JP6557703B2 - 電源装置 - Google Patents
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これにより、例えば瞬時停止で入力電圧の印加が停止している間、PFC制御部に供給する電圧(起動電流)をなくし、PFC制御部の動作を確実に停止させることができる。そして、 電源再投入後、PFC制御部はPWM制御によるゲートドライブのON幅を含めて起動(停止状態)から動作を開始することになるため、入力電流(1次起動電流)のピークが過大になることを抑えることができる。
さらに本発明は、独自の知見に基づいた解決手段をも有するものである。
すなわち、上記のような再投入時の起動電流のピークは、入力電圧の再投入時に1次起動電流として発生するだけでなく、これに遅れて2次起動電流として発生することがある。これは、再投入時にPFC制御部では出力電圧が一時的にオーバシュートし、OVP(過電圧保護)機能が作動してゲートドライブが一時停止状態となるが、その間もDC/DCコンバータは動作し続けているため、OVP機能の解除電圧まで出力電圧が低下した際にDC/DCコンバータ自体が過大な負荷となって出力電圧(DC/DCコンバータ前段の電解コンデンサに充電された電圧)を大きく降下させ、それによって再起動時のゲートドライブのON幅が過度に広がってしまうことに起因する。
電源装置の回路構成として、DC/DCコンバータの前段に電解コンデンサを含むものである場合、起動電圧制御は、入力電圧の非印加時に電解コンデンサからの電圧が印加されない経路に接続されている。
起動電圧制御部は、入力電圧検出部で入力電圧を検出し、その印加が検出されない場合、ON/OFF回路により起動回路を停止させることとする。
図1は、電源装置100の構成を概略的に示す回路図である。なお、図1の回路図においては、いくつかの電気的構成はブロック要素として簡略化して示されている。
ここで、上記のように第1実施形態では、起動回路120がリップルフィルタ108の前段(P1点)で入力電圧に接続されている。このため、交流電源102からの電力供給が瞬間的に遮断(瞬断)された場合、入力電圧が印加されない(図1では起動抵抗R4に入力電圧が印加されない)ために起動回路120はPFC制御部110に対する起動電圧の印加を抑制(停止)する。したがって、瞬時停止で入力電圧が停止している間、PFC制御部110に供給する電圧(起動電流)をなくし、PFC制御部110を停止させることができる。
図1及び図2に示される第1実施形態の有用性については、以下の比較例との対比により明らかとなる。
比較例の電源装置300においては、起動回路120がPFC制御部110の後段(P3点)で出力電圧に接続されている点が第1実施形態の電源装置100と異なっている。この場合、入力電圧が印加されている間は、出力電圧が起動回路120の起動抵抗R4に印加されるため、それによってPFC制御部110は定常動作することができる。
一方、比較例においては、交流電源102に例えば250msの瞬時停止が発生すると、その停止中は入力電圧が印加されないため、電解コンデンサC3に充電された電荷(電圧)が放電し始めることになる。このとき、起動回路120の起動抵抗R4はダイオードD1のカソード側(P3点)に接続されているため、起動抵抗R4によってもコンデンサC3の電荷が放電される。そうすると、起動抵抗R4を通してPFC制御回路114(制御IC)のオフスレッシュ電圧(動作OFFとなる電圧閾値)以下になるまで、PFC制御部110は動作し続けることになる。
〔1次起動電流の発生〕
時刻t1より以前において、図5中(A)に示す状態は「定常」であり、図5中(B)に示す入力電流及び図5中(C)に示すPFC電圧はいずれも定格値(Peak−Peak)である。したがって、図5中(D)に示す出力電流は定格値に定電流制御されている。
時刻t1で交流電源102の電断が発生すると、図5中(A)に示す状態は「停電」となり、図5中(B)に示す入力電流は停止する。図5中(C)に示すPFC電圧は、電解コンデンサC3の放電によって低下するが、時刻t1から時刻t2までの瞬時停止(250ms以下)では放電が終わらず、PFC制御部110は停電状態でも動作し続ける。一方、図5中(D)の出力電流は0となる。
時刻t2で交流電源102がインバータ電源に切り替わると、図5中(A)に示す状態は「インバータ駆動」となる。既に説明したように、比較例では瞬時停止中もPFC制御部110が動作し続けているが、出力電圧として検出される値は図5中(C)に示すPFC電圧であり、これはPFC制御部110が定常状態で制御しようとする目標の出力電圧よりも低いことから、時刻t2までにゲートドライブ信号のON幅は定常状態よりも広がっている。この状態で入力電圧が印加されると、図5中(B)に示されるように入力電流(1次起動電流)が過大となる。比較例の電源装置300では、この1次起動電流は定格値の2倍を超える値となっている。
ただし、電源再投入(時刻t2)によりPFC制御部110では出力電圧がオーバシュートするため、PFC制御回路114ではOVP(過電圧保護)機能が動作してゲートドライブを一時停止する。したがって、時刻t2から時刻t3までの間で入力電流は一時的に0となっている(図5中(B))。この間、DC/DCコンバータ118は動作開始しているが、出力電流は起動していない状態である。なお、図5中(C)に示すPFC電圧は1次起動電流の発生に伴い最大となる。
時刻t3で、DC/DCコンバータの出力電流が立上りはじめると、PFC制御部110の出力電圧がOVP機能の解除電圧まで低下すると、PFC制御回路114では再びゲートドライブが動作し、出力電圧は上昇する。ただし、OVP機能によってPFC制御部110が一時停止していた間もDC/DCコンバータ118は動作し続けているため、時刻t3でOVP機能が解除された途端にDC/DCコンバータ118は出力電圧に対して定常負荷(図5中(A))となる。その結果、時刻t3以降で出力電圧は急激に降下し、それによってPFC制御回路114ではゲートドライブのON幅を大きく広げて一時停止後に再起動するため、このときも図5中(B)に示す入力電流(2次起動電流)が過大となってしまう。比較例の電源装置300では、この2次起動電流も定格値の2倍を超える値となっている。
図6中(O):上記のように、時刻t1で入力電圧が停止し、瞬時停止後の時刻t2で再投入されている。再投入後の入力電圧は、瞬時停止前と同様に定格値である。
図6中(B):これに対し、入力電流は再投入時の時刻t2で定格値の2倍以上まで過大(1次起動電流)となり、さらに時刻t3以降でも定格値の2倍以上まで過大(2次起動電流)となっていることがわかる。
図7は、比較例で観測されるPFC制御回路114のゲートドライブ波形を示す図である。
比較例においては、交流電源102の瞬時停止中及び再投入後の各タイミングにおいて、PFC制御回路114のゲートドライブ信号のON幅Wo1が定常より拡大されている。これは、上記のように瞬時停止中は出力電圧が定常より低いためであり、再投入後はOVP機能解除後にDC/DCコンバータ118がいきなり定常負荷となって出力電圧が大幅に降下するためである。
時刻t1より以前において、図8中(A)に示す状態は「定常」であり、図8中(B)に示す入力電流及び図8中(C)に示すPFC電圧はいずれも定格値(Peak−Peak)である。したがって、図8中(D)に示す出力電流は定格値に定電流制御されている。
時刻t1で交流電源102の電断が発生すると、図8中(A)に示す状態は「停電」となり、図8中(B)に示す入力電流は停止する。図8中(C)に示すPFC電圧は、電解コンデンサC3の放電によって低下するが、ここでも時刻t1から時刻t2までの瞬時停止(250ms以下)では放電が収まらない。
ただし、第1実施形態の場合、瞬時停止中の時刻t1から時刻t2まで入力電圧は印加されないため、起動回路120からPFC制御回路114に起動電圧は印加されず、停電状態でPFC制御部110は動作を停止している。
したがって、時刻t2で交流電源102がインバータ電源に切り替わり、図8中(A)に示す状態が「インバータ駆動」となっても、ここからPFC制御部110が改めて起動するため、比較例で見られた定格値の2倍を超えるような過大な入力電流が発生することはない(1次起動電流の対策)。
第1実施形態においても、電源再投入(時刻t2)によりPFC制御部110では出力電圧が若干オーバシュートするため、PFC制御回路114ではOVP(過電圧保護)機能が動作してゲートドライブを一時停止する。したがって、時刻t2以降で入力電流は一時的に0となる(図8中(B))。この間、DC/DCコンバータ118は起動を始めているが、出力電流は起動していない状態であるため出力電流は0となる(図8中(D))。なお、図8中(C)に示すPFC電圧は電源再投入に伴って最大となる。
ここで、第1実施形態では、時刻t2から時刻t3までの間の時刻tgからDC/DCコンバータ118を軽負荷の状態で起動させている。「軽負荷の状態」とは、図8中(D)に示す出力電流をいきなり定格値として定電流制御(PWM制御)するのではなく、定格値よりも低電流を目標値として起動させることを意味している。
DC/DCコンバータ118の軽負荷状態での起動により、図8中(D)に示す出力電流は定格値より低いレベルで安定する。また、図8中(C)に示すPFC電圧はDC/DCコンバータ118に印加されて徐々に低下する。なお、この間にOVP機能解除電圧までは低下しないので、図8中(B)に示す入力電流は発生していない。
時刻t3でPFC制御部110の出力電圧がOVP機能の解除電圧まで低下すると、PFC制御回路114では再びゲートドライブが動作し、出力電圧は上昇する。このとき、OVP機能によってPFC制御部110が一時停止していた間もDC/DCコンバータ118は動作し続けていたが、時刻t3でOVP機能が解除されたタイミングでもDC/DCコンバータ118は軽負荷の状態で動作している(図8中(A))。したがって、時刻t3以降に出力電圧は徐々に降下していくため、PFC制御回路114ではゲートドライブのON幅を特に大きく広げることなく再起動する。これにより、図8中(B)に示す入力電流が特に過大となることはなく、比較例で見られた定格値の2倍を超えるような過大な入力電流が発生することはない(2次起動電流の対策)。
図8中(A)に示されているように、時刻t4までDC/DCコンバータ118は軽負荷の状態で動作しているが、この間は出力電流を徐々に定格値まで増加させる制御を行っている(図8中(D))。
そして、時刻t4以降でDC/DCコンバータ118は定常負荷の状態となり(図8中(A))、以後、定格値に出力電流は制御される(図8中(D))。
図9中(O):上記のように、時刻t1で入力電圧が停止し、瞬時停止後の時刻t2で再投入されている。再投入後の入力電圧は、瞬時停止前と同様に定格値である。
図9中(B):入力電流は再投入時の時刻t2で上昇するが、比較例で見られたような定格値の2倍を超える値とはならない。同様に、時刻t3以降でも定格値の2倍以上まで過大となることはない。
図10は、第1実施形態で観測されるPFC制御回路114のゲートドライブ波形を示す図である。
第1実施形態においては、交流電源102の再投入後のタイミングにおいてPFC制御回路114のゲートドライブ信号のON幅Wo2は定常と同程度に抑えられている。これは、上記のように再投入後はOVP機能解除後にDC/DCコンバータ118が軽負荷状態で起動しているため、出力電圧の効果幅が抑えられるためである。なお、瞬時停止中はPFC制御部110が動作を停止しているため、ゲートドライブ信号は出力されない。
図11は、第2実施形態の電源装置200の構成を概略的に示す回路図である。同様に図12は、第2実施形態の電源装置200の構成を概略的に示すブロック図である。これら図11及び図12中、第1実施形態と同じ構成には共通の符号を付し、重複した説明を省略する。
第2実施形態の場合、起動回路のON/OFF回路124の構成を備えた点が第1実施形態と異なる。
すなわち、起動回路のON/OFF回路124は、入力電圧検出回路122で入力電圧を検出し、入力電圧が印加されていない間は、ON/OFF回路124自身(スイッチング素子Q4)をOFFにすることで起動回路120を停止させ、PFC制御部110(PFC制御回路114)を動作させない構成としている。この場合、起動抵抗R4がダイオードD1のカソード側(P3点)で接続されていても、ON/OFF回路128がOFFである間は起動回路120が停止するため、比較例のような現象が生じることはない。したがって、第1実施形態と同様に1次起動電流及び2次起動電流の対策を有効に機能させることができる。
図13は、DC/DCコンバータ118の出力電流制御部126が実行するメイン制御処理の手順例を示すフローチャートである。このメイン制御処理は、2次起動電流の対策としてDC/DCコンバータ118を軽負荷状態で起動させるためのものであり、電源装置100,200に対する交流電源の供給が開始(電源投入)されると、出力電流制御部126の制御ICにより開始されるものである。以下、手順例に沿って説明する。
特に図示していないが、タイマ割込処理の中では、DC/DCコンバータ118を軽負荷状態で起動させるための所要時間(例えば100ms〜150ms程度)をカウントダウンし、この所用時間が経過するまで制御ICはステップS102,S104をループする。
また、ステップS102の初期動作安定用PWM出力制御の中では、制御ICは第1の時間帯(図8の時刻tg〜時刻t3)では目標の出力電流を定格値より低い定電流に設定しているが、第2の時間帯(図8の時刻t3〜時刻t4)では出力電流を次第に定格値に向けて増加させる制御を行う。これにより、DC/DCコンバータ118を軽負荷の状態で起動させた後、次第に定常負荷の状態(定常動作)に向けてスムーズに遷移させていくことができる。
そして、上記のループを終了すると、制御ICはステップS106以降を実行する。
ステップS108:出力電流制御部126の制御ICは、ここからメインループに移行し、設定値確認処理を実行する。この処理では、制御ICは各種の入力信号(例えば、調光動作に必要な外部信号)を参照しつつ、PWM制御で設定するゲートドライブ信号のON幅の値を定常的に確認する。例えば、外部環境の変化に伴い、調光用の外部信号が変化(例えば、暗い→明るいに変化)すると、出力電流制御部126の制御ICはLED照明装置の調光レベルを「高」にするためのゲートドライブ信号のON幅を設定する。
(1)インバータ休止待機方式(瞬断時間250ms以下)の無停電電源設備において瞬断時間(250ms)が発生した場合に、瞬時点灯時「定常電流(定格値)の値に対して、起動電流が2倍以下」の規定(電子安定器の規格)を満足することができる。特に、PFC回路を有した定電流制御のLED用照明用電源等において、起動時に発生する1次、2次の起動電流に対し、「定常電流(定格値)の値に対して起動電流が2倍以下」とする対策を実現することができる。
(2)第1実施形態では、入力電圧の非印加時に電解コンデンサC3からの電圧が印加されない経路に起動回路120を接続するだけの簡単な構成で1次起動電流の発生を抑えることができる。
(3)第2実施形態では、起動回路のON/OFF回路124の構成を用いるため、より能動的に1次起動電流の発生を抑えることができる。
(4)図13のメイン制御処理は、出力電流制御部126の制御ICが実行する処理として汎用的なロジックであるため、ステップS102のプログラム調整だけで容易に2次起動電流の対策を実現可能である。
102 交流電源
104 整流部
108 リップルフィルタ
110 PFC制御部
116 出力電圧検出部
118 DC/DCコンバータ
120 起動回路
121 負荷
124 入力電圧検出部
126 出力電流制御部
128 ON/OFF回路
Claims (4)
- 交流電圧を整流した入力電圧を発生する整流部と、
前記入力電圧を力率改善制御して出力電圧を発生するPFC制御部と、
前記PFC制御部の出力電圧を変換して直流電圧を出力するDC/DCコンバータと、
前記整流部から前記DC/DCコンバータまでの間で発生する内部の電圧を用いて前記PFC制御部に起動電圧を印加する起動回路と、
前記入力電圧の印加時は前記起動回路による前記PFC制御部への起動電圧の印加を可能とする一方、前記入力電圧の非印加時は前記起動回路による前記PFC制御部への起動電圧の印加を抑制する起動電圧制御部とを備え、
前記起動電圧制御部は、
前記入力電圧を検出する入力電圧検出部と、
前記入力電圧検出部により前記入力電圧の印加が検出されない場合に前記起動回路を停止させるON/OFF回路と
を含むことを特徴とする電源装置。 - 交流電圧を整流した入力電圧を発生する整流部と、
前記入力電圧を力率改善制御して出力電圧を発生するPFC制御部と、
前記PFC制御部の出力電圧を変換して直流電圧を出力するDC/DCコンバータと、
前記整流部から前記DC/DCコンバータまでの間で発生する内部の電圧を用いて前記PFC制御部に起動電圧を印加する起動回路と、
前記入力電圧の印加時は前記起動回路による前記PFC制御部への起動電圧の印加を可能とする一方、前記入力電圧の非印加時は前記起動回路による前記PFC制御部への起動電圧の印加を抑制する起動電圧制御部と
を備えた電源装置。 - 請求項2に記載の電源装置において、
前記DC/DCコンバータの前段で前記出力電圧を充電する電解コンデンサをさらに含み、
前記起動電圧制御部は、
前記入力電圧の非印加時に前記電解コンデンサからの電圧が印加されない経路に接続されていることを特徴とする電源装置。 - 請求項1から3のいずれかに記載の電源装置において、
前記PFC制御部による出力電圧の発生開始時に前記DC/DCコンバータから負荷への出力電流を定常値より低くし、時間の経過に伴い出力電流を定常値に向けて次第に増加させる制御を行う出力電流制御部
をさらに備えた電源装置。
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