JP6560036B2 - 塗膜形成方法 - Google Patents

塗膜形成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6560036B2
JP6560036B2 JP2015130811A JP2015130811A JP6560036B2 JP 6560036 B2 JP6560036 B2 JP 6560036B2 JP 2015130811 A JP2015130811 A JP 2015130811A JP 2015130811 A JP2015130811 A JP 2015130811A JP 6560036 B2 JP6560036 B2 JP 6560036B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
coating film
moisture
coating
water separation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2015130811A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016064406A (ja
Inventor
環 川元
環 川元
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Paint Co Ltd
Nippon Paint Holdings Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
Nippon Paint Holdings Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Paint Co Ltd, Nippon Paint Holdings Co Ltd filed Critical Nippon Paint Co Ltd
Priority to PCT/JP2015/075980 priority Critical patent/WO2016043149A1/ja
Publication of JP2016064406A publication Critical patent/JP2016064406A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6560036B2 publication Critical patent/JP6560036B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)

Description

本発明は、水性塗料組成物の塗装によって塗膜を形成する、塗膜形成方法に関する。
液状の塗料組成物は、一般に、有機溶媒を含む溶剤型塗料組成物と、水を主たる溶媒とする水性塗料組成物の2種に大別することができる。水性塗料組成物は一般に、溶剤型塗料組成物と比較して有機溶媒の含有量が少ないため、環境に対する負荷が少ない。そのため、様々な塗装分野において、水性塗料組成物の使用が求められている。
一方で、水性塗料組成物は、蒸発速度の低い水を溶媒として含む。そのため、塗膜形成においては、水性塗料組成物塗装および乾燥時の環境の影響を強く受けることとなる。具体的には、例えば5℃以下の低温環境で水性塗料組成物を塗装および乾燥する場合は、溶媒である水の蒸発が非常に遅くなる。また、例えば湿度80%以上の高湿度環境で水性塗料組成物を塗装および乾燥する場合も、溶媒である水の蒸発が非常に遅くなる。このような低温および/または高湿条件においては、水性塗料組成物の塗装後において、溶媒である水が十分に蒸発できないため、塗膜の強度が上がらず、目的とする機能を有する塗膜を得ることができないという不具合があった。
特開2012−229302号公報(特許文献1)には、酢酸カルシウムの粒子、又は、酢酸マグネシウムの粒子を含む、路面標示用水性塗料固化促進剤について記載されている(請求項1)。そしてこの特許文献1には、路面標示用水性塗料固化促進剤を用いることによって、路面に塗布された路面標示用水性塗料の乾燥時間を短縮し、その塗料の固化を促進することができることが記載されている。一方で、この路面標示用水性塗料固化促進剤は、請求項7または8に記載されるような、路面標示用水性塗料固化促進剤と路面標示用水性塗料とを同時に路面に塗布する塗装装置、または、請求項9に記載されるような、路面標示用水性塗料のスプレーが通過する容器内に、移送された該路面標示用水性塗料固化促進剤を拡散させ、路面標示用水性塗料に路面標示用水性塗料固化促進剤を混合させる塗装装置などといった、特殊な塗装装置を用いて塗装される。
特開2004−244467号公報(特許文献2)には、水と反応することで発熱可能な非水溶性の無機化合物粒子を含む路面標示用水性塗料定着剤について記載されている(請求項1)。この路面標示用水性塗料定着剤は、路面標示用水性塗料とともに路面に塗布するか、または路面に塗布された路面標示用水性塗料の塗膜上に散布することによって用いられている(請求項4)。
特開平9−235489号公報(特許文献3)には、固形ポリマー粒子または無機化合物の粒子であって、水を吸収できるものを含むことを特徴とする、水性道路マーキング塗料について記載されている(請求項1)。特許文献3にはまた、表面に施した水性道路マーキング塗料の乾燥を促進する方法であって、固形ポリマー粒子または無機化合物の粒子であって水を吸収できるものを、表面に塗料とともに、または塗布された塗料の上にスプレーすることを含む方法についても記載されている(請求項2)。一方で特許文献3記載の発明においては、本願発明における水分除去工程については記載されていない。
特開2012−229302号公報 特開2004−244467号公報 特開平9−235489号公報
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、その目的とするところは、低温条件または高湿度条件などの、水性塗料組成物の塗装による乾燥塗膜形成が困難な条件においても、目的とする機能を有する塗膜を形成することができる方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は下記態様を提供する。
[1]
水性塗料組成物を塗装する塗装工程、
上記塗装によって得られた塗膜を、水分を含有する最上層および塗膜形成層に分離する、塗膜分離工程、および
上記水分を含有する最上層を、乾燥以外の方法によって除去する、水分除去工程、
を包含する、塗膜形成方法。
[2]
上記水分を含有する最上層は、さらに水分吸収剤を含むのが好ましい。
[3]
上記塗膜形成方法の1態様として、例えば、上記塗装工程の前に、水性塗料組成物に水分吸収剤を加える、水分吸収剤混合工程をさらに包含する態様が挙げられる。
[4]
上記塗膜形成方法の1態様として、例えば、上記塗装工程の前に、水性塗料組成物に水分離促進剤を加える、水分離促進剤混合工程をさらに包含し、
上記塗膜分離工程は、上記水分離促進剤によってもたらされる、
態様が挙げられる。
[5]
上記塗膜形成方法の1態様として、例えば、上記塗膜形成方法において、上記塗装工程の前に、水分離促進剤混合工程および水分吸収剤混合工程が行われ、
ここで、上記水分離促進剤混合工程は、上記水分吸収剤混合工程の前に行われる、
態様が挙げられる。
[6]
上記水分吸収剤は、吸水量1g/g以上であるのが好ましい。
[7]
上記水分吸収剤は、高吸水性樹脂、タンパク質および多糖類からなる群から選択される1種またはそれ以上であるのが好ましい。
[8]
上記水分離促進剤は、有機酸、無機酸、酸無水物、pH緩衝液、金属塩、塩基性化合物および高分子凝集剤からなる群から選択される1種またはそれ以上であるのが好ましい。
[9]
上記水分離促進剤が高分子凝集剤であるのが好ましい。
[10]
上記高分子凝集剤がポリヒドロキシシロキサン化合物であるのが好ましい。
[11]
本発明の塗膜形成方法の他の1態様として、
水性塗料組成物を塗装する塗装工程、および
上記塗装によって得られた塗膜から、水分を、水分吸収材料を用いて除去する、水分吸収材料による水分除去工程、
を包含する、塗膜形成方法、が挙げられる。
[12]
上記塗膜形成方法の1態様として、例えば、上記塗装工程の前に、水性塗料組成物に水分離促進剤を加える、水分離促進剤混合工程をさらに包含する、
態様が挙げられる。
[13]
上記水分吸収材料は、高吸水性樹脂、タンパク質および多糖類からなる群から選択される1種またはそれ以上の水分吸収剤、または上記水分吸収剤を含んで構成される、シート、フィルム、膜、ストリップまたは発泡シートであるのが好ましい。
本発明の塗膜形成方法は、水性塗料組成物から形成された塗膜中に含まれる水分を、乾燥以外の方法によって除去することを特徴とする。そのため、低温条件および/または高湿度条件などの、水性塗料組成物から形成された塗膜中に含まれる水媒体の蒸発が困難である塗装環境下であっても、目的とする機能を有する塗膜を形成することが可能となる。本発明の方法によって、塗装環境に左右されることなく、あらゆる環境下において塗膜を形成することが可能となる。
本発明の塗膜形成方法の1態様を示す概略説明図である。 本発明の塗膜形成方法の他の1態様を示す概略説明図である。
本発明の塗膜形成方法は、水性塗料組成物を塗装して塗膜を形成する方法において、水性塗料組成物から形成された塗膜中に含まれる水分を、乾燥以外の方法によって除去することを特徴とする。本発明の塗膜形成方法において用いられる水性塗料組成物として、特に限定されるものではないが、例えば下記の水性塗料組成物が挙げられる。
水性塗料組成物
本発明の方法において用いられる水性塗料組成物として、例えば、水性樹脂分散体を含む水性塗料組成物が挙げられる。
水性樹脂分散体
水性塗料組成物に含まれる水性樹脂分散体は、塗膜形成樹脂成分である。水性樹脂分散体として、例えば、アクリル樹脂エマルション、アクリル樹脂ディスパージョン、シリコーン含有アクリル樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション、塩化ビニル樹脂エマルションなどを用いることができる。これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。水性樹脂分散体としては、アクリル樹脂エマルション、アクリル樹脂ディスパージョンまたはシリコーン含有アクリル樹脂エマルションを用いるのが好ましい。
水性樹脂分散体として用いることができるアクリル樹脂エマルションは、水性媒体中で重合性モノマーを乳化重合することによって調製することができる。アクリル樹脂エマルションの調製に用いられる重合性モノマーとして、カルボキシル基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマー、水酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマー、およびその他のα,β−エチレン性不飽和モノマーが挙げられる。これらのモノマーは、水性塗料組成物を塗装する被塗物および用途に応じて適宜選択することができる。
カルボキシル基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸二量体、クロトン酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、イソクロトン酸、α−ハイドロ−ω−((1−オキソ−2−プロペニル)オキシ)ポリ(オキシ(1−オキソ−1,6−ヘキサンジイル))、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などを挙げることができる。これらの中で好ましいものは、アクリル酸、メタクリル酸である。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とはアクリルとメタクリルとの両方を意味するものとする。
アクリル樹脂エマルションの調製において、必要に応じてさらに、水酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーを用いてもよい。水酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、アリルアルコール、メタクリルアルコールおよび/または(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとε−カプロラクトンとの付加物を挙げることができる。これらの中で好ましいものは、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチルおよび/または(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとε−カプロラクトンとの付加物である。
その他のα,β−エチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル(例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタジエニル、(メタ)アクリル酸ジヒドロジシクロペンタジエニルなど)、重合性アミド化合物(例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチル(メタ)アクリルアミド、N−モノブチル(メタ)アクリルアミド、N−モノオクチル(メタ)アクリルアミド2,4−ジヒドロキシ−4’−ビニルベンゾフェノン、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミドなど)、重合性芳香族化合物(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルケトン、t−ブチルスチレン、パラクロロスチレンおよびビニルナフタレンなど)、重合性ニトリル(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど)、α−オレフィン(例えば、エチレン、プロピレンなど)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど)、ジエン(例えば、ブタジエン、イソプレンなど)、重合性芳香族化合物、重合性ニトリル、α−オレフィン、ビニルエステル、およびジエンを挙げることができる。これらは目的に応じて適宜選択することができる。
上記その他のα,β−エチレン性不飽和モノマーとして、架橋性モノマーを用いてもよい。ここで架橋性モノマーは、分子内に2つ以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物であり、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートなどのジビニル化合物、そして、トリアリルシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。架橋性モノマーは、上記のモノマーの組合せであってもよい。
アクリル樹脂エマルションの調製における、水性媒体中での乳化重合は、例えば、水、または、水とアルコールまたはグリコールなどのような親水性の有機溶媒とを含む水性媒体中に、乳化剤を溶解させ、加熱撹拌下、原料として使用するα,β−エチレン性不飽和モノマーを混合したモノマー混合物および重合開始剤を滴下することにより行うことができる。原料として使用するα,β−エチレン性不飽和モノマーを混合したモノマー混合物は、乳化剤と水とを用いて予め乳化しておいてもよい。
乳化重合に好適に用いることができる重合開始剤としては、アゾ系の油性化合物(例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)および2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)など)、および水性化合物(例えば、アニオン系の4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジンおよびカチオン系の2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン));並びにレドックス系の油性過酸化物(例えば、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドおよびt−ブチルパーベンゾエートなど)、および水性過酸化物(例えば、過硫酸カリおよび過硫酸アンモニウムなど)などが挙げられる。
乳化剤は、当業者に通常使用されているものを用いることができる。乳化剤として、反応性乳化剤である、アントックス(Antox)MS−60(日本乳化剤社製)、エレミノールJS−2(三洋化成工業社製)、アデカリアソープNE−20(旭電化社製)およびアクアロンHS−10(第一工業製薬社製)などが特に好ましい。また、分子量を調節するために、ラウリルメルカプタンのようなメルカプタンおよびα−メチルスチレンダイマーなどのような連鎖移動剤を必要に応じて用いることができる。
反応温度は開始剤により決定され、例えば、アゾ系開始剤では60〜90℃であり、レドックス系では30〜70℃で行うことが好ましい。一般に、反応時間は1〜8時間である。モノマー混合物の総量に対する開始剤の量は、一般に0.1〜5質量%であり、好ましくは0.2〜2質量%である。上記乳化重合は多段階で行うことができ、例えば、2段階で行うことができる。2段階乳化重合は、まず上記原料として使用するα,β−エチレン性不飽和モノマーを混合したもののうちの一部を乳化重合し、次いで上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物の残りをさらに加えて乳化重合を行う重合方法である。2段階重合を行うことによって、コア部とシェル部とからなるコアシェル型アクリル樹脂エマルションを得ることができる。
上記アクリル樹脂エマルションは、体積平均粒子径が20〜500nmであるのが好ましく、50〜200nmであるのがより好ましい。ここで体積平均粒子径とは、動的光散乱法によって決定される体積平均粒子径であり、具体的には、電気泳動光散乱光度計ELS−800(大塚電子社製)などを使用して測定することができる。
上記アクリル樹脂エマルションは、貯蔵安定性の観点から、塩基性化合物で中和することにより、pH5〜10に調整することが好ましい。上記塩基性化合物は、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミンなどのアミン類ならびに水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化物が挙げられる。上記中和は、乳化重合の前または後に、上記塩基性化合物を系に添加することによって行うことが好ましい。
アクリル樹脂ディスパージョンは、例えば、上記重合性モノマーを溶液重合してアクリル樹脂を調製し、その後、得られたアクリル樹脂を水中に分散させることによって調製することができる。より具体的には、アクリル樹脂ディスパージョンは、上記カルボキシル基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーを必須成分とし、それ以外のα,β−エチレン性不飽和モノマーとともに溶液重合を行った後、塩基性化合物で中和し、水中に分散させることによって調製することができる。
上記溶液重合は、加熱条件下において、上記重合性モノマーの混合物を、重合開始剤と共に有機溶媒中へ滴下しながら撹拌する方法が一般的である。溶液重合は、例えば、重合温度60〜160℃、滴下時間0.5〜10時間の条件で行うことができる。上記重合性モノマーは、2段階に分けて重合させることもできる。重合性モノマーを、2段階に分けて重合を行うことによって、コア部とシェル部とからなるコアシェル型アクリル樹脂ディスパージョンを得ることができる。
上記重合開始剤は、通常の重合に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、アゾ系化合物または過酸化物が挙げられる。一般に、モノマー混合物100質量部に対する重合開始剤の量は0.1〜18質量部であり、好ましくは0.3〜12質量部である。
また、ここで用い得る溶媒は反応に悪影響を与えないものであれば特に限定されず、例えば、アルコール、ケトン、エーテルおよび炭化水素系溶媒などが挙げられる。さらに、分子量を調節するために、ラウリルメルカプタンのようなメルカプタン、および、α−メチルスチレンダイマーなどのような連鎖移動剤を必要に応じて用いることができる。
このように溶液重合で得られるアクリル樹脂の数平均分子量は、4,000〜20,000であるのが好ましい。本明細書において、溶液重合で得られるアクリル樹脂の数平均分子量は、ポリスチレン標準サンプル基準を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定することができる。
上記溶液重合で得られたアクリル樹脂は、必要に応じて溶剤を除去した後、塩基性化合物を加えて中和して水性化することにより、アクリル樹脂ディスパージョンを得ることができる。上記塩基性化合物としては、先に挙げた塩基性化合物が挙げられる。上記塩基性化合物を加える量は、上記溶液重合で得られたアクリル樹脂が有するカルボキシル基の中和率が60〜100%となる量であることが好ましい。中和率が60%未満となる量である場合は、アクリル樹脂ディスパージョンの水分散性が低くなり、貯蔵安定性に劣るおそれがある。
アクリル樹脂ディスパージョンは、動的光散乱法によって決定される体積平均粒子径が10〜1000nmの範囲内であることが好ましい。体積平均粒子径が上記範囲内であることによって、水分散体の安定性が良好となり、さらに、得られる塗膜の外観が良好となるという利点がある。
上記アクリル樹脂ディスパージョンは、体積平均粒子径が10〜1000nmであるのが好ましく、100〜800nmであるのがより好ましい。
シリコーン含有アクリル樹脂エマルションは、例えば、アクリル樹脂エマルションの調製において用いられる上記重合性モノマーに加えて、アルコキシシリル基含有重合性モノマーを更に含有するモノマー組成物の重合によって得られる重合体などを挙げることができる。
上記アルコキシシリル基含有重合性モノマーは、炭素数1〜14のアルコキシシリル基を含有する重合性モノマーであれば特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリブトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸ジメトキシメチルシリルプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシジメチルシリルプロピル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルメトキシジメチルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シランなどを挙げることができる。これらは1種類または2種類以上を混合して使用することができる。これらのうち、特に、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
さらに、シリコーン含有アクリル樹脂エマルションは、有機シリコーン単位を導入してもよい。有機シリコーン単位を導入する方法としては、有機シリコーン化合物(例えば、オルガノシラン、オルガノシランの加水分解物、オルガノシランの縮合物など)およびアクリル重合性モノマーの混合物を乳化重合し加水分解、縮合反応およびラジカル重合を行う方法、シリコーン官能基を有するモノマーを共重合する方法、アクリル重合体に対して有機シリコーン化合物を反応させることにより、アクリル重合体粒子表面に有機シリコーン化合物を結合させる方法などが挙げられる。上記の2以上の方法を組み合わせるものであってもよい。
上記オルガノシランとしては、特に限定されず、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどのジアルコキシシラン類のほか、メチルトリアセチルオキシシラン、ジメチルジアセチルオキシシランなどを挙げることができる。
水性樹脂分散体としては、上記以外にも、当業者において通常用いられる、ウレタン樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション、塩化ビニル樹脂エマルションなどを用いることもできる。
水性塗料組成物中に含まれる水性樹脂分散体の量は、樹脂固形分量として、水性塗料組成物100質量部に対して5〜50質量部であるのが好ましい。
その他の成分
上記水性樹脂分散体は、硬化剤と反応して硬化する反応硬化型樹脂であってもよく、硬化剤を必要としない融着型樹脂であってもよい。硬化剤として、例えば、カルボジイミド硬化剤、メラミン硬化剤、イソシアネート硬化剤などを用いることができる。
本発明における水性塗料組成物は、上記成分に加えて、必要に応じた他の成分を含んでもよい。他の成分として、例えば、造膜助剤、増粘剤、多官能アミン重合体、カップリング剤、可塑剤、架橋樹脂粒子、顔料、表面調整剤、防腐剤、防かび剤、消泡剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、pH調整剤などが挙げられる。
水性塗料組成物は、水を溶媒として含む。水性塗料組成物は、水に加えて、アルコールまたはグリコールなどのような親水性の有機溶媒を必要に応じて含んでもよい。
水性塗料組成物の調製法としては特に限定されず、上述した各成分を、攪拌機などにより攪拌することによって調製することができる。水性塗料組成物中に顔料または意匠材料が含まれる場合は、分散性のよいものは攪拌機により混合することができ、他の方法として、水、界面活性剤または分散剤などを含むビヒクルにサンドグラインドミルなどを用いて予め分散させたものを加えることもできる。
塗膜形成方法
本発明の塗膜形成方法の1態様として、
水性塗料組成物を塗装する塗装工程、
上記塗装によって得られた塗膜を、水分を含有する最上層および塗膜形成層に分離する、塗膜分離工程、および
上記水分を含有する最上層を、乾燥以外の方法によって除去する、水分除去工程、
を包含する方法が挙げられる。
図1は、この塗膜形成方法を示す概略説明図である。水分を除去する方法は、乾燥以外の方法であれば任意の方法を用いることができる。
なお本発明の方法においては、水分を含有する最上層を、乾燥以外の方法によって除去する、水分除去工程が包含されていればよく、そして本発明の方法において、乾燥によって多少の水分が除去されることを排除するものではない。具体的には、塗膜分離工程において、塗装によって得られた塗膜に含まれる水分が、多少蒸発する態様についても、その後に水分除去工程が行われる限り、本発明の方法に該当する。
水性塗料組成物を塗装する被塗物として、任意の基材が挙げられる。基材としては、例えば、金属、木材、プラスティックス、ゴム、石材、スレート、コンクリート、モルタル、繊維、紙、ガラス、磁器、陶器、フィルム、およびこれらの複合体などが挙げられる。これらの基材は、必要に応じて、下塗り塗膜などの塗膜が予め設けられていてもよい。
水性塗料組成物の塗装方法としては、被塗物(基材)の種類および形状などに応じた、任意の適切な方法を用いることができる。水性塗料組成物を塗装する方法として、例えば、浸漬、刷毛、流し塗り、ローラー、ロールコーター、エアースプレー、エアレススプレー、カーテンフローコーター、ローラーカーテンコーター、ダイコーターなどの一般に用いられている塗装方法などを用いることができる。
水性塗料組成物は、水分除去後の膜厚として5〜1000μmとなるように塗装することが好ましく、20〜300μmとなるように塗装することがより好ましい。
水性塗料組成物の塗装によって得られた塗膜を、水分を含有する最上層および塗膜形成層に分離させる(塗膜分離工程)。この塗膜分離工程として、例えば、塗装により得られた塗膜を、2秒〜24時間の間、静置する方法などが挙げられる。
水分を含有する最上層は、水分のみを含んでもよく、または後述する水分吸収剤および/または水分離促進剤を含んでもよい。また水分を含有する最上層は、水性塗料組成物中に含まれる上記添加剤や、若干量の塗膜形成成分等を含んでもよい。
塗膜形成層は、水性塗料組成物中に含まれる塗膜形成成分を含む層である。塗膜形成成分として、上記水性樹脂分散体、そして必要に応じたその他の成分などが挙げられる。塗膜形成層は塗膜形成成分に加えて、各種添加剤を含んでもよい。
塗装によって得られた塗膜の、水分を含有する最上層および塗膜形成層への分離をもたらし、そしてこの分離を促進させる手段の1つとして、例えば、上記塗装工程の前に、水性塗料組成物に水分離促進剤を加える(水分離促進剤混合工程)方法が挙げられる。水分離促進剤として、例えば、有機酸、無機酸、酸無水物、pH緩衝液、金属塩、塩基性化合物、高分子凝集剤などが挙げられる。
ここでいう分離、具体的には水分を含有する最上層および塗膜形成層への分離、とは、樹脂エマルションなどの水性樹脂分散体を所定の不安定条件下に置くことで、樹脂成分などを意図的に凝集させ析出させることによって、水性樹脂分散体を構成する樹脂成分と水分とを分離させることを意味する。このような分離において、例出する水分離促進剤がどのようなメカニズムで機能するかについては明らかにされていない部分も多いが、基本的な作用機構は、以下のように推定される。水分離促進剤が金属塩である場合は、塩の強い水和力により水性樹脂分散体中の水を水和水として固定化し、水性樹脂分散体の安定化を低下させる塩析作用によるものと考えられる。また、水分離促進剤が、有機酸、無機酸、酸無水物または塩基性化合物である場合は、いわゆる凝析作用が働くものと考えられる。すなわち、水分離促進剤が静電引力により水性樹脂分散体のイオン性基に電気的相互作用を及ぼすことで、水性樹脂分散体粒子表面のゼータ電位が低下し、脱水和され、水性樹脂分散体粒子同士の合一により樹脂成分が疎水化し、水性樹脂分散体の樹脂成分が水から分離されていくと考えられる。また、水分離促進剤が高分子凝集剤である場合には、これらの作用とともに凝結作用といわれる高分子凝集剤の高分子鎖が水性樹脂分散体の樹脂成分に対する橋かけ吸着をおこし、高分子凝集剤を介して水性樹脂分散体同士を合一させ、樹脂成分を疎水化させることで、樹脂成分と水分との分離が促進されると考えられる。
水分離促進剤として用いることができる有機酸として、例えば、
一価カルボン酸(例えば、酢酸、安息香酸、プロピオン酸、蟻酸など)、
二価カルボン酸(例えば、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸など)、
有機スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アミノエチルスルホン酸など)、
などが挙げられる。
水分離促進剤として用いることができる無機酸として、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸などが挙げられる。
水分離促進剤として用いることができる酸無水物として、上記有機酸または無機酸の2分子が脱水縮合したものを挙げることができる。酸無水物の具体例として、例えば、無水酢酸、無水安息香酸、二硫酸(ピロ硫酸)、ピロリン酸(二リン酸)、五酸化二リン(十酸化四リン)、無水プロピオン酸などが挙げられる。
酸無水物としてさらに、上記二価カルボン酸の分子内脱水縮合物も用いることができる。このような縮合物として、例えば、無水マレイン酸、無水フマル酸などが挙げられる。
水分離促進剤として用いることができるpH緩衝液として、例えば、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液、ホウ酸緩衝液などが挙げられる。また、これらのpH緩衝液の調製に用いられる緩衝剤組成物を、水性塗料組成物に直接添加する態様であってもよい。
水分離促進剤として用いることができる金属塩として、例えば、アルミニウム塩(例えば、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウムなど)、鉄塩(例えば、ポリ硫酸第二鉄、塩化第二鉄など)、ナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムなど)、カルシウム塩(例えば、塩化カルシウムなど)、マグネシウム塩(例えば、塩化マグネシウムなど)などが挙げられる。
水分離促進剤として用いることができる高分子凝集剤として、例えば、
カチオン系高分子凝集剤では、ジメチルアミノエチルメタアクリレートメチレンクロライド塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、アニリン樹脂塩酸塩、ポリアミン誘導体、ポリチオウレア酢酸塩、ポリエチレンアミノトリアゾール、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリエチレンイミン、ビニルピリジン共重合物塩など、そして、アニオン系高分子凝集剤では、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、マレイン酸共重合物塩、イタコン酸共重合物塩、ポリアクリルアミド部分加水分解物塩、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ポリヒドロキシシロキサン化合物など、
が挙げられる。他にも、両性高分子凝集剤として、ゼラチン、上記アニオン単位とカチオン単位との共重合体など、ノニオン系高分子凝集剤としてポリアクリルアミド、ポリオキシエチレン、水溶性ウレア、デンプンなどを、適宜用いることができる。中でもアルコキシシランの加水分解縮合物であるポリヒドロキシシロキサン化合物は、比較的pKaが大きいため、系の不安定化を起こす急激な凝集を起こすことはないが、比較的大きな高分子構造を有しているので、前述の橋かけ吸着作用をより効率的にもたらし、均一に系全体の凝集が進行することで、速やかな水分離を起こす優れた水分離促進剤である。
水分離促進剤として用いることができる塩基性化合物として、例えば、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミンなどのアミン類ならびに水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化物が挙げられる。
これらの水分離促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
水分離促進剤として、有機酸(例えば酢酸、プロピオン酸など)、酸無水物(例えば無水酢酸、無水プロピオン酸など)および高分子凝集剤からなる群から選択される少なくとも1種を用いるのが好ましい。
水分離促進剤として、高分子凝集剤の1種であるアニオン系高分子凝集剤を用いるのがより好ましく、ポリヒドロキシシロキサン化合物を用いるのがさらに好ましい。水分離促進剤としてより好ましく用いられるポリヒドロキシシロキサン化合物の調製は、モノ、ジ、トリ、テトラアルコキシシランの単独あるいは複数から選ばれる原料を、加水分解、縮合することによって得ることが一般的である。
具体的な製法としては特に限定はされないが、特許3599277号、5048395号等に記載される公知の手段を用いることができる。
水分離促進剤を水性塗料組成物に加える場合は、塗膜形成樹脂成分の安定性を損なう量を加える。具体的には、水性塗料組成物100質量部に対して、0.01〜50質量部となる量で加えるのが好ましく、0.1〜20質量部となる量で加えるのがより好ましい。0.01質量部未満であると、水分離促進剤としての効果が十分に発揮されないおそれがある。50質量部を超えると、塗膜の硬化性や耐水性などの各種塗膜物性が低下するおそれがある。水性塗料組成物に水分離促進剤を加える手法として、一般的な混合方法を用いることができる。
本発明の方法においては、上記塗膜分離工程によって得られた、水分を含有する最上層を、乾燥以外の方法によって除去する(水分除去工程)。ここで「水分を含有する最上層を乾燥以外の方法によって除去」するとは、水性塗料組成物から形成された塗膜中に含まれている水分を、塗装後に、乾燥以外の方法によって除去することを意味する。このような方法の具体例として、例えば、塗装によって得られた塗膜を傾けることなどによって、重力により水分を含有する最上層を流し落とす方法、水分吸収剤を含む最上層を、手または空気で除去するまたは必要に応じて任意の器具を用いて除去するなどの除去方法、水分吸収材料に最上層の水分を吸収させて水分を取り除く方法などが挙げられる。
必要に応じて、上記塗装工程の前に、水性塗料組成物に水分吸収剤を加える、水分吸収剤混合工程を行ってもよい。この場合は、水分を含有する最上層に、水分吸収剤が含まれることとなる。水分吸収剤として、例えば、吸水量1g/g以上である剤が挙げられる。吸水量は、JIS K 7223−1996の高吸水性樹脂の吸水量試験方法に準拠して測定することができる。
水分吸収剤として、具体的には、高吸水性樹脂、タンパク質、多糖類などが挙げられる。
水分吸収剤として用いることができる高吸水性樹脂として、例えば、ポリアクリル酸塩(例えばポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウムなど)、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキシエチレン、ポリスルホン酸塩、ポリグルタミン酸塩などの樹脂が挙げられる。
水分吸収剤として用いることができるタンパク質として、例えば、ゼラチン、膠、アルブミン、カゼイン、グルテン、セリシンなどが挙げられる。
水分吸収剤として用いることができる多糖類として、例えば、カルボキシルメチル化デンプン、カルボキシメチル化セルロース、デンプン、セルロース、キチン、キトサン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、寒天、アガロース、アラビアゴム、アルギン酸塩、カードラン、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム、グルコマンナン、コンドロイチン硫酸、ジェランガム、トラガカントガム、ヒアルロン酸、プルラン、ペクチン、ローカストビーンガムなどが挙げられる。
これらの水分吸収剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の方法においては、水分離促進剤および水分吸収剤は、共通する材料を用いてもよい。より具体的には、水分離促進剤の一例である高分子凝集剤が挙げられ、水分吸収剤として、同一の材料を用いてもよい。水分離促進剤の一例である高分子凝集剤は、例えば付加した官能基の塩析作用または凝結作用などによって水性樹脂分散体粒子から水の分離をもたらす成分である。そしてこのような作用は、水を固定化し、樹脂成分より分離除去させる点で、水分吸収剤によってもたらされる水分吸収作用と、作用機構的に共通するところがあるためである。
上記水分吸収剤は、粒子状または粉末状であるのが好ましい。粒子状または粉末状の水分吸収剤として、例えば、体積平均粒子径が100nm〜1mmである水分吸収剤が挙げられる。水分吸収剤の体積平均粒子径は、レーザー光散乱法などにより測定することができる。具体的には、レーザー回析式粒子径分布測定装置SALD−2200(島津製作所社製)などを使用して測定することができる。水分吸収剤を、乳鉢またはボールミルなどを用いて、粉砕などを行うことによって、上記粒子径の範囲に調節してもよい。
水分吸収剤として、タンパク質(例えばゼラチンなど)および多糖類(例えばデンプン、ヒドロキシエチルセルロースなど、)からなる群から選択される少なくとも1種などを用いるのが好ましい。
水分吸収剤を水性塗料組成物に加える場合は、水性塗料組成物100質量部に対して、0.1〜100質量部となる量で加えるのが好ましく、0.1〜30質量部となる量で加えるのがより好ましい。0.1質量部未満であると、水分を十分に吸収できないおそれがある。水性塗料組成物に水分吸収剤を加える手法として、一般的な混合方法を用いることができる。
上記水分吸収剤は、必要に応じて、水性塗料組成物に加える前に、有機溶媒中に予め浸漬する浸漬処理を行ってもよい。有機溶媒として、例えば、水難溶性の有機溶媒および水不溶性の有機溶媒からなる群から選択される1種またはそれ以上を用いることができる。浸漬処理を行う場合は、例えば、水分吸収剤1質量部に対して、有機溶媒を0.5〜10質量部用いて、有機溶媒に対して0.5分〜24時間接触させる態様などが挙げられる。
ここで、水難溶性の有機溶媒とは、20℃における溶解度が10mg/L以上10g/L未満である有機溶媒を意味し、水不溶性の有機溶媒とは、20℃における溶解度が10mg/L未満である有機溶媒を意味する。このような浸漬処理を行うことによって、水分吸収剤の水分吸収作用の発現を遅延させたり抑制させたりすることができるという利点がある。例えば、塗装工程の前に、水性塗料組成物に水分吸収剤を加える、水分吸収剤混合工程を行う場合などにおいて、このような浸漬処理は有用であり、好ましく用いることができる。
上記方法において、水分離促進剤混合工程および水分吸収剤混合工程の両方が行われる場合は、水分離促進剤混合工程は、水分吸収剤混合工程の前に行われるのがより好ましい。水分離促進剤混合工程を、水分吸収剤混合工程の前に行うことによって、水分離を水分吸収に先立って起こすことができると考えられる。
本発明の塗膜形成方法の他の1態様として、
水性塗料組成物を塗装する塗装工程、および
上記塗装によって得られた塗膜から、水分を、水分吸収材料を用いて除去する、水分吸収材料による水分除去工程、
を包含する方法が挙げられる。この態様においては、塗装によって得られた塗膜の上方から、水分吸収材料を接触させることによって、形成された塗膜から、水分を、水分吸収材料へ吸収させて、水分を取り除くことを特徴とする。
図2は、この塗膜形成方法を示す概略説明図である。水分の除去に用いる水分吸収材料は、図2に示される形状のものに限定されず、任意の形状のものを用いることができる。
この態様において用いることができる水分吸収材料として、上述の水分吸収剤が挙げられる。水分吸収材料として、上記水分吸収剤を含んで構成される、シート、フィルム、膜、ストリップ、発泡シートなどの形状の材料を用いることもできる。このような形状の材料として、例えば、市販されるシートなどの材料を用いることができる。また、上述の水分吸収剤を、シートまたは膜などの形状に加工して用いることもできる。
この態様において、塗装工程の前に、水性塗料組成物に水分離促進剤を加える、水分離促進剤混合工程をさらに包含してもよい。水分離促進剤として、上述した水分離促進剤を用いることができる。
本発明の塗膜形成方法は、水性塗料組成物中に含まれる水分を、乾燥以外の方法によって除去することを特徴とする。そのため、低温条件および/または高湿度条件などの、水性塗料組成物中に含まれる水媒体の蒸発が困難である塗装環境下であっても、塗膜を形成することが可能となる。本発明の方法によって、塗装環境に左右されることなく、あらゆる環境下において目的とする機能を有する塗膜を形成することが可能となる。
なお、本発明の塗膜形成方法は、単層塗膜の形成において用いてもよく、複層塗膜の形成において用いてもよい。本発明の塗膜形成方法を、複層塗膜の形成において用いる態様として、例えば、上記水分除去工程を行った塗膜に対して、さらに塗料組成物を塗装する態様などが挙げられる。ここで、さらに塗料組成物を塗装した後、必要に応じて、上記水分除去工程を行ってもよい。本発明の塗膜形成方法を、複層塗膜の形成において用いる場合は、上記利点に加えて、混層などの不具合の発生を防ぐことができるなどのさらなる利点が挙げられる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」および「%」は、ことわりのない限り、質量基準による。
製造例1
MKCシリケートMS51(三菱化学社製のテトラメトキシシランの縮合物、SiO含有率51%、縮合度は平均値として5) 10.71gに、アルミキレートD(川研ファインケミカル社製のアルミキレート化合物、76%イソプロパノール溶液)0.44g、メタノール 28.70gを加えて溶解させた。40℃に昇温した後、水 40.18gを2時間かけて徐々に加えて撹拌し、40℃で2時間エージングし、濃度9.6%のポリヒドロキシシロキサン溶液を得た。
実施例1
コアシェル型アクリル樹脂ディスパージョン(日本ペイント社製、固形分44%、酸価20mg−KOH/g)をガラス瓶に10g秤量し、水分離促進剤として特級無水酢酸(試薬)を0.18g添加後、室温にて往復10回手で振盪することで均質に混合した。その直後、室温でテストピース上に、10ミルのドクターブレードにて塗装した。その15分後、塗膜上に、水分吸収材料として、高吸水性樹脂粒子(商品名;アクアキープ10SH−PF、住友精化社製、吸水量:500g/g、体積平均粒子径:26μm)を2g添加した。5分後に、水分を含有する最上層を指で払落し、目的とする乾燥膜厚100μmの塗膜を得た。
高吸水性樹脂粒子の吸水量は、JIS K 7223−1996の高吸水性樹脂の吸水量試験方法に準拠して測定した。具体的には、物質0.2gをティーバッグに入れ、脱イオン水中に3時間浸漬し、10分間つるして水切りを行った直後に重量を測定して、浸漬前後の重量変化から吸水量を求めた。
実施例2
水分吸収剤をゼラチン(商品名;クックゼラチン、森永製菓社製、吸水量:17g/g、体積平均粒子径:697μm)に、水分を含む最上層を除去するタイミングを水分吸収剤の添加から15分後に変更した以外は、実施例1と同様にして、目的とする乾燥膜厚100μmの塗膜を得た。
なお、ゼラチンは事前に乳鉢で乳棒を用いて2分間粉砕したものを用いた。またゼラチンの吸水量は実施例1と同様にして求めた。
実施例3
実施例1記載と同一のディスパージョンをガラス瓶に10g秤量し、水分離促進剤として無水酢酸を0.18g添加後、室温にて往復10回手で振盪することで均質に混合した。その直後、室温でテストピース上に、10ミルのドクターブレードにて塗装した。その15分後、テストピースを傾けることで水分を含む最上層を除去し、目的とする乾燥膜厚100μmの塗膜を得た。
実施例4
実施例1記載と同一のディスパージョンをガラス瓶に10g秤量し、水分離促進剤として無水酢酸を0.18g添加後、室温にて往復10回手で振盪することで均質に混合した。その直後、水分吸収剤としてゼラチンを8g添加し、さらに往復10回手で振盪することで均質に混合した。その直後、室温でテストピース上に均一に流し塗りした。塗装後、室温で1時間静置し、水分を含有し皮膜となった最上層を薬さじで除去して、目的とする乾燥膜厚200μmの塗膜を得た。
なお、上記に示すゼラチンは、ゼラチンの吸水を遅延させるために、予め、ゼラチン(商品名;クックゼラチン、森永製菓社製、吸水量:17g/g)8gを、トルエン10gに含浸したものを濾過してから用いた。
実施例5
静置条件を温度5℃、湿度50%に変更した以外は実施例4と同様にして、目的とする乾燥膜厚200μmの塗膜を得た。
実施例6
静置条件を温度23℃、湿度83%に変更した以外は実施例4と同様にして、目的とする乾燥膜厚200μmの塗膜を得た。
実施例7
水分吸収剤をヒドロキシエチルセルロース(商品名;SP−850、ダイセル社製、吸水量20g/g、体積平均粒子径:92μm)2gに変更した以外は実施例4と同様にして、目的とする乾燥膜厚200μmの塗膜を得た。なお、上記に示すヒドロキシエチルセルロースは、ヒドロキシエチルセルロースの吸水を遅延させるために、予め、ヒドロキシエチルセルロース2gを、トルエン4gに含浸したものを濾過してから用いた。また、ヒドロキシエチルセルロースの吸水量は実施例1と同様にして求めた。
実施例8
水分離促進剤として、製造例1で調製したポリヒドロキシシロキサン溶液 2.29gを用いたこと以外は実施例4と同様にして、目的とする乾燥膜厚200μmの塗膜を得た。
比較例1
実施例1記載と同一のディスパージョンをガラス瓶に10g秤量し、室温でテストピース上に、10ミルのドクターブレードにて塗装した。塗装後、室温で1時間静置し、乾燥膜厚100μmの塗膜を得た。なお、水分除去工程は行わなかった。
比較例2
静置条件を温度5℃、湿度50%に変更した以外は比較例1と同様にして、乾燥膜厚100μmの塗膜を得た。なお、水分除去工程は行わなかった。
比較例3
静置時間を5時間に変更した以外は比較例2と同様にして、乾燥膜厚100μmの塗膜を得た。
比較例4
静置条件を温度23℃、湿度83%に変更した以外は比較例1と同様にして、乾燥膜厚100μmの塗膜を得た。なお、水分除去工程は行わなかった。
比較例5
静置時間を5時間に変更した以外は比較例4と同様にして、乾燥膜厚100μmの塗膜を得た。なお、水分除去工程は行わなかった。
上記実施例および比較例によって得られた塗膜について、下記評価を行った。評価結果を下記表に示す。
実施例1〜8および比較例1〜5によって得られた塗膜の状態を指触により確認し、以下に示す判断基準で評価を行なった。
○:塗膜に粘着感がない
×:塗膜に粘着感がある
Figure 0006560036
比較例1の結果は、塗装後、室温で1時間静置して得られた塗膜の評価結果である。比較例1の結果から、たとえ室温条件下であっても、水分除去工程を行わない場合においては、1時間の静置のみでは、良好な塗膜が得られないことが分かる。
実施例1〜8の結果は、いずれも、上記実施例によって形成された直後の塗膜の評価結果である。本発明の実施例では、比較例1と同じ塗料を用いた場合であってもいずれも、乾燥以外の方法で水分を除去したことにより、良好な塗膜を形成することができることが確認された。
比較例2の結果は、低温条件下であって、水媒体の蒸発が困難である塗装環境下において、1時間静置して得られた塗膜の評価結果である。また比較例4の結果は、高湿度条件下であって、水媒体の蒸発が困難である塗装環境下において、1時間静置して得られた塗膜の評価結果である。これら比較例2そして4の塗装環境下においては、水の揮発を促進するべくさらに4時間静置した場合であっても(比較例3、比較例5)、塗膜に粘着感が残っていた。これらの低温条件下および/または高湿度条件下においては、水性塗料組成物の塗装による塗膜形成が困難であることが確認できる。
他方、比較例2そして4の塗装環境下においても、本発明の塗装方法を行った場合には、良好な塗膜が得られることが、実施例5および6により確認することができた。ここで、比較例1〜5はいずれも、ドクターブレード塗装を行っている。ドクターブレード塗装は、塗装膜厚が薄く、塗装膜厚中の総水分量が少ないため、より良好な塗膜を得やすい条件である。一方で、実施例5および6は、比較例2そして4の塗装環境下であることに加えて、流し塗り塗装という、塗装膜厚が厚く塗膜中の総水分量が多いため、ドクターブレード塗装に対して、成膜上において、より不利な条件となる塗装方法で塗膜形成を行っている。そして実施例5および6においては、成膜上においてもよりハードルの高い塗装方法を用いて塗膜を形成したにもかかわらず、粘着感の無い良好な塗膜が得られることが、確認できた。
本願発明の方法によって、低温条件および/または高湿度条件などの、水性塗料組成物中に含まれる水媒体の蒸発が困難である塗装環境下であっても、目的の機能を有する塗膜を形成することが可能となるという利点がある。

Claims (7)

  1. 水性塗料組成物に水分離促進剤を加える、水分離促進剤混合工程、
    前記水分離促進剤を含む水性塗料組成物を塗装する塗装工程、
    前記塗装によって得られた塗膜を、水分を含有する最上層および塗膜形成層に分離する、塗膜分離工程、および
    前記水分を含有する最上層を、水分吸収剤によって除去する、水分除去工程、
    を包含する、塗膜形成方法であって、
    前記水分離促進剤は、有機酸、無機酸、酸無水物、pH緩衝液、金属塩、塩基性化合物および高分子凝集剤からなる群から選択される1種またはそれ以上であり、
    前記水分吸収剤は、高吸水性樹脂、タンパク質および多糖類からなる群から選択される1種またはそれ以上である、
    塗膜形成方法
  2. 前記塗装工程の前に、水性塗料組成物に水分吸収剤を加える、水分吸収剤混合工程をさらに包含する、請求項記載の塗膜形成方法。
  3. 前記塗膜形成方法において、前記塗装工程の前に、水性塗料組成物に水分離促進剤を加える水分離促進剤混合工程、および、水性塗料組成物に水分吸収剤を加える水分吸収剤混合工程が行われ、
    ここで、前記水分離促進剤混合工程は、前記水分吸収剤混合工程の前に行われる、
    請求項記載の塗膜形成方法。
  4. 前記水分吸収剤は、吸水量1g/g以上である、請求項1〜3いずれかに記載の塗膜形成方法。
  5. 前記水分離促進剤が高分子凝集剤である、請求項に記載の塗膜形成方法。
  6. 前記高分子凝集剤が、ポリヒドロキシシロキサン化合物である、請求項に記載の塗膜形成方法。
  7. 水性塗料組成物に水分離促進剤を加える、水分離促進剤混合工程、
    前記水分離促進剤を含む水性塗料組成物を塗装する塗装工程、および
    前記塗装によって得られた塗膜を、水分を含有する最上層および塗膜形成層に分離させ、次いで、水分を含有する最上層から、水分を、水分吸収材料を用いて除去する、水分吸収材料による水分除去工程、
    を包含する、塗膜形成方法であって、
    前記水分離促進剤は、有機酸、無機酸、酸無水物、pH緩衝液、金属塩、塩基性化合物および高分子凝集剤からなる群から選択される1種またはそれ以上であり、
    前記水分吸収材料は、高吸水性樹脂、タンパク質および多糖類からなる群から選択される1種またはそれ以上の水分吸収剤、または前記水分吸収剤を含んで構成される、シート、フィルム、膜、ストリップまたは発泡シートである、
    塗膜形成方法
JP2015130811A 2014-09-17 2015-06-30 塗膜形成方法 Expired - Fee Related JP6560036B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2015/075980 WO2016043149A1 (ja) 2014-09-17 2015-09-14 塗膜形成方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014189017 2014-09-17
JP2014189017 2014-09-17

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016064406A JP2016064406A (ja) 2016-04-28
JP6560036B2 true JP6560036B2 (ja) 2019-08-14

Family

ID=55804727

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015130811A Expired - Fee Related JP6560036B2 (ja) 2014-09-17 2015-06-30 塗膜形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6560036B2 (ja)

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4357759A (en) * 1981-02-03 1982-11-09 W. R. Grace & Co. Method of removing water from water base can sealant
ATE38064T1 (de) * 1985-04-17 1988-11-15 Akzo Nv Verfahren zum anbringen einer wegmarkierungszusammensetzung.
PL174602B1 (pl) * 1993-06-10 1998-08-31 Plastiroute Sa Sposób i urządzenie do nanoszenia poziomych oznakowań na drogach lub innych powierzchniach komunikacyjnych
FR2745293A1 (fr) * 1996-02-26 1997-08-29 Rohm & Haas France Peinture de signalisation routiere, procede d'acceleration du sechage de ladite peinture et utilisation de particules d'un compose polymere ou mineral solide
EP1118391B1 (en) * 1999-12-03 2005-03-16 Rohm And Haas Company A method of improving the drying time of a thick coating
JP2004148133A (ja) * 2002-09-05 2004-05-27 Sk Kaken Co Ltd 化粧面の形成方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016064406A (ja) 2016-04-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5112299B2 (ja) 制振材配合物
JP4245637B2 (ja) 有機無機複合塗膜、その製造方法及び水性塗料組成物
WO1997020004A1 (fr) Composition de resine solidifiable pour peintures a l'eau
US20120149814A1 (en) Ultrahydrophobic coating and method for making the same
JP5172458B2 (ja) 制振材用エマルション組成物
JP7051233B2 (ja) コーティング組成物
WO2017140100A1 (zh) 一种成膜硅溶胶及其制备方法与应用
JP3513985B2 (ja) 硬化性重合体水性分散液の製造方法及び硬化性重合体水性分散液
JP6560036B2 (ja) 塗膜形成方法
WO2016043149A1 (ja) 塗膜形成方法
JP2016107231A (ja) 分離膜
Xu et al. Superhydrophobic polystyrene coating based on phase separation of raspberry structure particle
JP2004115665A (ja) 水系制振材用エマルション
JP6723379B2 (ja) エマルジョン
WO2020085123A1 (ja) N-ビニルカルボン酸アミドの重合体を含む水性塗工液用組成物
JP5770432B2 (ja) 加熱乾燥用エマルション組成物、その製造方法及び制振材組成物
JP5685002B2 (ja) 制振材用エマルション及び制振材組成物
JP2009270064A (ja) 制振材用エマルション組成物
JP2007084742A (ja) 水分散性低汚染型塗料用樹脂組成物及びこれを用いた水分散性低汚染型塗料
JP2019018153A (ja) コーティング材の製造方法
Wada et al. Properties of organic–inorganic composite materials prepared from acrylic resin emulsions and colloidal silicas
JP4891568B2 (ja) 塗料組成物
JP4443089B2 (ja) 加熱乾燥用エマルション
JP6425964B2 (ja) 光学塗膜及び反射防止膜
JP6202378B2 (ja) 一液型水性シーラー用エマルション組成物および一液型水性シーラー用エマルション組成物の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180330

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190409

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190607

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190625

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190718

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6560036

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees