JP6562591B2 - 電気化学キャパシタ - Google Patents

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Description

本発明は、正極のために活性炭を使用し、負極のためにスピネル型のチタン酸リチウム(LiTi12)(以下、単に「チタン酸リチウム」と表わす。)を使用した電気化学キャパシタに関する。
活性炭を主体とした正極及び負極を有する電気二重層キャパシタでは、活性炭への電解液中のカチオン及びアニオンの脱吸着により充放電が行われる。この電気二重層キャパシタは、急速充放電が可能であり出力特性に優れ、充放電サイクル特性にも優れるという利点を有するものの、エネルギー密度が小さいという問題点を有している。一方、リチウムイオンを吸蔵放出可能な材料を正極活物質及び負極活物質として利用するリチウムイオン二次電池では、充電によりリチウムイオンが正極から放出されて負極へと吸蔵され、放電によりリチウムイオンが負極から放出されて正極へと吸蔵される。リチウムイオン二次電池は、電気二重層キャパシタに比較して、高電圧で作動可能でありエネルギー密度が大きいという利点を有するものの、急速充放電が困難であり、充放電サイクルの信頼性にも問題がある。
そこで、両者の長所を活かした蓄電装置として、正極のために活性炭を用い、負極のためにリチウムイオンを吸蔵放出可能な材料を用いた電気化学キャパシタが提案されており、負極活物質としてチタン酸リチウムの使用が検討されている。チタン酸リチウムの表面には固体電解質界面(SEI)皮膜が形成されにくく、リチウムデンドライドが析出せず、チタン酸リチウムにリチウムイオンが挿入・脱離するときの体積変化がほとんどないため、安定に動作する電気化学キャパシタが得られることが期待される。
例えば、特許文献1(特開2002−270175号公報)には、活性炭を含む正極と、チタン酸リチウムを含む負極と、リチウム塩を含む有機電解液とを有する、1.5V〜約2.7Vの範囲で動作可能な電気化学キャパシタが開示されている。この文献には、正極の抵抗を低くするために、正極中にカーボンブラック又は黒鉛を導電剤として0.1〜20質量%含まれることが好ましいことが記載されており、実施例では10質量%の導電性カーボンブラックが導電剤として使用されている。特許文献2(特開2003−132945号公報)には、リチウム塩と第4級オニウム塩とを含む有機溶媒系電解液と、活性炭を含む正極と、チタン酸リチウムを含む負極とを有する、1.5V〜約3.1Vの範囲で動作可能な電気化学キャパシタが開示されている。電解液にリチウム塩とオニウム塩とを含むことにより、電解液の電気伝導度を高くすることができ、大電流放電における容量密度を大きくすることができる。この文献にも、正極の抵抗を低くするために、正極中にカーボンブラック又は黒鉛を導電剤として0.1〜20質量%含まれることが好ましいことが記載されており、実施例では20質量%の導電性カーボンブラックが導電剤として使用されている。
また、大電流での放電においても容量の低下が抑制された優れたレート特性を示す電気化学キャパシタとして、チタン酸リチウムのナノ粒子と導電性カーボンとの複合材料を負極のために使用したキャパシタが提案されている。本明細書において、「ナノ粒子」とは、球状粒子の場合には直径が100nm以下の粒子を意味し、針状、管状或いは繊維状の粒子の場合には粒子断面の直径(短径)が100nm以下の粒子を意味する。ナノ粒子は、一次粒子であっても二次粒子であっても良い。
特許文献3(特開2008−270795号公報)には、旋回可能な反応器内にチタンアルコキシドとリチウム化合物とチタンアルコキシドと錯体を形成する酢酸等の反応抑制剤と導電性カーボンとを含む反応液を導入した後、上記反応器を旋回させて反応液にずり応力と遠心力を加えて導電性カーボンを分散させつつ化学反応を進行させ、導電性カーボン上にチタン酸リチウム前駆体を分散性良く析出させ、次いで、得られた前駆体が担持された導電性カーボンを加熱し、導電性カーボン上で上記前駆体をチタン酸リチウムに転化させることにより、導電性カーボンの表面にチタン酸リチウムのナノ粒子が担持された複合材料を製造する方法が開示されており、得られた複合材料を負極のために用いた電気化学キャパシタが記載されている。また、特許文献4(特開2011−213556号公報)には、ずり応力と遠心力を加えた化学反応により導電性カーボン上にチタン酸リチウム前駆体を担持させた後に窒素雰囲気中で加熱処理を施すことにより、窒素がドープされたチタン酸リチウムのナノ粒子を含む複合材料を製造する方法が開示されており、得られた複合材料を負極のために用いた電気化学キャパシタが記載されている。特許文献5(特開2011−216747号公報)、特許文献6(特開2011−216748号公報)、特許文献7(特開2011−216749号公報)及び特許文献8(特開2012−146763号公報)には、上述した窒素がドープされたチタン酸リチウムのナノ粒子を含む複合材料を負極のために用いた電気化学キャパシタの好適な形態が開示されている。これらの文献の実施例では、10質量%のケッチェンブラック又はカーボンナノファイバが正極のための導電剤として使用されている。
特開2002−270175号公報 特開2003−132945号公報 特開2008−270795号公報 特開2011−213556号公報 特開2011−216747号公報 特開2011−216748号公報 特開2011−216749号公報 特開2012−146763号公報
ところで、電気化学キャパシタには、端子電圧が約2.8V〜約1.5Vの範囲において、端子電圧と放電容量或いは定電流放電における端子電圧と放電時間との間に図1のラインaで示すような直線的な変化が求められている。この直線的な変化が保たれることにより、キャパシタ容量を最大限に引き出すことができ、またキャパシタにおける残留容量を精度良く予測することができる。しかしながら、正極のために活性炭を使用し、負極のためにチタン酸リチウムを使用した電気化学キャパシタにおいて、端子電圧と放電容量との関係或いは定電流放電における端子電圧と放電時間との関係を測定すると、図1においてラインbで示すように、端子電圧が約1.5Vの近傍で放電容量が急速に減少する現象が認められる。
また、チタン酸リチウム粒子の表面にはSEI皮膜が形成されにくいものの、キャパシタが50℃以上の高温を経験すると、電解液の分解によるガスの発生とチタン酸リチウム粒子の表面でのSEI皮膜の形成とが生じるようになる。そして、この現象はチタン酸リチウム粒子が微細であるほど顕著である。電気化学キャパシタには60℃での使用に絶える耐熱性が要求されるため、このガスの発生とSEI皮膜形成によるキャパシタ特性の変化は回避されるべきである。発明者らが検討したところ、50℃以上の温度、好ましくは50〜70℃の温度で、2.8V以上の端子電圧を印加し、SEI皮膜の成長がほぼ停止するまでエージング処理を行う(以下、「高温エージング」という。)ことにより、以後のキャパシタ使用時の特性変化を抑制することができた。SEI皮膜の成長速度とガス発生量とは比例関係にあるため、ガス発生量をモニターすることによりSEI皮膜の成長がほぼ停止したか否かを確認することができる。しかしながら、上記エージングを施した電気化学キャパシタについて、端子電圧と放電容量或いは定電流放電における端子電圧と放電時間との関係を測定すると、図1においてラインcで示すように、端子電圧が約1.5Vの近傍で放電容量が急速に減少する現象がさらに顕著になっていた。
この放電容量の急速な減少は、キャパシタから引き出すことができる容量を低下させ、或いは、残留容量予測精度を低下させるため、回避されるべきである。そこで、本発明の目的は、正極のために活性炭を使用し、負極のためにチタン酸リチウムを使用した電気化学キャパシタにおいて、端子電圧が約1.5Vの近傍で発生する放電容量の減少量が低減された電気化学キャパシタを提供することである。
正極のために活性炭を使用し、負極のためにチタン酸リチウムを使用した電気化学キャパシタにおける端子電圧が約1.5Vの近傍での放電容量の急速な減少の原因は、放電により負極の作動電圧がLi/Liに対して約1.5Vから正側に上昇することであると考えられる。このことを、図2を用いて説明する。初期充電時には、正極はLi/Liに対して約3Vの点AからLi/Liに対して約4.3Vの点Bまで充電され、負極はLi/Liに対して約3Vの点Dから点Gを通ってLi/Liに対して約1.5Vの点Fまで急激に電位を低下させ、以後電位をLi/Liに対して約1.5Vに保ったままで点Eまで充電される。点Dから点Fまでの容量は、チタン酸リチウム1gあたり5.8mAhである。充電終了時の端子電圧、すなわち点Bと点Eとの電位差は約2.8Vである。続く放電時には、正極は点Bから点Cまで放電され、負極は点Eから点Fを通って点Gまで放電される。放電終了時の端子電圧、すなわち点Cと点Gとの電位差が約1.5Vである。したがって、放電終了時の負極の電位は、点Fから点Gに至る過程で、点FにおけるLi/Liに対して約1.5Vの電位から正側に上昇する。このことが、端子電圧が約1.5Vの近傍で放電容量が急速に減少する原因であると考えられる。
また、上述したように、高温エージングを行うと、キャパシタ使用時の特性変化を抑制することができるものの、端子電圧が約1.5Vの近傍で放電容量がさらに急速に減少するのは、高温エージングの過程でチタン酸リチウムの表面にSEI皮膜が形成されることが原因であると考えられる。このことを、図3を用いて説明する。初期充電時には、正極はLi/Liに対して約3Vの点AからLi/Liに対して約4.3Vの点Bまで充電され、負極はLi/Liに対して約3Vの点Dから点Gを通ってLi/Liに対して約1.5Vの点Eまで充電される。このとき、不可逆的に進行するSEI皮膜形成により、点Eから点Fまでの不可逆容量が発現する。すなわち、正極では充電のためにのみ用いられた電荷が、負極では充電とSEI皮膜形成へと振り分けられることになる、そのため、チタン酸リチウムの充電が進行しにくくなる。点Bと点Fとの電位差が約2.8Vである。続く放電時には、正極は点Bから点Cまで放電され、負極は点Fから点Gを通って点Hまで放電される。点Cと点Hとの電位差が約1.5Vである。したがって、放電終了時の負極の電位は、点Gから点Hに至る過程で、点GにおけるLi/Liに対して約1.5Vの電位から正側に急激に上昇する。このことが、端子電圧が約1.5Vの近傍で放電容量がさらに急速に減少する原因であると考えられる。
発明者らは、初期充電時に電気化学的に不可逆反応を起こす成分を正極に導入すれば、上記現象が回避されると考えた。このことを、図4を用いて説明する。初期充電時には、正極はLi/Liに対して約3Vの点AからLi/Liに対して約4.3Vの点Bまで充電され、このとき、上記成分の電気化学的に進行する不可逆反応により、点Bから点Cまでの不可逆容量が発現する。一方、初期充電時に、負極はLi/Liに対して約3Vの点Dから点H,Fを通ってLi/Liに対して約1.5Vの点Gまで充電される。点Cと点Gとの電位差が約2.8Vである。すなわち、負極では充電のためにのみ用いられた電荷が、正極では充電と上記成分の電気化学的な不可逆反応へと振り分けられることになり、上記成分の不可逆容量の分だけチタン酸リチウムの充電深度が深くなる。続く放電時には、正極は点Cから点Dまで放電され、負極は点Gから点Fを通って点Hまで放電される。点Dと点Hとの電位差が約1.5Vである。図2において、点Dから点Fまでの容量はチタン酸リチウム1gあたり5.8mAhであることを説明したが、図4において点Bから点Cまでの不可逆容量をチタン酸リチウム1gあたり5.8mAhに相当する容量とすることにより、放電終了時に負極の電位がLi/Liに対して約1.5Vの電位から正側に上昇することが抑制される。
そして、発明者らは、初期充電時に電気化学的に不可逆反応を起こす成分として、黒鉛及び膨張黒鉛が好適であることを発見し、発明を完成させた。初期充電において、黒鉛及び/又は膨張黒鉛の層面間に電解液中のアニオンがインターカレーションする不可逆反応が生じるが、この反応が不可逆容量の主要な部分を占める。また、黒鉛及び膨張黒鉛は高い電気伝導度を示すため、電気化学キャパシタの内部抵抗を増加させることもない。また、黒鉛及び/又は膨張黒鉛の使用により、キャパシタ特性の経時変化が抑制されることがわかっている。特許文献1〜8には、黒鉛を導電剤としうることは記載されているものの、初期充電時に電気的に不可逆反応を起こす成分として正極に黒鉛を含ませる点についてはなんら示されていない。
したがって、本発明は、活性炭を含む正極活物質層を有する正極と、チタン酸リチウムを含む負極活物質層を有する負極と、上記正極活物質層と上記負極活物質層との間に配置されたリチウム塩を含有する非水電解液を保持したセパレータと、を備えた電気化学キャパシタであって、上記正極が黒鉛及び/又は膨張黒鉛を含み、黒鉛及び/又は膨張黒鉛が、チタン酸リチウム1gあたり5.8mAh以上の初期不可逆容量を発現することを特徴とする電気化学キャパシタに関する。特に、膨張黒鉛がその層面間に電解液中のアニオンがインターカレーションしやすいため好ましい。なお、「初期不可逆容量」の語は、1回目の充放電において認められる不可逆容量を意味する。
黒鉛及び/又は膨張黒鉛の初期不可逆容量は、使用する黒鉛及び/又は膨張黒鉛の種類や形状等によって変化するが、以下のようにして求めることができる。所定量の黒鉛及び/又は膨張黒鉛と所定量の活性炭とを含む正極(作用極)とリチウム対極とを使用予定の電解液を含むセパレータを介して組み合わせた半電池Aと、黒鉛及び/又は膨張黒鉛を含まないが半電池Aと同量の活性炭を含む正極とリチウム対極とを使用予定の電解液を含むセパレータを介して組み合わせた半電池Bと、のそれぞれについて、キャパシタの使用温度下で、Li/Liに対して4.3V〜4.5Vの範囲で定電圧充電を行い、半電池Aの不可逆容量から半電池Bの不可逆容量を差し引いた値が求める不可逆容量である。そして、黒鉛及び/又は膨張黒鉛が、チタン酸リチウム1gあたり5.8mAh以上の初期不可逆容量を発現するように、黒鉛及び/又は膨張黒鉛の量と、チタン酸リチウムの量とを調整する。また、黒鉛及び/又は膨張黒鉛の層面間に電解液中のアニオンがインターカレーションする不可逆反応は、高温ほど起こりやすいため、約60℃の温度下でLi/Liに対して4.3V〜4.5Vの範囲で定電圧充電を行うことによって初期不可逆容量を求めると、安定且つ迅速に初期不可逆容量を求めることができる。このとき、充電してLi/Liに対して4.3V〜4.5Vに到達した後、約70時間以上Li/Liに対して4.3V〜4.5Vに維持し、次いで放電することにより初期不可逆容量を求めるのがさらに好ましい。
正極における黒鉛及び/又は膨張黒鉛は、活性炭とともに正極活物質層に含まれていても良く、正極活物質層とは別の層として正極に含まれていても良い。特に、黒鉛及び/又は膨張黒鉛が、正極活物質層と該正極活物質層を支持する集電体とを接着する導電性接着層に含まれていると、導電性接着層の厚みの調整により正極における初期不可逆容量を容易に調整することができるため好ましい。
上述したように、高温エージングによりキャパシタ使用時の特性変化を抑制することができるが、負極においてチタン酸リチウム粒子表面でのSEI皮膜形成のために初期充電時の電荷が消費されるため、この消費された電荷を相殺するため、正極における初期不可逆容量をさらに増大させる必要がある。特に、チタン酸リチウムがナノ粒子であると、単位質量あたりの表面積が極めて大きくなるため、SEI皮膜形成の影響が深刻になる。発明者らは、さらに検討を重ね、黒鉛及び/又は膨張黒鉛に起因する不可逆容量に加えて、活性炭に起因する不可逆容量も利用するのが好適であることを発見した。活性炭の不可逆容量は、高温領域で生じる表面官能基の電気化学的な不可逆反応に主として起因する。そして、チタン酸リチウムがナノ粒子である場合には、SEI皮膜の成長がほぼ停止するまで高温エージングを行っても、活性炭と、黒鉛及び/又は膨張黒鉛とが、合計で、チタン酸リチウムの表面積1mあたり4mAh以上の初期不可逆容量を発現可能な量に調整されていれば、キャパシタの端子電圧と放電容量或いは定電流放電における端子電圧と放電時間との間に直線的な関係が保たれ、端子電圧が約1.5Vの近傍での放電容量の急速な減少が抑制されることがわかった。このことは、チタン酸リチウムナノ粒子の表面に安定なSEI皮膜を形成するには、チタン酸リチウムの表面積1mあたり約4mAhに相当する電荷が必要であることを意味する。
活性炭の初期不可逆容量は、使用する活性炭の種類や形状等によって変化するが、以下のようにして求めることができる。活性炭の表面官能基の電気化学的な不可逆反応は、常温ではほとんど生じず、高温でのみ生じるため、黒鉛及び/又は膨張黒鉛を含まず活性炭のみを含む正極とリチウム対極とを使用予定の電解液を含むセパレータを介して組み合わせた半電池について、常温と、高温エージングにおける温度で、それぞれLi/Liに対して4.3V〜4.5Vの範囲で定電圧充電を行い、高温測定における不可逆容量から常温測定における不可逆容量を差し引いた値が求める不可逆容量である。そして、活性炭に起因する不可逆容量と、黒鉛及び/又は膨張黒鉛に起因する不可逆容量が、合計で、チタン酸リチウムの表面積1mあたり4mAh以上の初期不可逆容量を発現するように、活性炭の量、黒鉛及び/又は膨張黒鉛の量、或いは、活性炭と黒鉛及び/又は膨張黒鉛の両方の量と、チタン酸リチウムナノ粒子の量とを調整する。活性炭の量を所望量に固定し、黒鉛及び/又は膨張黒鉛の量を調整するのが簡便である。
チタン酸リチウムのナノ粒子を負極活物質として使用した電気化学キャパシタを高温エージングすることにより得られた、チタン酸リチウムのナノ粒子の表面にSEI皮膜が形成されており、黒鉛及び/又は膨張黒鉛の層面間にリチウム塩を構成しているアニオンが挿入されている電気化学キャパシタは、キャパシタ使用時の特性変化が抑制されており、キャパシタの端子電圧と放電容量或いは定電流放電における端子電圧と放電時間との間に直線的な関係が良好に保たれる上に、大電流での放電においても容量の低下が抑制された優れたレート特性を示す。
正極に含まれる黒鉛及び/又は膨張黒鉛がチタン酸リチウム1gあたり5.8mAh以上の初期不可逆容量を発現する本発明の電気化学キャパシタでは、端子電圧が約1.5Vの近傍で発生する放電容量の減少量が低減し、キャパシタの端子電圧と放電容量或いは定電流放電における端子電圧と放電時間との間にほぼ直線的な関係が認められるようになる。そのため、キャパシタ容量をより多く引き出すことができ、またキャパシタにおける残留容量を予測しやすくなる。また、黒鉛及び/又は膨張黒鉛の使用により、キャパシタ特性の経時変化が抑制されている。
キャパシタの端子電圧と放電容量及び定電流放電における端子電圧と放電時間との関係を模式的に示した図である。 従来の電気化学キャパシタにおける正極及び負極の充放電曲線を模式的に示した図である。 従来の電気化学キャパシタにおける正極及び負極の高温における充放電曲線を模式的に示した図である。 本発明の電気化学キャパシタにおける正極及び負極の充放電曲線を模式的に示した図である。
本発明の電気化学キャパシタは、活性炭を含む正極活物質層を有する正極と、チタン酸リチウムを含む負極活物質層を有する負極と、正極活物質層と負極活物質層との間に配置されたリチウム塩を含有する非水電解液を保持したセパレータとを備えており、正極にはさらに黒鉛及び/又は膨張黒鉛が含まれている。本発明の電気化学キャパシタの初期充電時に、黒鉛及び/又は膨張黒鉛の層面間に電解液中のアニオンがインターカレーションする不可逆反応が起こり、この不可逆反応に主に起因する初期不可逆容量が発現する。また、黒鉛及び/又は膨張黒鉛の使用により、キャパシタ特性の経時変化が抑制される。
負極は、チタン酸リチウムを含む負極活物質層と、これを支持する集電体とを備えている。負極活物質層は、必要に応じてバインダを溶解した溶媒に、チタン酸リチウム及び必要に応じて導電剤を分散させ、得られた分散物をドクターブレード法等によって集電体上に塗工し、乾燥することにより作成することができる。また、得られた分散物を所定形状に成形し、集電体上に圧着しても良い。
上記分散物を形成するための溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N−N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン等の非水溶媒や水溶媒を用いることができるが、非水溶媒を用いるのが好ましい。溶媒は、単独で使用しても良く、2種以上を混合して使用しても良い。
上記分散物を形成するためのバインダとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニル、カルボキシメチルセルロース、ニトロセルロース、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等の公知のバインダが使用される。また、ニトリル基含有モノマー由来の繰り返し単位を80質量%以上含むニトリル系ポリマーは、低い電解液膨潤性を有する上に、負極活物質層内の粒子同士の接着性或いは負極活物質層と集電体との接着性に優れ、負極活物質層のチタン酸リチウムを高密度化させることができ、電気化学キャパシタの内部抵抗を低下させることができるため、好ましいバインダである。上記ニトリル系ポリマーの例としては、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリルに加えて、アクリロニトリル及び/又はメタクリロニトリルをアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等と共重合させた変性アクリロニトリル樹脂が挙げられる。特に、アクリル酸−メトキシトリエチレングリコールアクリレート−アクリロニトリルターポリマーが好ましい。これらのポリマーは、単独で使用しても良く、2種以上を混合して使用しても良い。バインダの含有量は、分散物全体に対して1〜30質量%、好ましくは1〜5質量%の範囲である。1質量%以下であると活物質層の強度が十分でなく、30質量%以上であると、負極の放電容量が低下する、内部抵抗が過大になる等の不都合が生じる。
負極活物質のチタン酸リチウムとしては、公知の方法で製造されたものを特に限定なく使用することができる。例えば、二酸化チタンと炭酸リチウム或いは水酸化リチウムをチタン:リチウムの質量比が5:4になるように混合し、酸素含有雰囲気中700〜1000℃の温度で焼成することによりチタン酸リチウム粒子を得ることができる。また、リチウム塩とチタン塩とを含む水溶液を噴霧乾燥法等により処理して溶媒を蒸発させ、得られた混合物を焼成しても良い。さらに、これらの方法で得られたチタン酸リチウムを粉砕して使用することもできる。粉砕は湿式粉砕でも乾式粉砕でも良い。粉砕機の例としては、ライカイ器、ボールミル、ビーズミル、ロッドミル、ローラミル、攪拌ミル、遊星ミル、ハイブリダイザー、メカノケミカル複合化装置及びジェットミルを挙げることができる。
導電剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ、無定形炭素、炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化ケッチェンブラック、メソポーラス炭素等の導電性カーボン粉末を使用することができる。また、気相法炭素繊維を使用することもできる。特に、アセチレンブラックは、活物質層の電気伝導度が高くなることによると思われるが、電気化学キャパシタのレート特性を向上させる好適な導電剤である。これらのカーボン粉末は、単独で使用しても良く、2種以上を混合して使用しても良い。
また、特許文献3及び特許文献4に記載されている、ずり応力と遠心力を加えた化学反応により導電性カーボン上にチタン酸リチウム前駆体を担持させる工程を介して製造された複合材料は、本発明の電気化学キャパシタにおける負極活物質層のために好適に用いられる。
集電体としては、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、チタン、鋼、カーボン等の導電材料を使用することができる。高い熱伝導性と電子伝導性とを有するアルミニウム或いは銅が好ましい。集電体の形状は、膜状、箔状、板状、網状、エキスパンドメタル状、円筒状等の任意の形状を採用することができる。
また、表面に導電性接着層が設けられた集電体を使用し、導電性接着層によって集電体と負極活物質層とを接着することもできる。導電性接着層は、溶剤に導電剤としての導電性カーボン粉末や金属粉とバインダとしての熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を添加した組成物を集電体上に塗布することにより形成することができる。導電性接着層により負極活物質層と集電体とが電気的に接続されるため、電気化学キャパシタの内部抵抗が低下する。導電性カーボン粉末として、黒鉛及び/又は膨張黒鉛が含まれていてもよいが、負極に含まれる黒鉛及び/又は膨張黒鉛によっては、黒鉛及び/又は膨張黒鉛の層面間への電解液中のアニオンのインターカレーションに主として起因する初期不可逆容量は発現しない。
正極は、活性炭を含む正極活物質層とこれを支持する集電体とを備えている。正極にはさらに、黒鉛及び/又は膨張黒鉛が含まれている。特に、膨張黒鉛はその層面間に電解液中のアニオンがインターカレーションしやすいため好ましい。黒鉛及び/又は膨張黒鉛は、活性炭とともに正極活物質層に含まれていても良く、正極活物質層とは別の層として正極に含まれていても良く、両者に含まれていても良い。
黒鉛としては、粒子全体で単一の多層構造を有する黒鉛が、層面間への電解液中のアニオンのインターカレーションが生じやすいため好ましく、例えば、天然黒鉛、キッシュ黒鉛、高配向性熱分解黒鉛などが好適である。膨張黒鉛としては、従来から公知のものを特に限定なく使用することができる。膨張黒鉛は公知の方法により製造することができ、例えば、硫酸と硝酸との混合水溶液中に天然黒鉛を浸漬した後、天然黒鉛を混合水溶液から取り出して水洗し、次いで急速加熱して天然黒鉛の層面間に進入した化合物の分解によって天然黒鉛の層面間の間隔を拡げる方法が挙げられる。黒鉛及び膨張黒鉛には、官能基が化学的に或いは弱い相互作用により擬似的に結合していても良い。
正極活物質層は、例えば、必要に応じてバインダを溶解した溶媒に、活性炭粉末及び必要に応じて導電剤を分散させ、得られた分散物をドクターブレード法等によって集電体上に塗工し、乾燥することにより、作成することができる。また、得られた分散物を所定形状に成形し、集電体上に圧着しても良い。
活性炭原料としては、石油系ピッチ、石炭系ピッチ、メソフェーズ系ピッチ等のピッチ系原料、これらピッチ系材料を熱処理することにより得られるコークス系原料、やしがら、木粉等の植物系原料、フェノール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、レゾルシノール系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリブチラール、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセテート等の合成樹脂系原料およびこれらの炭化物を用いることができる。
賦活処理としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム等を賦活剤として用いるアルカリ賦活処理、塩化亜鉛、リン酸等を賦活剤として用いる薬品賦活処理、二酸化炭素、空気等を賦活剤として用いるガス賦活処理、水蒸気を賦活剤として用いる水蒸気賦活処理等が挙げられる。特に、アルカリ賦活処理が、高度に発達した細孔構造を有する活性炭を与えるため好ましい。
正極活物質層用の分散物を形成するための溶媒、導電剤及びバインダについては、負極活物質層用の分散物を得るための溶媒、導電剤及びバインダの記載が正極活物質層においてもあてはまる。黒鉛及び/又は膨張黒鉛を、導電剤を兼ねて正極活物質層に含ませることができる。
正極のための集電体については、負極のための集電体の記載が正極においても当てはまるが、正極においては特に、黒鉛及び/又は膨張黒鉛を導電剤として含む導電性接着層を備えた集電体が好適に用いられる。
本発明の電気化学キャパシタでは、正極に、黒鉛及び/又は膨張黒鉛が、負極活物質層を構成するチタン酸リチウム1gあたり5.8mAh以上の初期不可逆容量を発現する量で含まれる。端子電圧が約1.5Vの近傍で発生する放電容量の減少量が大幅に低減し、キャパシタの端子電圧と放電容量或いは定電流放電における端子電圧と放電時間との間にほぼ直線的な関係が認められるようになる。また、チタン酸リチウムがナノ粒子である場合には、活性炭と、黒鉛及び/又は膨張黒鉛とが、合計で、チタン酸リチウムの表面積1mあたり4mAh以上の初期不可逆容量を発現可能な量に調整されていれば、SEI皮膜の成長がほぼ停止するまで高温エージングを行っても、端子電圧が約1.5Vの近傍で発生する放電容量の減少量が大幅に低減し、キャパシタの端子電圧と放電容量或いは定電流放電における端子電圧と放電時間との間に直線的な関係が保たれる。
また、本発明の電気化学キャパシタでは、チタン酸リチウムの単位質量あたりの放電容量と、活性炭の単位質量あたりの放電容量とを参照し、チタン酸リチウムの100%放電容量が活性炭の100%放電容量の1.75〜3.7倍の範囲になるように、チタン酸リチウムと活性炭の量が調整されるのが好ましい。チタン酸リチウムの100%放電容量が活性炭の100%放電容量の1.75倍未満であると、電気化学キャパシタにおける直流内部抵抗の増加が著しくなり、また高温経験による直流内部抵抗の変化が著しくなる。チタン酸リチウムの100%放電容量が活性炭の100%放電容量の3.7倍を超えると、もはや直流内部抵抗の低下が期待できない上に、電気化学キャパシタ製品の体積あたりの容量が低下してしまう。なお、チタン酸リチウムの単位質量あたりの100%放電容量と、活性炭の単位質量あたりの100%放電容量とは、以下の方法で求めた値を意味する。チタン酸リチウムを含む負極活物質層を備えた作用極とリチウム対極とを使用予定の電解液を含むセパレータを介して組み合わせた半電池を形成し、レート1CでLi/Liに対して3V〜1Vの範囲で充放電を行い、この間のチタン酸リチウム1gあたりの放電容量を、チタン酸リチウムの単位質量あたりの100%放電容量とする。また、活性炭を含む正極活物質層を備えた作用極とリチウム対極とを使用予定の電解液を含むセパレータを介して組み合わせた半電池を形成し、レート1CでLi/Liに対して4.3V〜3Vの範囲で充放電を行い、この間の活性炭1gあたりの放電容量を、活性炭の単位質量あたりの100%放電容量とする。
本発明の電気化学キャパシタは、正極活物質層と負極活物質層との間にリチウム塩を含有する非水電解液を保持したセパレータを備える。セパレータとしては、例えば、ポリオレフィン繊維不織布、ガラス繊維不織布、ポリオレフィン微多孔質膜、セルロース繊維布等の公知のセパレータを特に限定なく使用することができる。セパレータに保持される電解液は、非水系溶媒に電解質を溶解させた電解液が使用され、公知の非水系電解液を特に制限なく使用することができる。
非水系電解液の溶媒には特に限定がなく、カーボネート類、エーテル類、ケトン類、ラクトン類、ニトリル類、炭化水素類、エステル類、リン酸エステル系化合物、スルホラン系化合物等を使用することができ、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、スルホラン、3−メチルスルホラン、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン又はこれらの混合物を好適に使用することができる。特に、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとの混合溶媒は、溶媒の低粘度特性によるリチウムイオンの拡散速度の高まりによるものと思われるが、電気化学キャパシタのレート特性を向上させる好適な溶媒である。また、チタン酸リチウム粒子に安定で強固なSEI皮膜を形成するために、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、プロパンスルトン、ブタンスルトン、エチレンスルフィド、スルホレンを電解液に添加することができる。特に、ビニレンカーボネートは好適な添加物である。
非水系電解液の溶質としては、有機電解液に溶解したときにリチウムイオンを生成する塩を、特に限定なく使用することができる。例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiN(CFSO、LiCFSO、LiC(SOCF、LiN(SO、LiAsF、LiSbF、LiPF(C又はこれらの混合物を好適に使用することができる。リチウム塩の濃度は、一般には0.1〜2.5mol/L、好ましくは0.5〜2mol/Lの範囲である。非水系電解液の溶質として、リチウムイオンを生成する塩に加えて、第4級アンモニウムカチオン又は第4級ホスホニウムカチオンを有する第4級アンモニウム塩又は第4級ホスホニウム塩を使用することができる。例えば、R又はRで表されるカチオン(ただし、R、R、R、Rは炭素数1〜6のアルキル基を表す)と、PF 、BF 、ClO 、N(CFSO 、CFSO 、C(SOCF 、N(SO 、AsF 又はSbF からなるアニオンとからなる塩、又はこれらの混合物を好適に使用することができる。特に、リチウム塩と第4級アンモニウム塩とを含む電解液は、溶媒の溶媒和構造が変化してリチウムイオンの拡散速度が高くなることによると思われるが、電気化学キャパシタのレート特性を向上させる好適な電解液である。
本発明により、端子電圧が低下したときの放電容量の急速な減少が抑制された電気化学キャパシタが得られる。
本発明を以下の実施例を用いて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
(1)ミクロンオーダーのチタン酸リチウム粒子の利用
実施例1
水に黒鉛とバインダとしてのポリアミドイミドとを添加した組成物をアルミニウム箔上に所定厚みで塗布することにより、導電性接着層を形成した。
活性炭(クラレケミカル株式会社製YP−17)と、導電剤としてのケッチェンブラックと、増粘剤としてのカルボキシメトキシセルロースと、スチレンブタジエンゴムバインダとを、10:1:0.25:0.3の質量比で水に分散し、攪拌機で混合してスラリーを得た。得られたスラリーを、上述した黒鉛を含む導電性接着層を備えたアルミニウム箔に所定厚みで塗布し、乾燥させた。次いで、乾燥後のシートを3×4cmの面積となるように打ち抜き、ロールプレス機でプレスすることにより、正極を得た。
次いで、チタン酸リチウム(石原産業株式会社製LT−109、メジアン径6.9μm)3.5gと、導電剤としてのカーボンナノファイバ1.5gと、変性アクリロニトリル樹脂を含むバインダ組成物(日立化成株式会社製LSR−7)4.29gと、N−メチルピロリドン27gを薄膜旋回型ミキサーで混合してスラリーを得た。得られたスラリーを、上述した黒鉛を含む導電性接着層を備えたアルミニウム箔に所定厚みで塗布し、乾燥させた。次いで、乾燥後のシートを3×4cmの面積となるように打ち抜き、ロールプレス機でプレスすることにより、負極を得た。
上記正極と上記負極とをセルロース製セパレータを介して積層し、1MLiBFを含むプロピレンカーボネート電解液を含浸させ、アルミニウムラミネートで封入して電気化学キャパシタを得た。
なお、導電性接着層の厚みは、黒鉛がチタン酸リチウム1gに対して5.8mAhの初期不可逆容量になるように設定された。また、正極活物質層と負極活物質層の厚みは、チタン酸リチウムの100%放電容量の活性炭の100%放電容量に対する倍率が2.7になるように設定された。
得られた電気化学キャパシタについて、常温にて、電流12mAで2.8Vまで充電し、30分間2.8Vに維持し、電流12mAで1.5Vまで放電する充放電サイクルを2回行った。各充放電サイクルにおいて、端子電圧と放電時間との間の関係が直線的な関係に近づいていた。また、この電気化学キャパシタの放電容量は0.95mAhであった。
比較例1
正極の製造において黒鉛を含む導電性接着層を備えていないアルミニウム箔を用いた点を除いて、実施例1の手順を繰り返した。各充放電サイクルにおいて、端子電圧と放電時間との間に直線的な関係が認められず、端子電圧が1.5Vの近傍で放電容量が急速に減少した。また、この電気化学キャパシタの放電容量は0.85mAhであり、実施例1のキャパシタの放電容量よりも小さかった。
(2)チタン酸リチウムナノ粒子の利用
実施例2
水に黒鉛とバインダとしてのポリアミドイミドとを添加した組成物をアルミニウム箔上に所定厚みで塗布することにより、導電性接着層を形成した。
活性炭(クラレケミカル株式会社製YP−17)と、導電剤としてのケッチェンブラックと、増粘剤としてのカルボキシメトキシセルロースと、スチレンブタジエンゴムバインダとを、10:1:0.25:0.3の質量比で水に分散し、攪拌機で混合してスラリーを得た。得られたスラリーを、上述した黒鉛を含む導電性接着層を備えたアルミニウム箔に所定厚みで塗布し、乾燥させた。次いで、乾燥後のシートを3×4cmの面積となるように打ち抜き、ロールプレス機でプレスすることにより、正極を得た。
チタン酸リチウム(石原産業株式会社製LT−109、メジアン径6.9μm)を、エタノールを分散媒としてビーズミルにより湿式粉砕し、平均粒径35nmのナノ粒子を得た。ナノ粒子の平均粒径はSEM写真による観察から導出した。得られたチタン酸リチウムのナノ粒子3.5gと、導電剤としてのカーボンナノファイバ1.5gと、変性アクリロニトリル樹脂を含むバインダ組成物(日立化成株式会社製LSR−7)4.29gと、N−メチルピロリドン27gを薄膜旋回型ミキサーで混合してスラリーを得た。得られたスラリーを、上述した黒鉛を含む導電性接着層を備えたアルミニウム箔に所定厚みで塗布し、乾燥させた。次いで、乾燥後のシートを3×4cmの面積となるように打ち抜き、ロールプレス機でプレスすることにより、負極を得た。
上記正極と上記負極とをセルロース製セパレータを介して積層し、1MLiBFを含むプロピレンカーボネート電解液を含浸させ、アルミニウムラミネートで封入して電気化学キャパシタを得た。
チタン酸リチウムの100%放電容量の活性炭の100%放電容量に対する倍率は2.7に調整されている。また、70℃の充放電における初期不可逆容量は、活性炭に起因する初期不可逆容量がチタン酸リチウムの表面積1mあたり3.35mAhであり、黒鉛に起因する初期不可逆容量がチタン酸リチウムの表面積1mあたり1.45mAhであった。
得られた電気化学キャパシタについて、70℃の条件下、電流12mAで2.9Vまで充電し、2.9Vで72時間放置した後、放電する高温エージングを行った。次いで、常温にて、電流12mAで2.8Vまで充電し、30分間2.8Vに維持し、電流12mAで1.5Vまで放電する充放電サイクルを2回行った。各充放電サイクルにおいて、端子電圧が約1.5Vの近傍で発生する放電容量の減少が認められず、端子電圧と放電時間との間に直線的な関係が認められた。また、この電気化学キャパシタの放電容量は1.1mAhであった。
実施例3
70℃の条件下、電流12mAで2.9Vまで充電し、2.9Vで72時間放置した後、放電する高温エージングの代わりに、40℃の条件下、電流12mAで3.0Vまで充電し、3.0Vで12時間放置した後放電するエージングを行った点を除いて、実施例の手順を繰り返した。各充放電サイクルにおいて、端子電圧が約1.5Vの近傍で発生する放電容量の減少が認められず、端子電圧と放電時間との間に直線的な関係が認められた。また、この電気化学キャパシタの放電容量は1.1mAhであった。
比較例2
正極の製造において黒鉛を含む導電性接着層を備えていないアルミニウム箔を用いた点を除いて、実施例2の手順を繰り返した。各充放電サイクルにおいて、端子電圧と放電時間との間に直線的な関係が認められず、端子電圧が1.5Vの近傍で放電容量が急速に減少した。また、この電気化学キャパシタの放電容量は0.9mAhであり、実施例2のキャパシタの放電容量よりも小さかった。
比較例3
正極の製造において黒鉛を含む導電性接着層を備えていないアルミニウム箔を用いた点を除いて、実施例3の手順を繰り返した。各充放電サイクルにおいて、端子電圧と放電時間との間に直線的な関係が認められず、端子電圧が1.5Vの近傍で放電容量が急速に減少した。また、この電気化学キャパシタの放電容量は0.9mAhであり、実施例3のキャパシタの放電容量よりも小さかった。
実施例2,3及び比較例2,3の電気化学キャパシタについて、常温で、端子電圧2.8V−1.5Vの範囲を電流24mAの条件で充放電するサイクル試験を5000回行い、容量変化を追跡した。以下の表1に、5000サイクル経過後の容量維持率を示す。
Figure 0006562591
表1から把握されるように、黒鉛を含む導電性接着層を正極に備えた電気化学キャパシタは、黒鉛を含む導電性接着層を正極に備えていない電気化学キャパシタに比較して、容量維持率が高いことがわかる。また、高温エージングを行った電気化学キャパシタは、高温エージングを行っていない電気化学キャパシタに比較して、容量維持率が高いことがわかる。黒鉛を含む導電性接着層を正極に備え、高温エージングを行った実施例2の電気化学キャパシタは、極めて高い容量維持率を示した。
本発明により、端子電圧が低下したときの放電容量の急速な減少が抑制されており、安定なキャパシタ特性を有する電気化学キャパシタが提供される。

Claims (3)

  1. 活性炭を含む正極活物質層を有する正極と、
    スピネル型のチタン酸リチウムを含む負極活物質層を有する負極と、
    前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に配置されたリチウム塩を含有する非水電解液を保持したセパレータと、
    を備えた電気化学キャパシタであって、
    前記正極が黒鉛及び/又は膨張黒鉛を含み、
    黒鉛及び/又は膨張黒鉛が、チタン酸リチウム1gあたり5.8mAh以上の黒鉛及び/又は膨張黒鉛の層面間に前記電解液中のアニオンがインターカレーションする不可逆反応に主に起因する初期不可逆容量を発現することを特徴とする電気化学キャパシタ。
  2. チタン酸リチウムがナノ粒子であり、
    活性炭と、黒鉛及び/又は膨張黒鉛とが、合計で、チタン酸リチウムの表面積1mあたり4mAh以上の初期不可逆容量を発現可能である、請求項1に記載の電気化学キャパシタ。
  3. 黒鉛及び/又は膨張黒鉛が、前記正極活物質層と該正極活物質層を支持する集電体とを接着する導電性接着層に含まれている、請求項1又は2に記載の電気化学キャパシタ。
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