以下、本発明の一実施の形態に係る遊技島(単体島)、遊技機、遊技用装置および球研磨装置について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を用いて説明することがある。そのうち、X方向は遊技島や遊技機の幅方向とし、X1側はユーザが遊技島や遊技島に正対した場合の右側、X2側は左側とする。また、Z方向は遊技島や遊技機の高さ方向とし、Z1側は上側、Z2側は下側とする。また、Y方向はXZ方向に直交する方向であると共に遊技島や遊技機の奥行き方向とし、Y1側は手前側、Y2側は奥側とする。
[1.単体島(遊技島)および遊技機の全体構成について]
図1は、遊技島(単体島)Aの主要な構成を概略的に示す正面図である。なお、図1には、1台の遊技機Bから構成される遊技島(単体島)Aが示されている。また、図1においては、内部構造を示すため、正面のガラス扉および腰板が取り除かれている。
遊技機Bは、筐体1に主要な構成部材が取り付けられている。以下、具体的な各構成について説明する。遊技機Bには、球貸し機7が設けられている。球貸し機7は、所定額の紙幣または硬貨が投入され、もしくは所定額以上の残高があるカードが挿入されると、球補給指令信号を出力する。この球補給指令信号は、第1補給管8に設けられた球計数器(不図示)に与えられる。これにより、球計数器は、上部タンク300からの球Tを計数して、所定数の球Tを第1補給管8を経て球貸し機7に補給する。球貸し機7に補給された所定数の球Tは、遊技盤5の下方に存在する上皿16に供給される。
また、遊技機Bのうち不図示のガラス扉の背面側には遊技盤5が設けられている。遊技盤5には、外れ球回収口h1および入賞口h2が設けられていて、球を回収可能としている。また、筐体1の下方側には、周知の球発射装置(図示省略)への球発射指令入力と球発射速度調節を行なうノブ等の操作部6が設けられている。操作部6には、上皿16から誘導路10を経て球Tが供給される。そして、遊技者がノブ等の操作部6を操作すると、球Tが既知の発射手段(図示省略)により発射され、発射路11を経てレール12と遊技盤5の盤面5aと正面のガラス扉3の間に形成されている遊技領域13に飛翔する。
遊技領域13に発射された球Tが入賞口h2に入った場合は、上部タンク300から球が第2補給管14を経て上皿16に供給される。この供給においては、図示されていない計数器により球が計数され、定められた所定数が賞球として供給される。一方、発射されても入賞口h2に入らなかった外れ球は、外れ球回収口h1から下皿17に落下して収容される。なお、下皿17は、上皿16の下側に設けられている。
上皿16が満杯になったときは、遊技者が上皿16の底部シャッター16aを開けることにより、上皿16内の球が図示されていない計数器により計数されながら下皿17に落下する。下皿17内の球は、その底部から下部タンク100に回収され、その下部タンク100の底部の出口101dから流出する球は、球研磨装置200の導入部210を経て搬送部220の下端部に導入され、搬送部220により搬送されながら搬送部220の上端部付近に設けた研磨部230により研磨された後、搬送部220の上端部から排出されて上部タンク300に収容されるようになっている。
図1の単体島Aにおいては、遊技機Bからの落下球の回収機能、球研磨機能および遊技機への球供給機能が、1台の遊技機Bにおいて完結している。すなわち、遊技機Bの遊技盤5における外れ球回収口h1および入賞口h2に入った球Tは、下皿17から遊技用装置Cを構成する下部タンク100に一旦貯められる。その後に、球研磨装置200の後述する入口227に球Tが流入し、後述のように球研磨装置200内で搬送されつつ研磨される。その後に、球Tは球研磨装置200の後述する出口2315から上部タンク300に排出される。このようにして、球Tが研磨(清掃)されて上部タンク300まで揚送されるようになっている。
[2.遊技用装置の詳細構成]
[2.1.下部タンク]
図2は、図1の単体島Aの斜視図であり、図1の遊技機Bが取り除かれた状態を示す図である。また、図3は、遊技用装置Cの下部タンク100の使用状態における縦断面図である。図4は、図3の下部タンク100の分解斜視図である。図1および図2に示す下部タンク100は、図3および図4に示すように、概括的には、タンク本体101と水平誘導板102と第1傾斜板103と第2傾斜板104とを有している。
タンク本体101は、横断面形状が長方形の空所101aを有する上方に開口する箱状に形成されている。タンク本体101は、底壁101bと、周壁101c1〜101c4とを有している。底壁101bは、その一端側(X2側)から他側端(X1側)に向かい下るように傾斜して第4球転動面P4を形成している。周壁101c1〜101c4は、底壁101bの周辺から立ち上がっているが、周壁101c1,101c2は、底壁101bよりも他端側(X1側)に突出し、その突出端部側を繋ぐように周壁101c4が設けられている。それにより、タンク本体101のうち周壁101c4側の、底壁101bの下位側端部が接続される位置には、球を球研磨装置200方向に排出する出口101dが形成されている。
下部タンク100の上側には、遊技島Aから外れ球もしくは入賞球として落下される球T、または賞球として落下される球Tを受け入れる下皿17が設けられているが、その下皿17の底部から球Tが水平誘導板102の上面に排出されるようになっている。
水平誘導板102は、タンク本体101の空所101aとほぼ等しい長さ(X方向の寸法)を有し、球Tの直径の2倍よりも若干大きい幅分だけ空所101aよりも狭い幅(Y方向の寸法)を有している。そのため、水平誘導板102は、長方形に形成されている。そして、水平誘導板102の長手方向の一端側(X1側)にはその上面を転動する球Tを落下させる孔(または切欠)102aが形成されている。
そして、水平誘導板102をタンク本体101の中の幅方向(Y方向)の中央に収容して所定の高さに固定したときは、水平誘導板102の上面が第1球転動面P1を形成する。また、水平誘導板102とタンク本体101の対向する周壁101c1,101c2との間には、第1球転動面P1を転動する球Tが水平誘導板102の幅方向(Y方向)の両側から落下することができる空隙が形成される。
第1傾斜板103は、水平誘導板102の下側に水平誘導板102から球Tの直径以上の間隔を開けてタンク本体101に固定されている。第1傾斜板103は、長手方向の他端側(X2側)が一端側(X1側)よりも低くなるように傾斜していて、その第1傾斜板103と上側の水平誘導板102との間に第2球転動面P2を形成している。また、第1傾斜板103は、傾斜上位側(X1側)および下位側(X2側)に球Tを落下させる孔103a,103bを有する。また、図4に示すように、第1傾斜板103の幅方向(Y方向)の両端には、球Tの直径よりもわずかに大きい高さをもって下方側(Z2側)に延伸する離間部材103cが設けられている。この離間部材103cは、図4に示すような長手方向(X方向)に連続するものに代えて、間欠的に形成されたものでもよい。
第2傾斜板104は、第1傾斜板103の下側に第1傾斜板103から球Tの直径以上の間隔を開けてタンク本体101に固定されている。第2傾斜板104は、その幅(Y方向の寸法)が第1傾斜板103の幅と等しいが、その長さ(X方向の寸法)が第1傾斜板103の長さよりも短く形成されている。そして、第2傾斜板104の他端側(X2側)の幅方向(Y方向)の両端には、横長台形状の離間部材104aが設けられている。離間部材104aは、傾斜下位側の他端側(X2側)における高さよりも、傾斜上位側の一端側(X1側)における高さが大きくなるような台形状に設定されている。また、第2傾斜板104の一端側(X1側)の端部には、上方側(Z1側)に向かい起立する離間部材104bが設けられている。
上記水平誘導板102、第1、第2傾斜板103、104は、次のようにしてタンク本体101内に装着され、固定される。まず、第2傾斜板104をタンク本体101の空所101a内に挿入し、その第2傾斜板104を出口101d側の周壁101c4に寄せる配置としつつ、離間部材104aを底壁101bの上面に載置する状態とする。このとき、適宜、第2傾斜板104に設けられている嵌合部位(たとえば舌片等)をタンク本体101の対応部位(たとえばスリット等)に取り付ける。
続いて、第1傾斜板103を空所101a内に挿入し、第1傾斜板103の離間部材103cを第2傾斜板104の上面に載置すると共に、その一端側(X1側)は離間部材104bに載置される。このとき、上記の第2傾斜板104と同様に、適宜、第1傾斜板103に設けられている嵌合部位をタンク本体101の対応部位に取り付ける。それにより、第2傾斜板104の上面には、第1傾斜板103との間で球Tが転動する第3球転動面P3が形成される。また、第2傾斜板104の上面側の第2球転動面P2と第2傾斜板104の上面側の第3球転動面P3とが平行状態に保たれ、両者の間に球Tの直径よりもわずかに大きな高さを有する空隙が形成される。
次に、水平誘導板102を空所101aの上面近傍に配置するが、このとき水平誘導板102は、空所101aの幅方向(Y方向)中央に位置する状態とする。またこのとき、周壁101c3,101c4の内面に突設されている載置片(不図示)に水平誘導板102を載置し、その後に固定する。
このような下部タンク100の構成により、図3に矢印で示すように、下皿17の底部から排出される球Tは、水平誘導板102の第1球転動面P1を転動して、水平誘導板102の幅方向(Y方向)の両側の孔から第2球転動面P2に落下する。その第2球転動面P2を転動する球Tは、第1傾斜板103の上位側(X1側)の孔103aから第3球転動面P3に落下し、または第1傾斜板103の下位側(X2側)の孔103bから第4球転動面P4に落下する。また、第1傾斜板103の孔103aからの落下後に第3球転動面P3を転動する球Tは、第2傾斜板104の下位側(X2側)の端部から第4球転動面P4に落下し、その第4球転動面P4を転動する球Tはタンク本体101の出口101dから排出される。
なお、図3に示すように、下皿17の底部の排出筒17aには、排出される球Tを水平誘導板102の一端側(X1側;第1傾斜板103の傾斜上位方向)に誘導する誘導ガイド17bが設けられている。
下部タンク100に球Tが貯留される状況を観察すると、下部タンク100に球Tが溜まり始める時は、第1球転動面P1の幅方向(Y方向)の両側の空隙及び一端の孔102aから球Tが第2球転動面P2に落下する。そして、球Tが第2球転動面P2を転動して、下位側(X2側)の孔103bから第4球転動面P4に落下し、その後に、第4球転動面P4の下位側(X1側)の端部から球Tが溜まり始める。したがって、下皿17から下部タンク100に入る球は比較的短いコースを通って第4球転動面P4に溜まるので、迅速かつ最小限の騒音で収容される。
また、第4球転動面P4が球Tで満杯になった後は、下皿17から下部タンク100に入る後続の球Tは第2球転動面P2に溜まるが、その第2球転動面P2が満杯になったとき、または下皿17から下部タンク100に入る球Tの数が多い場合は、第1傾斜板103の上位側の孔103aから第3球転動面P3に球Tが落下する。そのため、いずれの球転動面P4,P3にもデッドスペースを生じることなく、効率よく球Tを収容することができる。したがって、球収容能力が実質的に増大される効果が奏される。
また、図3および図4に示すように、下部タンク100の第2傾斜板104と第1傾斜板103と水平誘導板102とは、この順序でタンク本体101の空所101a内に上から緊密に嵌合するのみで(ねじなどの固着具を用いずに)固定される形状寸法に形成することができる。この場合には、下部タンク100の、組み立ておよび分解を工具なし(工具レス)で行うことができる。よって、下部タンク100が空気中の塵埃、球Tの汚れの転着等で汚れた場合、その清掃などのために下部タンク100を分解したり、清掃後、再び下部タンク100を組立てたりすることを迅速・容易に行なうことができる。
また、下部タンク100の出口101dは、後述される球研磨装置200の導入部210に連結されている(図1参照)。
[2.2 球研磨装置]
図1に示すように、球研磨装置200は、下部タンク100の出口101dから排出される球Tを球研磨装置200の下端部に導入するための導入部210と、導入された球を搬送するための搬送部220と、搬送部220により搬送される球を研磨するための研磨部230とを有している。以下、各部について順次説明する。
<(1)導入部>
図5は、図1の搬送部220の下部および導入部210Aを示す縦断面図である。また、図6は、改善された導入部210Bの一例を示す断面図である。導入部210Aは球導入路211を有し、その球導入路211Aの他端側(X2側)が下部タンク100の出口101dに連結されている球導入路211Aの一端側(X1側)を、図5および図6に示すように、搬送部220の搬送ガイド225の下端部に開けられた入口227に結合して構成されている。
ところで、球導入路211Aの一端側(X1側)を、図5に示すように小さな傾斜角度で下り傾斜させて入口227に結合した場合は、その傾斜角度と球Tの重量によっては、球Tに加わるスクリューコンベア221の中心軸222方向の圧力が足りなくなる虞がある。そのため、回転するスクリューコンベア221の後述する帯板223に、球Tが接触したとき、球Tがスクリューコンベア221から離反する方向に転がり(球導入路211に戻され)、球Tがスクリューコンベア221の中心軸222に接触する位置(すなわち搬送待機位置WP)に到達することができないので、搬送されにくい場合がある。
図6は、この問題を解決するため改善された導入部210Bを示す。この導入部210Bの球導入路211Bは、傾斜部211B1と垂直落下部211B2とを有する。傾斜部211B1は、その上端部が下部タンク100の出口101dに連結されている。垂直落下部211B2は、その上端部が傾斜部211B1の下端部に接続され、垂直落下部211B2の下端部は搬送部220の搬送路226の入口227に接続されている。好ましい実施の形態においては、垂直落下部211B2の下端部は、スクリューコンベア221の帯板223の傾斜角度と等しい傾斜角度をもって入口227に接続されている。
このような構成により、球導入路211Bの傾斜部211B1から垂直落下部211B2に落下した球Tは、球Tの進行方向側の球ほど大きい圧力を受ける。そのため、進行方向の球Tが、回転しているスクリューコンベア221の帯板223に接触しても、その球Tがスクリューコンベア221から後退せずに、搬送待機位置WPに到達する。したがって、球Tが円滑かつ確実に搬送(揚送)される。
なお、垂直落下部211B2は、文字通り垂直でなくても良い。すなわち、垂直落下部211B2は、その中に導入される球Tのうち進行方向側の球Tがスクリューコンベア221の空間224内に進入するだけの圧力を受ける程度の傾斜を有するものでもよい。
図7は、図6に示す導入部210Bにおいて、球Tを導入する球導入路211Bが1列設けられている構成を示す横断面図である。図8は、図6に示す導入部210Bにおいて、球Tを導入する球導入路211Bが2列設けられている構成を示す横断面図である。図7に示すように、スクリューコンベア221に球Tを導入する球導入路211Bが1列のみ設けられる構成としても良いが、図8に示すように、球導入路211Bが2列設けられる構成としても良い。
なお、図8に示す構成では、搬送部220の搬送ガイド225には、縦を上下方向(Z方向)とすると縦2列の搬送路226が設けられている。また、かかる縦2列の搬送路226に対応して、2つの入口227が設けられており、それぞれの入口227に導入部210Bの垂直落下部211B2の先端側を接続して、球Tを2列導入するように構成されている。このような2つの導入部210Bおよび2列の搬送路226を有する球研磨装置200を用いる場合、下部タンク100から上部タンク300への球の単位時間当たりの球供給量を、1つの導入部210Bおよび1列の搬送路226を有する球研磨装置200の2倍にすることができる。しかしながら、球導入路211Bが3列以上設けられる構成としても良く、その場合には、搬送路226および入口227の数は、3つ以上としても良い。
<(2)搬送部>
次に、搬送部220について説明する。搬送部220は、図1、図5および図6に示すように、スクリューコンベア221を有している。このスクリューコンベア221は、中心軸222と帯板223を備えているが、中心軸222の外周に螺旋状の帯板223の内周側端部が接合された構成となっている。また、搬送部220は、搬送ガイド225を有している。その搬送ガイド225は、スクリューコンベア221の外側を上下方向(Z方向)の全長に亘って包囲している。そして、搬送ガイド225とスクリューコンベア221との間には、上下方向(Z方向)に延伸する搬送路226が形成されている。
その他、搬送部220は、好ましくは回転速度の変更が可能なステッピングモータやDCモータのような、スクリューコンベア221を回転させる動力源としてのモータ228を有すると共に、スクリューコンベア221を垂直状態で回転自在に支持する上下の軸受部229,2210(図1参照)を有している。なお、以下の説明では、モータ228を球搬送モータ228として説明する。また、DCモータを球搬送モータ228として用いる場合、エンコーダのような回転速度の検出を可能とする手段を共に用いることが好ましい。
上述した搬送ガイド225の内径は、スクリューコンベア221の外径よりもわずかに大きいが、搬送ガイド225の円周方向の一部(図7や図8においては入口227側の部位)は、その搬送ガイド225の全長に亘って拡大されている。なお、搬送ガイド225の拡大された部分の円弧形状がなす直径は、その拡大された部分以外の搬送ガイド225の円弧形状よりも小径に設けられている。そして、搬送ガイド225の拡大された部分の内面からスクリューコンベア221の中心軸222の外周面までの最短距離は、球Tの直径よりもやや大きく設定されており、そのような拡大部分とスクリューコンベア221の間の部分は、搬送ガイド225の長手方向(Z方向)に連続する搬送路226となっている。
したがって、スクリューコンベア221が球搬送モータ228により所定方向に回転されるときは、搬送路226に入り込んだ球Tは、スクリューコンベア221の帯板223の間の空間224に嵌り込むが、その空間224は同時に搬送路226でもある。そのため、帯板223の回転に伴い、球Tは搬送路226を上方に向かい搬送される。また、搬送部220の回転駆動手段である球搬送モータ228は、図1においては、スクリューコンベア221の上側(Z1側)に設けられているが、スクリューコンベア221の下側(Z2側)に設けられてもよい。
<(3)スクリューコンベア>
次に、上記のスクリューコンベア221の構成の詳細について、以下に説明する。図9は、比較例としてのスクリューコンベア221´が球Tを搬送する際のイメージを示す図であり、(a)は研磨布243付近のスクリューコンベア221´の構成を示す部分的な側断面図であり、(b)は球Tが受ける力の様子を示す図である。図10は、本実施の形態のスクリューコンベア221が球Tを搬送する際のイメージを示す図であり、(a)は研磨布243付近のスクリューコンベア221の構成を示す部分的な側断面図であり、(b)は球Tが受ける力の様子を示す図である。
なお、以下の説明では、比較例のスクリューコンベアをスクリューコンベア221´として説明し、比較例のその他の構成についても「´」を付した符号を用いて説明する。
図10(a)に示すように、本実施の形態のスクリューコンベア221は、帯板223の中心軸222からの突出寸法が、図9(a)の比較例におけるスクリューコンベア221´の帯板223´の突出寸法よりも短く設けられている。具体的には、図9(a)のスクリューコンベア221´では、中心軸222´の外周面から帯板223´の頂面223a´までの突出寸法が、球Tの半径よりも長くなるように設けられている。一方、本実施の形態のスクリューコンベア221では、図10(a)に示すように、中心軸222の外周面から帯板223の頂面223aまでの突出寸法が、球Tの半径よりも短くなるように設けられている。
本実施の形態では、かかる図10(a)に示すような構成とすることにより、図9(a)の比較例のような構成とする場合と比べて、球Tを研磨布243側に押し付ける力を増大させることができる。すなわち、図9(b)に示すように、比較例のスクリューコンベア221´では、球Tが帯板223´から受ける力F1は、帯板223´の表面に対しての垂直抗力となっている。なお、図9(b)に示すように、力F1は、研磨布243方向の力Fy1と、移動方向の力Fz1の合力となっている。
一方、図10(b)に示すように、本実施の形態のスクリューコンベア221では、帯板223と球Tとの接触点については、その接触点から垂直方向に垂直線を延伸しても、その垂直線は球Tの中心を通らない。そのため、球Tは、中心軸222の外周面から離れるような状態(球Tが倒れ込むような状態)となる。そのため、球Tが力F2を受ける方向は、球Tと帯板223の接触点と、球Tと中心軸222の接触点とを結んだ直線の垂直方向となる。このとき、図10(b)に示すように、力F2は、研磨布243方向の力Fy2と、移動方向の力Fz2の合力となっている。
ここで、図9(b)と図10(b)の比較から明らかなように、本実施の形態では、帯板223の中心軸222からの突出寸法が、比較例におけるスクリューコンベア221´の帯板223´の突出寸法よりも短くなることで、力F2のうち研磨布243方向の力Fy2が、大幅に増大している。それにより、球Tを研磨布243に押し付ける力を大幅に向上させることができ、短い移送距離でありながらも球Tを効率良く研磨(清掃)することができる。
また、研磨布243を球Tに押し付けるためのバネ等のような付勢手段が不要となり、部品点数を減らすことでコストの低減を図ることができる。また、バネ等のような付勢手段を用いずに済むので、研磨部230の小型化を図ることも可能となる。
また、バネのような付勢手段を用いる場合には、球Tが研磨布243に常に押圧され、その押圧力は、球搬送モータ228の負荷となって、球搬送モータ228の発熱が大きくなってしまう。しかし、本実施の形態のようにバネを用いない構成を採用することで、たとえば球搬送モータ228の停止状態では、球Tが上昇(揚送)されていないことで研磨布243への押圧力を小さくすることができ、結果として球搬送モータ228の発熱を低減することができる。
また、スクリューコンベア221の回転により球Tを上昇させる一方で、研磨布243は球Tとは逆側の下方に送ることにより、球Tの研磨布243に対する接触位置が変化する。それにより、移送される球Tでは、その広範囲の球面が研磨布243と接触し、それによって球Tの研磨効率(清掃効率)を向上させることができる。加えて、研磨布243を球Tの搬送方向とは逆の下方に送ることにより研磨布243が撓んだり皺が発生するのを防止可能となり、これらの防止によって本来の研磨能力(清掃能力)を発揮させることができる。また、後述するように、研磨布243と研磨カセット240の背面壁241dとの間には、クッション材が設けられている。そのため、球Tが研磨布243に押し付けられると、その押し付け部分は、研磨布243の他の部分よりも、背面壁241d側に凹む部分が生じ、研磨布243が球Tに対して接触する球面の範囲を広げることができる。それにより、球Tの研磨効率(清掃効率)を向上させることができる。
さらに、後述するように、クッション材に設けられている起毛は、その根元から先端に向かうと、研磨布243の送り方向に向かうように斜めに傾斜している。そのため、球Tにより、研磨布243が自身の送り方向とは逆方向に移動するのが防止可能となる。加えて、研磨布243が撓んだり皺が発生するのを防止可能となり、これらの防止によって本来の研磨能力(清掃能力)を発揮させることができる。
なお、図10(a)に示すような突出寸法の短い帯板223は、スクリューコンベア221のうち研磨本体部231(特に研磨布243と対向する部位)にのみ設ける構成とし、スクリューコンベア221の他の部分は、図9(a)に示すような突出寸法の長い帯板223としても良い。
<(4)研磨部の第1構成例>
図11は、研磨部230の第1構成例を示す斜視図であり、研磨カセット240が分離された状態で示されている。図12は、図11の状態においてギヤカバー235aの一部を省略して研磨部230の駆動部位を示す斜視図である。図13は、図11の研磨部230の研磨本体部231における搬送ガイド236が蛇行されている状態を示す斜視図である。
なお、図11から図13に示す構成は、図7に示すような導入部210Bが1つ、搬送路226が1列存在する場合の構成に対応している。ここで、研磨部230は、研磨本体部231と研磨カセット240とを有しており、研磨本体部231に研磨カセット240をセットすることにより研磨部230が構成される。しかしながら、研磨部230の概念には、研磨カセット240が含まれないものとしても良い。また、研磨部230の概念には、研磨カセット240は含まれるが、研磨布243が含まれないものとしても良く、研磨カセット240も研磨布243も含まれるものとしても良い。
<(4.1)研磨本体部>
図11から図13に示すように、研磨本体部231は、取付部材232、モータ固定部材233、モータ234、ギヤカバー235a、歯車235b、搬送ガイド236等を主要な構成要素としている。これらのうち、取付部材232は、上部軸受部229よりも下方に向かって延伸しているが、この取付部材232は、金属板等の板状部材が適宜折り曲げられた形態となっている。この取付部材232には、モータ固定部材233を介して小型のモータ234が取り付けられており、そのモータ234は研磨部230の動力源(研磨材動力源)である。以下の説明では、モータ234を研磨用モータ234という。
また、図12では、研磨用モータ234等のような研磨部230の駆動部位が示されている。この図12に示すように、研磨用モータ234の出力軸234aには、ウォームギヤ234bが取り付けられており、そのウォームギヤ234bはウォームホイール235cと噛み合っている。なお、ウォームホイール235cは、歯車235bと同軸かつ一体的に回転するように設けられている。このようなウォームギヤ234bを用いた構成とすることにより出力軸234a側からのみ作動可能になり、例えば研磨用モータ234の停止時に研磨布243が不要に移動することを防止できる。すなわち、研磨布243の弛みを防止できる。
また、上部軸受部229には、球搬送モータ228の出力軸に取り付けられた駆動プーリ229aと、スクリューコンベア221の中心軸222の上端側に取り付けられた従動プーリ229bとが設けられている。そして、駆動プーリ229aと従動プーリ229bの間にはベルト229cが張設されている。このような構成により、球搬送モータ228の駆動力がスクリューコンベア221に伝達されて、当該スクリューコンベア221が回転駆動させられる。
なお、後述するように、研磨カセット240は、搬送ガイド236に対して斜めとなるように取り付けられる。そのため、研磨用モータ234および歯車235bも、研磨カセット240に存在するギヤ247と噛み合うように、取付部材232の上下方向(Z方向)に対して斜めに取り付けられている。
また、取付部材232の図11から図13におけるX1側の部位には、搬送部220の上端側が取り付けられているが、その搬送部220を覆うように研磨カセット240が着脱可能に取り付けられている。
また、図11から図13に示すように、搬送部220の搬送路226には、研磨本体部231を構成する搬送ガイド236が設けられている。搬送ガイド236は、球Tを蛇行させつつガイドするものであり、またそのガイドに際して、球Tの正面側(Y1側)を後述する研磨布243に接触させる。それにより、球Tの拭き取り(研磨または清掃)が行われる構成となっている。
この搬送ガイド236は、球蛇行領域2314において遊技島Aの正面方向(Y1方向)に開口する溝状に設けられていると共に、一定のピッチで蛇行している。この搬送ガイド236は、互いに対向する端壁236a,236bにより形成されている。この端壁236a,236bは、全体としては上下方向(Z方向)に沿いつつも、X方向での若干の往復を繰り返すように蛇行している。
また、このような端壁236a,236bにより形成される搬送ガイド236は、その横断面形状がコ字形または円弧状の縦長部材に設けられ、正面側(Y1側)が開口している。この搬送ガイド236の開口は、球Tの直径よりもわずかに小さな幅を有している。また、搬送ガイド236の正面側(Y1側)には、後述する研磨布243が位置する。そのため、搬送ガイド236に位置する球Tは、開口を介して研磨布243によって拭き取られる(研磨または清掃される)状態となっている。
なお、搬送ガイド236の奥側(Y2側)には、上述のようにスクリューコンベア221が設けられている。そのため、球搬送モータ228の駆動によってスクリューコンベア221が回転させられると、球Tは搬送ガイド236に沿って蛇行しつつも、上方側(Z1側)に向かって移動する。
また、図13の右側に拡大して示すように、スクリューコンベア221の駆動と、上述した搬送ガイド236による球Tの蛇行によって、搬送ガイド236を搬送される球Tは不規則な回転をする。したがって、球Tの全球面が研磨布243に接触するので、研磨効率が向上する。また、図11から図13に示すように、搬送路226は、搬送部220の上端部において横方向に開口された出口2315を有する。
<(4.2)研磨カセット>
次に、研磨カセット240について説明する。図14は、研磨カセット240の一つの箱体241bを取り除くと共に、収容空間242内の収容物の断面状態を示す斜視図である。図15は、研磨布243を除去した状態の研磨カセット240を示す図であり、(a)は正面側から見た斜視図、(b)は背面図、(c)は底面図である。また、図16は、研磨カセット240を構成する2つの箱体241A,241Bのうち箱体241Bを取り外した状態を示す平面図である。
図15に示すように、研磨カセット240は、カセット本体241を構成する箱体241A,241Bを備えており、箱体241A,241Bにより構成されるカセット本体241に、各部材が取り付けられ、また研磨布243が収納されている。カセット本体241に取り付けられる部材としては、研磨布送り手段244を構成するギヤローラ245a,245b、回転軸246a,246bがあり、また回転軸246a,246bのうち箱体241A側に位置する側の端部にはギヤ247が取り付けられている。
図14から図16に示すように、研磨カセット240は、密閉された略縦長の箱状に形成されたカセット本体241を有している。カセット本体241は、箱体241A,241Bに二分割して構成されている。なお、箱体241A,241Bの分割構造は必ずしも等分に限らず、器と蓋の形態でもよい。2つの箱体241A,241Bをその開口面の周縁を突き合わせ、両箱体241A,241Bの周縁の四隅に形成してある舌片2411に存在する孔(たとえばネジ孔等)2412にネジを捻じ込む等により、2つの箱体241A,241Bが結合される。通常の作業としては、カセット本体241が単一体として入れ替えができるため、メンテナンスが容易である。そして、箱体241Aと箱体241Bとを二つに分割した状態で、収容空間242の研磨布243の交換が可能になる。したがって、無端帯状の研磨布243および研磨カセット240のリサイクル性に優れている。
また、2つの箱体241A,241Bが突き合わされることにより、カセット本体241には、側面壁241aと、底面壁241bと、正面壁241cと、背面壁241dと、一対の端面壁241e,241fが存在している。また、カセット本体241のうち背面壁241dの一方側端部には、収容空間242に連通するスリット形状の研磨布出口241gが設けられていて、この研磨布出口241gから研磨布243が引き出される。また、カセット本体241のうち背面壁241dの他方側端部には、収容空間242に連通するスリット形状の研磨布入口241hが設けられていて、この研磨布入口241hから研磨布243が収納される。
また、図14および図15(b)に示すように、カセット本体241の背面壁241dには、その幅方向の端部側に、ガイドリブ241rが設けられている。ガイドリブ241rは、研磨布243の進行をガイドするものである。すなわち、研磨布243が進行するにつれて、背面壁241dからずれるように移動しようとすることがあるが、ガイドリブ241rは、そのようなずれ方向への移動を抑えるものである。そのため、ガイドリブ241rは、背面壁241dから若干突出して設けられ、しかも研磨布243の進行方向に平行な長尺形状に設けられている。
図15(b)に示す構成では、ガイドリブ241rは一対設けられていて、その一対のガイドリブ241rは、背面壁241dの幅方向の端部側にそれぞれ設けられている。なお、ガイドリブ241rは、長尺状に設けられる構成としても良いが、長さを短くしたリブを間欠的に配置する構成としても良い。また、研磨布243が背面壁241dの幅方向におけるいずれか一方側にのみ移動する場合には、ガイドリブ241rを一対設ける構成とはせずに、背面壁241dの幅方向の端部側のうち研磨布243が移動するのを抑える側に配置する構成としても良い。
図14および図16に示すように、カセット本体241の中の収容空間242には、無端帯状の研磨材、例えば研磨布243が蛇腹状に詰めて収容されている。研磨布243は、収容空間242内の蛇腹状から、外部の平面状を経て再び蛇腹状に繰り返し変形可能であるので、研磨材料として好適である。
研磨布243は、カセット本体241の長手状の外壁である背面壁241dの外側面に沿うように引き出され、それによって研磨布243は背面壁241dを覆う状態となる。すなわち、研磨布243は長手方向の一部がカセット本体241の背面壁241dの外側に露出し、その研磨布243にテンションが付与されることで、研磨布243が背面壁241dに沿う状態となっている。そして、背面壁241dのうち研磨布243が沿う部分が、後述するような球Tの研磨領域PFを提供する。
収容空間242内には、研磨布入口241hの内側に研磨布243を所定方向に送る研磨布送り手段244(研磨材送り手段に対応)が設けられている。研磨布送り手段244は、研磨布入口241hの内側に、回転軸246a,246bにより回転自在に支持される2本のギヤローラ245a,245bを有している。ギヤローラ245a,245bは、そのギヤピッチが等しく設けられている。なお、ギヤローラ245aは、ギヤ247と同軸に設けられている。以下では、必要に応じて、ギヤ247と同軸のギヤローラ245aを駆動ギヤローラ245aとし、その駆動ギヤローラ245aと噛み合うギヤローラ245bを、従動ギヤローラ245bとする。
一方側の駆動ギヤローラ245aは、その取付位置が固定的であるが、他方のギヤローラ245bは一方のギヤローラ245aに接近する方向に付勢される構成としても良いが、付勢されない構成としても良い。また、一方のギヤローラ245aの回転軸246aは、箱体241Aの底面壁241bを貫通して外方に突出しており、その外方への突出部分には、ギヤ247(第2の歯車)が取り付けられている。ギヤ247は、歯車(第1の歯車)234bと噛み合うことで、研磨用モータ234からの駆動力が与えられる。
このようなギヤローラ245a,245bの間を研磨布243が通るが、その際に、ギヤローラ245a,245bによって研磨布243に永久変形が生じない程度の力で、研磨布243がギヤローラ245a,245bの間に挟圧されている。
したがって、研磨用モータ234の駆動によってギヤ247(第2の歯車)を所定方向に回すと、カセット本体241の背面壁241dを覆っている研磨布243がカセット本体241の研磨布入口241hから収容空間242内部に引き込まれ、蛇腹状に折畳まれるように構成されている。ここで、研磨布入口241hが研磨布出口241gよりも下方側に位置していることから明らかなように、研磨布243は、研磨領域PFにおいて搬送部220の球Tの搬送方向と逆の方向に移動される。
上述の研磨カセット240は、図11および図12に示すように、搬送部220の上端部付近に存在する球蛇行領域2314と対向する状態で、取付部材232その他の部分に取り付けられる。その取り付けでは、ギヤ247が歯車235bと噛み合う。また、この取り付けでは、研磨領域PFに位置する研磨布243が球蛇行領域2314の表面に沿う状態となる。そのため、研磨用モータ234を駆動すると、研磨布243が球蛇行領域2314の表面に沿って下方に移動する。ただし、研磨カセット240は、後述するように、上下方向に対して若干斜めとなるように取り付けられている。
このような研磨カセット240の取り付けにより、球蛇行領域2314を不規則な回転をしながら搬送される球Tは、その全球面が研磨布243と接触するので、研磨効率が向上する。また、研磨布243が球Tの搬送方向と逆方向に移動されるので、球の移動距離に対して研磨布243が球Tに接触する長さが増すため、研磨能力が向上する。さらに、研磨布243が球Tの搬送方向と逆方向に移動されることにより、研磨布243の撓みやしわの発生が抑制される。
なお、研磨用モータ234による研磨布243の送りは、送りと休止を間欠的に行なうことが好ましい。このように研磨用モータ234を駆動することにより、研磨布243の弛み対策となり(弛みを防止できる)、また研磨用モータ234の寿命延長を図ることができる。
図17は、研磨カセット240を研磨本体部231に取り付ける形態を示し、(a)はカセット本体241の長手方向がスクリューコンベア221の中心軸222に平行な状態を示し、(b)は(a)とは異なり斜めの状態を示している。図17(a)に示すように、研磨カセット240は、カセット本体241の長手方向を搬送部220のスクリューコンベア221の中心軸222と平行な状態で取付けても良い。しかしながら、このような取付態様では、研磨布243の研磨有効範囲(ロ)が、研磨布243の長手方向と平行な細長い範囲(網掛け範囲)に限定されてしまう。そのため、それ以外の範囲(白範囲)(イ)は使用されないので、研磨布243の使用効率が低い。なお、図17(a)では、研磨布243の研磨有効範囲(ロ)と、蛇行する搬送ガイド236による球Tの搬送ルート(ハ)とは、概ね一致している。
これに対して、図17(b)に示すように、カセット本体241の長手方向を搬送部220のスクリューコンベア221の中心軸222(搬送方向)に対して斜めとなるように研磨カセット240を研磨本体部231に取り付ける態様を考える。この場合、蛇行する搬送ガイド236による球Tの搬送ルート(ハ)が、研磨布243の長手方向に対して斜めになる。そのため、研磨布243の送り(移動)を考慮すると、研磨布243の研磨有効範囲(ロ)が、研磨布243の全幅に跨るように広げられる。それにより、研磨布送り手段244により送られる研磨布243の全面が球Tの研磨(清掃)に使用されることとなり、研磨布243の使用効率が向上する。
本実施の形態では、このような図17(b)の斜め送りの場合の研磨有効面積は、図17(a)の平行送りの場合の約2.3倍となっている。したがって、球研磨装置200の消耗品コストの低減が可能である。また、研磨布243の面積が有効に使用されるので、研磨布243の送り頻度、すなわち、研磨用モータ234の駆動頻度を少なくすることができる。加えて、研磨布243の交換頻度を少なくすることができる。したがって、球研磨装置200の運転コスト、メンテナンスコストの低減も可能である。
以上のような研磨本体部231および研磨カセット240を有する研磨部230の動作について説明する。図18は、図17(b)に示すような斜めの状態で取り付けられた研磨カセット240を背面壁241d側から見た状態を示す斜視図である。図19は、斜めの状態で取り付けられた研磨カセット240の研磨布243に接する搬送中の球Tの動きを示す図である。
スクリューコンベア221の中心軸には歯車(図示省略)が固着され、その歯車は球搬送モータ228の回転軸に固着されている歯車(図示省略)と噛合されている。したがって、球搬送モータ228を所定方向に回転すると、スクリューコンベア221が回転されるため、導入部210からスクリューコンベア221の帯板223の間の空間224に進入した球Tは回転している帯板223により搬送路226を搬送(揚送)される。すると、図18および図19に示すように、搬送される球Tは、研磨本体部231の球蛇行領域2314において搬送ガイド236により蛇行されながら、研磨カセット240の研磨布243に接触し、その接触によって球Tが研磨(清掃)される。
<(4.3)研磨部の望ましい付加構成>
次に、研磨部230の望ましい付加構成について説明する。
図20は、研磨カセット240のカセット本体241の背面壁241d付近の構成を示す断面図である。また、図21は、研磨布243と比較例のクッション材260を拡大して示す断面図である。図22は、研磨布243と好ましいクッション材260を拡大して示す断面図である。図23は、図22に示す研磨布243およびクッション材260に球Tが押し付けられた様子を示す断面図である。
図20に示すように、研磨カセット240の背面壁241dには、研磨布243と接触するクッション材260が設けられている。クッション材260は、球Tが研磨布243を押す際に、適度に凹むように設けられている。なお、かかる適度な凹みは、たとえば1mmぐらいとするものがあるが、それよりも凹みが大きくても良く、また1mmよりも凹みが小さくても良い。
クッション材260としては、たとえば図21に示すように、繊維の方向がランダムなフェルトを用いることができる。なお、かかる図21に示す比較例としてのクッション材260を、以下では、クッション材260´として説明する。ただし、図22に示すようなクッション材260の方が、図21に示すクッション材260´よりも好ましい。図22に示すクッション材260は、平坦な基布261の表面に研磨布243の移動方向に斜めに立つ起毛262を配置して構成されている。起毛262は、繊維を全面的に均一な高い密度で植毛されたものでなく、たとえば十数本の繊維束262aをほぼ均等な間隔を持って基布261に植毛することにより、各繊維束262aの間に中空部263を有するものであることが望ましい。
この場合、起毛262は、その起毛262の長さをY、球圧による起毛262の沈み量をXとすると、Y>Xの関係が成り立つような弾性を有する材質であることが好ましい。なお、起毛262は、基布261に対して斜めに植毛されたパイル状(環状)の部材の一部をカットすることにより形成されるものとしても良いが、繊維束262aを基布261に対して斜めに植毛する構成としても良く、その他の方法によって形成されても良い。
なお、クッション材260(特に起毛262)は、摺動性のある素材を用いるのが好ましい。具体的には例えば、フッソ系繊維等がそれに該当する。また、クッション材260(特に起毛262)は、摺動性と共に、弾性も兼ね備えていることが好ましい。
起毛262は、その先端側が基布261側である付け根側よりも研磨布243の送り方向に向かうように斜めに立つように植毛されている。そのため、研磨布243の送り方向に対する負荷は小さいが、その送り方向とは逆方向に研磨布243を移動させると大きな負荷が生じる。そのため、搬送される球Tによる研磨布243の逆方向の移動が防止され、研磨布243の撓みや皺の発生が抑制される。したがって、研磨布243の本来の研磨(清掃)能力が発揮される。
図23は、搬送部220により搬送される球Tが通過するときに研磨布243とクッション材260が球Tによる圧力により変形される状況を示す。このようにクッション材260を用いることにより、搬送される球Tが研磨布243とクッション材260の凹みにより研磨布243との接触面積が広くなる。そのため、クッション材260がなく凹みが生じ難い場合と比較して、よりよい研磨(清掃)効果が得られる。なお、かかる研磨(清掃)効果は、図10に示すような帯板223の突出長さが短いスクリューコンベア221で得られるのは勿論、図9に示すような帯板223´の突出長さが長いスクリューコンベア221´でもそのような研磨(清掃)効果が得ることが可能となっている。
また、研磨領域PFを通過する球Tには静電気により塵埃や汗や油等の異物が付着している場合がある。しかし、図22および図23に示すクッション材260では、起毛262の間(特に基布261側)には中空部263が形成されている。そのため、その異物が研磨布243に転移浸透して起毛262に達し、その異物が中空部263に収容される。したがって、異物の収容量を多くすることができ、研磨布243とクッション材260の使用可能期間が長くなるという利点がある。
図22および図23に示すような、基布261を有するクッション材260は、カセット本体241の背面壁241dに接着等により取り付けられている。このようなクッション材260の変更例としては、図24に示すものが挙げられる。図24は、図22に示すクッション材260の変形例に係るクッション材260を示す図である。図24に示すクッション材260の構成では、クッション材260の基布261を、粘着性部材264によりカセット本体241の背面壁241dに貼り付けている。この粘着性部材264は、粘着性を有する粘着基台265と同じく粘着性を有する粘着層266を有している。粘着基台265は、背面壁241dに貼り付けられる部分であり、粘着層266は基布261が貼り付けられると共に異物を捕捉する部分である。かかる粘着層266で異物が捕捉されると、その異物が研磨布243側に戻り難くなる。
なお、粘着性部材264は、粘着基台265と粘着層266を有する2層構造であるが、いずれか1層のみを有する構成としても良く、粘着基台265と粘着層266以外の層を有する3層以上を有する構成としても良い。
また、上述したように、研磨用モータ234による研磨布243の送りについて、送りと休止を間欠的に行なう場合には、研磨用モータ234を連続的に駆動する場合と比較して、その送りまたは休止の際に、起毛262には起き上がる部分が生じ易くなる。そして、その起毛262の起き上がりにより、起毛262に起き上がり部分が生じ難い構成と比較して、球Tの研磨(清掃)能力を向上させることができる。
次に、起毛262が倒れている方向(倒れ方向)と、研磨布243の移動方向の関係について、図25に示す。図25は、起毛262の倒れ方向と研磨布243の進行方向を説明する斜視図であり、(a)は起毛262の倒れ方向が研磨布243の移動方向と平行な場合を示し、(b)は研磨布243の移動方向に向かうと起毛262の倒れ方向がクッション材260の幅方向の中心から離れるように傾斜している様子を示す斜視図である。
図22から図24に示すクッション材260は、起毛262の倒れる方向は、研磨布243の移動方向に向かうように斜めに起立させることが考えられる。このような構成例が図25(a)に示すものである。かかる図25(a)に示す構成例では、クッション材260を備えた研磨カセット240を球研磨装置200の研磨部230に装着して、研磨用モータ234を駆動させると、研磨布243は、図25(a)に矢印で示す方向に誘導されるが、その誘導の方向は、研磨布243の送り方向と平行となっている。
これに対して、クッション材260を図25(b)に示すような構成としても良い。図25(b)に示す構成では、一つの研磨カセット240に対して、幅方向(左右)に沿って2つのクッション材260L,260Rからクッション材260が構成されている。クッション材260Lとクッション材260Rとは、研磨布243の進行方向に向かうにつれて、互いに離れるように起毛262が傾斜している。換言すると、起毛262の付け根側(基布261側)から先端側に向かうと、クッション材260Lとクッション材260Rの境界部位から離れるように、起毛262が傾斜している。
クッション材260が図25(b)のように構成されている場合、研磨布243が進行すると、研磨領域PFにおけて、研磨布243の図25(b)における幅方向の左側半分は、図25(b)において左斜め上方に誘導され、同じく研磨布243の図25(b)における幅方向の右側半分は、図25(b)において右斜め上方に誘導される。したがって、移動される研磨布243は幅中心線から幅方向両端部方向に広げられ、それによって研磨布243は左右いずれの側にも偏ることなく、張力が付与された状態となる。それにより、研磨布243の偏りが防止されるので、研磨布243は、球Tに対して安定した研磨(清掃)能力を発揮させることができる。
また、図26は、図25(b)におけるクッション材260を示す斜視図であり、(a)は組違い防止手段267がない構成を示し、(b)は組違い防止手段267が存在する構成を示している。図26(b)に示すように、2つのクッション材260L,260Rを用いる場合、取り付ける際の幅方向の左右での組違いを防止する構成が存在することが望ましい。この組違い防止手段267は、図26(b)に示す構成では、それぞれのクッション材260L,260Rの隅部に設けられている切欠となっている。ここで、クッション材260とクッション材260Rとで、組違い防止手段267を設ける隅部を変えることで、2つのクッション材260Lとクッション材260Rとを識別することができる。
なお、図26(b)に示す構成では、組違い防止手段267としての切欠は2つ設けられていて、その2つの切欠は、クッション材260L,260Rの対角線方向に配置されている。しかも、その対角線方向を、クッション材260L,260Rを平面視した場合の起毛262の傾斜方向に近い方向とすることで、左右のクッション材260L,260Rの向きを識別し易くなる。
また、組違い防止手段267が切欠により構成される場合には、この切欠が入り込むノッチ等の突出部材を、カセット本体241の背面壁241dに設ける構成とするのが好ましい。
<(4.4)搬送ガイドで保持された球を研磨布に押圧するための詳細構成について>
次に、搬送ガイド236で保持された球Tを研磨布243に押圧するための詳細構成について説明する。
図27(a)は、搬送ガイド236の構成を示す平面図であり、(b)は搬送ガイド236に沿って球Tが搬送された場合の研磨カセット240の研磨布243に対する球Tの軌跡を示す図である。図27(a)に示すように、搬送ガイド236は、垂直経路部236Aと蛇行経路部236Bとを有している。垂直経路部236Aは、球蛇行領域2314よりも下方側(図11のZ2側)の搬送ガイド225と同様に、球Tを搬送部220の軸中心Lに沿って搬送する部分である。本実施の形態では、軸中心Lは上下方向(図11のZ方向)に沿っているので、垂直経路部236Aも上下方向(Z方向)に沿っている。また、垂直経路部236Aでは、端壁236a,236bは、上下方向(Z方向)に沿っている。
一方、蛇行経路部236Bは、球Tを軸中心Lに対して斜めとなる(斜行する)ように搬送する部分である。そのような斜行した搬送を可能とするために、蛇行経路部236Bでは、端壁236a,236bには、軸中心Lに対して傾斜した部分を有しているが、端壁236a,236bのうち蛇行カーブの外周側に位置する部位の一部には、軸中心Lに沿う部分が存在している。
なお、図27(a)に示す構成では、端壁236a,236bは、軸中心Lに平行な平行部分と、軸中心Lに傾斜している傾斜部分とが繰り返されている。しかし、図28に示すように、端壁236a,236bのうち蛇行曲がりの外周側の平行部分と傾斜部分との境界に、湾曲させた湾曲部分236cを設けても良い。すなわち、垂直経路部236Aから蛇行経路部236Bに球Tが移行する場合、上記の蛇行曲がりの外周側の傾斜部分に球Tが衝突して、騒音が発生する場合がある。しかし、上記のように平行部分と傾斜部分との境界に、湾曲させた湾曲部分236cが存在する場合、衝突の衝撃が小さくなり、そのような騒音の発生を抑えることが可能となる。なお、湾曲部分236cの曲率としては、球Tの半径に対応させるものとしても良く、半径よりも大きく形成しても小さく形成しても良い。
ただし、製造の容易性や、球Tに進行方向の急激な変化を与える場合には、上記のように、境界部分に湾曲部分236cが存在しなく平行部分と傾斜部分の角度が急激に変化する構成とすることが好ましい。
図29は、球蛇行領域2314の搬送ガイド236によって球Tがガイドされる様子を示し、上方側から見たときの状態を示す断面図である。なお、図29(a)は、垂直経路部236Aに球Tが存在すると共に球Tが左寄りの状態を示している。また、図29(b)は、蛇行経路部236Bに球Tが位置すると共にスクリューコンベア221の中心軸222から研磨布243を結ぶ垂線M上(中心軸222の対向中心位置)に球Tの中心が位置している状態を示している。また、図29(c)は垂直経路部236Aに球Tが存在すると共に球Tが右寄りの状態を示している。
図29(b)に示す状態では、垂線M上に球Tの中心が位置している。このため、球Tが中心軸222に接触する部位は、垂線M上に存在しており、その接触部位から研磨布243までの距離L1(研磨布243が凹む前の距離;図示は省略)は最短となっている。そのため、球Tは、図29(a),(c)に示す場合と比較して、研磨布243を大きく押圧する状態となっている。それにより、図29(b)に示す状態では、研磨布243は大きく凹み、それによって研磨布243が球Tに接触する接触面積が大きくなっている。
一方、図29(a)に示すように、球Tが搬送路226内で片寄って位置する場合(この図で左寄りとなる場合)、球Tの中心は垂線Mからずれた位置に存在している。このとき、球Tが中心軸222に接触する部位は、垂線Mに対して角度θをなす位置となっている。そのため、球Tと中心軸222との接触部位から研磨布243までの距離L2(研磨布243が凹む前の距離;図示は省略)は、距離L1よりも大きく設けられている。しかも、図29(a)においては、中心軸222に対する球Tの接触点と、研磨布243に対する球Tの接触点とを結んだ線の長さは、球Tの直径よりも小さい。したがって、球Tは、図29(b)に示す場合と比較して、研磨布243をさほど大きくは押圧しない状態となっている。それにより、図29(a)に示す状態では、研磨布243の球Tの押圧による凹みは小さくなり、それによって研磨布243が球Tに接触する接触面積が小さくなっている。
なお、図29(c)に示す状態は、図29(a)に示す状態と左右対称であるものの、球Tによる研磨布243の押圧状態は同じとなっている。
以上のように、球Tが球蛇行領域2314を進行する際には、図29(a)から図29(c)のいずれかの位置を経過するタイミングが存在している。そのため、球Tは、球蛇行領域2314を進行する際には、垂線Mに対して左右に振られるような態様にて進行する。
図30は、球Tが球蛇行領域2314を移動する際の押圧力の変化(接触面積の変化)と時間の関係を示すグラフである。なお、図30は、厳密な押圧力の変化や接触面積の変化を示しているものではなく、変化のイメージを模式的に表すものである。また、実際の押圧力の変化(接触面積の変化)は、図30のような変化ではなく異なる曲線を描くものであっても良く、直線状に変化するものであっても良い。
図30に示すように、球蛇行領域2314を球Tが進行する場合、図29(b)に示す状態となるときに、球Tが研磨布243を押圧する際の押圧力(接触面積)が最大となる。この最大となるときを図30において極大値Bとすると、その極大値Bを境として、球Tが研磨布243を押圧する際の押圧力(接触面積)が減少する。そして、垂直経路部236Aに球Tが位置する場合に、球Tが研磨布243を押圧する際の押圧力(接触面積)が最小となる。この最小となるときを図30において極小値Aとする。
このように、球Tが研磨布243を押圧する際の押圧力(接触面積)は、極大値Bと極小値Aとの間で変化する状態となっている。
ところで、図30に示すように押圧力(接触面積)が変化する場合、次のようなメリットがある。すなわち、球Tの研磨(清掃)能力を向上させるためには、適切な押圧力で球Tを研磨布243に押圧する必要がある。しかし、現状の球研磨装置200では、研磨カセット240を取り付ける際の誤差や、研磨布243の製造誤差、その他の各種の誤差の累積によって、研磨布243と搬送ガイド236(球蛇行領域2314)の距離が変動する。
たとえば、研磨カセット240のカセット本体241の製造誤差が±0.1mm、図24に示すような粘着性部材264の厚みが0.1〜0.2mm、クッション材260の製造誤差が±0.2mm、研磨布243の製造誤差が±0.2mmとし、さらにクッション材260の復元力として新品の80〜90%程度までの復元力となる場合もある。このような誤差等が存在する場合、たとえば±0.3〜0.4mm程度の誤差は、当然のように発生する場合がある。そのため、かかる誤差の発生は、球Tの研磨布243での研磨(清掃)能力に大きな影響を及ぼすものとなっている。
そのため、球Tの研磨布243に対する押圧力(接触面積)が変化しない従来構成の場合、押圧力が弱くなって球Tの研磨(清掃)能力が低下したり、逆に押圧力が強過ぎて研磨(清掃)能力が低下する、という問題がある。なお、球Tの押圧力が強過ぎて研磨(清掃)能力が低下する場合としては、研磨布243が一度拭き取って蓄えている汚れが、押圧力が強いことによって再び研磨布243から染み出して再び球Tに付着してしまうような場合が該当する。
このような従来構成に対して、本実施の形態では、球Tを搬送しつつ球Tの研磨を行う研磨本体部231には、外部に研磨布243が露出している研磨カセット240が取り付けられ、その研磨本体部231には球Tの一部を露出させつつ球Tの搬送をガイドする搬送ガイド236が設けられている。そして、搬送ガイド236には球Tを蛇行させつつ搬送する球蛇行領域2314が設けられていて、その球蛇行領域2314には、球Tが研磨布243から離間している垂直経路部236A(離間区間)と、その垂直経路部236A(離間区間)よりも球Tを研磨布243に接近させると共に球Tが最も研磨布243に接近する近接点(極大値Bとなる地点)を含んだ蛇行経路部236B(接近区間)とが設けられている。そして、この球蛇行領域2314を球Tが通過する際には、球Tの押圧力および押圧面積が変化する構成となっている。なお、球Tの押圧力および押圧面積の変化は、周期的となっているが、周期的な変化ではなく不定期な変化を生じさせるものであっても良い。
このように構成することで、球Tの研磨布243に対する押圧力(接触面積)は、球Tが揚送される際に周期的に変化している。そのため、研磨布243と搬送ガイド236(球蛇行領域2314)の距離が多少の誤差により所望とする距離から変動しても、球Tの研磨布243に対する押圧力(接触面積)の大部分は、許容範囲内に収めることが可能となり、それによって、上述のような距離誤差を吸収可能となる。
ここで、図30において、破線と2点鎖線は、上述の距離誤差が生じた場合の、押圧力の変化(接触面積の変化)と時間の関係を示している。このように、多少の距離誤差が存在していても、球Tの球Tの研磨布243に対する押圧力(接触面積)は、その多くの部分を許容範囲内に収めることが可能となっている。
また、球Tの研磨布243に対する押圧力(接触面積)が許容範囲内から外れている区間が存在していても、その外れている区間を球Tが進行する時間は短くすることができるので、許容範囲から外れた悪影響が低減できる。たとえば、球Tの研磨布243に対する押圧力が許容範囲よりも強くなる方向に外れる(破線の状態となる)と、研磨布243が蓄えている汚れが球Tに再付着する場合があるが、直ぐに押圧力が弱くなるので、球Tに再付着した汚れを再び研磨布243で拭き取ることが可能となる。また、球Tの研磨布243に対する押圧力が許容範囲よりも弱くなる方向に外れる(2点鎖線の状態となる)と、研磨布243の球Tに対する研磨(清掃)能力が低下するが、球Tの進行により再び押圧力が強くなるので、球Tの研磨(清掃)能力が低下するのを抑えることが可能となる。
また、次のようなメリットも生じる。すなわち、本実施の形態のように、研磨カセット240から引き出された研磨布243を用いて球Tの研磨(清掃)を行う場合、球Tの研磨(清掃)を比較的短い距離で実現する必要がある。かかる短い距離で球Tの搬送を行おうとすると、押圧力が変化しない従来構成においては、球Tの押圧力を弱くするよりは、押圧力を強くする方向へと向かうことになる。しかしながら、このような従来構成において、押圧力が強い状態のままでは、上述した汚れの再付着の問題と共に、研磨布243が強く押されることで、耐久性が低下してしまう、という問題もある。
しかしながら、上述のように、球蛇行領域2314を球Tが通過する際には、球Tの押圧力および押圧面積が変化する構成とすることで、研磨布243の耐久性が低下するのを抑えることが可能となる。
また、従来構成のように、垂直経路部236Aに対応する直線的な部位を球Tが進行する場合には、球Tの押圧力や押圧面積といった押圧状態はさほど変化しない。しかし、球Tが垂直経路部236Aと蛇行経路部236Bを進行することで、球Tに不規則な回転を与えることが可能となる。それにより、球Tの研磨(清掃)能力を向上させることが可能となる。
また、本実施の形態の研磨カセット240は、図31および図32に示すように構成しても良い。図31は、クッション材260を取り除いた状態の研磨カセット240の構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は背面図、(c)は(b)のA−A線における断面図である。図32は、球Tがガイドされる様子を示す図であり、上方側から見たときの状態を示す断面図である。なお、図32(a)は、垂直経路部236Aに球Tが存在し、かつ球Tが左寄りの状態を示している。また、図32(b)は、蛇行経路部236Bに球Tが位置すると共に垂線M上に球Tの中心が位置している状態を示している。また、図32(c)は垂直経路部236Aに球Tが存在し、かつ球Tが右寄りの状態を示している。
図31および図32に示す構成では、カセット本体241の背面壁241dには、図31に示すようなガイド凹部248が設けられている。このガイド凹部248は、背面壁241dの他の壁面部よりも凹むように設けられている。具体的には、ガイド凹部248には、底壁部248aと側壁部248bとが設けられている。底壁部248aは、ガイド凹部248の中央寄りの部分において、平らに設けられている。また、側壁部248bは、ガイド凹部248の幅方向のうち底壁部248aよりも縁部側に設けられていて、底壁部248aから離れるにつれて、背面壁241dの壁面部に向かう(上方側に向かう)ように設けられている。
図32に示すように、ガイド凹部248には、背面壁241dの他の壁面部と同様に、クッション材260と研磨布243とが取り付けられていて、それらクッション材260と研磨布243もガイド凹部248に倣って凹んでいる。
ここで、図32(b)に示すような垂線M上に球Tの中心が位置しているときの接触部位から研磨布243までの距離が、上述した図29(b)に関して説明した距離L1と同じであるとする。この場合、図32(a),(c)の場合には、図29(a),(c)の場合と比較すると、側壁部248bの存在によって研磨布243およびクッション材260の凹みが大きくなる。そのため、球Tに対する研磨布243の押圧力および接触面積を増大させることができ、研磨(清掃)能力を向上させることができる。
また、本実施の形態の研磨カセット240は、図33に示すように構成しても良い。図33は、ガイド突起249が存在すると共にクッション材260を取り除いた状態の研磨カセット240の構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は背面図、(c)は(b)のA−A線における断面図である。
図33に示す構成では、背面壁241dにはガイド突起249が設けられている。ガイド突起249は、図31および図32における側壁部248bに対応する部分である。すなわち、球Tがガイド突起249の直上付近に差し掛かると、ガイド突起249の存在により、図32(a),(c)の場合と同様に研磨布243およびクッション材260の凹みを大きくすることができる。それにより、球Tに対する研磨布243の押圧力および接触面積を増大させることができ、研磨(清掃)能力を向上させることができる。
なお、図33に示す構成では、ガイド突起249は間欠的に設けられている。これは、次の理由による。すなわち、球Tは、搬送ガイド236により蛇行するが、その際に、仮に球Tが差し掛かる位置(対向する位置)とは無関係の位置にガイド突起249があったとしても、球Tに対する研磨布243の押圧力および接触面積の増大には寄与しない。そこで、図33に示す構成では、球Tの蛇行の際に、球Tが差し掛かる位置(対向する位置)に、ガイド突起249を設けているため、ガイド突起249が間欠的な配置となっている。
図34は、ガイド凹部248(側壁部248b)およびガイド突起249が設けられた場合に、球Tが球蛇行領域2314を移動する際の押圧力の変化(接触面積の変化)と時間の関係を示すグラフである。なお、図34は、厳密な押圧力の変化や接触面積の変化を示しているものではなく、変化のイメージを模式的に表すものである。また、実際の押圧力の変化(接触面積の変化)は、図34のような変化ではなく異なる曲線を描くものであっても良く、直線状に変化するものであっても良い。
既に述べた図30から明らかなように、軸中心Lから最も離れている垂直経路部236Aでは、押圧力(接触面積)が最も小さくなり、しかも軸中心Lと平行な状態を暫く保ちつつ球Tが搬送される。そして、最も押圧力(接触面積)が小さな垂直経路部236Aでは、球Tの研磨(清掃)効率も最も悪くなっている。しかしながら、上述のようにガイド凹部248(側壁部248b)やガイド突起249を設ける場合、図30において押圧力(接触面積)が低い領域が高い側へと持ち上げられて、図34に示すような状態となる。この図34から明らかなように、軸中心Lから最も離れている垂直経路部236Aにおいて、押圧力(接触面積)を大きくすることが可能となるので、球Tの研磨(清掃)効率を向上させることができる。
なお、図34に代えて、図35のような押圧力(接触面積)の変化を生じさせることもできる。図35では、垂直経路部236Aにおける押圧力(接触面積)が、図29(b)および図32(b)に示すときと同等となっている。この場合、押圧力(接触面積)が最大である区間が長くなる。このため、最大の押圧力(接触面積)が許容範囲内に収まっている場合には、図35のような押圧力(接触面積)の変化とすることで、一層研磨(清掃)能力を向上させることができる。
なお、側壁部248bの底壁部248aに対する高さや、ガイド突起249が他の背面壁241dに対する高さは、上述した距離L1と距離L2の差分の半分程度とすることが可能である。高さをこのように設定すると、図34に示すような押圧力(接触面積)の変化を与えることが可能となる。
図36は、従来構成の搬送ガイド236´の構成を説明する図であり、(a)は上下方向(Z方向)に延伸する搬送ガイド236´の平面図を示し、(b)〜(d)は搬送ガイド236´の断面図である。なお、(b)はこの図において球Tが左寄りとなった状態を示し、(c)は同じく球Tが中央に位置する場合を示し、(d)は同じく球Tが左寄りとなった状態を示している。
従来構成の搬送ガイド236´においては、端壁236a´と端壁236b´と球Tの間には、図36(b)〜(c)に示すような周状をなすクリアランスが存在している。この場合、一対の端壁236a´,236b´で囲まれた空間内で、球Tは移動しながら搬送されることになる。それにより、球Tが搬送される際に、端壁236a´または端壁236b´に衝突して、騒音が発生するという問題が生じている。また、垂直経路部236Aと蛇行経路部236Bとが切り替わる部分等においては、球Tが、一部の端壁236a´,端壁236b´に強く衝突する場合がある。そして、長期に亘って球Tが強く衝突すると、摩耗他の要因で、耐久性を損なってしまうという問題もある。
また、従来構成の搬送ガイド236´においては、図37、図38および後述する図56等に示すように、端壁236a´,236b´のうちのいずれか一方が下方に位置する状態で配置される場合もある。このような配置となる場合にも、球Tと端壁236a´,端壁236b´の間のクリアランスの存在によって騒音が発生する場合もある。また、特に下方に位置する側の端壁236a´,236b´が先に摩耗するので、均等に摩耗した場合と比較して寿命が半分になる等、耐久性が低下する、という問題もある。
このような従来構成に対して、本実施の形態では、図39に示すような構成を採用している。なお、図39は、搬送ガイド236における球Tの保持の様子を示す断面図である。すなわち、球Tがスクリューコンベア221の中心軸222に当接する際に、搬送ガイド236を構成する一対の端壁236a,236bの先端側の接触部分236dに同時に接触する構成を採用している。なお、かかる一対の端壁236a,236bへの球Tの同時接触を実現するために、接触部分236dは、若干の付勢力を有する状態で球Tに接触することが好ましい。
図39に示すように、球Tは、中心軸222と、両側の搬送ガイド236の接触部分236dの合計3点で接触している。かかる3点支持を実現するために、図39に示す構成では、スクリューコンベア221寄りの部位では、一対の端壁236a,236bと球Tとの間に隙間Sが存在している。それによって、端壁236a,236bのうち接触部分236dでない部位にて、球Tが端壁236a,236bと接触するのを防止している。また、図39に示す構成では、両側の接触部分236dが球Tに確実に接触しており、いずれか一方の接触部分236dとの間で、ガタつきを生じさせない状態となっている。
このように、ガタつきを生じさせない構成を採用することで、球Tがいずれかの一対の端壁236a,236bに衝突する際に生じていた騒音を抑制することができる。また、上述のようなガタつきを抑えることで、球Tが、一部の端壁236a´,端壁236b´に強く衝突するのを抑えることも可能となる。それにより、長期に亘って球Tが強く衝突する際に生じる摩耗を抑えることができ、耐久性を向上させることができる。また、隙間Sが存在する構造にすることで、研磨時の汚れや構造物の摩耗粉などを装置外へ排除する働きを生じさせることができる。そのため、研磨布243をより有効活用して研磨布243の使用効率を高める効果を生じさせることができる。
さらに、図37および図38に示すような、端壁236a,236bのうちのいずれか一方が下方に位置する状態で配置されても、両側の端壁236a,236bの接触部分236dが球Tに衝突するので、片側の端壁236a,236bのみが摩耗するような偏摩耗を防止することができ、耐久性を向上させることが可能となる。
なお、一方の接触部分236dと他方の接触部分236dとで、摩擦係数を変えるようにしても良い。たとえば、いずれか一方の接触部分236dに研磨加工を始めとした機械加工を施したり、あるいは摩擦係数の小さい又は大きい部材を貼り付ける等して、一方の接触部分236dと他方の接触部分236dとで、摩擦係数を変えるようにしても良い。3点支持を行う場合において、一方の接触部分236dと他方の接触部分236dとで、摩擦係数が異なると、球Tに不規則な回転を与えられる場合もあり、そのように構成しても良い。
<(5)研磨部の第2構成例>
次に、球研磨装置200の第2構成例について説明する。図40は、研磨部230の第2構成例を示す斜視図であり、研磨カセット240が分離された状態で示されている。図41は、図40の研磨部230の研磨本体部231における搬送ガイド236が蛇行されている状態を示す斜視図である。
なお、研磨部230の第2構成例は、基本的な構成が第1構成例の研磨部230と同様である。そのため、第2構成例の研磨部230についても、第1構成例の研磨部230と同じ符号を用いて説明する。なお、第2構成例の図40、図41は、第1構成例の図11、図13にそれぞれ対応する。
<(5.1)研磨本体部>
図40および図41に示す構成では、研磨本体部231には搬送路226が2列設けられている。そのため、研磨部230の第2構成例では、搬送ガイド236が1列のみではなく、2列設けられた構成となっている。このような2列の搬送ガイド236が設けられる構成は、1列の場合よりも多くの球Tを研磨(清掃)する必要がある遊技機Bに適しており、たとえば開放型である単体島Aのような構成が適している。
また、第2構成例では、図11と図40の比較等で明らかなように、搬送ガイド236が2列設けられていることに起因して、研磨カセット240の幅は、第1構成例の研磨カセット240の幅と比較して、広くすることが可能である。
<(5.2)搬送ガイドで保持された球を研磨布に押圧するための詳細構成について>
次に、第2構成例における、搬送ガイド236で保持された球Tを研磨布243に押圧するための詳細構成について説明する。図42は、第2構成例における、球蛇行領域2314の搬送ガイド236によって球Tがガイドされる様子を示し、上方側から見たときの状態を示す断面図である。なお、図42(a)は図29(a)に対応する図であり、図42(b)は図29(b)に対応する図であり、図42(c)は図29(c)に対応する図である。
ここで、図42に示す構成では、図40および図41に示す搬送ガイド236を、より省スペース化している。すなわち、図42に示す構成では、端壁236a,236bの他に、1つの(1本の)中央端壁236eも有している。一方、図40および図41では、中央端壁236eに相当する構成は、2つ(2本)設けられている。このような点で、図42に示す構成の方が、図40および図41に示す構成よりも省スペース化されている。
なお、図42に示す構成では、基本的な構成が図29に示す構成と同様である。そのため、基本的な動作も、図29に示すような第1構成例のものと同様である。しかし、次のような相違点がある。すなわち、搬送ガイド236が2つ並んで配置される関係上、仮に図42(b)のような蛇行経路部236Bに球Tが位置しても、球Tの中心が垂線M上に位置することがない。
また、図42(a)に示すような左寄りの状態となるときには、2つのうち右側に位置する垂直経路部236Aにおける球Tの押圧力(押圧面積)が最大となる一方で、左側に位置する垂直経路部236Aにおける球Tの押圧力(押圧面積)が最小となる。また、図42(c)に示すような右寄りの状態となるときには、2つのうち左側に位置する垂直経路部236Aにおける球Tの押圧力(押圧面積)が最大となる一方で、右側に位置する垂直経路部236Aにおける球Tの押圧力(押圧面積)が最小となる。
以上のような相違はあるものの、図42に示す構成でも、図29に示す場合と同様に、球Tの押圧力(押圧面積)に変化を生じさせることができる。そのため、研磨布243と搬送ガイド236(球蛇行領域2314)の距離が多少の誤差により所望とする距離から変動しても、球Tの研磨布243に対する押圧力(接触面積)の大部分は、許容範囲内に収めることが可能となり、それによって、上述のような距離誤差を吸収可能となる。
また、球Tの研磨布243に対する押圧力(接触面積)が許容範囲内から外れている区間が存在していても、その外れている区間を球Tが進行する時間は短くすることができるので、許容範囲から外れた悪影響が低減できる。
また、従来構成のように、垂直経路部236Aに対応する直線的な部位を球Tが進行する場合には、球Tの押圧力や押圧面積といった押圧状態はさほど変化しない。しかし、球Tが垂直経路部236Aと蛇行経路部236Bを進行することで、球Tに不規則な回転を与えることが可能となる。それにより、球Tの研磨(清掃)能力を向上させることが可能となる。
また、球蛇行領域2314を球Tが通過する際には、球Tの押圧力および押圧面積が変化する構成とすることで、研磨布243の耐久性が低下するのを抑えることが可能となる。
なお、第2構成例においても、上述した図31および図32に示すようなガイド凹部248を設ける構成を採用しても良い。この例を図43に示す。図43は、ガイド凹部248が存在する構成において球Tがガイドされる様子を示す図であり、上方側から見たときの状態を示す断面図である。なお、図43(a)は図32(a)に対応し、図43(b)は図32(b)に対応し、図43(c)は図32(c)に対応している。
このように、第2構成例においてガイド凹部248を設けることで、このガイド凹部248が側壁部248bとの対向位置に位置した際に、球Tの押圧力(接触面積)を大きくすることができる。それにより、研磨(清掃)能力を一層向上させることが可能となる。
また、第2構成例においても、研磨カセット240の背面壁241dに、図33におけるガイド突起249と同様のガイド突起を設ける構成としても良い(図示省略)。また、上述の説明においては、背面壁241dに、図31および図32に示すようなガイド凹部248を設ける場合について説明している。しかしながら、押圧力を向上させるためには、かかる図31、図32に示すようなガイド凹部248以外の形状のものを採用しても良い。たとえば、球Tへの押圧力を向上させるために、スクリューコンベア221の中心軸222の中心から、研磨布243やクッション材260への距離がある一定の範囲内に収まるものであれば、たとえば断面形状がある曲率を持った曲面形状に形成されたガイド凹部としても良い。
[2.3 上部タンク]
次に、上部タンク300について説明する。図44は、上部タンク300の構成を側面側から見た状態を示す断面図である。図45は、図44に示す上部タンク300をA−A線に沿って切断した状態を示す断面図である。図46は、図44に示す上部タンク300の分解斜視図である。また、図47は、図44に示す上部タンク300の斜視図である。図44から図47に示すように、上部タンク300は、球受入れ部330から球Tが導入される部分である。この上部タンク300は、タンク本体310と傾斜板320とを有し、複数段構造とされている。そして、上部タンク300は、一端側に球受入れ部330を有する。
傾斜板320は、図46および図47に示すように、タンク本体310の中に緊密に嵌合することにより、ねじなどの固着具を用いずに固定することができる形状・寸法に形成されている。したがって、上部タンク300は、下部タンク100と同様に、工具レスで組み立て・分解が可能である。
タンク本体310は、受入れ部330と反対側および幅方向一端側に下り傾斜する底壁311と、その底壁311の周辺から起立する周壁部分312a,312b,312c,312dとからなる周壁部分312とで、上方に開口する空所312eを有する箱状に形成されている。底壁311の受入れ部330側の周壁部分312dは、底壁311の同一側の辺の長さのほぼ半分の長さに形成されて、一端は周壁部分312aに接続または接近されている。そして、周壁部分312dの他端と周壁部分312cの先端との間が開口されている。周壁部分312cの、底壁311の幅方向傾斜下位側端部が接続される位置に、底壁311の上面を転動する球Tを外部に排出させる2つの出口313,314が設けられている。
図44に示すように、傾斜板320および底壁311は、長手方向の他端側(X2側)が一端側(X1側)よりも低くなるように傾斜していて、傾斜板320と底壁311とは平行となるように設けられている。そして、傾斜板320の上面には第1の球通路P5が形成されると共に、傾斜板320と底壁311との間には第2の球通路P6が形成される。
また、図45に示すように、傾斜板320は、その幅方向(Y方向)において傾斜しているが、図45においては幅方向の一端側(Y1側)から他端側(Y2側)に向かい下方に向かうように傾斜している。そして、傾斜板320の幅方向の他端側(Y2側)と傾斜板320を構成する周壁部分312aとの間には、連通部321が設けられていて、その連通部321を介して、傾斜板320は底壁311と連通している。したがって、第1の球通路P5の上面を転動する球Tは、連通部321を介して第2の球通路P6の傾斜上位側(図45のY2側)に落下し、その落下した球Tは、第2の球通路P6の傾斜下位側(Y1側)に向かい転動する。なお、かかる第1の球通路P5および第2の球通路P6において、球Tは、図44では長手方向(X方向)の他端側(X2側)に向かうように転動する。
また、タンク本体310のうち第2の球通路P6に面する周壁部分312cには、出口313,314が設けられていて、その出口313,314は、第2の球通路P6に溜まった球Tを第1補給管2および第2補給管14に排出する部分である。出口313,314には、タンク本体310から第1補給管2および第2補給管14に供給される球を計数する計数器315,316が設けられている。
球受入れ部330は、図44、図46および図47に示すように、タンク本体310の傾斜板320の一端側(X1側)である傾斜上位側の外側に接続されている。この球入れ部330は、周壁部分312dの開口312d1を介して空所312eに連通している。球受入れ部330は、上面と一側面が開口された箱状に形成されており、その箱状は底壁331と周壁332とから構成されている。なお、周壁332には、底壁331の3辺において連続して起立する周壁332a,332b,332cが存在している。そして、球受入れ部330のうち周壁332の存在しない部位である開口332dとタンク本体310の周壁部分312dの開口312d1とを突き合わせた状態でタンク本体310と球受入れ部330とが接続される。それにより、底壁331の上面がタンク本体310の傾斜板320の傾斜上位側端部(X1側)に連続した状態となる。
図48は、図44の上部タンク300の球受入れ部330に球研磨装置200の上端側が接続されている状態を示す斜視図である。図48に示すように、球受入れ部330は、幅方向(Y方向)の一端側においてタンク本体310と面一であるものの、球受入れ部330の幅は、タンク本体310の幅よりも大幅に狭い。そのため、球受入れ部330よりも他端側(Y2側)の部位には、周壁部分312dと周壁332cとで仕切られた凹部333が存在しており、その凹部333には、球研磨装置200の上端側の上部軸受部229が位置している。ここで、図48および図49に示すように、球受入れ部330のX1側かつY2側のコーナー部分は切欠された切欠部分334となっており、その切欠部分334からは球研磨装置200の2つの出口2315が球受入れ部330に向けて開口されている。
図49は、図48の球研磨装置200の上端側に案内板335を取り付けない場合の球の貯留態様を示す平面図である。図50は、図48の球研磨装置200の上端側に案内板335を取り付けた場合の球の貯留態様を示す平面図である。図50に示すように、出口2315の上面には、案内部材として、たとえば薄い板で形成された案内板335が取り付けられている。案内板335は、球Tの進行方向を規定する部材であり、図50に示す構成では、案内板335は、出口2315から排出される球Tが、出口2315と反対側の周壁332aに向かって衝突する方向に規定するためのものである。
図49に示すように、球研磨装置200の出口2315から球受入れ部330の内部に球Tが放出され、その球Tが上部タンク300内に満杯に近い状態まで溜まり、その後に球受入れ部330の中まで貯留される。このとき、図49に示すような案内板335を備えない場合、球受入れ部330の出口2315と反対側のコーナー部に球が溜まらないデッドスペースDSが生じてしまう傾向がある。かかるデッドスペースDSの形成は、上部タンク300の球貯留可能数量が抑制されることを意味する。
これに対して、図50に示すように、案内板335を備える構成の場合、出口2315から勢い良く排出される球Tが、案内板335に案内されて出口2315と反対側の周壁332aに向かい斜め方向に進行する。そのため、球Tが上部タンク300内に溜まり、その後に球受入れ部330内に溜まると、その球受入れ部330の上部タンク300側の半分を占めた後に、球Tが出口2315と反対側のコーナー部を占める。そのため、デッドスペースが生じるのを防ぐことができる。したがって、上部タンク300の球貯留可能数量の抑制を排除することが可能である。
好ましい実施の形態では、案内板335はアルミニウムまたは銅といった金属の薄板などの導電性材料で形成されている。これにより、搬送される球が搬送部220および研磨部230を通過する際に帯びた静電気をこの案内板335により消滅させることができる。したがって、球Tの汚れ付着を防止し、球Tの艶を維持することができる。
球受入れ部330の底壁331の上面は水平でも良く、水平の場合には出口2315から次々と排出される球Tの転動力により、先に球受入れ部330に収容されている球Tは円滑にタンク本体310側に押されて進む。ただし、底壁331の上面は、タンク本体310側に向かいわずかに下り傾斜していることが好ましい。
[2.4 制御について]
<(1)制御システムについて>
本実施の形態に係る単体島Aは、球研磨装置200の駆動を制御するため、図51に示すような制御装置400を有する。制御装置400は、CPU401を有するが、その他に、図示を省略するROMやRAM、不揮発性メモリ等のメモリ、タイマその他の要素を中心として構成されている。図51では、制御装置400として1つのものが示されているが、メイン制御基板やサブ制御基板といった複数の制御基板から構成されていても良い。また、制御装置400は単体島Aや遊技機Bの制御装置であっても良く、単体島Aや遊技機Bの制御装置の一部であっても良く、単体島Aや遊技機Bの制御装置とは別体的で単体島Aや遊技機Bの制御装置から制御信号の送受を行うように構成されていても良い。また、制御装置400には、モータドライバが含まれる構成としても良いが、制御装置400とは別途にモータドライバが存在する構成としても良い。
制御装置400には、出力信号供給先として、球研磨装置200の搬送部220のスクリューコンベア221を回転させるための球搬送モータ228と、研磨部230の研磨用モータ234とが接続されている。
また、制御装置400には、入力信号源として、導入部210に備えられた導入部センサ402と、上部タンク300に備えられた満杯センサ403と、空センサ404とが接続されている。
導入部センサ402は、球導入路211A,211Bまたは垂直落下部211B2に一定数の球Tの存在を検知するためのセンサである。球導入路211A,211Bまたは垂直落下部211B2に一定数の球Tがない場合は、導入部210の先端に存在する球Tに加わる圧力が少ないため、その球Tはスクリューコンベア221の搬送待機位置WPに進入することができない場合がある。
その状態で搬送部220のスクリューコンベア221を回転すると、その先端の球Tが帯板223と搬送ガイド225の入口227の周辺との間に噛まれて、ロックしてしまう虞がある。しかし、導入部210に一定数の球Tが存在するときは、導入部210の先端に存在する球Tに十分な圧力が加わるため、その先端の球Tは搬送待機位置WPまで進入するので、球のロックは生じない。
そこで、制御装置400は、導入部210の導入部センサ402の検知信号がOFFのときは、スクリューコンベア221を駆動する球搬送モータ228を始動させないように制御する。このようにして、制御装置400により、球Tが導入部210にロックすることが防止されている。
好ましい実施の形態では、搬送路226の途中に球搬送モータ228の回転開始後、所定時間内に球Tの搬送を検知しない場合は、球ロック検知信号を出力するロックセンサ(図示省略)が設けてあり、そのロックセンサが球ロック検知信号を出力したときは、球搬送モータ228の逆回転と正回転を少なくとも1回行ってリトライ動作を行うことにより、球Tのロックを解除できるようにしてある。
満杯センサ403は、図47に示すように、上部タンク300の球受入れ部330の出口2315と反対側の周壁332aに取り付けられている。この満杯センサ403は、球Tが球受入れ部330内において球Tの存在による状態変化を検出したときに満杯に対応した信号を制御装置400に出力する。また、空センサ404は、図47に示すように、上部タンク300のタンク本体310のうち満杯センサ403と同じ側に位置する周壁部分312cに取り付けられている。ただし、その取り付け位置は、タンク本体310のうち他端寄り(X2側の端部寄り)の位置となっている。この空センサ404は、球Tがタンク本体310内において球Tが存在しなくなったことによる状態変化を検出したときに空となったことに対応した信号を制御装置400に出力する。
<(2)球搬送モータ228および研磨用モータ234の制御の一例>
図52、図53は、制御装置400による球搬送モータ228および研磨用モータ234の制御処理の一例を示すフローチャートである。この制御処理は、上部タンク300に設けられた満杯センサ403および空センサ404からの、球Tが空であることを示す信号に基づいて、球搬送モータ228および研磨用モータ234を制御するものである。
制御装置400は、この制御処理を開始すると、図52のs11において満杯センサ403の検知信号がOFFになったか否か、すなわち、満杯状態でなくなったか否かを監視する。そして、満杯センサ403の検知信号がOFFになったとき(s11においてYのとき)は、球搬送モータ228の低速回転を開始する(s12)。また、制御装置400は、図示されていない制御フローにより、球搬送モータ228を一定時間ごとに間欠回転させる。これにより、球研磨装置200の搬送部220は低騒音かつ少ない消費電力で下部タンク100から球Tを搬送し、かつ、搬送される球は研磨部230において研磨される。
制御装置400は、低速回転開始後、s13において満杯センサ403の検知信号がONになったか否かを監視し、ONになったとき、すなわち満杯状態になったとき(s13においてYのとき)は、球搬送モータ228の低速回転を停止する(s14)。低速回転を停止した後は、s11に戻る。これは、大当たりが出ない通常の遊技における制御パターンである。
これに対して、制御装置400は、s12における搬送モータ228の低速回転開始後、満杯センサ403の検知信号がONにならないとき(s13でNのとき)は、s15においてタイマを始動させ、再び満杯センサ403の検知信号がONになったか否かを一定時間監視する(s16でN,s17でN)。s16において満杯センサ403の検知信号がONになった場合は、続いてs14の処理を行う。
しかし、低速回転開始(s12)後、一定時間が経過しても満杯センサ403の検知信号がONにならないとき(s13でN,s16でN,s17でYのとき)は、球搬送モータ228の回転速度を低速回転から中速回転に切り替える(s18)。すなわち、この場合は、上部タンク300からの球Tの補給量が多いことを意味するものとして、下部タンク100から上部タンク300への球搬送速度を高める制御を行う。そして、制御装置400は、この上部タンク300への加速搬送により満杯センサ403の検知信号がONになったか否かを監視する(s19)。満杯センサ403の検知信号がONになったとき(s19においてYのとき)は、制御装置400は、球搬送モータ228の中速回転を停止する(s20)。中速回転を停止した後は、s11に戻る。これは、たとえば、単発の大当たりが出た場合の制御パターンである。
また、制御装置400は、s18における中速回転開始後、s19においてなお満杯センサ403の検知信号がONにならないとき(s19においてNのとき)は、図53のs21に移行し、空センサ404の検知信号がOFFになったか否かを監視する。空センサ404の検知信号がOFFになったとき、すなわち、上部タンク300内の球数が一定量未満になったとき(s21においてYのとき)は、球搬送モータ228の回転速度を中速回転から高速回転に切り替える(s22)。これにより、球研磨装置200による搬送速度をさらに高めて、速やかに上部タンク300内の球数を増やすように制御する。したがって、上部タンク300からの補給不足の事態が発生することが防止される。このような制御は、たとえば、連発の大当たりの際に行われる制御パターンである。
s19において満杯センサ403の検知信号がONにならず、また、s21において空センサ404の検知信号がOFFにならない場合は、s19に戻って満杯センサ403の検知信号がONになるのを待つ。
制御装置400は、s22において高速回転に切り替えた後は、再びタイマを始動させる(s23)とともに、満杯センサ403の検知信号がONになったか否かを判断する(s24)。満杯センサ403の検知信号がONになったとき(s24においてYのとき)は、球搬送モータ228の高速回転を停止(s25)した後、s11に戻る。
しかし、s22において高速回転に切り替えた後、一定時間を経過しても満杯センサ403の検知信号がONにならないとき(s24においてN、s26においてYのとき)は、例えば、導入部210での球詰まり、またはその他の異常が発生したと考えられるので、高速回転を停止して(s27)、球研磨装置200の制御を中止する。
なお、s27において球搬送モータ228の高速回転を中止したときは、球搬送モータ228を微小時間、例えば2,3秒間逆回転させ、再び正回転させることが好ましい。この逆転により、導入部210と搬送部220の境界に球Tが噛まれている場合は、その球Tが球導入路211側に退避するので、その後の正回転時には球導入路211内の球が円滑に搬送待機位置WPに到達し、搬送路226を搬送される。したがって、球詰まりが解消される。
このような制御により、当たりの無い通常の遊技中では、低速運転により消費電力が節減されるとともに、騒音発生が抑えられる。また、遊技中に当たりが出た場合は、単発の大当たりか、連続の大当たりかに応じて、中速運転または高速運転を行って球供給の要求度に合理的に対応することができる。
既述したが、満杯センサ403および空センサ404は、図47に例示するように、それぞれの取付位置をタンク本体310の長手方向(X方向)または球受入れ部330の長手方向に移動して調整可能とされている。満杯センサ403および空センサ404の取付位置を変更可能とすることにより、球搬送モータ228の回転開始、回転速度切換え、あるいは回転停止のタイミング設定を、上部タンク300の球収容能力および上部タンク300に要求される供給量などに応じて柔軟に行うことができる。これにより、遊技中に上部タンク300の球不足という事態の発生をより確実に回避することが可能である。
[3.他の実施の形態]
<(1)2台の遊技機を備える単体島について>
以下、他の実施の形態について説明する。図54は、図1とは異なるタイプの遊技島(体島)Aの構成を示す図である。図54では、たとえば2台の遊技機B(遊技機B1,B2)から構成される遊技島(単体島)Aの一例を示す正面図である。図54に示す単体島Aを構成する2台の遊技機B1,B2は、それぞれが一側において筐体1に開閉可能に軸支されたガラス扉3を有すると共に、そのガラス扉3の下方に前面板4を有している。また、ガラス扉3の背面側には遊技盤5が設けられている。遊技盤5には、上述した外れ球回収口h1および入賞口h2が設けられている。また、前面板4には、上述したような操作部6が設けられている。
各遊技機B1,B2の片側には、第1補給管8から球Tが供給される球貸し機7が設けられ、その球貸し機7には、表示ランプ7a、紙幣投入口7b、硬貨投入口7c、硬貨返却口7dおよびカード挿入口7eが設けられている。なお、球貸し機7には、隣接する遊技機B1,B2に球Tを供給する球貸与管15が設けられている。
図54において、本体2のうち前面板4の手前側には上皿16が設けられていて、その上皿16の下側には下皿17が設けられている。上皿16と下皿17は、その中に収容されている球Tを外側から透視可能となっている。さらに下皿17の下側にはロート18が設けられていて、そのロート18に球回収路30が接続されている。また、本体2のうちガラス扉3の上方側に対応する位置には受け皿19が設けられている。受け皿19には、球補給管9を介して球Tが供給される。
また、本体2のうち遊技盤5の下方側には表示部20が設けられている。表示部20は、遊技盤5に設けられた残存球数と賞球獲得数を表示する部分である。なお、表示部20を設ける位置は、遊技盤5に限らず、遊技客の見やすい任意の位置としても良い。
図1の単体島Aにおいては、各遊技機B1,B2からの落下球の回収機能、球研磨機能および遊技機への球供給機能がこの2台の遊技機B1,B2において完結している。すなわち、各遊技機B1,B2の遊技盤5における外れ球回収口h1および入賞口h2に入った球Tは、各遊技機B1,B2の最下段のロート18に流れ込み、そのロート18から球回収路30を経て、遊技用装置Cを構成する下部タンク100に一旦貯められる。その後に、球研磨装置200の後述する入口227に球Tが流入し、後述のように球研磨装置200内で搬送されつつ研磨される。その後に、球Tは球研磨装置200の後述する出口2315から上部タンク300に排出される。このようにして、球Tが研磨(清掃)されて上部タンク300まで揚送されるようになっている。
以上のような図54に示す単体島Aにおいても、上述したような球研磨装置200の各構成を適用することができる。
<(2)非開放型遊技機について>
続いて、図1および図54とは別のタイプの遊技機について説明する。図55は、非開放型遊技機B´を示す正面図である。図1および図54に示す構成では、球研磨装置200の下側に下部タンク100が結合され、球研磨装置200の上側に上部タンク300が結合された構成例となっている。それに対して、他の実施の形態として、遊技機に下部タンク100と上部タンク300を備えずに、図55に例示するような非開放型遊技機B´に球研磨装置200のみを備えて使用することもできる。以下の説明では、図55に示す球研磨装置200を球研磨装置200´として説明する。
図55は、本実施の形態に係る球研磨装置200´を非開放型遊技機B´に用いた実施の形態を示す正面図である。図55に示すように、非開放型遊技機B´は、1台の遊技機に対して1台の球研磨装置200´が設置されるものであり、球Tが遊技機内に予め封入されている。そして、所定の発射待機位置に導かれた球Tを遊技者が遊技盤5の表面側の遊技領域13に向けて発射し、遊技領域13を流下した球Tを回収して再び所定の発射位置に導くものである。
遊技者は、遊技機もしくは遊技機ごとに設けられた球貸し機または会員カードやビジターカード等の記憶媒体に記憶されている、遊技者が所有する遊技価値である持球データに基づき球を発射して遊技を行なう。球貸し機と通信可能な上位コンピュータに遊技機ごとの持球データを記憶させてもよい。また、遊技者が遊技機に付設された球貸し機にて球貸し操作を行なうことで、その操作に応じた貸球数のデータが持球データに加算される。遊技中は、発射された球に対応して持球データが減算され、各種入賞口に入賞した場合は、賞球数が持球数データに加算されるようになっている。
すなわち、図55に示すように、遊技機B´では、発射装置31により遊技盤5の遊技領域13に発射されて遊技領域13を流下した球Tは、外れ球回収口h1または入賞口h2等の各種入賞口を経由して、遊技盤5の裏面側に設けられた、収容能力がたとえば100個程度の球回収部33に回収される。球回収部33に回収された球Tは球回収部33の下側に設けられた球研磨装置200に球入口34から流入する。
そして、球研磨装置200´に流入した球Tは、球研磨装置200´内を搬送され研磨された後、球研磨装置200´の球出口35から流出し、球揚送手段36により再び発射装置31の所定の発射待機位置37に導かれるように構成されている。なお、発射待機位置37および発射装置31を設ける位置は、図55に示された例に限らず、他の任意の位置とすることができる。
図55に示す遊技機B´においては、球研磨装置200´は、上述した球研磨装置200とは異なり、横置型のハウジング201´を有している。そして、このハウジング201´は遊技機B´の幅方向(X方向)を長手としている。
図56は、図55に示す球研磨装置200´において研磨カセット240を外してハウジング201´の内部構成を示す斜視図である。図57は図56に示す球研磨装置200´の内部構成を示す正面図である。図58はハウジング201´にセットされる研磨カセット240の構成を示す斜視図である。以下に、図55に示す球研磨装置200´の構成の詳細について説明する。
球研磨装置200´は、図56および図57に示すように、正面側(Y1側)が開口している箱状のハウジング201´を有している。そして、この箱状のハウジング201´の内部には、スクリューコンベア221´が回転自在となるように配置されており、そのスクリューコンベア221´を覆うように搬送ガイド236´が設けられている。搬送ガイド236´は、正面方向(Y1方向)に開口する溝状に設けられている。また、搬送ガイド236´は互いに対向する端壁236a´,236b´により形成されている。端壁236a´,236b´は、全体的な進行方向が幅方向の他方側(Y2側)に向かいつつも、上方側(Z1側)に向かって延伸している。しかし、進行方向に沿って進行すると、その全体的な進行方向に直交する方向での若干の往復を繰り返すように蛇行している。それにより、球Tが搬送ガイド236´を進行する際に蛇行する球蛇行領域2314´が形成される。
上述のスクリューコンベア221´は、箱状のハウジング201´の内面に固着された軸受部229´により回転可能に支持されている。このスクリューコンベア221´を駆動するために、ハウジング201´またはその外部(図56ではハウジング201´から飛び出しているケース202´)には球搬送モータ228´が設けられていて、その球搬送モータ228´の駆動力は複数のギヤGから構成されるギヤ輪列Gを介して、スクリューコンベア221´に伝達される。このようにして、スクリューコンベア221´は回転し、その回転により球Tは搬送ガイド236´により蛇行されつつ図56および図57の左上側に向かいガイドされる。
また、搬送ガイド236´の一端側(X1側)には、第1連絡路203´の下端側(Z2側)が接続されている。なお、第1連絡路203´の上端部分は、球回収部33の球入口34と連結されていて、球回収部33から球Tを第1連絡路203´に導入可能としている。
一方、搬送ガイド236´の他端側(X2側)には、第2連絡路204´の上端側(Z1側)が接続されている。図57に示すように、第2連絡路204´の下端部204a´は、ハウジング201´の側壁に向かうように曲げられていて、その先端側がハウジング201´の側壁において開口している球出口35と接続されている。そのため、搬送ガイド236´を搬送され、その後第2連絡路204´内に入り込んだ球Tは、球出口35から排出され、球揚送手段36に移行する。
なお、ハウジング201´の内部には、回転検知センサ205´が設けられていて、スクリューコンベア221´の回転を検知可能としているが、かかる回転検知センサ205´を備えない構成としても良い。また、ハウジング201´の四隅の手前側(Y1側)の部位には、挿通孔207´を有する取付片206´が設けられている。そのため、挿通孔207´にネジ等を挿通させることで、遊技機B´の所定の部位に球研磨装置200´が取り付けられる。
また、図56に示すように、ハウジング201´の内部空間208´には研磨布243を収納する研磨カセット240が取り付けられるが、その研磨布243を送るための駆動力を与えるために、ハウジング201´内には、研磨用モータ234´が設けられている。この研磨用モータ234´は、球研磨装置200´の研磨材動力源となる。この研磨用モータ234´の駆動力は、歯車235b´を介して研磨カセット240のギヤ247に伝達される。
なお、図58に示すように、研磨カセット240には、図56の球移動ルートTRのうち第1連絡路203´に対応する部分を逃がすための逃がし部241Qが設けられている。
以上のような構成とすることで、球Tが搬送ガイド236´で送られる球移動ルートTRがハウジング201´の長手方向に対して傾斜した状態が主要部分となる。そのため、図58に示すように、研磨布243に球Tが接触する長さを長くすることができる。
このような構成の球研磨装置200´においては、次のようなメリットがある。すなわち、一般的な開放型の遊技機(単体島を含む)では、球Tは外部に排出されるので、球研磨装置200を遊技島や遊技島の外部に設置することが可能となる。しかし、図55に示すような非開放型遊技機B´の場合、一般的な開放型の遊技機とは異なり、球Tが外部に排出されないので、非開放型遊技機B´の内部に球研磨装置200´を設置する必要がある。そのため、非開放型遊技機B´の内部において、球研磨装置200´を設置するためのスペースを確保する必要がある。
しかし、そのような設置スペースを確保するために、非開放型遊技機B´の横幅を広げてしまうと、非開放型遊技機B´の設置台数が減じられることになるので、非開放型遊技機B´の横幅を広げることはできない。このため、非開放型遊技機B´に球研磨装置200´を設置する場合、その設置場所は遊技盤5の下方側(Z1側)になる。しかし、下方側(Z1側)のスペースも余分にある訳ではないので、限られたスペースに球研磨装置200´を設置する必要がある。そこで、図55に示す非開放型遊技機B´では、図56および図57に示すように、スクリューコンベア221´が水平または垂直ではなく、水平および垂直に対して傾斜した配置となっており、それに伴って搬送ガイド236´も傾斜した配置となっている。
このようにスクリューコンベア221´および搬送ガイド236´を傾斜した配置とすることにより、搬送ガイド236´がハウジング201´の対角線方向に延伸するので、搬送ガイド236´の長さを長く確保することが可能となり、それによって研磨能力(清掃能力)が低下するのを抑えることができる。
なお、上述の実施の形態では、研磨材として研磨布243を例示しているが、研磨材は研磨布243に限られるものではない。たとえば、薄い多孔質部材を研磨材として用いても良く、紙質のような部材を研磨材として用いても良い。また、上述の実施の形態では、研磨材としての長尺の研磨布243を長手方向に移動させることを例示している。しかしながら、研磨布243(研磨材)や他の構成の研磨材の移動方向は長手方向に限られるものではない。組み込まれる装置の設計要因により、研磨カセット寸法は変動することもあり、研磨布(研磨材)の短手方向の移動や他の方向への移動も本発明に含まれる。