JP6552290B2 - 樹脂ペレットおよびそれを用いて得られる成形体 - Google Patents
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Description
PETフィルム等の製造においても、加水分解に対する耐久性を高めるために、カルボジイミド化合物を含有するマスターバッチペレットを用いることがあった。
また、ポリエステル樹脂にカルボジイミド化合物を含有させたマスターバッチを用いると、得られた成形体は、耐衝撃性に劣ることがあった。
すなわち本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)共重合ポリエステル樹脂(A)とカルボジイミド化合物(B)を含有する樹脂ペレットであって、共重合ポリエステル樹脂(A)の酸価が10〜70mgKOH/gであり、共重合ポリエステル樹脂(A)とカルボジイミド化合物(B)の質量比(A/B)が10/90〜85/15であることを特徴とする樹脂ペレット。
(2)共重合ポリエステル樹脂(A)が、融点220℃以下の結晶性ポリエステル樹脂および/またはガラス転移温度が50℃以上の非晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする(1)記載の樹脂ペレット。
(3)上記(1)記載の樹脂ペレットを製造するための方法であって、共重合ポリエステル樹脂(A)とカルボジイミド化合物(B)を230℃以下の温度で溶融混練することを特徴とする樹脂ペレットの製造方法。
(4)上記(1)記載の樹脂ペレットと熱可塑性樹脂とを溶融混練し、成形してなることを特徴とする成形体。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、共重合ポリエステル樹脂(A)とカルボジイミド化合物(B)を含有するものであり、この樹脂組成物を含有する樹脂ペレットは、ポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂(以下、マトリックス樹脂ということがある)を成形する際に、カルボジイミド化合物のマスターバッチとして添加して、成形体の耐加水分解性や耐衝撃性を向上させることができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物を構成する共重合ポリエステル樹脂(A)は、主として、ジカルボン酸成分、グリコール成分から構成されるものであり、それらの変性体を含むものである。
ヒドロキシカルボン酸を共重合する場合、共重合量は、全ジカルボン酸成分の20モル%以下とすることが好ましい。
3官能以上のカルボン酸としては、トリメリット酸、無水トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等が挙げられる。また、3官能以上のアルコールとしては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、α−メチルグルコース、マニトール、ソルビトールが挙げられる。
3官能以上のカルボン酸や3官能以上のアルコールを共重合する場合、共重合量は、全ジカルボン酸成分や全グリコール成分に対して、それぞれ5モル%以下であることが好ましく、4モル%以下であることがより好ましく、3モル%以下であることがさらに好ましい。3官能以上のカルボン酸や3官能以上のアルコールの共重合量が5モル%を超えると、得られるマスターバッチを用いて成形体に加工する際に、延伸性等の加工性を損ねることがある。
共重合ポリエステル樹脂(A)の酸価を制御する方法としては、分子量の高いポリエステル樹脂を製造したのち、解重合剤を添加する方法や、酸無水物を付加させる方法等が挙げられる。本発明においては、共重合ポリエステル樹脂(A)の酸価と後述する数平均分子量との双方を、バランスよく制御できることから、分子量の高いポリエステル樹脂を製造したのち解重合剤を添加して、酸価および数平均分子量を制御する方法が好ましい。
解重合剤としては、イソフタル酸、アジピン酸やセバシン酸等が好ましく、酸無水物としては、無水ピロメリット酸等が好ましい。
共重合ポリエステル樹脂(A)の数平均分子量を制御する方法としては、重合時のポリエステル溶融物を所定の粘度で重合を終了する方法、分子量の高いポリエステル樹脂を製造したのち解重合剤を添加して分子量を制御する方法、モノアルコールやモノカルボン酸を添加する方法等が挙げられる。
有機ジイソシアネート成分として、公知のイソシアネートを用いることができる。具体的には、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジイソシアネートジフェニルエーテル、1,5−キシリレンジイソシアネート、1,3−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、1,4−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、4,4′−ジイソシアネートシクロヘキサン、4,4′−ジイソシアネートシクロヘキシルメタン、イソホロンジイソシアネートなどのイソシアネートが挙げられる。中でも反応性、耐候性などの観点から、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートが好適に用いられる。
これらの有機ジイソシアネートは、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明のポリエステル樹脂組成物を構成するカルボジイミド化合物(B)は、カルボジイミド基(−N=C=N−)を分子内に有する化合物であり、分子内に有するカルボジイミド基の数により、モノカルボジイミド、ポリカルボジイミドに分類される。
ポリカルボジイミドは、上述のモノカルボジイミドをポリマー化させて製造することができ、また市販品を用いることもできる。ポリカルボジイミドの市販品としては、例えば、ラインヘミー社製スタバックゾールP、ラインヘミー社製スタバックゾールP−100、ラインヘミー社製スタバックゾールP−400などの芳香族ポリカルボジイミド、日清紡ケミカル社製LA−1、日清紡ケミカル社製HMV−15CAなどの脂肪族/または脂環族ポリカルボジイミドを挙げることができる。
末端のイソシアネート基の含有量が0質量%であるカルボジイミド化合物においては、共重合ポリエステル樹脂(A)の末端ヒドロキシル基とイソシアネート基の反応が起こらない。したがって、マスターバッチにこのカルボジイミド化合物を用いた場合、マトリックス樹脂との相溶性、分散性が低下するため、得られる成形体は、不均一で、強度が低下することがある。
一方、末端のイソシアネート基が15質量%以上であるカルボジイミド化合物においては、共重合ポリエステル樹脂(A)の末端ヒドロキシル基とイソシアネート基が過剰に反応し、架橋密度が高くなることで、マスターバッチにこのカルボジイミド化合物を用いた場合、マトリックス樹脂への分散性が低下したり、フィルム成形時に延伸性などが低下することがある。
カルボジイミド基数が2未満のモノカルボジイミドでは、ポリエステル樹脂などのエステル結合を持ったマトリックス樹脂などが加水分解する時に生成するカルボキシル基をトラップする効果が低下し、得られる成形体は、耐加水分解性や耐衝撃性が低下することがある。
一方、ポリカルボジイミド化合物は、カルボジイミド基数が100を超えると、架橋密度が上がり過ぎることがあり、得られるポリエステル樹脂組成物が不均一となったり、ゲル化する場合がある。このポリエステル樹脂組成物をマスターバッチとして用いてPETフィルム等を製膜すると、延伸性が低下して、フィルムが破断することがある。また得られた成形体は、耐衝撃性が低下することがある。
ポリカルボジイミド分子中のカルボジイミドの個数であるカルボジイミド基数は、ジイソシアネート化合物から得られたポリカルボジイミドであれば、(重合度−1)に相当する。例えば、21個のジイソシアネート化合物が鎖状につながって得られたポリカルボジイミドの重合度は21であり、分子鎖中のカルボジイミド基数は20である。通常、ポリカルボジイミドは、種々の重合度を有する分子の混合物であり、カルボジイミド基数は、平均値で表される。カルボジイミド基数は、13C−NMR、IR、GPC、滴定法またはそれらの組合せ等により測定でき、カルボジイミド基数として把握することが可能である。なお、13C−NMRでは130から142ppmに、IRでは2130〜2140cm−1にピークを観察することが可能である。
本発明のポリエステル樹脂組成物において、共重合ポリエステル樹脂(A)とカルボジイミド化合物(B)の質量比(A/B)は、10/90〜85/15であることが必要であり、20/80〜80/20であることが好ましく、30/70〜75/25であることがより好ましい。共重合ポリエステル樹脂(A)の含有量が10質量%未満であると、得られるポリエステル樹脂組成物を含有するマスターバッチを含有して成形された成形体は、相溶性が不足し、透明性が損ねられたものとなる。一方、共重合ポリエステル樹脂(A)の含有量が85質量%を超えると、成形体に十分な耐加水分解性を付与することができない。
本発明の樹脂ペレットは、前記二軸混練押出機等を用い溶融混練した後に、ダイの口金よりストランド状に引き取り、冷却した後、ペレタイズすることで製造することができる。
溶融混練を行う場合の混練温度は230℃以下であることが好ましい。混練温度を230℃以下に設定しても、溶融混練時のせん断発熱によって、樹脂温度が230℃を超える場合があるので、樹脂温度が230℃を超えないように、樹脂温度をモニターしながら、スクリュー回転数や吐出量を制御して、溶融混練を行うことが好ましい。また、用いる共重合ポリエステル樹脂(A)として、融点またはガラス転移温度が低めのものを用いることによって、溶融混練時のせん断発熱を低減することが可能となる。
得られた樹脂ペレットは、マスターバッチとして使用することができる。マスターバッチは必要に応じて乾燥などの熱処理を行ってもよい。
上記樹脂ペレットは、ポリエステル樹脂等の各種熱可塑性樹脂(マトリックス樹脂)に混合した後、溶融成形することで成形体とすることができる。なお、本発明の樹脂ペレットは、共重合ポリエステル樹脂(A)を用いているため、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンテレフタレート等の等ポリエステル系のマトリックス樹脂に対し、特に好適に用いることができるが、特にポリエステル系のマトリックス樹脂に限定されるものではなく、相溶性等、問題の起きない範囲で広範に用いることができる。
マトリックス樹脂の酸価は10mgKOH/g以下であることが好ましく、8mgKOH/g以下であることがより好ましく、6mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。マトリックス樹脂は、酸価が10mgKOH/gを超えると、混合するマスターバッチ中のカルボジイミド基が反応することで、耐加水分解性に寄与する有効カルボジイミド基濃度が低下し、期待する耐加水分解性が得られない場合がある。
本発明の成形体は、マトリックス樹脂として用いる熱可塑性樹脂と、樹脂ペレットとを溶融混練し、成形したものであり、樹脂ペレットに含有するカルボジイミド化合物により、優れた耐加水分解性、耐衝撃性を有するものとなる。
このような効果は、特にマトリックス樹脂がポリエステル系樹脂である場合に有効的に発現する。耐加水分解性、耐衝撃性をさらに向上させるため、樹脂ペレットの添加量は、マトリックス樹脂のポリエステル樹脂のエステル基濃度(a当量/トン)と、マスターバッチを構成する共重合ポリエステル樹脂(A)のエステル基濃度(b当量/トン)の合計に対する、カルボジイミド化合物(B)のカルボジイミド基濃度(c当量/トン)との比(c/(a+b))は、0.1〜1.5であることが好ましく、0.2〜1.3であることがより好ましく、0.3〜1.1であることがさらに好ましく、0.5〜1.0であることが最も好ましい。比(c/(a+b))が0.1未満であると、期待する耐加水分解性、耐衝撃性が得られず、1.5を超えると、成形体におけるカルボジイミド基が過剰反応し、熱安定性の低下を引き起こしたり、ゲル化する場合があり、フィルムの製膜を行う場合に、延伸性が低下したり、破断することがある。
(1)共重合ポリエステル樹脂(A)の数平均分子量
送液ユニット(島津製作所社製「LC−10ADvp型」)および紫外−可視分光光度計(島津製作所社製「SPD−6AV型」)を用い、GPC分析により求めた。なお、分析条件は検出波長が254nmであり、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、ポリスチレン換算により求めた。
NMR測定装置(日本電子社製「JNM−LA400型」)を用い、1H−NMR測定を行って、それぞれの共重合成分の組成を求めた。なお、測定溶媒としては、重水素化トリフルオロ酢酸を用いた。
JIS−K 7121に従って、入力補償型示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製「ダイヤモンドDSC」)を用い、20℃から300℃まで10℃/分で昇温させたチャートから、ガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)を読み取った。
試験管に共重合ポリエステル樹脂(A)を150mg精秤し、ベンジルアルコール5mLを加えて加熱溶解し、クロロホルム10mLが入ったマイヤーフラスコに移した。使用した試験管をベンジルアルコール5mLで加熱洗浄し、洗液もマイヤーフラスコに移した。得られた共重合ポリエステル樹脂(A)の溶液を、フェノールレッドを指示薬として、0.1NのKOHベンジルアルコール溶液で滴定し、ブランク試験の滴定量との差から、共重合ポリエステル樹脂(A)の酸価(mgKOH/g)を求めた。
実施例、比較例で得られたフィルムの外観を目視観察し、下記基準で相溶性を評価した。
〇:透明性に優れる。
△:透明ではあるが、混合したマスターバッチの分散が不均一であり、揺らぎ感を有する。
×:不透明または濁りが生じている。
実施例、比較例において、フィルムを製造する際の操業性で延伸性を評価した。
〇:操業での問題が無い。
△:延伸はできるが、膜厚等が不均一。
×:破断等を伴い延伸ができない。
得られたフィルムを、85℃×85%RH条件下、2000時間処理をした。処理前後のフィルムについて、引張破断強度を測定し、下記式より引張強度保持率を算出し、下記基準により耐加水分解性を評価した。評価結果は、◎または○であることが好ましく、特に◎であることが好ましい。
なお、フィルムを巾10mm、長さ150mmの短冊状に切り出したもの測定試料として使用し、引張破断強度は、23℃×50%RH、引張速度10mm/分の条件で測定した。
引張強度保持率(%)=(処理後のフィルムの引張破断強度)/(処理前のフィルムの引張破断強度)×100
◎:引張強度保持率が95%以上である。
〇:引張強度保持率が90%以上95%未満である。
△:引張強度保持率が70%以上90%未満である。
×:引張強度保持率が70%未満である。
実施例、比較例で得られた試験片を、デュポン式落下衝撃試験機(東洋精機製作所社製)に設置して、落下おもり300g、高さ300mmの条件でおもりを落下させ、落下後の試験片を目視し、割れ、ヒビ等が見られないものを「合格」とした。5個の試験片について試験をおこない、合格した試験片の数で耐衝撃性を評価した。
◎:5個全て合格であった。
○:4個合格であった。
△:3個合格であった。
×:合格した試験片は2個以下であった。
(1)カルボジイミド化合物(B)
B1:芳香族型ポリカルボジイミド(ラインケミー社製「スタバックゾールP」、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)カルボジイミド、数平均分子量約700)
B2:脂環族型ポリカルボジイミド(日清紡ケミカル社製「LA−1」、ポリ(4,4′−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、平均重合度15、末端イソシアネート基あり)
B3:芳香族型モノポリカルボジイミド(ラインケミー社製「スタバックゾールI」、N,N′−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド)
X:EGMA(エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体)−g(グラフト)−AS(アクリロニトリルスチレン)共重合体(日油社製「モディパーA4400」、EGMA/AS=70/30(質量比)、E/GMA=85/15(質量比))
調製例1
テレフタル酸70モル%、セバシン酸30モル%、エチレングリコール135モル%および重合触媒として、酸成分1モルに対して3×10−4モル量のテトラブチルチタネートを反応器に仕込み、系内を窒素に置換した。そして、これらの原料を1000rpmで撹拌しながら、反応器を245℃に加熱し、溶融させた。反応器内温度が245℃に到達してから、0.5時間エステル化反応を進行させた。0.5時間経過後、系内の温度を240℃にし、系内を減圧した。系内が高真空(圧力:0.1〜10−5Pa)に到達してから、さらに0.5時間重合反応を行った。
重合反応完了後、系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、220℃になったところで解重合成分としてのセバシン酸をさらに1.0モル%添加し、220℃で2時間攪拌して共重合ポリエステル樹脂(A1)を得た。
使用するモノマー成分と解重合成分の種類と量、および重合反応時間を表1のように変更した以外は、調製例1と同様にし、共重合ポリエステル樹脂(A2)〜(A8)、(A10)〜(A11)、(A13)〜(A14)を得た。なお、表1に解重合成分が記載されていない調製例については、重合反応が完了したものを共重合ポリエステル樹脂とした。
調製例1において、重合反応が完了した後に、系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、200℃になったところで付加成分としての酸無水物(ピロメリット酸二無水物)を添加し、170℃で2時間攪拌して共重合ポリエステル樹脂(A9)を得た。
調製例1で得られた共重合ポリエステル樹脂(A1)に、変性成分としての有機ジイソシアネート(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート)を付与することによりポリエステルポリウレタン樹脂(A12)を得た。
具体的には、共重合ポリエステル樹脂(A1)に対して、同量のトルエンを仕込み、100℃にて樹脂を溶解した。その後130℃まで温度を上昇させ、共重合ポリエステル樹脂(A1)とトルエンの合計量のうち30質量%を蒸留し、反応系の脱水を行った。その後、系内を60℃まで冷却し、メチルエチルケトンを共重合ポリエステル樹脂(A1)に対して40質量%、ジメチロールブタン酸9質量%を仕込み、60℃にて30分撹拌した。その後、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート6質量%を仕込み、60℃にて30分撹拌を行い、続いて触媒としてジブチルチンジラウレートを加え、80℃に昇温し反応させた後、溶媒を除去して、ポリエステルポリウレタン樹脂(A12)を得た。
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
SEA:セバシン酸
ADA:アジピン酸
EG:エチレングリコール
PG:プロパンジオール
BD:1,4−ブタンジオール
TCD:トリシクロデカンジメタノール
ISB:イソソルビド
PMDA:ピロメリット酸二無水物
PMA:ピロメリット酸
HDI:1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート
共重合ポリエステル樹脂(A1)35質量部、カルボジイミド化合物(B1)65質量部を均一混合した後、総仕込み量3kgをロスインウェイト式連続定量供給装置(クボタ社製CE−W−1型)を用いて、スクリュー径26mmの二軸押出機(東芝機械社製TEM26SS型)の主供給口に供給し溶融混練を行った。途中、ベント減圧度−0.099MPa(ゲージ圧)で脱気を行い、ダイスからストランド状に引き取り水槽にて冷却固化し、ペレタイザでカッティングした後、ポリエステル樹脂組成物からなる樹脂ペレットを得た。溶融混練は、押出機のバレル温度設定200℃、吐出量20kg/h、スクリュー回転数300rpmの条件で行った。
得られた樹脂ペレットを十分に乾燥してから、マトリックス樹脂としてのポリエチレンテレフタレート樹脂(ユニチカ社製PET樹脂、極限粘度0.60、酸価2mgKOH/g)に対し、樹脂ペレットの含有量が1質量%となるように混合した後、温度280℃で混練しTダイより押出した。これを35℃に温調した冷却ドラム上に静電印加法で密着させて急冷することで厚さ260μmのシートを得た。前記シートを90℃で縦方向に3倍に延伸し、120℃で横方向に4.0倍延伸し、さらに続いて230℃で5秒間熱処理を行ない、成形体として、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
上記フィルム成形と同様に、マトリックス樹脂としてのポリエチレンテレフタレート樹脂に対し、樹脂ペレットの含有量が1質量%となるように混合した後、ファナック社製射出成形機(S2000i−100B型)を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度30℃、射出速度100mm/秒、冷却時間20秒の条件で、試験片(50mm×90mm×2mm)を成形した。
使用する共重合ポリエステル樹脂とカルボジイミド化合物の種類、質量比を表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、ポリエステル樹脂組成物からなる樹脂ペレットを得た。
得られた樹脂ペレットを使用して、実施例1と同様にして、フィルムと試験片を成形した。
比較例2では、共重合ポリエステル樹脂(A)の酸価が本発明で規定する量より低いため、得られた成形体は、耐衝撃性に劣るものであった。比較例3では、共重合ポリエステル樹脂(A)の酸価が本発明で規定する量より高いため、成形時の延伸性が低く、得られた成形体は、耐加水分解性に劣るものであった。
比較例4では、ポリエステル樹脂組成物における共重合ポリエステル樹脂(A)の含有量が本発明で規定する量よりも少なかったため、相溶性に劣るものとなった。比較例5では、ポリエステル樹脂組成物におけるカルボジイミド化合物(B)の含有量が本発明で規定する量よりも少なかったため、成形体の耐加水分解性を十分に高めることができなかった。
比較例6では、カルボジイミド化合物を含有する樹脂組成物を用いなかったため、成形体の耐加水分解性が低く、延伸性が劣るものとなった。
Claims (4)
- 共重合ポリエステル樹脂(A)とカルボジイミド化合物(B)を含有する樹脂ペレットであって、共重合ポリエステル樹脂(A)の酸価が10〜70mgKOH/gであり、共重合ポリエステル樹脂(A)とカルボジイミド化合物(B)の質量比(A/B)が10/90〜85/15であることを特徴とする樹脂ペレット。
- 共重合ポリエステル樹脂(A)が、融点220℃以下の結晶性ポリエステル樹脂および/またはガラス転移温度が50℃以上の非晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1記載の樹脂ペレット。
- 請求項1記載の樹脂ペレットを製造するための方法であって、共重合ポリエステル樹脂(A)とカルボジイミド化合物(B)を230℃以下の温度で溶融混練することを特徴とする樹脂ペレットの製造方法。
- 請求項1記載の樹脂ペレットと熱可塑性樹脂とを溶融混練し、成形してなることを特徴とする成形体。
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