JP6551965B2 - 光の透過性・拡散性に優れた織物 - Google Patents

光の透過性・拡散性に優れた織物 Download PDF

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Description

本発明は、光の透過性及び透過した光の拡散性に優れる織物に関する。
住宅では天窓を配した吹き抜け構造等により、自然光を積極的に取り入れようというトレンドがあるが、真夏の日差しや西日、窓際の直射日光など、強すぎる自然光は歓迎されるものではない。だからといって窓からの明かりを遮ってしまっては、局所的には快適であっても部屋全体では明るさが不足してしまうことがある。
このような状況に対して、取り入れた自然光を拡散させることで局所的に明るすぎる状態を緩和し、室内全体へと明るさを供給するウィンドウ・トリートメントは、快適な空間構築に効果的であると同時に照明電力の節減という省エネ観点からも有用である。
例えば特許文献1には、ベネシャンブラインドのスラットや透光性樹脂シートからなるスクリーンの片側表面に、ミー散乱又は幾何光学散乱する大きさの光拡散性粒子を固定すること、これによって出射する光が拡散し、眩しさがやわらげられて部屋の四方に外光が届くようになることが開示されている。光拡散性粒子の大きさとしては1μm以上が好ましく、アクリル粒子、スチレン粒子等の公知の樹脂製粒子や、二酸化ケイ素、二酸化チタン等の無機粒子を使用するのが好ましいことが開示されている。
特許文献2には、一般建築物の窓や天井の開口部に設置される透過体であって、二枚のガラスの間に光透過性の屈折柱を配設し、当該屈折柱の面部へ、サンドブラスト、エッチング、コーティング等によって拡散面を形成し、より均一な自然光による採光を実現させるものが開示されている。
しかしながら、特に居住空間におけるウィンドウ・トリートメントには、生活様式に即した親和性や装飾性、あるいは着脱の容易さ等の理由から布製カーテンが用いられる場合が多く、前記ブラインドや透過体が有する透過光拡散特性は、必ずしも一般に普及しているとはいえない。
カーテンなどのウィンドウ・トリートメントに用いられる織物は、元来窓から差し込む光を拡散して室内に採り入れる特性がある。例えば特許文献3には、建物の内部や建物と建物の間の日陰や光量不足となる箇所へと太陽光を導入する技術において、多数のモノフィラメントまたは棒状体を織り込んだ織物を用いることを開示している。特許文献3の発明では、多数の突条が互いに並列された平面体や織物を用いることによって、光束を拡散、屈折、分割、複合させて、より細部又は深部へ配光することを可能にしている。
特開2013−2224号公報 特開平7−239403号公報 特開2000−17760号公報
しかしながら、上述の織物が有する透過光の拡散性は、特別に機能化されたフィルムやガラス等の透過光拡散体に比べると、光の透過性・拡散性に乏しいものであり、より高い透過性・拡散性を有する織物が望まれている。この実情に鑑みて、本発明は、高い透過性・拡散性を有する織物を提供することを目的とする。
ウィンドウ・トリートメント製品では、多くの光を透過させ、しかもそれを窓際から離れた室内の各所へいかに拡散させるかが重要である。従来、織物における光の拡散性は、JIS K7136等で規定されたヘーズメーターで測定される拡散透過率を準用して評価されることがあった。しかしながらこのヘーズメーターで測定される拡散透過率は、光の入射位置から離れた複数の地点での透過光の照度がどれだけであるかといったことを考慮したものではなかった。
発明者はまず、織物における光の透過性と拡散性とを的確に評価する方法を確立した(特願2014−166342号)。当該方法では、織物について、採光値(織物が光を透過させる度合いを示す)と拡散値(織物を透過した光の拡散の度合いを示す)とを測定・算出し、採光値と拡散値とを掛け合わせた値を採光拡散値として評価する。この検討の中で、発明者は、採光値(透過性)と拡散値(拡散性)とは反比例する傾向にあることを確認し、さらに、採光拡散値が一定値以上であると、光の透過性を保ちつつ拡散性にも優れた布帛が得られることを見出した。そして、特定の構成の織物は、採光拡散値が高く、光の透過性と拡散性を従来にないレベルで両立する織物となることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、無機系酸化物の含有量が0.8重量%以下かつ撚り数が300T/m以下の糸を20%以上含み、カバーファクターが1000以上である織物であって、前記糸が前記織物の面方向に並列して配向している織物に関する。
前記織物は、採光拡散値が0.04以上であることが好ましい。なお、採光拡散値は後述の定義によって決定される値である。
前記織物の表面に、大きさ0.1〜7μmの凹凸が付与されていることも好ましい。
前記大きさ0.1〜7μmの凹凸は、直径0.1〜7μmの粒子であることが好ましく、前記糸の表面に設けられた大きさ0.1〜7μmの突起であってもよく、前記糸の表面に設けられた幅又は深さが0.1〜7μmのヒダであることも好ましい。
前記織物において、前記糸の断面が扁平断面又は円形断面であることが好ましい。
本発明によれば、高い透過性・拡散性を有する織物が得られる。本発明の織物は、特にウィンドウ・トリートメント製品、すなわち、カーテン、シェード、スクリーン、ブラインド等として用いられ、多くの光を部屋の隅々まで取り入れることができる。
透過性及び拡散性の評価システムの概略的構成を示す。Aは側面図、Bは平面図を示す。 図1の透過性・拡散性評価システムに備えられた筐体の正面図である。 採光値を算出する例を説明するための図である。 拡散値を規定する例を説明するための図である。 本発明の実施例の織物の断面写真である。
(織物)
本発明の織物は、無機系酸化物の含有量が0.8重量%以下かつ撚り数が300T/m以下の糸を、織物に対して20%以上含む。
無機系酸化物とは合成樹脂繊維において用いられる艶消し剤であり、二酸化チタン等が挙げられる。一般に、無機系酸化物の含有量が略0のものをスーパーブライト糸、0.2重量%以下である糸をブライト糸、0.2重量%超0.8重量%以下のものをセミダル糸、0.8重量%超のものをダル糸、1重量%を超えるものをフルダル糸ともいうが、本発明においては、スーパーブライト糸、ブライト糸又はセミダル糸であることが好ましい。無機系酸化物の含有量でいえば、0.8重量%以下が好ましく、0.5重量%以下がより好ましく、0.2重量%以下がさらに好ましく、0.05重量%以下から略0であることが最も好ましい。
また前記の糸は、いわゆる甘撚糸や無撚糸であり、撚り数が300T/m以下であるものを用いるが、撚り数は200T/m以下であればより好ましく、100T/m以下や無撚糸であればさらに好ましい。撚り数が300T/m以下の糸は、織物においてばらけた状態になりやすく、つまり織物において互いに絡み合わずに並行して配向しやすいため、高い透過性を発揮すると考えられている。一方、撚り数が300T/mを超える糸を用いた場合、糸を構成する個々の繊維がばらけ難く、糸を透過して拡散される光の量は小さくなり、一方で糸と糸の隙間が大きくなるため、拡散されずに直接透過する光の量が大きくなり、結果として透過光の拡散性が小さくなり好ましくない。
前記の糸はPETであるが、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、アクリル等、いずれの繊維を用いることもでき特に限定されるものではない。特にウィンドウ・トリートメント製品とするためには、PETが好ましく用いられる。
本発明の織物は、上記の糸を、織物全体の重量に対して20%以上含む。20%以上であれば特に制限されないが、30%以上含むとより好ましく、40%以上であればさらに好ましい。上記の糸は経糸として用いられても緯糸として用いられてもよいが、これらの糸を、なるべく交叉させず並列して配向するように製織するためには、緯糸として用いることが好ましい。
織物に含まれる、上記以外の糸としては、ポリエステル、アクリル系、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン(ポリアミド繊維)、綿、麻、レーヨン、絹、羊毛等、公知の繊維を適宜選択して用いることができ、特に制限されないが、防炎性やウォッシャブル性の観点からPETがより好ましい。また、本発明の織物は、採光性の観点から、糸の色相は好ましくは淡色系の色相であり、更に好ましくは未染色での生成りや白色である。
さらに、本発明の織物は、カバーファクターが1000以上である。カバーファクターは次式により算出される値である。
[式1]
カバーファクターが1000以上であれば、拡散性が向上するため好ましい。一般に、カバーファクターの低い織物は光の透過性に優れるが、カバーファクターが1000未満になると、透過性には優れるものの拡散性が低くなり、所望の採光拡散性を得ることができないことが見出された。
また本発明の織物は、好ましくは、織物の表面に大きさ0.1〜7μmの凹凸が付与されている。凹凸は、0.2〜1μmであればより好ましい。大きさ0.1〜7μmの凹凸としては、この大きさの多数の凹凸が織物の表面及び/又は裏面の略全面にわたって分散して存在するように形成されていれば、具体的な構成は特に制限されない。例えば、直径0.1〜7μmの粒子であってもよく、直径0.1〜7μmの突起でもよく、糸の表面に設けられた幅及び深さが0.1〜7μmのヒダであってもよい。
0.1〜7μmの粒子である場合、有機物粒子であっても無機物粒子であってもよく、透過性の有無も制限されないが、透過性を有するほうが好ましい。例えば、金属、金属酸化物、シリカ、セラミック、ガラス、無機塩、有機塩、樹脂微粒子等が挙げられる。これらの粒子は、織物を作成した後に後加工にて付与することもでき、予め表面に粒子を付与した糸を製織に供することもできる。粒子を織物表面に付与する場合、粒子の付与量は例えば、0.01〜0.5g/mとすることができ、例えば、0.37μmのシリカ微粒子を0.06〜0.14g/mで付与することによって、良好な結果が得られている。
凹凸が0.1〜7μmの突起である場合、突起は例えば、織物の表面に加工された凹部と凸部からなる突起であればよく、突起形成の手段は問わないが、例えばエンボス、エッチングやサンドブラストにより形成することができる。すなわちこの突起は、球状、柱体状又は錐体状の突起だけでなく、一定形状或いは不定形状に形成された突出部をも含む。
凹凸が幅又は深さが0.1〜7μmのヒダである場合、ヒダは例えば、織物を構成する繊維のフィラメントの1本1本に設けられたフィラメント長さ方向の溝又は隆起部であってもよい。すなわち、織物を構成する繊維として、溝や隆起部のある断面を有する異形断面繊維を用いてもよいし、エンボス、シャーリング、起毛、減量加工等によって溝を形成してもよい。
本発明の織物は、無機系酸化物の含有量が0.8重量%以下かつ撚り数が300T/m以下の糸を20%以上含み、カバーファクターが1000以上で、採光拡散値を0.04以上とした織物が、幾何学散乱を発現することを見出し、これに加えて、上記の凹凸を表面に有することによって、ミー散乱効果が発現し、より高い透過光の拡散性を獲得できることを見出したものである。可視光最大波長の約10倍、かつ、織物を構成する主要な糸のフィラメント径13〜15μmの1/2程度となる値が7μmであり、粒子がこれ以下の大きさであることでミー散乱が効果的に得られるものと考えられている。本発明の織物は、上記の構成によって、光の透過性を損なうことなく拡散性を向上させ、もって透過性と拡散性を両立させることが可能であると考えられている。
前記の糸は、フィラメント糸であってもスパン糸であってもよいが、フィラメント糸であることが好ましい。フィラメント糸である場合、マルチフィラメント糸であってもモノフィラメント糸であってもかまわない。また、断面形状は問わず、扁平断面であっても円形断面であってもよいが、扁平断面の方が好ましい。例えば、扁平断面のマルチフィラメント糸、円形断面のモノフィラメント糸を好ましく使用できる。
断面形状が扁平である糸とは、フィラメントの断面が楕円形、略楕円形、くびれのある楕円形等、断面において長さの異なる長辺と短辺とが存在する形状である糸をいう。具体的には例えば、ウェーブロン(帝人ファイバー社製、登録商標)、ベルスクェア(KBセーレン社製、登録商標)などが挙げられる。フィラメントの総繊度は特に制限されないが、好ましくは10〜350dtex、より好ましくは20〜200dtexである。
断面形状が扁平である糸は、織物において、糸の断面の扁平面が織物の面方向に配向していることが好ましい。糸の扁平面が織物表面に配向することによって、透過性が向上し、かつ、織物を構成する繊維と繊維の間に生じる微細な隙間が少なくなるため、拡散性の向上にも寄与するものと考えられている。
本発明の織物では、上記の糸は、織物において、面方向に並列して配向している。面方向に並列して配向しているとは、経糸または緯糸に使用される前記糸が、互いに絡み合わずに一列に引き揃えられて並んだ状態で織り込まれていることを意味する。一列に引き揃えられた糸は、織物の厚み方向に一層に配列されていてもよいし、多層に重なった状態で互いに並行して配列されていてもよい。例えば、断面形状が円形状のモノフィラメント糸を用いる場合、2〜4層程度に重なりながら、絡み合わずに引き揃えられていることが好ましい。
前記の糸がマルチフィラメント糸の場合は、その撚り数を300T/m以下に制限することで、マルチフィラメント糸を構成する単繊維が互いに重なり合わずに一列に引き揃えられて並んだ状態で織り込むことが可能となる。また、糸がモノフィラメント糸の場合は、そのモノフィラメントを1本1本織り込んでも良いし、同口に1本ずつ数回に分けて織り込んでも良いし、同口に引き揃えて複数本を一度に織り込んでも良い。
本発明の織物は、上記の構成と効果を有する限り、様々な機能加工(例えば、抗菌加工、防汚加工、防炎加工等)をされていても、機能性糸(例えば消臭糸、難燃糸等)が織り込まれていてもよく、特に制限されない。
(採光値及び拡散値の評価)
本発明の織物の採光値及び拡散値の測定及び算出、評価には次のシステムを用いる。
図1A、図1Bを参照して、評価システムは、筐体1と、筐体1に収容された光源2とを備えている。筐体1は直方体形状を有しており、その1つの側面10の中央には矩形状の開口11が形成されている(図2参照)。筐体1の内壁全体は黒色であり、光源2から照射される光が筐体1内で反射することが極力抑えられている。これは、例えば、筐体1の内壁に艶消しの黒色塗料が塗布される、または黒色紙が貼られるなどによって行われる。
光源2は可視光を照射する。光源2は、例えばLED、蛍光灯、白熱灯、HIDなどである。光源2の形状、消費電力、波長、指向性の有無、単色光か白色光かなどについては問われない。光源2は典型的には、その放射光軸20が側面10と直交し、かつ開口11の中心を通るように筐体1内に配置され、開口11全体に向けて光を照射する。
評価システムは、開口11が、被検物である織物3で覆われるように織物3を筐体1の側面10に保持する保持部4を備えている。保持部4は、図2の通り、側面10の開口11より上方の位置と下方の位置とにそれぞれ配置されている。保持部4は、織物3の上下の端を把持することで織物3を鉛直に保持する。保持部4は、例えば、マグネット、クリップなどである。織物3が保持部4によって保持されると、光源2から照射された光は、織物3の一方側から開口11の大きさで織物3に照射され、織物3の他方側へ透過する。このような構成によって、光が窓に差し込み、カーテン、スクリーンなどに照射され、これを透過するような状況が作り出される。
評価システムでは、織物3が保持される領域に基準点Pが規定されている。本実施形態では、基準点Pは光源2の放射光軸20上に規定されている。この保持された織物3上の基準点Pを含み織物3の面と直交する直交平面(例えば水平平面)が規定されている。さらに、この直交平面において基準点Pから織物3の面に対して垂直に織物の他方側(透過側)へのびる基準線Lが規定されている。
図1Bの通り、評価システムは、直交平面上において上記基準線Lと基準点Pからのびる直線との成す角度をθとして、直交平面上で−90°≦θ≦90°の範囲で基準点Pから等距離にある複数の地点で織物3を透過した光の照度を測定する照度測定部5を、筐体1の外部に備える。
照度測定部5は、直交平面上で−90°≦θ≦90°の範囲で基準点Pから距離dだけ離れた位置において互いに角度間隔をあけて配置された、光を受光して電気信号に変換する複数の受光部50と、受光部50からの電気信号に基づいて光の照度を算出する照度演算部51とからなる。照度測定部5は、この構成によって、直交平面上の基準点Pから等しい距離dにある複数の地点で、透過光の照度を測定することができる。
なお、図1Bに示された評価システムは、対称性の観点から、複数の受光部50は0°≦θ≦90°の範囲に渡ってだけ設けられているが、基準線Lが放射光軸20上にないように光源2が配置される場合もあり、このような場合には、複数の受光部50が−90°≦θ≦90°の範囲に渡って設けられることが好ましい。
さらに、評価システムは、照度測定部5により測定された複数の地点の照度に基づいて、織物3の光の透過性および拡散性を評価するための指標となる値を算出する指標値演算部6を備えている。なお、算出する際に用いる各地点の照度は、その地点で一回だけ測定した値でも、その地点で複数回測定した値の平均のどちらでもよい。
指標値演算部6は、織物3の光の透過性を評価する指標として採光値を算出する。
採光値は、複数の地点で測定した照度を角度θで積分した値を照度積分値として、織物3がある状態での照度に基づく照度積分値を、織物3がないブランクの状態での照度に基づく照度積分値で割った値と規定される。
従って、指標値演算部6は、織物3がある状態で照度測定部5によって測定された各地点の照度を用いて、織物3がある状態での照度積分値を算出し、ブランクの状態で照度測定部5によって測定された各地点の照度を用いて、ブランク状態での積分照度値を算出する。そして、指標値演算部6は、算出した2つの照度積分値を用いて採光値を算出する。
一例として、図3の通り、横軸を角度(θ)とし縦軸を照度(lx)としたグラフ上で、測定した複数の照度をプロットし、これらを結ぶ線を描き、この描いた線と横軸間の面積を算出することで積分照度値を求める。即ち、織物3が有る場合の面積とブランクの場合の面積とをそれぞれ算出して、算出した2つの面積から採光値を算出する。
指標値演算部6はまた、織物3の光の拡散性を評価する指標として拡散値を算出する。
拡散値は、上述の形態のように放射光軸20上に基準線Lがある場合、15°≦|θ|≦75°の範囲の一つの地点の照度か、15°≦|θ|≦75°の範囲の複数の地点の照度を統計的に処理した値かのいずれか一方を、0°≦|θ|≦5°の範囲の一つの地点の照度か、0°≦|θ|≦5°の範囲の複数の地点の照度を統計的に処理した値かのいずれかのいずれか一方で割った値として規定される。なお、「複数の地点の照度を統計的に処理した値」とは、各地点の照度の和、各地点の照度の平均などである。これは、以下でも同じである。
指標値演算部6は、照度測定部5によって測定された15°≦|θ|≦75°の範囲及び0°≦|θ|≦5°の範囲の各地点の照度を用いて、規定された通りに拡散値を算出する。典型的には、拡散値は、15°≦|θ|≦75°(好ましくは35°≦|θ|≦65°)の範囲の一つの地点の照度を、θ=0°の地点の照度で割った値として定義、算出される。
例えば、図4に示されるように、織物3を透過した光は、透過し拡散しなかった光および透過し拡散した光の双方が達する範囲T1と、透過し拡散した光だけが達する範囲T2との2つの範囲に分けることができる。そこで、拡散値を、範囲T2の一つの地点の照度か、範囲T2の複数の地点の照度を統計的に処理した値かのいずれか一方を、範囲T1の一つの地点の照度か、範囲T1の複数の地点の照度を統計的に処理した値かのいずれか一方で割った値、と規定する。
指標値演算部6はまた、透過性と拡散性とを同時に評価する指標として採光拡散値を算出する。採光拡散値は、採光値と拡散値とを掛け合わせた値として規定される。従って、指標値演算部6は、算出した採光値と拡散値とを用いて採光拡散値を算出する。透過性と拡散性とは基本的にはトレードオフの関係にあることが見出されている。即ち、採光値と拡散値との積である採光拡散値は、透過性と拡散性の両立性を示す指標となる。
本発明の織物は、採光拡散値が0.04以上であることが好ましい。より好ましくは0.046以上、より好ましくは0.05以上である。採光拡散値は、採光値と拡散値との積であり、採光拡散値が0.04以上であれば十分な採光性と拡散性を両立することができる。更に詳しく詳述すれば、特定の採光拡散値においても、光の直射が強い場合は拡散値がより大きいほうが好ましく、光の直射が弱い場合は採光値がより大きいほうが好ましい。光の直射が弱い場合は、採光値は、0.2以上が好ましく、より好ましくは0.3以上であり、光の直射が強い場合は、拡散値は、0.1以上が好ましく、より好ましくは0.15以上である。
本発明の織物は、上述の材料を用いて、公知の織成方法によって織成される。本発明の織物は、ウィンドウ・トリートメント製品、具体的には、カーテン、スクリーン、シェード、ブラインド等として好適に用いられる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は具体的な実施例に制限されるものではない。
<採光拡散値の測定・算出方法>
測定装置として、図1Aに示した構成の装置を用いた。測定装置筐体の9cm×9cmの窓面から15cmの位置に光源を設置し、窓面に向かって光を照射した。実際の使用環境により近い条件とするため、筐体の窓面の内側(光源と試料との間)に3mm厚フロートガラスを設置して測定を行った。光源には25W昼白色LED電球(東芝製LEL−SL2N−E17S)を用いた。窓面から40cmの距離(光源と反対側)にて照度を測定した。測定は、試料面に対して垂直に照射された光軸の延長上を0°とし、試料面と直交する水平面内にて、15°、30°、60°の計4地点にて行った。測定には照度計(ミノルタ社製T−10)を用いた。下記のとおり採光値、拡散値、採光拡散値を算出した。
(1)採光値
0°から60°までの照度値と、90°地点の照度を0lxと置いた0°から90°の照度を積分した値を照度積分値とし、試料を設置した状態での照度積分値を、試料を設置しない状態での照度積分値で割った値を採光値とした。
(2)拡散値
60°地点の照度を0°地点の照度で割った値を拡散値とした。
(3)採光拡散値
採光値と拡散値とを掛け合わせた値を採光拡散値とした。
[実施例1]
緯糸として、艶消し剤無添加、無撚りの扁平断面マルチフィラメント糸スーパーブライト(繊度84dtex)を100%用い、経糸として円形断面マルチフィラメント糸セミダル(繊度84dtex、撚り数1000T/m)を用いた、ポリエステル100%生地(カバーファクター2000)を用いた。生地全体重量に対する上記扁平断面マルチフィラメント糸の割合は、46%であった。
一方で、平均粒径0.37μmのアモルファスシリカ20%分散液(日産化学工業製LA−S203C)0.5gと、ポリエステル系樹脂バインダー(明成化学製メイバインダーNS)1gと、水100gとを混合して、処理液とした。
前記の生地を前記処理液に十分に浸し、マングルで絞り脱液した。この時のピックアップ率は70%であった。続いて、熱風乾燥機にて130℃で5分間乾燥させて、実施例1の生地を得た。アモルファスシリカの固着量は、0.067g/mであった。
実施例1の生地について、採光値、拡散値、採光拡散値を測定、算出した。結果を表1に示す。
[実施例2]
アモルファスシリカ分散液を1.0gとする以外、実施例1と同様にして実施例2の生地を得た。アモルファスシリカの固着量は、0.133g/mであった。
実施例2の生地について、採光値、拡散値、採光拡散値を測定、算出した。結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1、2の生地に、アモルファスシリカを付与していないものを、実施例3とした。実施例3の生地について、採光値、拡散値、採光拡散値を測定、算出した。結果を表1に示す。また実施例3の生地の断面写真を図5に示す。
[比較例1]
経糸および緯糸に円形断面マルチフィラメント糸セミダル(繊度84dtex、撚り数1000T/m)のみを用いて、ポリエステル100%生地(カバーファクター1381)を得た。比較例1の生地について、採光値、拡散値、採光拡散値を測定、算出した。結果を表1に示す。
[比較例2]
経糸および緯糸に円形断面マルチフィラメント糸フルダル(繊度100dtex、撚り数300T/m)のみを用いて、ポリエステル100%生地(カバーファクター1540)を得た。比較例2の生地について、採光値、拡散値、採光拡散値を測定、算出した。結果を表1に示す。
[比較例3]
経糸および緯糸に円形断面マルチフィラメント糸セミダル(繊度84dtex、撚り数300T/m)のみを用いて、ポリエステル100%生地(カバーファクター303)を得た。生地全体重量に対する上記円形断面マルチフィラメント糸セミダルの割合は、100%であった。比較例3の生地について、採光値、拡散値、採光拡散値を測定、算出した。結果を表1に示す。
表1に示されるとおり、実施例1、2、3は高い採光拡散値を示した。また、実施例3と比較して、実施例1は、採光値が若干低下したものの拡散値が6.4%向上し、採光拡散値が5.0%向上した。同様に実施例2は、採光拡散値が3.6%低下したものの拡散値が6.9%向上し、採光拡散値が3.1%向上した。このことから、生地に対して後加工で微細な凹凸を付与することによって、採光拡散性のさらなる向上を図ることが可能であることがわかる。
また図5の写真のとおり、実施例3の生地は、緯糸が1層〜4層程度に重なった構造であることが確認された。なお、実施例1及び2の生地も同様の構造を有していた。
さらに、本発明の構成を有さない比較例1は、採光値は高い(0.518)ものの拡散値(0.071)が低く、採光拡散値が十分でなかった。同様に、比較例2は、採光値は高い(0.314)ものの、拡散値(0.107)が低く、採光拡散値も十分でなかった。同様に、比較例3は、採光値は高い(0.689)ものの拡散値(0.032)が低く、採光拡散値が十分でなかった。
1 筐体
10 側面
11 側面に形成された開口
2 光源
20 光源の放射光軸
3 織物
4 保持部
5 照度測定部
50 受光部
51 照度演算部
6 指標値演算部
P 基準点
L 基準線
θ 基準線との成す角度
d 基準点からの距離

Claims (4)

  1. 有機系紫外線吸収剤を含まず、無機系酸化物の含有量が0.8重量%以下かつ撚り数が300T/m以下であって、フィラメントの断面がくびれのない楕円形である糸を緯糸として20%以上含み、経糸が撚糸であり、カバーファクターが1000以上である織物であって、前記緯糸が前記織物の面方向に並列して配向していることを特徴とする織物。
  2. 前記織物の採光拡散値が0.04以上である、請求項1に記載の織物。
  3. 前記カバーファクターが2000以上である、請求項1又は2に記載の織物。
  4. 前記織物の表面に大きさ0.1〜7μmの粒子が付与されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の織物。
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