JP6550820B2 - 車両の動力伝達制御装置 - Google Patents

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本発明は、車両の動力伝達制御装置に関する。
従来より、複数の変速段を有する変速機と、車両の動力源の駆動出力軸と前記変速機の入力軸との間に介装されたクラッチと、を備え、前記変速機及び前記クラッチをアクチュエータで制御する、車両の動力伝達制御装置が広く知られている(例えば、特許文献1、2を参照)。
上記文献に記載された装置の変速機では、各変速段について、互いに常時噛合する固定ギヤ及び遊転ギヤが備えられる。加えて、各遊転ギヤをその遊転ギヤが設けられた対応軸に対して相対回転不能に固定するための、対応軸のハブに嵌合する軸方向に移動可能な複数のスリーブが備えられる。複数の変速段のうちの1つの変速段に対応するスリーブがその変速段の遊転ギヤと係合する位置(係合位置)にあり、且つ、残りのスリーブが対応する遊転ギヤと係合しない位置(中立位置)にある状態において、その変速段が実現される。
従来は、「実現される変速段」を高速側に変更する変速作動(以下、「シフトアップ」と呼ぶ)、及び、「実現される変速段」を低速側に変更する変速作動(以下、「シフトダウン」と呼ぶ)を行う度に、クラッチを一時的に分断状態に調整していた。しかしながら、この構成では、クラッチが分断状態に調整されている間に亘って、動力源の駆動トルクの駆動輪への伝達が途切れてしまう、という問題が発生し得る。
これに対し、上記文献に記載された装置では、「シフトアップ」を実行する際、クラッチを接合状態に維持しながら、変速前の変速段に対応するスリーブが「係合位置」から「中立位置」に向けて駆動されるとともに変速後の変速段に対応するスリーブが「中立位置」から「係合位置」に向けて駆動される。この結果、シフトアップが瞬時に実行され得る。この結果、駆動源の加速方向の駆動トルクを途切れなく駆動輪に伝達しながら(所謂「シームレス」の)シフトアップを達成することができる。
しかしながら、上記のように瞬時にシフトアップが実行されるその瞬間において、所謂「二重噛合状態」が作り出される。この「二重噛合状態」が作り出される瞬間には、互いに噛合う歯面同士が激しく衝突する。この結果、衝撃波が発生し易い。この衝撃波は、過大な音及び振動の発生原因となり、従って、車両の乗員を不快に感じさせる原因の一つとなっている。
特表2010−510464号公報 特表2009−536713号公報
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、過大な音及び振動が発生せず、且つ、シームレスのシフトアップ及びシフトダウンを達成できる、車両の動力伝達制御装置を提供することにある。
本発明に係る車両の動力伝達制御装置は、「車両の動力源の駆動出力軸から動力が入力される第1入力軸と、前記車両の駆動輪へ動力を出力する出力軸と、複数の通常変速段と、前記複数の通常変速段のうちの何れか1つを選択的に確立して前記第1入力軸と前記出力軸との間で前記確立された通常変速段の動力伝達系統を形成する第1機構部であって前記複数の通常変速段のそれぞれに対してシンクロナイザリングを含むシンクロメッシュ機構が設けられた第1機構部と、を備えた、変速機」と、「前記動力源の駆動出力軸と前記変速機の第1入力軸との間に介装されたクラッチであって、前記駆動出力軸と前記第1入力軸との間で動力伝達系統が形成される滑りを伴わない完全接合状態と、前記動力伝達系統が形成される滑りを伴う半接合状態と、前記動力伝達系統が形成されない分断状態と、を選択的に実現するクラッチ」と、「前記クラッチを制御する第1アクチュエータ」と、「前記変速機の前記第1機構部を制御して前記複数の通常変速段のうちから1つの通常変速段を選択的に確立する第2アクチュエータ」と、「前記車両の走行状態に基づいて、前記第1アクチュエータ、及び、前記第2アクチュエータを制御する制御手段」と、を備える。
本発明に係る装置の特徴は、前記変速機が、「前記クラッチを介さずに前記動力源の駆動出力軸と連結された、前記第1入力軸とは別個の第2入力軸」と、「それぞれが、前記複数の通常変速段のうちの一部又は全部の通常変速段のそれぞれと同じ減速比を有する、前記通常変速段とは別個の、1つ又は複数の追加変速段」と、「前記1つ又は複数の追加変速段のうちの何れか1つを選択的に確立して前記第2入力軸と前記出力軸との間で前記確立された追加変速段の動力伝達系統を形成する第2機構部であって前記1つ又は複数の追加変速段のそれぞれに対して前記シンクロメッシュ機構が設けられていない第2機構部」と、を備えた点にある。
この特徴を備えることによって、この装置は、以下のように、シフトアップ及びシフトダウンが達成される。即ち、シフトアップについては、前記複数の通常変速段のうち対応する前記追加変速段を有する前記通常変速段が確立され、且つ、前記クラッチが前記完全接合状態に維持された状態にて、確立される変速段を高速側に変更するシフトアップを実行する際、現在確立されている前記通常変速段を確立した状態に維持しながら前記対応する追加変速段を確立し、その後、前記クラッチを前記完全接合状態から前記分断状態に変更し、その後、現在確立されている前記通常変速段の確立を解除するとともに前記複数の通常変速段のうち変速後の変速段に対応する前記通常変速段を確立し、その後、前記クラッチを前記分断状態から前記半接合状態を経て前記完全接合状態に徐々に変更し、その後、現在確立されている前記追加変速段の確立を解除するように構成される。
さらにこの装置は、前記1つ又は複数の追加変速段は、それぞれ互いに常時噛合する固定ギヤ及び遊転ギヤを備え、前記第2機構部は、前記遊転ギヤに設けられたピースとスリーブに設けられたドグ歯とを係合させることにより、前記1つ又は複数の追加変速段のうちから1つの追加変速段を選択的に確立するように構成される。遊転ギヤは互いに平行な出力軸又は第2入力軸に回転可能に設けられ、且つ、スリーブは出力軸又は第2入力軸に回転不能に設けられている。さらに前記ピースの減速側面及び前記ドグ歯の減速側面はそれぞれ、出力軸及び第2入力軸に対して傾斜し、且つ、互いに係合する場合に前記ピースと前記ドグ歯との係合を解除させる方向の力を前記スリーブに発生させる傾斜面である。
シフトダウンについては、前記複数の通常変速段のうち現在確立されている通常変速段より低速側の低速側通常変速段が対応する前記追加変速段を有する前記通常変速段が確立され、且つ、前記クラッチが前記完全接合状態に維持された状態にて、確立される変速段を前記低速側通常変速段に変更するシフトダウンを実行する際、現在確立されている前記通常変速段を確立した状態に維持しながら前記クラッチを前記完全接合状態から前記半接合状態に変更することによって、前記第2入力軸の回転速度を、前記低速側通常変速段に対応する前記追加変速段における前記車両の現在速度に対応する同期回転速度まで増大し、その後、前記低速側通常変速段に対応する前記追加変速段を確立し、その後、前記クラッチを前記半接合状態から前記分断状態に変更し、その後、現在確立されている前記通常変速段の確立を解除するとともに前記低速側通常変速段を確立し、その後、前記クラッチを前記分断状態から前記完全接合状態に変更し、その後、前記低速側通常変速段に対応する前記追加変速段の確立を解除するように構成される。
上記構成によれば、追加変速段が存在する変速段に関係する変速作動において、過大な音及び振動が発生せず、且つ、シームレスのシフトアップ及びシフトダウンが達成され得る(この点については、後に詳述する)。加えて、追加変速段が存在しない変速段に関係する変速作動では、従前どおり、クラッチを一時的に分断状態に調整しながら、シンクロメッシュ機構を利用したシフトアップ及びシフトダウンが達成できるので、過大な音及び振動が発生せず、且つ、スムーズなシフトアップ及びシフトダウンが達成され得る。
上記構成において、前記1つ又は複数の追加変速段は、前記複数の通常変速段のうちの一部の、減速比が最も大きい通常変速段を含む低速側の1つ又は複数の通常変速段と、それぞれ対応していることが好適である。
一般に、低速側の変速段では、高速側の変速段と比べて、隣接する変速段間の減速比の差が大きいので、上記追加変速段を利用することなく「過大な音及び振動が発生せず、且つ、シームレスのシフトアップ及びシフトダウン」を達成することが困難である。加えて、複数の通常変速段の全てについて対応する追加変速段をそれぞれ設けると、変速機が大型化してしまう。この点、上記構成によれば、変速機の大型化を抑え、且つ、「過大な音及び振動が発生せず、且つ、シームレスのシフトアップ及びシフトダウン」を達成することが困難な低速側の変速段にてそれを確実に達成できる。
本発明の実施形態に係る車両の動力伝達制御装置の概略構成を示す図である。 シフトアップの際の作動を説明するための第1の図である。 シフトアップの際の作動を説明するための第2の図である。 シフトアップの際の作動を説明するための第3の図である。 シフトアップの際の作動を説明するための第4の図である。 シフトアップの際の作動を説明するための第5の図である。 シフトアップの際の作動を説明するための第6の図である。 シフトダウンの際の作動を説明するための第1の図である。 シフトダウンの際の作動を説明するための第2の図である。 シフトダウンの際の作動を説明するための第3の図である。 シフトダウンの際の作動を説明するための第4の図である。 シフトダウンの際の作動を説明するための第5の図である。
以下、本発明の実施形態に係る車両の動力伝達制御装置(以下、「本装置」とも呼ぶ)について図面を参照しつつ説明する。本装置に含まれる変速機T/Mは、車両の駆動源であるエンジンの駆動出力軸と車両の駆動輪とを結ぶ動力伝達系統に介装され、車両前進用に6つの変速段を備えている。
(構成)
図1に示すように、変速機T/Mは、互いに同軸的に配置された入力軸A2c及びA2eと、これら入力軸A2c及びA2eと平行に配置された出力軸A3及びA4と、を備えている。これらの軸は、T/Mのハウジング(図示せず)に相対回転可能に支持されている。入力軸A2cは、クラッチC/Dと一体回転するように連結され、入力軸A2eは、エンジンE/Gの駆動出力軸A1と一体回転するフライホイールF/Wと一体回転するように連結されている。出力軸A3及びA4は、ディファレンシャルD/Fを介して車両の駆動輪に接続されている。
クラッチC/Dは、周知の構成の1つを有する摩擦クラッチディスクである。クラッチC/D(より正確には、クラッチディスク)は、フライホイールF/Wと互いに向き合うように同軸的に配置されている。フライホイールF/Wに対するクラッチC/D(より正確には、クラッチディスク)の軸方向の位置が調整可能になっている。クラッチC/Dの軸方向位置は、クラッチアクチュエータACT1により調整される。この結果、クラッチC/Dは、駆動出力軸A1と入力軸A2cとの間で、動力伝達系統が形成される滑りを伴わない「完全接合状態」と、動力伝達系統が形成される滑りを伴う「半接合状態」と、動力伝達系統が形成されない「分断状態」と、を選択的に実現可能に構成されている。なお、このクラッチC/Dは、運転者によって操作されるクラッチペダルを備えていない。
変速機T/Mは、シンクロ機構部M1(前記「第1機構部」に対応)と、シームレス機構部M2(前記「第2機構部」に対応)と、を備える。
シンクロ機構部M1は、6つの通常変速段、「1速(1st)」、「2速(2nd)」、「3速(3rd)」、「4速(4th)」、「5速(5th)」、「6速(6th)」を備える。後述する通過変速段の1速及び2速と区別するため、通常変速段の「1速(1st)」、及び、「2速(2nd)」を、特に、「1速a(1sta)」、及び、「2速a(2nda)」とも呼ぶ。
各通常変速段について、互いに常時噛合する固定ギヤ及び遊転ギヤが備えられる。1速a及び2速a兼用の固定ギヤ、3速及び4速兼用の固定ギヤ、並びに、5速及び6速兼用の固定ギヤが、それぞれ、入力軸A2cに相対回転不能に設けられている。2速a、3速、及び5速の遊転ギヤが、それぞれ、出力軸A3に相対回転可能に設けられている。1速a、4速、及び6速の遊転ギヤが、それぞれ、出力軸A4に相対回転可能に設けられている。各通常変速段について、シンクロナイザリングを含む周知のシンクロメッシュ機構が設けられている。
シームレス機構部M2は、2つの追加変速段、「1速b(1stb)」、「2速b(2ndb)」を備える。各追加変速段について、互いに常時噛合する固定ギヤ及び遊転ギヤが備えられる。1速b及び2速b兼用の固定ギヤが、入力軸A2eに相対回転不能に設けられている。1速bの遊転ギヤが出力軸A3に相対回転可能に設けられ、2速bの遊転ギヤが出力軸A4に相対回転可能に設けられている。通常変速段の「1速a(1sta)」と追加変速段の「1速b(1stb)」とは、減速比が同じであり、通常変速段の「2速a(2nda)」と追加変速段の「2速b(2ndb)」とは、減速比が同じである。「減速比」とは、「出力軸の回転速度に対する入力軸の回転速度の割合」を指す。各追加変速段について、上記シンクロメッシュ機構が設けられていない。
シンクロ機構部M1及びシームレス機構部M2は、スリーブS1〜S4を備える。スリーブS1、S3は、出力軸A3に相対回転不能且つ軸方向に相対移動可能に設けられ、スリーブS2、S4は、出力軸A4に相対回転不能且つ軸方向に相対移動可能に設けられている。スリーブS1は、2速aの遊転ギヤのピース、及び、5速の遊転ギヤのピースと選択的に係合可能であり、スリーブS2は、1速aの遊転ギヤのピース、及び、6速の遊転ギヤのピースと選択的に係合可能であり、スリーブS3は、1速bの遊転ギヤのピース、及び、3速の遊転ギヤのピースと選択的に係合可能であり、スリーブS4は、2速bの遊転ギヤのピース、及び、4速の遊転ギヤのピースと選択的に係合可能である。各スリーブが中立位置にあるとき、そのスリーブは対応する遊転ギヤのピースと係合しない。
或るスリーブが対応する遊転ギヤのピースと係合することによって、その遊転ギヤがその遊転ギヤが設けられている軸に対して相対回転不能となり、その遊転ギヤに対応する変速段が確立される。即ち、或る変速段が「確立される」とは、「その変速段の遊転ギヤがその遊転ギヤが設けられている軸に対して相対回転不能となる状態」を指す。
各スリーブの軸方向位置は、変速機アクチュエータACT2により調整される。ACT2を用いてスリーブS1〜S4を制御することによって、複数の変速段のうちから1つの変速段が選択的に確立される。ACT2を制御して「確立される変速段」を変更することによって、減速比が調整される。
ECUは、各種センサ等からの情報等に基づいて、アクチュエータACT1、ACT2を制御することで、クラッチC/Dの状態、並びに、変速機T/Mの「確立される変速段」を設定・変更する。また、ECUは、エンジンE/Gの燃料噴射量(スロットル弁の開度)を制御することで、エンジンE/Gの駆動出力軸A1の駆動トルクを制御する。上記各種センサとは、例えば、アクセル開度を検出するセンサ、シフトレバーの位置を検出するセンサ、ブレーキペダルの操作の有無を検出するセンサ等である。
(追加変速段が存在する変速段に関係するシフトアップ時における作動)
以下、図2〜図7を参照しながら、車両の発進後の加速中における1速から2速へのシフトアップを例にとって、本装置による、追加変速段が存在する変速段に関係するシフトアップ時における作動について説明する。各図において、上図の太い矢印は、トルクフローを表わし、下図の細い矢印は、回転速度の大きさを表す。なお、シフトアップ(後述するシフトダウンも同様)のタイミングは、手動モードの場合には、運転者によるシフトレバーの操作に基づいて決定され、自動モードの場合には、車両の状態(車速、及び、アクセル開度)に基づいて決定され得る(後述するシフトダウンについても同様)。
図2に示すように、車両の停止状態(全てのスリーブが中立位置にあり、且つ、クラッチC/Dが分断状態にあり、エンジンE/Gが運転されている)にて、ACT2によってスリーブS2を通常変速段の1速aのピースと係合することによって、1速aが確立される。このとき、1速aのシンクロメッシュ機構の作用によって、1速aの確立がスムーズになされ得る。この状態にて、クラッチC/Dが「分断状態」から「半接合状態」を経て「完全接合状態」に移行される。これにより、通常変速段の1速aを用いて車両がスムーズに発進される。なお、このように、1速aが確立され、且つ、クラッチC/D滑りが発生していない状態では、図2の下図に示すように、スリーブS3の回転速度と、追加変速段の1速b(1stb)の遊転ギヤのピースの回転速度と、は等しい。これは、上述のように、1速aの減速比と、1速bの減速比と、が同じだからである。図2に示す状態では、クラッチC/Dを介した1速aのトルクフローが形成されている。
図2に示す状態において、1速から2速へのシフトアップのタイミングが到来すると、図3に示すように、ACT2によってスリーブS3を追加変速段の1速bの遊転ギヤのピースと係合することによって、1速bが確立される。即ち、1速a及び1速bの両方が確立された状態となる。なお、図3の下図に示すように、S3の回転速度と1速bの遊転ギヤのピースの回転速度とが等しいので、シンクロメッシュ機構なしでも、スリーブS3の1速bの遊転ギヤのピースに対する係合はスムーズに達成され得る。加えて、所謂「二重噛合状態」が作り出されないので、過大な音及び振動が発生しない。図3に示す状態でも引き続き、クラッチC/Dを介した1速aのトルクフローが形成されている。
続いて、図4に示すように、クラッチC/Dが「完全接合状態」から「分断状態」に移行される。これにより、スリーブS3のドグ歯の加速側面と、1速bの遊転ギヤのピースの加速側面とが係合する。この結果、クラッチC/Dに代えて、スリーブS3と1速bの遊転ギヤのピースとの係合部を介してトルクが伝達されるようになる。即ち、トルクフローが、クラッチC/Dを介した1速aのフローから、クラッチC/Dを介さない1速bのフローへと移行する。
次に、図5に示すように、ACT2によってスリーブS2を中立位置に戻して1速aの確立を解除し、その後、ACT2によってスリーブS1を通常変速段の2速aの遊転ギヤのピースと係合することによって、2速aが確立される。このとき、2速aのシンクロメッシュ機構の作用によって、2速aの確立がスムーズになされ得る。なお、この状態では、クラッチC/Dが分断状態にあるので、これによっても、スリーブS2の中立位置への移動、及び、スリーブS1の2速aの遊転ギヤのピースに対する係合はスムーズに達成され得る。図5に示す状態でも引き続き、クラッチC/Dを介さない1速bのトルクフローが形成されている。
続いて、図6に示すように、クラッチC/Dが分断状態から半接合状態を経て完全接合状態に移行され、その後、図7に示すように、ACT2によってスリーブS3を中立位置に戻して1速bの確立が解除される。即ち、トルクフローが、クラッチC/Dを介さない1速bのフローから、クラッチC/Dを介する2速aのフローへと移行する。
なお、図6に示すように、クラッチC/Dが分断状態から完全接合状態に移行する過程において、エンジンE/Gの駆動出力軸A1の回転速度が1速に対応する回転速度から2速に対応する回転速度まで低下することに起因して、図6の下図に示すように、1速bの遊転ギヤのピースの回転速度がスリーブS3の回転速度より低くなる。この回転速度差の発生により、スリーブS3のドグ歯の減速側面と、1速bの遊転ギヤのピースの減速側面とが係合する。ここで、本装置では、両方の減速側面が軸に対して傾いた傾斜面となっている。従って、両方の減速側面が係合した瞬間に、スリーブS3は中立位置に戻る方向の力を受ける。即ち、スリーブS3は、ACT2の駆動力に加えて、この力をも受けて、中立位置に戻る。
以上、図7に示すように、2速aのみが確立され、クラッチC/Dを介する2速aのトルクフローが形成された状態が得られる。即ち、1速から2速へのシフトアップが完了する。このように、本装置では、追加変速段が存在する変速段(1速、2速)に関係する変速作動において、過大な音及び振動が発生せず、且つ、シームレスの(トルク伝達が途切れることのない)シフトアップが達成され得る。
(追加変速段が存在する変速段に関係するシフトダウン時における作動)
次に、図8〜図12を参照しながら、車両の2速で加速中における2速から1速へのシフトダウンを例にとって、本装置による、追加変速段が存在する変速段に関係するシフトダウン時における作動について説明する。
車両が2速で加速中(2速aのみ確立され、クラッチC/Dが完全接合状態にある)において、2速から1速へのシフトダウンのタイミングが到来すると、図8に示すように、クラッチC/Dが完全接合状態から半接合状態に変更される。これにより、クラッチC/Dの滑りが発生することによって、入力軸A2eの回転速度(従って、1速bの遊転ギヤの回転速度)が増大していく。1速bの遊転ギヤの回転速度がスリーブS3の回転速度と一致するように(即ち、入力軸A2eの回転速度が、1速における車両の現在速度に対応する同期回転速度と一致するように)、エンジンE/Gの駆動トルク、及び、クラッチC/Dの半クラッチの状態が調整される。図8に示す状態では、クラッチC/Dを介した2速aのトルクフローが形成されている。
このように、1速bの遊転ギヤの回転速度がスリーブS3の回転速度と一致した状態(2速aのみ確立され、クラッチC/Dが半接合状態にある)において、図9に示すように、ACT2によってスリーブS3を追加変速段の1速bの遊転ギヤのピースと係合することによって、1速bが確立される。即ち、2速a及び1速bの両方が確立された状態となる。なお、図9の下図に示すように、クラッチC/Dの半接合状態によって、1速bの遊転ギヤのピースの回転速度がS3の回転速度と等しくなるように調整されているので、シンクロメッシュ機構なしでも、スリーブS3の1速bの遊転ギヤのピースに対する係合はスムーズに達成され得る。加えて、所謂「二重噛合状態」が作り出されないので、過大な音及び振動が発生しない。図9に示す状態でも引き続き、クラッチC/Dを介した2速aのトルクフローが形成されている。
続いて、図10に示すように、クラッチC/Dが「半接合状態」から「分断状態」に移行される。これにより、スリーブS3のドグ歯の加速側面と、1速bの遊転ギヤのピースの加速側面とが係合する。この結果、クラッチC/Dに代えて、スリーブS3と1速bの遊転ギヤのピースとの係合部を介してトルクが伝達されるようになる。即ち、トルクフローが、クラッチC/Dを介した2速aのフローから、クラッチC/Dを介さない1速bのフローへと移行する。
次に、図11に示すように、ACT2によってスリーブS1を中立位置に戻して2速aの確立を解除し、その後、ACT2によってスリーブS2を通常変速段の1速aの遊転ギヤのピースと係合することによって、1速aが確立される。このとき、1速aのシンクロメッシュ機構の作用によって、1速aの確立がスムーズになされ得る。なお、この状態では、クラッチC/Dが分断状態にあるので、スリーブS1の中立位置への移動、及び、スリーブS2の1速aの遊転ギヤのピースに対する係合はスムーズに達成され得る。図11に示す状態でも引き続き、クラッチC/Dを介さない1速bのトルクフローが形成されている。
続いて、図12に示すように、クラッチC/Dが分断状態から完全接合状態に移行される。図12に示す状態でも引き続き、クラッチC/Dを介さない1速bのトルクフローが形成されている。その後、ACT2によってスリーブS3を中立位置に戻して1速bの確立が解除される。即ち、トルクフローが、クラッチC/Dを介さない1速bのフローから、クラッチC/Dを介する1速aのフローへと移行する。
以上、1速aのみが確立され、クラッチC/Dを介する1速aのトルクフローが形成された状態が得られる。即ち、2速から1速へのシフトダウンが完了する。このように、本装置では、追加変速段が存在する変速段(1速、2速)に関係する変速作動において、過大な音及び振動が発生せず、且つ、シームレスの(トルク伝達が途切れることのない)シフトダウンが達成され得る。
以上、説明したように、本装置によれば、追加変速段が存在する変速段(1速、2速)に関係する変速作動において、過大な音及び振動が発生せず、且つ、シームレスのシフトアップ及びシフトダウンが達成され得る。加えて、本装置では、追加変速段が存在しない変速段(3速〜6速)に関係する変速作動では、従前どおり、クラッチを一時的に分断状態に調整しながら、シンクロメッシュ機構を利用したシフトアップ及びシフトダウンが達成できる。従って、過大な音及び振動が発生せず、且つ、スムーズなシフトアップ及びシフトダウンが達成され得る。
加えて、本装置では、通常変速段の全てではなく、通常変速段の低速側の1速及び2速についてのみ、対応する追加変速段がそれぞれ設けられている。これは、以下の理由に基づく。即ち、一般に、低速側の変速段では、高速側の変速段と比べて、隣接する変速段間の減速比の差が大きい。従って、上記追加変速段を利用することなく「過大な音及び振動が発生せず、且つ、シームレスのシフトアップ及びシフトダウン」を達成することが困難である。加えて、複数の通常変速段の全てについて対応する追加変速段をそれぞれ設けると、変速機が大型化してしまう。この点、本装置によれば、変速機の大型化を抑え、且つ、「過大な音及び振動が発生せず、且つ、シームレスのシフトアップ及びシフトダウン」を達成することが困難な低速側の変速段にてそれを確実に達成できる。
本発明は、上記の典型的な実施形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
上記の実施形態では、スリーブS1〜S4が出力軸A3、A4に設けられた場合について記載したが、本発明では、スリーブS1〜S4のそれぞれが、入力軸A2c、A2e、並びに、出力軸A3、A4の何れに設けられていてもよい。スリーブS1〜S4のそれぞれは、対応する遊転ギヤが設けられている軸に設けられる。
T/M…変速機、C/D…クラッチ、E/G…エンジン、A1…駆動出力軸、A2c、A2e…入力軸、A3、A4…出力軸、ACT1…クラッチアクチュエータ、ACT2…変速機アクチュエータ、AP…アクセルペダル、BP…ブレーキペダル、ECU…電子制御ユニット、S1〜S4…スリーブ

Claims (3)

  1. 車両の動力源の駆動出力軸から動力が入力される第1入力軸と、前記車両の駆動輪へ動力を出力する出力軸と、複数の通常変速段と、前記複数の通常変速段のうちの何れか1つを選択的に確立して前記第1入力軸と前記出力軸との間で前記確立された通常変速段の動力伝達系統を形成する第1機構部であって前記複数の通常変速段のそれぞれに対してシンクロナイザリングを含むシンクロメッシュ機構が設けられた第1機構部と、を備えた、変速機と、
    前記動力源の駆動出力軸と前記変速機の第1入力軸との間に介装されたクラッチであって、前記駆動出力軸と前記第1入力軸との間で動力伝達系統が形成される滑りを伴わない完全接合状態と、前記動力伝達系統が形成される滑りを伴う半接合状態と、前記動力伝達系統が形成されない分断状態と、を選択的に実現するクラッチと、
    前記クラッチを制御する第1アクチュエータと、
    前記変速機の前記第1機構部を制御して前記複数の通常変速段のうちから1つの通常変速段を選択的に確立する第2アクチュエータと、
    前記車両の走行状態に基づいて、前記第1アクチュエータ、及び、前記第2アクチュエータを制御する制御手段と、
    を備えた、車両の動力伝達制御装置であって、
    前記変速機は、
    前記クラッチを介さずに前記動力源の駆動出力軸と連結された、前記第1入力軸とは別個の第2入力軸と、
    それぞれが、前記複数の通常変速段のうちの一部又は全部の通常変速段のそれぞれと同じ減速比を有する、前記通常変速段とは別個の、1つ又は複数の追加変速段と、
    前記1つ又は複数の追加変速段のうちの何れか1つを選択的に確立して前記第2入力軸と前記出力軸との間で前記確立された追加変速段の動力伝達系統を形成する第2機構部であって前記1つ又は複数の追加変速段のそれぞれに対して前記シンクロメッシュ機構が設けられていない第2機構部と、
    を備え、
    前記第2アクチュエータは、前記変速機の前記第2機構部を制御して前記1つ又は複数の追加変速段のうちから1つの追加変速段を選択的に確立するように構成され、
    前記1つ又は複数の追加変速段は、それぞれ互いに常時噛合する固定ギヤ及び遊転ギヤを備え、
    前記第2機構部は、前記遊転ギヤに設けられたピースとスリーブに設けられたドグ歯とを係合させることにより、前記1つ又は複数の追加変速段のうちから1つの追加変速段を選択的に確立するように構成され、
    前記遊転ギヤは互いに平行な前記出力軸又は前記第2入力軸に回転可能に設けられ、且つ、前記スリーブは前記出力軸又は前記第2入力軸に回転不能に設けられ、
    前記制御手段は、
    前記複数の通常変速段のうち対応する前記追加変速段を有する前記通常変速段が確立され、且つ、前記クラッチが前記完全接合状態に維持された状態にて、確立される変速段を高速側に変更するシフトアップを実行する際、現在確立されている前記通常変速段を確立した状態に維持しながら前記対応する追加変速段を確立し、その後、前記クラッチを前記完全接合状態から前記分断状態に変更し、その後、現在確立されている前記通常変速段の確立を解除するとともに前記複数の通常変速段のうち変速後の変速段に対応する前記通常変速段を確立し、その後、前記クラッチを前記分断状態から前記半接合状態を経て前記完全接合状態に徐々に変更し、その後、現在確立されている前記追加変速段の確立を解除するように構成され、
    前記ピースの減速側面及び前記ドグ歯の減速側面はそれぞれ、前記出力軸及び前記第2入力軸に対して傾斜し、且つ、互いに係合する場合に前記ピースと前記ドグ歯との係合を解除させる方向の力を前記スリーブに発生させる傾斜面である、車両の動力伝達制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両の動力伝達制御装置において、
    前記制御手段は、
    前記複数の通常変速段のうち現在確立されている通常変速段より低速側の低速側通常変速段が対応する前記追加変速段を有する前記通常変速段が確立され、且つ、前記クラッチが前記完全接合状態に維持された状態にて、確立される変速段を前記低速側通常変速段に変更するシフトダウンを実行する際、現在確立されている前記通常変速段を確立した状態に維持しながら前記クラッチを前記完全接合状態から前記半接合状態に変更することによって、前記第2入力軸の回転速度を、前記低速側通常変速段に対応する前記追加変速段における前記車両の現在速度に対応する同期回転速度まで増大し、その後、前記低速側通常変速段に対応する前記追加変速段を確立し、その後、前記クラッチを前記半接合状態から前記分断状態に変更し、その後、現在確立されている前記通常変速段の確立を解除するとともに前記低速側通常変速段を確立し、その後、前記クラッチを前記分断状態から前記完全接合状態に変更し、その後、前記低速側通常変速段に対応する前記追加変速段の確立を解除するように構成された、車両の動力伝達制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の車両の動力伝達制御装置において、
    前記1つ又は複数の追加変速段は、前記複数の通常変速段のうちの一部の、減速比が最も大きい通常変速段を含む低速側の1つ又は複数の通常変速段と、それぞれ対応している、車両の動力伝達制御装置。
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