応液は、フッ素系界面活性剤を含有することが好ましい。ここで、フッ素系界面活性剤は分子構造中に少なくとも疎水性のフルオロカーボン鎖と親水性の分子鎖(親水部)を有する化合物のことである。疎水性のフルオロカーボン鎖を有することにより、前述のように優れた表面張力低下能を発現する。この中でも特に、疎水部にフルオロアルキル鎖、親水部としてエチレンオキサイド鎖を有するノニオン性界面活性剤を好適に用いることができる。疎水部にフルオロアルキル鎖、親水部としてエチレンオキサイド鎖を有することにより、溶剤や反応剤との相溶性を高くすることができる。この結果、乾燥等により水分量が低下した組成においても優れた溶解性を示すため、反応液層の均一性、及び表面張力低下能を保つことができる。また、ノニオン性の界面活性剤であることにより、インクとの反応後においても構造が変化することなく、その特性を維持することができる。従って、反応液層の均一性、及び表面張力低下能を保つことができる。本実施形態で好適に用いることのできる界面活性剤としては、例えば、FSO100、FSN100、FS3100(Du Pont社製)、F444、F477、F553(DIC社製)等を挙げることができる。反応液の表面エネルギーは20mN/m以下に調整されることが好ましい。フッ素系界面活性剤の含量は、反応液全質量に対して1質量%以上15質量%以下であることが好ましい。フッ素系界面活性剤の含量の減少と共に表面張力低下能も低減するため、フッ素系界面活性剤の含量が比較的、低い場合には、中間転写体の表面の単位面積当たりの表面積の平均比率Rを大きくすることが好ましい。例えば、フッ素系界面活性剤の含量が5質量%の場合、Rを1.5以上にすることが好ましい。また、フッ素系界面活性剤の含量が1質量%の場合、Rを1.7以上にすることが好ましい。
<インク>
以下では、インクに用いることのできる各成分について説明する。
(1)色材
インクは、顔料及び染料の少なくとも一方を含有することができる。染料及び顔料としては、特に限定されず、インクの色材として利用し得るものから選択し、その必要量を用いることができる。例えば、インクジェット用のインクとして公知の染料やカーボンブラック、有機顔料等を用いることができる。染料及び/又は顔料を液媒体に溶解、及び/又は分散させたものをインクとして用いることができる。これらの中でも各種顔料は印刷物の耐久性や品位に特徴があり好適である。
(2)顔料
顔料としては特に限定されず、公知の無機顔料・有機顔料を用いることができる。具体的にはC.I.(カラーインデックス)ナンバーで表される顔料を用いることができる。また、黒色顔料としては、カーボンブラックを用いることも好ましい。インク中の顔料の含有量は、インク全質量に対し0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
(3)顔料分散剤
顔料を分散させる分散剤としては、従来から公知のインクジェット方式に用いるものであれば、何れも使用することができる。これらの中でも、その分子構造中に親水部と疎水部を併せ持つ水溶性の分散剤を用いることが好ましい。特に、少なくとも親水性のモノマーと疎水性のモノマーとを含んで共重合させた樹脂からなる顔料分散剤を好ましく用いることができる。ここで用いる各モノマーについては特に制限はなく、旧来から公知の物を好適に用いることができる。具体的には、疎水性モノマーとしてはスチレン、スチレン誘導体、アルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。また、親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等を挙げることができる。分散剤の酸価は50mgKOH/g以上、550mgKOH/g以下であることが好ましい。また、分散剤の重量平均分子量は1000以上、50000以下であることが好ましい。なお、インク中の顔料と分散剤の質量比は1:0.1〜1:3の範囲であることが好ましい。また、他のインクの態様として、分散剤を用いず、顔料自体を表面改質して分散可能としたいわゆる自己分散性顔料を用いることも好適である。
(4)樹脂粒子
インクは、色材を有しない各種粒子を含有することができる。これらの中でも、樹脂粒子は画像品位や定着性の向上に効果がある場合があり、好適である。樹脂粒子の材質は特に限定されず、公知の樹脂を適宜、用いることができる。具体的には、ポリウレタン、ポリエステル;ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリ尿素、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸、及びその塩、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル、ポリジエン等の単独重合物、もしくはこれらを複数、組み合わせた共重合物を挙げることができる。樹脂の重量平均分子量は、1,000以上、2,000,000以下の範囲が好適である。また、インク中における樹脂粒子の含量は、インク全質量に対して1質量%以上、50質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以上、40質量%以下である。さらに、樹脂粒子は、インク中に分散した樹脂粒子分散体として用いることが好ましい。分散の手法については特に限定はないが、解離性基を有するモノマーを単独重合もしくは複数種、共重合させた樹脂を用いて分散させた、いわゆる自己分散型樹脂粒子分散体が好適である。ここで、解離性基としてはカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられ、この解離性基を有するモノマーとしてはアクリル酸やメタクリル酸等が挙げられる。また、乳化剤により樹脂粒子を分散させた、いわゆる乳化分散型樹脂粒子分散体も、同様に好適に用いることができる。ここで言う乳化剤としては、低分子量、高分子量に関わらず公知の界面活性剤が好適に用いられる。界面活性剤はノニオン性か、もしくは樹脂粒子と同じ電荷を持つ物が好適である。樹脂粒子分散体は、10nm以上、1000nm以下の分散粒径をもつことが望ましく、さらに100nm以上500nm以下の分散粒径が望ましい。
また、樹脂粒子分散体を作製する際に、安定化のために各種添加剤を加えておくことも好ましい。この添加剤としては例えば、n−ヘキサデカン、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、クロロベンゼン、ドデシルメルカプタン、オリーブ油、青色染料(Blue70)、ポリメチルメタクリレート等が好適である。
(5)界面活性剤
インクは、界面活性剤を含んでいても良い。界面活性剤としては、具体的には、アセチレノ−ルEH(川研ファインケミカル社製)等を挙げることができる。インク中の界面活性剤の含量は、インク全質量に対して0.01質量%以上、5.0質量%以下であることが好ましい。
(6)水、及び水溶性有機溶剤
インクは、溶剤として水、及び/又は水溶性有機溶剤を含むことができる。水は、イオン交換等により脱イオン化した水であることが好ましい。また、インク中の水の含量は、インク全質量に対して30質量%以上、97質量%以下であることが好ましい。また、インク中に用いる水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、公知の有機溶剤を何れも用いることができる。具体的には、グリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、2−ピロリドン等を挙げることができる。また、インク中の水溶性有機溶剤の含量は、インク全質量に対して3質量%以上、70質量%以下であることが好ましい。
(7)その他添加剤
インクは、上記成分以外にも必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、水溶性樹脂、及びその中和剤、粘度調整剤など種々の添加剤を含有しても良い。
2.画像記録方法
本実施形態の画像記録方法は、中間転写体上に反応液を付与する工程と、反応液が付与された中間転写体上にインクを付与して中間画像を形成する工程と、中間画像を記録媒体に転写する工程を有する。
以下では、本実施形態の画像記録方法の各工程について詳細に説明する。
<反応液の付与>
中間転写体の表面へ反応液を塗布する方法は、従来から知られている各種手法を適宜、用いることができる。具体例としてはダイコーティング、ブレードコーティング、グラビアローラーを用いる手法、オフセットローラーを用いる手法、スプレーコーティング等を挙げることができる。また、インクジェットデバイスを用いて付与する方法も好適である。さらに、いくつかの方法を複数、組み合わせることも極めて好適である。
<中間画像の形成>
反応液が塗布された中間転写体の表面に、インクを付与することにより中間画像を形成する。なお、本明細書では、中間転写体の表面上で反応液とインクが接触することにより中間転写体の表面上で形成され、最終的に記録媒体に転写されるまでの画像を便宜上、「中間画像」と呼ぶ。
インクの付与には例えば、インクジェットデバイスを使用することができる。インクジェットデバイスとしては例えば、下記の形態等を挙げることができる。
・電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態。
・電気−機械変換体によってインクを吐出する形態。
・静電気を利用してインクを吐出する形態。
上記のようにインクジェット液体吐出技術で提案される各種インクジェットデバイスを何れも用いることができる。これらの中でも特に高速で高密度の印刷の観点からは電気−熱変換体を利用した形態を好適に用いることができる。
また、インクジェットデバイス全体の形態としては特に制限はない。例えば、下記のインクジェットヘッドを用いることができる。
・中間転写体の進行方向と垂直にヘッドを走査しながら記録を行う、いわゆるシャトル形態のインクジェットヘッド。
・中間転写体の進行方向に対し略垂直(すなわち、中間転写体がドラム形状の場合は軸方向に略平行)にインク吐出口をライン状に配列した、いわゆるラインヘッド形態のインクジェットヘッド。
<中間画像の転写>
中間画像の形成後、中間転写体を記録媒体に圧着して、中間画像を記録媒体に転写することで、最終的な画像を得る。なお、本明細書において「記録媒体」とは、一般的な印刷で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック、フィルムその他の印刷媒体、記録メディアも含めて言う。
中間転写体と記録媒体の圧着の手法については特に制限はないが、加圧ローラーを用いて中間転写体と記録媒体の両側から加圧すると、効率良く画像が転写形成されるため好適である。また、多段階に加圧することも転写不良の軽減に効果が有る場合があり、好適である。
<液体分の除去>
中間転写体上に中間画像を形成した後、中間画像から液体分を減少させる工程を設けることが好ましい。これにより、中間画像の液体分が過剰となり転写工程で余剰液体がはみ出したり、あふれ出したりすることを抑制して、画像乱れや転写不良を防止することができる。中間画像からの液体分除去の手法としては、旧来から用いている各種手法を何れも好適に適用できる。例えば、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法、吸収体を接触させる方法、又は、これらを組み合わせる手法を何れも好適に用いることができる。また、自然乾燥により行うことも可能である。
<クリーニング>
以上のように、本実施形態の画像記録方法では、反応液の付与、インクの付与による中間画像の形成、液体分の除去、及び中間画像の転写によって、画像形成は完了する。しかし、中間転写体は、生産性の観点から繰り返し連続的に用いることがあり、その際には次の画像形成を行う前に表面を洗浄再生することが好ましい。中間転写体の洗浄再生を行う手段としては、旧来から用いられている各種手法を何れも好適に適用でき、例えば、下記の方法を何れも好適に使用できる。
・中間転写体の表面上にシャワー状に洗浄液を当てる方法。
・濡らしたモルトンローラーを、中間転写体の表面に当接させて払拭する方法。
・中間転写体の表面を洗浄液面に接触させる方法。
・中間転写体の表面をワイパーブレードで掻き取る方法。
・中間転写体の表面に、各種エネルギーを付与する方法。
また、これらの方法を複数、組み合わせる手法も好適である。
<定着>
なお、追加工程として、転写後に、画像が記録された記録媒体をローラーで加圧し、記録媒体と画像の定着性を高めるようにしても良い。また、記録媒体を加熱することで定着性が向上する場合もあり、記録媒体の加熱も好適である。無論、加熱ローラーを用いてこれらを同時に行っても良い。
以下では、中間転写体、画像記録装置、及び画像記録方法の実施例、及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって限定されるものではない。また、下記で示される「部」とは「質量部」を表し、「%」とは「質量%」を表す。
(画像記録装置)
以下の実施例及び比較例では、画像記録に図1の画像記録装置を使用し、各実施例及び比較例ごとに所定の特性を有する中間転写体を準備した。図1の装置では、アルミニウム合金からなる円筒形のドラムを、中間転写体の支持部材12として用いた。これにより、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、回転のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上する等、要求される特性を満たすことができる。
中間転写体の表層部材11としては、実施例1から17から18及び比較例2から9ではデュロメータ・タイプA硬度60度のシリコーンゴム(KE−106、信越化学社製)を、0.3mmの厚さに成型したものを用いた。
また、比較例1では、表層部材11として、凸状構造を形成していない平滑表面をもつシリコーンゴムを用いた。この表面粗さは、算術平均粗さRa=0.001μmである。
各実施例及び比較例2から9では、表層部材11の表面にそれぞれ、表1に示す寸法を有する凸状構造(同一凸状構造の規則的な繰り返し配置)を形成した。実施例3、9、15は凸状構造を三角配列し、それ以外の各実施例及び比較例では凸状構造を正方配列した。各実施例及び各比較例で用いた中間転写体の特性値を下記表1に示す。なお、表1中の「R」は中間転写体表面の単位面積当たりの表面積の平均比率、「S」は中間転写体表面の単位面積当たりの凸状構造上部の総表面積の平均比率を表わす。各実施例の凸状構造の寸法は、走査型プローブ顕微鏡(SPM、日立ハイテクサイエンス社製)、走査電子顕微鏡(SEM、日立ハイテクノロジーズ社製)を適宜、用いて測定した。一部の実施例では、凸状構造は、陽極酸化ポーラスアルミナを任意の条件によって設定することによって作製した。また、それ以外の実施例では、凸状構造は、シリコンウェハー上にフォトリソグラフィー技術、及びエッチング技術を用いて作製し、その形状を中間転写体の成型時に転写することによって形成した。
また、各実施例及び各比較例では、記録媒体18として、表面親水処理化PETフィルム(厚さ150μm)を用いた。中間画像の転写前、中間転写体の表面上ではインクは反応液と反応して高粘度化し、かつ液体分が減少している。このため、PETフィルムのようなインク吸収をほとんど行わない記録媒体18を用いた場合であっても、記録媒体上に中間画像を転写することができる。また、記録媒体18の形状としては長尺・ロール状のシートを用いたが、規定の形状にカットされた枚葉シートを用いても良い。
各実施例及び各比較例で使用した反応液及びインクは、以下のように調製した。
(反応液の調整)
反応液は下記の組成の成分を混合し、十分攪拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過することにより調整した。
・グルタル酸 55部
・8N水酸化カリウム水溶液 20部
・グリセリン 5部
・界面活性剤(F444、DIC社製) 10部
・イオン交換水 10部
(インクの調製)
まず、以下の各手順により、各顔料分散液及び樹脂粒子分散体を作製した。
(1)ブラック顔料分散液の調製
カーボンブラック(製品名:モナク1100、キャボット社製)10部、顔料分散剤水溶液(スチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体<酸価150、重量平均分子量8,000>;固形分20%;水酸化カリウムにて中和済み)15部、純水75部を混合した。この混合液を、バッチ式縦型サンドミル(アイメックス社製)に仕込み、0.3mm径のジルコニアビーズを200部、充填し、水冷しつつ、5時間、分散処理を行った。遠心分離機でこの分散液の遠心分離を行い、粗大粒子を除去して、顔料濃度が約10%のブラック顔料分散液を得た。
(2)シアン顔料分散液の調製
ブラック顔料分散液の調製の際に使用したカーボンブラック10部を、C.I.ピグメントブルー15:3、10部に代えた以外は、ブラック顔料分散液の調製の場合と同様の方法でシアン顔料分散液を調製した。
(3)マゼンタ顔料分散液の調製
ブラック顔料分散液の調製の際に使用したカーボンブラック10部を、C.I.ピグメントレッド122、10部に代えた以外は、ブラック顔料分散液の調製の場合と同様の方法でマゼンタ顔料分散液を調製した。
(4)イエロー顔料分散液の調製
ブラック顔料分散液の調製の際に使用したカーボンブラック10部を、C.I.ピグメントイエロー74、10部に代えた以外は、ブラック顔料分散液の調製の場合と同様の方法でイエロー顔料分散液を調製した。
(5)樹脂粒子分散体の作製
ブチルメタクリレート18部、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)2部、n−ヘキサデカン2部を混合し、0.5時間、攪拌した。この混合物を、乳化剤であるスチレン−アクリル酸共重合体(酸価120mgKOH/g、重量平均分子量8,700)の6%水溶液、78部に滴下して、0.5時間、攪拌した。次に、超音波照射機で超音波を3時間、照射した。続いて、窒素雰囲気下で80℃、4時間、重合反応を行い、室温冷却後にろ過して濃度約20%の樹脂粒子分散体を得た。樹脂粒子の重量平均分子量は約200,000、分散粒径は約250nmであった。
下記の組成からなるインクをブラック、シアン、マゼンタ、イエローのそれぞれについて調製した。具体的には、下記成分を各々混合し、十分攪拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム社製)にて加圧濾過することにより調整した。
・上述の各色顔料分散液(濃度約10%) 20部
・上述の樹脂粒子分散体(濃度約20%) 20部
・グリセリン 5部
・ジエチレングリコール 5部
・界面活性剤(アセチレノ−ルEH) 1部
・イオン交換水 45部。
(画像記録方法)
図1の装置を用いて、以下のように画像記録を行った。中間転写体を図1の矢印13の方向に回転させながら、ローラー式塗布装置14により、中間転写体の表面上に反応液を塗布した。ここで、反応液の付与量は1.0g/mとした。次に、インクジェットデバイス15から、中間転写体の表面上にインクを吐出した。これにより、中間転写体の表面上で、反応液とインクが反応して中間画像を形成した。中間画像の形成後、中間転写体の支持部材12に内蔵された加熱ヒータ17と送風装置16により、中間画像中の水分を除去した。次に、中間転写体の回転に伴い、中間画像は、中間転写体と加圧ローラー19の間を通した。この際、中間画像は記録媒体18に圧着され、中間転写体から記録媒体18に中間画像を転写した。中間画像の転写後の中間転写体の表面は、クリーニングユニット20によってクリーニングして、清浄化した。中間転写体の回転と共に上記の操作を繰り返すことにより、繰り返し画像記録を行った。図1の画像記録装置を用いた上記画像記録方法により、実施例1から19、及び比較例1から9の画像記録を行った。得られた画像について、反応液塗布性、及び転写性を以下のように評価した。なお、反応液塗布性における被覆率は中間転写体の表面に対する反応液層の被覆割合を表し、均一性は中間転写体の表面における反応液層の均一部の割合を表し、転写性は記録媒体への転写率により評価した。
反応液層の被覆率及び均一性、転写率は以下のようにして測定した。
反応液層の「被覆率」は、反応液が塗布された中間転写体表面の任意の範囲を光学顕微鏡により観察し、(反応液が存在する面積)/(中間転写体の表面積)を測定することにより算出した。なお、この中間転写体の表面積は、その表面プロファイルは考慮せずに、光学顕微鏡で観察した面積を表す。
反応液が塗布された中間転写体の任意の範囲を光学顕微鏡により観察した場合、反応液層が均一な場合は反応液層の界面や干渉縞が観測されない一方で、反応液層が不均一な部分では液層の界面や干渉縞が観測される。そこで、反応液層の「均一度」は、(上記のようにして判断した結果、反応液が均一に存在する面積)/(中間転写体の表面積)を測定することにより算出した。なお、中間転写体の表面積は、上記被覆率と同様に測定する。
また、「転写率」は、転写工程後の中間転写体を光学顕微鏡にて観察し、中間画像の残存面積を算出し、100−(中間画像の残存面積)/(中間画像の面積)を算出することにより測定した。
さらに、同一の中間転写体にて、上記工程を10000回、繰り返した後の画像と比較し、画像の再現性に関して複数の評価者により官能評価を行った。
(反応液層の被覆性の評価基準)
AA:中間転写体の表面に対する反応液層の被覆率は95%以上
A:中間転写体の表面に対する反応液層の被覆率は90%以上95%未満
B:中間転写体の表面に対する反応液層の被覆率は80%以上90%未満
C:中間転写体の表面に対する反応液層の被覆率は80%未満
(反応液層の均一性の評価基準)
AA:中間転写体の表面に対する反応液層の均一度は95%以上
A:中間転写体の表面に対する反応液層の均一度は90%以上95%未満
B:中間転写体の表面に対する反応液層の均一度は80%以上90%未満
C:中間転写体の表面に対する反応液層の均一度は80%未満
(転写性の評価基準)
AA:記録媒体への中間画像の転写率が95%以上
A:記録媒体への中間画像の転写率が90%以上95%未満
B:記録媒体への中間画像の転写率が80%以上90%未満
C:記録媒体への中間画像の転写率が80%未満
(画像の再現性の評価基準)
AA:再現性が高いと評価した評価者が9割以上
A:再現性が高いと評価した評価者が8割以上9割未満
B:再現性が高いと評価した評価者が5割以上8割未満
C:再現性が高いと評価した評価者が5割未満
評価結果を下記表2に示す。

Claims (15)

  1. 中間転写体上に反応液を付与する工程と、前記反応液が付与された中間転写体上にインクを付与して中間画像を形成する工程と、前記中間画像を記録媒体に転写する工程とを有する画像記録方法に用いる中間転写体であって、
    前記中間転写体の表面が、平均高さが3.0μm以下である凸状構造を有し、
    中間転写体の表面の単位面積当たりの表面積の平均比率をR、中間転写体の表面の単位面積当たりの、各凸状構造の最大高さに対して95%以上の高さを有する部分である凸状構造上部の総表面積の平均比率をSとしたとき、下記式(1)を満たすことを特徴とする中間転写体。
    S≦1/24・(10R−13) (1)
    (但し、R≧1.3、0.03≦S≦0.35である)
  2. 前記凸状構造の平均高さが、1.0μm以下である請求項1に記載の中間転写体。
  3. 前記凸状構造が、柱状、錐状、モスアイ状又は錐台状の形状を有する請求項1又は2に記載の中間転写体。
  4. 前記中間転写体の表面の平滑面における水との静的接触角が、90°以上である請求項1から3の何れか1項に記載の中間転写体。
  5. 前記中間転写体の表面が、フッ素化合物又はシリコーン化合物を含有する請求項1から4の何れか1項に記載の中間転写体。
  6. 請求項1から5の何れか1項に記載の中間転写体と、
    前記中間転写体上に反応液を付与可能な反応液付与手段と、
    前記中間転写体上にインクを付与して中間画像を形成可能なインク付与手段と、
    前記中間画像を記録媒体に転写する転写手段と、
    を有することを特徴とする画像記録装置。
  7. 中間転写体上に反応液を付与する工程と、
    前記反応液が付与された中間転写体上にインクを付与して中間画像を形成する工程と、前記中間画像を記録媒体に転写する工程と、
    を有し、
    前記中間転写体の表面が、平均高さが3.0μm以下である凸状構造を有し、
    中間転写体の表面の単位面積当たりの表面積の平均比率をR、中間転写体の表面の単位面積当たりの、各凸状構造の最大高さに対して95%以上の高さを有する部分である凸状構造上部の総表面積の平均比率をSとしたとき、下記式(1)を満たすことを特徴とする画像記録方法。
    S≦1/24・(10R−13) (1)
    (但し、R≧1.3、0.03≦S≦0.35である)
  8. 前記凸状構造の平均高さが、1.0μm以下である請求項7に記載の画像記録方法。
  9. 前記凸状構造が、柱状、錐状、モスアイ状又は錐台状の形状を有する請求項7又は8に記載の画像記録方法。
  10. 前記中間転写体の表面の平滑面における水との静的接触角が、90°以上である請求項7から9の何れか1項に記載の画像記録方法。
  11. 前記中間転写体の表面が、フッ素化合物又はシリコーン化合物を含有する請求項7から10の何れか1項に記載の画像記録方法。
  12. 前記反応液が、前記中間転写体の表面の平滑面における静的接触角が40°以下となる請求項7から11の何れか1項に記載の画像記録方法。
  13. 前記反応液が、フッ素系界面活性剤を前記反応液の全質量に対して1質量%以上15質量%以下、含有する請求項7から12の何れか1項に記載の画像記録方法。
  14. 前記反応液が、インクを高粘度化させる成分を含有する請求項7から13の何れか1項に記載の画像記録方法。
  15. 前記インクを高粘度化させる成分は、多価の金属イオン又は有機酸である請求項7から14の何れか1項に記載の画像記録方法。
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