JP6561629B2 - 繊維強化複合材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、三次元形状かつ外観品位に優れる繊維強化複合材料を生産性良く成形するための製造方法に関する。
強化繊維と熱硬化性樹脂からなる繊維強化複合材料は、軽量性と力学特性のバランスに優れることから、航空機や自動車、船舶などの構造用部材、電子機器筐体や、スポーツ用途、建材などの工業材料として幅広く用いられている。このようなニーズの増加に伴い、繊維強化複合材料は、その生産サイクルの向上が重要な技術課題とされてきた。生産サイクルを向上させる手段の一つとしては、加熱加圧成形において離型フィルムを用いることで、繊維強化複合材料を金型から脱型する工程を改善する方法が挙げられる。
特許文献1には、エポキシ樹脂基盤のような熱硬化性樹脂部材との離型性に優れる離型フィルムが開示されている。
特許文献2には、プリプレグと離型フィルムを積層成形する片面板の製造方法が開示されている。
特許文献3には、フレキシブルプリント基板を製造するための加熱加圧工程に用いる離型フィルムが開示されている。
しかしながら特許文献1〜3は、平板形状の繊維強化複合材料について開示されたものであった。近年の更なるニーズの増加に伴い、繊維強化複合材料には、前述の生産サイクルの向上に加えて、様々な形状への成形加工性を両立させることが求められるようになっており、このような用途において、特許文献1〜3に開示の発明だけでは、得られる繊維強化複合材料に外観不良を発生する場合があった。
特開2005‐280125号公報 特開2007‐290260号公報 WO2008/001682号公報
本発明は、かかる従来技術の問題点の改善を試み、三次元形状の繊維強化複合材料の加熱加圧成形においても、離型フィルムによる外観不良を抑制でき、外観品位に優れる繊維強化複合材料をハイサイクルで製造するための方法を提供することを課題とする。
発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の製造条件を満たすことで、三次元形状で外観品位に優れる繊維強化複合材料を生産性良く成形可能なことを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、強化繊維(A)と熱硬化性樹脂(B)とを含む繊維強化基材を、離型フィルム(C)で挟んだ複合体とし、該複合体を成形温度に加熱した金型に挟んで加圧することで、熱硬化性樹脂(B)を硬化させる繊維強化複合材料の製造方法であって、下記(i)〜(iii)を満たすことを特徴とする、繊維強化複合材料の製造方法である。
(i)繊維強化複合材料が少なくとも1つの屈曲部を有する。
(ii)該成形温度が130〜180℃であり、加圧時間が0.5〜20分である。
(iii)離型フィルム(C)の熱収縮率が下記式(1)および式(2)を満たす。
0< Ta ≦20・・・式(1)
1≦ Ta−Tb ≦20・・・式(2)
Ta:該成形温度と同じ温度で、熱機械分析装置を用いて測定した離型フィルム(C)の熱収縮率(%)
Tb:該成形温度よりも30℃低い温度で、熱機械分析装置を用いて測定した離型フィルム(C)の熱収縮率(%)。
本発明により、三次元形状の繊維強化複合材料の加熱加圧成形においても、離型フィルムによる外観不良を抑制でき、外観品位に優れる繊維強化複合材料をハイサイクルで製造することが可能である。
繊維強化複合材料の一例を示す模式図。 頂点の例を示す模式図。
本発明の繊維強化複合材料の製造方法は、強化繊維(A)と熱硬化性樹脂(B)とを含む繊維強化基材を、離型フィルム(C)で挟んだ複合体とし、該複合体を成形温度に加熱した金型に挟んで加圧することで、熱硬化性樹脂(B)を硬化させる繊維強化複合材料の製造方法であって、下記(i)〜(iii)を満たすことを特徴とする、繊維強化複合材料の製造方法である。
(i)繊維強化複合材料が少なくとも1つの屈曲部を有する。
(ii)該成形温度が130〜180℃であり、加圧時間が0.5〜20分である。
(iii)離型フィルム(C)の熱収縮率が下記式(1)および式(2)を満たす。
0< Ta ≦20・・・式(1)
1≦ Ta−Tb ≦20・・・式(2)
Ta:該成形温度と同じ温度で、熱機械分析装置を用いて測定した離型フィルム(C)の熱収縮率(%)
Tb:該成形温度よりも30℃低い温度で、熱機械分析装置を用いて測定した離型フィルム(C)の熱収縮率(%)。
まず、(i)の特徴について詳しく説明する。本発明により得られる繊維強化複合材料は、少なくとも1つの屈曲部を有することが重要である。つまり本発明は、少なくとも1つの屈曲部を有する繊維強化複合材料の製造方法である。繊維強化複合材料の製造方法において屈曲部を形成可能とすることで、3次元形状の製品がハイサイクルで生産できるようになる。また、後加工での接合による継ぎ目を減らすことが出来る為に、力学特性に優れた繊維強化複合材料を簡便に生産することが可能となる。
ここで図面を用いて、本発明における屈曲部について説明する。図1は本発明の繊維強化複合材料を示す一例である。図1において、繊維強化複合材料を形成する5つの面部を(a)〜(e)とすると、該面部(a)〜(e)が相互につながる部位が屈曲部である。例えば、図1には、面部(a)と面部(b)で形成される屈曲部、面部(a)と面部(d)で形成される屈曲部、面部(a)と面部(e)で形成される屈曲部、面部(b)と面部(c)で形成される屈曲部、面部(b)と面部(e)で形成される屈曲部、面部(c)と面部(d)で形成される屈曲部、面部(c)と面部(e)で形成される屈曲部、面部(d)と面部(e)で形成される屈曲部の合計8個の屈曲部が存在する。
より複雑な形状の繊維強化複合材料を形成させるという観点からは、繊維強化複合材料の屈曲部は、その長さが5〜4000mmであることが好ましく、10〜3000mmであることがより好ましく、10〜2000mmであることがさらに好ましい。
次に、(ii)の特徴について詳しく説明する。本発明では、後述する複合体を成形温度に加熱した金型に挟んで加圧することで、少なくとも1つの屈曲部を有する繊維強化複合材料を製造する。そしてこの際の成形温度は、130〜180℃であり、130〜170℃が好ましく、140〜160℃がより好ましい。かかる成形温度とすることで、繊維強化複合材料や離型フィルム(C)の熱分解に由来する繊維強化複合材料の外観不良を抑えることができる。ここでの成形温度とは、温度計を用いて金型表面を直接測定した、金型の表面温度のことを意味する。温度計としては熱電対や、赤外線を用いる非接触温度計が例示できるが、測定精度の観点から熱電対を用いることが好ましい。
本発明の繊維強化複合材料の製造方法において、加圧時間は、0.5〜20分であり、1〜10分が好ましく、2〜5分がより好ましい。かかる加圧時間とすることで、繊維強化複合材料をハイサイクルで生産することと三次元形状への成形加工性とを両立させることができる。ここでの加圧時間とは、前記複合体を金型に挟んでから取り出すまでの加圧力を付与していた時間のことを意味する。
次に、(iii)の特徴について詳しく説明する。本発明では、後述する繊維強化基材を離型フィルム(C)で挟むことで複合体とする。そしてこの際に用いる離型フィルム(C)は、熱収縮率が下記式(1)および式(2)を満たすことが重要である。
0< Ta ≦20・・・式(1)
1≦ Ta−Tb ≦20・・・式(2)
Ta:成形温度と同じ温度で、熱機械分析装置を用いて測定した離型フィルム(C)の熱収縮率(%)
Tb:成形温度よりも30℃低い温度で、熱機械分析装置を用いて測定した離型フィルム(C)の熱収縮率(%)。
式(1)の特徴を満たすことにより、成形温度で加熱し、熱硬化性樹脂(B)を硬化させる際に、離型フィルム(C)が膨張してシワを発生することを防ぐことができる。前述の通りTaは0%より大きく20%以下であるが、0%より大きく10%以下が好ましく、0%より大きく5%以下がさらに好ましい。Taがかかる0%以下の場合、熱硬化性樹脂(B)を硬化させる際に、離型フィルム(C)が膨張してシワを発生し、このシワが転写してしまうことで繊維強化複合材料が外観不良となる。Taが20%よりも大きい場合、離型フィルム(C)の収縮が大きいために、繊維強化基材や繊維強化複合材料が露出してしまい、金型を汚染する原因となる。
式(2)の特徴を満たすことにより、加圧時間中に離型フィルム(C)を好ましい範囲で収縮させることが可能となる。通常、複合体を金型間に投入してから、加圧するまでには時間差があり、この間も金型間に設置された離型フィルム(C)は、成形温度に向けて昇温する。また、屈曲部を有した繊維強化複合材料の製造方法において、離型フィルム(C)は三次元形状に変形を受ける為、離型フィルム(C)は折れたり、重なることでシワを発生する。このようにして発生するシワを低減させる観点からは、加圧時間中に、特定の範囲で離型フィルム(C)を収縮させることが好ましく、従って、式(2)の特徴を満たすことが重要となる。前述の通りTa−Tbは1%以上20%以下であるが、1%以上10%以下が好ましく、1%以上5%以下がより好ましい。Ta−Tbが1%よりも小さい場合、加圧時間中の離型フィルム(C)の収縮が不十分となり、離型フィルム(C)が金型に追従せず、繊維強化複合材料にシワ状の外観不良を転写してしまう。このような外観不良は、とりわけ屈曲部で発生しやすい。Ta−Tbが20%よりも大きい場合、加圧時間中の離型フィルム(C)の収縮が大きいために、繊維強化基材や繊維強化複合材料が露出してしまい、金型を汚染する原因となる。
とりわけ、繊維強化複合材料のハイサイクル成形においては、熱硬化性樹脂(B)を短時間で硬化させることが好ましいため、外観品位に優れる繊維強化複合材料を得るためには、離型フィルム(C)は、式(1)および式(2)の特徴を同時に満たすことが重要となる。
本発明において、離型フィルム(C)の熱収縮率とは、熱機械分析装置を用いて測定できる、所定の温度まで昇温した時点の値のことを意味する。例えば、加熱前の離型フィルム(C)の寸法と、所定の温度に加熱し、次いでこれを室温まで冷却した後の寸法とで熱収縮率を計算する方法では、所定の温度まで昇温した時点の熱収縮率を表しているとは言えない。
したがって、本願における離型フィルム(C)の熱収縮率は、30℃から180℃まで昇温速度5℃/分で、2kgfの一定荷重下で熱機械分析を行った際に、荷重方向で見た、30℃時点のサンプル長さを基準とした、各温度到達時点のサンプル長さから求めることができる。例えばX℃における熱収縮率は、{(30℃時点のサンプル長さ)−(X℃時点のサンプル長さ)}/(30℃時点のサンプル長さ)×100(%)で求めることが出来る。また、本発明において、熱収縮率が正の値の場合、離型フィルム(C)は30℃時点より収縮しており、熱収縮率が負の値の場合、離型フィルム(C)が30℃時点より膨張していることを意味する。離型フィルム(C)の熱収縮率は、後述のMD方向とTD方向のそれぞれを熱機械分析における荷重方向と平行に測定した値を代表値として用いれば良い。
また本発明においては、MD方向の熱収縮率が式(1)及び式(2)を満たし、同時にTD方向の熱収縮率も式(1)及び式(2)を満たすことが重要であり、いずれか一方向の熱収縮率のみが式(1)と式(2)を満たすだけでは、優れた繊維強化複合材料の製造方法を提供することができない。
本発明において、繊維強化複合材料に複雑な形状を形成させる観点からは、屈曲部におけるR部の曲率半径が20mm以下であることが好ましく、10mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることがさらに好ましい。曲率半径が小さい程、離型フィルム(C)のシワが発生しやすく、外観品位に優れる繊維強化複合材料を得ることが困難となるため、20mm以下とすることで本願の効果をより一層高めることが可能となる。曲率半径の下限については特に制限はないが、通常、0.1mm以上で形成することが想定される。
ここで、屈曲部におけるR部は、図1に示すように屈曲部を拡大した部位の曲面を形成する部分のことである。さらに図1が示すように、該R部の屈曲程度を表すために、R部の屈曲に最も適合する円を想定した曲率半径を使用する。曲率半径は、繊維強化複合材料の屈曲部を切り出して光学顕微鏡にて断面観察して得られる画像に、半径を1mmずつ変えた様々な円を重ね合わせ、その円周がR部の屈曲と重なる長さが最も長かった円を最も適合する円として、その最も適合する円の半径を曲率半径とする。1個の屈曲部に対してn=5の測定を実施し、その平均値をもって、屈曲部におけるR部の曲率半径とする。
さらに、繊維強化複合材料に複雑な形状を形成させる観点からは、屈曲部の個数が3個以上であることが好ましく、8個以上であることがより好ましい。平板の折り曲げ形状では屈曲部が1個であり、コの字形状では屈曲部が2個となる。屈曲部の個数が多くなるほど、離型フィルム(C)のシワが発生しやすく、外観品位に優れる繊維強化複合材料を得ることが困難となるため、3個以上とすることで本願の効果をより一層高めることが可能となる。屈曲部の個数の上限については特に制限はないが、通常、1000個以下で形成されるものと想定できる。
また、繊維強化複合材料は、形状として各種ケース、筐体や部材への適用範囲を広げる観点から、屈曲部で区切られる3面から構成される頂点を有することが好ましい。ここで、屈曲部で区切られる3面から構成される頂点とは、図2に示すように3面から構成されるコーナー部のことである。このような頂点を有する3面の形状は、平面状の離型フィルム(C)を用いた場合、シワが特に発生する部位となる。このため、頂点を有した繊維強化複合材料とすることで本願の効果をより一層高めることが可能となる。頂点の数は2個以上であることが好ましく、4個以上であることがより好ましい。頂点の数の上限については特に制限はないが、通常、100個以下で形成されるものと想定できる。
本発明における繊維強化複合材料は、式(3)によって計算されるバラつきRが0〜0.2であることが好ましく、0〜0.1であることがより好ましい。
R=Rsd/Rave・・・式(3)
Ra:前記屈曲部で区切られる各面における算術平均粗さ
Rave:前記Raから求めた算術平均値
Rsd:前記Raから求めた標準偏差。
算術平均粗さは表面粗さ計(HANDYSURF E−35B:(株)東京精密計測社製)を用いて、JIS−B−0601:2001に基づき、カットオフ値:0.80、評価長さ:4.0mmにて行い、算術平均粗さRa(μm)を求めることができる。
ここで、図1を用いてバラつきRの求め方を説明する。屈曲部で区切られる各面とは、繊維強化複合材料を形成する5つの面部(a)〜(e)のそれぞれのことを指す。まず、屈曲部で区切られる各面である、面部(a)〜(e)のそれぞれについて、算術平均粗さを測定する。次いで、これら5つの面部の算術平均粗さを用いて、算術平均値(Rave)と標準偏差(Rsd)を求める。そしてこれらの値を用いて、式(3)によってバラつきRを求めることが出来る。
バラつきRを0〜0.2とすることにより、三次元形状の繊維強化複合材料においても均一な見た目とすることができ、外観品位に優れる為好ましい。
<離型フィルム(C)>
本発明において、離型フィルム(C)は、表層(I)/基材層(II)/表層(I)の順に積層した多層フィルム、又は、表層(I)/基材層(II)の順に積層した多層フィルムであり、表層(I)は、ポリプロピレンを主成分として、表面自由エネルギーが15mN/m以上28mN/m未満の層であることが好ましい。
なお、本発明において「主成分」とは、着目した特定の層中の特定の成分が、該層の全成分中に占める割合が50質量%以上100質量%以下であることを意味する。離型フィルム(C)が前述の多層フィルムの場合、表層(I)中のポリプロピレンの含有量は、より好ましくは90質量%以上100質量%以下、さらに好ましくは95質量%以上100質量%以下、最も好ましくは99質量%以上100質量%以下である。
また本発明において表層(I)とは、ポリプロピレンを主成分とする、表面自由エネルギーが15mN/m以上28mN/m未満の層であって、表面に位置する層である。そして本発明において基材層(II)とは、内部もしくは表面に位置する層であって、厚みが表層(I)よりも厚い層である。
離型フィルム(C)が前述の多層フィルムの場合、表層(I)の表面自由エネルギーは、より好ましくは15mN/m以上27mN/m未満、さらに好ましくは15mN/m以上26mN/m未満、最も好ましくは15mN/m以上25mN/m未満である。表面自由エネルギーが28mN/m以上であると、繊維強化複合材料の表面から剥離できない場合や、剥離痕が残る場合がある。表面自由エネルギーは低いほど離型性が良いが、ポリプロピレンフィルムでは15mN/m程度が下限である。従来、フィルムの表面自由エネルギーは、フィルムを構成するポリマーの種類によって決まり、ポリプロピレンフィルムであれば表面自由エネルギーは29〜31mN/m程度であった。コロナ処理などにより、表面自由エネルギーを高くして、濡れ性を改善することは可能であったが、表面自由エネルギーを低くして、離型性を改善することは困難であった。しかし本発明においては、後述する方法に基づき、表面の状態を微細に制御することにより、表面自由エネルギーを上記範囲とすることが達成可能となる。
なお、本発明において、離型フィルム(C)が前述の多層フィルムの場合において、表層(I)中のポリメチルペンテンまたは、フッ素系樹脂または、シリコン系樹脂の含有量はそれぞれ10質量%未満であることが好ましく、より好ましくは1質量%未満、更に好ましくは0.1質量%未満であり、含有しないことが最も好ましい。ポリメチルペンテン、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂は、表面自由エネルギーが低く、離型性に優れた樹脂として知られており、これらの樹脂を表層に使用することにより、離型性を向上させることが可能であるが、これらの樹脂はポリプロピレンとの相溶性が悪いため、たとえば、フィルムの表層に含有させると分散不良となりやすく、表面粗度の均一性が低下することがあり、得られる繊維強化複合材料の外観品位が低下することがある。また、これらの樹脂はポリプロピレンより高価なため、原料コストが高くなる場合がある。
本発明において、表層(I)に好ましく用いられるポリプロピレンは、表層(I)中のポリプロピレンにフィブリルからなる緻密なネットワーク構造を形成させるために、β晶形成能を有することが好ましい。ここでβ晶形成能は30〜100%であることが好ましい。β晶形成能が30%未満では、フィルム製造時にフィブリルのネットワーク構造を形成しにくく、優れた離型性を得られない場合がある。β晶形成能を30〜100%の範囲内にするためには、アイソタクチックインデックスの高いポリプロピレンを使用したり、β晶核剤を添加することが好ましい。β晶形成能としては、35〜100%であればより好ましく、40〜100%だと特に好ましい。
β晶核剤としては、たとえば、1,2−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、コハク酸マグネシウムなどのカルボン酸のアルカリあるいはアルカリ土類金属塩、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミドに代表されるアミド系化合物、3,9−ビス[4−(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどのテトラオキサスピロ化合物、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムなどの芳香族スルホン酸化合物、イミドカルボン酸誘導体、フタロシアンニン系顔料、キナクリドン系顔料を好ましく挙げることができるが、特に特開平5−310665号公報に開示されているアミド系化合物を好ましく用いることができる。β晶核剤の含有量としては、表層(I)中のポリプロピレンの合計を100質量部とした場合に、0.05〜0.5質量部であることが好ましく、0.1〜0.3質量部であればより好ましい。0.05質量部未満では、β晶の形成が不十分となることがあり、フィブリルのネットワーク構造を形成しにくく、優れた離型性を得られない場合がある。0.5質量部を超えると、過剰に添加されたβ晶核剤が起点となり欠点が発生する場合がある。
本発明においては、表層(I)に好ましく用いられるポリプロピレンのアイソタクチックインデックスは90〜99.9%の範囲であることが好ましい。より好ましくは95〜99%である。アイソタクチックインデックスが90%未満の場合、結晶性が低くなってしまい、離型フィルム(C)の強度が不十分となる場合がある。
表層(I)に好ましく用いられるポリプロピレンとしては、ホモポリプロピレンを用いることができるのはもちろんのこと、製膜工程での安定性や造膜性、物性の均一性の観点から、ポリプロピレンにエチレン成分やブテン、ヘキセン、オクテンなどのα−オレフィン成分を5質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下の範囲で共重合した樹脂を用いることもできる。
本発明において、離型フィルム(C)の表層(I)は、算術平均粗さRaが200〜1,000nmであることが好ましい。より好ましくは300〜950nm、さらに好ましくは400〜900nmである。Raを200〜1,000nmとすることにより、表層(I)の表面凹凸が繊維強化複合材料に転写して、表面に均一なマット感を与えることができ、意匠性フィルムとして有用である。Raが200nm未満であると、表層(I)の表面の凹凸が転写できず、意匠性フィルムとして使用できない場合がある。Raが1,000nmを超えると、離型フィルム(C)が破断しやすくなる場合がある。Raをかかる範囲内とするためには、離型フィルム(C)の積層構成や各層の原料組成を後述する範囲とし、また、製膜条件を後述する範囲とし、特に押出条件、延伸条件を後述する範囲とすることが効果的である。
本発明において、基材層(II)は、熱可塑性樹脂(D)100質量部と粒子状フィラー(E)1〜20質量部を含むことが好ましい。粒子状フィラー(E)が1質量部未満では、基材層(II)による粗面化効果が発揮できずに、離型フィルム(C)の表面粗さが小さくなる場合がある。粒子状フィラー(E)が20質量部を超えると離型フィルム(C)が破れやすくなる場合がある。
本発明において、基材層(II)は、基材層(II)の全成分100質量%中の熱可塑性樹脂(D)と粒子状フィラー(E)の合計の割合が50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、90質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、95質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましく、99質量%以上100質量%以下であることが最も好ましい。基材層(II)の全成分100質量%中の熱可塑性樹脂(D)と粒子状フィラー(E)の合計の割合が50質量%未満の場合、基材層(II)による粗面化効果が発揮できないことがあり、離型フィルム(C)の表面粗さが小さくなる場合がある。
本発明において、熱可塑性樹脂(D)は、特に限定されるものではないが、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリプロピレンであることがより好ましい。熱可塑性樹脂(D)にポリプロピレンを選択することにより、表層(I)と基材層(II)との密着力を高めることが出来るため、好ましい。
熱可塑性樹脂(D)に好ましく用いられるポリプロピレンとしては、主としてプロピレンの単独重合体(ホモポリプロピレン)からなるが、本発明の目的を損なわない範囲で他の不飽和炭化水素による共重合成分などを含有してもよいし、プロピレンが単独ではない重合体がブレンドされていてもよい。このような共重合成分やブレンド物を構成する単量体成分として例えばエチレン、プロピレン(共重合されたブレンド物の場合)、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチルペンテン−1、3−メチルブテンー1、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、5−エチルヘキセン−1、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネンなどが挙げられる。共重合量またはブレンド量は、離型フィルム(C)の強度の観点から、共重合量では1mol%未満とし、ブレンド量では10質量%未満とするのが好ましい。
粒子状フィラー(E)としては、無機粒子や有機粒子を使用することができる。無機粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどの金属酸化物や硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、リン酸カルシウム、マイカ、カオリン、クレーなどを挙げることができる。これらの中でも、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどの金属酸化物や炭酸カルシウムが好ましい。有機粒子としては、ポリメトキシシラン系化合物の架橋粒子、ポリスチレン系化合物の架橋粒子、アクリル系化合物の架橋粒子、ポリウレタン系化合物の架橋粒子、ポリエステル系化合物の架橋粒子、フッソ系化合物の架橋粒子、もしくはこれらの混合物を挙げることができる。
粒子状フィラー(E)の平均粒子径は、1〜10μmの範囲であることが好ましい。平均粒子径は、より好ましくは2〜10μm、さらに好ましくは3〜10μm、最も好ましくは4〜10μmである。平均粒径が1μm未満では基材層(II)による粗面化効果が発揮できずに、離型フィルム(C)の表面粗さが小さくなる場合がある。10μmを超えると離型フィルム(C)が破れやすくなる場合がある。ここで、平均粒子径の測定方法は、粒子の透過型電子顕微鏡写真から画像処理により得られる円相当径を用い、重量平均径を算出して採用する。
本発明においては、離型フィルム(C)全体の厚みにおける表層(I)の合計の厚みの割合が25%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以下、更に好ましくは15%以下、最も好ましくは10%以下である。ここでの表層(I)の合計の厚みとは、表層(I)/基材層(II)/表層(I)の順に積層した多層フィルムの場合は、両面の表層(I)の合計厚みのことを意味する。表層(I)の厚みの割合が25%を超えると、基材層(II)による粗面化効果が発揮できない場合がある。表層(I)の厚みの割合が1%未満であると、基材層(II)に含有する粒子状フィラー(E)が表層(I)を突き破って表面に露出し、表面自由エネルギーが増加する場合があるため、表層(I)の厚みの割合は1%以上であることが好ましい。
次に、本発明における、離型フィルム(C)の製造方法の好ましい一例を説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
本発明においては、離型フィルム(C)を製膜する方向に平行な方向をMD方向と称し、離型フィルム(C)の面内で製膜方向に直交する方向をTD方向と称する。
まず、ポリマー原料を表層(I)用の単軸押出機と、基材層(II)用の単軸押出機にそれぞれ供給し、200〜260℃にて溶融押出を行う。そして、ポリマー管の途中に設置したフィルターにて異物や変性ポリマーなどを除去した後、マルチマニホールド型の表層(I)/基材層(II)/表層(I)の複合Tダイにて例えば1/8/1の積層厚み比になるように積層し、キャストドラム上に吐出し、表層(I)/基材層(II)/表層(I)層の層構成を有する積層未延伸シートを得る。この際、キャストドラムは表面温度が30〜130℃であることが好ましい。キャストドラムへの密着方法としては静電印加法、水の表面張力を利用した密着方法、エアーナイフ法、プレスロール法、水中キャスト法などのうちいずれの手法を用いてもよいが、平面性の観点からエアーナイフ法が好ましい。エアーナイフのエアー温度は、25〜100℃、好ましくは30〜80℃で、吹き出しエアー速度は130〜150m/sが好ましく、TD方向の均一性を向上させるために2重管構造となっていることが好ましい。また、フィルムの振動を生じさせないために製膜下流側にエアーが流れるようにエアーナイフの位置を適宜調整することが好ましい。
得られた未延伸シートは、空気中で放冷された後、縦延伸工程に導入される。縦延伸工程ではまず100℃以上150℃未満に保たれた複数の金属ロールに未延伸シートを接触させて延伸温度まで予熱され、MD方向に3〜8倍に延伸した後、室温まで冷却する。延伸温度が150℃以上であると、延伸ムラが生じたり、フィルムが破断する場合がある。また延伸倍率が3倍未満であると、延伸ムラが生じたり、フィルムの配向が弱くなり、引張剛性が低下する場合がある。
次いで縦一軸延伸フィルムをテンターに導いてフィルムの端部をクリップで把持し横延伸を120〜165℃の温度でTD方向に7〜13倍に延伸する。延伸温度が低いと、フィルムが破断したりする場合があり、延伸温度が高すぎると、フィルムの剛性が低下する場合がある。また、倍率が高いとフィルムが破断する場合があり、倍率が低いとフィルムの配向が弱く引張剛性が低下する場合がある。
続く熱処理および弛緩処理工程ではクリップでTD方向を緊張把持したままTD方向に2〜20%の弛緩率で弛緩を与えつつ、100℃以上160℃度未満の温度で熱固定し、続いて80〜100℃での冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップ解放し、ワインダ工程にてフィルムエッジ部をスリットし、フィルム製品ロールを巻き取る。
<熱硬化性樹脂(B)>
本発明において、繊維強化基材が含む熱硬化性樹脂(B)としては、特に限定されないが、ハイサイクル性と、得られる繊維強化複合材料の力学特性の観点からエポキシ樹脂が好ましい。
本発明に用いられるエポキシ樹脂としては、化合物中にエポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂、フェノール化合物とジシクロペンタジエンの共重合体を原料とするエポキシ樹脂、ジグリシジルレゾルシノール、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタンのようなグリシジルエーテル型エポキシ樹脂組成物、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、テトラグリシジルキシレンジアミンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂およびこれらの混合物を用いることができる。エポキシ樹脂は、これらの樹脂単独でも混合でもよい。特に、耐熱性、機械特性のバランスがとれた複合材料を要する場合には、多官能エポキシ樹脂に、2官能エポキシ樹脂を組み合わせたもの、例えば、多官能エポキシ樹脂としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂、2官能エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂を組み合わせることが好ましい。
本発明において、熱硬化性樹脂(B)としてエポキシ樹脂を用いた場合、用いる硬化剤は、アミン系硬化剤が好ましい。アミン系硬化剤とは、硬化剤分子中に窒素原子を有する硬化剤をいう。かかる硬化剤としては、分子中に窒素原子を有していれば特に限定されないが、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミンのような活性水素を有する芳香族ポリアミン化合物、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ポリエチレンイミンのダイマー酸エステルのような活性水素を有する脂肪族アミン、これらの活性水素を有するアミンにエポキシ化合物、アクリロニトリル、フェノールとホルムアルデヒド、チオ尿素などの化合物を反応させて得られる変性アミン、ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールや1置換イミダゾールのような活性水素を持たない第三アミン、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、アジピン酸ヒドラジドやナフタレンジカルボン酸ヒドラジドのようなポリカルボン酸ヒドラジド、三フッ化ホウ素エチルアミン錯体のようなルイス酸錯体などを用いることができる。
また、これらの硬化剤には、硬化活性を高めるために適当な硬化促進剤を組合わせることができる。例えば、ジシアンジアミドに、3−フェニル−1,1−ジメチル尿素、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(DCMU)、3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−1,1−ジメチル尿素、2,4−ビス(3,3−ジメチルウレイド)トルエンのような尿素誘導体やイミダゾール誘導体を硬化促進剤として組合わせて好適に用いることができる。ジシアンジアミド単独では硬化に170〜180℃程度が必要であるのに対し、かかる組み合わせを用いた樹脂組成物は80〜150℃程度で硬化可能となる。特に、ジシアンジアミドと1分子中にウレア結合を2個以上有する化合物との組み合わせが好ましい。1分子中にウレア結合を2個以上有する化合物としては、1,1’−4(メチル−m−フェニレン)ビス(3,3−ジメチルウレア)あるいは4,4’−メチレンビス(フェニルジメチルウレア)が好ましく、これらの化合物を用いた場合、150〜160℃で2〜10分程度で硬化可能であるため、特に好ましい。
このほかには、芳香族アミンに三フッ化ホウ素エチルアミン錯体を硬化促進剤として組合せる例などがあげられる。
また、さらに低温硬化性が必要となる用途では、硬化剤が70〜125℃で活性化する潜在性硬化剤を好ましく用いることができる。ここで、70〜125℃ で活性化するとは、反応開始温度が70〜125℃の範囲にあることをいう。かかる反応開始温度(以下、活性化温度という)は示差走査熱量分析(DSC)により求めることができる。具体的には、エポキシ当量184〜194程度のビスフェノールA型エポキシ樹脂100質量部に評価対象の硬化剤10質量部を加えたエポキシ樹脂組成物について、示差走査熱量分析により得られる発熱曲線の変曲点の接線とベースラインの接線の交点から求められる。かかる活性化温度が7 0℃未満であると保存安定性が十分でない場合があり、125℃を超えると期待されるような速硬化性が得られない場合がある。
70〜125℃で活性化する潜在性硬化剤としてはかかる活性化温度を有するもので有れば特に限定されないが、例えばアミンアダクト型潜在性硬化剤、マイクロカプセル型潜在性硬化剤、アミンイミド、ブロックイソシアネート、エポキシ基にカルバミン酸エステルを反応させオキサゾリジノン環とした化合物、ビニルエーテルブロックカルボン酸、イミダゾールとカルボン酸との塩、アミンのカルバミン塩、オニウム塩などが挙げられる。
ここで、アミンアダクト型潜在性硬化剤とは、一級、二級もしくは三級アミノ基をもつ化合物や、種々のイミダゾール化合物などの活性成分を、それらの化合物と反応しうる何らかの化合物と反応させることによって高分子量化し、保存温度にて不溶化したもののことをいう。アミンアダクト型潜在性硬化剤としては、“アミキュア”(登録商標)PN−23、MY−24(以上、味の素ファインテクノ(株)製)、“アデカハードナー”(登録商標)EH−3293S,EH−3615S、EH−4070S(以上、旭電化工業(株)製)、“フジキュアー”(登録商標)FXE1000,FXR−1020(以上、富士化成工業(株)製)などを用いることができ、マイクロカプセル型潜在性硬化剤としては、“ノバキュア”(登録商標)HX−3721、HX−3722(旭化成工業(株)製)などを用いることができる。これらの中でも、特に“アミキュア”PN−23のようなアミンアダクト型潜在性硬化剤は、室温での優れた保存安定性を有しかつ速硬化性が顕著なため好ましく用いることができる。
マイクロカプセル型潜在性硬化剤とは、硬化剤を核とし、これをエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン系、ポリイミドなどの高分子物質や、サイクロデキストリン等をシェルとして被膜したりすることにより、エポキシ樹脂と硬化剤との接触を減少させたものである。
また、硬化剤が70〜125℃で活性化する潜在性硬化剤に特定の硬化剤を組み合わせると、低温で速硬化が可能となる。例えば、“アミキュア”PN−23などの潜在性硬化剤にバジンジヒドラジドなどの有機酸ジヒドラジドを組み合わせた硬化剤系や、潜在性硬化剤にDCMUなどの硬化促進剤を組み合わせた硬化剤系は、110℃に10分程度で硬化が可能となり好ましく用いられる。
<強化繊維(A)>
本発明において、繊維強化基材が含む強化繊維(A)としては、特に限定されないが、得られる繊維強化複合材料の軽量性と力学特性の観点から炭素繊維が好ましい。
炭素繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ系、レーヨン系の炭素繊維が使用でき、これらは1種または2種以上を併用しても良い。中でも得られる繊維強化複合材料の外観品位と力学特性の観点からPAN系炭素繊維がさらに好ましい。
強化繊維(A)の単繊維径は0.5μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、4μm以上がさらに好ましい。また、強化繊維(A)の単繊維径は20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。
<強化繊維基材>
本発明において、繊維強化基材は、強化繊維(A)と熱硬化性樹脂(B)とを含みさえすれば特に限定されず、強化繊維(A)と熱硬化性樹脂(B)とを含むプリプレグが好適に用いられるが、その中でも強化繊維(A)と熱硬化性樹脂(B)とを含むプリプレグを2枚以上積層させた積層体であることが好ましい。
本発明において、プリプレグに含まれる強化繊維(A)の形態や配列については限定されず、例えば、一方向に引き揃えられた長繊維、織物、ニット、不織布などの繊維構造物が例示できる。一方向に引き揃えられた長繊維を含んだ一方向プリプレグは、強化繊維(A)の方向が揃っているため繊維方向の強度利用率が高く、特に好ましい。また、一方向プリプレグは、複数のプリプレグを適切な積層構成で積層した後成形すると、繊維強化複合材料の各方向の弾性率、強度を自由に制御できるため特に好ましい。
プリプレグは、熱硬化性樹脂(B)をメチルエチルケトン、メタノール等の溶媒に溶解して低粘度化し含浸させるウエット法や、加熱により低粘度化し、含浸させるホットメルト法によって製造できる。
ウェット法は、強化繊維(A)を熱硬化性樹脂(B)の溶液に浸漬した後、引き上げ、オーブン等を用いて溶媒を蒸発せしめ、プリプレグを得る方法である。
ホットメルト法は、強化繊維(A)を加熱により低粘度化した熱硬化性樹脂(B)に直接含浸させる方法、または熱硬化性樹脂(B)を離型紙等の上にコーティングした熱硬化性樹脂(B)のフィルムを作製しておき、次に強化繊維(A)の両側、又は片側からその熱硬化性樹脂(B)のフィルムを重ね、加熱加圧することにより含浸せしめ、プリプレグを得る方法である。
得られる繊維強化複合材料の力学特性と成形加工性は、強化繊維(A)の量に大きく依存する。つまり一定量の強化繊維(A)を含有する場合、組み合わせる熱硬化性樹脂(B)の量を少なくするほど、繊維強化複合材料の力学特性が向上するものの、成形加工性が低下する。このため、本発明において強化繊維基材の全質量100質量%又は繊維強化複合材料の全質量100質量%に対する強化繊維(A)の含有量は30〜95質量%であることが好ましく、50〜90質量%であることがより好ましく、60〜80質量%がさらに好ましい。強化繊維(A)の含有量が30質量%未満の場合は、繊維強化複合材料の力学特性が十分でない場合があり、95質量%を超えると、成形加工性が低下する場合がある。
<繊維強化複合材料>
本発明において、繊維強化複合材料は、強化繊維(A)と熱硬化性樹脂(B)とを含む繊維強化基材を、離型フィルム(C)で挟んだ複合体とし、該複合体を成形温度に加熱した金型に挟んで加圧することで、熱硬化性樹脂(B)を硬化させることで製造できる。ここで複合体を得るために、繊維強化基材を離型フィルム(C)で挟む方法としては、例えば、2枚の離型フィルム(C)を用意し、これらを繊維強化基材の両面にそれぞれ配し、次いでこれらを積層する方法や、1枚の大きな離型フィルム(C)を用意し、繊維強化基材をその上に配置し、次いで繊維強化基材が配置されていない部分の離型フィルム(C)を折り返すことで、繊維強化基材を1枚の離型フィルム(C)によって挟む方法、または、離型フィルム(C)の上で2枚以上のプリプレグを積層することで繊維強化基材を形成し、次いでこの繊維強化基材の上に別の離型フィルム(C)を積層させることで2枚の離型フィルム(C)で挟む方法が例示できる。複合体をあらかじめ作製しておき、これを金型に挟んで加圧する工程と脱型する工程を繰り返すことで繊維強化複合材料をハイサイクルで成形できるため好ましい。
さらに、複合体を金型に挟んで加圧する方法としては、プレス成形法が好ましく使用できる。
本発明の繊維強化複合材料の製造方法において、加圧時の圧力は0.1〜10MPaであることが好ましく、0.1〜5MPaがより好ましく、0.2〜3MPaがさらに好ましい。加圧時の圧力をかかる範囲内とすることで外観品位に優れた繊維強化複合材料が得られるため好ましい。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
まず、本発明に使用した評価方法を下記する。
(1)熱収縮率の測定方法
離型フィルム(C)について、熱機械分析装置(TMA/SS6000:セイコーインスツル(株)社製)を用いて、下記温度プログラムにて一定荷重下におけるフィルムのMD方向およびTD方向の収縮曲線をそれぞれ求めた。得られた収縮曲線から所定の温度時における熱収縮率を読み取った。
温度プログラム 30℃→(5℃/分)→180℃
荷重 2gf
サンプルサイズ サンプル長15mm×幅4mm
(測定したい方向をサンプル長側に合わせる)。
(2)外観品位の評価方法
得られた繊維強化複合材料において、以下の3段階で外観品位を評価し、goodを合格とした。
good:繊維強化複合材料の屈曲部上および面部にシワ状の外観不良が見られなかった。
bad:繊維強化複合材料の屈曲部上にシワ状の外観不良が見られ、面部にはシワ状の外観不良は見られなかった。
worse:繊維強化複合材料の屈曲部上および面部にシワ状の外観不良が見られた。
(3)算術平均粗さのバラつきの評価方法
得られた繊維強化複合材料において、表面粗さ計(HANDYSURF E−35B:(株)東京精密計測社製)を用いて、JIS−B−0601:2001に基づき、カットオフ値:0.80、評価長さ:4.0mmにて行い、算術平均粗さRa(μm)を求めた。算術平均粗さは、屈曲部で区切られる各面のそれぞれにおいて測定し、次いでこれらの測定値を用いて算術平均値(Rave)と標準偏差(Rsd)を求めた。さらにRaveとRsdを用いて式(3)により、バラつきRを求めた。
R=Rsd/Rave・・・式(3)。
(4)離型フィルム(C)の表面自由エネルギーの測定方法
測定液として、水、エチレングリコ−ル、ホルムアミド、及びヨウ化メチレンの4種類の液体を用い、協和界面化学(株)製接触角計CA−D型を用いて、各液体のフィルム表面に対する静的接触角を求めた。なお、静的接触角は、各液体をフィルム表面に滴下後、30秒後に測定した。各々の液体について得られた接触角と測定液の表面張力の各成分を下式にそれぞれ代入し4つの式からなる連立方程式をγSd ,γSp,γShについて解いた。
(γSdγLd )1/2 + (γSp γLp)1/2 +(γSh γLh )1/2 =γL(1+COS θ)/2
但し、γS =γSd +γSp +γSh
γL =γLd +γLp +γLh
γS 、γSd 、γSp 、γSh はそれぞれフィルム表面の表面自由エネルギー、分散力成分、極性力成分、水素結合成分を、またγL 、γLd 、γLp、γLhは用いた測定液のそれぞれ表面自由エネルギー、分散力成分、極性力成分、水素結合成分を表わすものとる。ここで、用いた各液体の表面張力は、Panzer(J.Panzer,J.Colloid Interface Sci.,44,142(1973)によって提案された値を用いた。
(参考例1)
基材層(II)用の原料として結晶性PP(以下、ポリプロピレンをPPと略す。)((株)プライムポリマー製、TF850H、MFR:2.9g/10分、アイソタクチック指数:96%)85質量部と、炭酸カルシウム80質量%とポリプロピレン20質量%をコンパウンドしたマスター原料(三共精粉(株)製、2480K、炭酸カルシウム粒子:6μm)15質量部とをドライブレンドして基材層(II)用の単軸の溶融押出機に供給し、表層(I)用の原料として、結晶性PP((株)プライムポリマー製、TF850H、MFR:2.9g/10分、アイソタクチック指数:96%)を表層(I)用の単軸の溶融押出機に供給し、240℃で溶融押出を行い、60μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、3層積層用のフィードブロック型の表層(I)/基材層(II)/表層(I)複合Tダイにて1/58/1の厚み比で積層し、30℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出してキャストシートを得た。ついで、複数のセラミックロールを用いて125℃に予熱を行いフィルムのMD方向に4.6倍延伸を行った。次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、165℃で3秒間予熱後、160℃で8.0倍に延伸した。続く熱処理工程で、TD方向に10%の弛緩を与えながら160℃で熱処理を行ない、その後130℃で冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップ解放し、フィルムをコアに巻き取り、厚み30μmのポリプロピレンフィルムを得た。得られたポリプロピレンフィルムの表面自由エネルギーは26.5mN/mであり、算術平均粗さRaは430nmであった。
(参考例2)
基材層(II)用の原料として結晶性PP((株)プライムポリマー製、TF850H、MFR:2.9g/10分、アイソタクチック指数:96%)93.3質量部と、炭酸カルシウム80質量%とポリプロピレン20質量%をコンパウンドしたマスター原料(三共精粉(株)製、2480K、炭酸カルシウム粒子:6μm)6.7質量部とをドライブレンドして基材層(II)用の単軸の溶融押出機に供給し、表層(I)用の原料として、結晶性PP((株)プライムポリマー製、TF850H、MFR:2.9g/10分、アイソタクチック指数:96%)を表層(I)用の単軸の溶融押出機に供給し、240℃で溶融押出を行い、60μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、フィードブロック型の基材層(II)/表層(I)複合Tダイにて8/1の厚み比で積層し、30℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出してキャストシートを得た。このとき、基材層(II)がキャストドラムに接地する面とした。ついで、複数のセラミックロールを用いて125℃に予熱を行いフィルムのMD方向に4.6倍延伸を行った。次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、165℃で3秒間予熱後、160℃で8.0倍に延伸した。続く熱処理工程で、TD方向に0%の弛緩を与えながら160℃で熱処理を行ない、その後130℃で冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップ解放し、フィルムをコアに巻き取り、厚み19μmのポリプロピレンフィルムを得た。得られたポリプロピレンフィルムの表層(I)の表面自由エネルギーは25.3mN/mであり、表層(I)の算術平均粗さRaは255nmであった。
(参考例3)
市販のフィルムとして、ポリフッ化ビニル樹脂フィルム“Tedlar”(登録商標) TTR20SG4を使用した。フィルム厚みは50μm、算術平均粗さは100nmで、フィラーが確認できない透明なフィルムであった。
(参考例4)
熱硬化性樹脂(B)として、“エピコート”828を20質量部、“エピコート”834を20質量部、“エピコート”1001を25質量部、(以上、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製)、“エピコート”154を35質量部(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製)、アミン系硬化剤としてDICY7(ジシアンジアミド、ジャパンエポキシレジン(株)製)を4質量部、リン系化合物として“ノーバレッド”120(登録商標、平均粒径25μm、リン含有量85%)を3質量部、硬化促進剤として“オミキュア”(登録商標)24(2,4−トルエンビス(ジメチルウレア)を5質量部、熱可塑性樹脂として“ビニレック”K(登録商標)(ポリビニルホルマール、チッソ(株)製)を5質量部、を以下に示す手順でニーダーで混合し、ポリビニルホルマールが均一に溶解したエポキシ樹脂組成物を得た。
まず、各エポキシ樹脂原料とポリビニルホルマールとを150〜190℃に加熱しながら1〜3時間攪拌し、ポリビニルホルマールを均一に溶解する。次いで、樹脂温度を90℃〜110℃まで降温し、リン化合物を加えて20〜40分間攪拌する。さらに、樹脂温度を55〜65℃まで降温し、ジシアンジアミド、および3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレアを加え、該温度で30〜40分間混練後、ニーダー中から取り出してエポキシ樹脂組成物を得る。
(参考例5)
参考例4で調製したエポキシ樹脂組成物をリバースロールコータを用いて離型紙上に塗布してエポキシ樹脂フィルムを作製した。エポキシ樹脂フィルムの単位面積あたりの樹脂量は、25g/mとした。
次に、単位面積あたりの繊維質量が100g/mとなるようにシート状に一方向に整列させた炭素繊維“トレカ”(登録商標)T700SC−12K−50C(東レ(株)製)にエポキシ樹脂フィルムを炭素繊維の両面から重ね、加熱加圧して樹脂組成物を含浸させ、プリプレグを作製した。
(参考例6)
参考例5で作製したプリプレグを[0/90]2sの構成で積層し、厚さ0.8mmの繊維強化基材を得た。
(実施例1)
参考例6で得られた繊維強化基材を、2枚の参考例1で得られた離型フィルム(C)で挟んだ複合体とし、次いでこの複合体を150℃の成形温度に加熱した金型に挟み、加圧時間5分、加圧圧力2MPaの条件で成形し、繊維強化複合材料を作製した。なお、金型には、厚み0.8mmの箱形状(図1の形状で面部(a)および面部(c)が10mm×100mmの長方形、かつ面部(b)および面部(d)が10mm×200mmの長方形、かつ面部(e)が100mm×200mmの長方形であって、各屈曲部の曲率半径が5mm)の製品キャビティを有するものを用いた。成形条件および評価結果を表1に記載した。
(実施例2)
成形温度を140℃に代えた以外は、実施例1と同様の方法で成形し、繊維強化複合材料を作製した。成形条件および評価結果を表1に記載した。
(比較例1)
成形温度を120℃に代えた以外は、実施例1と同様の方法で成形し、繊維強化複合材料を作製した。成形条件および評価結果を表1に記載した。
(実施例3)
離型フィルム(C)を参考例2のフィルムに代えて、参考例2のフィルムの表層(I)が繊維強化基材側になるように複合体を形成させた以外は、実施例1と同様の方法で成形し、繊維強化複合材料を作製した。成形条件および評価結果を表1に記載した。
(実施例4)
成形温度を140℃に代えた以外は、実施例3と同様の方法で成形し、繊維強化複合材料を作製した。成形条件および評価結果を表1に記載した。
(比較例2)
成形温度を120℃に代えた以外は、実施例3と同様の方法で成形し、繊維強化複合材料を作製した。成形条件および評価結果を表1に記載した。
(比較例3)
離型フィルム(C)に代えて、参考例3のフィルムを用い、2枚の参考例3のフィルムで繊維強化基材を挟んだ複合体とした以外は、実施例1と同様の方法で成形し、繊維強化複合材料を作製した。成形条件および評価結果を表1に記載した。
(比較例4)
成形温度を140℃に代えた以外は、比較例3と同様の方法で成形し、繊維強化複合材料を作製した。成形条件および評価結果を表1に記載した。
(比較例5)
成形温度を120℃に代えた以外は、比較例3と同様の方法で成形し、繊維強化複合材料を作製した。成形条件および評価結果を表1に記載した。
Figure 0006561629
表1の実施例および比較例より以下のことが明らかである。
実施例1〜4は、(i)〜(iii)の全ての特徴を満たすため、外観品位に優れる三次元形状の繊維強化複合材料が得られることが明らかである。
実施例1および2と比較例1との比較から、(ii)および(iii)の特徴を満たさない場合、得られる三次元形状の繊維強化複合材料の外観品位が悪化することが明らかである。
実施例3および4と比較例2との比較から、(ii)および(iii)の特徴を満たさない場合、得られる三次元形状の繊維強化複合材料の外観品位が悪化することが明らかである。
実施例1および3と比較例3との比較から、(iii)の特徴を満たさない場合、得られる三次元形状の繊維強化複合材料の外観品位が悪化することが明らかである。
本発明によれば、三次元形状の繊維強化複合材料の加熱加圧成形においても、離型フィルムによる外観不良を抑制でき、外観品位に優れる繊維強化複合材料をハイサイクルで製造することが可能である。このため、本発明で得られる繊維強化複合材料は、航空機や自動車、船舶などの構造用部材、電子機器筐体や、スポーツ用途、建材などの工業材料などに好適に使用することができる。
1 三次元形状の繊維強化複合材料
2 屈曲部におけるR部の曲率半径
3 屈曲部
4 面部
5 頂点

Claims (10)

  1. 強化繊維(A)と熱硬化性樹脂(B)とを含む繊維強化基材を、離型フィルム(C)で挟んだ複合体とし、該複合体を成形温度に加熱した金型に挟んで加圧することで、熱硬化性樹脂(B)を硬化させる繊維強化複合材料の製造方法であって、
    下記(i)〜(i)を満たすことを特徴とする、繊維強化複合材料の製造方法。
    (i)繊維強化複合材料が少なくとも1つの屈曲部を有する。
    (ii)該成形温度が130〜180℃であり、加圧時間が0.5〜20分である。
    (iii)離型フィルム(C)の熱収縮率が下記式(1)および式(2)を満たす。
    0< Ta ≦20・・・式(1)
    1≦ Ta−Tb ≦20・・・式(2)
    Ta:該成形温度と同じ温度で、熱機械分析装置を用いて測定した離型フィルム(C)の熱収縮率(%)
    Tb:該成形温度よりも30℃低い温度で、熱機械分析装置を用いて測定した離型フィルム(C)の熱収縮率(%)
    (iv)離型フィルム(C)が、表層(I)/基材層(II)/表層(I)の順に積層した多層フィルム、又は、表層(I)/基材層(II)の順に積層した多層フィルムであって、表層(I)は、ポリプロピレンを主成分として、表面自由エネルギーが15mN/m以上28mN/m未満の層であり、基材層(II)はポリプロピレン100質量部と粒子状フィラー(E)1〜20質量部を含む層である。
  2. 前記屈曲部におけるR部の曲率半径が20mm以下である、請求項1に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  3. 前記屈曲部の個数が3個以上である、請求項1または2のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  4. 前記屈曲部で区切られる3面から構成される頂点を有する請求項3に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  5. 式(3)によって計算されるバラつきRが0〜0.2である、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
    R=Rsd/Rave・・・式(3)
    Ra:前記屈曲部で区切られる各面における算術平均粗さ
    Rave:前記Raから求めた算術平均値
    Rsd:前記Raから求めた標準偏差
  6. 離型フィルム(C)全体の厚みにおける表層(I)の合計の厚みの割合が25%以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  7. 前記繊維強化基材が、強化繊維(A)と熱硬化性樹脂(B)とを含むプリプレグを2枚以上積層させた積層体である、請求項1〜のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  8. 強化繊維(A)が炭素繊維である、請求項1〜のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  9. 熱硬化性樹脂(B)がエポキシ樹脂である、請求項1〜のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  10. 前記加圧時の圧力が0.1〜10MPaであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
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