JP2020050785A - 発泡粒子、発泡成形体、繊維強化複合体及び自動車用部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた断熱性を示す発泡成形体及びその発泡成形体を製造し得る発泡成形体を提供することを課題とする。【解決手段】芳香族ビニルと、(メタ)アクリル酸エステルと、不飽和ジカルボン酸との共重合体を含む基材樹脂から構成された発泡成形体であり、前記発泡成形体が、複数の発泡粒子から構成され、前記発泡粒子が、30倍で11.9mm2の面積を撮影した断面写真において、50μm以上かつ300μm未満の気泡径の小気泡と300μm以上かつ2mm以下の気泡径の大気泡とを備え、小気泡の平均気泡径と大気泡の平均気泡径との差が1450μm以上であり、前記発泡粒子が、その融着体から構成される発泡成形体の熱伝導率が0.0350W/m・K以下であることを特徴とする発泡成形体により、上記課題を解決する。【選択図】図1

Description

本発明は、発泡粒子、発泡成形体、繊維強化複合体及び自動車用部品に関する。更に詳しくは、本発明は、断熱性が向上した発泡成形体、繊維強化複合体及び自動車用部品、これを与え得る発泡粒子に関する。
近年、航空機、自動車、船舶等の乗り物は、地球環境への負荷低減のために燃費向上が必要とされており、これらの乗り物を構成する金属材料を樹脂材料へ転換し、大きな軽量化を図る流れが強くなってきている。これらの樹脂材料としては、繊維強化プラスチックが挙げられるが、一部に軽量コア材を使用することで更なる軽量化や高剛性化を図ることも検討されている。軽量コア材として用いられる材料として高い圧縮強度を有するポリスチレン発泡体が検討されている。
しかしながら、ポリスチレン系樹脂は、ガラス転移温度が低いため、機械的物性が十分でなかった。そのため、機械的物性が向上した発泡成形体及びその発泡成形体を製造し得る発泡粒子の提供が望まれていた。
そこで、本願出願人は、ポリスチレン系樹脂に代えて他の種類の樹脂を使用すれば機械的物性が向上するのではないかとの考えの下で試験を繰り返した。その結果、芳香族ビニルと、(メタ)アクリル酸エステルと、不飽和ジカルボン酸との共重合体を発泡粒子の基材樹脂として使用すれば発泡成形体の機械的物性をある程度向上できることに気付き、この基材樹脂を使用しつつ、発泡粒子を構成する気泡径を制御することにより、機械的物性を大幅に向上できることを見出した(特開2017−186503号公報:特許文献1)。
特開2017−186503号公報
しかしながら、特許文献1の発泡成形体は断熱性の観点において改善の余地があり、特許文献1の発泡成形体よりも優れた断熱性を有する発泡成形体及びその発泡成形体を製造し得る発泡粒子の提供が望まれている。
そこで、本発明は、優れた断熱性を示す発泡成形体及びその発泡成形体を製造し得る発泡粒子を提供することを課題とする。
本発明の発明者は、特許文献1の技術について更に検討したところ、小気泡と大気泡の気泡径差をより大きく、かつ特定の範囲内とすることにより、発泡粒子から得られる発泡成形体の断熱性を大幅に向上できることを意外にも見出すことで本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、芳香族ビニルと、(メタ)アクリル酸エステルと、不飽和ジカルボン酸との共重合体を含む基材樹脂から構成された発泡成形体であり、前記発泡成形体が、複数の発泡粒子から構成され、前記発泡粒子が、30倍で11.9mm2の面積を撮影した断面写真において、50μm以上かつ300μm未満の気泡径の小気泡と300μm以上かつ2mm以下の気泡径の大気泡とを備え、小気泡の平均気泡径と大気泡の平均気泡径との差が1450μm以上であり、前記発泡粒子が、その融着体から構成される発泡成形体の熱伝導率が0.0350W/m・K以下であることを特徴とする発泡成形体が提供される。
また、本発明によれば、上記の発泡成形体の製造用の発泡粒子が提供される。
更に、本発明によれば、上記の発泡成形体と、この発泡成形体の表面に積層一体化された繊維強化プラスチック層とを有することを特徴とする繊維強化複合体が提供される。
また、本発明によれば、上記の発泡成形体又は繊維強化複合体から構成される自動車用部品が提供される。
本発明によれば、優れた断熱性を示す発泡成形体及びその発泡成形体を製造し得る発泡粒子を提供できる。
また、以下のいずれかの場合、より優れた断熱性を示す発泡成形体、及びその発泡成形体を製造し得る発泡粒子を提供できる。
(1)発泡粒子が、その1つにおいて、ただ1つの大気泡を有する。
(2)芳香族ビニルがスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステルが(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数は1〜5)、不飽和ジカルボン酸が炭素数2〜6の脂肪族不飽和ジカルボン酸、からそれぞれ選択され、共重合体が、芳香族ビニルと(メタ)アクリル酸エステルと不飽和ジカルボン酸の3つに由来する単位の合計を100重量部とすると、芳香族ビニルに由来する単位を30〜80重量部、(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を8〜35重量部、不飽和ジカルボン酸に由来する単位を10〜50重量部を含む。
実施例1及び2の発泡粒子及び発泡成形体の断面写真である。 実施例3の発泡粒子及び発泡成形体の断面写真である。 実施例4の発泡粒子及び発泡成形体の断面写真である。 比較例1〜3の発泡粒子及び発泡成形体の断面写真である。
(発泡成形体)
(1)基材樹脂
発泡成形体は、芳香族ビニルと、(メタ)アクリル酸エステルと、不飽和ジカルボン酸との共重合体を含む基材樹脂から構成される。基材樹脂中に共重合体が占める割合は、70重量%以上であることが好ましく、85重量%以上であることがより好ましく、100重量%であってもよい。共重合体は115〜160℃のガラス転移温度Tgを有していることが好ましい。Tgが115℃より低い場合、発泡成形体の表面への表皮材の積層一体化が不十分となって、機械的物性が低下することがある。160℃より高い場合、発泡粒子の発泡性が低下して、発泡粒子同士の熱融着一体化が不十分となって発泡成形体の機械的物性が低下することがある。より好ましいTgは120〜150℃である。
(a)芳香族ビニル
芳香族ビニルは、ビニル基からなる置換基を備えた芳香族化合物である。ビニル基の数及び芳香族化合物の炭素数は特に限定されない。具体的な芳香族ビニルとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、t−ブチルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単官能単量体、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ビス(ビニルフェニル)メタン、ビス(ビニルフェニル)エタン、ビス(ビニルフェニル)プロパン、ビス(ビニルフェニル)ブタン、ジビニルナフタレン、ジビニルアントラセン、ジビニルビフェニル、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物ジ(メタ)アクリレートが挙げられる。芳香族ビニルは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。この内、入手容易性の観点から、スチレンが好ましい。
(b)(メタ)アクリル酸エステル
(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステル中のアルキル基の炭素数は1〜5とすることができる。具体的な(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。発泡成形体の機械的物性を向上させる観点から、(メタ)アクリル酸メチルが好ましく、メタクリル酸メチルがより好ましい。
(c)不飽和ジカルボン酸
不飽和ジカルボン酸は、特に限定されないが、炭素数2〜6の脂肪族不飽和ジカルボン酸が挙げられる。具体的な不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸、これらの無水物等が挙げられる。不飽和ジカルボン酸は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
(d)芳香族ビニル、(メタ)アクリル酸エステル、不飽和ジカルボン酸に由来する単位の割合
芳香族ビニルと(メタ)アクリル酸エステルと不飽和ジカルボン酸の3つに由来する単位の合計を100重量部とすると、芳香族ビニルに由来する単位を30〜80重量部、(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を8〜35重量部、不飽和ジカルボン酸に由来する単位を10〜50重量部を含むことが好ましい。
芳香族ビニルに由来する単位が占める割合が30重量部未満の場合、発泡成形時に発泡粒子の発泡性が低下して、発泡粒子同士の熱融着一体化が不十分となって発泡成形体の機械的物性が低下することがある。この割合が80重量部より大きい場合、発泡成形体の耐熱性が低下することがある。この割合は40〜75重量部であることがより好ましく、45〜70重量部であることが更に好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位が占める割合が8重量部未満の場合、発泡成形体の機械的物性が低下することがある。この割合が35重量部より大きい場合、発泡成形時に発泡粒子の発泡性が低下して、発泡粒子同士の熱融着一体化が不十分となって発泡成形体の機械的物性が低下することがある。この割合は10〜33重量部であることがより好ましく、15〜30重量部であることが更に好ましい。
不飽和ジカルボン酸に由来する単位が占める割合が10重量部未満の場合、発泡成形体の耐熱性が低下することがある。この割合が50重量部より大きい場合、発泡成形時に発泡粒子の発泡性が低下して、発泡粒子同士の熱融着一体化が不十分となって発泡成形体の機械的物性が低下することがある。この割合は15〜40重量部であることがより好ましく、20〜35重量部であることが更に好ましい。
なお、単量体の使用量とその単量体に由来する単位の含有量とはほぼ一致している。
各成分比、すなわち、芳香族ビニルと(メタ)アクリル酸エステルと不飽和ジカルボン酸に由来する単位、更には以下に説明する他の単量体及び他の樹脂に由来する単位の割合は、1H−NMRのピーク高さ又はFT−IRの面積比で規定することができる。具体的な測定方法については、実施例において説明する。
(e)他の単量体
基材樹脂は上記3つの単量体以外に本発明の特性を阻害しない範囲で他の単量体由来の成分との更なる共重合体であってもよい。他の単量体としては例えば、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレート、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
基材樹脂中に他の単量体由来の単位が占める割合は、30重量%以下であることが好ましく、0重量%であってもよい。
(f)他の樹脂
基材樹脂には他の樹脂が混合されていてもよい。他の樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三次元共重合体等のジエン系のゴム状重合体を添加したゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリメタクリル酸メチル等、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、芳香族ビニル−不飽和ジカルボン酸−不飽和ジカルボン酸イミド共重合体等が挙げられる。
上記他の樹脂の内、発泡粒子には、ポリメタクリル酸メチルが含有されていることが好ましい。ポリメタクリル酸メチルが含有されていることによって、発泡粒子の熱融着性が向上し、発泡粒子同士をより強固に熱融着一体化させて、更に優れた機械的物性を有する発泡成形体を得ることができる。発泡粒子中におけるポリメタクリル酸メチルの含有量は、共重合体100重量部に対して10〜500重量部が好ましく、20〜450重量部がより好ましく、30〜400重量部が特に好ましい。
(g)芳香族ビニル−不飽和ジカルボン酸−不飽和ジカルボン酸イミド共重合体
上記の(f)他の樹脂としては、芳香族ビニル−不飽和ジカルボン酸−不飽和ジカルボン酸イミド共重合体が、発泡成形体の耐熱性を向上させる観点から好ましい。
芳香族ビニルとしては、特に限定されないが、上記の(a)に例示の化合物が挙げられる。芳香族ビニルは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。この内、入手容易性の観点から、スチレンが好ましい。
不飽和ジカルボン酸としては、特に限定されないが、上記の(c)に例示の化合物が挙げられる。不飽和ジカルボン酸は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。発泡成形体の機械的物性を向上させる観点から、無水マレイン酸が好ましい。
不飽和ジカルボン酸イミドとしては、特に限定されないが、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ナフチルマレイミド等のマレイミド系単量体等が挙げられる。不飽和ジカルボン酸イミド誘導体は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。発泡成形体の耐熱性を向上させる観点から、N−フェニルマレイミドが好ましい。
芳香族ビニルと不飽和ジカルボン酸と不飽和ジカルボン酸イミドに由来する単位の割合は、3つに由来する単位の合計を100重量部とすると、芳香族ビニルに由来する単位を20〜80重量部、不飽和ジカルボン酸に由来する単位を2〜30重量部、不飽和ジカルボン酸イミドに由来する単位を20〜80重量部を含むことが好ましい。
芳香族ビニルに由来する単位が占める割合が20重量部未満の場合、発泡成形時に発泡粒子の発泡性が低下して、発泡粒子同士の熱融着一体化が不十分となって発泡成形体の機械的物性が低下することがある。この割合が80重量部より大きい場合、発泡成形体の耐熱性が低下することがある。この割合は30〜75重量部であることがより好ましく、50〜70重量部であることが更に好ましい。
(h)添加剤
基材樹脂には必要に応じて、樹脂以外に添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、展着剤、気泡調整剤、充てん剤、着色剤、耐候剤、老化防止剤、滑剤、防曇剤、香料等が挙げられる。
(2)物性
発泡成形体は、複数の発泡粒子から構成されている。個々の発泡粒子は、30倍で11.9mm2の面積を撮影した断面写真において、50μm以上かつ300μm未満の気泡径の小気泡と300μm以上かつ2mm以下の気泡径の大気泡とを備えている。
また、発泡粒子1つに対する大気泡の数は特に限定されず、複数個であってもよいが、多すぎると気泡率が高くなり、発泡成形体の機械的物性の低下を招くことになる。このようなことから、大気泡の気泡径にも因るが、発泡粒子が、その1つにおいて、ただ1つの大気泡を有するのが好ましい。
また、小気泡の平均気泡径と大気泡の平均気泡径とは1450μm以上の差がある。この差があることで、断熱性の向上した発泡成形体を提供できる。より好ましい差は1450〜1800μmである。ここで、小気泡の平均気泡径は130〜180μmの範囲内に存在することが好ましく、大気泡の平均気泡径は1580〜1980μmの範囲内に存在することが好ましい。
発泡粒子は、その融着体から構成される発泡成形体に0.0350W/m・K以下の熱伝導率を与えるため、高い断熱性が求められる用途の発泡成形体を提供し得る。この断熱性の範囲は、特定の樹脂を基材樹脂として使用し、特定の気泡径の範囲の気泡を備える発泡粒子により実現可能である。熱伝導率は0.0345W/m・K以下であることが好ましい。
融着した発泡粒子の外形は、発泡成形体を維持できさえすれば特に限定されない。
発泡成形体は、30〜2倍の倍数を有することが好ましい。倍数が30倍より大きい場合、機械的物性が不十分となることがある。2倍より小さい場合、重量が増えるため発泡の利点が小さくなることがある。倍数は、25〜3倍がより好ましく、20〜5倍が特に好ましい。
したがって、発泡成形体は、0.058〜0.23g/cm3(58〜230kg/cm3)の密度を有することが好ましい。
発泡成形体における単位密度当たりの曲げ最大点応力は、0.015MPa/(kg/m3)以上が好ましい。曲げ最大点応力が小さすぎると、発泡成形体が容易に破断することがある。
発泡成形体における単位密度当たりの曲げ弾性率は、0.4MPa/(kg/m3)以上が好ましい。曲げ弾性率が小さすぎると、発泡成形体の表面に繊維強化プラスチックのような表皮材を積層一体化する際に加えられる圧力によって発泡成形体が変形することがある。
発泡成形体における単位密度当たりの5%圧縮応力は、0.008MPa/(kg/m3)以上が好ましく、0.009MPa/(kg/m3)以上がより好ましい。5%圧縮が小さすぎると、発泡成形体の表面に繊維強化プラスチックのような表皮材を積層一体化する際に加えられる圧力によって発泡成形体が変形することがある。
発泡成形体における単位密度当たりの圧縮弾性率は、0.3MPa/(kg/m3)以上が好ましい。圧縮弾性率が小さすぎると、発泡成形体の表面に繊維強化プラスチックのような表皮材を積層一体化する際に加えられる圧力によって発泡成形体が変形することがある。
(3)製造方法
発泡成形体の製造方法としては、発泡粒子を金型のキャビティ内に充てんし、キャビティ内に加熱媒体を供給して、発泡粒子を加熱して再発泡させ、再発泡させた発泡粒子同士をこれらの発泡圧力によって互いに熱融着一体化させることによって発泡成形体を得る方法が挙げられる。加熱媒体としては、例えば、水蒸気、熱風、温水等が挙げられ、水蒸気が好ましい。
発泡粒子は、30倍で11.9mm2の面積を撮影した発泡粒子全体の断面写真において50μm以上かつ300μm未満の気泡径の小気泡と300μm以上かつ2mm以下の気泡径の大気泡とを備えていることが好ましい。
また、発泡粒子1つに対する大気泡の数は特に限定されず、複数個であってもよいが、多すぎると気泡率が高くなり、発泡成形体の機械的物性の低下を招くことになる。このようなことから、大気泡の気泡径にも因るが、発泡粒子が、その1つにおいて、ただ1つの大気泡を有するのが好ましい。
発泡粒子の外形は、発泡成形体を製造できさえすれば特に限定されず、例えば、球状、略球状、円筒形等が挙げられる。発泡粒子は、0.7以上の平均のアスペクト比で示される外形を有していることが好ましい(上限は1の真球状)。
発泡粒子は、30〜2倍の嵩倍数を有することが好ましい。嵩倍数が30倍より大きい場合、発泡粒子の連続気泡率が上昇して、発泡成形の発泡時に発泡粒子の発泡性が低下することがある。2倍より小さい場合、発泡粒子の気泡が不均一となって、発泡成形時における発泡粒子の発泡性が不十分となることがある。嵩倍数は、25〜3倍がより好ましく、20〜5倍が特に好ましい。
発泡粒子には加工助剤としてのアクリル系樹脂が含有されていることが好ましい。加工助剤を含有していることによって、発泡粒子を構成している樹脂の発泡時における溶融張力(粘弾性)を発泡に適したものとして発泡粒子の連続気泡化を抑制し、発泡粒子の発泡性を向上させて、発泡粒子同士の熱融着をより強固なものとし、更に優れた機械的物性を有する発泡成形体を製造できる。発泡粒子中における加工助剤の含有量は、共重合体100重量部に対して0.5〜5重量部が好ましく、0.5〜3重量部がより好ましい。
加工助剤としてのアクリル系樹脂としては、特に限定されず、アクリル系単量体の単独重合体又はこれらの二種以上からなる共重合体、アクリル系単量体を50重量%以上含有し且つアクリル系単量体とこれと共重合可能なビニルモノマーとの共重合体等が挙げられる。アクリル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられる。アクリル系単量体と共重合可能なビニルモノマーとしては、α−メチルスチレン、アクリロニトリル等が挙げられる。アクリル系樹脂の重量平均分子量は、150万〜600万が好ましく、200万〜450万がより好ましく、250万〜400万が特に好ましい。アクリル系樹脂の重量平均分子量が低すぎても高すぎても、発泡粒子を構成している樹脂の発泡成形時における溶融張力(粘弾性)を発泡に適したものに十分に調整し難く、発泡粒子の発泡性を向上できないことがある。
発泡粒子の製造方法としては、樹脂粒子に発泡剤を気相含浸させて発泡性粒子を得、発泡性粒子を発泡させる方法が挙げられる。
樹脂粒子は、公知の製造方法及び製造設備を使用して得ることができる。ここで、以下で説明するボイドの数の調整は、例えば、樹脂への化学気泡剤等の添加量の調整により行うことができる。
例えば、押出機を使用して原料樹脂を溶融混練し、次いで押出、水中カット(アンダーウォーターカット)、ストランドカット等により造粒することによって、樹脂粒子を製造できる。溶融混練時の温度、時間、圧力等は、使用原料及び製造設備に合わせて適宜設定できる。
溶融混練時の押出機内の溶融混練温度は、原料樹脂が十分に軟化する温度である、220〜280℃が好ましく、240〜270℃がより好ましい。溶融混練温度とは、押出機ヘッド付近の溶融混練物流路の中心部温度を熱伝対式温度計で測定した押出機内部の溶融混練物の温度を意味する。
本発明の発泡成形体を構成する発泡粒子の特徴の1つである大気泡は、樹脂粒子の製造時に周囲からの急冷により樹脂粒子の中心領域に形成されるボイドに由来するものと考えられる。したがって、発泡粒子の製造では、急冷制御が容易な水中カットが特に好ましい。
なお、押出機には気泡調整剤が供給されることが好ましい。気泡調整剤としては、ポリテトラフルオロエチレン粉末、アクリル樹脂で変性されたポリテトラフルオロエチレン粉末、タルク等が挙げられる。気泡調整剤の量は、樹脂組成物100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましい。気泡調整剤の量が0.01重量未満の場合、発泡粒子の気泡が粗大となり、得られる発泡成形体の外観が低下することがある。5重量部より多い場合、破泡により発泡粒子の独立気泡率が低下することがある。気泡調整剤の量は、0.05〜3重量部がより好ましく、0.1〜2重量部が特に好ましい。
次に、発泡性粒子の製造方法としては、密閉し得る容器中で、発泡剤を樹脂粒子に気相含浸させる方法が挙げられる。発泡剤としては、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素、ジメチルエーテルのようなエーテル類、塩化メチル、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、モノクロロジフルオロメタン等のフロン、二酸化炭素、窒素等の無機ガスが挙げられる。中でも、ジメチルエーテル、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、二酸化炭素が好ましく、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、二酸化炭素がより好ましく、ノルマルブタン、イソブタン、二酸化炭素が特に好ましい。なお、発泡剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
容器に投入される発泡剤量は、少なすぎると、発泡粒子を所望の発泡倍率まで発泡できないことがある。発泡剤量は、多すぎると、発泡剤が可塑剤として作用することから基材樹脂の粘弾性が低下し過ぎて発泡性が低下し良好な発泡粒子を得ることができないことがある。従って、発泡剤量は、原料樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部が好ましく、0.2〜4重量部がより好ましく、0.3〜3重量部が特に好ましい。
更に、発泡粒子の製造方法としては、密閉し得る容器中で、水蒸気のような加熱媒体で加熱する方法が挙げられる。加熱条件としては、例えば、0.3〜0.5MPaのゲージ圧、120〜159℃の温度、10〜180秒が挙げられる。
発泡粒子の粒径は押出機の前端に取り付けたマルチノズル金型の径を変えること等によって変動させることができる。
(4)用途
発泡成形体は、軽量性、耐熱性、断熱性及び機械的物性に優れており、特に、高温環境下での耐荷重性に優れている。そのため、例えば、自動車、航空機、鉄道車輛、船舶等の輸送機器の部品に好適に用いることができる。自動車の部品としては、例えば、エンジン付近に用いられる部品、外装材等が挙げられる。
本発明によれば、本発明の発泡成形体から構成される自動車用部品が提供され、その自動車用部品としては、例えば、フロアパネル、ルーフ、ボンネット、フェンダー、アンダーカバー、ホイール、ステアリングホイール、コンテナ(筐体)、フードパネル、サスペンションアーム、バンパー、サンバイザー、トランクリッド、ラゲッジボックス、シート、ドア、カウル等の部品が挙げられる。
発泡成形体の表面に表皮材を積層一体化させて強化複合体として用いてもよい。発泡成形体が発泡シートである場合、発泡成形体の両面に積層一体化されている必要はなく、発泡成形体の両面のうち少なくとも一方の面に表皮材が積層一体化されていればよい。表皮材の積層は、強化複合体の用途に応じて決定すればよい。なかでも、強化複合体の表面硬度や機械的強度を考慮すると、発泡成形体の厚み方向における両面のそれぞれに表皮材が積層一体化されていることが好ましい。
表皮材としては、特に限定されず、繊維強化プラスチック、金属シート、合成樹脂フィルム等が挙げられる。この内、繊維強化プラスチックが好ましい。繊維強化プラスチックを表皮材とする強化複合体を繊維強化複合体と称する。
繊維強化プラスチックを構成している強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、チラノ繊維、玄武岩繊維、セラミックス繊維等の無機繊維;ステンレス繊維、スチール繊維等の金属繊維;アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサドール(PBO)繊維等の有機繊維;ボロン繊維が挙げられる。強化繊維は、一種単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。なかでも、炭素繊維、ガラス繊維及びアラミド繊維が好ましく、炭素繊維がより好ましい。これらの強化繊維は、軽量であるにも関わらず優れた機械的物性を有している。
強化繊維は、所望の形状に加工された強化繊維基材として用いられることが好ましい。強化繊維基材としては、強化繊維を用いてなる織物、編物、不織布、及び強化繊維を一方向に引き揃えた繊維束(ストランド)を糸で結束(縫合)してなる面材等が挙げられる。織物の織り方としては、平織、綾織、朱子織等が挙げられる。また、糸としては、ポリアミド樹脂糸、ポリエステル樹脂糸等の合成樹脂糸、及びガラス繊維糸のようなステッチ糸が挙げられる。
強化繊維基材は、一枚の強化繊維基材のみを積層せずに用いてもよく、複数枚の強化繊維基材を積層して積層強化繊維基材として用いてもよい。複数枚の強化繊維基材を積層した積層強化繊維基材としては、(1)一種のみの強化繊維基材を複数枚用意し、これらの強化繊維基材を積層した積層強化繊維基材、(2)複数種の強化繊維基材を用意し、これらの強化繊維基材を積層した積層強化繊維基材、(3)強化繊維を一方向に引き揃えた繊維束(ストランド)を糸で結束(縫合)してなる強化繊維基材を複数枚用意し、これらの強化繊維基材を繊維束の繊維方向が互いに相違した方向を指向するように重ね合わせ、重ね合わせた強化繊維基材同士を糸で一体化(縫合)してなる積層強化繊維基材等が用いられる。
繊維強化プラスチックは強化繊維に合成樹脂が含浸されてなるものである。含浸させた合成樹脂によって強化繊維同士を結着一体化させている。
強化繊維に合成樹脂を含浸させる方法としては、特に限定されず、例えば、(1)強化繊維を合成樹脂中に浸漬する方法、(2)強化繊維に合成樹脂を塗布する方法等が挙げられる。
強化繊維に含浸させる合成樹脂としては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂のいずれも用いることができ、熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。強化繊維に含浸させる熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、マレイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、マレイミド樹脂とシアン酸エステル樹脂とを予備重合した樹脂等が挙げられ、耐熱性、衝撃吸収性又は耐薬品性に優れていることから、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂には、硬化剤、硬化促進剤等の添加剤が含有されていてもよい。なお、熱硬化性樹脂は、単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
また、強化繊維に含浸させる熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、アミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、サルファイド系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられ、発泡成形体との接着性又は繊維強化プラスチックを構成している強化繊維同士の接着性に優れていることから、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂が好ましい。なお、熱可塑性樹脂は、単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
熱可塑性エポキシ樹脂としては、エポキシ化合物同士の重合体又は共重合体であって直鎖構造を有する重合体や、エポキシ化合物と、このエポキシ化合物と重合し得る単量体との共重合体であって直鎖構造を有する共重合体が挙げられる。具体的には、熱可塑性エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、長鎖脂肪族型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂が好ましい。なお、熱可塑性エポキシ樹脂は、単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
熱可塑性ポリウレタン樹脂としては、ジオールとジイソシアネートとを重合させて得られる直鎖構造を有する重合体が挙げられる。ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。ジオールは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。ジイソシアネートとしては、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートが挙げられる。ジイソシアネートは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なお、熱可塑性ポリウレタン樹脂は、単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
繊維強化プラスチック中における合成樹脂の含有量は、20〜70重量%が好ましい。含有量が20重量%未満の場合、強化繊維同士の結着性や繊維強化プラスチックと発泡成形体との接着性が不十分となり、繊維強化プラスチックの機械的物性や繊維強化複合体の機械的強度を十分に向上できないことがある。70重量%より多い場合、繊維強化プラスチックの機械的物性が低下して、繊維強化複合体の機械的強度を十分に向上できないことがある。含有量は30〜60重量%がより好ましい。
繊維強化プラスチックの厚みは、0.02〜2mmが好ましく、0.05〜1mmがより好ましい。厚みがこの範囲内である繊維強化プラスチックは、軽量であるにも関わらず機械的物性に優れている。
繊維強化プラスチックの目付は、50〜4000g/m2が好ましく、100〜1000g/m2がより好ましい。目付がこの範囲内である繊維強化プラスチックは、軽量であるにも関わらず機械的物性に優れている。
次に、強化複合体の製造方法を説明する。発泡成形体の表面に表皮材を積層一体化させて強化複合体を製造する方法としては、特に限定されず、例えば、(1)発泡成形体の表面に接着剤を介して表皮材を積層一体化する方法、(2)発泡成形体の表面に、強化繊維に熱可塑性樹脂が含浸されてなる繊維強化プラスチック形成材を積層し、強化繊維中に含浸させた熱可塑性樹脂をバインダーとして発泡成形体の表面に繊維強化プラスチック形成材を繊維強化プラスチックとして積層一体化する方法、(3)発泡成形体の表面に、強化繊維に未硬化の熱硬化性樹脂が含浸された繊維強化プラスチック形成材を積層し、強化繊維中に含浸させた熱硬化性樹脂をバインダーとして、熱硬化性樹脂を硬化させて形成された繊維強化プラスチックを発泡成形体の表面に積層一体化する方法、(4)発泡成形体の表面に、加熱されて軟化状態の表皮材を配設し、発泡成形体の表面に表皮材を押圧させることによって表皮材を必要に応じて発泡成形体の表面に沿って変形させながら発泡成形体の表面に積層一体化させる方法、(5)繊維強化プラスチックの成形で一般的に適用される方法等が挙げられる。発泡成形体は高温環境下における耐荷重性のような機械的物性に優れている観点では、上記(4)の方法も好適に用いることができる。
繊維強化プラスチックの成形で用いられる方法としては、例えば、オートクレーブ法、ハンドレイアップ法、スプレーアップ法、PCM(Prepreg Compression Molding)法、RTM(Resin Transfer Molding)法、VaRTM(Vacuum assisted Resin Transfer Molding)法等が挙げられる。
このようにして得られた繊維強化複合体は、耐熱性、機械的強度及び軽量性に優れている。そのため、自動車、航空機、鉄道車輛、船舶等の輸送機器分野、家電分野、情報端末分野、家具の分野等の広範な用途に用いることができる。
例えば、繊維強化複合体は、輸送機器の部品、及び、輸送機器の本体を構成する構造部品を含めた輸送機器構成用部品(特に自動車用部品)、風車翼、ロボットアーム、ヘルメット用緩衝材、農産箱、保温保冷容器等の輸送容器、産業用ヘリコプターのローターブレード、部品梱包材として好適に用いることができる。
本発明によれば、本発明の繊維強化複合体から構成される自動車用部品が提供され、その自動車用部品としては、例えば、フロアパネル、ルーフ、ボンネット、フェンダー、アンダーカバー、ホイール、ステアリングホイール、コンテナ(筐体)、フードパネル、サスペンションアーム、バンパー、サンバイザー、トランクリッド、ラゲッジボックス、シート、ドア、カウル等の部品が挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本実施例に何ら限定されるものでない。まず、実施例及び比較例中の測定方法及び評価方法について説明する。
(ガラス転移温度)
ガラス転移温度は、JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」に記載されている方法で測定した。但し、サンプリング方法・温度条件に関しては以下のように行った。
示差走査熱量計装置 DSC6220型(エスアイアイナノテクノロジー社製)を用いアルミニウム製測定容器の底にすきまのないよう試料を約6mg充てんした。試料を、窒素ガス流量20mL/minの下、20℃/minの昇温速度で30℃から220℃まで昇温する。10分間保持後速やかに試料を取り出し、25±10℃の環境下にて放冷させた後、20℃/minの昇温速度で30℃から220℃まで昇温した時に得られたDSC曲線よりガラス転移温度(開始点)を算出した。この時に基準物質としてアルミナを用いる。このガラス転移開始温度は規格(9.3「ガラス転移温度の求め方」)より求めた。
(嵩密度及び嵩倍数)
嵩密度は、JIS K6911:1995「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定した。即ち、JIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定し、下記式に基づいて嵩密度を測定した。
発泡粒子の嵩密度(kg/m3)=〔試料を入れたメスシリンダーの重量(kg)−メスシリンダーの重量(kg)〕/〔メスシリンダーの容量(m3)〕
嵩倍数は、嵩密度の逆数に樹脂の密度を積算した値とした。
(曲げ試験:密度ならびに最大点の荷重、応力、変位及びエネルギー)
最大点の荷重、応力、変位及びエネルギーはJIS K7221−1:2006「硬質発泡プラスチック−曲げ試験−第1部:たわみ特性の求め方」に準拠した方法により測定した。即ち、発泡成形体から、縦20mm×横25mm×高さ130mmの直方体形状の試験片を切り出した。測定には、テンシロン万能試験機(オリエンテック社製「UCT−10T」)を用いた。曲げ強度の曲げ最大点応力は、万能試験機データ処理システム(ソフト・ブレーン社製「UTPS−237S Ver,1.00」)を用いて算出した。
短冊状試験片を支持台に載置し、ロードセル1000N、試験速度10mm/min、支持台の先端治具5R、開き幅100mmの条件下で曲げ最大点応力を測定した。試験片の数は5個以上とし、JIS K 7100:1999の記号「23/50」(温度23℃、相対湿度50%)、2級の標準雰囲気下で16時間かけて状態調整した後、同じ標準雰囲気下で測定した。各試験片の曲げ最大点応力の相加平均値をそれぞれ、発泡成形体の曲げ最大点応力とした。
また、単位密度当たりの曲げ最大点応力は、曲げ最大点応力を発泡成形体の密度で除して算出した。
なお、発泡成形体の密度(kg/m3)は、発泡成形体から切り出した試験片の重量(a)と体積(b)を測定し、式(a)/(b)により求めた。
(曲げ試験:弾性率)
曲げ弾性率はJIS K7221−1:2006「硬質発泡プラスチック−曲げ試験−第1部:たわみ特性の求め方」に準拠した方法により測定した。即ち、発泡成形体から、縦20mm×横25mm×高さ130mmの直方体形状の試験片を切り出した。測定には、テンシロン万能試験機(オリエンテック社製「UCT−10T」)を用いた。曲げ弾性率は、万能試験機データ処理システム(ソフト・ブレーン社製「UTPS−237S Ver,1.00」)を用いて算出した。試験片の数は5個以上とし、JIS K 7100:1999の記号「23/50」(温度23℃、相対湿度50%)、2級の標準雰囲気下で16時間かけて状態調整した後、同じ標準雰囲気下で測定した。各試験片の圧縮弾性率の相加平均値をそれぞれ、発泡成形体の曲げ弾性率とした。
曲げ弾性率は、荷重−変形曲線の始めの直線部分を用いて次式により計算した。
E=Δσ/Δε
E:曲げ弾性率(MPa)
Δσ:直線上の2点間の応力の差(MPa)
Δε:同じ2点間の変形の差(%)
また、単位密度当たりの曲げ弾性率は、曲げ弾性率を発泡成形体の密度で除して算出した。
(圧縮試験:密度ならびに5%、10%及び25%応力)
発泡成形体の5%圧縮応力、10%圧縮応力、25%圧縮応力は、JIS K7220:2006「硬質発泡プラスチック−圧縮特性の求め方」記載の方法により測定した。即ち、テンシロン万能試験機(オリエンテック社製「UCT−10T」)、万能試験機データ処理システム(ソフト・ブレーン社製「UTPS−237S Ver,1.00」)を用いて、試験体サイズ断面50mm×50mm、厚み25mmで圧縮速度を2.5mm/minとして圧縮強さ(5%変形圧縮応力、25%変形圧縮応力、圧縮弾性率)を測定した。試験片の数は5個以上とし、JIS K 7100:1999の記号「23/50」(温度23℃、相対湿度50%)、2級の標準雰囲気下で16時間かけて状態調整した後、同じ標準雰囲気下で測定を行った。各試験片の圧縮強さ(5%変形圧縮応力、10%変形圧縮応力、25%変形圧縮応力)の相加平均値をそれぞれ、発泡成形体の5%圧縮応力、10%圧縮応力、25%圧縮応力とした。
(5%(10%、25%)変形圧縮応力)
5%(10%、25%)変形圧縮応力は次式により算出した。なお、()内は10%変形圧縮応力、25%変形圧縮応力を算出するときの条件である。
σ5(10、25)=F5(10、25)/A0
σ5(10、25):5%(10%、25%)変形圧縮応力(MPa)
F5(10、25):5%(10%、25%)変形時の力(N)
0:試験片の初めの断面積(mm2
また、単位密度当たりの5%変形圧縮応力は、5%変形圧縮応力を発泡成形体の密度で除して算出した。
(圧縮試験:弾性率)
発泡成形体の圧縮弾性率は、JIS K7220:2006「硬質発泡プラスチック−圧縮特性の求め方」記載の方法により測定した。即ち、テンシロン万能試験機(オリエンテック社製「UCT−10T」)、万能試験機データ処理システム(ソフト・ブレーン社製「UTPS−237S Ver,1.00」)を用いて、試験体サイズ断面50mm×50mm、厚み25mmで圧縮速度を2.5mm/minとして圧縮弾性率を測定した。試験片の数は5個以上とし、JIS K 7100:1999の記号「23/50」(温度23℃、相対湿度50%)、2級の標準雰囲気下で16時間かけて状態調整した後、同じ標準雰囲気下で測定を行った。各試験片の圧縮弾性率の相加平均値を、発泡成形体の圧縮弾性率とした。
(圧縮弾性率)
圧縮弾性率は、荷重−変形曲線の始めの直線部分を用いて次式により計算した。
E=Δσ/Δε
E:圧縮弾性率(MPa)
Δσ:直線上の2点間の応力の差(MPa)
Δε:同じ2点間の変形の差(%)
また、単位密度当たりの圧縮弾性率は、圧縮弾性率を発泡成形体の密度で除して算出した。
(基材樹脂の樹脂成分の割合)
1H−NMR)
日本電子製 ECX400P型核磁気共鳴装置を用い、以下の条件で測定した。
<測定条件>
・測定モード シングルパルス
・パルス幅 45°(6.05μ秒)
・ポイント数 32k
・繰り返し時間 7.0秒
・積算回数 128回
・測定溶媒 重クロロホルム
・試料濃度 約20mg/0.6mL
・測定温度 50℃
・ケミカルシフト基準 クロロホルム:7.24ppm
・測定範囲 20ppm(−5ppm〜15ppm)
・ウインドウ関数 exponnential(BF:0.12Hz)
基材樹脂の組成比を、1H−NMR測定から得られたスペクトルの各シグナルの積分強度比より算出した。なお、各シグナルの領域に不純物由来と推測されるシグナルが観測される場合には、計算の際、これらの寄与を無視した。
(FT−IR)
基材樹脂の吸光度比(D1780/D698、D1720/D698)を次の要領で測定した。
無作為に選択した10個の各樹脂粒子について、赤外分光分析ATR測定法により表面分析を行って赤外吸収スペクトルを得た。この分析では、試料表面から数μm(約2μm)までの深さの範囲の赤外吸収スペクトルが得られた。各赤外吸収スペクトルから吸光度比(D1780/D698、D1720/D698)を算出し、算出した吸光度比の相加平均を吸光度比とした。
吸光度D1780、D1720及びD698は、Thermo SCIENTIFIC社から商品名「フーリエ変換赤外分光光度計 Nicolet iS10」で販売されている測定装置に、ATRアクセサリーとしてThermo SCIENTIFIC社製「Smart−iTR」を接続して測定した。以下の条件にて赤外分光分析ATR測定を行った。
<測定条件>
・測定装置:フーリエ変換赤外分光光度計 Nicolet iS10(Thermo SCIENTIFIC社製)及び一回反射型水平状ATR Smart−iTR(Thermo SCIENTIFIC社製)
・ATRクリスタル:Diamond with ZnSe lens、角度=42°
・測定法:一回ATR法
・測定波数領域:4000cm-1〜650cm-1
・測定深度の波数依存性:補正せず
・検出器:重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)検出器及びKBrビームスプリッター
・分解能:4cm-1
・積算回数:16回(バックグランド測定時も同様)
ATR法では、試料と高屈折率結晶の密着度合によって測定で得られる赤外吸収スペクトルの強度が変化するため、ATRアクセサリーの「Smart−iTR」で掛けられる最大荷重を掛けて密着度合をほぼ均一にして測定を行った。
以上の条件で得られた赤外線吸収スペクトルは、次のようにピーク処理をしてそれぞれのD1780、D1720及びD698を求めた。
赤外吸収スペクトルから得られる1780cm-1での吸光度D1780は、無水マレイン酸中の2つのカルボニル基のC=Oによる逆対称の伸縮振動に由来する吸収スペクトルに対応する吸光度とした。
この吸光度の測定では、1780cm-1で他の吸収スペクトルが重なっている場合でもピーク分離を実施しなかった。吸光度D1780は、1920cm-1と1620cm-1を結ぶ直線をベースラインとして、1810cm-1と1745cm-1間の最大吸光度とした。
また、1720cm-1での吸光度D1720は、メタクリル酸メチル中に含まれるカルボニル基C=Oによる逆対称の伸縮振動に由来する吸収スペクトルに対応する吸光度とした。
この吸光度の測定では、1720cm-1で他の吸収スペクトルが重なっている場合でもピーク分離を実施しない。吸光度D1720は、1920cm-1と1620cm-1を結ぶ直線をベースラインとして、1745cm-1と1690cm-1間の最大吸光度とした。
698cm-1での吸光度D698は、スチレン中の1置換ベンゼン環中のC−Hの面外変角振動に由来する吸収スペクトルに対応する吸光度とした。
この吸光度の測定では、698cm-1で他の吸収スペクトルが重なっている場合でもピーク分離を実施しなかった。吸光度D698は、1510cm-1と810cm-1を結ぶ直線をベースラインとして、720cm-1と660cm-1間の最大吸光度とした。
スチレン、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸比率(質量%)を、後述の検量線に基づいて、吸光度比(D1780/D698、D1720/D698)から算出した。なお、ピーク処理方法は前述の樹脂粒子と同様の方法を用いた。
吸光度比からスチレンとメタクリル酸メチルの組成割合を求める方法としては、スチレン樹脂とメタクリル酸メチル樹脂とを所定の組成割合に均一に混合してなる複数種類の標準試料を作製した。
具体的には、メタクリル酸メチルとスチレンとをそれぞれ0/100、20/80、40/60、50/50及び60/40の重量割合で計量した単量体を10mlのスクリューバイアルに入れ、ここに単量体100重量部に対して10重量部の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加えて単量体を溶解させた。得られた混合液を2ml試料管(φ7mm×122mm×190mm)に移し入れ、窒素パージした後に封管する。次にこれを65℃に設定したウォーターバスに入れ、10時間加熱して重合を完了させ、アンプルから取り出した重合体を標準試料とした。
各標準試料について赤外分光分析ATR法により赤外線吸収スペクトルを得た後に吸光度比(D1780/D698)を算出した。そして、縦軸に組成割合(標準試料中のスチレン樹脂比率=質量%)を、横軸に吸光度比(D1780/D698)をとることで検量線を描いた。この検量線に基づいて、スチレン樹脂とメタクリル酸メチル樹脂の組成割合を求めることができた。
また、スチレン樹脂と無水マレイン酸樹脂の標準試料としては、スチレンと無水マレイン酸の1/1共重合体(商品名SMA1000(P)CRAY VALLEY社製)及びスチレンと無水マレイン酸の3/1共重合体(SMA3000(P)CRAY VALLEY社製)を用いた。
各標準試料について赤外分光分析ATR法により赤外線吸収スペクトルを得た後に吸光度比(D1720/D698)を算出した。そして、縦軸に組成割合(標準試料中のスチレン樹脂比率=質量%)を、横軸に吸光度比(D1720/D698)をとることで検量線を描いた。この検量線に基づいて、スチレン樹脂と無水マレイン酸樹脂の組成割合を求めることができた。
検量線からスチレンとメタクリル酸メチル及びスチレンと無水マレイン酸の組成割合を求めた。それぞれの組成割合から、樹脂中のスチレン、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸の3成分の組成割合を以下の手順で求めた。
ここで、各標準試料の割合を以下のように設定した。
メタクリル酸メチル:スチレン=A:B [1]
スチレン:無水マレイン酸 =C:D [2]
スチレンが共通項なので、[2]のスチレン割合Cを[1]のスチレン割合Bに合わせた。
[2]より
スチレン :無水マレイン酸
=C :D
=C×(B/C):D×(B/C)
=B :D×(B/C) [3]
[3]より、スチレンの割合が[1]と等しくなるので、[1]、[3]よりメタクリル酸メチル、スチレン、無水マレイン酸の存在比は以下のようになった。
メタクリル酸メチル:スチレン:無水マレイン酸
=A :B :D×(B/C) [4]
[4]の存在比より、各成分の割合は以下のようになった。
メタクリル酸メチル={A/((A+B+D×(B/C))}×100
スチレン ={B/((A+B+D×(B/C))}×100
無水マレイン酸 ={D×(B/C)/((A+B+D×(B/C))}×100
(気泡数)
発泡粒子及び発泡成形体中の気泡の気泡数は、次の要領で測定した。まず、切断面を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製「SU1510」)により30倍で11.9mm2の面積を撮影した。発泡粒子については発泡粒子の中心部で略二分割した断面の中心部を撮影した。撮影した画像をA4用紙に印刷し、すべての気泡において平均気泡径を算出した。なお、気泡径は、気泡断面の長径及び短径を測定し、短径と長径の相加平均値により得られた値とした。具体的には、気泡断面の外側輪郭線上において相互の距離が最大となる任意の2点を選び、この2点間の距離を「気泡の長径」とした。また、この気泡の長径に対して直交する直線と気泡断面の外側輪郭線とが交わる任意の2点のうち相互の距離が最大となる任意の2点を選び、この2点間の距離を「気泡の短径」とした。平均気泡径が、50μm以上かつ300μm未満の気泡径の小気泡と300μm以上かつ2mm以下の気泡径の大気泡について、用紙上で個別気泡数を計数した。
上述と同様の要領で9個の発泡粒子及び発泡成形体をそれぞれ切断し、拡大写真を得、これらの拡大写真に基づいて上述と同様の要領で小気泡の個別気泡数と大気泡の個別気泡数を算出した。10個の個別気泡数の相加平均値を気泡数とした。
(大気泡と小気泡の平均気泡径)
大気泡の平均気泡径と小気泡の平均気泡径は、それぞれ以下の方法により測定した。
大気泡の平均気泡径は、発泡粒子については発泡粒子の中心部で略二分割した断面の中心部、成形品については任意の切断面を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製「SU1510」)により30倍で11.9mm2の面積を撮影した。撮影した画像をA4用紙に印刷し、すべての大気泡において気泡径を算出した。なお、気泡径は、気泡断面の長径及び短径を測定し、短径と長径の相加平均値により得られた値とした。具体的には、気泡断面の外側輪郭線上において相互の距離が最大となる任意の2点を選び、この2点間の距離を「気泡の長径」とした。また、この気泡の長径に対して直交する直線と気泡断面の外側輪郭線とが交わる任意の2点のうち相互の距離が最大となる任意の2点を選び、この2点間の距離を「気泡の短径」とした。
上述と同様の要領で9個の発泡粒子及び発泡成形体をそれぞれ切断し、拡大写真を得、これらの拡大写真に基づいて上述と同様の要領で大気泡の平均気泡径を算出した。10枚の写真の大気泡の気泡径の相加平均値を平均気泡径とした。
小気泡の平均気泡径は、発泡粒子については中心部で略二分割した断面の中心部、成形品については任意の切断面を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製「SU1510」)を用いて撮影した。
このとき、顕微鏡写真は、横向きのA4用紙1枚に縦横2画像(合計4画像)並んだ状態で印刷した際に所定の倍率となるように撮影した。具体的には、上記のように印刷した画像上に、タテ方向(画像の上下方向)、ヨコ方向(画像の左右方向)の各方向に平行する60mmの任意の直線を描いた際に、この任意の直線上に存在する気泡の数が10〜50個程度となるように電子顕微鏡での拡大倍率を調整した。2粒の発泡粒子の断面に対して、1視野ずつ合計2視野の顕微鏡写真を撮影し、上記のようにA4用紙に印刷した。
発泡粒子断面の2つの画像のそれぞれに、タテ方向及びヨコ方向に平行な3本の任意の直線(長さ60mm)を描き、任意の直線を各方向6本ずつ描いた。
なお、任意の直線は大気泡に接することなく、できる限り気泡が接点でのみ接しないようにし、接してしまう場合には、この気泡も数に加えた。タテ方向、ヨコ方向の各方向の6本の任意の直線について数えた気泡数を相加平均し、各方向の気泡数とした。
気泡数を数えた画像の倍率とこの気泡数から気泡の平均弦長(t)を次式により算出した。
平均弦長t(mm)=60/(気泡数×写真倍率)
画像の倍率は写真上のスケールバーをミツトヨ社製「デジマチックキャリパ」にて1/100mmまで計測し、次式により求めた。
画像倍率=スケールバー実測値(mm)/スケールバーの表示値(mm)
そして、次式により各方向における気泡径を算出した。
気泡径D(mm)=t/0.616
更に、それらの積の2乗根を小気泡の平均気泡径とした。
小気泡の平均気泡径(mm)=(Dタテ×Dヨコ)1/2
(熱伝導率)
熱伝導率は、英弘精機社製の熱伝導率測定装置HC−074/200(オートΛ)を用い、JIS A1412−2「熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法−第2部:熱流計法(HFM法)」記載の方法にて測定した。発泡成形体から切り出した長さ200mm×幅200mm×厚み30mmの試験片を、温度23℃±2℃、湿度50%±5%の標準条件下にて24時間放置後、この試験片について、平均温度23℃(高温側プレート温度38℃、低温側プレート温度8℃)、プレートの温度差30℃の条件にて、上記熱伝導率測定装置により、熱伝導率を測定した」。校正の基準値として上記熱伝導率測定装置に登録されているNIST(米国標準技術局)SRM1450Bを採用した。
(実施例1)
(樹脂粒子製造工程)
スチレン−メタクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合体(商品名「DENKA RESISFY R-310」、デンカ社製、スチレン:62重量部、メタクリル酸メチル:12重量部、無水マレイン酸:26重量部、密度1.15g/cm3)100重量部を、時間当たり10kg/hrの割合で口径が40mmの単軸押出機に供給して270℃で溶融混練した。続いて、単軸押出機の先端部に装着したダイス(温度:285℃、入り口側樹脂圧:13MPa)のダイス孔(直径0.8mmのノズルが5個配置)から約70℃の冷却水を収容したチャンバー内に押出し、6枚の切断刃を有する回転刃の回転軸を5000rpmの回転数で回転させ、粒状に切断することで、前記冷却水で冷却させて脱水乾燥することで樹脂粒子を作製した。得られた樹脂粒子は、平均粒子径が1.2mmであった。
(含浸工程)
上記樹脂粒子100重量部を圧力容器中に密閉し、圧力容器内を炭酸ガスで置換した後、炭酸ガスを、含浸圧(ゲージ圧)0.7MPaまで圧入した。20℃の環境下に静置し、含浸時間24時間が経過した後、5分間かけて圧力容器内をゆっくりと除圧した。このようにして、樹脂粒子に炭酸ガスを含浸させて、発泡性粒子を得た。
(発泡工程)
上記含浸工程における除圧の後直ぐに、圧力容器から発泡性粒子を取り出した後、エチレンビスステアリン酸アミド0.15重量部を添加し、混合した。その後、水蒸気を用いて、発泡温度143℃で55秒間撹拌しながら、高圧の発泡槽で、上記含浸物を水蒸気により発泡させた。発泡後に、気流乾燥機にて乾燥を行い、発泡粒子を得た。上述した方法により、得られた発泡粒子の嵩密度を測定したところ、74kg/m3(発泡倍率15倍)であった。
(成形工程)
得られた発泡粒子を1日間室温(23℃)に放置した後、圧力容器中に密閉し、圧力容器内を炭酸ガスで置換した後、炭酸ガスを、含浸圧(ゲージ圧)含浸圧0.5MPaまで圧入した。20℃の環境下に静置し、加圧養生を8時間実施した。取り出し後、30mm×300mm×400mmの成形用金型に充てんし、0.38MPaの水蒸気にて20秒間加熱を行い、次いで、発泡成形体の最高面圧が0.05MPaに低下するまで冷却することで、発泡成形体を得た。
(実施例2)
(発泡工程)において、エチレンビスステアリン酸アミドを0.15重量部添加したことと、発泡温度143℃で60秒間撹拌しながら発泡させたこと以外は実施例1と同様にして、発泡密度61kg/m3(発泡倍率20倍)の発泡粒子、発泡成形体を得た。
上記実施例1及び2の発泡粒子及び発泡成形体の物性を表1に示す。
また、実施例1及び2の発泡粒子及び発泡成形体の断面写真をそれぞれ図1及び2に示す。
表1から、特定の範囲の気泡を有する発泡粒子から得られた発泡成形体は、優れた断熱性を有していることが分かる。
(実施例3)
(樹脂粒子製造工程)
スチレン−メタクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合体(商品名「DENKA RESISFY R-200」、デンカ社製、スチレン:55重量部、メタクリル酸メチル:26重量部、無水マレイン酸:19重量部、密度1.16g/cm3)100重量部を、時間当たり10kg/hrの割合で口径が40mmの単軸押出機に供給して260℃で溶融混練した。続いて、単軸押出機の先端部に装着したダイス(温度:280℃、入り口側樹脂圧:14MPa)のダイス孔(直径0.8mmのノズルが5個配置)から約70℃の冷却水を収容したチャンバー内に押出し、6枚の切断刃を有する回転刃の回転軸を5000rpmの回転数で回転させ、粒状に切断することで、前記冷却水で冷却させて脱水乾燥することで樹脂粒子を作製した。得られた樹脂粒子は、平均粒子径が1.2mmであった。
(含浸工程)
上記樹脂粒子100重量部を圧力容器中に密閉し、圧力容器内を炭酸ガスで置換した後、炭酸ガスを、含浸圧(ゲージ圧)0.7MPaまで圧入した。20℃の環境下に静置し、含浸時間24時間が経過した後、5分間かけて圧力容器内をゆっくりと除圧した。このようにして、樹脂粒子に炭酸ガスを含浸させて、発泡性粒子を得た。
(発泡工程)
上記含浸工程における除圧の後直ぐに、圧力容器から発泡性粒子を取り出した後、エチレンビスステアリン酸アミドを0.1重量部添加し、混合した。その後、水蒸気を用いて、発泡温度131℃で70秒間撹拌しながら、高圧の発泡槽で、上記含浸物を水蒸気により発泡させた。発泡後に、気流乾燥機にて乾燥を行い、発泡粒子を得た。上述した方法により、得られた発泡粒子の嵩密度を測定したところ、52kg/m3(発泡倍率20倍)であった。
(成形工程)
得られた発泡粒子を1日間室温(23℃)に放置した後、圧力容器中に密閉し、圧力容器内を炭酸ガスで置換した後、炭酸ガスを、含浸圧(ゲージ圧)含浸圧0.5MPaまで圧入した。20℃の環境下に静置し、加圧養生を8時間実施した。取り出し後、30mm×300mm×400mmの成形用金型に充てんし、0.30MPaの水蒸気にて20秒間加熱を行い、次いで、発泡成形体の最高面圧が0.05MPaに低下するまで冷却することで、発泡成形体を得た。
上記実施例3の発泡粒子及び発泡成形体の物性を表2に示す。
また、実施例3の発泡粒子及び発泡成形体の断面写真を図2に示す。
表2から、特定の範囲の気泡を有する発泡粒子から得られた発泡成形体は、優れた断熱性を有していることが分かる。
(実施例4)
(樹脂粒子製造工程)
スチレン−メタクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合体(商品名「DENKA RESISFY R-310」、デンカ社製、スチレン:62重量部、メタクリル酸メチル:12重量部、無水マレイン酸:26重量部、密度1.15g/cm3)100重量部を85重量部とし、残りの15重量部をスチレン−無水マレイン酸−N−フェニルマレイミド共重合体(商品名「DENKA IP MS−NIP」、デンカ社製、スチレン:58重量部、無水マレイン酸:4重量部、N−フェニルマレイミド:38重量部、密度1.18g/cm3、ガラス転移温度Tg186℃)とした100重量部を、時間当たり10kg/hrの割合で口径が40mmの単軸押出機に供給して270℃で溶融混練した。続いて、単軸押出機の先端部に装着したダイス(温度:285℃、入り口側樹脂圧:14MPa)のダイス孔(直径0.8mmのノズルが5個配置)から約70℃の冷却水を収容したチャンバー内に押出し、6枚の切断刃を有する回転刃の回転軸を5000rpmの回転数で回転させ、粒状に切断することで、前記冷却水で冷却させて脱水乾燥することで樹脂粒子を作製した。得られた樹脂粒子は、平均粒子径が1.2mmであった。
(含浸工程)
上記樹脂粒子100重量部を圧力容器中に密閉し、圧力容器内を炭酸ガスで置換した後、炭酸ガスを、含浸圧(ゲージ圧)0.7MPaまで圧入した。20℃の環境下に静置し、含浸時間24時間が経過した後、5分間かけて圧力容器内をゆっくりと除圧した。このようにして、樹脂粒子に炭酸ガスを含浸させて、発泡性粒子を得た。
(発泡工程)
上記含浸工程における除圧の後直ぐに、圧力容器から発泡性粒子を取り出した後、エチレンビスステアリン酸アミド0.15量部を添加し、混合した。その後、水蒸気を用いて、発泡温度145℃で100秒間撹拌しながら、高圧の発泡槽で、上記含浸物を水蒸気により発泡させた。発泡後に、気流乾燥機にて乾燥を行い、発泡粒子を得た。上述した方法により、得られた発泡粒子の嵩密度を測定したところ、47kg/m3(発泡倍率20倍)であった。
(成形工程)
得られた発泡粒子を1日間室温(23℃)に放置した後、圧力容器中に密閉し、圧力容器内を炭酸ガスで置換した後、炭酸ガスを、含浸圧(ゲージ圧)含浸圧0.5MPaまで圧入した。20℃の環境下に静置し、加圧養生を8時間実施した。取り出し後、30mm×300mm×400mmの成形用金型に充てんし、0.45MPaの水蒸気にて20秒間加熱を行い、次いで、発泡成形体の最高面圧が0.05MPaに低下するまで冷却することで、発泡成形体を得た。
上記実施例4の発泡粒子及び発泡成形体の物性を表3に示す。
また、実施例4の発泡粒子及び発泡成形体の断面写真を図3に示す。
表3から、特定の範囲の気泡を有する発泡粒子から得られた発泡成形体は、優れた断熱性を有していることが分かる。
(比較例1)
(発泡工程)において、エチレンビスステアリン酸アミドを0.1重量部添加したことと、発泡温度143℃で50秒間撹拌しながら発泡させたこと以外は実施例1と同様にして、発泡密度102kg/m3(発泡倍率10倍)の発泡粒子、発泡成形体を得た。
(比較例2)
(発泡工程)において、エチレンビスステアリン酸アミドを0.1重量部添加したことと、発泡温度145℃で80秒間撹拌しながら発泡させたこと以外は実施例3と同様にして、発泡密度104kg/m3(発泡倍率10倍)の発泡粒子、発泡成形体を得た。
(比較例3)
(発泡工程)において、エチレンビスステアリン酸アミドを0.15重量部添加したことと、発泡温度145℃で90秒間撹拌しながら発泡させたこと以外は実施例3と同様にして、発泡密度72kg/m3(発泡倍率15倍)の発泡粒子、発泡成形体を得た。
(比較例4)
(樹脂粒子製造工程)
スチレン−メタクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合体(商品名「DENKA RESISFY KX-406」、電気化学工業社製、スチレン:70重量部、メタクリル酸メチル:9重量部、無水マレイン酸:21重量部、密度1.15g/cm3)100重量部、及びタルクを含む樹脂組成物1重量部を口径が30mmの二軸押出機に供給して254℃で溶融混練した。続いて、二軸押出機の前端に取り付けたマルチノズル金型〔円状に、直径1.0mmのノズルが20個、配置されたもの〕の各ノズルから樹脂組成物を押出した。押出した樹脂を、直ちに冷却水槽で冷却した。そして、冷却されたストランド状の樹脂を十分に水切りしたのち、ペレタイザーを用いて小粒状に切断して樹脂粒子を製造した。得られた樹脂粒子は、粒子の長さLが1.3〜1.8mmで、粒子の径Dが1.0〜1.2mmであった。
(含浸工程)
上記樹脂粒子100重量部を圧力容器中に密閉し、圧力容器内を炭酸ガスで置換した後、炭酸ガスを、含浸圧1.0MPaまで圧入した。20℃の環境下に静置し、含浸時間24時間が経過した後、5分間かけて圧力容器内をゆっくりと除圧した。このようにして、樹脂粒子に炭酸ガスを含浸させて、発泡性粒子を得た。
(発泡工程)
上記含浸工程における除圧の後直ぐに、圧力容器から発泡性粒子を取り出した後、炭酸カルシウム0.08重量部を添加し、混合した。その後、水蒸気を用いて、発泡温度136℃で150秒撹拌しながら、高圧の発泡槽で、上記含浸物を水蒸気により発泡させた。発泡後に、高圧の発泡槽から粒子を取り出して、塩化水素水溶液で炭酸カルシウムを除去した後に、気流乾燥機にて乾燥を行い、発泡粒子を得た。上述した方法により、得られた発泡粒子の嵩密度を測定したところ、104kg/m3であった。発泡粒子の断面写真を確認したところ、大気泡は存在していなかった。
(成形工程)
得られた発泡粒子を1日間室温(23℃)に放置した後、圧力容器中に密閉し、圧力容器内を炭酸ガスで置換した後、炭酸ガスを、含浸圧(ゲージ圧)0.4MPaまで圧入した。20℃の環境下に静置し、加圧養生を8時間実施した。取り出し後、30mm×300mm×400mmの成形用金型に充てんし、0.42MPaの水蒸気にて60秒間加熱を行い、次いで、発泡成形体の最高面圧が0.01MPaに低下するまで冷却することで、発泡成形体を得た。
上記比較例1〜4の発泡粒子及び発泡成形体の物性を表4に示す。
また、比較例1〜3の発泡粒子及び発泡成形体の断面写真を図4に示す。

Claims (7)

  1. 芳香族ビニルと、(メタ)アクリル酸エステルと、不飽和ジカルボン酸との共重合体を含む基材樹脂から構成された発泡成形体であり、前記発泡成形体が、複数の発泡粒子から構成され、前記発泡粒子が、30倍で11.9mm2の面積を撮影した断面写真において、50μm以上かつ300μm未満の気泡径の小気泡と300μm以上かつ2mm以下の気泡径の大気泡とを備え、小気泡の平均気泡径と大気泡の平均気泡径との差が1450μm以上であり、前記発泡粒子が、その融着体から構成される発泡成形体の熱伝導率が0.0350W/m・K以下であることを特徴とする発泡成形体。
  2. 前記発泡粒子が、その1つにおいて、ただ1つの前記大気泡を有する請求項1に記載の発泡成形体。
  3. 前記芳香族ビニルがスチレン系単量体、前記(メタ)アクリル酸エステルが(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数は1〜5)、前記不飽和ジカルボン酸が炭素数2〜6の脂肪族不飽和ジカルボン酸、からそれぞれ選択され、前記共重合体が、前記芳香族ビニルと(メタ)アクリル酸エステルと不飽和ジカルボン酸の3つに由来する単位の合計を100重量部とすると、前記芳香族ビニルに由来する単位を30〜80重量部、前記(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を8〜35重量部、前記不飽和ジカルボン酸に由来する単位を10〜50重量部を含む請求項1又は2に記載の発泡成形体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の発泡成形体の製造用の発泡粒子。
  5. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の発泡成形体と、この発泡成形体の表面に積層一体化された繊維強化プラスチック層とを有することを特徴とする繊維強化複合体。
  6. 風車翼、ロボットアーム、自動車部品に用いられる請求項5に記載の繊維強化複合体。
  7. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の発泡成形体又は請求項5に記載の繊維強化複合体から構成される自動車用部品。
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