JP6549195B2 - 信用情報抽出装置及び信用情報抽出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、信用情報抽出装置及び信用情報抽出方法の技術に関する。
近年、Web上からローン(カードローン、キャッシングローン等)の貸付申し込みを行える仕組みが知られている。例えば、Webサイト上より、ローンの申込者が申込者情報や貸付希望金額などの所定の申込情報を入力すると、その申込情報は金融機関(銀行、ローン会社等)に送信される。金融機関は申込情報を受信すると、審査担当者は、信用情報機関に対して、申込者情報(氏名、生年月日等)を元に申込者の信用情報を問合せる。
信用情報機関は、複数各社の金融機関から個人の現在・過去の貸入実績(借入金額、返済実績、貸入件数等々)の情報を収集・蓄積しており、金融機関の問合せに応じて、個人の信用情報を提供する。
審査担当者は、信用情報機関から申込者の信用情報を取得すると、取得した信用情報を判断材料として貸付可否の審査を実施する。審査が終了すると、その審査結果は、申込者に対し速やかに返信される。
ここで、金融機関の審査担当者が貸付可否を判断するにあたり、重要な判断ポイントのひとつは、ローン申込者の返済能力の有無である。審査担当者は、信用情報を判断材料として貸付可否の判断を行うが、信用情報からみて明らかに返済能力有りと分かる申込者には貸付可との判断を、逆に、明らかに返済能力無しと分かる申込者には貸付否との判断を行うのが普通である。
一方、審査担当者にとって、信用情報からみて、返済能力有りとも返済能力無しとも分からない申込者に対して貸付可否の判断を行う場合、高い困難性が伴う。このような場合、審査担当者の判断能力や経験などに依存して貸付可否の判断を行いうるが、そもそも信用情報のみでは適切な判断が困難である以上、審査担当者がより適切・妥当な判断を行うためのさらなる判断材料(判断のための情報)が望まれる。
これに関する技術として、例えば、特許文献1には、顧客個人の金銭や消費等に関する性格的な資質をも含めた審査を行うことができ、各個人に見合ったより適切な融資条件での融資を可能とする融資審査装置が記載されている。
特開2009−163628号公報
しかしながら、上記特許文献1記載の発明は、顧客の融資適性情報も加味することで、顧客個人の金銭や消費等に関する性格的な資質をも含めた審査を行うが、具体的には、自動契約機等から顧客に対し設問項目を設けることで、顧客の融資適性情報の問い合わせを行う。このため、顧客が有利な融資条件を得るために、意図的に虚偽の回答を行う余地があり、この場合、妥当な融資適性情報を得られない可能性がある。
また、上述の通り、審査担当者は、信用情報を判断材料として貸付可否の審査を行うが、ときに信用情報機関側では、信用情報の「該当なし」という申込者が存在する場合がある。このような申込者の場合、概ね次のタイプの申込者が想定される。
・過去一度もクレジットカードの類やローンも組んだことがない完全に新規な申込者
・身分を偽った詐欺者
従来、金融機関は、このような申込者の場合、後者による貸し倒れを危惧するため、貸付否との判断を行うことが多かった。しかし、前者(完全に新規な申込者)の場合、単に判断材料の乏しさに起因した判断であり、必ずしも貸し倒れの可能性が高いからではない。このため、潜在的に貸付可能である申込者に対しても貸付否との判断を行う結果、申込者及び金融機関いずれにとっても機会損失が発生していたという問題がある。このような申込者の場合、返済能力有りと判断されるに足る判断材料があれば、むしろ貸付可との判断を行うのが適切である。
本発明は、上記の点に鑑み提案されたものであり、貸付可否の審査をより適切に行うための判断材料の一つとして、Webサービスの利用履歴に基づく信用情報を抽出することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明に係る信用情報抽出装置は、ユーザ識別子毎に、Webを介して提供されるWebサービスの利用履歴情報を蓄積した記憶手段から、ユーザの利用履歴情報を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された利用履歴情報に基づいて、貸付可否の審査に用いられる前記ユーザの信用度を算出する算出手段と、を有し、前記Webサービスは、Webサイトの閲覧又は検索サービスを含むことを特徴とする。
本発明の実施の形態によれば、貸付可否の審査をより適切に行うための判断材料の一つとして、Webサービスの利用履歴に基づく信用情報を抽出することができる。
貸付審査システムの全体構成例を示す図である。 Web信用情報提供サーバ20aのハードウェア構成例を示す図である。 Web信用情報提供サーバ20aの機能構成例を示す図である。 Web信用情報の一例を示す。 Web信用情報提供サーバ20aのWeb信用情報提供処理を示すフローチャート図である。 Web信用情報の信用スコアの一例を示す。 本実施形態に係るWeb信用情報の表示レイアウトの一例を示す。 Web信用情報の選別の一例を示す。 「検索サービス利用履歴」及び「Webサービス利用履歴」データの一例を示す。
以下、本発明の好適な実施形態につき説明する。
[システム構成]
<全体構成>
図1は、本実施形態に係る貸付審査システムの全体構成例を示す図である。図に示されるように、本実施形態の貸付審査システム100は、ユーザ、Webサービス提供事業者、金融機関、信用情報機関の枠組みからなる。
ユーザは、金融機関に対しローン貸付の申し込みを行うローン申込者である。また、ユーザは同時に、日頃からWebサービス提供事業者の提供する各種Webサービスを利用している利用者でもある。
ユーザは、ユーザの利用するユーザ端末10を有する。ユーザは、申込受付サーバ30aにアクセスし、Web上から申込者情報(ユーザIDやメールアドレスを含む)、貸付希望金額など、所定の申込情報を入力することで、ローンの申込みを行う。また、ユーザ端末10を用いて、Webサービス提供サーバ20bにアクセスすることで、Webサービス提供事業者の提供する各種Webサービスを利用する。
Webサービス提供事業者は、各種Webサービスを提供する事業者である。Webサービスを利用する際、ユーザ(利用者)は、まずユーザ登録を行い、ユーザIDやメールアドレス(フリーメール等)を取得する。以降は日頃からユーザIDを用いて各種Webサービスを利用する。また、本実施形態のWebサービス提供事業者は、金融機関からの問い合わせに応じて、申込者に関するWeb信用情報を提供する機関でもある。Web信用情報は、金融機関が貸付可否の審査をより適切に行うための判断材料の一つとして用いられる信用情報の一つである(詳細は具体例を挙げて後述する)。
Webサービス提供事業者は、Web信用情報を提供するWeb信用情報提供サーバ20a、各種Webサービスを提供する一以上のWebサービス提供サーバ20b、及び各種Webサービス利用に係るユーザ登録情報及び利用履歴情報を蓄積する一以上のDB20cを有する。
金融機関は、ユーザに対しローン貸付(融資)を行う貸付業者である。金融機関は、ユーザからローン貸付の申し込みを受付けると、審査担当者は、信用情報機関に対して、申込者情報(氏名、生年月日等)を元に申込者の信用情報(Web信用情報と区別するため、以下、実信用情報という)を問合せる。また、審査担当者は、Web信用情報提供サーバ20aに対して、ユーザID(又はユーザのメールアドレス)を元に申込者のWeb信用情報を問合せる。審査担当者は、信用情報機関から申込者の実信用情報を、Webサービス提供事業者から申込者のWeb信用情報を取得すると、これら信用情報を判断材料として貸付可否の審査を実施する。審査が終了すると、その審査結果は、申込者のユーザ端末10に対し、例えばメール等を通じて、速やかに返信される。
金融機関は、ローンの申込みを受け付ける申込受付サーバ30a、審査担当者の担当者端末30bを有する。なお、金融機関は、審査担当者の担当者端末30bから実信用情報及びWeb信用情報を取得するほか、申込受付サーバ30aが実信用情報及びWeb信用情報を取得するようにしてもよい。
信用情報機関は、複数各社の金融機関から個人の現在・過去の貸入実績(借入金額、返済実績、貸入件数等々)の情報を収集・蓄積し、金融機関の問合せに応じて、個人の信用情報を提供している機関である。
信用情報機関は、金融機関からの問い合わせに応じて、申込者に関する実信用情報を提供する実信用情報提供サーバ(又は信用情報提供端末)40a、実信用情報を蓄積したDB40bを有する。なお、信用情報機関は、金融機関からの問い合わせに対し、実信用情報提供サーバ40aから自動的に実信用情報を提供してもよいし、担当者の信用情報提供端末(非図示)から実信用情報を提供するようにしてもよい。
なお、言うまでもなく、貸付審査システム100は、上記サーバ及び端末が相互に通信可能となるようネットワーク接続がなされている。
<ハードウェア構成>
図2は、本実施形態に係るWeb信用情報提供サーバ20aのハードウェア構成例を示す図である。本実施形態のWeb信用情報提供サーバ20aは、主要な構成として、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、入力装置24、表示装置25、通信装置26、HDD27などを備える。
CPU21は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路から構成され、サーバ全体を制御する回路である。また、ROM22は、CPU21で実行される所定の制御プログラム(ソフトウェア部品)を格納するメモリであり、RAM23は、CPU21がROM22に格納された所定の制御プログラム(ソフトウェア部品)を実行して各種の制御を行うときの作業エリア(ワーク領域)として使用するメモリである。
入力装置24は、ユーザ(管理者)が各種入力操作を行うための装置である。入力装置24は、マウス、キーボードなどを含む。表示装置25は、表示画面を表示する装置である。
通信装置26は、ネットワークを介して他装置との通信を行う装置である。有線ネットワークや無線ネットワークなど含む各種ネットワーク形態に応じた通信をサポートする。
HDD27は、汎用のOS(Operating System)、各種DB、本発明に係るプログラムなどを格納する装置であり、不揮発性の記憶装置であるHDD(Hard Disk Drive)などが用いられる。なお、上記各種情報は、HDD27以外にも、CD−ROM(Compact Disk - ROM)やDVD(Digital Versatile Disk)などの記憶媒体やその他のメディアに記憶されてもよく、これらの記憶媒体に格納された各種情報は、記憶媒体読取装置などのドライブ装置を介して読み取ることが可能である。よって、必要に応じて記録媒体を記憶媒体読取装置にセットすることで、各種情報が得られる。
<機能>
図3は、本実施形態に係るWeb信用情報提供サーバ20aの機能構成例を示す図である。本実施形態のWeb信用情報提供サーバ20aは、要求受信部201、情報抽出部202、応答送信部203、スコア算出部204、レイアウト部205、選別部206を有している。
要求受信部201は、金融機関(例えば、担当者端末30b)から、ユーザ識別子(例えば、ユーザID又はメールアドレス)を含むWeb信用情報の取得要求を受信する。
情報抽出部202は、DB20cを参照し、要求受信部201により受信したユーザ識別子に基づいて、ユーザのユーザ登録情報及び利用履歴情報を抽出する。
応答送信部203は、Web信用情報として、情報抽出部202により抽出したユーザ登録情報及び利用履歴情報を、金融機関に送信する。
スコア算出部204は、利用履歴情報の内容に応じて、該利用履歴情報の信用スコアを算出する。
レイアウト部205は、金融機関に提供される利用履歴情報の表示レイアウトを、所定のルールに従って、レイアウトする。
選別部206は、金融機関が取得済みの実信用情報に応じて、金融機関に提供される利用履歴情報を選別する。
なお、Web信用情報提供サーバ20aの有する各機能部は、装置を構成するコンピュータのCPU21、ROM22、RAM23等のハードウェア資源上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されるものである。但し、これらの機能部は、「手段」、「モジュール」、「ユニット」、又は「回路」に読替えてもよい。
また、Web信用情報提供サーバ20aの有する各機能部は、単一のコンピュータ上に配置される必要はなく、必要に応じて分散される形態であってもよい。例えば、Web信用情報提供サーバ20aは、各種Webサービスを提供するためのWebサービス提供サーバ20bと一体して構築してもよい。
<Web信用情報例>
図4は、本実施形態に係るWeb信用情報の一例を示す。「Web信用情報」に示される個々の情報(例えば、No1〜13)は、それぞれがWeb信用情報の一つである。金融機関(審査担当者)は、Web信用情報提供サーバ20aからこれらWeb信用情報を取得すると、これをユーザ審査のための判断材料とし、それぞれの「Web信用情報」に対応する「判断指標」の観点から最終的な貸付可否の判断を行う。なお、「Web信用情報」に示される個々の情報は、各種Webサービス利用に係るユーザ登録情報及び利用履歴情報が蓄積されているDB20cから抽出される。
以下、主だったWeb信用情報について説明する。
例えば、No1の「ユーザ登録情報全般」は、審査担当者が申込者(ユーザ)から申込のあった申込者情報と比較することで、そもそもユーザの身分等に虚偽等がないかどうかを確認するための判断材料として用いられる。具体的には、ユーザ登録情報に差異があるほど、そのユーザの信用性は低いと判断しうる。なお、「ユーザ登録情報全般」は、DB20cのユーザ登録情報から抽出される。
また、No2の「ユーザ登録日」は、ユーザ登録の期間が長いほど、そのユーザのユーザID自体の信用性は高いと判断しうる。なお、「ユーザ登録日」は、DB20cのユーザ登録情報から抽出される。
また、No3の「ユーザ登録を行った端末のブラウザクッキー(bcookie)」は、同一ブラウザから登録されているユーザIDが多いほど、そのユーザのユーザID自体の信用性は低いと判断しうる。なお、「ユーザ登録を行った端末のブラウザクッキー(bcookie)」は、DB20cのユーザ登録情報から抽出される。
また、No5の「検索サービス利用履歴(検索クエリ)」は、検索エンジンから、特定のクエリ(検索語)を用いた検索が多いほど、そのユーザの信用性は低いと判断しうる。ここで対象となる特定のクエリとは、例えば、ギャンブルなど風紀上望ましくないクエリである。なお、「検索サービス利用履歴(検索クエリ)」は、DB20cの利用履歴情報(例えば、検索クエリログ)から抽出される。
また、No6の「Webサービス利用履歴(閲覧履歴)」は、特定のWebサイトの閲覧が多いほど、そのユーザの信用性は低いと判断しうる。ここで対象となる特定のWebサイトとは、例えば、ギャンブルなど風紀上望ましくないWebサイトである。なお、「Webサービス利用履歴(閲覧履歴)」は、DB20cの利用履歴情報(例えば、URL閲覧履歴ログ)から抽出される。
なお、図4の「判断指標」はあくまで一例である。審査担当者は、必ずしも「判断指標」の観点から貸付可否の判断を行う必要はない。Web信用情報をどのような価値観点で捉えるか、そして最終的に貸付を行うか否かの判断は、金融機関側の裁量範囲である。
<実信用情報例>
実信用情報は、審査担当者が貸付可否の審査を行うための判断材料となる情報である。信用情報機関は、複数各社の金融機関から個人の現在・過去の貸入実績(借入金額、返済実績、貸入件数等々)の情報を収集・蓄積し、金融機関の問合せに応じて、個人の信用情報を提供している。
以下、実信用情報の一例を示す。なお、実信用情報は、信用情報機関から一般的に提供される信用情報でよく、必ずしも以下に示される本例のみに限られるものではない。
(個人を特定するための情報)
・氏名及び生年月日
・当該人物の自宅住所及び自宅電話番号
・勤務先名、その住所及び電話番号
(個人の貸付に関する情報)
・契約に係る情報契約内容についての情報
・登録会社名、契約日、金額、形態、返済回数等返済状況についての情報(残高や該当月の支払・入金状況など)
・完済状況
・残高情報
・割賦情報(年間支払見込額、割賦部分の支払状況など)
・金融事故に関わる情報(長期間に及ぶ延滞、代位弁済、債務整理、手形等の不渡の発生等についての情報など)
[Web信用情報の提供処理例]
図5は、本実施形態に係るWeb信用情報提供サーバ20aのWeb信用情報提供処理を示すフローチャート図である。以下、図面を参照しながら説明する。
S1:Web信用情報提供サーバ20a(要求受信部201)は、金融機関から、Web信用情報取得要求を受信したか否かを判定する。Web信用情報取得要求は、ユーザ識別子(ユーザID又はメールアドレス)を含む。なお、金融機関は、Web信用情報取得要求を行う際のユーザ識別子として、Web上から申込者により入力された申込者情報を用いる。
Web信用情報取得要求を受信した場合、S2へ進む。Web信用情報取得要求を受信しない場合、再びS1へ進み、Web信用情報取得要求を受信する迄待機する。
S2:Web信用情報提供サーバ20a(情報抽出部202)は、DB20cを参照し、ユーザ識別子をキーとして、ユーザ識別子に紐付いているユーザ登録情報、利用履歴情報を抽出する(例えば、図4参照)。なお、Webサービス提供事業者の有するDB20cには、ユーザIDに紐付いた膨大なデータが存在するが、予め膨大なデータの中から信用に関わる利用履歴情報が定められており、これをWeb信用情報として抽出する。
S3:Web信用情報提供サーバ20a(応答送信部203)は、抽出したユーザ登録情報及び利用履歴情報を、Web信用情報として、金融機関に応答・送信する。
以上より、金融機関(審査担当者)は、Web信用情報提供サーバ20aからこれらWeb信用情報(ユーザ登録情報、利用履歴情報)を取得すると、これをユーザ審査のための判断材料の一つとして、同ユーザに対する最終的な貸付可否の判断を行う。「Web信用情報」は、Webサービス利用に係る利用履歴等からなるが、日頃から本人の素行、関心事、興味、実行動等々を推し量りうる情報であり、ゆえにユーザ本人の信用・信頼性を量る信用情報の一つとして有益な情報といえる。
ここで、金融機関(審査担当者)が信用情報機関から同ユーザの実信用情報を取得している場合、審査担当者は、従来通り、実信用情報を審査の主判断材料とし、貸付可否の審査を実施することができる。しかしながら、例えば、審査担当者にとって、実信用情報のみからみると、返済能力有りとも返済能力無しとも分からない申込者に対して貸付可否の判断を行う場合、高い困難性が伴う場合がある。よってこのような場合、審査担当者は、Web信用情報を審査の補完判断材料の一つとし、併せて考慮の上、最終的な貸付可否の判断を行うことで、審査担当者は貸付可否の審査をより適切に行えるため、審査信頼性の向上が期待できると共に、ひいては貸付の機会損失を防止することが可能となる。
また、金融機関(審査担当者)が信用情報機関から同ユーザの実信用情報を取得できない場合(信用情報機関側では信用情報の「該当なし」)、金融機関は、従来、貸し倒れを危惧するため、このような申込者に対して貸付否との判断を行うことが多かった。しかしながら、本実施形態において、審査担当者は、Web信用情報を判断材料として貸付可否の審査を行えるため、このような申込者に対しても、返済能力有りと判定されれば、貸付可との判断がなされる可能性がある。これにより、審査担当者は貸付可否の審査を行えるため、審査機会の向上が期待できると共に、ひいては貸付の機会損失を防止することが可能となる。
なお、言うまでもなく、Webサービス提供事業者は、個人情報保護の観点から、Web信用情報の提供先は、予め契約を締結している金融機関などに限定されることが望ましい。また、Web信用情報の利用目的は、契約上用途が限定されるべきであって、例えば、ローン申込者の審査に限られる。
[変形例]
上述のS2において、Web信用情報提供サーバ20aは、Web信用情報を抽出すると、S3において、抽出したWeb信用情報を、金融機関に応答・送信するものと説明した。
一方、本変形例において、Web信用情報提供サーバ20aは、Web信用情報を抽出すると、抽出したWeb信用情報に対し、(1)Web信用情報毎の信用スコアの算出、(2)Web信用情報の表示レイアウト作成、(3)Web信用情報の選別を行った上で、これを金融機関に応答・送信するようにする。以下、説明する。
(1)Web信用情報毎の信用スコアの算出
Web信用情報提供サーバ20a(スコア算出部204)は、Web信用情報を抽出すると(S2)、各々のWeb信用情報毎に、判断指標に基づいて、信用スコアを算出する。
図6は、本実施形態に係るWeb信用情報の信用スコアの一例を示す。
例えば、No2の「ユーザ登録日」の場合、ユーザ登録の期間が長いほど、そのユーザのユーザID自体の信用性は高いという判断指標の下、実際のユーザ登録日の値に基づいて、信用スコアが算出される。算出基準は所定の算出基準に従い、例えば、ユーザ登録日から現在迄3年以上経過していれば、最も信用度が高い信用スコア1とし、ユーザ登録日から現在迄1週間以内であれば、最も信用度が低い信用スコア0とする。中間値は、ユーザ登録日から現在迄の経過期間に応じて算出される。
また、例えば、No5の「検索サービス利用履歴(検索クエリ)」の場合、特定のクエリ(検索語)を用いた検索が多いほど、そのユーザの信用性は低いという判断指標の下、実際のクエリの値に基づいて、信用スコアが算出される。算出基準は所定の算出基準に従い、例えば、「検索サービス利用履歴(検索クエリ)」(検索クエリログ)に、ギャンブルを示すクエリが全く含まれない場合、最も信用度が高い信用スコア1とし、ギャンブルを示すクエリが所定数以上含まれる場合、最も信用度が低い信用スコア0とする。中間値は、ギャンブルを示すクエリ数に応じて算出される。
また、算出基準に対して、さらに各々のWeb信用情報毎に異なる係数を乗算することで、Web信用情報毎の信用スコアを調整して算出することもできる。例えば、金融機関等が重視するWeb信用情報毎に、異なる係数αを設定する。例えば、金融機関がNo5の「検索サービス利用履歴(検索クエリ)」を特に重要視する場合、「検索サービス利用履歴(検索クエリ)」の算出基準に基づいて算出された信用スコアに対して、「検索サービス利用履歴(検索クエリ)」に与えられた係数α(例えば、1.1)を乗算することで、信用スコアの重み付けを行う。逆に、あるWeb信用情報を軽視する(重要視しない)場合、1以下の係数α(例えば、0.9)を設定しうる。
また、係数αは、実体に即するよう補正することも可能である。例えば、金融機関から、優良返済者又は不良返済者と、No5の「検索サービス利用履歴(検索クエリ)」との値との相関関係を示す経験則情報を受領し、その経験則情報に基づいて、係数αを補正(修正)する。例えば、No5の「検索サービス利用履歴(検索クエリ)」というWeb信用情報が、経験則から結果として優良返済者又は不良返済者の分かれ目に大きく影響を与えるWeb信用情報である場合、No5の「検索サービス利用履歴(検索クエリ)」の係数αを高く補正する(例えば、1.5)。逆に、大きく影響を与えないWeb信用情報である場合、No5の「検索サービス利用履歴(検索クエリ)」の係数αを低く補正する(例えば、0.5)。
Web信用情報提供サーバ20a(応答送信部203)は、抽出したユーザ登録情報及び利用履歴情報を、Web信用情報(信用スコアを含む)として、金融機関に応答・送信する。
以上より、金融機関(審査担当者)は、Web信用情報提供サーバ20aからこれらWeb信用情報(ユーザ登録情報、利用履歴情報)を、信用スコアと共に取得できる。これにより、審査担当者は貸付可否の審査をより適切に行えるため、審査信頼性の向上が期待できると共に、審査速度を向上させることができる。
(2)Web信用情報の表示レイアウト作成
Web信用情報提供サーバ20a(レイアウト部205)は、金融機関に提供されるWeb信用情報の表示レイアウトを、所定のルールに従って、レイアウトする。所定のルールとは、例えば、以下の通りである。
・信用スコアの大きい順(又は小さい順)に並び替える
・所定の信用スコア値以上(又は以下)の項目をハイライト表示
・所定数の金融機関が採用又は重要視している項目をハイライト表示
・優良返済者と不良返済者との分かれ目に大きく影響する項目をハイライト表示
図7は、本実施形態に係るWeb信用情報の表示レイアウトの一例を示す。
図7に示されるように、Web信用情報提供サーバ20a(レイアウト部205)は、各々のWeb信用情報を、信用スコアの大きい順(降順)に並び替えた表示レイアウトを行う。
また、例えば、信用スコア0.9以上の項目については、高信用スコアを示すハイライト表示を行う。
また、例えば、No5の「検索サービス利用履歴(検索クエリ)」、No6の「Webサービス利用履歴(閲覧履歴)」は、所定数の金融機関が採用又は重要視している項目のため、ハイライト表示を行う。
また、例えば、No5の「検索サービス利用履歴(検索クエリ)」は、経験則から結果として優良返済者と不良返済者とに大きく影響する項目のため、ハイライト表示を行う。
Web信用情報提供サーバ20a(応答送信部203)は、抽出したユーザ登録情報及び利用履歴情報を、レイアウトされた表示レイアウトで、金融機関に応答・送信する。
これにより、審査担当者は、Web情報を把握し易くなるため、より効率的に貸付可否の判断を行うことができる。
なお、レイアウト表示は、担当審査官の視認性を向上、注意喚起させるための表示を行うことを目的とする。このため、レイアウト表示方法は、ハイライト表示に限られるものではない。
(3)Web信用情報の選別
Web信用情報提供サーバ20a(選別部206)は、全ての利用履歴情報(例えば、4参照)を金融機関に提供せずに、金融機関の評価基準に応じて、金融機関から要望される利用履歴情報の項目のみを選別し、選別した利用履歴情報を金融機関に提供する。金融機関の評価基準は、その金融機関が審査上どの利用履歴情報を重要視(評価)するかを判断するものであるが、評価基準例として、例えば、以下のようなものが挙げられる。
図8は、本実施形態に係るWeb信用情報の選別の一例を示す。ここで、「カードサービス利用履歴(クレジットカード作成実績)」、「カードサービス利用履歴(キャッシング実績)」は、実信用情報と重複する情報であるものとする。
この場合、Web信用情報提供サーバ20a(選別部206)は、Web信用情報の中から、実信用情報と重複する「カードサービス利用履歴(クレジットカード作成実績)」、「カードサービス利用履歴(キャッシング実績)」を選別する(例えば、図5及び図8(a)参照)。図8(a)に示されるWeb信用情報においては、実信用情報と重複する「カードサービス利用履歴(クレジットカード作成実績)」、「カードサービス利用履歴(キャッシング実績)」のみが残り、それ以外のWeb信用情報は削除されていることが分かる。
これにより、審査担当者は、信用情報機関から提供された実信用情報に疑問を感じ、貸付可否の判断が困難である場合、Web信用情報のうち実信用情報と重複するWeb信用情報を参考にすることで、実信用情報を再確認し貸付可否の判断を行うことができる。
また、Web信用情報提供サーバ20a(選別部206)は、Web信用情報の中から、実信用情報と重複する「カードサービス利用履歴(クレジットカード作成実績)」、「カードサービス利用履歴(キャッシング実績)」以外のWeb信用情報を選別する(例えば、図5及び図8(b)参照)。図8(b)に示されるWeb信用情報においては、実信用情報と重複する「カードサービス利用履歴(クレジットカード作成実績)」、「カードサービス利用履歴(キャッシング実績)」は削除されていることが分かる。
Web信用情報提供サーバ20a(応答送信部203)は、抽出したユーザ登録情報及び利用履歴情報のうち、選別された利用履歴情報を、金融機関に応答・送信する。
これにより、審査担当者は、信用情報機関から提供された実信用情報と重複するWeb信用情報は割愛されるため、より効率的に貸付可否の判断を行うことができる。
なお、他にも、例えば、所定の信用スコア値以上(又は以下)の項目のみを選別、金融機関が採用又は重要視している項目のみを選別、優良返済者と不良返済者との分かれ目に大きく影響する項目のみを選別するなど、適宜採用してもよい。
例えば、金融機関が採用又は重要視している項目のみを選別する場合、Web信用情報提供サーバ20aは、各金融機関の申込受付サーバ30a又は担当者端末30bから、それぞれの金融機関が要望する項目(要望項目という)の情報を予め取得(受信)しておく。Web信用情報提供サーバ20aは、金融機関からWeb信用情報取得要求を受信すると、Web信用情報の全項目(例えば、図4参照)の中から、要求元の金融機関が要望する要望項目と一致するかどうかの判定を行い、一致する項目を選別する。
要望項目は、個々の金融機関が要望する項目そのものを選別してもよいし、所定数以上の金融機関が共通に要望する項目を選別してもよい。特に、所定数以上の金融機関が共通に要望する項目は、多くの金融機関が貸付可否の審査を適切に行うための判断材料の一つとして重要視している項目(審査に有用であると評価している項目)であるから、優良返済者と不良返済者との分かれ目に大きく影響する項目ともいえる。また、各金融機関の要望に応じて、案件毎に、提供する利用履歴情報を個別に選択するようにしてもよい。
[補足]
図9(a)は、本実施形態に係る「検索サービス利用履歴(検索クエリ)」データの一例を示す。
検索サービスは、Webサービス提供事業者により提供されるいわゆる検索エンジンサービスである。よって、「検索サービス利用履歴(検索クエリ)」は、ユーザ(例えば、ユーザID:user001)が、日頃からユーザIDを用いて(ユーザIDを用いてログイン中の状態で)、検索エンジンを利用し、検索クエリを入力することで検索を実行するとその検索クエリログがDB20cに蓄積される。
図9(b)は、本実施形態に係る「Webサービス利用履歴(閲覧履歴)」データの一例を示す。
「Webサービス利用履歴(閲覧履歴)」は、ユーザ(例えば、ユーザID:user001)が、日頃からユーザIDを用いて(ユーザIDを用いてログイン中の状態で)、Webサービス提供事業者により提供されるWebサイトを閲覧すると、そのURL閲覧履歴がDB20cに蓄積される。
なお、図9のデータ例は、あくまで一例である。例えば、審査担当者にとって見やすいよう、検索クエリ毎、閲覧サイト毎(URL毎)に閲覧数を集計したり、グラフ表示したデータに加工してもよい。
[総括]
以上のように、本実施形態に係るWeb信用情報提供サーバ20aは、Webサービス利用に係る利用履歴等からなるWeb信用情報を提供することが可能である。Web信用情報は、ユーザの日頃からのWebサービス利用状況を映し出すものであって、本人の素行、関心事、興味、実行動等々を推し量りうる情報である。このため、金融機関は、貸付可否の審査をより適切に行うための判断材料の一つとして、Web信用情報を採用することで、貸付可否の審査をより適切に行うことが可能である。また、審査信頼性の向上が期待できると共に、ひいては貸付の機会損失を防止することが可能となる。
即ち、本発明の実施形態によれば、貸付可否の審査をより適切に行うための判断材料の一つとして、Webサービスの利用履歴に基づく信用情報を提供することができる。
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
20a Web信用情報提供サーバ
20b Webサービス提供サーバ
20c DB
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 入力装置
25 表示装置
26 通信装置
27 HDD
30a 申込受付サーバ
30b 担当者端末
40a 実信用情報提供サーバ
40b DB
100 貸付審査システム
201 要求受信部
202 情報抽出部
203 応答送信部
204 スコア算出部
205 レイアウト部
206 選別部

Claims (9)

  1. ユーザ識別子毎に、Webを介して提供されるWebサービスの利用履歴情報を蓄積した記憶手段から、ユーザの利用履歴情報を抽出する抽出手段と、
    前記抽出手段により抽出された利用履歴情報に基づいて、貸付可否の審査に用いられる前記ユーザの信用度を算出する算出手段と、を有し、
    前記Webサービスは、Webサイトの閲覧又は検索サービスを含むことを特徴とする信用情報抽出装置。
  2. 前記ユーザ識別子は、前記Webサイトの閲覧又は前記検索サービスの利用時に前記ユーザの端末に用いられる識別子であることを特徴とする請求項1に記載の信用情報抽出装置。
  3. 前記記憶手段は、ユーザ識別子毎に、ユーザ登録情報を蓄積し、
    前記抽出手段は、前記記憶手段から、該ユーザのユーザ登録情報を抽出すること、
    を特徴とする請求項1又は2に記載の信用情報抽出装置。
  4. 前記ユーザ識別子は、
    少なくとも、ユーザID又はメールアドレスの何れかを含むこと、
    を特徴とする請求項1ないし3何れか一項記載の信用情報抽出装置。
  5. 前記利用履歴情報は、
    少なくとも、カードサービス利用履歴、ファイナンスサービス利用履歴、求人サービス利用履歴、オークションサービス利用履歴、公共料金支払サービス利用履歴、メールサービス利用履歴の何れかを含むこと、
    を特徴とする請求項1ないし4何れか一項記載の信用情報抽出装置。
  6. 利用履歴情報の表示レイアウトを、所定のルールに従って、レイアウトするレイアウト手段を有すること、
    を特徴とする請求項1ないし5何れか一項記載の信用情報抽出装置。
  7. 複数の利用履歴情報のうち、該複数の利用履歴情報それぞれ毎の評価基準に応じて、前記抽出手段により抽出された利用履歴情報を選別する選別手段を有すること、
    を特徴とする請求項1ないし6何れか一項記載の信用情報抽出装置。
  8. 前記選別手段は、前記抽出手段により抽出された利用履歴情報のうち、取得済みの信用情報と重複する利用履歴情報を選別する、又は、前記取得済みの信用情報と重複しない利用履歴情報を選別すること、
    を特徴とする請求項7記載の信用情報抽出装置。
  9. 信用情報抽出装置が、
    ユーザ識別子毎に、Webを介して提供されるWebサービスの利用履歴情報を蓄積した記憶手段から、ユーザの利用履歴情報を抽出する抽出処理と、
    前記抽出処理により抽出された利用履歴情報に基づいて、貸付可否の審査に用いられる前記ユーザの信用度を算出する処理と、を実行し、
    前記Webサービスは、Webサイトの閲覧又は検索サービスを含むことを特徴とする信用情報抽出方法。
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