(第1実施形態)
以下、図1〜図4を参照して、この発明を腕時計に適用した第1実施形態について説明する。
この腕時計は、図1および図2に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1は、本体ケース2と第1外装ケース3と第2外装ケース4とによって構成されている。本体ケース2は、硬質の合成樹脂からなり、その内部に補強用の金属部材2aが埋め込められた構成になっている。
第1外装ケース3は、図1および図2に示すように、軟質の合成樹脂からなり、本体ケース2の上端部を除く外周に、これを覆って取り付けられるように構成されている。第2外装ケース4は、軟質の合成樹脂からなり、本体ケース2の上部外周および第1外装ケース3の上部外周に、これらを覆って取り付けられるように構成されている。
腕時計ケース1の上部開口部、つまり本体ケース2の上部開口部には、図2に示すように、時計ガラス5がパッキン5aを介して取り付けられている。この場合、時計ガラス5の上面における外周縁は、第2外装ケース4によって覆われている。また、この腕時計ケース1の下部、つまり本体ケース2の下部には、裏蓋6が防水リング6aを介して取り付けられている。
この腕時計ケース1の内部、つまり本体ケース2の内部には、図2に示すように、時計モジュール7が配置されている。時計モジュール7は、指針を駆動するための時計ムーブメントや、時刻などの情報を電気光学的に表示する表示パネルなど、時計機能に必要な各種の部品(いずれも図示せず)を備えている。
この場合、時計モジュール7と時計ガラス5との間には、図2に示すように、リング状の見切り部材8が設けられている。この見切り部材8は、その上面が外周側から内周側に向けて傾斜する傾斜面に形成され、この傾斜面に時字(図示せず)が円周方向に沿って等間隔で設けられた構成になっている。また、この見切り部材8と時計モジュール7との間には、その上方を指針が運針する第1文字板9と第2文字板10とが上下に重なった状態で配置されている。
ところで、腕時計ケース1の12時側と6時側との各側部には、図1に示すように、バンド取付部11がそれぞれ外部に突出して設けられている。また、この腕時計ケース1の3時側の側部には、スイッチ装置12が設けられており、この腕時計ケース1の2時側、4時側、8時側、および10時側の各側部には、押釦スイッチ13がそれぞれ設けられている。
スイッチ装置12は、図2に示すように、腕時計ケース1の本体ケース2に設けられた貫通孔14に嵌め込まれた筒状部材15と、この筒状部材15にスライド可能に挿入されて腕時計ケース1の外部に突出する操作部材16と、を備えている。この場合、貫通孔14は、本体ケース2の内部側に小径孔部14aが形成され、外部側に大径孔部14bが形成された構成になっている。
この大径孔部14bの外端部には、図2に示すように、座ぐり部14cが形成されている。この座ぐり部14cは、その内径が大径孔部14bの内径よりも大きく、かつ本体ケース2の上下方向の長さ(高さ)よりも小さく形成されている。この場合、貫通孔の大径孔部14bは、その軸方向の長さが小径孔部14aの軸方向の長さよりも長く、かつ座ぐり部14cの軸方向の長さよりも長く形成されている。
筒状部材15は、図2に示すように、本体ケース2の貫通孔14内に配置される第1筒部17と、本体ケース2の外部に配置されて第1外装ケース3から腕時計ケース1の外部に突出する第2筒部18と、を備えている。第1筒部17は、金属や硬質の合成樹脂で形成されている。この第1筒部17は、本体ケース2の貫通孔14の小径孔部14aに挿入する小径筒部17aと、本体ケース2の貫通孔14の大径孔部14bに挿入する大径筒部17bと、を備えている。
この場合、小径筒部17aは、図2に示すように、その軸方向の長さが貫通孔14の小径孔部14aの軸方向の長さよりも長く形成され、その内端部が小径孔部14aから本体ケース2内に突出するように構成されている。また、本体ケース2内に突出する小径筒部17aの内端部には、Eリングなどの取付部材19が取り付けられている。これにより、小径筒部17aは、取付部材19が本体ケース2の内周面に当接することにより、筒状部材15が本体ケース2の外部に抜け出さないように構成されている。
また、大径筒部17bは、図2に示すように、その軸方向の長さが貫通孔14の大径孔部14bの軸方向の長さよりも長く形成されている。これにより、大径筒部17bは、貫通孔14の大径孔部14b内に挿入された際に、その外端部が貫通孔14の大径孔部14bから本体ケース2の外部に突出するように構成されている。この場合、大径筒部17bの外端部には、第1対向部17dが外周から径方向に鍔状に突出して設けられている。
すなわち、この第1対向部17dは、図2に示すように、大径筒部17bの外周から鍔状に突出するリング形状に形成され、その外径が大径筒部17bの外径よりも大きく形成されている。また、この第1対向部17dは、第1筒部17の大径筒部17bが貫通孔14の大径孔部14b内に挿入された際に、本体ケース2の外面つまり座ぐり部14cの内面から本体ケース2の外部側に離れた位置に配置されるように構成されている。
また、この第1筒部17における小径筒部17aと大径筒部17bとの内部には、図2に示すように、操作部材16の後述する軸部22が挿入する軸挿入孔17cが軸方向に貫通して設けられている。さらに、この第1筒部17における大径筒部17bの外周面には、本体ケース2の貫通孔14における大径孔部14bの内周面に圧接する複数の防水パッキン20がそれぞれ環状に設けられている。
一方、第2筒部18は、第1筒部17と同様、金属や硬質の合成樹脂で形成されている。この第2筒部18は、図2に示すように、その外径が貫通孔14の座ぐり部14cの内径とほぼ同じ大きさで、かつ第2筒部18の内径が貫通孔14の大径孔部14bよりも十分に大きく形成されている。この第2筒部18は、その軸方向の長さが第1筒部17の軸方向の長さとほぼ同じ長さに形成されている。
これにより、第2筒部18は、図2および図3に示すように、本体ケース2側に位置する内端部が貫通孔14の座ぐり部14c内に配置された状態で、外端部が本体ケース2から第1外装ケース3の外部に突出するように構成されている。この場合、第2筒部18は、その内径が第1筒部17の第1対向部17dの外径よりも十分に大きく形成されている。
また、この第2筒部18は、図2および図3に示すように、本体ケース2側に位置する第2筒部18の内端部に内壁部18aが設けられた構成になっている。この内壁部18aは、その肉厚が厚く形成され、その外面が本体ケース2の外面つまり座ぐり部14cの内面に配置されるように構成されている。この内壁部18aの中心部には、第1筒部17の大径筒部17bが挿入する軸孔18bが設けられている。
また、この内壁部18aの内面には、図2および図3に示すように、第1筒部17の第1対向部17dが配置される凹部18cが設けられている。これにより、内壁部18aには、第1対向部17dが軸方向に対応する第2対向部18dが設けられている。この第2対向部18dは、その内径が第1筒部17の大径筒部17bの外径と同じ大きさで、その径方向の突出長さが第1対向部17dの径方向の長さと同じ長さで形成されている。このため、第2対向部18dは、第1対向部17dとほぼ同じ大きさのリング形状に形成されている。
これにより、この第2対向部18dは、図2に示すように、その内部に第1筒部17の大径筒部17bが挿入された際に、本体ケース2の外部側に位置する内面が、第1筒部17の第1対向部17dにおける本体ケース2の外面側に位置する内面に対面し、この状態で第1対向部17dによって本体ケース2側に引き寄せられるように構成されている。また、この第2対向部18dは、本体ケース2側に位置する外面が、本体ケース2の外面つまり座ぐり部14cの内面に対面して当接するように構成されている。
この場合、第1筒部17の第1対向部17dと第2筒部18の第2対向部18dとの間には、図2および図4に示すように、弾性体21が配置されている。この弾性体21は、ゴム、ウレタン樹脂、エラストマ、シリコーン樹脂などの弾力を有する材料によってリング状に形成されている。この弾性体21は、第1対向部17dと第2対向部18dとの間に配置されて、その両方に弾接することにより、第1対向部17dと第2対向部18dとの間の防水を図ると共に、第1対向部17dと第2対向部18dとの間を緩衝するように構成されている。
これにより、筒状部材15は、図2〜図4に示すように、第2筒部18の内壁部18aの軸孔18b内に第1筒部17の小径筒部17aおよび大径筒部17bが挿入された際に、第1対向部17dと第2対向部18dとが軸方向に対応することにより、本体ケース2側に位置する第1対向部17dの内面と本体ケース2の外部側に位置する第2対向部18dの内面とが弾性体21を介して対面するように構成されている。
また、この筒状部材15は、図2〜図4に示すように、第2筒部18に第1筒部17を挿入させて第1対向部17dと第2対向部18dとを軸方向に対応させた状態で、第1筒部17を本体ケース2の貫通孔14に挿入させると、第1筒部17の内端部が本体ケース2の内部に突出するように構成されている。
さらに、この筒状部材15は、図2〜図4に示すように、第1筒部17の内端部が本体ケース2の内部に突出した状態で、この突出した第1筒部17の内端部に取付部材19を取り付けると、第1筒部17が本体ケース2側に引き込まれることにより、第1対向部17dが第2対向部18dを本体ケース2の外面つまり座ぐり部14cの内面に押し当てるように構成されている。
すなわち、この筒状部材15は、図2〜図4に示すように、第1筒部17の内端部に取付部材19を取り付けると、第1対向部17dが弾性体21を弾力的に圧縮させて、第1筒部17が本体ケース2の内部側に引き寄せられ、この引き寄せられた第1筒部17の第1対向部17dが第2対向部18dを本体ケース2の外面つまり座ぐり部14cの内面に押し当てることにより、本体ケース2の貫通孔14内にその軸方向にガタツクことなく取り付けられるように構成されている。
一方、操作部材16は、図2に示すように、本体ケース2の貫通孔14に嵌め込まれた筒状部材15の第1筒部17の軸挿入孔17cにスライド可能に挿入される軸部22と、この軸部22の外端部に設けられて筒状部材15の第2筒部18内にスライド可能に配置される頭部23と、を備えている。
軸部22は、図2に示すように、その外径が第1筒部17の軸挿入孔17cの内径とほぼ同じ大きさで、軸方向の長さが第1筒部17の軸方向の長さよりも長く、かつ筒状部材15の軸方向の長さとほぼ同じ長さに形成されている。これにより、軸部22は、第1筒部17の軸挿入孔17cに挿入された際に、その内端部が本体ケース2の内部に突出し、外端部が第2筒部18内に突出するように構成されている。
この場合、本体ケース2の内部に突出した軸部22の内端部には、図2に示すように、Eリングなどの抜止め部材24が取り付けられている。これにより、軸部22は、抜止め部材24が本体ケース2内に突出した第1筒部17の小径筒部17aの内端部に当接することにより、本体ケース2の外部に抜け出さないように構成されている。
また、この軸部22は、図2に示すように、その内端部が本体ケース2内の時計モジュール7に設けられたスイッチ接点部7aに接離可能に対応するように構成されている。これにより、軸部22は、頭部23の押圧操作に応じて内端部が本体ケース2内に突出してスイッチ接点部7aを押圧することにより、スイッチ接点部7aをスイッチ動作させるように構成されている。
さらに、軸部22の外周には、図2に示すように、複数の防水リング25が環状に設けられている。これら複数の防水リング25は、第1筒部17の軸挿入孔17cの内周面に摺動可能に圧接し、この状態で軸部22のスライド動作に伴って第1筒部17の軸挿入孔17cの内周面に沿って摺動するように構成されている。
また、筒状部材15の第2筒部18内に突出した軸部22の外端部には、図2に示すように、頭部23が一体に設けられている。この頭部23は、全体がほぼ円筒状に形成され、第2筒部18内にスライド可能に配置されるように構成されている。すなわち、この頭部23は、その外径が第2筒部18の内径とほぼ同じ大きさで、頭部23の内径が第1筒部17の第1対向部17dの外径よりも大きく形成されている。
また、この頭部23は、図2に示すように、その軸方向の長さが第2筒部18の軸方向の長さとほぼ同じ長さに形成されている。これにより、頭部23は、軸部22の抜止め部材24が第1筒部17の小径筒部17aの内端部に当接した際に、頭部23の内端面が第2筒部18の内壁部18aから離れ、頭部23の外端部が第2筒部18から腕時計ケース1の外部に突出し、この状態で第2筒部18内にその軸方向に沿ってスライド可能に配置されるように構成されている。
この場合、頭部23の外周面には、図2に示すように、複数の防水部材26が環状に設けられている。これら複数の防水部材26は、それぞれリング状に形成され、第2筒部18の内周面に摺動可能に圧接し、この状態で頭部23のスライド動作に伴って第2筒部18の内周面に沿って摺動するように構成されている。
また、この頭部23内には、図2に示すように、コイルばね27が軸部22の外周に沿って配置されている。すなわち、このコイルばね27は、その一端部が第1筒部17の大径筒部17bの外端部に弾接し、他端部が頭部23の内端面に弾接し、この状態で頭部23を本体ケース2の外部に向けて押し出す方向に付勢するように構成されている。
ところで、このスイッチ装置12は、図2〜図4に示すように、第2筒部18の内壁部18aに設けられた複数の流通孔28、および本体ケース2の外面とこれに対面する第2筒部18の外面との間の隙間Sを通して、第2筒部18内の空気や水などの流体と腕時計ケース1の外部の空気や水などの流体とを流通させる流通路30を備えている。
この流通路30は、図4に示すように、空気や水などの流体を流通させるが、泥などの異物を流通させないように構成されている。この場合、複数の流通孔28は、図2〜図4に示すように、弾性体21の外周側に位置する第2筒部18の内壁部18aにおける複数箇所、例えば内壁部18aの円周方向に沿って等間隔に位置する3箇所に第2筒部18の内外に貫通して設けられている。
また、本体ケース2の外面とこれに対面する第2筒部18の外面つまり内壁部18aの外面とは、表面加工によって微細な凹凸が設けられている。すなわち、この表面加工は、ヘアライン加工や梨地加工であり、本体ケース2の外面と第2筒部18の外面とに微細なラインや微細な凹凸を形成する。これにより、本体ケース2の外面と第2筒部18の外面との間には、図4に示すように、表面加工による微細な凹凸によって空気や水などの流体が流通する僅かな隙間Sが形成されている。
これにより、流通路30は、図2および図4に示すように、操作部材16の頭部23が本体ケース2内に向けて押し込まれる際に、第2筒部18と操作部材16の頭部23とで囲われた領域である第2筒部18内の空気や水などの流体が、第2筒部18の内壁部18aに設けられた複数の流通孔28から本体ケース2の外面とこれに対面する第2筒部18の外面との間の僅かな隙間Sに送り込まれ、この送り込まれた空気や水などの流体が、本体ケース2の外面と第2筒部18の外面との間の僅かな隙間Sを通して、腕時計ケース1の外部に排出されるように構成されている。
また、この流通路30は、図2および図4に示すように、操作部材16の頭部23がコイルばね27のばね力によって本体ケース2の外部に向けて押し出される際に、腕時計ケース1の外部の空気や水などの流体が、本体ケース2の外面とこれに対面する第2筒部18の外面との間の僅かな隙間Sに送り込まれ、この僅かな隙間Sを通って第2筒部18の内壁部18aにおける複数の流通孔28に送られ、これら複数の流通孔28から第2筒部18と操作部材16の頭部23とで囲われた領域である第2筒部18内に送り込まれるように構成されている。
次に、このような腕時計のスイッチ装置12の作用について説明する。
このスイッチ装置12を腕時計ケース1に組み付ける場合には、予め、第1筒部17の大径筒部17bの外周面に複数の防水パッキン20を取り付けると共に、この第1筒部17の大径筒部17bの外周面に弾性体1を装着して第1対向部17dの内面に押し当てる。
この状態で、第1筒部17の小径筒部17aおよび大径筒部17bを第2筒部18の内壁部18aの軸孔18b内に挿入させる。すると、本体ケース2側に位置する第1対向部17dの内面と本体ケース2の外部側に位置する第2対向部18dの内面とが弾性体21を介して対面して弾性体21を挟む。これにより、弾性体21が第1対向部17dと第2対向部18dとの間に挟持される。
そして、第1筒部17を本体ケース2の外部側から本体ケース2の貫通孔14に挿入させる。このときには、第1筒部17の小径筒部17aを貫通孔14の大径孔部14bから小径孔部14aに挿入させて、この小径筒部17aの内端部を本体ケース2の内部に突出させると共に、第1筒部17の大径筒部17bを貫通孔14の大径孔部14bに挿入させて、第2筒部18の内壁部18aの外面を本体ケース2の外面つまり座ぐり部14cの内面に当接させる。
この状態で、本体ケース2の内部に突出した第1筒部17の内端部に取付部材19を取り付けて、取付部材19を本体ケース2の内面に当接させる。すると、第1筒部17が本体ケース2の内部側に引き寄せられるので、この引き寄せられた第1筒部17の第1対向部17dが、弾性体21を弾力的に圧縮させて、第2対向部18dを本体ケース2の外面つまり座ぐり部14cの内面に押し当てる。
このときには、第1筒部17と第2筒部18とが本体ケース2の貫通孔14に対して寸法誤差が生じていても、その誤差が弾性体21の弾性変形によって吸収される。これにより、第1筒部17が貫通孔14に挿入され、第2筒部18の内壁部18aが弾性体21の弾力によって本体ケース2の外面に押し当てられ、この状態で筒状部材15の第1筒部17と第2筒部18とが弾性体21の弾力によって本体ケース2に対してガタツクことなく取り付けられる。
また、このときには、第2筒部18の内壁部18aに設けられた複数の流通孔28、および本体ケース2の外面とこれに対面する第2筒部18の外面との間の隙間Sを通して、第2筒部18内の空気や水などの流体と腕時計ケース1の外部の空気や水などの流体とを流通させる流通路30が形成される。
この後、操作部材16を筒状部材15に取り付ける。このときには、まず、操作部材16の軸部22の外周に複数の防水リング25を取り付けると共に、軸部22の外周にコイルばね27を配置させて頭部23の内端面に弾接させる。また、このときには、頭部23の外周に防水部材26を取り付ける。この状態で、操作部材16の軸部22を筒状部材15の第2筒部18から第1筒部17内に挿入させると共に、頭部23を第2筒部18内に挿入させる。
そして、コイルばね27を圧縮させた状態で、操作部材16の軸部22の内端部を筒状部材15の第1筒部17から本体ケース2の内部に突出させ、この突出した軸部22の内端部に抜止め部材24を取り付ける。すると、抜止め部材24が第1筒部17の小径筒部17aの内端部に当接する。
これにより、軸部22が筒状部材15内にスライド可能な状態で、操作部材16が本体ケース2の外部に抜け出すことなく筒状部材15に取り付けられる。この状態で、本体ケース2内に時計モジュール7を組み込み、この時計モジュール7のスイッチ接点部7aを操作部材16の軸部22の内端部に接離可能な状態で対応させる。これにより、スイッチ装置12が腕時計ケース1に組み付けられる。
次に、このような腕時計のスイッチ装置12を操作する場合について説明する。
このスイッチ装置12は、大気中で使用する通常の状態のときに、筒状部材15の第2筒部18と操作部材16の頭部23との内部に配置されたコイルばね27のばね力によって、頭部23が腕時計ケース1の外部に向けて押し出されている。
この状態では、本体ケース2の内部に突出している操作部材16の軸部22における内端部に設けられた抜止め部材24が、本体ケース2内に突出した第1筒部17の小径筒部17aの内端部に当接し、この状態で操作部材16の頭部23の内端部が筒状部材15の第2筒部18の内壁部18aから離れた状態で、頭部23の外端部が第2筒部18から腕時計ケース1の外部に突出している。
これにより、操作部材16の軸部22の内端部が、時計モジュール7に設けられたスイッチ接点部7aから離れ、スイッチ接点部7aがオフ状態になっている。この状態で、操作部材16の頭部23をコイルばね27のばね力に抗して押圧操作すると、操作部材16の軸部22が筒状部材15の第1筒部17の軸挿入孔17c内を本体ケース2内に向けてスライドする。
このときには、軸部22の外周面に設けられた複数の防水リング25が第1筒部17の軸挿入孔17cの内周面に圧接した状態で摺動する。同様に、頭部23の外周面に設けられた複数の防水部材26が筒状部材15の第2筒部18の内周面に圧接した状態で摺動する。このため、防水部材26によって頭部23の外周面と第2筒部18の内周面との間から第2筒部18内に、腕時計ケース1の外部の空気や水などの流体または泥などの異物が浸入することがなく、第2筒部18内の防水性および気密性が図られる。
また、このときには、筒状部材15の第2筒部18と操作部材16の頭部23とで囲われた領域である第2筒部18内の空気が、本体ケース2側に向けてスライドする頭部23のスライドに応じて徐々に圧縮されて空気圧が高くなる。この圧縮された空気は、流通路30を通して腕時計ケース1の外部に排出される。
すなわち、圧縮された空気は、第2筒部18の内壁部18aに設けられた複数の流通孔28から本体ケース2の外面と第2筒部18の外面との間の僅かな隙間Sに送り込まれる。この送り込まれた空気は、本体ケース2の外面と第2筒部18の外面との間の僅かな隙間Sを通して、腕時計ケース1の外部に排出される。このため、筒状部材15の第2筒部18と操作部材16の頭部23とで囲われた領域である第2筒部18内の空気圧は、頭部23がスライド動作しても、腕時計ケース1の外部の気圧とほぼ同じに保たれる。
これにより、操作部材16の頭部23を大気中で押圧操作した際に、第2筒部18と頭部23とで囲われた領域である第2筒部18内の空気が圧縮されても、操作部材16を円滑にかつ良好にスライドさせることができる。このときには、操作部材16のスライドに伴って軸部22の内端部が本体ケース2内に押し込まれ、この軸部22の内端部によって時計モジュール7のスイッチ接点部7aが押されてオン動作する。
一方、スイッチ接点部7aが押されてオン動作した後は、第2筒部18と頭部23との内部に配置されたコイルばね27のばね力によって、頭部23が腕時計ケース1の外部に向けて押し出される。このときにも、操作部材16の軸部22が、第1筒部17の軸挿入孔17c内を、腕時計ケース1の外部に向けてスライドする。このときにも、軸部22の外周面に設けられた複数の防水リング25が第1筒部17の軸挿入孔17cの内周面に圧接した状態で摺動する。
また、このときにも、頭部23の外周面に設けられた複数の防水部材26が第2筒部18の内周面に圧接した状態で摺動する。これにより、防水部材26によって頭部23の外周面と第2筒部18の内周面との間から第2筒部18内に、腕時計ケース1の外部の空気や水などの流体または泥などの異物が浸入することがなく、第2筒部18内の防水性および気密性が図られる。
さらに、このときには、筒状部材15の第2筒部18と操作部材16の頭部23とで囲われた領域である第2筒部18内の空気が、腕時計ケース1の外部に向けてスライドする頭部23のスライドに応じて徐々に膨張して、空気圧が下がる。このように空気圧が徐々に下がる際には、腕時計ケース1の外部の空気が流通路30を通して第2筒部18内に送り込まれる。
すなわち、腕時計ケース1の外部の空気は、本体ケース2の外面と第2筒部18の外面との間の僅かな隙間Sに送り込まれ、この僅かな隙間Sを通って第2筒部18の内壁部18aに設けられた複数の流通孔28に送られ、これら複数の流通孔28から第2筒部18内に送り込まれる。これにより、第2筒部18と頭部23とで囲われた領域である第2筒部18内の空気圧は、頭部23がスライド動作しても、腕時計ケース1の外部の気圧とほぼ同じに保たれる。
このため、コイルばね27のばね力によって操作部材16が元の位置に戻る際には、第2筒部18と頭部23とで囲われた領域である第2筒部18内の空気が膨張して空気圧が下っても、操作部材16を円滑にかつ良好にスライドさせることができる。このときには、操作部材16のスライドに伴って軸部22の内端部が時計モジュール7のスイッチ接点部7aから離れ、スイッチ接点部7aがオフ状態になる。
ところで、この腕時計を水中で使用する際には、上述したように大気中で使用する場合と同様に動作するが、この場合には、操作部材16のスライド動作に応じて、腕時計ケース1の外部の水が流通路30を通して第2筒部18内に浸入し、またこの第2筒部18内に浸入した水が流通路30を通して腕時計ケース1の外部に排出される。このため、この腕時計を水中で使用しても、スイッチ装置12が良好にスイッチ動作する。
このように、この腕時計のスイッチ装置12によれば、腕時計ケース1の本体ケース2に設けられた貫通孔14内に配置され、かつ外端部に第1対向部17dが設けられた第1筒部17と、本体ケース2の外部に配置されて第1筒部17の外端部が挿入し、かつ内周部に第2対向部18dが第1対向部17dに対向して本体ケース2側に引き寄せられる状態で設けられた第2筒部18と、第1筒部17の内端部に取り付けられて、第1対向部17dを本体ケース2側に引き寄せて第2対向部18dを本体ケース2に押し当てる取付部材19と、第1筒17部内および第2筒部18内にスライド可能に配置された操作部材16と、を備えているので、組立作業を容易に行うことができる。
すなわち、この腕時計のスイッチ装置12では、第2筒部18内に第1筒部17を挿入させて、第1対向部17dと第2対向部18dとを対向させ、この状態で第1筒部17を腕時計ケース1の本体ケース2の貫通孔14に配置させて、本体ケース2の内部に突出した第1筒部17の内端部に取付部材19を取り付けると、第1筒部17を本体ケース2の内部側に引き込むことができるので、この引き込まれた第1筒部17の第1対向部17dによって第2対向部18dを本体ケース2に押し当てることができる。
このため、この腕時計のスイッチ装置12では、第1筒部17と第2筒部18とを本体ケース2の貫通孔14に簡単にかつ確実に固定することができると共に、第1筒部17内に操作部材16の軸部22を挿入させて第2筒部18内に操作部材16の頭部23を配置することができるので、組立作業性が良く、簡単にかつ容易に組立作業ができる。
この場合、スイッチ装置12は、第1筒部17の第1対向部17dと第2筒部18の第2対向部18dとの間に配置された弾性体21を備えていることにより、本体ケース2の内部に突出した第1筒部17の内端部に取付部材19を取り付けて、第1対向部17dが第2対向部18dを本体ケース2に押し当てる際に、第1対向部17dと第2対向部18dとの間で弾性体21を弾力的に圧縮させることができるので、第1筒部17と第2筒部18とを腕時計ケース1に対して確実にかつ良好に取り付けることができる。
すなわち、このスイッチ装置12では、弾性体21が第1対向部17dと第2対向部18dとの間で弾力的に圧縮変形されることにより、第1筒部17と第2筒部18とにおける軸方向の寸法精度に誤差が生じていても、その誤差を弾性体21の弾性変形で吸収することができると共に、第1対向部17dと第2対向部18dとの間の防水性を弾性体21によって確保することができるほか、第2筒部18が外部から衝撃を受けた際に、弾性体21によって第2筒部18をぐらつかせることにより、衝撃を緩衝することができる。
また、このスイッチ装置12では、第2筒部18の内周面と頭部23の外周面との間に設けられた防水部材26と、第2筒部18に設けられた流通孔28および腕時計ケース1の外面とこれに対面する第2筒部18の外面との間の隙間Sを通して、第2筒部18内の空気や水などの流体と腕時計ケース1の外部の空気や水などの流体とを流通させる流通路30と、を備えていることにより、防水性を確保し、かつ操作部材16の操作性の向上を図ることができる。
すなわち、このスイッチ装置12では、防水部材26によって筒状部材15の第2筒部18の内周面と操作部材16の頭部23の外周面との間の防水性および気密性を確保することができる共に、流通路30によって第2筒部18の内部と腕時計ケース1の外部とを流通させることができるので、頭部23と第2筒部18とで囲われた第2筒部18内の圧力を腕時計ケース1の外部の圧力とほぼ同じに保つことができ、このため防水部材26によって防水性および気密性を確保しても、操作部材16の操作性を向上させることができる。
この場合、第2筒部18の流通孔28は、本体ケース2の外面に対面する第2筒部18の内壁部18aにおける弾性体21の外周側に設けられていることにより、第1筒部17に第1対向部17dを設け、第2筒部18に第2対向部18dを設け、これら第1対向部17dと第2対向部18dとの間に弾性体21を設けても、これら第1対向部17d、第2対向部18d、および弾性体21に影響を及ぼすことなく、第2筒部18に流通孔28を確実にかつ良好に設けることができる。
また、流通路30は、空気や水などの流体が流れる箇所に位置する第2筒部18の外面、つまり第2筒部18の内壁部18aの外面と、これに対応する本体ケース2の外面とに、表面加工によって微細な凹凸が設けられていることにより、この微細な凹凸によって第2筒部18の外面と本体ケース2の外面との間に僅かな隙間Sを確実にかつ良好に形成することができる。このため、この僅かな隙間Sを通して空気や水などの流体を流通させることができる。
この場合、筒状部材15の第2筒部18の外面と本体ケース2の外面との間の隙間Sは、表面加工による微細な凹凸によって僅かな隙間に形成されているので、空気や水などの流体を通すことができても、泥などの異物を通すことがないので、防滴性および防塵性を確保することができる。
これにより、このスイッチ装置12では、大気中において操作部材16の頭部23を押圧操作する際に、第2筒部18内の空気が頭部23によって圧縮されても、この圧縮された空気を、第2筒部18の内壁部18aに設けられた複数の流通孔28から本体ケース2の外面と第2筒部18の外面との間の僅かな隙間Sに送り込み、この僅かな隙間Sを通して腕時計ケース1の外部に排出することができる。
同様に、このスイッチ装置12では、水中で操作部材16の頭部23を押圧操作する際に、第2筒部18内の水が頭部23によって圧縮されても、この圧縮された水を、第2筒部18の内壁部18aに設けられた複数の流通孔28から本体ケース2の外面と第2筒部18の外面との間の僅かな隙間Sに送り込み、この僅かな隙間Sを通して腕時計ケース1の外部に排出することができる。
このため、このスイッチ装置12では、操作部材16の頭部23を押圧操作する際に、頭部23がスライド動作しても、第2筒部18と操作部材16の頭部23とで囲われた領域である第2筒部18内の圧力を、腕時計ケース1の外部の圧力とほぼ同じに保つことができるので、操作部材16を円滑にかつ良好にスライドさせることができる。
また、このスイッチ装置12では、操作部材16が腕時計ケース1の外部に向けて押し出される際に、第2筒部18内の空気や水などの流体が頭部23のスライド動作に伴って膨張して圧力が下っても、腕時計ケース1の外部の空気や水などの流体を、本体ケース2の外面と第2筒部18の外面との間の僅かな隙間Sに取り込み、この僅かな隙間Sを通って第2筒部18の内壁部18aに設けられた複数の流通孔28から第2筒部18内に送り込むことができる。
このため、このスイッチ装置12では、操作部材16が腕時計ケース1の外部に向けて押し出される際に、頭部23がスライド動作しても、筒状部材15の第2筒部18と操作部材16の頭部23とで囲われた領域である第2筒部18内の圧力を、腕時計ケース1の外部の圧力とほぼ同じに保つことができるので、操作部材16を円滑にかつ良好にスライドさせることができる。
さらに、このスイッチ装置12では、筒状部材15の第1筒部17の外周面と本体ケース2の貫通孔14の内周面との間に防水パッキン20が設けられていることにより、この防水パッキン20によって第1筒部17の外周面と本体ケース2の貫通孔14の内周面との間の防水性および気密性を確保することができ、これにより第1筒部17の外周面と本体ケース2の貫通孔14の内周面との間から本体ケース2内に水や空気が浸入するのを確実に防ぐことができる。
(第2実施形態)
次に、図5および図6を参照して、この発明を腕時計に適用した第2実施形態について説明する。なお、図1〜図4に示された第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明する。
この腕時計のスイッチ装置40は、図5および図6に示すように、第1筒部17の第1対向部41と、第2筒部18の第2対向部42と、これらの間に配置される弾性体43が第1実施形態と異なる構成であり、これ以外は第1実施形態とほぼ同じ構成になっている。
すなわち、第1筒部17の第1対向部41は、第1実施形態と同様、第1筒部17の外端部にリング形状に設けられている。この第1対向部41は、図5および図6に示すように、その外径が第1実施形態の第1対向部17dの外径よりも大きく形成されている。この場合にも、この第1対向部41は、第1筒部17の大径筒部17bが貫通孔14の大径孔部14b内に挿入された際に、本体ケース2の外面つまり座ぐり部14cの内面から本体ケース2の外部側に離れた位置に配置されるように構成されている。
また、本体ケース2側に位置する第2筒部18の内端部には、第1実施形態と同様、内壁部18aが設けられている。この内壁部18aは、その肉厚が厚く形成され、その外面が本体ケース2の外面つまり座ぐり部14cの内面に配置されるように構成されている。この内壁部18aの中心部には、第1筒部17の大径筒部17bが挿入する軸孔18bが設けられている。
また、この内壁部18aの内面には、図5および図6に示すように、第1筒部17の第1対向部41が配置される凹部44が設けられている。この凹部44は、その内径が第1筒部17の第1対向部41の外径よりも少し大きく、かつ第2筒部18の内径よりも少し小さい大きさで形成されている。これにより、凹部44の内周面とこれに対応する第1筒部17の第1対向部41の外周面との間には、隙間S1が設けられている。
また、この内壁部18aには、図5および図6に示すように、第1対向部41が対向する第2対向部42が設けられている。この第2対向部42は、その内径が第1筒部17の大径筒部17bの外径と同じ大きさ、つまり軸孔18bに形成されている。また。この第2対向部42は、その径方向の突出長さが第1対向部41の径方向の長さと同じ長さで形成されている。このため、第2対向部42は、第1対向部41と同じ大きさのリング形状に形成されている。
これにより、この第2対向部42は、図5および図6に示すように、その内部に第1筒部17の大径筒部17bが挿入された際に、本体ケース2の外部側に位置する内面が、第1筒部17の第1対向部41における本体ケース2の外面側に位置する内面に対面し、この状態で第1対向部41によって本体ケース2側に引き寄せられるように構成されている。また、この第2対向部42は、本体ケース2側に位置する外面が、本体ケース2の外面つまり座ぐり部14cの内面に対面して当接するように構成されている。
一方、弾性体43は、図5および図6に示すように、第1筒部17の第1対向部41と第2筒部18の第2対向部42との間に配置されている。この弾性体43は、スポンジのように、弾力性を有するほかに、空気や水を通し、泥などの異物を通さないフィルタ機能を備えた材料によって、平板状のリング状に形成されている。すなわち、この弾性体43は、その内径が第1筒部17の大径筒部17bの外径とほぼ同じ大きさに形成されている。
また、この弾性体43は、図5および図6に示すように、その外径が第1対向部41の外径とほぼ同じ大きさ、または第2筒部18の内壁部18aの凹部44の内径とほぼ同じ大きさに形成されている。このため、この弾性体43は、第1対向部41と第2対向部42との間の流通性を図ると共に、第1対向部41と第2対向部42との間を緩衝するように構成されている。
これにより、筒状部材15である第1筒部17と第2筒部18とは、図5および図6に示すように、第2筒部18の内壁部18aの軸孔18b内に第1筒部17の小径筒部17aおよび大径筒部17bが挿入された際に、第1対向部41と第2対向部42とが軸方向に対応することにより、本体ケース2の内部側に位置する第1対向部41の内面と本体ケース2の外部側に位置する第2対向部42の内面とが弾性体43を介して対面するように構成されている。
また、この筒状部材15は、図5および図6に示すように、第1筒部17の内端部が本体ケース2の内部に突出した状態で、この突出した第1筒部17の内端部に取付部材19が取り付けられると、第1筒部17が本体ケース2の内部側に引き込まれることにより、この第1筒部17の第1対向部41が第2対向部42を本体ケース2の外面つまり座ぐり部14cの内面に押し当てるように構成されている。
すなわち、この筒状部材15は、図5および図6に示すように、第1筒部17の内端部に取付部材19を取り付けると、第1対向部41が弾性体43を弾力的に圧縮させて本体ケース2の内部側に向けて引き寄せられ、この引き寄せられた第1対向部41が第2対向部42を本体ケース2の外面つまり座ぐり部14cの内面に押し当てることにより、本体ケース2の貫通孔14内にその軸方向にガタツクことなく取り付けられるように構成されている。
ところで、第2筒部18の第2対向部42には、図5および図6に示すように、複数の流通孔45が設けられている。これら複数の流通孔45は、弾性体43が対応する第2筒部18の第2対向部42における複数箇所、例えば第2対向部42の円周方向に沿って等間隔に位置する3箇所に第2筒部18の内外に貫通して設けられている。これにより、複数の流通孔45は、第2筒部42の凹部44の内周面とこれに対応する第1筒部17の第1対向部41の外周面との間に設けられた隙間S1、およびフィルタ機能を有する弾性体43を通して、第2筒部18の内部と流通するように構成されている。
また、この流通孔45は、図5および図6に示すように、本体ケース2の外面とこれに対面する第2筒部18の外面つまり第2対向部42の外面との間の隙間Sを通して、腕時計ケース1の外部と流通するように構成されている。この場合にも、本体ケース2の外面とこれに対面する第2筒部18の外面つまり第2対向部42の外面とは、第1実施形態と同様、表面加工によって微細な凹凸が設けられている。
これにより、流通路46は、図5および図6に示すように、第2筒部42の凹部44の内周面とこれに対応する第1筒部17の第1対向部41の外周面との間に設けられた隙間S1と、フィルタ機能を有する弾性体43と、第2筒部18の第2対向部42に設けられた複数の流通孔45と、本体ケース2の外面とこれに対面する第2筒部18の外面との間の隙間Sとを通して、第2筒部18の内部の空気や水などの流体と腕時計ケース1の外部の空気や水などの流体とを流通させるように構成されている。
このため、この流通路46は、図5および図6に示すように、操作部材16の頭部23が本体ケース2内に向けて押し込まれる際に、第2筒部18と操作部材16の頭部23とで囲われた領域である第2筒部18内の空気や水などの流体が、第2筒部42の凹部44の内周面と第1筒部17の第1対向部41の外周面との間に設けられた隙間S1と、フィルタ機能を有する弾性体43とを通して、第2筒部18の第2対向部42に設けられた複数の流通孔45に送り込まれるように構成されている。
また、この流通路46は、図5および図6に示すように、操作部材16の頭部23が本体ケース2内に向けて押し込まれる際に、複数の流通孔45に送り込まれた空気や水などの流体が、本体ケース2の外面とこれに対面する第2筒部18の外面との間の僅かな隙間Sに送り込まれ、この送り込まれた空気や水などの流体が、本体ケース2の外面と第2筒部18の外面との間の僅かな隙間Sを通して、腕時計ケース1の外部に排出されるように構成されている。
一方、この流通路46は、図5および図6に示すように、操作部材16の頭部23がコイルばね27のばね力によって本体ケース2の外部に向けて押し出される際に、腕時計ケース1の外部の空気や水などの流体が、本体ケース2の外面とこれに対面する第2筒部18の外面との間の僅かな隙間Sを通して、第2筒部18の第2対向部42に設けられた複数の流通孔45に送り込まれるように構成されている。
また、この流通路46は、図5および図6に示すように、第2筒部18の第2対向部42に設けられた複数の流通孔45に送られた空気や水などの流体が、これら複数の流通孔45からフィルタ機能を有する弾性体43、および第2筒部42の凹部44の内周面と第1筒部17の第1対向部41の外周面との間に設けられた隙間S1を通して、第2筒部18と頭部23とで囲われた領域である第2筒部18内に送り込まれるように構成されている。
次に、このような腕時計のスイッチ装置40の作用について説明する。
このスイッチ装置40は、第1実施形態と同様、大気中における通常の状態で、筒状部材15の第2筒部18と操作部材16の頭部23との内部に配置されたコイルばね27のばね力によって、頭部23が腕時計ケース1の外部に向けて押し出されている。
この状態で、操作部材16の頭部23をコイルばね27のばね力に抗して押圧操作すると、操作部材16の軸部22が筒状部材15の第1筒部17の軸挿入孔17c内を本体ケース2内に向けてスライドする。このときには、第1実施形態と同様、軸部22の外周面に設けられた複数の防水リング25が第1筒部17の軸挿入孔17cの内周面に圧接した状態で摺動する。
同様に、頭部23の外周面に設けられた複数の防水部材26が筒状部材15の第2筒部18の内周面に圧接した状態で摺動する。このため、防水部材26によって頭部23の外周面と第2筒部18の内周面との間から第2筒部18内に、腕時計ケース1の外部の空気や水などの流体または泥などの異物が浸入することがなく、第2筒部18内の防水性および気密性が図られる。
また、このときには、筒状部材15の第2筒部18と操作部材16の頭部23とで囲われた領域である第2筒部18内の空気が、本体ケース2側に向けてスライドする頭部23のスライドに応じて徐々に圧縮されて空気圧が高くなる。この圧縮された空気は、流通路46を通して腕時計ケース1の外部に排出される。
すなわち、圧縮された空気は、第2筒部42の凹部44の内周面と第1筒部17の第1対向部41の外周面との間に設けられた隙間S1と、フィルタ機能を有する弾性体43と、第2筒部18の第2対向部42に設けられた複数の流通孔45とを通して、本体ケース2の外面と第2筒部18の外面との間の僅かな隙間Sに送り込まれる。
この送り込まれた空気は、本体ケース2の外面と第2筒部18の外面との間の僅かな隙間Sを通して、腕時計ケース1の外部に排出される。このため、筒状部材15の第2筒部18と操作部材16の頭部23とで囲われた領域である第2筒部18内の空気圧は、頭部23がスライド動作しても、腕時計ケース1の外部の気圧とほぼ同じに保たれる。
これにより、操作部材16の頭部23を押圧操作した際に、第2筒部18と頭部23とで囲われた領域である第2筒部18内の空気が圧縮されても、操作部材16を円滑にかつ良好にスライドさせることができる。このときには、操作部材16のスライドに伴って軸部22の内端部が本体ケース2内に押し込まれ、この軸部22の内端部によって時計モジュール7のスイッチ接点部7aが押されてオン動作する。
一方、スイッチ接点部7aが押されてオン動作した後は、第2筒部18と頭部23との内部に配置されたコイルばね27のばね力によって、頭部23が腕時計ケース1の外部に向けて押し出される。このときにも、操作部材16の軸部22が、第1筒部17の軸挿入孔17c内を、腕時計ケース1の外部に向けてスライドする。このときには、軸部22の外周面に設けられた複数の防水リング25が第1筒部17の軸挿入孔17cの内周面に圧接した状態で摺動する。
また、このときにも、頭部23の外周面に設けられた複数の防水部材26が第2筒部18の内周面に圧接した状態で摺動する。これにより、防水部材26によって頭部23の外周面と第2筒部18の内周面との間から第2筒部18内に、腕時計ケース1の外部の水や泥などの異物が浸入することがなく、第2筒部18内の防水性および気密性が図られる。
このときには、筒状部材15の第2筒部18と操作部材16の頭部23とで囲われた領域である第2筒部18内の空気が、腕時計ケース1の外部に向けてスライドする頭部23のスライドに応じて徐々に膨張して、空気圧が下がる。このように空気圧が徐々に下がる際には、腕時計ケース1の外部の空気が流通路46を通して第2筒部18の内部に送り込まれる。
すなわち、腕時計ケース1の外部の空気は、本体ケース2の外面と第2筒部18の外面との間の僅かな隙間Sに送り込まれ、この僅かな隙間Sを通って第2筒部18の第2対向部42に設けられた複数の流通孔45に送られ、これら複数の流通孔45からフィルタ機能を有する弾性体43、および第2筒部42の凹部44の内周面と第1筒部17の第1対向部41の外周面との間に設けられた隙間S1を通して第2筒部18内に送り込まれる。これにより、第2筒部18と頭部23とで囲われた領域である第2筒部18内の空気圧は、頭部23がスライド動作しても、腕時計ケース1の外部の気圧とほぼ同じに保たれる。
このため、コイルばね27のばね力によって操作部材16が元の位置に戻る際には、第2筒部18と頭部23とで囲われた領域である第2筒部18内の空気が膨張して空気圧が下っても、操作部材16を円滑にかつ良好にスライドさせることができる。このときには、操作部材16のスライドに伴って軸部22の内端部が時計モジュール7のスイッチ接点部7aから離れ、スイッチ接点部7aがオフ状態になる。
ところで、この腕時計を水中で使用する際には、上述したように空気中で使用する場合と同様に動作するが、この場合には、操作部材16のスライド動作に応じて、腕時計ケース1の外部の水が流通路46を通して第2筒部18内に浸入し、またこの第2筒部18内に浸入した水が流通路46を通して腕時計ケース1の外部に排出される。このため、この腕時計を水中で使用しても、スイッチ装置12が良好にスイッチ動作する。
このように、この腕時計のスイッチ装置40によれば、第1実施形態と同様、第2筒部18内に第1筒部17を挿入させて、第1対向部41と第2対向部42とを対向させ、この状態で第1筒部17を腕時計ケース1の本体ケース2の貫通孔14に配置させて、本体ケース2の内部に突出した第1筒部17の内端部に取付部材19を取り付けると、第1筒部17を本体ケース2の内部側に引き込むことができるので、この引き込まれた第1筒部17の第1対向部41によって第2対向部42を本体ケース2に押し当てることができる。
このため、このスイッチ装置40においても、第1実施形態と同様、第1筒部17と第2筒部18とを本体ケース2の貫通孔14に簡単にかつ確実に固定することができると共に、第1筒部17内に操作部材16の軸部22を挿入させて第2筒部18内に操作部材16の頭部23を配置することができるので、組立作業性が良く、簡単にかつ容易に組立作業ができる。
この場合、このスイッチ装置40は、第1筒部17の第1対向部41と第2筒部18の第2対向部42との間に配置された弾性体43を備えていることにより、本体ケース2の内部に突出した第1筒部17の内端部に取付部材19を取り付けて、第1対向部41が第2対向部42を本体ケース2に押し当てる際に、第1対向部41と第2対向部42との間で弾性体43を弾力的に圧縮させることができるので、第1実施形態と同様、第1筒部17と第2筒部18とを腕時計ケース1に対して確実にかつ良好に取り付けることができる。
すなわち、このスイッチ装置40では、弾性体43が第1対向部41と第2対向部42との間で弾力的に圧縮変形されることにより、第1実施形態と同様、第1筒部17と第2筒部18とにおける軸方向の寸法精度に誤差が生じていても、その誤差を弾性体21の弾性変形で吸収することができると共に、第1対向部41と第2対向部42との間の防水性を弾性体43によって確保することができるほか、第2筒部18が外部から衝撃を受けた際に、弾性体43によって第2筒部18をぐらつかせることにより、衝撃を緩衝することができる。
また、このスイッチ装置40では、第2筒部18の内周面と頭部23の外周面との間に設けられた防水部材26と、第2筒部18に設けられた流通孔45および腕時計ケース1の外面とこれに対面する第2筒部18の外面との間の隙間Sを通して、第2筒部18内の空気や水などの流体と腕時計ケース1の外部の空気や水などの流体とを流通させる流通路46と、を備えていることにより、第1実施形態と同様、防水性を確保し、かつ操作部材16の操作性の向上を図ることができる。
すなわち、このスイッチ装置40では、防水部材26によって筒状部材15の第2筒部18の内周面と操作部材16の頭部23の外周面との間の防水性および気密性を確保することができる共に、流通路46によって第2筒部18の内部と腕時計ケース1の外部とを流通させることができるので、頭部23と第2筒部18とで囲われた第2筒部18内の圧力を腕時計ケース1の外部の圧力とほぼ同じに保つことができ、このため防水部材26によって防水性および気密性を確保しても、操作部材16の操作性を向上させることができる。
この場合、第2筒部18の流通孔45は、弾性体43が対応する第2筒部18の第2対向部42に設けられていることにより、第1筒部17に第1対向部41を設け、第2筒部18に第2対向部42を設け、これら第1対向部41と第2対向部42との間に弾性体43を設けても、弾性体43が通気性を有するフィルタ機能を備えているので、この弾性体43を介して空気や水などの流体を良好に流通させることができる。
すなわち、この流通孔45は、フィルタ機能を有する弾性体43、および第2筒部42の凹部44の内周面とこれに対応する第1筒部17の第1対向部41の外周面との間に設けられた隙間S1を通して、第2筒部18内と流通させることができると共に、本体ケース2の外面と第2筒部18の外面との間の僅かな隙間Sを通して、腕時計ケース1の外部と流通させることができるので、第2筒部18の内部と腕時計ケース1の外部とを良好に流通させることができる。
これにより、このスイッチ装置40では、大気中において操作部材16の頭部23を押圧操作する際に、第2筒部18内の空気が頭部23によって圧縮されても、この圧縮された空気を、第2筒部42の凹部44の内周面と第1筒部17の第1対向部41の外周面との間に設けられた隙間S1、フィルタ機能を有する弾性体43、および第2筒部18の第2対向部42に設けられた複数の流通孔45を通して、本体ケース2の外面と第2筒部18の外面との間の僅かな隙間Sに送り込み、この僅かな隙間Sを通して腕時計ケース1の外部に排出することができる。
同様に、このスイッチ装置40では、水中において操作部材16の頭部23を押圧操作する際に、第2筒部18内の水が頭部23によって圧縮されても、この圧縮された水を、第2筒部42の凹部44の内周面と第1筒部17の第1対向部41の外周面との間に設けられた隙間S1、フィルタ機能を有する弾性体43、および第2筒部18の第2対向部42に設けられた複数の流通孔45を通して、本体ケース2の外面と第2筒部18の外面との間の僅かな隙間Sに送り込み、この僅かな隙間Sを通して腕時計ケース1の外部に排出することができる。
このため、このスイッチ装置40では、操作部材16の頭部23を押圧操作する際に、頭部23がスライド動作しても、第2筒部18と操作部材16の頭部23とで囲われた領域である第2筒部18内の圧力を、腕時計ケース1の外部の圧力とほぼ同じに保つことができるので、操作部材16を円滑にかつ良好にスライドさせることができる。
また、このスイッチ装置40では、操作部材16が腕時計ケース1の外部に向けて押し出される際に、第2筒部18内の空気や水などの流体が頭部23のスライド動作に伴って膨張して圧力が下っても、腕時計ケース1の外部の空気や水などの流体を、本体ケース2の外面と第2筒部18の外面との間の僅かな隙間Sに取り込み、この僅かな隙間Sから第2筒部18の第2対向部42に設けられた複数の流通孔45、フィルタ機能を有する弾性体43、および第2筒部42の凹部44の内周面と第1筒部17の第1対向部41の外周面との間に設けられた隙間S1を通して、第2筒部18内に送り込むことができる。
このため、このスイッチ装置40では、操作部材16が腕時計ケース1の外部に向けて押し出される際に、頭部23がスライド動作しても、筒状部材15の第2筒部18と操作部材16の頭部23とで囲われた領域である第2筒部18内の圧力を、腕時計ケース1の外部の圧力とほぼ同じに保つことができるので、操作部材16を円滑にかつ良好にスライドさせることができる。
なお、上述した第1、第2の各実施形態では、第1対向部17d、41と第2対向部18d、42との間に弾性体21、43を設けた場合について述べたが、この発明は必ずしも弾性体21、43を設ける必要はなく、例えば第1対向部と第2対向部とを直接当接させても良く、また第1対向部と第2対向部との少なくとも一方に弾力性をもたせた構成であっても良い。
また、上述した第1、第2の各実施形態では、第1筒部17の内端部に取り付けられる取付部材19が、Eリングなどの抜け止め機能を備えた構成である場合について述べたが、この発明はこれに限らず、例えば第1筒部17の内端部にねじ部を設け、このねじ部に螺合するねじ機能を備えたねじ部材であっても良い。
また、上述した第1、第2の各実施形態のスイッチ装置12、40の構成は、腕時計に設けられた各押釦スイッチ13を含む全てのスイッチに適用しても良く、一部のスイッチに適用しても良い。
さらに、上述した第1、第2の各実施形態およびその変形例では、腕時計に適用した場合について述べたが、必ずしも腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の時計に適用することができる。また、必ずしも時計に限らず、例えば携帯電話機や携帯情報端末機などの電子機器にも広く適用することができる。
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
請求項1に記載の発明は、貫通孔を有するケースと、前記ケースの外部に突出する外端部に第1対向部が設けられ、前記ケースの前記貫通孔内に配置された第1筒部と、内周部に第2対向部が前記第1対向部に対向して設けられ、前記第1筒部の前記外端部が挿入された状態で前記ケースの外部に配置された第2筒部と、前記ケースの内部に突出する前記第1筒部の内端部に取り付けられた取付部材と、前記第1筒部内にスライド可能に挿入された軸部、および前記第2筒部内にスライド可能に配置された頭部を有する操作部材と、を備えていることを特徴とするスイッチ装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスイッチ装置において、前記第1筒部の前記第1対向部と前記第2筒部の前記第2対向部との間に配置された弾性体を備えていることを特徴とするスイッチ装置である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のスイッチ装置において、前記第2筒部の内周面と前記頭部の外周面との間に設けられた防水部材と、前記第2筒部に設けられた流通孔および前記ケースの外面とこれに対面する前記第2筒部の外面との間を通して、前記第2筒部の内部と前記ケースの外部とに流通する流通路と、を備えていることを特徴とするスイッチ装置である。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のスイッチ装置において、前記第2筒部の前記流通孔は、前記ケースの外面に対面する前記第2筒部における前記弾性体の外周側に設けられていることを特徴とするスイッチ装置である。
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載のスイッチ装置において、前記第2筒部の前記流通孔は、前記ケースの外面に対面する前記第2筒部における前記弾性体が対応する前記第2対向部に設けられ、前記弾性体は流通性を有するフィルタ機能を備えていることを特徴とするスイッチ装置である。
請求項6に記載の発明は、請求項3〜請求項5のいずれかに記載のスイッチ装置において、前記ケースに対面する前記第2筒部の外面とこれに対面する前記ケースの外面とは、表面加工によって微細な凹凸が設けられていることを特徴とするスイッチ装置。
である。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載のスイッチ装置において、前記第1筒部の外周面と前記ケースの前記貫通孔の内周面との間には、防水パッキンが設けられていることを特徴とするスイッチ装置である。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれかに記載されたスイッチ装置を備えていることを特徴とする時計である。