JP6555103B2 - シリコンウェーハの評価方法およびその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、シリコンウェーハの評価方法に関する。更に本発明は、このシリコンウェーハの評価方法を利用するシリコンウェーハの製造方法および熱処理炉の評価方法に関する。
マイクロ波光導電減衰法(μ−PCD(Microwave PhotoConductivity Decay)法、以下、「μ−PCD法」と記載する。)は、シリコンウェーハの製造分野において、各種評価のために広く用いられている。μ−PCD法によれば、例えば以下のような評価を行うことができる。
(1)シリコンウェーハの金属汚染の評価(例えば非特許文献1参照)
シリコンウェーハの金属汚染量が多いほど、μ−PCD法により測定される再結合ライフタイムは短くなる。したがって、μ−PCD法により測定される再結合ライフタイムに基づき、シリコンウェーハの金属汚染の有無や程度を評価することができる。
(2)熱処理炉の金属汚染の評価(例えば特許文献1参照)
シリコンウェーハの熱処理を行う熱処理炉の金属汚染に起因してシリコンウェーハに金属不純物が混入することは、このシリコンウェーハを用いて作製される半導体デバイスのデバイス特性低下の原因となる。そこで、熱処理炉の金属汚染を、同炉内で熱処理したモニターウェーハ(シリコンウェーハ)の金属汚染レベルから間接的に評価し、必要に応じて炉内の洗浄、部品交換等の金属汚染低減のための管理を行うことが、シリコンウェーハの製造分野では、通常、日常的に実施されている。上記モニターウェーハの金属汚染の有無や程度は、μ−PCD法により測定される再結合ライフタイムに基づき評価することができる。また、このような評価対象の熱処理炉としては、例えば、エピタキシャル層の気相成長を行う熱処理炉(エピタキシャル成長炉)が挙げられる。
特開2010−40688号公報
住江伸吾、高松弘行著、神戸製鋼技報Vol.52 No. 2 (Sep.2002) pp.87-93
近年、半導体デバイスの高性能化に伴い、シリコンウェーハの金属汚染の低減や、シリコンウェーハの熱処理を行う熱処理炉の金属汚染管理への要求は、ますます厳しくなっている。例えば、一例として、CCD・CMOSイメージセンサーなどの撮像素子用シリコンエピタキシャルウェーハにおいては、撮像素子の高性能化に伴って、エピタキシャル層のわずかな金属汚染でも、撮像素子の白キズ不良の原因となる場合がある。したがって、より金属汚染の少ないクリーン度の高いエピタキシャル成長炉でエピタキシャル層の形成を行い、金属汚染がより低減されたシリコンエピタキシャルウェーハを提供することが求められている。また、シリコンエピタキシャルウェーハに限らず、各種半導体デバイスの製造に用いられるシリコンウェーハには、より高性能な半導体デバイスを提供するために、より一層、金属汚染を低減することが求められている。
以上の要求に応えるためには、シリコンウェーハの金属汚染やシリコンウェーハの熱処理を行う熱処理炉の金属汚染がわずかであっても検出可能とするために、μ−PCD法による金属汚染評価の感度を高めることが望まれる。
そこで本発明者らは、上記金属汚染評価の高感度化を達成するために鋭意検討を重ねる中で、μ−PCD法により測定される再結合ライフタイムを長くすることが、上記金属汚染評価の高感度化につながるとの知見を得るに至った。詳しくは、次の通りである。
シリコンウェーハの再結合ライフタイム(以下「τR」と記載する。)は、以下の式1で表すことができる。
1/τR = 1/τSRH + 1/τAuger + 1/τRad (式1)
上記式中、τSRHは、金属汚染やバルク結晶欠陥に起因する深い準位を再結合中心とする、いわゆる、ショックレー・リード・ホール再結合メカニズムによる再結合のライフタイムである。τAugerは、Auger再結合によるライフタイム、τRadは、Radiative再結合によるライフタイムである。Auger再結合によるライフタイムとRadiative再結合によるライフタイムは、ドーパント濃度とキャリアの注入量により決定される値である。一方、SRHは、以下の式2により表すことができる。
1/τSRH = 1/τbulk + 1/τsurface (式2)
τbulkとは、シリコンウェーハ内部の金属汚染や結晶欠陥に起因するライフタイムであり、τsurfaceは、シリコンウェーハ表面で起こる再結合に起因するライフタイムである。μ−PCD法により測定される再結合ライフタイムの値から金属汚染を高感度に評価するためには、τbulkの値がτSRHの値と良好に相関することが好ましい。一方、τsurfaceは、μ−PCD法による再結合ライフタイムの測定前に行われる表面処理の影響を受ける値である。したがって、τsurfaceは、式2におけるτSRHとτbulkとの相関性を低下させる要因になり得る。それ故、式2におけるτSRHとτbulkとの相関性を高めることによりμ−PCD法により測定される再結合ライフタイムの値を用いる金属汚染評価の高感度化を達成するためには、表面再結合を抑制することによりτsurfaceが式2のτSRHに与える影響を低減すべきである。表面再結合を抑制することにより1/τsurfaceの値が小さくなるほど、式2から求められる1/τSRHの値は小さくなる。そして、1/τSRHの値が小さくなるほど、式1から求められる1/τRの値は小さくなり、結果的に、その逆数である、μ−PCD法により測定されるシリコンウェーハの再結合ライフタイムτRの値は大きく(再結合ライフタイムが長く)なる。即ち、μ−PCD法により測定されるシリコンウェーハの再結合ライフタイムが長くなることは、高感度化の妨げとなる表面再結合が抑制されていることを意味すると、本発明者らは考えるに至った。
そこで本発明の目的は、シリコンウェーハの製造分野において行われるμ−PCD法により測定される再結合ライフタイムに基づく金属汚染評価の高感度化のために、μ−PCD法により測定される再結合ライフタイムを長くするための手段を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、以下のシリコンウェーハの評価方法:
評価対象シリコンウェーハに熱酸化処理を施すこと、
熱酸化処理後のシリコンウェーハの表面にコロナ放電処理を施すこと、
コロナ放電処理を施したシリコンウェーハ表面において、μ−PCD法により、シリコンウェーハの評価に用いるための再結合ライフタイムを測定すること、
上記シリコンウェーハの評価に用いるための再結合ライフタイムの測定結果に基づき評価対象シリコンウェーハを評価すること、
を含み、
上記コロナ放電処理を、下記基準(1)、(2)または(3):
(1)熱酸化処理後の再結合ライフタイムが10μs以上のn型シリコンウェーハには、μ−PCD法によりシリコンウェーハの評価に用いるための再結合ライフタイムの測定が行われる表面をプラスに帯電させるコロナ放電処理を行う;
(2)熱酸化処理後の再結合ライフタイムが10μs未満のn型シリコンウェーハには、μ−PCD法によりシリコンウェーハの評価に用いるための再結合ライフタイムの測定が行われる表面をマイナスに帯電させるコロナ放電処理を行う;
(3)熱酸化処理後の再結合ライフタイムが10μs以上のp型シリコンウェーハには、μ−PCD法によりシリコンウェーハの評価に用いるための再結合ライフタイムの測定が行われる表面をマイナスに帯電させるコロナ放電処理を行う、
にしたがい行う、シリコンウェーハの評価方法、
を見出すに至った。即ち、上記(1)〜(3)の基準にしたがい、熱酸化処理後のシリコンウェーハに対してコロナ放電処理を施すことにより、その後に行われるμ−PCD法により測定される再結合ライフタイムを長く(再結合ライフタイムの値を大きく)することができることが、本発明者らの鋭意検討の結果、明らかとなった。
以下は、本発明者らの推察であって、本発明を何ら限定するものではないが、上記(1)〜(3)の基準にしたがい熱酸化処理後のシリコンウェーハに対してコロナ放電処理を施すことにより再結合ライフタイムを長くすることが可能となる理由について、本発明者らは次のように考えている。
シリコンウェーハに熱酸化処理を施すことにより、シリコンウェーハ上に熱酸化膜を形成することができる。この処理により表面再結合を抑制(不活性化、パッシベーション(passivation)とも呼ばれる。)できることは、例えば特許文献1の段落0005に記載されている。
コロナ放電処理に関しては、n型シリコンウェーハは多数キャリアが電子であるため、コロナ放電処理でプラスの電荷を堆積させることによりシリコンウェーハ表面(詳しくは、熱酸化膜表面)をプラスに帯電させることは、コロナ放電により蓄積側(accumulation側)に電荷を印加することを意味する。他方、n型シリコンウェーハにコロナ放電処理でマイナスの電荷を堆積させることによりシリコンウェーハ表面をマイナスに帯電させることは、コロナ放電により反転側(inversion側)に電荷を印加することを意味する。一方、p型シリコンウェーハは多数キャリアが正孔であるため、コロナ放電処理でマイナスの電荷を堆積させることによりシリコンウェーハ表面をマイナスに帯電させることは、コロナ放電により蓄積側(accumulation側)に電荷を印加することを意味する。本発明者らは、蓄積側に電荷を印加すると、シリコンウェーハ表層のバルクライフタイムの影響が大きくなり、反転側に電荷を印加すると、熱酸化膜界面の影響が大きくなると考えている。これは熱酸化処理による表面のパッシベーション効果に加えコロナ放電処理によってバンドの曲がりを調節することで、蓄積側に電荷を印加するとバルクで発生した過剰キャリアの表面側への移動を妨げることができるためと本発明者らは推察している。バルクの再結合中心が少なくライフタイムが長い場合には、キャリアがよりバルク側に存在するほうがライフタイムを長くすることができると考えられる。他方、バルクの再結合中心が多くライフタイムが短い場合は、キャリアが自由に動くことができるほうが再結合する割合は減るためライフタイムを長くすることができると考えられる。したがって、熱酸化処理後の再結合ライフタイムがある閾値より長いシリコンウェーハに対しては蓄積側に、閾値より短いシリコンウェーハに対しては反転側に、コロナ放電処理により電荷を印加することで、再結合ライフタイムを長くすることができると本発明者らは推察している。上記閾値は、本発明者らの鋭意検討の結果、10μsとすることが妥当であることも明らかとなった。ただし理由は定かではないが、p型のシリコンウェーハについては、熱酸化処理後の再結合ライフタイムが10μs未満の場合、コロナ放電処理で印加する電荷が蓄積側であるか反転側であるかによって、再結合ライフタイムの値には大きな違いは見られなかった。したがって上記評価方法では、上記(1)〜(3)の基準にしたがい、熱酸化処理後のシリコンウェーハに対してコロナ放電処理を施す。
ただし先に記載したように、以上は推察に過ぎず、本発明を何ら限定するものではない。
ところで非特許文献1には、熱酸化処理後にコロナ放電処理を行うことが記載されているが(非特許文献1の90〜91頁)、シリコンウェーハの導電型により熱酸化処理後の再結合ライフタイムの値に応じて、コロナ放電により印加する電荷を変化させることは、非特許文献1には何ら示唆はない。
なお本発明および本明細書におけるシリコンウェーハとは、いわゆるベアウェーハ(bare wafer)に加えて、シリコン基板上にエピタキシャル層を有するシリコンエピタキシャルウェーハや、最表層に熱酸化膜が形成されたシリコンウェーハを包含する意味で用いるものとする。シリコン基板上に一層以上の層を有するシリコンウェーハの導電型(n型またはp型)は、シリコン基板の導電型をいうものとする。熱酸化処理およびコロナ放電処理が施された後、μ−PCD法により、シリコンウェーハの評価に用いるための再結合ライフタイムの測定が行われるシリコンウェーハ表面とは、詳しくは、熱酸化処理により形成された熱酸化膜表面である。
一態様では、上記熱酸化処理は、雰囲気温度1000℃以上の酸化性雰囲気中に評価対象シリコンウェーハを配置することによって行うことができる。
一態様では、上記熱酸化処理とコロナ放電処理との間に、μ−PCD法によりシリコンウェーハの評価に用いるための再結合ライフタイムの測定が行われるシリコンウェーハ表面において、コロナ放電処理判定用再結合ライフタイムの測定をμ−PCD法により行うことができる。
本発明の更なる態様は、
複数のシリコンウェーハを含むシリコンウェーハのロットを準備すること、
上記ロットから少なくとも1つのシリコンウェーハを抽出すること、
上記抽出されたシリコンウェーハを評価すること、および、
上記評価により良品と判定されたシリコンウェーハと同一ロットに含まれていた少なくとも1つのシリコンウェーハを製品シリコンウェーハとして出荷すること、
を含み、かつ、
上記抽出されたシリコンウェーハの評価を、上記シリコンウェーハの評価方法によって行う、シリコンウェーハの製造方法、
に関する。
本発明の更なる態様は、
評価対象の熱処理炉においてシリコンウェーハの熱処理を行うこと、
上記熱処理されたシリコンウェーハを上記シリコンウェーハの評価方法により評価すること、および、
上記評価により得られた再結合ライフタイムに基づき上記熱処理炉の金属汚染を評価すること、
を含む、熱処理炉の評価方法、
に関する。
本発明の更なる態様は、
上記熱処理炉の評価方法により熱処理炉の評価を行うこと、および、
評価の結果、金属汚染なし、もしくは金属汚染の程度が許容レベルと判定された熱処理炉において、または、評価の結果、金属汚染の程度が許容レベルを超えると判定された熱処理炉に金属汚染低減処理を施した後に該熱処理炉において熱処理を行うこと、
を含む、シリコンウェーハの製造方法、
に関する。
本発明によれば、μ−PCD法により測定されるシリコンウェーハの再結合ライフタイムを長くすることが可能になる。再結合ライフタイムを長くすることにより、μ−PCD法により測定される再結合ライフタイムに基づくシリコンウェーハの金属汚染評価の高感度化が達成されることが期待される。
実施例1および比較例1で得られた測定結果を示す。 実施例2および比較例2で得られた測定結果を示す。 実施例3で得られた測定結果を示す。 実施例4および比較例3で得られた測定結果を示す。 比較例4、5で得られた測定結果を示す。 実施例5〜8で得られた測定結果を示す。 実施例9および比較例6で得られた測定結果を示す。
[シリコンウェーハの評価方法]
本発明の一態様は、以下のシリコンウェーハの評価方法に関する。
評価対象シリコンウェーハに熱酸化処理を施すこと、
熱酸化処理後のシリコンウェーハの表面にコロナ放電処理を施すこと、
コロナ放電処理を施したシリコンウェーハ表面において、μ−PCD法により、シリコンウェーハの評価に用いるための再結合ライフタイムを測定すること、
上記シリコンウェーハの評価に用いるための再結合ライフタイムの測定結果に基づき評価対象シリコンウェーハを評価すること、
を含み、
上記コロナ放電処理を、下記基準(1)、(2)または(3):
(1)熱酸化処理後の再結合ライフタイムが10μs以上のn型シリコンウェーハには、μ−PCD法によりシリコンウェーハの評価に用いるための再結合ライフタイムの測定が行われる表面をプラスに帯電させるコロナ放電処理を行う;
(2)熱酸化処理後の再結合ライフタイムが10μs未満のn型シリコンウェーハには、μ−PCD法によりシリコンウェーハの評価に用いるための再結合ライフタイムの測定が行われる表面をマイナスに帯電させるコロナ放電処理を行う;
(3)熱酸化処理後の再結合ライフタイムが10μs以上のp型シリコンウェーハには、μ−PCD法によりシリコンウェーハの評価に用いるための再結合ライフタイムの測定が行われる表面をマイナスに帯電させるコロナ放電処理を行う、
にしたがい行う、シリコンウェーハの評価方法。
以下、上記シリコンウェーハの評価方法(以下では、単に「評価方法」とも記載する。)について、更に詳細に説明する。
<評価対象シリコンウェーハ>
評価対象シリコンウェーハは、一態様ではn型シリコンウェーハであり、他の一態様ではp型シリコンウェーハである。評価対象シリコンウェーハには、熱酸化処理後の再結合ライフタイムの値に応じて、上記(1)〜(3)のいずれかの基準にしたがいコロナ放電処理およびその後のμ−PCD法が行われる。詳細は後述する。評価対象シリコンウェーハは、ベアウェーハであってもよく、シリコンエピタキシャルウェーハであってもよく、再表層に熱酸化膜が形成されたシリコンウェーハであってもよい。また、評価対象シリコンウェーハのサイズは、例えば直径200mm、300mm、450mmであることができるが、これより小さくても大きくてもよく、特に限定されるものではない。また、その抵抗値は、例えば1Ω・cm〜100Ω・cm程度であることができるが、この範囲に限定されるものではない。一態様では、評価対象シリコンウェーハは、熱処理炉の金属汚染の評価を行うためのモニターウェーハであることができ、他の一態様では金属汚染の有無や程度を評価すべきシリコンウェーハであることができる。
<熱酸化処理>
熱酸化処理を評価対象シリコンウェーハに施すことにより、評価対象シリコンウェーハの、少なくともμ−PCD法による測定においてキャリア注入(具体的には光照射)が行われる表面上に熱酸化膜を形成することができる。これにより、μ−PCD法測定中に表面再結合が発生することを抑制する(不活性化、パッシベーション)ことができる。
熱酸化処理は、加熱された酸化性雰囲気中に評価対象シリコンウェーハを配置することにより行うことができる。ここで酸化性雰囲気とは、酸素を少なくとも含む雰囲気であり、酸素を例えば10体積%〜100体積%含む雰囲気であることができる。酸化性雰囲気の雰囲気温度(加熱温度)は、例えば700℃以上とすることができ、再結合ライフタイムをより長くする観点からは、1000℃以上とすることが好ましい。また、上記加熱温度は、例えば1300℃以下とすることができる。ただし、熱酸化膜を形成できればよいため、1300℃超であってもよい。また、熱酸化処理における加熱時間は、例えば1〜1000分間とすることができる。ただし、熱酸化処理により熱酸化膜を形成することができればよく、上記範囲の加熱時間に限定されるものではない。熱酸化処理によって形成される熱酸化膜の厚さは、例えば2nm〜1μmの範囲であるが、特に限定されるものではない。
<コロナ放電処理>
上記熱酸化処理後、μ−PCD法によりシリコンウェーハの評価に用いるための再結合ライフタイムの測定が行われる表面に、コロナ放電処理が施される。コロナ放電処理が施される表面には、上記熱酸化処理によって熱酸化膜が形成されている。コロナ放電処理は、市販のコロナ放電処理装置を用いる等の従来公知のコロナ放電処理法によって行うことができる。そして本発明の評価方法では、上記コロナ放電処理を、下記基準(1)、(2)または(3)にしたがい行う。
(1)熱酸化処理後の再結合ライフタイムが10μs以上のn型シリコンウェーハには、μ−PCD法によりシリコンウェーハの評価に用いるための再結合ライフタイムの測定が行われる表面をプラスに帯電させるコロナ放電処理を行う;
(2)熱酸化処理後の再結合ライフタイムが10μs未満のn型シリコンウェーハには、μ−PCD法によりシリコンウェーハの評価に用いるための再結合ライフタイムの測定が行われる表面をマイナスに帯電させるコロナ放電処理を行う;
(3)熱酸化処理後の再結合ライフタイムが10μs以上のp型シリコンウェーハには、μ−PCD法によりシリコンウェーハの評価に用いるための再結合ライフタイムの測定が行われる表面をマイナスに帯電させるコロナ放電処理を行う。
上記熱酸化処理後の評価対象シリコンウェーハのコロナ放電処理を、上記基準(1)〜(3)のいずれを採用して行うか判断するために、一態様では、上記熱酸化処理後であってコロナ放電処理前のシリコンウェーハを、μ−PCD法による再結合ライフタイム測定に付すことができる。即ち、本発明の評価方法は、一態様では、上記熱酸化処理とコロナ放電処理との間に、μ−PCD法によりシリコンウェーハの評価に用いるための再結合ライフタイムの測定が行われるシリコンウェーハ表面において、コロナ放電処理判定用再結合ライフタイムの測定をμ−PCD法により行うことを更に含むことができる。この場合、上記基準(1)〜(3)の判断指標となる熱酸化処理後の再結合ライフタイムとは、熱酸化処理後のシリコンウェーハ表面の複数箇所でμ−PCD法により測定される再結合ライフタイムの平均値、熱酸化処理後のシリコンウェーハ表面の任意の1箇所でμ−PCD法により測定される再結合ライフタイム、等であることができる。ただし、本発明の評価方法において、熱酸化処理後であってコロナ放電処理前のシリコンウェーハの再結合ライフタイム測定をμ−PCD法により行うことは必須ではない。n型、p型とも、シリコンウェーハが熱酸化処理後に10μs未満の再結合ライフタイムを示す状態とは、金属汚染がきわめて重度であるか、または意図的にきわめて重度の金属汚染処理が施された場合に通常限定される。したがって、多くの場合はn型であれば熱酸化処理後の再結合ライフタイムは10μs以上であるため上記基準(1)を採用すればよく、多くの場合p型であれば熱酸化処理後の再結合ライフタイムは10μs以上であるため上記基準(3)を採用すればよい。また、n型については意図的であるか否かにかかわらずきわめて重度な金属汚染があることが明らかな場合には、熱酸化処理後の再結合ライフタイムは10μs未満であるため上記基準(2)を採用すればよい。なお、上記基準(1)および基準(3)において、熱酸化処理後のシリコンウェーハの再結合ライフタイムは、例えば10000μs以下であるが、これに限定されるものではない。また、上記基準(2)において、熱酸化処理後のシリコンウェーハの再結合ライフタイムは、例えば0.001μs以上であるが、これに限定されるものではない。
<シリコンウェーハの評価に用いるための再結合ライフタイム測定>
以上説明したコロナ放電処理後、熱酸化処理およびコロナ放電処理が施されたシリコンウェーハ表面において、再結合ライフタイム測定を行う。再結合ライフタイム測定は、通常のμ−PCD法による再結合ライフタイム測定と同様に行えばよい。そして、この測定により得られた測定結果に基づき、評価対象シリコンウェーハを評価する。例えば、測定結果は、熱酸化処理およびコロナ放電処理が施されたシリコンウェーハ表面の複数箇所でμ−PCD法により測定される再結合ライフタイムの平均値、熱酸化処理およびコロナ放電処理が施されたシリコンウェーハ表面の任意の1箇所でμ−PCD法により測定される再結合ライフタイムの測定値、熱酸化処理およびコロナ放電処理が施されたシリコンウェーハ表面の面内の再結合ライフタイムマップ(面内分布評価)等であることができる。再結合ライフタイムの平均値や測定値が大きいほど金属汚染が少なく、小さいほど金属汚染が多いと判定することができる。また、再結合ライフタイムマップにおいて、局所的に再結合ライフタイムが短い箇所が見られたなら、その箇所において局所的な金属汚染が発生していると判定することができる。本発明の評価方法は、評価対象シリコンウェーハを熱酸化処理した後、上記基準(1)〜(3)のいずれかにしたがいコロナ放電処理を施してμ−PCD法による再結合ライフタイム測定を行うことにより、測定される再結合ライフタイムを長くすることができる。このことがμ−PCD法により測定される再結合ライフタイムに基づく金属汚染評価の高感度化につながることに関する本発明者らによる推察は、先に記載した通りである。再結合ライフタイムの測定結果から金属汚染を評価する手法は公知であり、本発明では公知技術を何ら制限なく適用することができる。
[シリコンウェーハの製造方法、熱処理炉の評価方法]
本発明の更なる態様は、以下のシリコンウェーハの製造方法および熱処理炉の評価方法に関する。
複数のシリコンウェーハを含むシリコンウェーハのロットを準備すること、
上記ロットから少なくとも1つのシリコンウェーハを抽出すること、
上記抽出されたシリコンウェーハを評価すること、および、
上記評価により良品と判定されたシリコンウェーハと同一ロットに含まれていた少なくとも1つのシリコンウェーハを製品シリコンウェーハとして出荷すること、
を含み、かつ、
上記抽出されたシリコンウェーハの評価を、上記シリコンウェーハの評価方法によって行う、シリコンウェーハの製造方法(以下、「製造方法1」ともいう)。
評価対象の熱処理炉においてシリコンウェーハの熱処理を行うこと、
上記熱処理されたシリコンウェーハを上記シリコンウェーハの評価方法により評価すること、および、
上記評価により得られた再結合ライフタイムに基づき上記熱処理炉の金属汚染を評価すること、
を含む、熱処理炉の評価方法;ならびに、
上記熱処理炉の評価方法により熱処理炉の評価を行うこと、および、
評価の結果、金属汚染なし、もしくは金属汚染の程度が許容レベルと判定された熱処理炉において、または、評価の結果、金属汚染の程度が許容レベルを超えると判定された熱処理炉に金属汚染低減処理を施した後に該熱処理炉において熱処理を行うこと、
を含む、シリコンウェーハの製造方法(以下、「製造方法2」ともいう)。
製造方法1では、ロットから抽出されたシリコンウェーハの評価を本発明のシリコンウェーハの評価方法によって行う。かかる評価方法により評価した結果、良品と判定されたシリコンウェーハと同一ロット内のシリコンウェーハを製品シリコンウェーハとして出荷することにより、高品質なデバイスを作製可能な製品シリコンウェーハを、高い信頼性をもって提供することができる。なお、良品判定に際し、例えば、再結合ライフタイムの平均値や測定値がある値以上であることや、再結合ライフタイムマップで局所的に再結合ライフタイムが短い箇所が確認されないか少ないこと等を良品と判定する基準とすることができる。良品と判定する基準は、シリコンウェーハの用途等に応じてシリコンウェーハに求められる物性を考慮して設定することができる。また1ロットに含まれるシリコンウェーハおよび抽出するシリコンウェーハ数は適宜設定すればよい。
一方、上記の熱処理炉の評価方法では、いわゆるモニターウェーハの評価を本発明のシリコンウェーハの評価方法により行う。そして上記の製造方法2は、この熱処理炉の評価方法により熱処理炉の評価を行うこと、および、評価の結果、金属汚染なし、もしくは金属汚染の程度が許容レベルと判定された熱処理炉において、または、評価の結果、金属汚染の程度が許容レベルを超えると判定された熱処理炉に金属汚染低減処理を施した後に該熱処理炉において熱処理を行うこと、を含む、シリコンウェーハの製造方法である。
例えば、評価対象熱処理炉において熱処理が施されたシリコンウェーハ(モニターウェーハ)を、本発明のシリコンウェーハの評価方法により評価する。そして、評価により得られたμ−PCD法による再結合ライフタイムの測定結果に基づき、熱処理炉の金属汚染の有無や程度を評価することができる。例えば、シリコンウェーハ表面の複数箇所での再結合ライフタイムの測定値の平均値や1箇所での再結合ライフタイムの測定値が予め設定していた閾値に満たない場合には金属汚染の程度が許容レベルを超えていると判定する判定基準に基づき、熱処理炉の金属汚染の有無や程度を判定することとする。金属汚染なしまたは金属汚染の程度が許容レベルと判定された熱処理炉は製品シリコンウェーハの実際の熱処理に使用し、許容レベルを超えると判定された熱処理炉は、金属汚染原因を低減ないし排除するように炉内の洗浄、部品の交換等を行った後に製品シリコンウェーハの実際の熱処理に使用することにより、熱処理炉からの金属不純物の混入が抑制された高品質なシリコンウェーハを製造することが可能となる。上記の閾値(許容レベル)は、製品シリコンウェーハに求められる品質に応じて適宜設定することができる。または、再結合ライフタイムマップにより局所的に再結合ライフタイムが短い箇所が確認されたならば、かかる箇所における金属汚染の発生原因を推定し、推定される発生原因(例えば保持具の金属汚染や劣化等)が排除されるように洗浄や部品の交換等を行うことにより、局所的な金属汚染が低減された製品シリコンウェーハを製造することが可能になる。一態様では、熱処理炉はエピタキシャル成長炉であって、熱処理炉において行われるシリコンウェーハの熱処理は、シリコン基板上にエピタキシャル層を気相成長させてシリコンエピタキシャルウェーハを得る処理である。ただし上記の熱処理炉の評価方法および製造方法2は、かかる態様に限定されず、各種熱処理をシリコンウェーハ行う熱処理炉に対して適用することができる。
以下、本発明を実施例により更に説明する。ただし、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
以下のコロナ放電処理は、コロナ放電処理装置としてKOBELCO社製LTA1200EP(印加電圧:6kV)を使用した。
以下のμ−PCD法による再結合ライフタイムの測定では、測定装置としてSEMILAB社製WT-85XAを使用し、この測定装置により求められる再結合ライフタイムの面内平均値を再結合ライフタイムの値として採用した。特記しない限り、再結合ライフタイム測定時のキャリア注入量は、8E+15/cmとした。
[実施例1、比較例1]
直径200mmのn型シリコンウェーハ(抵抗値:10Ω・cm)を同じシリコンウェーハロットから2枚取り出し、両シリコンウェーハを、炉内雰囲気温度1000℃の熱酸化炉(酸素100%雰囲気)内に10分間配置して熱酸化処理を施した。熱酸化処理後のμ−PCD法による再結合ライフタイム測定を、上記測定装置により行った。
上記熱酸化処理後、一方のシリコンウェーハ表面(熱酸化膜表面)は、コロナ放電処理によりプラス(蓄積側)に帯電させ(実施例1)、他方のシリコンウェーハ表面(熱酸化膜表面)は、コロナ放電処理によりマイナス(反転側)に帯電させた(比較例1)後、μ−PCD法による再結合ライフタイム測定を上記測定装置により行った。両シリコンウェーハについて、上記コロナ放電処理とμ−PCD法による再結合ライフタイム測定を複数回繰り返した。
測定結果を、図1に示す。図中のa.u.は、任意単位(arbitrary unit)を意味する。以下に記載する図中のa.u.も同様である。
実施例1、比較例1で再結合ライフタイム測定を行ったシリコンウェーハは、熱酸化処理後の再結合ライフタイム(図1中、コロナ放電処理回数0回の値)が10μs以上(10〜10000μsの範囲)であったため、上記基準(1)にしたがいコロナ放電処理を行うべきシリコンウェーハである。
図1に示す結果から、上記基準(1)にしたがいコロナ放電処理を行った後にμ−PCD法により再結合ライフタイム測定を行ったことにより(実施例1)、再結合ライフタイムを長くできることが確認された。
[実施例2、比較例2]
直径200mmのp型シリコンウェーハ(抵抗値:10Ω・cm)を同じシリコンウェーハロットから2枚取り出し、両シリコンウェーハを、炉内雰囲気温度1000℃の熱酸化炉(酸素100%雰囲気)内に10分間配置して熱酸化処理を施した。熱酸化処理後のμ−PCD法による再結合ライフタイム測定を、上記測定装置により行った。
上記熱酸化処理後、一方のシリコンウェーハ表面(熱酸化膜表面)は、コロナ放電処理によりマイナス(蓄積側)に帯電させ(実施例2)、他方のシリコンウェーハ表面(熱酸化膜表面)は、コロナ放電処理によりプラス(反転側)に帯電させた(比較例2)後、μ−PCD法による再結合ライフタイム測定を上記測定装置により行った。両シリコンウェーハについて、上記コロナ放電処理とμ−PCD法による再結合ライフタイム測定を複数回繰り返した。
測定結果を、図2に示す。
実施例2、比較例2で再結合ライフタイム測定を行ったシリコンウェーハは、熱酸化処理後の再結合ライフタイム(図2中、コロナ放電処理回数0回の値)が10μs以上(10〜10000μsの範囲)であったため、上記基準(3)にしたがいコロナ放電処理を行うべきシリコンウェーハである。
図1に示す結果から、上記基準(3)にしたがいコロナ放電処理を行った後にμ−PCD法により再結合ライフタイム測定を行ったことにより(実施例2)、再結合ライフタイムを長くできることが確認された。
[実施例3]
直径200mmのn型シリコンウェーハ(抵抗値:10Ω・cm)を、炉内雰囲気温度1000℃の熱酸化炉(酸素100%雰囲気)内に10分間配置して熱酸化処理を施した。熱酸化処理後のμ−PCD法による再結合ライフタイム測定を上記測定装置により行ったところ、再結合ライフタイムは10μs以上であった。
上記熱酸化処理後のシリコンウェーハ表面(熱酸化膜表面)を、上記基準(1)にしたがいコロナ放電処理によりプラス(蓄積側)に帯電させた後、μ―PCD法による再結合ライフタイム測定を上記測定装置により合計4回複数回繰り返した。1回目の測定はコロナ放電処理直後に行い、1回目の測定の46分後に2回目の測定を行い、1回目の測定の79分後に3回目の測定を行い、1回目の測定の131分後に4回目の測定を行った。
測定結果を、図3に示す。図3に示した各回の再結合ライフタイムの平均値と標準偏差を求め、これらから変動係数CV値を求めたところ0.5%と小さな値であり、コロナ放電処理からの時間の経過に伴う測定結果の変化が少ないことが確認された。したがって、本発明のシリコンウェーハの評価方法では、コロナ放電処理直後に再結合ライフタイム測定を行ってもよく、直後に行わずに放置後(例えば2〜24時間後)に行ってもよい。
[実施例4、比較例3]
直径200mmのn型シリコンウェーハ(抵抗値:10Ω・cm)を同じシリコンウェーハロットから2枚取り出し、両シリコンウェーハを、炉内雰囲気温度1000℃の熱酸化炉(酸素100%雰囲気)内に10分間配置して熱酸化処理を施した。熱酸化処理後のμ−PCD法による再結合ライフタイム測定を、上記測定装置により行った。
上記熱酸化処理後、一方のシリコンウェーハ表面(熱酸化膜表面)は、コロナ放電処理によりプラス(蓄積側)に帯電させ(比較例3)、他方のシリコンウェーハ表面(熱酸化膜表面)は、コロナ放電処理によりマイナス(反転側)に帯電させた(実施例4)後、μ―PCD法による再結合ライフタイム測定を上記測定装置により行った。両シリコンウェーハについて、上記コロナ放電処理とμ―PCD法による再結合ライフタイム測定を複数回繰り返した。
測定結果を、図4に示す。
実施例4、比較例3で再結合ライフタイム測定を行ったシリコンウェーハは、熱酸化処理後の再結合ライフタイム(図4中、コロナ放電処理回数0回の値)が10μs未満であったため、上記基準(2)にしたがいコロナ放電処理を行うべきシリコンウェーハである。
図4に示す結果から、上記基準(2)にしたがいコロナ放電処理を行った後にμ−PCD法により再結合ライフタイム測定を行ったことにより(実施例4)、再結合ライフタイムを長くできることが確認された。
[比較例4、比較例5]
直径200mmのp型シリコンウェーハ(抵抗値:10Ω・cm)を2枚用意し、両シリコンウェーハを、炉内雰囲気温度1000℃の熱酸化炉(酸素100%雰囲気)内に10分間配置して熱酸化処理を施した。熱酸化処理後のμ−PCD法による再結合ライフタイム測定を、上記測定装置により行った。
上記熱酸化処理後、一方のシリコンウェーハ表面(熱酸化膜表面)は、コロナ放電処理によりマイナス(蓄積側)に帯電させ(比較例4)、他方のシリコンウェーハ表面(熱酸化膜表面)は、コロナ放電処理によりプラス(反転側)に帯電させた(比較例5)後、μ―PCD法による再結合ライフタイム測定を行った。両シリコンウェーハについて、上記コロナ放電処理とμ―PCD法による再結合ライフタイム測定を複数回繰り返した。
測定結果を、図5に示す。比較例4、5で再結合ライフタイム測定を行ったシリコンウェーハは、熱酸化処理後の再結合ライフタイム(図5中、コロナ放電処理回数0回の値)が10μs未満のp型シリコンウェーハである。図5に示す結果から、熱酸化処理後の再結合ライフタイム(図5中、コロナ放電処理回数0回の値)が10μs未満のp型シリコンウェーハは、表面をコロナ放電処理によりプラスに帯電させてもマイナスに帯電させても再結合ライフタイムは長くならないことが確認された。
[実施例5〜8]
直径200mmのn型シリコンウェーハ(抵抗値:10Ω・cm)を同じシリコンウェーハロットから取り出し、各シリコンウェーハを、表1に示す炉内雰囲気温度の熱酸化炉(酸素100%雰囲気)内に表1に示す時間配置して熱酸化処理を施した。熱酸化処理後のμ−PCD法による再結合ライフタイム測定を、図6に示すキャリア注入量で上記測定装置により行った。
上記熱酸化処理後、各シリコンウェーハ表面(熱酸化膜表面)を、コロナ放電処理によりプラス(蓄積側)に帯電させた後、μ―PCD法による再結合ライフタイム測定を、図6に示すキャリア注入量で上記測定装置により行った。
熱酸化処理後であってコロナ放電処理前の再結合ライフタイムを図6(a)に、熱酸化処理後かつコロナ放電処理後の再結合ライフタイムを図6(b)に示す。
図6に示す結果において、熱酸化処理を加熱温度1000℃未満で行った場合(実施例5、8)と1000℃以上で行った場合(実施例6、7)と対比すると、加熱温度1000℃以上で熱酸化処理を行うと(実施例6、7)、加熱温度1000℃で熱酸化処理を行うより、加熱時間は短いにもかかわらずコロナ放電処理前の再結合ライフタイムは長く、上記基準(本実施例では基準(1))にしたがうコロナ放電処理を行うことにより、再結合ライフタイムを更に長くできることが確認できる。したがって、熱酸化処理の加熱温度は1000℃以上とすることが好ましい。ただし、図6の実施例5、8の結果により示されている通り、加熱温度1000℃未満であっても、上記基準にしたがうコロナ放電処理を行うことにより、再結合ライフタイムを長くすることができる。
以上の実施例で測定された再結合ライフタイムの測定結果を用いて、シリコンウェーハの金属汚染の有無や程度を評価することができる。
[実施例9]
直径200mmのn型シリコンウェーハ(抵抗値:10Ω・cm)を同じシリコンウェーハロットから複数枚取り出し、エピタキシャル成長炉において、厚さ5μmのエピタキシャル層を形成するための熱処理を施した。
熱処理は、以下の3水準のエピタキシャル成長炉にて実施した。
水準A:炉内清掃(以下、「メンテナンス」と記載する。)直後のエピタキシャル成長炉
水準B:上記メンテナンスの後、所定時間経過後のエピタキシャル成長炉
水準C:水準Bより更にメンテナンスから時間が経過したエピタキシャル成長炉
水準A、B、Cのエピタキシャル成長炉における熱処理後のウェーハ(エピタキシャルウェーハ)を、炉内雰囲気温度1000℃の熱酸化炉(酸素100%雰囲気)内に10分間配置して熱酸化処理を施した。熱酸化処理後の再結合ライフタイム測定を、上記測定装置によりエピタキシャル層を有する側のエピタキシャルウェーハ表面において行ったところ、いずれも10μs以上(10〜10000μsの範囲)であった。
上記熱酸化処理後のエピタキシャルウェーハ表面(熱酸化膜表面)を、上記基準(1)にしたがいコロナ放電処理によりプラス(蓄積側)に帯電させた後、μ―PCD法による再結合ライフタイム測定を上記測定装置により行った。
[比較例6]
水準A、B、Cのエピタキシャル成長炉における熱処理後のウェーハ(エピタキシャルウェーハ)に対して、上記の熱酸化処理およびコロナ放電処理に代えて、μ−PCD法における測定前の前処理(パッシベーション)として知られているヨウ素/エタノール処理を施した点以外、実施例9と同様とした。ヨウ素/エタノール処理は、上記熱処理後のウェーハを0.05mol/Lのヨウ素含有エタノール溶液に浸漬することにより行った。
実施例9、比較例6では、各水準のエピタキシャル成長炉で熱処理したウェーハ2枚について、上記方法によりμ−PCD法による再結合ライフタイム測定を行った。水準Aのエピタキシャル成長炉で熱処理を行ったウェーハをA−1およびA−2、水準Bのエピタキシャル成長炉で熱処理を行ったウェーハをB−1およびB−2、水準Cのエピタキシャル成長炉で熱処理を行ったウェーハをC−1およびC−2と記載する。
実施例9、比較例6においてA−1、A−2、B−1、B−2、C−1、C−2について測定された再結合ライフタイムをプロットしたグラフを、図7に示す。
エピタキシャル成長炉は、通常、炉内清掃(メンテナンス)から時間が経過すると金属汚染される。したがって、炉内清掃(メンテナンス)直後の水準Aのエピタキシャル成長炉で熱処理を行ったウェーハは、メンテナンスから時間が経過している水準B、Cのエピタキシャル成長炉で熱処理を行ったウェーハと比べ金属汚染量は少ないため、再結合ライフタイムは、水準B、Cのエピタキシャル成長炉で熱処理を行ったウェーハの再結合ライフタイムより短くなるはずである。図7に示されているように、実施例9では、A−1、A−2の再結合ライフタイムが、B−1、B−2、C−1、C−2の再結合ライフタイムより短くなっているため、再結合ライフタイムの測定結果が、金属汚染の程度と良好に相関していることが確認できる。
これに対し、図7に示されているように、比較例6では、A−2の再結合ライフライフタイムが、B−1の再結合ライフタイムより長かった。
また、図7に示されているように、実施例9において同一水準のエピタキシャル成長炉で熱処理を行った2枚のウェーハの再結合ライフタイムの測定結果のばらつきは、比較例6と比べて小さい。
以上の結果から、実施例9において得られた再結合ライフタイムの測定結果に基づき金属汚染を高感度に評価できることが確認できる。
本発明は、シリコンウェーハの製造分野において有用である。

Claims (6)

  1. 評価対象シリコンウェーハに熱酸化処理を施すこと、
    熱酸化処理後のシリコンウェーハの表面にコロナ放電処理を施すこと、
    コロナ放電処理を施したシリコンウェーハ表面において、μ−PCD法により、シリコンウェーハの評価に用いるための再結合ライフタイムを測定すること、
    前記シリコンウェーハの評価に用いるための再結合ライフタイムの測定結果に基づき評価対象シリコンウェーハを評価すること、
    を含み、
    前記評価対象シリコンウェーハの抵抗値は、1〜10Ω・cmの範囲であり、
    前記コロナ放電処理を、下記基準(1)、(2)または(3):
    (1)熱酸化処理後の再結合ライフタイムが10μs以上のn型シリコンウェーハには、μ−PCD法によりシリコンウェーハの評価に用いるための再結合ライフタイムの測定が行われる表面をプラスに帯電させるコロナ放電処理を行う;
    (2)熱酸化処理後の再結合ライフタイムが10μs未満のn型シリコンウェーハには、μ−PCD法によりシリコンウェーハの評価に用いるための再結合ライフタイムの測定が行われる表面をマイナスに帯電させるコロナ放電処理を行う;
    (3)熱酸化処理後の再結合ライフタイムが10μs以上のp型シリコンウェーハには、μ−PCD法によりシリコンウェーハの評価に用いるための再結合ライフタイムの測定が行われる表面をマイナスに帯電させるコロナ放電処理を行う、
    にしたがい行う、シリコンウェーハの評価方法。
  2. 前記熱酸化処理を、雰囲気温度1000℃以上の酸化性雰囲気中に評価対象シリコンウェーハを配置することにより行う、請求項1に記載のシリコンウェーハの評価方法。
  3. 前記熱酸化処理とコロナ放電処理との間に、μ−PCD法によりシリコンウェーハの評価に用いるための再結合ライフタイムの測定が行われるシリコンウェーハ表面において、コロナ放電処理判定用再結合ライフタイムの測定をμ−PCD法により行うことを更に含む、請求項1または2に記載のシリコンウェーハの評価方法。
  4. 複数のシリコンウェーハを含むシリコンウェーハのロットを準備すること、
    前記ロットから少なくとも1つのシリコンウェーハを抽出すること、
    前記抽出されたシリコンウェーハを評価すること、および、
    前記評価により良品と判定されたシリコンウェーハと同一ロットに含まれていた少なくとも1つのシリコンウェーハを製品シリコンウェーハとして出荷すること、
    を含み、かつ、
    前記抽出されたシリコンウェーハの評価を、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリコンウェーハの評価方法によって行う、シリコンウェーハの製造方法。
  5. 評価対象の熱処理炉においてシリコンウェーハの熱処理を行うこと、
    前記熱処理されたシリコンウェーハを請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリコンウェーハの評価方法により評価すること、および、
    上記評価により得られた再結合ライフタイムに基づき前記熱処理炉の金属汚染を評価すること、
    を含む、熱処理炉の評価方法。
  6. 請求項5に記載の熱処理炉の評価方法により熱処理炉の評価を行うこと、および、
    評価の結果、金属汚染なし、もしくは金属汚染の程度が許容レベルと判定された熱処理炉において、または、評価の結果、金属汚染の程度が許容レベルを超えると判定された熱処理炉に金属汚染低減処理を施した後に該熱処理炉において熱処理を行うこと、
    を含む、シリコンウェーハの製造方法。
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