JP6553865B2 - 穿刺針カートリッジ、穿刺針カートリッジを装着する穿刺器具、穿刺針カートリッジを作成する金型、および穿刺針カートリッジの製造方法 - Google Patents

穿刺針カートリッジ、穿刺針カートリッジを装着する穿刺器具、穿刺針カートリッジを作成する金型、および穿刺針カートリッジの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、血糖値を測定するために人体に針を穿刺し血液を流出させるための穿刺針カートリッジ、この穿刺針カートリッジを装着する穿刺器具、この穿刺針カートリッジを作成する金型、およびこの穿刺針カートリッジの製造方法に関するものである。
従来のこの種、穿刺針カートリッジは、穿刺針を有するランセット本体と、このランセット本体の外周に装着されたランセットケースと、このランセットケースに設けられた穿刺器具への装着羽根(使用時に動作させる可動体の一例)と、を備えた構成となっている(例えば、下記特許文献1)。
そして、穿刺針カートリッジは、穿刺器具に装着され、次に、穿刺針カバー部を取り外し、その後、穿刺場所に向けて穿刺動作が行われた後、穿刺器具から穿刺針カートリッジが排出されるようになっている。
国際公開第2007/145205号公報
上記従来例における課題は、血液の感染リスクを確実に防止することができないおそれがあるということであった。
すなわち、例えば、穿刺針カートリッジおよび穿刺器具が病院で使用される場合、一度他の患者に使用した穿刺針カートリッジを、誤って穿刺器具に再装着して使用すると、他の患者の血液による感染リスクが発生してしまう。
そこで、本発明においては、血液の感染リスクを防止することが可能な穿刺針カートリッジ、穿刺針カートリッジを装着する穿刺器具、穿刺針カートリッジを作成する金型、および穿刺針カートリッジの製造方法を提供することを目的とする。
この目的を達成するために本発明の穿刺針カートリッジは、使用時に動作させる可動体と、穿刺針を有するランセット本体と、ランセット本体の外周に装着されたランセットケースと、可動体を収納する収納部と、を備えている。収納部は、可動体が挿入される開口部と、可動体が挿入された状態で可動体に当接して保持する保持部と、を有している。保持部には、可動体を保持する側に突出する保持本体が設けられている。保持本体には、可動体との当接により塑性変形させる塑性体が設けられている。
以上のように本発明の穿刺針カートリッジにおいて、収納部は、可動体が挿入された状態で可動体に当接して保持する保持部を有し、保持部には、可動体を保持する側に突出させた保持本体を設け、この突出部には、可動体との当接により塑性変形させる塑性体を設けた構成としたので、血液の感染リスクを防止することができる。
すなわち、本発明においては、穿刺針カートリッジが穿刺器具から排出される時に、ランセットケースの装着羽根(可動体の一例)は、穿刺器具により回動されて収納部に収納されるが、この時、装着羽根は、この装着羽根に向けて突出させた保持本体に設けた塑性体に当接し、この塑性体を折り曲げながら収納される。このため、折り曲げられて塑性変形した塑性体が、装着羽根を保持することができる。
したがって、一度使用した穿刺針カートリッジを、穿刺器具に誤って再装着しようとしても、穿刺針カートリッジは、その装着羽根が収納部に収納されているので、穿刺器具に適切に再装着されることはない。
その結果として、一度使用された穿刺針カートリッジが再使用されることを確実に防止することで、使用済み穿刺針カートリッジの再使用に伴う血液の感染リスクを防止することができる。
本発明の一実施の形態の参考例1に係る穿刺針カートリッジの使用状態を示す斜視図。 図1の穿刺針カートリッジの分解斜視図。 図1の穿刺針カートリッジの斜視図。 (a)および(b)は、図1の穿刺針カートリッジの要部の拡大斜視図。 図1の穿刺針カートリッジの要部の拡大断面図。 図1の穿刺針カートリッジを装着する穿刺器具の分解斜視図。 図1の穿刺針カートリッジと穿刺器具の断面図。 図1の穿刺針カートリッジと穿刺器具の断面図。 図1の穿刺針カートリッジと穿刺器具の断面図。 図1の穿刺針カートリッジと穿刺器具の断面図。 図1の穿刺針カートリッジと穿刺器具の断面図。 図1の穿刺針カートリッジと穿刺器具の断面図。 図1の穿刺針カートリッジと穿刺器具の断面図。 図1の穿刺針カートリッジと穿刺器具の断面図。 図1の穿刺針カートリッジと穿刺器具の要部の拡大断面図。 図1の穿刺針カートリッジと穿刺器具の要部の拡大断面図。 図1の穿刺針カートリッジと穿刺器具の要部の拡大断面図。 図1の穿刺針カートリッジと穿刺器具の要部の拡大断面図。 図1の穿刺針カートリッジと穿刺器具の要部の拡大断面図。 図1の穿刺針カートリッジと穿刺器具の要部の拡大断面図。 図1の穿刺針カートリッジと穿刺器具の要部の拡大断面図。 図1の穿刺針カートリッジと穿刺器具の要部の拡大断面図。 図1の穿刺針カートリッジと穿刺器具の要部の拡大断面図。 図1の穿刺針カートリッジと穿刺器具の要部の拡大断面図。 図1の穿刺針カートリッジと穿刺器具の要部の拡大断面図。 本発明の一実施の形態の参考例2に係る穿刺針カートリッジと穿刺器具の要部の拡大断面図。 図26の穿刺針カートリッジと穿刺器具の要部の拡大断面図。 図26の穿刺針カートリッジと穿刺器具の要部の拡大断面図。 (a)は、図26の穿刺針カートリッジの要部の拡大斜視図。(b)は、図26の穿刺針カートリッジの要部の拡大断面図。 (a)は、本発明の一実施形態に係る穿刺針カートリッジの収納部の拡大斜視図。(b)は、(a)の穿刺針カートリッジの収納部の拡大断面図。 図30の穿刺針カートリッジの収納部の拡大図。 図30の穿刺針カートリッジの収納部の拡大図。 図30の穿刺針カートリッジを作成する金型の斜視図。 図30の穿刺針カートリッジを作成する金型の断面図。 (a)は、図30の穿刺針カートリッジを作成する金型の要部の断面図。(b)は、(a)の要部の拡大断面図。 (a)は、従来の穿刺針カートリッジを作成する金型の要部の断面図。(b)は、(a)の要部の拡大断面図。
以下、本発明の一実施形態に係る穿刺針カートリッジ、穿刺針カートリッジを装着する穿刺器具、穿刺針カートリッジを作成する金型、および穿刺針カートリッジの製造方法について説明する。
(参考例1)
まず、図1は、本実施形態の穿刺器具1の前提となる参考例の構成を示している。
穿刺器具1は、例えば、血糖値を測定するために、人体に針を穿刺し血液を流出させるものであって、長筒状の本体ケース2の前端開口部3に、図2および図3に示す穿刺針カートリッジ4が装着された状態で穿刺を行う。
図2は、穿刺針カートリッジ4の分解斜視図である。
穿刺針カートリッジ4は、樹脂製で円柱状のランセット本体5と、樹脂製で円筒形状のランセットケース6と備えている。
ランセット本体5は、その後端側に穿刺器具1への接続部7、前端側に穿刺針カバー部8、中間部に破断部9を有している。破断部9には、その前後に渡って、穿刺針10(図10から図14参照)が埋め込まれている。穿刺針カバー部8には、リング形状の取手11が設けられている。
また、穿刺針カバー部8には、2個の螺旋状のガイド突起12が設けられている。ランセット本体5には、破断部9よりも後方側に2個の摺動突起13が設けられている。
ランセット本体5は、図3に示すように、その中間部外周にランセットケース6が装着されると、摺動突起13は、ランセットケース6の摺動溝14に係合されて摺動溝14内を前後方向に摺動する。また、穿刺針カバー部8のガイド突起12は、ランセットケース6内面に設けられた2個の螺旋状の案内部15(図2の破線部分)の前端側に当接する。
この構成により、使用者が取手11を持って、穿刺針カバー部8をランセットケース6側に押し込む(近づける)と、ガイド突起12上を螺旋状の案内部15が摺動することで、ランセットケース6はランセット本体5の周りを、例えば、右回りに旋回する。旋回するランセットケース6は、摺動溝14および摺動突起13を介して、ランセット本体5の破断部9よりも後端側を、図2に示すように、右回りに回転させる。一方、破断部9よりも前端側は、案内部15からの反力により、左回りの回転力を受ける。
その結果、破断部9の前後の接続部に逆方向の回転力を発生させ、破断部9が破断する。
なお、ランセットケース6の外周の凹部16内には、穿刺器具1への装着に使用される装着羽根17が設けられている。図4は、この装着羽根17の拡大図であり、図5は、その断面(図3のA断面)図である。
装着羽根17は、以下の実施形態1の構成において特徴的なものの1つであって、穿刺針カートリッジ4が穿刺器具1から排出される時に、装着羽根17を、図4(a)の状態から図4(b)の状態へと回動して破損させる(変形させる)。
これにより、一度使用された穿刺針カートリッジ4が、穿刺器具1に再度、装着されることを防止することができる。
なお、穿刺針カートリッジ4の構成および動作については、後で詳細に説明する。
図6は、穿刺針カートリッジ4が装着される穿刺器具1の分解斜視図である。
穿刺器具1は、前端開口部3と把持部18と後端開口部19とを有する筒状の本体ケース2を備えている。本体ケース2内には、メインロッド20が設けられている。メインロッド20には、ランセットホルダ21を有する射出ロッド22が前後方向に摺動自在に装着されている。
本体ケース2には、射出ロッド22を本体ケース2の前端側に付勢するためのメインスプリング(付勢体の一例)23が設けられている。そして、本体ケース2の後端側には、穿刺動作、排出動作の操作を行うための操作ボタン24が設けられている、さらに、本体ケース2の前端開口部3には、穿刺針カートリッジ4を挿入させる筒状のブッシュ25が設けられている。
穿刺器具1に対して穿刺針カートリッジ4を装着する時には、図7に示すように、使用者は、穿刺針カートリッジ4の取手11を持ち、ランセット本体5後端の接続部7側から穿刺器具1の前端開口部3に押し込む。すると、図8に示すように、接続部7がランセットホルダ21の前端に当接する。その後、図9に示すように、接続部7において、ランセット本体5がランセットホルダ21に装着される。
図9に示す状態では、ランセット本体5が穿刺器具1内へと押し込まれたことにより、ランセットホルダ21、射出ロッド22が後方側へと押し込まれる。このため、射出ロッド22の穿刺カム22aを介して、メインスプリング23は後方側へと引かれて穿刺力(つまり穿刺のための射出力)が畜力される。この畜力は、図10に示すように、本体ケース2の後方で、射出ロッド22後端のロック爪22bと、メインロッド20に回転自在に設けられたロック体26の係合爪26aが係合することで保持される。
穿刺針カートリッジ4では、図8および図9に示すように、穿刺針カバー部8がランセットケース6側に押し込まれるので、上述のように、ランセット本体5の破断部9が破断する。その後、図10に示すように、取手11が引かれると、穿刺針カバー部8が穿刺針10から外され、装着動作が完了する。
次に、穿刺動作について説明すれば以下の通りである。
穿刺器具1の操作ボタン24が押されると、図11に示すように、操作ボタン24前端の操作体24aが、上傾斜面部で押出爪26bを押し上げてロック体26を回転させる。すると、図10に示したロック爪22bと係合爪26aの係合が、図11に示すように解除され、メインスプリング23の穿刺力により、射出ロッド22は前方側へと発射される。その結果、ランセット本体5の穿刺針10が穿刺針カートリッジ4の前端から射出され、穿刺が行われる。
その後、図12に示すように、メインスプリング23により射出ロッド22が定位置へと引かれることで、穿刺針10がランセットケース6内へと引き戻される。
穿刺動作が終了すると、穿刺針カートリッジ4の排出動作が行われる。
具体的には、図12の状態から操作ボタン24が押されると、図13に示すように、操作体24a、押出爪26b、ロック体26を介して、メインロッド20は前方側へと摺動する。
メインロッド20では、射出ロッド22がケースストッパ当て22cをストッパ27に当接させて停止するが、メインロッド20自体は前方側への摺動を続ける。そして、前端側のホルダ挿入筒20aが、穿刺針カートリッジ4のランセットケース6の後端を押すと、穿刺針カートリッジ4では、ランセットケース6の摺動溝14、摺動突起13を介してランセット本体5が前方側に引かれる。そして、図14に示すように、ランセット本体5は、その接続部7がランセットホルダ21の前端から引き抜かれ、ランセットケース6と共に、穿刺器具1の前端開口部3から排出される。
その結果、穿刺針カートリッジ4は、本体ケース2外へと押し出され、排出動作が完了する。
以上の説明により、本実施形態の前提となる基本的な構成および動作が理解された所で、以下で、本参考例1の主な特徴点について説明する。
本参考例1の主な特徴は、図2および図3に示すように、ランセットケース外周に、図4に示す穿刺器具1への装着羽根17が設けられており、ランセット本体5が穿刺器具1から排出される際に、図5に示すように、装着羽根17を破損させる点にある。
具体的には、装着羽根17は、図4(a)に示すように、外方に向けて突出させた細長い平板形状を有している。そして、根元部分が装着台28に接続され、その先端を遊端(自由端)としている。先端側は、ランセットケース6の前端側に向けて傾斜していると共に、ランセットケース6の軸に垂直な方向に回動自在に形成されている。
そして、図3に示すように、ランセットケース6の外周には、ランセットケース6の前端側から後端側にかけて凹部16が、180度対向して設けられている。凹部16の底面では、ランセットケース6の後端側に、2個(複数個)の装着羽根17が180度対向して設けられている。
なお、ランセットケース6、装着羽根17、および装着台28は、弾性樹脂によって一体成形されている。
装着台28は、図4(a)および図5に示すように、断面が三角形となる三角柱形状で、凹部16の底部に形成されている。
三角柱の装着台28の一面は、ランセットケース6に接続されている。他の一面は、前側(ランセットケース6の前端側で、図4および図5の下側)における傾斜面28aである。そして、残りの一面は、後側(図4および図5の上側)においてランセットケース6に対して垂直な垂直面28bである。また、装着台28の両端は、凹部16の側面部にそれぞれ接続して固定させている。
装着台28は、装着羽根17の先端側が回動自在になるように、傾斜面28aにおいて装着羽根17の根元部分と接続されている。このように、傾斜面28aと装着羽根17とが接続されることで、図4(b)に示すように、装着羽根17の根元部分に弱部(破損開始部29)が形成される。これにより、破損開始部29を回動によって破損させる(変形させる)。
このため、穿刺針カートリッジ4が穿刺器具1から排出される時には、図4(b)に示すように、穿刺器具1内で、装着羽根17はランセットケース6の後端側へと回動させられて破損開始部29が破損される。これにより、装着羽根17は、破損させられる。
したがって、一度使用した穿刺針カートリッジ4を、穿刺器具1に誤って再装着しようとしても、穿刺針カートリッジ4は、穿刺器具1への装着羽根17が破損しているので、穿刺器具1に再装着されることはない。
この動作を行わせるために、穿刺器具1には、図6に示すように、樹脂製で筒状のブッシュ25が設けられている。
ブッシュ25には、図15に示すように、穿刺針カートリッジ4の装着羽根17を係合させる係合孔30が設けられている。
なお、図15は、穿刺針カートリッジ4を装着する時(つまり、ランセット本体5を穿刺器具1に装着する時)の状態を示す図である。
図15に示すように、装着羽根17が係合孔30に係合されることで、ランセットケース6を穿刺器具1のブッシュ25内周面に装着させる(図8と図9の間の状態)。
この後、穿刺が終了すると、上述のように、ホルダ挿入筒20aが、ランセットケース6の後端を押すことにより、ランセットケース6と共にランセット本体5が穿刺器具1から排出される。
本参考例1においては、ブッシュ25には、装着羽根17を回動により破損させられる破損部として、係合孔30の前方側の内側の側壁(破損部の一例)30aを用いている。そして、側壁30aによって、穿刺針カートリッジ4の装着羽根17の先端を、外方側、後方側へと回動させる。
このため、ランセットケース6が前方側(図15の左側)に向けて排出されると、ランセットケース6外周の装着羽根17の先端は、係合孔30の前方側の側壁30aに当たって、図16に示すように、ランセットケース6の外方側へと回動させられる。そして、この回動により、装着羽根17の根本付近の破損開始部29が破損させられる。
その後、装着羽根17の先端は、図17に示すように、係合孔30の側壁30aの内方側端部によって、ランセットケース6の後方側へと回動させられる。そして、最終的には、図18および図4(b)に示すように、ランセットケース6外周に沿って折りたたまれ、装着羽根17は破損した状態となる。
本参考例1のランセットケース6には、図4(b)に示すように、凹部16の後方側によって、回動した装着羽根17を収納するための収納部16aが形成されている。このため、破損させた装着羽根17は、収納部16aに収納させることができるので、排出動作時にブッシュ25の内面に引っかかることがない。
なお、上述のように、ランセットケース6、装着羽根17、装着台28は、弾性樹脂で一体成形されている。これにより、破損させた装着羽根17は完全には破断されず、凹部16内で、装着台28に僅かな部分で繋がれた状態となる。
そして、図19に示すように、破損させた装着羽根17はブッシュ25外へと排出され、穿刺針カートリッジ4の排出動作が完了する。
すなわち、本参考例1の穿刺針カートリッジ4では、使用後に装着羽根17が破損させられる。
その後、使用された穿刺針カートリッジ4は、廃棄されるまで保管される。
ここで、このような保管時に、穿刺針カートリッジ4に再び取手11を装着して保管することも多い。しかし、この状態では、未使用の穿刺針カートリッジ4と、使用された穿刺針カートリッジ4は、一見して、判別することが難しい。このため、一度使用された穿刺針カートリッジ4が、誤って穿刺器具1に再装着され使用されてしまうおそれがある。
この様な場合も、本参考例1の穿刺針カートリッジ4は、使用後に穿刺器具1への装着羽根17を破損させるので、穿刺器具1に適切に再装着されることはない。
そして、本参考例1においては、使用済みの穿刺針カートリッジ4の再装着を確実に防止するために、図6に示すように、穿刺針カートリッジ4の再装着を防止する再装着防止部31が設けられている。再装着防止部31は、穿刺器具1のブッシュ25の外周における180度対向した位置に、2個(複数個)設けられている。
再装着防止部31は、金属製の薄い長板状のバネ(付勢体の一例)32と、樹脂製の再装着防止片33とを有している。バネ(付勢体の一例)32は、その後端側がブッシュ25にネジ止めされて前端側が遊端(自由端)となる。そして、この遊端に、穿刺針カートリッジ4の破損した装着羽根17と係合させる樹脂製の再装着防止片33が設けられている。再装着防止片33は、バネ32によって、ブッシュ25の軸に垂直な方向に付勢される。
ブッシュ25には、図15〜図25に示すように、動作孔34が設けられている。
動作孔34内では、再装着防止部31の再装着防止片33が、ブッシュ25の軸に垂直な方向において可動自在となっている。
再装着防止片33には、図24に示すように、破損させて回動した装着羽根17の先端と係合させるために、係合突起35がブッシュ25の内壁よりも内方側に突出させて設けられている。そして、係合突起35をランセットケース6の凹部16内に進入させている。
なお、再装着防止片33を動作しやすくするために、動作孔34は再装着防止片33よりもわずかに大きく形成している。
この構成で、以下で再装着防止機能について説明する。
先ず、図20〜図23を用いて、未使用の穿刺針カートリッジ4が穿刺器具1に装着される場合を説明し、次に、一度使用された穿刺針カートリッジ4が穿刺器具1に装着される場合を説明する。
図20に示すように、未使用の穿刺針カートリッジ4が穿刺器具1へ装着される場合には、2個の装着羽根17は開かれてランセットケース6の凹部16から外方に突出し、その装着羽根17間の大きさは、ブッシュ25の開口直径より大きくなっている。
そして、図21に示すように、ランセットケース6がブッシュ25に挿入されると、2個の装着羽根17はブッシュ25の内周壁によって折りたたまれて(回動されて)、ランセットケース6の凹部16の前方側に収納される。
本参考例1においては、さらにランセットケース6が挿入されると、図22に示すように、2個の装着羽根17は、動作孔34に到達する。動作孔34内では、その弾性によって再装着防止片33がブッシュ25外方へと押し出されて開いた状態となる。
このため、再装着防止片33の係合突起35が、装着羽根17と係合することはない。
その後、図23に示すように、2個の装着羽根17は、動作孔34の後側内壁によって再び折りたたまれる。なおこの時まで、装着羽根17は、再装着防止片33をブッシュ25外方へと押し出した状態となっている。
その後、図15に示すように、装着羽根17は、係合孔30に到達すると、係合孔30内で再び外方へと開かれる。このように、装着羽根17が係合孔30に係合(収納)されることで、ランセットケース6はブッシュ25に装着される。
つまり、装着羽根17は、まだ破損していないので、その弾性により再装着防止片33を外方へと押し出しながら係合孔30に係合される。
そして、穿刺後に穿刺針カートリッジ4の排出動作が行われると、上述のように、装着羽根17が破損させられる。
次に、図24を用いて、一度使用された穿刺針カートリッジ4が穿刺器具1に再装着される場合を説明する。
使用者は、取手11を持って穿刺針カバー部8をランセット本体5の穿刺針10に被せる。そして、取手11を用いて、穿刺針カバー部8を介してランセット本体5の後端側をブッシュ25に押し込んでいくと、穿刺針カバー部8の穿刺針10側がランセットケース6の内部に設けた受部(図示せず)に当接する。
このため、穿刺針カバー部8は、ランセット本体5の後端側とランセットケース6とを、一体的にブッシュ25に押し込む。
この時には、装着羽根17は破損し、その先端をランセットケース6の後端側(ランセット本体5の接続部7側)に向けた状態で、収納部16aに収納されている。
本参考例1においては、上述のように、再装着防止片33に設けられた係合突起35が、ランセットケース6の凹部16内(収納部16a内)に進入していく。
このため、収納部16a内の装着羽根17は、その先端部が再装着防止片33の係合突起35に当接するので、これ以上、ランセットケース6が穿刺器具1内へと押し込まれることはない。よって、装着羽根17の先端部が、係合孔30に到達することはない。
したがって、ランセットケース6は、ブッシュ25に装着されることはない。
なお、動作孔34は、装着羽根17を係合させる係合孔30の前方側に設けられている。このため、装着羽根17が係合孔30に到達する前に、装着羽根17を係合突起35に当接させることができる。よって、この点からも、装着羽根17が係合孔30に到達することはない。
なお、装着羽根17が係合突起35に当接すると、ランセットケース6が停止し、使用者は穿刺針カバー部8を押し込めなくなる。これにより、ランセット本体5も停止し、これ以上ランセット本体5は穿刺器具1内へ押し込まれない。このため、ランセット本体5の押し込み量が不足し、メインスプリング23に穿刺力が畜力されることはない。また、射出ロッド22後端のロック爪22bが、ロック体26の係合爪26aとロックされることもない。つまり、穿刺の準備が整うことはない。
したがって、使用者が、一度使用された穿刺針カートリッジ4を、穿刺器具に誤って再装着しようとしても、装着羽根17が破損しているため、ランセットケース6はブッシュ25に装着されることはない。しかも、、穿刺の準備が整うこともないため、穿刺針カートリッジ4が穿刺器具1に適切に再装着されることを確実に防止することができる。
その結果、一度使用された穿刺針カートリッジ4が再使用されることはなくなり、血液の感染リスクをより確実に防止することができる。
なお、本参考例1では、装着羽根17が再装着防止片33の係合突起35に係合した時に、バネ32が撓むことで、係合突起35を動作孔34の後方の側壁(受部の一例)34aに当接する。このため、ランセットケース6の押し込み力を、動作孔34の側壁34aを介してブッシュ25で受け止めることができる。よって、装着羽根17と再装着防止片33の係合突起35との係合がはずれてしまうことはない。
さてここで、破損させた装着羽根17は装着台28に僅かな部分で繋がれた状態となっているので、保管状態によっては、例えば、机などに当接させた衝撃により、破損させた装着羽根17が装着台28から剥がれてしまうおそれがある。
そこで、本参考例1においては、図4(a)に示すように、ランセットケース6の外周には、装着羽根17の根元が接続される装着台28が設けられている。そして、装着台28の後側を、ランセットケース6に対して垂直となった垂直面(再装着防止壁の一例)28bとしている。そして、垂直面28bが、図25に示すように、再装着防止片33の係合突起35に当接する。
このため、装着羽根17が装着台28から剥がれた状態で、ランセット本体5の接続部7が穿刺器具1に再装着されると、垂直面28bが再装着防止片33の係合突起35に当接する。このため、これ以上、ランセット本体5を押し込むことができない。その結果、穿刺針カートリッジ4が穿刺器具1に再装着されることをより確実に防止することができる。
なお、本参考例1においては、図4(a)および図4(b)に示すように、ランセットケース6の収納部16aの両側面に、内方に向けて突出させた一対の保持部36が、設けられている。そして、保持部36において、回動された装着羽根17の両側面が保持される。
この構成によれば、図4(b)に示すように、装着羽根17が保持部36によって保持されるので、装着羽根17が装着台28から剥がれてしまうのを抑制することができる。
以上のように、本参考例1の穿刺針カートリッジ4は、後端側に穿刺器具1への接続部7、前端側に穿刺針カバー部8、中間部に破断部9を有するランセット本体5と、ランセット本体5の破断部9の前後に渡ってこのランセット本体5に埋め込まれた穿刺針10と、ランセット本体5の中間部外周に装着されたランセットケース6と、ランセットケース6の外周に形成された穿刺器具1への装着羽根17と、を備えている。
そして、装着羽根17は、ランセット本体5が穿刺器具1に装着される時に、穿刺器具1に係合され、ランセット本体5が穿刺器具1から排出される時に、装着羽根17が破損されるため、血液の感染リスクを防止することができる。
すなわち、本参考例1の穿刺針カートリッジ4は、ランセットケース6の外周に形成された穿刺器具1への装着羽根17を備えている。そして、ランセット本体5が穿刺器具1から排出される時には、装着羽根17が破損される。
これにより、使用された穿刺針カートリッジ4は、穿刺器具1からの排出動作時に、装着羽根17が破損される。
したがって、一度使用された穿刺針カートリッジ4を、穿刺器具1に誤って再装着しようとしても、穿刺針カートリッジ4は、穿刺器具1への装着羽根17が破損しているので、穿刺器具1に対して再装着されることをより確実に防止することができる。
その結果、一度使用された穿刺針カートリッジ4が再使用されることを確実に防止することで、使用済み穿刺針カートリッジ4の再使用に伴う血液の感染リスクを防止することができる。
(参考例2)
本発明の一実施形態に係る穿刺針カートリッジの他の参考例について、図面を用い説明すれば以下の通りである。
本参考例2の穿刺針カートリッジは、上記参考例1の穿刺針カートリッジと比較して、再装着防止部の構成が異なるが、その他の構成についてはほぼ同様である。
ここでは、同じ形状・機能を有する部材については、上記参考例1と同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
具体的には、上記参考例1の再装着防止部31は、図6に示すように、バネ32と再装着防止片33によって構成されていた。本参考例2では、図26に示すように、再装着防止突起(再装着防止部の一例)37が、ブッシュ25の内面において、係合孔30の後方側をブッシュ25の内方に突出させて設けられている。
このため、一度使用された穿刺針カートリッジ4が穿刺器具1に再装着される時には、上述のように、穿刺針カバー部8によってランセットケース6とランセット本体5とが一体的にブッシュ25に押し込まれる。この時、装着羽根17は、その先端がランセットケース6の後端側(ランセット本体5の接続部7側)に向けて収納部16a内に収納されている。このため、この先端部がブッシュ25の内面に設けられた再装着防止突起37に当接して停止する。
ここで、再装着防止突起37は、装着羽根17への当接位置(当接部)が、ランセット本体5を所定の穿刺準備位置よりも前方側(図26の左側)になるように設けられている。
なお、所定の穿刺準備位置とは、ランセット本体5がその押し込みによって、本体ケース2の後方で、射出ロッド22後端のロック爪22bとロック体26の係合爪26aとを係合させる位置である。
このため、ランセットケース6とランセット本体5とは、図26の距離D分だけ、穿刺準備位置の手前で停止する。すなわち、ランセット本体5の押し込み量が距離D分だけ不足するので、メインスプリング23に十分な穿刺力が畜力されることはない。また、本体ケース2の後方で、射出ロッド22後端のロック爪22bと、ロック体26の係合爪26aとが係合することもない。つまり、ここでは穿刺が行える状態にはならない。
したがって、一度使用された穿刺針カートリッジ4を穿刺器具1に誤って再装着しようとしても、穿刺針カートリッジ4が穿刺器具1に再装着されることはない。
その結果、一度使用された穿刺針カートリッジ4が再使用されることを確実に防止することができるため、血液の感染リスクを防止することができる。
さらに、本参考例2においては、収納部16a内の装着羽根17を再装着防止突起37に確実に当接させるため、図27に示すように、ブッシュ25には、穿刺針カートリッジ4の破損した装着羽根17をランセットケース6の収納部16aに収納させる押込部38が設けられている。
なお、押込部38は、上述した参考例1の再装着防止部31の代わりに設けられている。
具体的には、押込部38は、金属製の薄い長板状のバネ(付勢体の一例)39と樹脂製の押込片40とを有している。
バネ39は、その後端側がブッシュ25にネジ止めされ、前端側が遊端(自由端)となっている。この遊端には、破損した装着羽根17を収納部16a内に押し込む樹脂製の押込片40が設けられている。押込片40は、収納部16aに対向する面を曲面とし、バネ39によってブッシュ25の軸に垂直な方向に付勢される。
ブッシュ25には、押込片40を動作させる動作孔34b(参考例1における動作孔34)が設けられている。押込片40は、動作孔34b内で、ブッシュ25の軸に垂直な方向において可動自在に設けられている。
したがって、図27に示すように、ランセット本体5が穿刺器具1から排出される時には、破損した装着羽根17を、押込片40の曲面で収納部16a内に押し込むことができる。
なお、押込片40は、収納部16aに対向する面が曲面になっている。このため、図28に示すように、ランセット本体5が穿刺器具1に装着される時には、押込片40の曲面に接しながら装着羽根17が移動する。このため、装着羽根17が係合孔30に係合する動作を押込片40が妨げることはない。
さらに、本参考例2においては、図29に示すように、長方形状の収納部16aの底部には、収納される破損した装着羽根17を受け止める(当接させる)ために、長方形状の当接部41が外方に突出するように設けられている。
このため、図27に示すように、押込片40が装着羽根17を収納部16aに押し込むと、装着羽根17は当接部41で受け止められて、適切な位置に位置決めされる。したがって、装着羽根17を再装着防止突起37に確実に当接させることができる。
その結果、一度使用された穿刺針カートリッジ4が再使用されることを確実に防止して、使用済み穿刺針カートリッジ4の再使用に伴う血液の感染リスクを防止することができる。
(実施の形態1)
本発明の一実施形態に係る穿刺針カートリッジの構成について、図面を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、上述した参考例1,2で説明した構成と同じ形状・機能を有する部材については、上記参考例1,2と同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
本実施の形態1においては、上述した参考例1,2の収納部16aに工夫を加えている。これにより、一度使用した穿刺針カートリッジ4の再使用を確実に防止することで、使用済み穿刺針カートリッジ4の再使用に伴う血液の感染リスクを防止する。
以下に、本実施の形態の穿刺針カートリッジ4について、詳細に説明する。
本実施の形態においては、上述した参考例1,2と同様に、装着羽根(穿刺針カートリッジ4の使用時に動作させる可動体の一例)17は、図30に示すように、長方形状の空間を形成した収納部16aに収納される。
収納部16aは、図29および図30に示すように、凹部状に形成され、装着羽根(可動体の一例)17を挿入させる開口部42と、装着羽根17が挿入された状態で装着羽根17動体に対向させる一対の側面16bと、側面16bに設けられた装着羽根17を保持させる保持部36と、を有している。一対の保持部36は、収納部16aの一対の側面16bに設けられている。
保持部36は、図31および図32に示すように、基台を形成する保持本体43と、装着羽根17との当接によって塑性変形する塑性体44と、を有している。
基台の保持本体43は、側面16bから収納部16a内に収納される装着羽根17を保持する側に向けて突出するように設けられている。そして突出した側の先端部分には、塑性変形させる塑性体44が設けられている(いわゆるバリ状態に塑性体44が設けられている)。
塑性体44は、基台の保持本体43よりも薄肉になるように形成している。また、保持本体43と塑性体44とは、ランセットケース6、装着羽根17と共に一体的に樹脂成形される。
以上の構成により、穿刺針カートリッジ4を使用する時、具体的には、穿刺針カートリッジ4を穿刺器具1から排出させる時に、装着羽根17は、図29から図30へと回動され、収納部16a内に収納される。この時、装着羽根17が塑性体44に当接し、バリ状態の塑性体44は、装着羽根17によって、図31および図32に示すように、収納部16aの底部に向けて折り曲げられ、塑性変形される。
このため、装着羽根17は、両側面を一対の塑性体44によって挟持された状態となり、塑性体44の塑性変形によって生じる弾性によって保持される。
さらに、図29に示すように、基台の保持本体43は、三角柱状を有しており、その長手方向がランセットケース6の軸に沿って設けられている。つまり、保持本体43は、収納部16a内で、一対の側面16bに沿って対向させた状態で設けられている。その突出側の先端では、ほぼ全長に渡って塑性体44が形成されている。このため、長く形成された塑性体44で、装着羽根17を安定的に保持することができる。
さらにまた、保持本体43では、図31に示すように、装着羽根17を保持する側の端を側壁から突出させた角部(第1の角部)45が形成されている。塑性体44では、装着羽根17を保持する側の端を保持本体43の角部45から突出させて角部(第2の角部)46が形成されている。そして、保持本体43の柱軸に垂直な方向の断面において、塑性体44の角部46は、保持本体43の角部45よりも鋭角になっている。
このため、塑性体44は、基台の保持本体43よりも折り曲げに対して弱くなる。これにより、塑性体44は、図32に示すように、保持本体43の端において、収納部16aの底部に向けて安定的に折り曲げることができる。
本実施形態の収納部16aを有するランセットケース6を樹脂成形する方法を、以下に説明する。
図33は、ランセットケース6を樹脂成形する金型を示している。金型は、樹脂が注入されるキャビ47と、相手方のコア48とを備えている。
図34は、図33におけるキャビ47のA部分での断面図であり、丸B1、丸B2で示す部分で収納部16aを成形する。
図35(a)は、図34の丸B1部分、つまりキャビ47の収納部16aを成形する部分を拡大した図である。図35(b)は、その丸B3部分を切削するときの図である。
本実施形態のキャビ47は、収納部16aを有するランセットケース6を樹脂成形する金型の部分であって、保持部36に設けられた塑性体44の先端を成形する部分によって2分割されている。
具体的には、この先端部よりも収納部16aの開口部42側(図35の上側)を成形するキャビ(第1の金型)47aと、開口部42と反対側(図35の下側)を成形するキャビ(第2の金型)47bとに2分割される。このため、保持部36の先端において、塑性体44を形成することができる。
すなわち、従来のキャビ149においては、図36(a)に示すように、保持部150に対応する部分を切削する時、図36(b)に示すように、円柱状の切削工具151を回転させ保持部150の形状に沿った加工軌跡K1上を移動させる。
このため、キャビ149における保持部150の先端部に対応する凹部は、切削工具151の半径に従って曲面状に切削される。これにより、保持部150の先端は丸く成形されてしまい、その先端に塑性体144を形成することができなかった。
そこで、本実施形態においては、キャビ47を、上述のように、キャビ47aと、キャビ47bとに分割させた。このため、図35(b)に示すように、それぞれを別々に切削することができる。
そして、切削後にキャビ47aと、キャビ47bとの分割面を合わせると、図35(a)に示すように、キャビ47の保持部36の先端に対応する部分を鋭角状に形成することができる。よって、保持部36の先端に塑性体44を形成することができる。
この切削について具体的に説明すると、キャビ47aでは、切削工具51を加工軌跡K2で移動させて切削を行う。まず、分割面となる平面を切削した後、この平面に対して切削工具51を所定の角度でキャビ47の外方側(図35の上側)に移動させる。これにより、塑性体44の外方側に対応する部分を切削する。
キャビ47bでは、切削工具を加工軌跡K3で移動させ、分割面となる平面と、塑性体44の内方側(図35の下側)に対応する部分とを切削する。
その後、キャビ47aとキャビ47bの分割面を合わせると、保持部36の先端に塑性体44を形成することができる。
さらに、この図35(b)からも理解されるように、キャビ47aとキャビ47bとを別々に加工することで、塑性体44の厚みを切削工具51の直径よりも小さく作成することができる。つまり、塑性体44を薄肉に作成することができる。
さらにまた、従来は、図36(b)に示すように、保持部150の先端に対応する凹部を直径の小さな切削工具151を用いて切削していた。しかし、本実施形態においては、キャビ47aとキャビ47bとを別々に切削できるため、工具選択の自由度が高まり、直径の大きな切削工具51を用いても切削することができる。
さらに、従来は、図36(a)に示すように、キャビ149では、樹脂を流し込む時に保持部150の先端に対応する凹部に空気が溜まるため、樹脂がキャビ149の形状通りに充填されなかった。その結果、保持部150の先端が丸く成形されてしまい、この点からも、鋭角状で薄肉の塑性体を成形することができなかった。
そこで、本実施形態では、キャビ47には、図35(a)に示すように、塑性体44の先端を形成する部分を外気に連通させる連通部として、空気孔(第1の空気道の一例)52、隙間(第2の空気道の一例)53が形成されている。これにより、金型内に生じた空気を外気へと放出することができる。
具体的には、空気孔52がキャビ47aに設けられているため、キャビ47aとキャビ47bとの分割部が外気に連通されている。隙間53は、キャビ47aとキャビ47bとの分割部に鋼製のスペーサ板(図示せず)が挿入され、数μmの隙間が設けられることにより形成されている。そして、空気孔52を隙間53に接続することで、空気孔52を塑性体44の先端を形成する部分に接続している。
このため、キャビ47を、図33のコア48と重ね合わせた後、溶けた樹脂をキャビ47の後方側のゲート(図示せず)から注入させた時に、保持部36の先端部分から、隙間53、空気孔52を介して空気を抜くことができる。
したがって、キャビ47では、保持部36の先端に対応する部分に空気が溜まることがなく、注入された樹脂をキャビ47の形状通りに充填させることができる。その結果、キャビ47の形状に沿って、保持部36の先端を鋭角状で薄肉に形成することができる。よって、保持部36の先端に塑性体44を、いわゆるバリ状態に成形することができる。
その後、所定時間冷却した後、キャビ47とコア48を分離すれば、図33に示すように、装着羽根17、収納部16aを有するランセットケース6を取り出すことができる。
なお、本実施形態においては、穿刺針カートリッジ4の使用時に動作させる可動体として装着羽根17を設け、この装着羽根17を収納部16aに収納させる説明を行った。しかし、穿刺針カートリッジ4の使用時に動作させる可動体(例えば、装着羽根17のような小片)であれば、この可動体を収納するものとして収納部16aの構成を用いてもよい。
以上で説明したように、本実施形態の穿刺針カートリッジ4では、収納部16aは、装着羽根17が挿入された状態で装着羽根17に当接して保持する保持部36を有している。保持部36には、装着羽根17を保持する側に突出させた保持本体43が設けられている。突出した保持本体43には、装着羽根17との当接によって塑性変形される塑性体44が設けられている。これにより、血液の感染リスクを防止することができる。
すなわち、本実施形態の穿刺針カートリッジ4は、穿刺器具1から排出される時に、ランセットケース6の装着羽根17が、穿刺器具1により回動されて収納部16aに収納される。この時、装着羽根17は、この装着羽根17に向けて突出する保持本体43に設けられた塑性体44に当接し、この塑性体44を折り曲げながら収納される。このため、折り曲げられて塑性変形した塑性体44が、装着羽根17を保持することができる。
したがって、一度使用した穿刺針カートリッジ4を、穿刺器具1に誤って再装着しようとしても、穿刺針カートリッジ4の装着羽根17が収納部16aに保持されているので、穿刺器具1に適切に再装着されることはない。
その結果、一度使用した穿刺針カートリッジ4が再使用されることはなくなり、使用済み穿刺針カートリッジ4の再使用に伴う血液の感染リスクをより確実に防止することができる。
本発明は、穿刺針カートリッジ、この穿刺針カートリッジを装着する穿刺器具、この穿刺針カートリッジを作成する金型、およびこの穿刺針カートリッジの製造方法として広く活用が期待される。
1 穿刺器具
2 本体ケース
3 前端開口部
4 穿刺針カートリッジ
5 ランセット本体
6 ランセットケース
7 接続部
8 穿刺針カバー部
9 破断部
10 穿刺針
11 取手
12 ガイド突起
13 摺動突起
14 摺動溝
15 案内部
16 凹部
16a 収納部
17 装着羽根(可動体)
18 把持部
19 後端開口部
20 メインロッド
20a ホルダ挿入筒
21 ランセットホルダ
22 射出ロッド
22a 穿刺カム
22b ロック爪
22c ケースストッパ当て
23 メインスプリング
24 操作ボタン
24a 操作体
25 ブッシュ
26 ロック体
26a 係合爪
26b 押出爪
27 ストッパ
28 装着台
28a 傾斜面
28b 垂直面
29 破損開始部
30 係合孔
30a 側壁
31 再装着防止部
32 バネ
33 再装着防止片
34 動作孔
34a 側壁
34b 動作孔
35 係合突起
36 保持部
37 再装着防止突起
38 押込部
39 バネ
40 押込片
41 当接部
42 開口部
43 保持本体
44 塑性体
45 角部(第1の角部)
46 角部(第2の角部)
47 キャビ(金型本体)
47a キャビ(第1の金型)
47b キャビ(第2の金型)
48 コア
52 空気孔(連通部、第1の空気道)
53 隙間(連通部、第2の空気道)
B1,B2 丸
K1,K2,K3 加工軌跡

Claims (12)

  1. 穿刺針を有するランセット本体と、
    前記ランセット本体の外周に装着され、一端が固定され他端が回動可能な自由端である可動体を有するランセットケースと、
    前記可動体を収納する収納部と、
    を備えた穿刺針カートリッジであって
    前記収納部は、
    前記可動体が挿入される開口部と、
    前記可動体が挿入された状態で前記可動体に当接して保持する保持部と、
    を有し、
    前記保持部には、前記可動体を保持する側に突出する保持本体が設けられており、
    前記保持本体には、前記可動体との当接により塑性変形させる塑性体が設けられており、
    穿刺器具から排出させる時に、前記可動体の自由端側が回動され、前記収納部の前記開口部に挿入され、前記保持部の前記塑性体と当接して、前記塑性体が塑性変形され、
    前記穿刺器具から排出された使用済み前記穿刺針カートリッジを再装着しようとした場合、前記収納部に収納された前記可動体が、前記穿刺器具に設けられた再装着防止部と当接するように構成されている、
    穿刺針カートリッジ。
  2. 前記塑性体は、前記保持本体よりも薄肉に形成されている、
    請求項1に記載の穿刺針カートリッジ。
  3. 前記保持本体は、柱状に形成されている、
    請求項1または2に記載の穿刺針カートリッジ。
  4. 前記保持本体は、前記可動体を保持する側に向かって突出する第1の角部を有する、
    請求項3に記載の穿刺針カートリッジ。
  5. 前記塑性体は、前記可動体を保持する側に向かって突出する第2の角部を有する、
    請求項4に記載の穿刺針カートリッジ。
  6. 前記保持本体の柱軸に垂直な方向の断面において、前記塑性体の前記第2の角部は、前記保持本体の第1の角部よりも鋭角になるように形成されている、
    請求項5に記載の穿刺針カートリッジ。
  7. 前記保持部は、前記収納部の一対の側面にそれぞれ形成されており、前記可動体を挟持する、
    請求項1から6のいずれか1つに記載の穿刺針カートリッジ。
  8. 請求項1から7のいずれか1つに記載の穿刺針カートリッジが装着される穿刺器具であって、
    前端に開口部を有する本体ケースと、
    前記本体ケース内に設けた射出ロッドと、
    前記射出ロッドを前記本体ケースの前端開口部側に付勢する付勢体と、
    前記本体ケースに設けられた操作ボタンと、
    前記本体ケースの前記開口部に前記穿刺針カートリッジが装着される際に、前記穿刺針カートリッジの前記可動体と係合する係合孔と、
    を備え、
    穿刺後、前記穿刺針カートリッジを穿刺器具から排出するときに、前記係合孔によって前記可動体の自由端が回動され、前記収納部の前記開口部に挿入され、前記保持部の前記塑性体は前記可動体と当接することにより塑性変形されて前記可動体を保持させるとともに、
    前記穿刺針カートリッジの再装着を防止する再装着防止部をさらに有し、
    使用済みの前記穿刺針カートリッジを前記穿刺器具に装着しようとした場合には、前記穿刺針カートリッジの前記保持部の前記塑性体が塑性変形して保持している前記可動体の先端部分が、前記再装着防止部と当接することにより、使用済み前記穿刺針カートリッジの前記穿刺器具への装着を防止する
    穿刺器具。
  9. 請求項1から7のいずれか1つに記載の穿刺針カートリッジを成形する金型であって、
    前記収納部の前記保持部を樹脂成形する金型本体を備え、
    前記金型本体は、前記保持部に設けられた前記塑性体の先端を成形する部分によって分割された第1の金型および第2の金型と、
    前記塑性体の先端を形成する部分を外気に連通させる連通部と、
    を有している穿刺針カートリッジを作成する金型。
  10. 前記連通部は、第1の空気道と第2の空気道によって形成され、
    前記第1の空気道は、前記第1の金型に設けられ、前記第1の金型と前記第2の金型の分割部分を外気に連通させるとともに、
    前記第2の空気道は、前記第1の金型と前記第2の金型との分割部分に設けられ、前記塑性体の先端を形成する部分を外気に連通させ、
    前記第1の空気道と前記第2の空気道とは互いに接続されている、
    請求項に記載の穿刺針カートリッジを作成する金型。
  11. 前記第2の空気道は、前記第1の金型と前記第2の金型との分割面に挿入されたスペーサによって形成されている、
    請求項1に記載の穿刺針カートリッジを作成する金型。
  12. 請求項から1のいずれか1つに記載の金型を用いて前記穿刺針カートリッジを作成する製造方法であって、
    前記金型本体に樹脂を流し込むステップと、
    前記金型本体に樹脂を流し込むステップ中に、前記保持部に形成された前記塑性体の先端部分から、外気に向けて空気を抜き出すステップと、
    を備えた穿刺針カートリッジの製造方法。
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