JP6560192B2 - 亜鉛合金管材とその製造方法、及びそれを用いてなるステントとその製造方法 - Google Patents

亜鉛合金管材とその製造方法、及びそれを用いてなるステントとその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、生体吸収性を示す亜鉛合金管材とその製造方法、及びそれを用いてなる血管拡張用のステントとその製造方法に関する。
狭心症などで狭窄した冠動脈などの血管内に、管腔内部側から血管を拡張する目的でステントを留置することがある。この場合、留置されたステントは生体にとって異物であるので、その表面で新生内膜増殖異常が生じて血栓が形成される場合があり、酷い時には再狭窄が起こってしまう。そのため、なるべく早い時期に血管内皮細胞がステント表面を覆い内皮化されることが重要である。また、細胞の足場材料として所定期間、一般に3〜6か月間は血管を拡張する機能を奏して、前記内皮化された後、一般に6〜12か月後あるいは1〜2年後には、ステントが溶出して生体に完全に吸収されることが求められている。
現在、冠動脈拡張用に使用されるステント用金属材料として、ニッケル−チタン合金(ニチノール)やステンレス鋼(代表的には、SUS316L)などが使用されている。しかし、これらの金属材料は生体吸収性に乏しく、血管内に装着された後に再狭窄を引き起こす誘因となることがある。そこで、これを抑制する上で、細胞増殖抑制剤、免疫抑制剤、抗炎活性剤等が用いられることがある。特に細胞増殖抑制剤の中でも抗ガン剤であるシロリムス(sirolimus)、パクリタキセル(paclitaxel)、ゾタロリムス(zotarolimus)などがよく用いられている。これらの薬剤をステント表面に塗布するなどの技術が採用されているが、完全に再狭窄を抑制するには至っていない。また、小児へステントを適用する場合には、装着されたステントが体の成長に追随できないという不具合もある。その為に、生体吸収性に優れ、所定の期間後に溶けて体に吸収されるステント用金属材料が求められている。
しかし、これまでに生体吸収性金属材料として検討されてきたものでは、血管内へ装着後の分解が早すぎることが問題となっている。
そこで、ステントなどの医療器具を構成する金属材料として、体内への埋入後に内皮化と生体吸収がされやすく、かつステンレス鋼(SUS)系のものほどには高すぎずポリマー系のものほどには低くない、所定の強度を有するとともに、加工性に優れる生体吸収性亜鉛合金材料、例えばステント用亜鉛合金材料が求められていた。
また、ステントのように生体内に埋入させて用いる医療器具には、生体への毒性がないことが大前提である。金属材料については、金属材料の個々の合金成分が生体に毒性を有さない元素であること(多量のスズなどを含有しないこと)に加えて、分解後の生成物も生体に毒性を有さないことや、分解途中に金属材の破片が脱落して血管などの生体組織を傷つけることがないことなども重要である。一方、この観点から、現在一般に構造材などに用いられている通常の亜鉛合金は、必ずしも医療器具用の金属材料として満足できるとはいえない。
ここで、「生体吸収性」とは、生体に埋入すると生体に取り込まれる性質をいう。これは、生体に埋入しても生体機能に害を及ぼさないいわゆる「生体適合性」を有する上に、生体に埋入すると生体と親和するいわゆる「生体親和性」を具備していることが前提であり、高次元の特性であるといえる。
特許文献1には、Zn−0.1〜1質量%Ti合金、Zn−0.1〜2質量%Au―0.1〜1質量%Ti合金、Zn−4.5質量%以上Ca合金(Example 1)が開示されており、前記合金を生分解性の冠動脈ステントとして用いることが開示されている。
米国特許第6,287,332号明細書
特許文献1に記載のZn―4.5質量%以上Ca合金に関して、Ca添加量が増加するに従い強度は向上するが生体内での分解速度は速くなる。特に、Fe濃度が0.05質量%を上回ると顕著に分解速度が早くなる。特許文献1に記載の亜鉛合金は、生体内での溶解が速すぎて溶解吸収速度の点でまだ満足のいくものではなかった。
上記のような従来の技術における問題点に鑑み、本発明は、ステントなどの医療器具を構成する金属材料として、生体内への埋入後に生体吸収がされやすく但しその吸収速度が速すぎず、かつ所定の高い強度などの機械的特性を有するとともに、冷間加工等での加工性に優れる生体吸収性亜鉛合金管材とそれを用いたステントを提供することを課題とする。
本発明者らは、生体内への埋入後に生体吸収がされやすく但しその吸収速度が速すぎず、かつ所定の高い強度などの機械的特性を有するとともに、加工性に優れる生体吸収性亜鉛合金管材を開発すべく鋭意検討を行った。その結果、特定の亜鉛合金組成とすることと、好ましくは金属組織として平均結晶粒径と、さらに好ましくは管材の形状として管材肉厚/管外径の比とを適正に制御することとによって、生体内への埋入後に生体吸収がされやすく但しその吸収速度が速すぎず、かつ所定の高い強度などの機械的特性を有するとともに、加工性に優れる生体吸収性亜鉛合金管材が得られることを見出した。本発明は、この知見に基づいて完成されるに至ったものである。
すなわち、本発明によれば、下記に記載の手段が提供される:
(1)Alを0.1〜5質量%、Mnを0.1〜5質量%、Mgを0.1〜5質量%及び希土類を0.1〜5質量%からなる群から選ばれる少なくとも2つ以上を添加元素として含有し、Feを0.05質量%未満及びOを0.1質量%未満とし、残部が亜鉛と0.1質量%以下の不可避不純物からなる組成を有することを特徴する亜鉛合金管材。
(2)Alを0.1〜5質量%、Mnを0.1〜5質量%、Mgを0.1〜5質量%及び希土類を0.1〜5質量%からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の元素と、Caを0.1〜5質量%とを、添加元素として含有し、Feを0.05質量%未満及びOを0.1質量%未満とし、残部が亜鉛と0.1質量%以下の不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする亜鉛合金管材。
)母材の平均結晶粒径が1〜20μmである(1)または(2)項に記載の亜鉛合金管材。
)前記管材の肉厚/管外径の比が0.02以上0.5未満である(1)〜(のいずれか1項に記載の亜鉛合金管材。
)引張強度が300MPaより高く、0.2%耐力が150MPaより高く、かつ、引張破断伸びが10%より大きい(1)〜(のいずれか1項に記載の亜鉛合金管材。
)Naを142mM、Kを5mM、Mg2+を1.5mM、Ca2+を2.5mM、Clを148.8mM、HCO を4.2mM、HPO 2−を1mM、SO 2−を0.5mMで含有する37℃の擬似体液(SBF)中に浸漬した場合に、6.2〜8.3で完全に溶解する(1)〜(のいずれか1項に記載の亜鉛合金管材。
(7)前記添加元素を含有し、その添加元素の含有量が前記管材の肉厚方向で傾斜した組成である(1)〜(6)項のいずれか1項に記載の亜鉛合金管材。
8)亜鉛合金素材を溶解鋳造してビレットを得て[工程A−1]、そのビレットを穴開け加工を施した[工程B−1]後に、熱間押出加工して亜鉛合金管材を得る[工程C−1]、各工程をこの順に行うことを特徴する(1)〜(6)項のいずれか1項に記載の亜鉛合金管材の製造方法。
)前記熱間押出加工[工程C−1]後に、冷間加工[工程D−1]を行う(に記載の亜鉛合金管材の製造方法。
10)前記熱間押出加工[工程C−1]を、ダイス出側で急速冷却を施しながら行う()または(に記載の亜鉛合金管材の製造方法。
11)亜鉛合金素材を溶解鋳造してビレットを得て[工程A−2]、そのビレットを穴開け加工を施した[工程B−2]後に、熱間押出加工して亜鉛合金管材を得て[工程C−2]、得られた管材の表面にスパッタ、溶射、電析の少なくとも1つ以上によって前記添加元素を含有する単層または多層膜を形成し[工程E−2]、この単層または多層膜に輻射、レーザ照射、及び通電からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の加熱を施す[工程F−2]、各工程をこの順に行うことを特徴とする(に記載の亜鉛合金管材の製造方法。
12)前記熱間押出加工[工程C−2]後に、冷間加工[工程D−2]を行う(11に記載の亜鉛合金管材の製造方法。
13)前記熱間押出加工[工程C−2]を、ダイス出側で急速冷却を施しながら行う(11)または(12に記載の亜鉛合金管材の製造方法。
14)(1)〜(のいずれか1項に記載の亜鉛合金管材からなる血管拡張用ステント。
15)()〜(13のいずれか1項に記載の製造方法で得られた亜鉛合金管材に対して、ステントの形状にレーザ加工し[工程G]、表面を研磨し[工程H]、その後、表面処理を施す[工程I]、各工程をこの順に行う血管拡張用ステントの製造方法。
本発明の亜鉛合金管材は、生体内への埋入後に生体吸収がされやすく但しその吸収速度が速すぎず、かつ所定の高い強度などの機械的特性を有するとともに、加工性に優れるために、生体吸収性ステントに代表される医療器具用の金属材料として好適である。
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、適宜添付の図面を参照して、下記の記載からより明らかになるであろう。
[合金組成]
まず、本発明の亜鉛合金管材を構成する亜鉛合金の組成を説明する。
(必須添加元素)
本発明の亜鉛合金管材を構成する亜鉛合金への必須添加元素Al、Mn、Mg及び希土類からなる群から選ばれる少なくとも2種の元素の含有量とその作用について示す。
Al、Mn、Mg及び希土類からなる群から選ばれる少なくとも2種の元素を所定量含有することで、高強度かつ高伸びとするとともに、生体内での分解速度を適正に遅く抑制することができる。
(Al)
本発明においては、Alの含有量を0.1〜5質量%とする。Alの含有量が高すぎると、分解速度が急激に早くなる。Al含有量が高すぎる場合、高強度化と生体吸収性の緩和とはトレード・オフの関係にあるため、本発明の目的とする、所望の適度の速度の生体吸収性が得られない。一方、Alの含有量が低すぎると、得られる亜鉛合金材の強度が急激に低下し、ステント用途において血管拡張時の保持力を発現する上での高強度化が図れない。なお、加工性の観点からは、Alの含有量を0.1〜1質量%とすることが好ましい。
(Mn)
本発明においては、Mnの含有量を0.1〜5質量%とする。Mnの含有量が高すぎると、分解速度が急激に早くなる。一方、Mnの含有量が低すぎると、得られる亜鉛合金材の強度が急激に低下し、ステント用途において血管拡張時の保持力を発現する上での高強度化が図れない。なお、加工性の観点からは、Mnの含有量を0.1〜1質量%とすることが好ましい。
(Mg)
本発明においては、Mgの含有量を0.1〜5質量%とする。Mgの含有量が高すぎると、加工性が著しく低下する。一方、Mgの含有量が低すぎると、得られる亜鉛合金材の高強度化に寄与しない。なお、加工性の観点からは、Mgの含有量を0.1〜1質量%とすることが好ましい。
(希土類)
本発明においては、希土類の含有量を0.1〜5質量%とする。希土類としてはイットリウム(Y)が好ましい。希土類(RE、好ましくはY)は、伸びの低下を回避しながら高強度化に寄与する。希土類の含有量が高すぎると、細胞増殖に異常をきたし細胞毒の存在が示唆され、また、生体内での分解速度が急激に増加する。一方、希土類の含有量が低すぎると、高強度化の効果が発現されない。なお、加工性の観点からは、希土類の含有量を0.1〜1質量%とすることが好ましい。
(任意添加元素)
本発明の亜鉛合金管材を構成する亜鉛合金へは、前記必須添加元素Al、Mn、Mg及び希土類からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素に加えて、Caを所定の含有量で含有してもよい。以下にこの任意添加元素Caの含有量とその作用について示す。
Caを所定量含有することで、高強度かつ高伸びとするとともに、生体内での分解速度を適正に遅く抑制することができる。
(Ca)
本発明においては、添加する場合、Caの含有量は0.1〜5質量%とする。Caの含有量が高すぎると、分解速度が急激に早くなる。一方、Caの含有量が低すぎると、血管拡張時の保持力を発現する上での高強度化が図れない。なお、加工性の観点からは、Caの含有量を0.1〜1質量%とすることが好ましい。
(規制元素)
次に、本発明の亜鉛合金管材を構成する亜鉛合金においてその含有が規制される元素Fe及びOの許容含有量とその規制理由について示す。
(Fe)
本発明においては、Feの含有量を0.05質量%未満に規制する。Feの含有量が高すぎると、得られる亜鉛合金の生体内での分解速度が急激に早くなる。
(O)
本発明においては、Oの含有量を0.1質量%未満に規制する。酸素はMg、AlやCaなどと結合して介在物を形成する。この介在物が鋳造時に母相内部に取り込まれた場合には、繰り返し応力が印可されると破断の起点となり、疲労特性に劣った亜鉛合金となってしまう。この酸素含有介在物の形成とそれによる疲労特性の劣化は、Oの含有量を0.1質量%未満に規制することで防ぐことができる。
(不可避不純物)
本発明において亜鉛合金中の不可避不純物としては、例えば、Cu、Li、Ni、Si、Pdなどが挙げられる。本発明の亜鉛合金管材を構成する亜鉛合金においては、これらの不可避不純物を合計で0.1質量%以下での含有を許容する。
本発明の亜鉛合金管材は前記で規定する亜鉛合金組成を有するが、管材全体で均一組成であっても(第一態様、下記製法1または2)よく、または、管材の表面が前記組成であって管材の内部は前記Al、Mn、Mg、希土類及びCaからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の濃度(含有量)が管材表面とは異なる傾斜組成であってもよい(第二態様、下記製法2)。
この第二態様の場合、前記Al、Mn、Mg、希土類及びCaからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の濃度が管材表面では最も高く、管材の表面から内部に向かって肉厚方向で減じている。このような濃度変化を傾斜組成という。
[亜鉛合金管材の母材の平均結晶粒径]
本発明においては、母材の平均結晶粒径を1〜20μmとすることが好ましい。結晶粒を微細化することで、腐食しやすい亜鉛合金の孔食や粒界腐食の軽減を達成することができる。母材の平均結晶粒径が大きすぎると、腐食速度が急激に増加して生体吸収速度が速すぎる。一方、母材の平均結晶粒径が小さすぎると、その結晶粒微細化の為の熱処理前の大きな歪の付与時、例えば冷間加工時、に破断等が発生することがあり、また、腐食速度が飽和して生体吸収速度の緩和効果が小さくなる。
[亜鉛合金管材の形状]
本発明においては、亜鉛合金管材の肉厚/管外径の比を0.02以上0.5未満とすることが好ましい。
亜鉛合金は最密六方格子構造(hcp構造)を有することから特に冷間加工性が悪い金属材料として知られている。この為、300〜400℃、より好ましくは320〜360℃で熱間押出方式により亜鉛合金管材を製造する。その際に、管材の肉厚/管外径の比が小さすぎる場合には、押出し時のメタルの限界から割れ等の欠陥が発生することがある。一方、管材の肉厚/管外径の比が大きすぎる場合には、特にステントとして拡張する際に過剰な力が必要となる。
管材の肉厚は特に制限されないが、ステントとして用いる場合には100〜700μm程度であることが好ましい。
また、管材の外径は特に制限されないが、ステントとして用いる場合には0.3〜13mm程度であることが好ましい。
[亜鉛合金管材の製造方法]
本発明の亜鉛合金管材の製造方法は、得られる亜鉛合金組成を与える素材を、管全体で均一組成にする(下記製法1)か、あるいは、均一組成または傾斜組成とする(下記製法2)かで、2つの製造方法に大別される。
(製法1)
この製造方法で得られる本発明の亜鉛合金管材は、管全体が均一組成である。
まず、前記所定の組成を与える亜鉛合金素材の配合を行い、真空溶解炉または雰囲気炉にて融点以上(合金組成によるが例えば420℃以上)600℃以下で溶解し、これを金型鋳造、連続鋳造法などによりビレットを得る[工程A−1]。このビレットの内部(好ましくは中心)にドリル等で穴開け加工を行う[工程B−1]。この穴開きビレットを、300〜400℃、好ましくは320〜360℃の熱間で、マンドレルを用いた前方押出加工をすることにより管材を得る[工程C−1]。さらに必要により、この管材にレデューサ等で冷間加工[工程D−1]、例えば、冷間抽伸加工を行う。熱間押出加工で所定の管サイズと管形が得られれば、この冷間加工(抽伸)は省略することができる。この熱間押出加工と任意の冷間加工における減面率(断面積減少率)を適正に調整することによって、加工後の管材の肉厚比(前記肉厚/管外径の比)を0.02以上0.5未満とすることができる。
前記製法1について、好ましい条件などを説明する。
好ましくは、前記溶解及び鋳造[工程A−1]を不活性ガス雰囲気下、例えば、アルゴン雰囲気下で行う。
前記穴開け加工[工程B−1]後に、穴開きビレットを雰囲気加熱炉内にて不活性ガス雰囲気下、例えば、アルゴン雰囲気下で、300〜400℃、好ましくは320〜360℃で1〜3時間保持することが好ましい。その後、好ましくはこの温度で熱間押出加工[工程C−1]を実施する。
前記熱間押出加工[工程C−1]時には、押出ダイスの出側に液体窒素などの冷媒を直接吹付け出来る急冷装置を用いて、ダイス出側で急速冷却を施しながら押出加工を施すことが好ましい。この熱間押出加工直後に急冷することによって、母材の結晶粒を微細化する組織制御を行うことができる。
前記冷間加工を行う場合、前記冷間加工[工程D−1]の減面率は、好ましくは10〜50%である。
(製法2)
この製造方法で得られる本発明の亜鉛合金管材は、前記製法1と同様に管材全体が均一組成であってもよく、または管材表面の片側もしくは両側は亜鉛以外の例えばアルミニウムなどの含有量が高く(例えば、Al−リッチ)、管内部では亜鉛の含有量が高く(Zn−リッチ)、管材の肉厚方向で濃度に勾配がある傾斜組成であってもよい。但し、後者の傾斜組成の場合であっても、管材表面の片側または両側における合金組成は、前記規定のとおりであって製法1における均一組成と同一である。
まず、亜鉛合金素材を、真空溶解炉または雰囲気炉にて融点以上(合金組成によるが例えば420℃以上)600℃以下で溶解し、これを金型鋳造、連続鋳造法などによりビレットを得る[工程A−2]。次に、このビレットの内部(好ましくは中心)にドリル等で穴開け加工を行う[工程B−2]。このビレットを300〜400℃、好ましくは320〜360℃の熱間で、マンドレルを用いた前方押出加工をすることにより管材を得る[工程C−2]。さらに必要により、この管材にレデューサ等で冷間加工[工程D−2]、例えば、冷間抽伸加工を行う。熱間押出加工で所定の管サイズと管形が得られれば、この冷間加工(抽伸)は省略することができる。
その後、得られた亜鉛合金管材の表面にスパッタ、溶射、電析の少なくとも1つ以上によって前記Al、Mn、Mg、希土類及びCaからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上を含有する単層または多層膜を形成する[工程E−2]。この単層または多層膜に輻射、レーザ照射、及び通電からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上で250℃以上かつ合金の固相線より10℃低い温度以下、特に好ましくは400℃近辺の温度で1時間以上の加熱を施す[工程F−2]。この加熱[工程F−2]によって、前記亜鉛合金管材の表面に設けた単層または多層膜から前記Al、Mn、Mg、希土類及びCaからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上を管材の肉厚方向に拡散させる。この加熱[工程F−2]に付す加熱温度及び加熱時間を適正に調整することで、均一組成の亜鉛合金管材か、または管材の肉厚方向で組成的に濃度勾配を有する傾斜組成の亜鉛合金管材のいずれかを製造する。ここで、この製法2で得る亜鉛合金管材においては、管材全体か、または少なくとも管材表面の片側もしくは両側が、前記規定のとおりの亜鉛合金組成である。
前記製法2について、好ましい条件などを説明する。
前記溶解及び鋳造[工程A−2]に付す亜鉛合金素材は、前記Al、Mn、Mg、希土類及びCaからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の内で、後の[工程E−2]で亜鉛合金管上に設ける単層または多層膜の構成成分となる元素以外の各々の元素を所定量含有し、規制元素であるFeとOを規定量未満に規制し、残部がZnと不可避不純物からなる組成とする。例えば、[工程E−2]でAl膜を形成する場合には、前記溶解及び鋳造[工程A−2]に付す亜鉛合金素材は、Al以外のMn、Mg及び希土類の内の必要な元素と必要によりCaとを所定量で含有し、FeとOを規定量未満に規制し、残部がZnと不可避不純物からなる組成とする。
好ましくは、前記溶解及び鋳造[工程A−2]を不活性ガス雰囲気下、例えば、アルゴン雰囲気下で行う。
前記穴開け加工[工程B−2]後に、穴開きビレットを雰囲気加熱炉内にて不活性ガス雰囲気下、例えば、アルゴン雰囲気下で、300〜400℃、好ましくは320〜360℃で1〜3時間保持することが好ましい。その後、好ましくはこの温度で熱間押出加工[工程C−2]を実施する。
前記熱間押出加工[工程C−2]時には、押出ダイスの出側に液体窒素などの冷媒を直接吹付け出来る急冷装置を用いて、ダイス出側で急速冷却を施しながら押出加工を施すことが好ましい。この熱間押出加工直後に急冷することによって、母材の結晶粒を微細化する組織制御を行うことができる。
前記冷間加工を行う場合、前記冷間加工[工程D−2]の減面率は、好ましくは10〜50%である。
前記[工程E−2]で亜鉛合金管上に前記Al、Mn、Mg、希土類及びCaの少なくとも1つ以上の単層または多層膜を設ける際には、例えば、ドライチャンバー内でイオン性の液体を用いて目的の添加元素を電析させることができる。例えば、前記[工程E−2]で亜鉛合金管上にAlの単層または多層膜を設ける場合であれば、AlCl−NaCl−KCl系のイオン性液体を用いてAlを電析させることができる。この時の亜鉛合金管材の表面に生成させる単層または多層膜の厚さは、0.1〜300μm程度とすることが好ましい。管材を構成するZnとその表面に生成させる単層または多層膜を構成する金属種(例えば、Mg)との比重の関係にもよるが、前記単層または多層膜を厚めっきとする場合もある。
前記加熱[工程F−2]においては、加熱温度は250℃以上かつ合金の固相線より10℃低い温度以下で、加熱時間は1〜20時間とすることが好ましい。この加熱温度を高く及び/または加熱時間を長くすれば、前記単層または多層膜の構成元素を該単層または多層膜から管材の肉厚方向に完全に拡散を完了させることができる。一方、この加熱温度を低く及び/または加熱時間を短くすれば、前記単層または多層膜の構成元素を該単層または多層膜から管材の肉厚方向に完全に拡散させる前に、所望の傾斜組成の状態で拡散を止めることができる。
[ステントの製造方法]
本発明のステントは、前記本発明の亜鉛合金管材に対して、以下の工程を経て製造される。
本発明の亜鉛合金管材をパルス・レーザ等を用いたレーザ加工により切断して所定の網目状のステント形状(メッシュ状の管)に加工する[工程G]。その後、レーザ加工の際に生じたバリを化学的な研磨を施すことで取り除く[工程H]。前記研磨としては、例えば、酸(希硫酸など)を用いた溶解・研磨を施すことができる。その後、材料表面に、アパタイト等の表面処理を施す[工程I]。こうして得られたステントに使用前に滅菌処理を施して、血管拡張用ステントを得る。
前記レーザ加工[工程G]では、本発明のマグネシウム合金管材にレーザ加工を施すことによって、拡張可能なステントの形状に加工できればよく、例えば、一般的な網目形状とすればよい。ステントの形状は前記網目形状に限定されるものではない。
この表面処理では、例えば、アパタイト(ヒドロキシアパタイト(Hap)など)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ乳酸(PLLA)、炭酸カルシウムなどの生体適合性の物質からなる層を管外表面に設ける。この表面処理で生体適合性を付与することによって、得られるステントをさらに生体適合性が高いものとすることができる。
[亜鉛合金管材の特性]
本発明の亜鉛合金管材は、例えば生体吸収性ステントに要求される特性を満足することができる。本発明の亜鉛合金管材は下記の特性を有することが好ましい。
(1)機械的特性
・引張強度(TS)が300MPaより高いことが好ましい。より好ましくは300MPaより高く415MPa以下である。
・0.2%耐力(YS)が150MPaより高いことが好ましい。より好ましくは150MPaより高く317MPa以下である。
・引張破断伸び(El)が10%より大きいことが好ましい。より好ましくは10%より大きく13%以下である。
(2)疲労特性
拍動相当の加速試験結果の換算値で1億回(1年分)以上であることが好ましい。
(3)生体吸収特性
ヒトの体液を模擬した溶液、例えば擬似体液(SBF、組成は実施例で示した通り。)を37℃で保持した際、6か月を超えて浸漬した時に減肉量が00μm以下であることが好ましい。この減肉量が50μm以下であることがさらに好ましい。より具体的には外形8mm、内径7.2mmの亜鉛合金管材を用いた場合、6か月を超えて浸漬した時に減肉量が00μm以下となる生体吸収性が好ましい。減肉量とは、所定の管を所定の液に浸漬した後、管の肉厚が管の内外面から溶解して減少する量を言う。あるいは、擬似体液(SBF、37℃)に浸漬後に消失するまでの分解期間が6か月を超えと、長いことが好ましい。生体吸収性の尺度である、亜鉛合金管材が前記SBF中に完全に溶出するまでの時間(分解時間)の上限には特に制限はないが、1年(12か月)であることが好ましい。
なお、各特性の詳細な測定条件は特に断らない限り実施例に記載のとおりとする。
以上、本発明の亜鉛合金管材について、その用途として生体吸収性ステントに関して説明した。但し、本発明の亜鉛合金管材の用途は、前記ステントに限定されるものではなく、所定の生体吸収特性(生体内での分解速度)を適宜調整することにより、ステント以外の医療器具にも応用できる。このようなステント以外の医療器具用途としては、特に、生体吸収性インプラント、例えば、プレート、ピン、ねじなどの骨固定装置や骨と軟部組織の固定装置などを挙げることができる。
以下に、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜3、6)
[亜鉛合金管材の製造]
亜鉛合金素材として、特種亜鉛地金、Al地金、Mn地金、高純度マグネシウム地金1種A、高純度金属Ca、金属Yを用いて、Al、Mn、Mg、Ca、Yを含有し、FeとOを規制して、残部がZnと不可避不純物からなる表1に記載の各々の組成となるように配合し、アルゴン雰囲気炉にて誘導加熱により420〜600℃で溶解を行った。そして、アルゴン雰囲気下でφ50mm×100mmLのビレットを金型鋳造した。ICP発光分光分析装置及び酸素分析を用いてビレットの成分を測定した。ドリルを用いてこのビレットの中心にφ9mmの穴を機械的に開けた。この穴開きビレットをアルゴン雰囲気炉にて350℃で1時間保持した後に、この温度で熱間押出しを実施し、外径φ10mm、内径φ9mmの亜鉛合金管材(平均肉厚:0.5mm)を得た。なお、熱間押出時にビレットが入っているコンテナを外部から加熱してビレットの温度を安定(±10℃)させた。また、押出ダイスの出側に液体窒素を直接吹付け出来る急冷装置を用いて急冷することで結晶粒を微細化し、母材の平均結晶粒径の制御を行った。
なお、この亜鉛合金管材に対して、レデューサを用いて外径φ8mm、内径φ7.2mmまで冷間抽伸加工(減面率36%)を実施し、表面割れの無い亜鉛合金管材を得ることが出来た。
(実施例4〜5)
[亜鉛合金管材の製造]
亜鉛合金素材として、特種亜鉛地金、金属Ca、金属Yを用いて、Ca、Yを含有し、FeとOを規制して、残部がZnと不可避不純物からなる表1に記載の各々の組成となるように配合し、アルゴン雰囲気炉にて誘導加熱により420〜600℃で溶解を行った。そして、アルゴン雰囲気下でφ50mm×100mmLのビレットを金型鋳造した。ICP発光分光分析装置及び酸素分析を用いてビレットの成分を測定した。ドリルを用いてこのビレットの中心にφ9mmの穴を機械的に開けた。この穴開きビレットをアルゴン雰囲気炉にて350℃で1時間保持した後に、この温度で熱間押出しを実施し、外径φ10mm、内径φ9mmの亜鉛合金管材(平均肉厚:0.5mm)を得た。なお、熱間押出時にビレットが入っているコンテナを外部から加熱してビレットの温度を安定(±10℃)させた。また、押出ダイスの出側に液体窒素を直接吹付け出来る急冷装置を用いて急冷することで結晶粒の制御を行った。
なお、この亜鉛合金管材に対して、レデューサを用いて外径φ8mm、内径φ7.2mmまで冷間抽伸加工(減面率36%)を実施し、表面割れの無い亜鉛合金管材を得ることが出来た。
次に、この亜鉛合金管材にドライチャンバー内でイオン性の液体(AlCl−NaCl−KC系)を用いてAlを電析させた。この時の亜鉛合金管材の表面に生成したアルミニウム層の厚さは19μmであった。
その後、前記その表面にAl皮膜層が形成された亜鉛合金管材をアルゴン雰囲気下で400℃、1時間加熱保持した。この加熱によって管材表面のAlを管材の肉厚方向に拡散させて亜鉛合金組成の傾斜組成化を図った。その結果の管材表面での組成を蛍光X線により測定した。
(実施例1〜6)
[ステントの製造]
次に、前記得られた各々の亜鉛合金管材に、CWレーザ(SM500W)を用いて、ピーク出力500Wで網目状のステント加工を施した。その後、レーザ加工の際に発生した管内面のバリを酸にて溶解・研磨した。その後、このステント素材の表面にアパタイトをコーテングする表面処理を施した。こうして得られたステントに使用前に滅菌処理を施し、血管拡張用ステントを作成した。
(比較例1〜5)
各比較例について、表1に記載の亜鉛合金組成、製法とした以外は前記実施例と同様にして、亜鉛合金管材とステントを作製した。
なお、前記得られた各々の亜鉛合金管材について、以下のとおりに各種の物性、特性を試験、測定して評価した。結果を表1に示す。表1中の製法1、2の区別は、前記説明したとおりの「製法1」と「製法2」の意味である。亜鉛合金組成は、製法1の場合はICP発光分析装置で測定した値であり、製法2の場合は蛍光X線により管材の表面について測定した値である。
(平均結晶粒径(GS))
管材母材の平均結晶粒径は、前記ステント加工(レーザ加工)に付す前の亜鉛合金管材の押出し方向に垂直な断面で交差法により求めた。
(管材形状としての肉厚比)
前記ステント加工に付す前の亜鉛合金管材の平均肉厚を測定し、外径との比として、肉厚/管外径の比を計算して求めた。
(機械的特性)
前記ステント加工に付す前の亜鉛合金管材に対して、JIS Z2201、Z2241に従って引張試験を行い、引張強度(TS)、0.2%耐力(YS)、引張破断伸び(El)を求めた。
(生体吸収性)
ステント加工に付す前の亜鉛合金管材を37±1℃で制御した所定量の擬似体液(SBF、Simulated body fluid)中に浸漬した。そして、亜鉛合金管材から疑似体液中に溶出するZn2+濃度の経時変化をICP発光分析装置にて測定して、浸漬させた亜鉛合金管材の重量変化から分解速度を腐食速度として算出した。前記擬似体液の含有イオン種と各イオン濃度は以下のとおりである。Na:142mM、K:5mM、Mg2+:1.5mM、Ca2+:2.5mM、Cl:148.8mM、HCO3−:4.2mM、HPO 2−:1mM、SO 2−:0.5mM(mMはミリモル/リットルの意味である)。
この分解速度に基づいて、当該亜鉛合金管材から加工、製造されるステントが厚み方向で完全に溶解するまでに要する時間を計算し、その完全溶解に要する時間として6か月間以上である(つまり、溶解が速すぎない)場合を合格基準として生体吸収性(分解速度)を判断した。
各試験結果について、前記完全溶解に要する時間(分解期間)が6か月以上の場合を生体吸収性に優れると判定して表中に「A」と示し、6か月未満と溶解が速すぎる場合を生体吸収性に劣ると判定して表中に「D」と示した。
(冷間加工性)
前記減面率36%のレデューサによる冷間抽伸加工を施した際に微細な割れが発生したかどうかで評価した。管の長手1mをマイクロ・スコープ(倍率×100)で観察して割れ(欠陥)が無いものを冷間加工性に優れると判定して表中に「A」と示し、割れが検出されたものを冷間加工性に劣ると判定して表中に「D」と示した。
(総合判定)
上記のように求めた機械的特性、SBF中での分解期間で評価した生体吸収性、及び冷間加工性を総合的に評価した結果を総合判定として示した。良好なものを表中に「A」と示し、不良なものを「D」と示した。
Figure 0006560192
表1に示した結果から明らかなとおり、本発明で規定する合金組成で、本発明で規定する製造方法にて得た各実施例の亜鉛合金管材は、高強度で伸びも高いとともに、良好な冷間加工性と速すぎない適正な生体吸収性を示した。これらの各実施例の亜鉛合金管材は、好ましい平均結晶粒径と管材形状(肉厚/管外径の比)も満たしていた。従って、本発明の亜鉛合金管材は、ステントに代表される低侵襲医療デバイス用材料に好適に用いられる。
これに対して、各比較例の試料では、いずれかの特性が劣った結果となった。
比較例1〜5は、いずれも合金組成が本発明の規定の範囲外であった。比較例1〜5は、いずれも生体(SBF)への吸収速度が速すぎて、ステントには不適合であった。さらに比較例1〜4は、冷間加工性が劣っていた。また、比較例1〜5は、いずれも強度(TSとYS)か伸び(El)の一方が劣っていた。
なお、生体吸収性の上限は特に規定しないが、前記実施例、比較例のいずれも1年を超えるものはなかった。
本発明をその実施態様とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
本願は、2014年3月28日に日本国で特許出願された特願2014−070223に基づく優先権を主張するものであり、これはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。

Claims (15)

  1. Alを0.1〜5質量%、Mnを0.1〜5質量%、Mgを0.1〜5質量%及び希土類を0.1〜5質量%からなる群から選ばれる少なくとも2つ以上を添加元素として含有し、Feを0.05質量%未満及びOを0.1質量%未満とし、残部が亜鉛と0.1質量%以下の不可避不純物からなる組成を有することを特徴する亜鉛合金管材。
  2. Alを0.1〜5質量%、Mnを0.1〜5質量%、Mgを0.1〜5質量%及び希土類を0.1〜5質量%からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の元素と、Caを0.1〜5質量%とを、添加元素として含有し、Feを0.05質量%未満及びOを0.1質量%未満とし、残部が亜鉛と0.1質量%以下の不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする亜鉛合金管材。
  3. 母材の平均結晶粒径が1〜20μmである請求項1または2に記載の亜鉛合金管材。
  4. 前記管材の肉厚/管外径の比が0.02以上0.5未満である請求項1〜のいずれか1項に記載の亜鉛合金管材。
  5. 引張強度が300MPaより高く、0.2%耐力が150MPaより高く、かつ、引張破断伸びが10%より大きい請求項1〜のいずれか1項に記載の亜鉛合金管材。
  6. Naを142mM、Kを5mM、Mg2+を1.5mM、Ca2+を2.5mM、Clを148.8mM、HCO を4.2mM、HPO 2−を1mM、SO 2−を0.5mMで含有する37℃の擬似体液(SBF)中に浸漬した場合に、6.2〜8.3で完全に溶解する請求項1〜のいずれか1項に記載の亜鉛合金管材。
  7. 前記添加元素を含有し、その添加元素の含有量が前記管材の肉厚方向で傾斜した組成である請求項1〜6のいずれか1項に記載の亜鉛合金管材。
  8. 鉛合金素材を溶解鋳造してビレットを得て[工程A−1]、そのビレットを穴開け加工を施した[工程B−1]後に、熱間押出加工して亜鉛合金管材を得る[工程C−1]、各工程をこの順に行うことを特徴する請求項1〜6のいずれか1項に記載の亜鉛合金管材の製造方法。
  9. 前記熱間押出加工[工程C−1]後に、冷間加工[工程D−1]を行う請求項に記載の亜鉛合金管材の製造方法。
  10. 前記熱間押出加工[工程C−1]を、ダイス出側で急速冷却を施しながら行う請求項またはに記載の亜鉛合金管材の製造方法。
  11. 亜鉛合金素材を溶解鋳造してビレットを得て[工程A−2]、そのビレットを穴開け加工を施した[工程B−2]後に、熱間押出加工して亜鉛合金管材を得て[工程C−2]、得られた管材の表面にスパッタ、溶射、電析の少なくとも1つ以上によって前記添加元素を含有する単層または多層膜を形成し[工程E−2]、この単層または多層膜に輻射、レーザ照射、及び通電からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の加熱を施す[工程F−2]、各工程をこの順に行うことを特徴とする請求項に記載の亜鉛合金管材の製造方法。
  12. 前記熱間押出加工[工程C−2]後に、冷間加工[工程D−2]を行う請求項11に記載の亜鉛合金管材の製造方法。
  13. 前記熱間押出加工[工程C−2]を、ダイス出側で急速冷却を施しながら行う請求項11または12に記載の亜鉛合金管材の製造方法。
  14. 請求項1〜のいずれか1項に記載の亜鉛合金管材からなる血管拡張用ステント。
  15. 請求項13のいずれか1項に記載の製造方法で得られた亜鉛合金管材に対して、ステントの形状にレーザ加工し[工程G]、表面を研磨し[工程H]、その後、表面処理を施す[工程I]、各工程をこの順に行う血管拡張用ステントの製造方法。
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