JP6555220B2 - 転がり軸受装置 - Google Patents
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Description
この転がり軸受装置によれば、ポンプから吐出させた潤滑油は、延在部の中空部を通過することとなり、この際、前記壁部が風防として機能することができ、潤滑油は転動体が存在する軸受内部に供給され、潤滑油を転動体に到達させることができる。この結果、軸受部において潤滑性を確保することができる。
また、前記延在部には、径方向に対して傾斜する方向に貫通し、前記保持器と対向する面及び前記回転輪と対向する面のそれぞれで開口している流路が形成されており、前記中空部は、前記延在部のうち前記流路が形成されていない部分に設けられているのが好ましい。
〔転がり軸受装置の全体構成〕
図1は、転がり軸受装置1の実施の一形態を示す断面図である。この転がり軸受装置1は、軸7を実質的に支持する軸受部20と、この軸受部20のために機能する付属部40とを備えている。本実施形態の転がり軸受装置1は、工作機械の主軸(軸7)を回転可能に支持するために、軸受ハウジング8に収容された状態にある。
軸受部20は、内輪21、外輪22、複数の玉(転動体)23、及びこれら玉23を保持する保持器24を有している。内輪21は、軸7に外嵌する円筒状の部材であり、その外周に軌道面として軌道溝(以下、内輪軌道溝25という。)が形成されている。外輪22は、軸受ハウジング8の内周面に固定される円筒状の部材であり、その内周に軌道面として軌道溝(以下、外輪軌道溝26という。)が形成されている。本実施形態では、固定輪(固定側の軌道輪)である外輪22に対して、回転輪(回転側の軌道輪)である内輪21が軸7と共に回転する。
付属部40は、全体として円環形状であり、軸受部20の軸方向の隣に設けられている。付属部40は、円環形状である付属本体部41と、この付属本体部41から軸方向に延びて設けられている延在部42とを有している。
図2は、図1のA矢視の断面図である。本実施形態では、延在部42は環状に設けられており、その外周面(径方向外側面)46は、保持器24の第1円環部31の内周面36と径方向に対向している。また、延在部42の内周面(径方向内側面)47は、内輪21の外周面37と径方向に対向している。そして、この延在部42には、流路50が形成されている。転がり軸受装置1(付属本体部41)の中心線に直交する面(横断面)において、この流路50は、径方向に対して傾斜する方向に貫通している。流路50は、延在部42を横断面において径方向に対して傾斜する方向に貫通していることで、保持器24の第1円環部31と対向する外周面46及び内輪21と対向する内周面47のそれぞれで開口している。図2において、流路50の保持器24側の開口が第1開口部51であり、内輪21側の開口が第2開口部52である。
つまり、保持器24の第1円環部31に引き連れられるエアの一部は、第1開口部51から流路50に入り、第2開口部52から出ることができ、この第2開口部52を出たエアの一部は、径方向内側へ向かう速度成分を有することから、内輪21の外周面37に吹き付けられる。
図4は、図1に示す断面部分と異なる部分の断面図である。前記のとおり付属部40は、円環形状である付属本体部41を有しており、付属本体部41は外輪22の軸方向の隣に並んで設けられている。そして、付属本体部41は、玉23が存在する軸受内部に向かって潤滑油(オイル)を吐出するポンプ61を有している。
しかし、本実施形態では、前記のとおり、ポンプ61から吐出させた液滴は延在部42の中空部68を通過することとなり、この際、壁部66,67が風防として機能することができ、油滴は玉23が存在する軸受内部に確実に供給され、潤滑油を玉23に到達させることができる。このため、軸受部20において潤滑性を確保することができる。
そして、風防として機能する壁部66,67(中空部68)により、ポンプ61から油滴を玉23の近傍で吐出させなくても、潤滑油を玉23に供給することが可能となる。微量の潤滑油(油滴)を玉23の近傍で吐出させるためには、ポンプ61から細長いノズルが必要となるが、本実施形態の場合では不要となる。
図8は、延在部42に形成される流路50に関する他の形態を示す説明図である。図3に示す形態では、流路50は、径方向外側(保持器24側)から径方向内側(内輪21側)へ向かうにしたがって、回転方向(図3において矢印R1方向)に進む内側傾斜面53を有しているのに対して、図8に示す形態では、流路50の傾斜方向が反対となっている。その他の構成については同じであり、同じ点についての説明は省略する。
つまり、内輪21に引き連れられるエアの一部は、第2開口部52から流路50に入り、第1開口部51から出ることができ、この第1開口部51を出たエアの一部は、径方向外側へ向かう速度成分を有することから、保持器24の第1円環部31の内周面36に吹き付けられる。
前記各実施形態の転がり軸受装置1によれば、軸受部20の温度上昇を抑制するために、従来のような圧縮エアを発生させるためのユニットが不要となり、構成の簡素化が図れる。
また、軸7及び内輪21の回転が高速化するにしたがって、延在部42の流路50によるエアを吹き付ける機能が高まることから、この転がり軸受装置1は、高速回転する機器に好適である。
そして、転がり軸受1にポンプ61(図4及び図5参照)が組み込まれていることで、長期間メンテナンスフリーとすることができ、また、潤滑油の飛散の少ない低環境負荷の状態で使用することができる。
前記実施形態では、軸受部20がアンギュラ玉軸受である場合について説明したが、軸受の形式はこれに限らず、深溝玉軸受であってもよく、また、円すい転がり軸受や、円筒ころ軸受であってよい。また、この転がり軸受装置1を、工作機械の主軸用以外の用途に用いることができる。
また、前記実施形態では、外輪22と付属本体部41とは別体であるが(図2参照)、外輪22と付属本体部41とを一体不可分とし、これらを単一の環状部材により構成してもよい。
また、付属部40において、ポンプ61は細長いノズルを有し、このノズルの先端を潤滑油の吐出口とする構成であってもよい。
軸受の潤滑のために潤滑油を軸受に供給するための手段として、内輪及び外輪等を有する軸受部の隣にポンプを設け、このポンプから潤滑油を軸受内部へ吐出するものがある。
ここで、例えば外輪が固定輪であり内輪が回転輪である場合、内輪が高速で回転すると、内輪と外輪との間の空間に存在するエアには、その回転方向の流れが発生する。したがって、軸受部の隣に設けられているポンプから潤滑油を軸受内部に向かって吐出しても、その潤滑油は前記エアの流れに巻き込まれて効率よく転動体に到達できないことがある。
そこで、本発明として、固定輪と回転輪との間に吐出した潤滑油を転動体に到達させることが可能となる転がり軸受装置について説明する。なお、この本発明の理解を容易とするために、図1〜図8で用いた符号を括弧書きで示している。
固定輪(22)、当該固定輪(22)と同心の配置で設けられている回転輪(21)、前記固定輪(22)と前記回転輪(21)との間に介在している複数の転動体(23)、及び前記複数の転動体(23)を保持する保持器(24)を有している軸受部(20)と、
前記軸受部(20)の軸方向の隣に設けられている付属部(40)と、を備え、
前記付属部(40)は、前記固定輪(22)の軸方向の隣に設けられている付属本体部(41)と、当該付属本体部(41)から軸方向に延び前記保持器(24)と前記回転輪(21)との間に介在している延在部(42)と、を有し、
前記付属本体部(41)は、前記転動体(23)が存在する軸受内部に向かって潤滑油を吐出するポンプ(61)を有し、
前記延在部(42)は、前記保持器(24)側及び前記回転輪(21)側のそれぞれに壁部(66,67)を有することで当該壁部(66,67)の間に中空部(68)が形成されており、
前記ポンプ(61)から吐出した潤滑油が前記中空部(68)を通過して前記軸受内部に向かう構成である。
なお、前記の各実施形態(図1〜図8)で説明した転がり軸受装置1が備えている各部の構成を、この発明に適用することができる。
22:外輪(固定輪) 23:玉(転動体) 24:保持器
40:付属部 41:付属本体部 42:延在部
46:外周面(保持器と対向する面) 47:内周面(回転輪と対向する面)
50:流路 53:内側傾斜面 54:外側傾斜面
61:ポンプ 66,67:壁部 68:中空部
Claims (2)
- 固定輪、当該固定輪と同心の配置で設けられている回転輪、前記固定輪と前記回転輪との間に介在している複数の転動体、及び前記複数の転動体を保持する保持器を有している軸受部と、
前記軸受部の軸方向の隣に設けられている付属部と、を備え、
前記付属部は、前記固定輪の軸方向の隣に設けられている付属本体部と、当該付属本体部から軸方向に延び前記保持器と前記回転輪との間に介在している延在部と、を有し、
前記付属本体部は、前記転動体が存在する軸受内部に向かって潤滑油を吐出するポンプを有し、
前記延在部は、前記保持器側及び前記回転輪側のそれぞれに壁部を有することで当該壁部の間に中空部が形成されており、
前記ポンプから吐出した潤滑油が前記中空部を通過して前記軸受内部に向かう構成であり、
前記延在部には、径方向に対して傾斜する方向に貫通し、前記保持器と対向する面及び前記回転輪と対向する面のそれぞれで開口している流路が形成されており、
前記中空部は、前記延在部のうち前記流路が形成されていない部分に設けられている、転がり軸受装置。 - 前記中空部において前記ポンプの吐出口が前記転動体に向かって開口している、請求項1に記載の転がり軸受装置。
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