JP6549575B2 - ゴムクローラ - Google Patents
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Description
本発明のゴムクローラによれば、弾性体へのゴム膜の亀裂の進展を抑制できる。
図1は、一実施形態に係るゴムクローラ1の一部を示す、部分断面斜視図である。図1では、ゴムクローラ1が、ゴムクローラ1に回転駆動力を伝達するスプロケット100に巻き掛けられている。駆動輪となるスプロケット100と従動輪となるアイドラ(図示せず)との間には、ゴムクローラ1の荷重を支持しつつゴムクローラ1をガイドするための転輪102が、設けられている。
図1の例では、弾性体10の厚さ方向TD(ひいては、ゴムクローラ1の厚さ方向)へのラグ2の投影領域と、弾性体10の厚さ方向TDへの芯金5の投影領域とが、互いに重複している。
なお、図2は、図1のゴムクローラ1の一部を、弾性体10の内周側から示す平面図であり、図3は、図1のゴムクローラ1を、図2のA−A線に沿う断面により示す図である。図2のA−A線は、弾性体10の幅方向WDに沿うとともに、弾性体10の周方向CDにおけるゴム膜11の中心を通っている。
本実施形態において、ゴム膜11における弾性体10の外周側の面11aは、図3に示すように、凹凸が無く、平坦に形成されている。
ゴム膜11における弾性体10の外周側の面11aは、ゴム膜11における弾性体10の内周側の面11bと比べて、スプロケット100の歯101によってより大きく引き伸ばされることとなるので、仮にゴム膜11における外周側の面11aに凹凸がある場合、凹凸の基部(根本)が伸ばされる為、疲労により、亀裂が生じ易くなる。また、ゴム膜11における弾性体10の外周側の面11aに凹凸が設けられる場合、ゴムクローラ1の製造時において、ゴム膜11形成用の金型の表面に設けられた凹凸に起因して加硫時にゴムの流れが妨げられる結果、ゴム膜11における弾性体10の外周側の面11aに欠陥(例えば、ゴムの亀裂やゴム表面の肌荒れ等の外観不良)が現れやすい。
よって、ゴム膜11における弾性体10の外周側の面11aを平坦とすることにより、ゴム膜11における弾性体10の外周側の面11aに凹凸がある場合に比べて、ゴム膜11への亀裂の発生を抑制できるとともに、製造時での表面欠陥を防止できる。
本例のようなゴム膜11における弾性体10の外周側及び内周側の面11a、11bの構成により、ゴム膜11の膜厚Tは、弾性体10の周方向CD及び幅方向WDにおけるゴム膜11の中央部分よりも、弾性体10の周方向CD及び幅方向WDにおけるゴム膜11の外側部分の方が、大きくされている。より具体的に、ゴム膜11の膜厚Tは、ゴム膜11の該中央部分から該外側部分に向かう全ての方向で観たときに、増大されている。
なお、「弾性体10の周方向CD及び幅方向WDにおけるゴム膜11の中央部分」とは、弾性体10の周方向CD及び幅方向WDにおけるゴム膜11の中心近傍の部分である。「弾性体10の周方向CD及び幅方向WDにおけるゴム膜11の外側部分」とは、ゴム膜11の外縁11c近傍の環状部分(すなわち外縁側部分)であり、「弾性体10の周方向CD及び幅方向WDにおけるゴム膜11の中央部分」に対して弾性体10の周方向CD及び幅方向WDに離間した位置にある。
また、ゴム膜11における弾性体10の内周側の面11bは、ゴム膜11における弾性体10の外周側の面11aとは異なり、圧縮される部分であるため、本実施形態のようにゴム膜11の内周側に凹凸を設けることにより、圧縮によるゴムの歪みを低減でき、耐疲労性が向上するので、亀裂発生を効果的に抑制できる。
ここで、「徐々に増大」とは、ゴム膜11の上記中央部分から上記外側部分に向かう途中の1つ以上の部分で、一定に維持されてもよいが、減少されることはないことを指している。
ゴム膜11の膜厚Tが、ゴム膜11の該中央部分から該外側部分に向けて、徐々に増大されることにより、ゴム膜11の該中央部分から該外側部分に向かって、ひいてはゴム膜11の周りの弾性体10に向かって進展する、亀裂の進展速度を、徐々に低下させることができるので、弾性体10へのゴム膜11の亀裂の進展をより効果的に抑制できる。
ここで、「連続的に増大」とは、ゴム膜11の上記中央部分から上記外側部分に向かう途中で、一定に維持されたり減少されたりすること無く、常に増大され続けることを指している。
さらに、この例では、ゴム膜11の膜厚Tが、弾性体10の周方向CD及び幅方向WDにおけるゴム膜11の中央部分から(より具体的には、略中心から)、弾性体10の周方向CD及び幅方向WDにおけるゴム膜11の外側部分に向けて(より具体的には、外縁11cに向けて)、滑らかに増大されている。
ゴム膜11の膜厚Tは、ゴム膜11の上記中央部分から上記外側部分に向かう途中の1つ以上の部分で、減少してもよい。例えば、図5(a)の断面図で示す例では、ゴム膜11における弾性体10の内周側の面11bが、略リプル状に構成されており、より具体的には、弾性体10の周方向CD及び幅方向WDにおけるゴム膜11の中心側から外側に向かって、環状の凸部及び凹部が略同心状に交互に設けられており、ゴム膜11における弾性体10の外周側の面11aに対する凸部の頂点の高さは、弾性体10の周方向CD及び幅方向WDにおけるゴム膜11の中心側から外側に向かって、徐々に増大されている。このような構成により、図5(a)の例では、ゴム膜11の膜厚Tが、ゴム膜11の上記中央部分から上記外側部分に向かう途中の複数の部分(各凸部の頂点から凹部の底までの部分)で減少するが、全体としては(すなわち、各凸部の頂点の位置だけを観た場合)、ゴム膜11の上記中央部分から上記外側部分に向けて、徐々に増大されている。この場合、窪み11dの全体的な形状(すなわち、各凸部の頂点だけを観た場合の形状)は、錐体(四角錐、三角錐、円錐等)、錐台(四角錐台、三角錐台、円錐台等)、又は曲面(球面等)等、任意の形状としてよい。
一方、図5(b)の断面図は、ゴム膜11における弾性体10の内周側の面11bに、曲面状の窪み11dが形成された例を示している。
図4(a)の例及び図5(b)の例では、いずれも、ゴム膜11の膜厚Tが、弾性体10の周方向CD及び幅方向WDにおけるゴム膜11の中央部分から(より具体的には、略中心から)、弾性体10の周方向CD及び幅方向WDにおけるゴム膜11の外側部分に向けて(より具体的には、外縁11cに向けて)、連続的かつ滑らかに増大されている。
例えば、図4(b)の平面図に示す例では、ゴム膜11における弾性体10の内周側の面11bの窪み11dが、略四角錐台状に形成されており、同心の複数の長方形状の段を有している。なお、図4(b)において、ゴム膜11上に実線で描かれた複数の同心の長方形は、段を示している。図4(b)の例の場合、ゴム膜11の断面形状は、図5(c)のようになる。
したがって、窪み11dに段を設けることにより、ゴム膜11の上記中央部分から上記外側部分に向かって、ひいてはゴム膜11の周りの弾性体10に向かって進展する、亀裂の進展速度を、段の部分で比較的大きく低下させつつ、全体として徐々に低下させることができる。
例えば、図4(c)の平面図に示す例では、窪み11dの底面が、弾性体10の周方向CD及び幅方向WDにおけるゴム膜11の中心側から外側に向かって、円形の螺旋状に、徐々に(連続的に)弾性体10の内周側に向かうような形状からなる。図4(c)の例における断面図は、図5(d)のようになる。
ただし、螺旋の形状は、図4(c)の例のような円形に限られず、四角形(図4(d))や三角形等、任意の形状とすることができる。
なお、図4(c)及び図4(d)に描かれた螺旋状の実線は、等高線ではなく、段を表している。
弾性体10は、図1に示すようにスプロケット100に巻き掛けられて使用されることから、ゴム膜11の内周側部分は、弾性体10の周方向CDに繰り返して圧縮されることとなる。このため、ゴム膜11に生じた亀裂は、弾性体10の周方向CDよりも弾性体10の幅方向WDに、進展しやすいという傾向がある。図7(a)及び図7(b)の例によれば、亀裂の発生位置を窪み11d又はその近傍とすることができ、また、いったん発生した亀裂が、幅方向WD外側に進展するのを抑制することが出来るため、ゴム膜11における幅方向WD両側の外縁11cまで亀裂が進展するのにかかる時間を、長く確保できる。
図8(a)及び図8(b)の例によれば、亀裂の発生位置を、最も膜厚Tが薄くなる周方向底面部111d又はその近傍とすることができ、また、いったん発生した亀裂が、幅方向WD外側に進展するのを、傾斜底面部112dのある部分で抑制できるため、ゴム膜11における幅方向WD両側の外縁11cまで亀裂が進展するのにかかる時間を、長く確保できる。
また、窪み11dの底面のうち、傾斜底面部112dの周方向CDの両側に隣接する部分には、傾斜底面部112dよりも急な傾きで、弾性体10の幅方向WD外側に向かうにつれて徐々に弾性体10の内周側へ向かう、テーパ面113dが形成されている。ゴム膜11の膜厚Tは、テーパ面113dのある部分で、弾性体10の幅方向WD外側に向かうにつれて徐々に増大する。
ただし、窪み11dの底面には、上記テーパ面110d及び/又はテーパ面113dを設けなくてもよい。
5a:角部、 6:補強コード、 10:弾性体、 11:ゴム膜、 11a:ゴム膜における弾性体の外周側の面、 11b:ゴム膜における弾性体の内周側の面、 11c:弾性体の内周側から平面視したときのゴム膜の外縁、 11d:ゴム膜の窪み、 100:スプロケット、 101:スプロケットの歯、 102:転輪、 110d、113d:テーパ面、 111d:周方向底面部、 112d:傾斜底面部、 CD:弾性体の周方向、 TD:弾性体の厚さ方向、 WD:弾性体の幅方向
Claims (3)
- 無端状の弾性体に、前記弾性体の周方向に沿って一定のピッチをもって配列された複数の芯金と、前記芯金よりも前記弾性体の外周側に配置された補強コードとが、埋設されている、ゴムクローラにおいて、
前記芯金同士の間において前記弾性体に形成され、スプロケットの歯を受け入れる、スプロケット穴と、
前記スプロケット穴に対して設けられたゴム膜と、
を備え、
前記ゴム膜における前記弾性体の外周側の面は、平坦であり、
前記ゴム膜の膜厚は、前記弾性体の周方向及び幅方向における該ゴム膜の中央部分よりも、前記弾性体の周方向及び幅方向における該ゴム膜の外側部分の方が、大きく、
前記ゴム膜の膜厚は、前記弾性体の周方向及び幅方向における該ゴム膜の中央部分から、前記弾性体の周方向及び幅方向における該ゴム膜の外側部分に向けて、階段状に増大されている、ゴムクローラ。 - 前記ゴム膜の膜厚は、前記弾性体の周方向及び幅方向における該ゴム膜の中央部分から、前記弾性体の周方向及び幅方向における該ゴム膜の外側部分に向けて、徐々に増大されている、請求項1に記載のゴムクローラ。
- 前記ゴム膜の膜厚は、前記弾性体の周方向及び幅方向における該ゴム膜の中央部分から、前記弾性体の周方向及び幅方向における該ゴム膜の外側部分に向かう螺旋に沿って、徐々に増大されている、請求項1に記載のゴムクローラ。
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