以下、モータの一実施形態について説明する。
図1に示す本実施形態のモータ1は、車両のウインドガラスを電動で昇降させるパワーウインド装置の駆動源として用いられるものである。モータ1は、図1において上部に位置し回転力を発生するモータ部2と、モータ部2の出力側(図1においてモータ部2の下側)に設けられた減速部3とから構成されている。
図1及び図2に示すように、モータ部2のヨークハウジング11(以下、ヨーク11とする)は、有底筒状をなしている。ヨーク11は、筒状の側壁部11aと、該側壁部11aの軸方向の一端部(図1において上端)を閉塞する底部11bと、側壁部11aにおけるヨーク11の開口部11c側の端部(図1において下端)に設けられたフランジ部11dとから構成されている。ヨーク11の底部11bは、その中央部に、ヨーク11の内側に開口する有底筒状の軸受収容部11eを有する。また、フランジ部11dは、側壁部11aにおけるヨーク11の開口部11c側の端部から同ヨーク11の外周側に延設された鍔状をなしている。このフランジ部11dは、側壁部11aに対して(側壁部11aの軸方向に対して)直角をなすように形成されている。
図2に示すように、ヨーク11の内周面、即ち側壁部11aの内周面には、マグネット12が固着されている。そして、ヨーク11の内部においてマグネット12の内側となる位置に、電機子13が回転可能に配置されている。電機子13は、回転軸14と、同回転軸14に一体回転可能に固定された電機子コア15と、該電機子コア15に巻装された電機子コイル16と、同回転軸14に一体回転可能に固定された整流子17とから構成されている。回転軸14は、略円柱状をなしており、側壁部11aの軸方向に沿ってヨーク11の中央部に配置されている。また、回転軸14の基端部(図2において上側の端部)は、前記軸受収容部11eの内部に収容された軸受18によって回転可能に支持されている。また、回転軸14の先端部(図2において下側の端部)は、ヨーク11の開口部11cから同ヨーク11の外部に突出している。
前記電機子コア15は、回転軸14に外嵌固定されている。そして、電機子コア15は、ヨーク11の内部で前記マグネット12と径方向(回転軸14の径方向)に対向している。また、前記整流子17は、円筒状をなすとともに、回転軸14における電機子コア15よりも先端側の部分に外嵌固定されている。詳しくは、整流子17は、回転軸14におけるヨーク11の開口部11cから同ヨーク11の外部に突出した部分に固定されており、ヨーク11の外側に配置されている。そして、回転軸14におけるヨーク11の開口部11cから同ヨーク11の外部に突出した部分及び整流子17は、後述する減速部3の外郭となるギヤハウジング71内に入り込んでいる。また、整流子17は、その外周面に周方向に並設された複数のセグメント17aを有する。複数のセグメント17aは、周方向に隣り合うセグメント17a同士が周方向に離間しており、互いに絶縁されている。また、整流子17の外周面は、セグメント17aによって構成された円筒状の外周面となっている。そして、複数のセグメント17aには、前記電機子コイル16が接続されている。
また、ヨーク11の開口部11cにはブラシホルダ21が装着されている。ブラシホルダ21は絶縁性の樹脂材料から形成されている。このブラシホルダ21は、ヨーク11の開口部11cを閉塞するホルダ本体22と、同ホルダ本体22と一体に形成されたコネクタ部23とから構成されている。
図2及び図3に示すように、ホルダ本体22は、ヨーク11の外側でフランジ部11dと軸方向に隣り合う基部31を有する。基部31は、回転軸14の軸方向と直交する平板状をなしている。そして、基部31は、回転軸14の軸方向と直交する方向の大きさがヨーク11の開口部11cよりも若干大きく形成されている。
基部31におけるヨーク11側の軸方向の端部には、軸方向(基部31の厚さ方向に同じ)に沿って延びる挿入部32が形成されている。挿入部32の外形は、前記側壁部11aの内周面よりも一回り小さい形状をなしている。そして、ブラシホルダ21は、この挿入部32がヨーク11の開口部11cから同ヨーク11の内部に挿入された状態でヨーク11に対して組み付けられるとともに、ホルダ本体22によってヨーク11の開口部11cを閉塞している。また、基部31の外縁部には、エラストマよりなるシール部材51が設けられている。シール部材51は、基部31の外縁部を軸方向に挟持する断面コ字状をなしている。このシール部材51は、ヨーク11のフランジ部11dとギヤハウジング71とによって軸方向に挟持されている。そして、シール部材51は、ブラシホルダ21とフランジ部11dとの間、及び同ブラシホルダ21とギヤハウジング71におけるヨーク11側の開口部の周縁部との間をシール(液密に封止)しており、ヨーク11の内部及びギヤハウジング71の内部への液体の浸入を抑制している。
図3及び図4に示すように、基部31の中央部には、軸方向(基部31の厚さ方向に同じであって回転軸14の軸方向)に沿って前記挿入部32とは反対側に突出したカバー部33が設けられている。カバー部33は、基部31から軸方向に沿って挿入部32とは反対側に延びる略円筒状をなす外周壁部33aと、該外周壁部33aの先端部を閉塞する対向部33bとから構成されており、挿入部32側、即ちヨーク11の内側に向けて開口する有底円筒状をなしている。外周壁部33aの内径は、前記整流子17の外径よりも若干大きく形成されている。また、対向部33bは円板状をなしている。
図3、図4及び図5に示すように、対向部33bの径方向の中央部には軸受保持部34が設けられている。軸受保持部34は、略円筒状をなすとともに、対向部33bの厚さ方向の両側に突出している。また、軸受保持部34におけるカバー部33の内部側の軸方向の端部には、内周側に突出した円環状の被覆部34aが設けられている。被覆部34aの内径は、回転軸14の外径よりも若干大きい。そして、この軸受保持部34の内側には、同軸受保持部34におけるカバー部33の外側の開口部から軸受52が圧入されており、この軸受52は軸受保持部34によって保持されている。軸受52におけるカバー部33の内部側となる軸方向の端面は、被覆部34aと軸方向に対向し同被覆部34aによって覆われている。また、この軸受52の外径は、前記整流子の外径よりも小さい。更に、本実施形態の軸受52は、含油軸受であり、潤滑油が含浸されている。
図2、図3及び図5に示すように、ブラシホルダ21がヨーク11の開口部11cに装着された状態においては、このカバー部33の内側に整流子17が配置される。そして、外周壁部33aは、整流子17の外周を覆い、同整流子17と径方向に対向する。更に、対向部33bは、整流子17の軸方向の一端面(図3において整流子17の下端面であって、ヨーク11から遠い方の軸方向の一端面)と軸方向に対向する。また、回転軸14における整流子17よりも先端側の部分は、軸受保持部34にて保持された前記軸受52にて回転可能に支持されるとともに、対向部33bを貫通してカバー部33の外部に突出している。
図3及び図6に示すように、基部31には、カバー部33の外周となる位置に一対のブラシボックス(即ち第1ブラシボックス35及び第2ブラシボックス36)が同基部31と一体に設けられている。第1ブラシボックス35及び第2ブラシボックス36は、同様の形状をなしており、カバー部33の外周壁部33aから径方向に沿って径方向外側に延出されている。そして、第1ブラシボックス35及び第2ブラシボックス36は、カバー部33の径方向に沿って延びる四角筒状をなしている。図4及び図6に示すように、本実施形態では、第1ブラシボックス35と第2ブラシボックス36とは、カバー部33の外周で周方向に90°の間隔を空けて形成されている。また、図4乃至図6に示すように、第1ブラシボックス35及び第2ブラシボックス36は、カバー部33の外周壁部33aと一体に形成されるとともに、第1ブラシボックス35及び第2ブラシボックス36の径方向内側の端部は、外周壁部33aの内周面よりもカバー部33の内側に若干突出している。更に、第1ブラシボックス35及び第2ブラシボックス36は、カバー部33の内側に開口するとともに、第1ブラシボックス35及び第2ブラシボックス36における径方向内側の端部の開口部は、四角形状をなしている。また、第1ブラシボックス35の径方向内側の開口部と、第2ブラシボックス36の径方向内側の開口部とは、軸方向の位置が等しくなっている。
そして、第1ブラシボックス35の内部には第1給電ブラシ53が収容されるとともに、第2ブラシボックス36の内部には第2給電ブラシ54が収容されている。即ち、モータ1は、一対の給電ブラシ53,54を備えている。これらの第1給電ブラシ53及び第2給電ブラシ54は四角柱状をなしている。そして、第1ブラシボックス35は、第1給電ブラシ53を径方向に移動可能に保持するとともに、第2ブラシボックス36は、第2給電ブラシ54を径方向に移動可能に保持している。そして、第1給電ブラシ53と第2給電ブラシ54とは、周方向に90°の間隔を空けて形成された第1ブラシボックス35及び第2ブラシボックス36にて保持されることにより、整流子17の外周で周方向に90°の間隔を空けて配置されている。また、第1給電ブラシ53の先端部(径方向内側の端部)は、第1ブラシボックス35の径方向内側の開口部からカバー部33の内部に突出するとともに、第2給電ブラシ54の先端部(径方向内側の端部)は、第2ブラシボックス36の径方向内側の開口部からカバー部33の内部に突出している。
また、図3及び図6に示すように、基部31には、第1ブラシボックス35と第2ブラシボックス36との間であって第1ブラシボックス35と第2ブラシボックス36とがなす90°の角度範囲A1内に、第1支持柱37及び第2支持柱38が設けられている。第1支持柱37は、第1ブラシボックス35の近傍で基部31から軸方向に延びる円柱状をなしている。また、第2支持柱38は、第2ブラシボックス36の近傍で基部31から軸方向に延びる円柱状をなしている。そして、第1支持柱37には第1トーションばね55が外挿されるとともに、第2支持柱38には第2トーションばね56が外挿されている。また、カバー部33の外周壁部33aの外周面には、第1支持柱37と第2支持柱38との間となる位置に係止凹部39が形成されている。係止凹部39は、径方向外側に開口し軸方向に沿って延びる溝状をなしている。そして、第1トーションばね55の一端部は、係止凹部39に挿入されて同係止凹部39内に係止されるとともに、同第1トーションばね55の他端部は、第1ブラシボックス35の径方向外側の端部から同第1ブラシボックス35の内部に挿入されて第1給電ブラシ53の後端部(径方向外側の端部)を径方向内側に付勢している。また、第2トーションばね56の一端部は、係止凹部39に挿入されて同係止凹部39内に係止されるとともに、同第2トーションばね56の他端部は、第2ブラシボックス36の径方向外側の端部から同第2ブラシボックス36の内部に挿入されて第2給電ブラシ54の後端部(径方向外側の端部)を径方向内側に付勢している。第1トーションばね55によって径方向内側に付勢された第1給電ブラシ53の先端部は、カバー部33内に配置された整流子17の外周面(セグメント17aからなる外周面)に摺接可能に押し付けられている。同様に、第2トーションばね56によって径方向内側に付勢された第2給電ブラシ54の先端部は、カバー部33内に配置された整流子17の外周面(セグメント17aからなる外周面)に摺動可能に押し付けられている。
図3及び図5に示すように、第1給電ブラシ53の後端部には、基部31と反対側に開口する接続穴53aが設けられるとともに、該接続穴53aには、導線よりなる第1ピッグテール57の一端部が挿入されて電気的に接続されている。同様に、第2給電ブラシ54の後端部には、基部31と反対側に開口する接続穴54aが設けられるとともに、該接続穴54aには、導線よりなる第2ピッグテール58の一端部が挿入されて電気的に接続されている。そして、第1ピッグテール57は第1ブラシボックス35の外部に引き出され、第2ピッグテール58は第2ブラシボックス36の外部に引き出されている。
ここで、図7を参照して、第1給電ブラシ53における整流子17との接触位置について説明する。図7には、第1給電ブラシ53の中心線L1を二点鎖線にて図示している。第1給電ブラシ53の中心線L1は、第1給電ブラシ53の周方向(整流子17の周方向と同方向)の中央を通り同第1給電ブラシ53の先端から後端まで延びる直線である。そして、図7において整流子17が時計方向(矢印X1参照)に回転した場合、第1給電ブラシ53の先端部は、回転軸14の軸方向から見て、同第1給電ブラシ53の中心線L1から周方向にずれた位置で整流子17の外周面に接触する。即ち、図7において整流子17が時計方向に回転した場合、第1給電ブラシ53における整流子17との接触箇所P1は、第1給電ブラシ53の中心線L1から周方向にずれた位置となる。詳しくは、第1給電ブラシ53における整流子17との接触箇所P1は、第1給電ブラシ53の中心線L1よりも整流子17の回転方向の後方側(図7において中心線L1よりも下側)となる。また、図7において整流子17が反時計方向(矢印X2参照)に回転した場合も、第1給電ブラシ53における整流子17との接触箇所は、第1給電ブラシ53の中心線L1から周方向にずれた位置となる。詳しくは、図7において整流子17が反時計方向に回転した場合、第1給電ブラシ53における整流子17との接触箇所は、第1給電ブラシ53の中心線L1よりも整流子17の回転方向の後方側(図7において中心線L1よりも上側)となる。
図6に示すように、第2給電ブラシ54における整流子17との接触位置についても同様である。図6には、第2給電ブラシ54の中心線L2を二点鎖線にて図示している。第2給電ブラシ54の中心線L2は、第2給電ブラシ54の幅方向(整流子17の周方向と同方向)の中央部を通り同第2給電ブラシ54の先端から後端まで延びる直線である。そして、図6において整流子17が反時計方向(矢印X2参照)に回転した場合、第2給電ブラシ54の先端部は、回転軸14の軸方向から見て、同第2給電ブラシ54の中心線L2から周方向にずれた位置で整流子17の外周面に接触する。即ち、図6において整流子17が反時計方向に回転した場合、第2給電ブラシ54における整流子17との接触箇所P2は、第2給電ブラシ54の中心線L2から周方向にずれた位置となる。詳しくは、第2給電ブラシ54における整流子17との接触箇所P2は、第2給電ブラシ54の中心線L2よりも整流子17の回転方向の後方側(図6において中心線L2よりも下側)となる。また、図6において整流子17が時計方向(矢印X1参照)に回転した場合も、第2給電ブラシ54における整流子17との接触箇所は、第2給電ブラシ54の中心線L2から周方向にずれた位置となる。詳しくは、図6において整流子17が時計方向に回転した場合、第2給電ブラシ54における整流子17との接触箇所は、第2給電ブラシ54の中心線L2よりも整流子17の回転方向の後方側(図6において中心線L2よりも上側)となる。
図4及び図6に示すように、ホルダ本体22は、整流子17の外周に、同整流子17の外周面(セグメント17aからなる外周面)と対向する開口部を有する収集凹部40を有する。本実施形態では、収集凹部40は、カバー部33の外周壁部33aの内周面に複数形成されている。
複数の収集凹部40のうち第1ブラシボックス35と第2ブラシボックス36とがなす90°の角度範囲A1に設けられた2つの収集凹部40は、第1接線収集凹部41と第2接線収集凹部42である。尚、第1給電ブラシ53と第2給電ブラシ54とは、周方向に90°の間隔を空けて形成された第1ブラシボックス35及び第2ブラシボックス36にて保持されることにより、整流子17の外周で周方向に90°の間隔を空けて配置されている。従って、第1給電ブラシ53及び第2給電ブラシ54についても、第1ブラシボックス35及び第2ブラシボックス36と同様に、90°の角度範囲A1を形成している。即ち、第1ブラシボックス35と第2ブラシボックス36とがなす90°の角度範囲A1は、第1給電ブラシ53と第2給電ブラシ54とがなす90°の角度範囲A1と言える。
図7に示すように、第1接線収集凹部41は、外周壁部33aの内周面において、図7において時計方向(矢印X1方向)に整流子17が回転した場合の第1給電ブラシ53と整流子17との接触箇所P1における整流子17の外周面の第1接線L3を含む位置に設けられている。更に、第1接線収集凹部41は、第1接線L3を含む位置であって、第1給電ブラシ53の周方向の両側のうち時計方向に回転する整流子17の回転方向の前方側となる側に設けられている。そして、図4及び図7に示すように、第1接線収集凹部41は、径方向内側に開口し軸方向に沿って延びる溝状をなしている。本実施形態では、第1接線収集凹部41は、外周壁部33aと、外周壁部33aから内側に突出した第1ブラシボックス35の径方向内側の端部と、第1ブラシボックス35の径方向内側の端部の側方に設けられ外周壁部33aから径方向内側に突出した第1収集凸部43とによって形成されている。第1収集凸部43は、外周壁部33aの内周面において前記角度範囲A1内に形成されるとともに、第1ブラシボックス35の径方向内側の端部に対して、時計方向に回転する整流子17の回転方向の前方側となる位置に形成されている。そして、第1収集凸部43は、第1ブラシボックス35の径方向内側の端部から周方向に離間している。また、第1収集凸部43は、対向部33bの内側面から軸方向に沿ってカバー部33の開口部の手前まで延びる突条をなしている。そして、第1接線収集凹部41は、外周壁部33aから内側に突出した第1ブラシボックス35の径方向内側の端部と、第1収集凸部43と、外周壁部33aの内周面とによって囲まれた溝状の凹部である。この第1接線収集凹部41の軸方向の長さは、第1ブラシボックス35の径方向内側の開口部の軸方向の長さよりも長く形成されている。また、第1接線収集凹部41における軸方向の一端(対向部33b側の端)は、第1ブラシボックス35の径方向内側の開口部における軸方向の一端(対向部33b側の端)よりも対向部33bに近い位置に位置する。更に、同第1接線収集凹部41における軸方向の他端(カバー部33の開口部側の端)は、第1ブラシボックス35の径方向内側の開口部における軸方向の他端(カバー部33の開口部側の端)よりもカバー部33の開口部に近い位置に位置する。即ち、第1ブラシボックス35の径方向内側の開口部の形成位置は、軸方向においては、第1接線収集凹部41の軸方向の形成範囲内となっている。また、第1接線収集凹部41の周方向の幅は、第1ブラシボックス35の径方向内側の開口部の周方向の幅よりも狭く形成されている。そして、第1接線収集凹部41は、その底面41aから径方向内側の開口部41bに向かうに連れて周方向の幅が狭くなっている。従って、第1接線収集凹部41は、軸方向と直交する方向に切った断面の形状が径方向内側に向かうに連れて周方向の幅が狭くなる台形状をなしている。また、第1接線収集凹部41における周方向の両側の内側面41c,41dのうち、第1ブラシボックス35から遠い方の内側面であって第1収集凸部43にて形成された内側面41cは、前記第1接線L3と平行且つ軸方向(カバー部33の軸方向であって回転軸14の軸方向に同じ)と平行に形成されている。更に、内側面41cは、第1ブラシボックス35にて形成された内側面41dよりも径方向内側に長く形成されている。
図4及び図6に示すように、第2接線収集凹部42は、外周壁部33aの内周面において、図6において反時計方向(矢印X2方向)に整流子17が回転した場合の第2給電ブラシ54と整流子17との接触箇所P2における整流子17の外周面の第2接線L4を含む位置に設けられている。更に、第2接線収集凹部42は、第2接線L4を含む位置であって、第2給電ブラシ54の周方向の両側のうち反時計方向に回転する整流子17の回転方向の前方側となる側に設けられている。そして、第2接線収集凹部42は、第1接線収集凹部41と同様に径方向内側に開口し軸方向に沿って延びる溝状をなしている。本実施形態では、第2接線収集凹部42は、外周壁部33aと、外周壁部33aから内側に突出した第2ブラシボックス36の径方向内側の端部と、第2ブラシボックス36の径方向内側の端部の側方に設けられ外周壁部33aから径方向内側に突出した第2収集凸部44とによって形成されている。第2収集凸部44は、外周壁部33aの内周面において前記角度範囲A1内に形成されるとともに、第2ブラシボックス36の径方向内側の端部に対して、反時計方向に回転する整流子17の回転方向の前方側となる位置に形成されている。そして、第2収集凸部44は、第2ブラシボックス36の径方向内側の端部から周方向に離間している。また、第2収集凸部44は、対向部33bの内側面から軸方向に沿ってカバー部33の開口部の手前まで延びる突条をなしている。そして、第2接線収集凹部42は、外周壁部33aから内側に突出した第2ブラシボックス36の径方向内側の端部と、第2収集凸部44と、外周壁部33aの内周面とによって囲まれた溝状の凹部である。この第2接線収集凹部42の軸方向の長さは、第2ブラシボックス36の径方向内側の開口部の軸方向の長さよりも長く形成されている。また、第2接線収集凹部42における軸方向の一端(対向部33b側の端)は、第2ブラシボックス36の径方向内側の開口部における軸方向の一端(対向部33b側の端)よりも対向部33bに近い位置に位置する。更に、同第2接線収集凹部42における軸方向の他端(カバー部33の開口部側の端)は、第2ブラシボックス36の径方向内側の開口部における軸方向の他端(カバー部33の開口部側の端)よりもカバー部33の開口部に近い位置に位置する。即ち、第2ブラシボックス36の径方向内側の開口部の形成位置は、軸方向においては、第2接線収集凹部42の軸方向の形成範囲内となっている。また、第2接線収集凹部42の周方向の幅は、第2ブラシボックス36の径方向内側の開口部の周方向の幅よりも狭く形成されている。そして、第2接線収集凹部42は、その底面42aから径方向内側の開口部42bに向かうに連れて周方向の幅が狭くなっている。従って、第2接線収集凹部42は、軸方向と直交する方向に切った断面の形状が径方向内側に向かうに連れて周方向の幅が狭くなる台形状をなしている。また、第2接線収集凹部42における周方向の両側の内側面42c,42dのうち、第2ブラシボックス36から遠い方の内側面であって第2収集凸部44にて形成された内側面42cは、前記第2接線L4と平行且つ軸方向(カバー部33の軸方向であって回転軸14の軸方向に同じ)と平行に形成されている。更に、内側面42cは、第2ブラシボックス36にて形成された内側面42dよりも径方向内側に長く形成されている。
複数の収集凹部40のうち第1接線収集凹部41と第2接線収集凹部42との間に設けられた1つの収集凹部40は、補助収集凹部45である。補助収集凹部45は、外周壁部33aの内周面における第1ブラシボックス35と第2ブラシボックス36とがなす90°の角度範囲A1内で、第1接線収集凹部41と第2接線収集凹部42との周方向の中央部に設けられている。本実施形態では、補助収集凹部45は、外周壁部33aと、前記第1収集凸部43と、前記第2収集凸部44とによって形成されている。補助収集凹部45は、第1収集凸部43と第2収集凸部44との間に設けられるとともに、第1収集凸部43と第2収集凸部44との間で当該補助収集凹部45を構成する外周壁部33aは、補助収集凹部45を径方向に深くするようにその内周面が径方向外側に向かって凹設されている。そして、この補助収集凹部45は、径方向内側に開口し軸方向に沿って延びる溝状をなしている。また、補助収集凹部45の軸方向の長さは、第1ブラシボックス35の径方向内側の開口部の軸方向の長さよりも長く形成されている。そして、補助収集凹部45における軸方向の一端(対向部33b側の端)は、第1ブラシボックス35の径方向内側の開口部における軸方向の一端(対向部33b側の端)よりも対向部33bに近い位置に位置する。更に、同補助収集凹部45における軸方向の他端(カバー部33の開口部側の端)は、第1ブラシボックス35の径方向内側の開口部における軸方向の他端(カバー部33の開口部側の端)よりもカバー部33の開口部に近い位置に位置する。また、補助収集凹部45の周方向の幅は、第1ブラシボックス35の径方向内側の開口部の周方向の幅よりも狭く形成されている。そして、補助収集凹部45は、本実施形態では、軸方向と直交する方向に切った断面の形状が径方向内側に開口するコ字状をなしている。
図4及び図6に示すように、複数の収集凹部40のうち第1ブラシボックス35と第2ブラシボックス36とがなす270°の角度範囲A2内に設けられた4つの収集凹部40は、単純収集凹部46である。尚、第1給電ブラシ53と第2給電ブラシ54とは、第1ブラシボックス35及び第2ブラシボックス36にて保持されることにより、整流子17の外周で周方向に90°の間隔を空けて配置されている。従って、第1ブラシボックス35と第2ブラシボックス36とがなす270°の角度範囲A2は、第1給電ブラシ53と第2給電ブラシ54とがなす270°の角度範囲A2と言える。各単純収集凹部46は、外周壁部33aの内周面に設けられ、径方向内側に開口し軸方向に沿って延びる溝状をなしている。また、各単純収集凹部46の軸方向の長さは、第1ブラシボックス35の径方向内側の開口部の軸方向の長さよりも長く形成されている。そして、単純収集凹部46における軸方向の一端(対向部33b側の端)は、第1ブラシボックス35の径方向内側の開口部における軸方向の一端(対向部33b側の端)よりも対向部33bに近い位置に位置する。更に、同単純収集凹部46における軸方向の他端(カバー部33の開口部側の端)は、第1ブラシボックス35の径方向内側の開口部における軸方向の他端(カバー部33の開口部側の端)よりもカバー部33の開口部に近い位置に位置する。また、単純収集凹部46の周方向の幅は、第1ブラシボックス35の径方向内側の開口部の周方向の幅よりも狭く形成されている。そして、単純収集凹部46は、本実施形態では、軸方向と直交する方向に切った断面の形状が径方向内側に開口する略コ字状をなしている。
これら4つの単純収集凹部46のうち、2つの単純収集凹部46は、ブラシホルダ21を軸方向から見て、第1ブラシボックス35と第2ブラシボックス36との周方向の中央及びカバー部33の径方向の中央(回転軸14の回転軸線)を通り同カバー部33の直径方向に延びる直線L5よりも第1ブラシボックス35に近い位置に形成されている。そして、残りの単純収集凹部46は、同直線L5よりも第2ブラシボックス36に近い位置に形成されている。更に、外周壁部33aの内周面において第1ブラシボックス35寄りの位置に形成された2つの単純収集凹部46と、外周壁部33aの内周面において第2ブラシボックス36寄りの位置に形成された2つの単純収集凹部46とは、ブラシホルダ21を軸方向から見て、前記直線L5を対称軸として対称となる位置に形成されている。また、第1ブラシボックス35と周方向に隣り合う単純収集凹部46は、第1ブラシボックス35との間の周方向の間隔が、第1ブラシボックス35と第1接線収集凹部41との間の周方向の間隔と略等しくなっている。更に、直線L5と第1ブラシボックス35との間に形成され直線L5と周方向に隣り合う単純収集凹部46と直線L5との間の周方向の間隔は、直線L5と第1ブラシボックス35との間で直線L5と周方向に隣り合う単純収集凹部46と第1ブラシボックス35との間の周方向の間隔と略等しくなっている。また、第1ブラシボックス35と周方向に隣り合う単純収集凹部46の周方向の両側の内側面は、第1ブラシボックス35の周方向の両側の内側面と略平行をなしている。更に、直線L5と第1ブラシボックス35との間で直線L5と周方向に隣り合う単純収集凹部46の周方向の両側の内側面は、第1ブラシボックス35の周方向の両側の内側面と略直角をなしている。同様に、第2ブラシボックス36と周方向に隣り合う単純収集凹部46は、第2ブラシボックス36との間の周方向の間隔が、第2ブラシボックス36と第2接線収集凹部42との間の周方向の間隔と略等しくなっている。更に、直線L5と第2ブラシボックス36との間に形成され直線L5と周方向に隣り合う単純収集凹部46と直線L5との間の周方向の間隔は、直線L5と第2ブラシボックス36との間で直線L5と周方向に隣り合う単純収集凹部46と第2ブラシボックス36との間の周方向の間隔と略等しくなっている。また、第2ブラシボックス36と周方向に隣り合う単純収集凹部46の周方向の両側の内側面は、第2ブラシボックス36の周方向の両側の内側面と略平行をなしている。更に、直線L5と第2ブラシボックス36との間で直線L5と周方向に隣り合う単純収集凹部46の周方向の両側の内側面は、第2ブラシボックス36の周方向の両側の内側面と略直角をなしている。
また、図4、図5及び図8に示すように、カバー部33の対向部33bには、第1拡散防止凸部47が設けられている。第1拡散防止凸部47は、対向部33bの内側面(即ち対向部33bにおいてカバー部33の内部側となる側面)に設けられている。この第1拡散防止凸部47は、対向部33bの内側面から軸方向に突出するとともに、カバー部33の周方向に沿って延びる突条をなしている。更に、第1拡散防止凸部47は、外周壁部33a及び軸受保持部34と同心状となる円環状をなしている。そして、円環状の第1拡散防止凸部47は、回転軸14を囲繞している。また、第1拡散防止凸部47の径方向の位置は、外周壁部33aと軸受保持部34との間の径方向の略中央部となっている。また、第1拡散防止凸部47の外径は、整流子17の外径よりも小さく設定されている(図5及び図6参照)。つまり、第1拡散防止凸部47は、軸方向視で整流子17の外周面よりも径方向内側に位置している。更に、第1拡散防止凸部47の軸方向の高さは、本実施形態では、カバー部33の内側に配置された整流子17と対向部33bとの間の軸方向の隙間の約半分程度の高さとなっている。
また、対向部33bには、複数(本実施形態では7個)の第2拡散防止凸部48が設けられている。各第2拡散防止凸部48は、第1拡散防止凸部47と同様に、対向部33bの内側面に設けられている。複数の第2拡散防止凸部48は、軸受保持部34から放射状に延びている。即ち、複数の第2拡散防止凸部48は、回転軸14の外周で放射状に延びている。そして、各第2拡散防止凸部48は、軸受保持部34の外周面から外周壁部33aの内周面まで径方向に沿って延びる突条をなしている。また、周方向に隣り合う第2拡散防止凸部48は、周方向に離間している。更に、第2拡散防止凸部48の軸方向の高さは、本実施形態では、第1拡散防止凸部47の軸方向の高さよりも低く形成されており、カバー部33の内側に配置された整流子17と対向部33bとの間の軸方向の隙間の4分の1程度の高さとなっている。
また、第1拡散防止凸部47及び軸受保持部34が対向部33bの内側面から軸方向に突出する形状を有することから、それら第1拡散防止凸部47と軸受保持部34との径方向間には、軸方向に窪む拡散防止凹部49が形成されている。拡散防止凹部49は、対向部33bの内側面から軸方向に突出する各第2拡散防止凸部48によって周方向に複数分割されるとともに、回転軸14を中心とする円弧状をなしている。
図3に示すように、ホルダ本体22には、カバー部33の外周であって第1ブラシボックス35とコネクタ部23との間となる位置に第1ターミナル61が固定されている。また、ホルダ本体22には、カバー部33の外周であって第2ブラシボックス36とコネクタ部23との間となる位置に第2ターミナル62が固定されている。第1ターミナル61及び第2ターミナル62は、導電性の金属板材にプレス加工を施して形成されている。そして、第1ターミナル61には、前記第1ピッグテール57の他端部(即ち第1ピッグテール57における第1給電ブラシ53に接続された側と反対側の端部)が接続されている。また、第2ターミナル62には、前記第2ピッグテール58の他端部(即ち第2ピッグテール58における第2給電ブラシ54に接続された側と反対側の端部)が接続されている。更に、第2ターミナル62には、過電流保護用のPTC(positive temperature coefficient)サーミスタ63が接続されている。また、ブラシホルダ21には、第1埋設ターミナル64及び第2埋設ターミナル65が埋設されている。この第1埋設ターミナル64及び第2埋設ターミナル65には、ホルダ本体22においてカバー部33とコネクタ部23との間となる位置に配置されたコンデンサ66が接続されている。このコンデンサ66は、電磁ノイズの発生を抑制するための雑防素子である。また、第1埋設ターミナル64には第1ターミナル61が接続されるとともに、第2埋設ターミナル65には第2ターミナル62が接続されている。
図1、図2及び図3に示すように、前記コネクタ部23は、基部31の外周面から回転軸14の軸方向と直交する一方向に突出している。本実施形態では、コネクタ部23は、基部31における第1支持柱37及び第2支持柱38と反対側の端部から、回転軸14の軸方向と直交する一方向であって第1支持柱37及び第2支持柱38から遠ざかる方向に突出している。また、コネクタ部23は、その先端部に回転軸14の軸方向に沿ってヨーク11と反対方向に延びる筒状の差込み部23aを有する。そして、前記第1埋設ターミナル64及び第2埋設ターミナル65の一端部がこの差込み部23aの内部に突出するとともに、同差込み部23aの内部で露出している。図示しない外部コネクタが差込み部23aに差し込まれると、コネクタ部23に同外部コネクタが接続される。すると、第1埋設ターミナル64及び第2埋設ターミナル65が外部コネクタと電気的に接続される。外部コネクタは電源装置に電気的に接続されており、第1埋設ターミナル64及び第2埋設ターミナル65には、外部コネクタを介して電源が供給される。従って、第1埋設ターミナル64、第1ターミナル61及び第1ピッグテール57を介して第1給電ブラシ53に電流が供給されるとともに、第2埋設ターミナル65、第2ターミナル62、PTCサーミスタ63及び第2ピッグテール58を介して第2給電ブラシ54に電流が供給される。
図2に示すように、前記減速部3は、減速部3の外郭となるギヤハウジング71と、同ギヤハウジング71内に収容された減速機構81とを有する。
ギヤハウジング71は合成樹脂にて形成されている。ギヤハウジング71は、ヨーク11側の端部に同ヨーク11が連結される固定部72を有する。固定部72におけるヨーク11側の端部は、フランジ部11dの外形形状と略等しい外形形状をなしている。そして、図1及び図2に示すように、固定部72におけるヨーク11側の端面にフランジ部11dが軸方向から当接した状態で、フランジ部11dと固定部72とが複数の螺子91によって連結固定されている。尚、ホルダ本体22におけるヨーク11の開口部11cよりも同ヨーク11の外部に突出した部分、回転軸14におけるヨーク11の開口部11cよりも同ヨーク11の外部に突出した部分、整流子17、第1給電ブラシ53及び第2給電ブラシ54は、固定部72の内部に挿入されている。
また、ギヤハウジング71は、固定部72からヨーク11と反対側に軸方向に沿って延びるウォーム軸収容部73を有する。ウォーム軸収容部73は中空状をなすとともに、ウォーム軸収容部73の内部空間は固定部72の内部空間と繋がっている。そして、ウォーム軸収容部73の内部には、前記減速機構81を構成するウォーム軸82が収容されている。ウォーム軸82は、略円柱状をなすとともに、その軸方向の略中央部に螺子歯状のウォーム82aが形成されている。また、ウォーム軸82は、ウォーム軸収容部73内で回転軸14と同軸上に配置されるとともに、同ウォーム軸82の基端部(図2において上側の端部)は、回転軸14の先端部とクラッチ92を介して連結されている。クラッチ92は、回転軸14の回転力をウォーム軸82に伝達する一方、ウォーム軸82側からの回転が入力されると、制動力が生じて自身の回転が規制されるように作動しウォーム軸82の回転を規制するものである。
また、ギヤハウジング71は、ウォーム軸収容部73の側方(図2において左側)にホイール収容部74を有する。ホイール収容部74は、ウォーム軸82の軸方向と直交する一方向から見た形状が略円盤状をなすとともに、中空状をなしている。そして、ホイール収容部74の内部空間は、ウォーム軸収容部73の軸方向の略中央部でウォーム軸収容部73の内部空間と繋がっている。このホイール収容部74の内部には、ウォーム軸82と共に減速機構81を構成するウォームホイール83が収容されている。
図9(a)及び図9(b)に示すように、ウォームホイール83は、円板状のギヤ部84と、該ギヤ部84の径方向の中央部から軸方向の一方側に延びる略円柱状の出力軸85とから構成されている。ギヤ部84は、その外周縁部に複数の歯84aを有するはすば歯車である。また、出力軸85の先端部は、車両のウインドガラスを昇降させるためのウインドレギュレータが接続される連結部85aとなっている。そして、出力軸85における連結部85aよりも基端側の部分には、連結部85aよりも外径の大きい検査部85bが設けられている。そして、検査部85bの外周縁には、複数の検査凹部85cが設けられている。本実施形態では、検査部85bの外周縁に6個の検査凹部85cが設けられている。6個の検査凹部85cは、周方向に等角度間隔(60°間隔)に設けられている。そして、各検査凹部85cは、径方向外側と出力軸85の先端側との2方向に開口している。また、各検査凹部85cは、軸方向から見た形状が、径方向外側に向かうに連れて周方向の幅が広くなる略台形状をなしている。
図1及び図2に示すように、このようなウォームホイール83は、ホイール収容部74の内部にギヤ部84が収容されている。また、出力軸85は、ホイール収容部74の径方向の中央部に設けられた出力孔75からギヤハウジング71の外部に突出している。そして、検査部85bがギヤハウジング71の外部に露出している。更に、ウォームホイール83は、ギヤ部84がウォーム軸82のウォーム82aと噛合するとともに、出力軸85を回転中心として回転可能にホイール収容部74によって支持されている。
また、図1及び図10に示すように、ギヤハウジング71は、ウォーム軸収容部73の側方であってホイール収容部74とは反対側となる位置に呼吸孔76を有する。呼吸孔76は、ギヤハウジング71の内部と外部とを連通している。この呼吸孔76におけるギヤハウジング71の外部側の開口部は、ギヤハウジング71の外周面に開口しており、本実施形態では四角形状をなしている。また、ギヤハウジング71には、呼吸孔76におけるギヤハウジング71の外部側の開口部を囲繞する円筒状の囲繞部77が設けられている。囲繞部77は、ギヤハウジング71の外周面からギヤハウジング71の外側に突出するとともに、その突出方向は出力軸85の軸方向と等しい。更に、囲繞部77の外周面には浸入抑制鍔部78が囲繞部77と一体に設けられている。浸入抑制鍔部78は、囲繞部77の外周面においてモータ部2側となる約半分の領域に設けられており、囲繞部77の外周面に沿って囲繞部77の突出方向に延びる庇状をなしている。そして、浸入抑制鍔部78は、囲繞部77の突出方向から見た形状が囲繞部77の外周面に沿った半円状をなしている。また、浸入抑制鍔部78の先端は、囲繞部77の先端よりも囲繞部77の突出方向に突出した位置にある。この浸入抑制鍔部78は、囲繞部77の先端開口部におけるモータ部2側の約半分の領域を囲んでいる。
次に、本実施形態のモータ1の作用を説明する。
モータ1では、コネクタ部23に接続された外部コネクタを介して第1埋設ターミナル64及び第2埋設ターミナル65に供給された電流は、第1給電ブラシ53及び第2給電ブラシ54、並びに整流子17を介して電機子コイル16に供給される。すると、電機子13が回転し、回転軸14の回転がクラッチ92を介してウォーム軸82に伝達される。ウォーム軸82に伝達された回転は、ウォーム軸82及びウォームホイール83にて減速され、出力軸85から出力される。そして、出力軸85の回転方向に応じて、同出力軸85に連結されたウインドレギュレータを介して車両のウインドガラスが下降若しくは上昇される。
回転軸14が回転すると、該回転軸14と一体回転する整流子17に摺接する第1給電ブラシ53及び第2給電ブラシ54が摩耗し、第1給電ブラシ53及び第2給電ブラシ54の摩耗粉が生じる。ブラシホルダ21には、整流子17の外周面と径方向に対向する外周壁部33aに、整流子17の外周面と対向する開口部を有する複数の収集凹部40が設けられているため、第1給電ブラシ53及び第2給電ブラシ54の摩耗粉は、これらの収集凹部40の内部に入ることができる。詳述すると、図7に示すように、整流子17が図7において時計方向(矢印X1方向)に回転した場合には、第1給電ブラシ53の摩耗粉は、第1給電ブラシ53と整流子17との接触箇所P1における整流子17の外周面の接線方向であって整流子17の回転方向の前方側に飛散し易い。従って、第1給電ブラシ53の摩耗粉は、第1接線収集凹部41内に効率良く入っていく。また、図6に示すように、整流子17が図6において反時計方向(矢印X2方向)に回転した場合には、第2給電ブラシ54の摩耗粉は、第2給電ブラシ54と整流子17との接触箇所P2における整流子17の外周面の接線方向であって整流子17の回転方向の前方側に飛散し易い。従って、第2給電ブラシ54の摩耗粉が第2接線収集凹部42内に効率良く入っていく。また、第1接線収集凹部41と第2接線収集凹部42との間に設けられた補助収集凹部45には、第1接線収集凹部41若しくは第2接線収集凹部42に入らなかった給電ブラシ53,54の摩耗粉の少なくとも一部が入ることができる。また、第1給電ブラシ53(第1ブラシボックス35)と第2給電ブラシ54(第2ブラシボックス36)とがなす270°の角度範囲A2においては、給電ブラシ53,54の摩耗粉は、単純収集凹部46内に入ることができる。
また、図5及び図8に示すように、整流子17と対向部33bとの間では、第1拡散防止凸部47及び第2拡散防止凸部48によって給電ブラシ53,54の摩耗粉の拡散が抑制されている。第1拡散防止凸部47は、整流子17と対向部33bとの間で、給電ブラシ53,54の摩耗粉が給電ブラシ53,54から回転軸14の方へ拡散することを抑制する。一方、第2拡散防止凸部48は、整流子17と対向部33bとの間で、摩耗粉が第1給電ブラシ53から第2給電ブラシ54の方へ拡散すること、並びに、摩耗粉が第2給電ブラシ54から第1給電ブラシ53の方へ拡散することを抑制する。なお、軸受保持部34は、対向部33bの内側面から軸方向に突出してはいるものの、軸受保持部34によって給電ブラシ53,54の摩耗粉の拡散を抑制することは困難である。
また、図10に示すように、呼吸孔76の周囲には、浸入抑制鍔部78が設けられている。この浸入抑制鍔部78は、呼吸孔76におけるギヤハウジング71の外部側の開口部を囲繞する筒状の囲繞部77よりもギヤハウジング71の外側に突出している。従って、囲繞部77の内部に液体が浸入することが浸入抑制鍔部78によって抑制される。例えば、図1及び図11(a)に示すように、モータ部2が上側、減速部3が下側となるように、且つ囲繞部77の突出方向が上下方向と直交するようにモータ1が車両に搭載された場合には、上方から落下してくる液体は、浸入抑制鍔部78によって遮られて囲繞部77の内部に入り難い。従って、呼吸孔76内に液体が浸入することが抑制される。また、図1及び図11(b)に示すように、減速部3に対してモータ部2が上側に位置し、且つ囲繞部77の先端が若干上方を向くようにモータ1が車両に搭載されることがある。図11(b)に示す例では、モータ1が車両に搭載された状態において、囲繞部77の先端面における下端部は、当該下端部の上方に位置する浸入抑制鍔部78よりも突出しない位置に位置する。この場合、浸入抑制鍔部78の先端から下方に落下する液体は、破線の矢印にて示すように落下するため、浸入抑制鍔部78によって囲繞部77の内部に入ることが抑制される。従って、呼吸孔76内に液体が浸入することが抑制される。
また、図1、図9(a)及び図9(b)に示すように、ウォームホイール83には、出力軸85の基端側の部分に複数の検査凹部85cが設けられている。そして、ウインドガラスの昇降時の作動性能を検査するときには、複数の検査凹部85cに検査用治具を装着して負荷を加える。この検査凹部85cは、ウインドレギュレータが連結される連結部85aとは異なる位置に設けられている。従って、ウォームホイール83において連結部85aの形状が変更された場合であっても、この検査凹部85cがウォームホイール83に設けられていれば、連結部85aの形状に拘わらず同一の検査治具を用いて作動性能を検査することができる。
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)回転する整流子17の外周面に第1給電ブラシ53及び第2給電ブラシ54が摺接することにより生じた給電ブラシ53,54の摩耗粉は、収集凹部40に入ることができる。従って、給電ブラシ53,54と回転軸14との間や、給電ブラシ53,54と電機子コア15との間に摩耗粉が堆積することを抑制できるため、給電ブラシ53,54と回転軸14との間や、給電ブラシ53,54と電機子コア15との間に摩耗粉によって導通経路が形成されることを抑制できる。その結果、給電ブラシ53,54の摩耗粉による絶縁不良の発生を抑制することができる。
(2)ブラシホルダ21において、第1給電ブラシ53と整流子17との接触箇所P1における整流子17の外周面の第1接線L3を含む位置に収集凹部40としての第1接線収集凹部41を設けている。更に、ブラシホルダ21において、第2給電ブラシ54と整流子17との接触箇所P2における整流子17の外周面の第2接線L4を含む位置に収集凹部40としての第2接線収集凹部42を設けている。整流子17の外周面に給電ブラシ53,54が摺接することにより生じた摩耗粉は、給電ブラシ53,54と整流子17との接触箇所P1,P2における整流子17の外周面の接線方向に飛散しやすいため、給電ブラシ53,54の摩耗粉を効率良く第1接線収集凹部41及び第2接線収集凹部42に入れることができる。従って、給電ブラシ53,54と回転軸14との間や、給電ブラシ53,54と電機子コア15との間に摩耗粉によって導通経路が形成されることをより抑制できる。その結果、給電ブラシ53,54の摩耗粉による絶縁不良の発生をより抑制することができる。
(3)周方向に隣り合う第1給電ブラシ53及び第2給電ブラシ54の間で周方向に隣り合う第1接線収集凹部41及び第2接線収集凹部42の間に、補助収集凹部45が設けられている。そのため、周方向に隣り合う給電ブラシ53,54の摩耗粉は、2つの接線収集凹部41,42だけでなく補助収集凹部45にも入ることができる。従って、給電ブラシ53,54と回転軸14との間や、給電ブラシ53,54と電機子コア15との間に摩耗粉によって導通経路が形成されることを更に抑制できる。また、補助収集凹部45が設けられたことにより、ブラシホルダ21において周方向に隣り合う給電ブラシ53,54間の沿面距離が長くなる。従って、周方向に隣り合う給電ブラシ53,54間でブラシホルダ21の表面に付着した摩耗粉によって周方向に隣り合う給電ブラシ53,54が短絡されることが抑制される。これらのことから、給電ブラシ53,54の摩耗粉による絶縁不良の発生を更に抑制することができる。
(4)第1給電ブラシ53における整流子17との接触箇所P1は、第1給電ブラシ53の周方向の中央から周方向にずれた位置にある。同様に、第2給電ブラシ54における整流子17との接触箇所P2は、第2給電ブラシ54の周方向の中央から周方向にずれた位置にある。従って、回転軸14の回転時に整流子17に摺接する給電ブラシ53,54の周方向の位置が安定しやすくなる。そして、この第1給電ブラシ53と整流子17との接触箇所P1における整流子17の外周面の第1接線L3を含む位置に設けられた第1接線収集凹部41に、この第1給電ブラシ53の摩耗粉を効率良く入れることができる。更に、この第2給電ブラシ54と整流子17との接触箇所P2における整流子17の外周面の第2接線L4を含む位置に設けられた第2接線収集凹部42に、この第2給電ブラシ54の摩耗粉を効率良く入れることができる。従って、給電ブラシ53,54と回転軸14との間や、給電ブラシ53,54と電機子コア15との間に摩耗粉によって導通経路が形成されることを、この接線収集凹部41,42によってより抑制でき、その結果、給電ブラシ53,54の摩耗粉による絶縁不良の発生をより抑制することができる。
(5)周方向に隣り合う一対の給電ブラシ53,54が形成する2つの角度範囲A1,A2のうち狭い方の90°の角度範囲A1に、2つの接線収集凹部41、42が設けられている。従って、給電ブラシ53,54間の周方向の間隔が狭いところに給電ブラシ53,54の摩耗粉が入ることができる2つの接線収集凹部41,42が設けられるため、一対の給電ブラシ53,54が短絡されることを効果的に抑制することができる。その結果、給電ブラシ53,54の摩耗粉による絶縁不良の発生を一層抑制することができる。
(6)対向部33bにおける軸受保持部34よりも外周側に第1拡散防止凸部47及び第2拡散防止凸部48が設けられたことにより、整流子17と対向部33bとの間において、ブラシホルダ21における周方向に隣り合う給電ブラシ53,54間の沿面距離、対向部33bにおける各給電ブラシ53,54から回転軸14までの沿面距離等が長くなる。そして、第1拡散防止凸部47及び第2拡散防止凸部48が障害となり、整流子17と対向部33bとの間で給電ブラシ53,54の摩耗粉が拡散することが抑制される。従って、給電ブラシ53,54の摩耗粉による絶縁不良の発生をより一層抑制することができる。
(7)第1拡散防止凸部47は、回転軸14を囲繞する円環状をなしている。従って、整流子17と対向部33bとの間において、給電ブラシ53,54の摩耗粉が径方向に拡散することを効果的に抑制することができる。
(8)第1拡散防止凸部47は、軸方向視で整流子17の外周面よりも径方向内側に位置するため、給電ブラシ53,54の摩耗粉が整流子17の外周面よりも内径側に位置する回転軸14側に拡散することを効果的に抑制することができる。
(9)第2拡散防止凸部48は、回転軸14の外周で放射状に延びている。従って、整流子17と対向部33bとの間において、給電ブラシ53,54の摩耗粉が周方向に拡散することを効果的に抑制することができる。
(10)第1接線収集凹部41は、外周壁部33aの内周面から内側に突出した第1収集凸部43と、外周壁部33aの内周面から内側に突出した第1ブラシボックス35の径方向内側の端部と、外周壁部33aとによって形成されている。また、第2接線収集凹部42は、外周壁部33aの内周面から内側に突出した第2収集凸部44と、外周壁部33aの内周面から内側に突出した第2ブラシボックス36の径方向内側の端部と、外周壁部33aとによって形成されている。更に、第1収集凸部43と第2収集凸部44との間に補助収集凹部45が形成されている。従って、第1給電ブラシ53と第2給電ブラシ54とがなす90°の角度範囲A1においては、ブラシホルダ21の表面における第1給電ブラシ53と第2給電ブラシ54との間の沿面距離がより長くなっている。よって、給電ブラシ53,54が摩耗粉によって短絡されることを抑制しやすくなっている。従って、給電ブラシ53,54の摩耗粉による絶縁不良の発生をより抑制しやすくなっている。
(11)ブラシホルダ21の軸受保持部34にて保持する軸受52は、含油軸受である。そのため、モータ1の駆動時に軸受52に熱が伝わると、軸受52の潤滑油が回転軸14を伝ってカバー部33の内部に漏れ出ることがある。そして、カバー部33の内部に漏れ出た潤滑油と給電ブラシ53,54の摩耗粉とが交わると、摩耗粉の塊が形成され、この摩耗粉の塊によって絶縁不良が発生する虞がある。これに対し、本実施形態では、軸受保持部34の外周に第1拡散防止凸部47及び第2拡散防止凸部48が設けられているため、整流子17と対向部33bとの間で、給電ブラシ53,54の摩耗粉が軸受52及び回転軸14の方へ拡散することが第1拡散防止凸部47及び第2拡散防止凸部48によって抑制される。更に、軸受52から漏れ出た潤滑油は、給電ブラシ53,54の摩耗粉が堆積しやすい外周側の方へ流れていくことが第1拡散防止凸部47及び第2拡散防止凸部48によって抑制される。従って、給電ブラシ53,54の摩耗粉と潤滑油とが交わることを抑制できるため、給電ブラシ53,54の摩耗粉と潤滑油とが交わることによって生成される摩耗粉の塊によって絶縁不良が発生することを抑制できる。
(12)ブラシホルダ21の対向部33bには、軸方向に窪む拡散防止凹部49が、軸方向視で整流子17の外周面よりも径方向内側、かつ軸受保持部34よりも径方向外側の位置に設けられる。この構成によれば、軸受52から軸受保持部34の外周側に漏れ出た潤滑油が拡散防止凹部49に溜まり、その拡散防止凹部49から外周側(給電ブラシ53,54の摩耗粉が堆積しやすい部位)へは流れにくい。このため、給電ブラシ53,54の摩耗粉と潤滑油とが交わることによって生成される摩耗粉の塊によって絶縁不良が発生することを抑制できる。
(13)従来、ブラシホルダ内に堆積した給電ブラシの摩耗粉によって絶縁不良が発生することを抑制するため、給電ブラシの回りに広い空間を確保したり、ブラシホルダに穴を設けて当該穴から摩耗粉をギヤハウジングの内部に逃がしたりすることがあった。そのため、モータが大型化されたり、モータの構造が複雑化されたりするという問題があった。これに対し、本実施形態では、整流子17の外周面と対向する外周壁部33aに複数の収集凹部40を設けることにより、給電ブラシ53,54の摩耗粉に起因する絶縁不良の発生を抑制している。そのため、モータ1の大型化並びにモータ1の複雑化を抑制しつつ、給電ブラシ53,54の摩耗粉による絶縁不良の発生を抑制できている。
(14)ギヤハウジング71に浸入抑制鍔部78が設けられているため、呼吸孔76からギヤハウジング71の内部に液体が浸入することをより抑制することができる。また、浸入抑制鍔部78は、簡単な形状をなすため、浸入抑制鍔部78を設けたことによるギヤハウジング71の形状の複雑化が抑制されている。従って、モータ1の製造コストの増大を抑制しつつ、呼吸孔76内への液体の浸入を抑制できる。
(15)検査凹部85cは、ウォームホイール83においてウインドレギュレータが連結される連結部85aとは異なる位置に設けられている。そのため、連結部85aの形状が異なる複数種類のウォームホイール83に対して、同様の形状の検査凹部85cを設けることにより、同一の検査治具を用いて作動性能を検査することができる。よって、連結部85aの形状に応じて複数種類の検査治具を用意しなくてもよいため、作動性能の検査にかかるコストを減少させることができる。
尚、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、第1拡散防止凸部47は、対向部33bに1つのみ設けられている。しかしながら、第1拡散防止凸部47は、対向部33bの内側面に複数設けられてもよい。この場合、例えば、回転軸14の外周に同心状に複数の第1拡散防止凸部47を形成してもよい。また、第1拡散防止凸部47は、円環状に限らず、回転軸14を囲繞する環状であってもよい。更に、第1拡散防止凸部47は、環状に限らず、周方向に沿って延びる円弧状等であってもよい。
・上記実施形態では、ブラシホルダ21は、対向部33bに第1拡散防止凸部47及び第2拡散防止凸部48を有する。しかしながら、ブラシホルダ21は、対向部33bに第1拡散防止凸部47及び第2拡散防止凸部48の何れか一方のみを備えた構成であってもよい。
・上記実施形態の拡散防止部は、対向部33bの内側面から軸方向に突出する第1拡散防止凸部47及び第2拡散防止凸部48と、第1拡散防止凸部47と軸受保持部34との間に形成される拡散防止凹部49とから構成されたが、これに特に限定されるものではない。例えば、第1拡散防止凸部47の代わりに円環状の溝を対向部33bの内側面に形成してもよく、また、第2拡散防止凸部48の代わりに放射状の溝を対向部33bの内側面に形成してもよい。つまり、対向部33bにおける軸受保持部34よりも外周側に、軸方向に凸状又は凹状の拡散防止部を備えていればよい。
・上記実施形態では、第1給電ブラシ53(第1ブラシボックス35)と第2給電ブラシ54(第2ブラシボックス36)とがなす90°の角度範囲A1に第1接線収集凹部41及び第2接線収集凹部42を設けている。しかしながら、第1給電ブラシ53(第1ブラシボックス35)と第2給電ブラシ54(第2ブラシボックス36)とがなす270°の角度範囲A2において、第1給電ブラシ53と整流子17との接触箇所における整流子17の外周面の接線を含む位置に接線収集凹部を設けてもよい。同様に、第1給電ブラシ53(第1ブラシボックス35)と第2給電ブラシ54(第2ブラシボックス36)とがなす270°の角度範囲A2において、第2給電ブラシ54と整流子17との接触箇所における整流子17の外周面の接線を含む位置に接線収集凹部を設けてもよい。
・上記実施形態では、対をなす第1給電ブラシ53と第2給電ブラシ54とは、整流子17の外周に周方向に90°離間して配置されている。しかしながら、第1給電ブラシ53と第2給電ブラシ54とのなす角度は90°に限らず適宜変更してもよい。また、モータ1に備えられる給電ブラシの数は、2つ(一対)に限らず、3つ以上であってもよい。
・上記実施形態では、第1給電ブラシ53における整流子17との接触箇所P1は、第1給電ブラシ53の周方向の中央から周方向にずれた位置となっている。同様に、第2給電ブラシ54における整流子17との接触箇所P2は、第2給電ブラシ54の周方向の中央から周方向にずれた位置となっている。しかしながら、各給電ブラシ53,54における整流子17との接触箇所はこれに限らず、各給電ブラシ53,54は、その周方向の中央で整流子17と接触してもよい。
・上記実施形態では、ブラシホルダ21は、補助収集凹部45を備えているが、必ずしも補助収集凹部45を備えなくてもよい。
・上記実施形態では、ブラシホルダ21は、第1接線収集凹部41及び第2接線収集凹部42を備えているが、必ずしも第1接線収集凹部41及び第2接線収集凹部42を備えなくてもよい。ブラシホルダ21は、第1接線収集凹部41及び第2接線収集凹部42の何れか一方のみを備えた構成であってもよい。また、ブラシホルダ21は、第1接線収集凹部41及び第2接線収集凹部42の両方を備えず、給電ブラシ53,54と整流子17との接触箇所に関係無く設けられた単純収集凹部46のみを備えた構成であってもよい。そして、ブラシホルダ21に設けられる収集凹部40としての単純収集凹部46の数は、4つに限らず、1つ以上であればよい。また、ブラシホルダ21は、第1接線収集凹部41、第2接線収集凹部42、補助収集凹部45のうち少なくとも1つを備えるのであれば、単純収集凹部46を備えない構成であってもよい。また、ブラシホルダ21は収集凹部40を必ずしも備えなくてもよい。
・ウォームホイール83に設けられた検査凹部85cの形状は、上記実施形態の形状に限らない。例えば、検査凹部85cは、軸方向から見た形状が長方形状、正方形状、半円状等をなす凹部であってもよい。また、検査凹部85cは、検査部85bにおける連結部85a側の軸方向の端面に設けられた穴(径方向に開口せず軸方向の一方側のみに開口した形状)であってもよい。また、ウォームホイール83に設けられる検査凹部85cの数は6個に限らず、複数個であればよい。また、ウォームホイール83は、必ずしも検査凹部85cを備えなくてもよい。
・図12に示すように、呼吸孔76におけるギヤハウジング71の外部側の開口部を防水シート101にて覆ってもよい。防水シート101は、気体透過性を有する一方、液体透過性を有さない性質を持つものである。このようにすると、呼吸孔76からギヤハウジング71の内部に水等の液体が浸入することをより抑制することができる。
・上記実施形態では、浸入抑制鍔部78における囲繞部77の突出方向と同方向の突出量は、モータ1の固定姿勢に応じて、液体の浸入を抑制し易い長さに適宜変更してもよい。また、ギヤハウジング71は、必ずしも浸入抑制鍔部78を備えなくてもよい。
・上記実施形態では、モータ1は減速部3を備えている。しかしながら、モータ1は、減速部3を備えず、モータ部2のみから構成されるものであってもよい。
・上記実施形態では、モータ1は、車両に搭載されるパワーウインド装置の駆動源として用いられている。しかしながら、モータ1は、パワーウインド装置の駆動源に限らず、他の装置の駆動源として用いられてもよい。
・以下の構成の目的は、給電ブラシの摩耗粉による絶縁不良の発生を抑制することができるモータを提供することにある。
・回転軸と一体回転する整流子と、前記整流子と摺接する複数の給電ブラシと、前記給電ブラシを保持するブラシホルダとを備えたモータであって、前記ブラシホルダは、前記整流子の軸方向の一端面と対向する対向部と、前記対向部に設けられ前記回転軸を軸支する軸受を保持する軸受保持部と、前記対向部における前記軸受保持部よりも外周側に設けられ、前記給電ブラシの摩耗粉の拡散を抑制するための拡散防止部とを有し、前記拡散防止部は、前記整流子に向かって軸方向に突出、又は軸方向に窪むように凹設され、前記回転軸は、前記対向部を軸方向に貫通しており、前記拡散防止部は、前記回転軸を囲繞する環状部を有し、前記軸受保持部に保持された前記軸受は含油軸受であり、前記環状部は、軸方向視で前記整流子の外周面よりも径方向内側、かつ前記軸受保持部よりも径方向外側に設けられている。
この構成によれば、整流子に向かって軸方向に突出する拡散防止部が対向部に設けられることにより、整流子と対向部との間において、ブラシホルダにおける周方向に隣り合う給電ブラシ間の沿面距離、対向部における給電ブラシから回転軸までの沿面距離等が長くなる。そして、拡散防止部が障害となり、整流子と対向部との間で給電ブラシの摩耗粉が拡散することが抑制される。従って、給電ブラシの摩耗粉による絶縁不良の発生を抑制することができる。
また、軸方向に窪む拡散防止部が対向部に凹設されることにより、拡散防止部に給電ブラシの摩耗粉が溜まるため、整流子と対向部との間で給電ブラシの摩耗粉の拡散を抑制することができ、その結果、給電ブラシの摩耗粉による絶縁不良の発生を抑制することができる。
また、前記回転軸は、前記対向部を軸方向に貫通しており、前記拡散防止部は、前記回転軸を囲繞する環状部を有することにより、整流子と対向部との間において、給電ブラシの摩耗粉が径方向に拡散することを効果的に抑制することができる。
また、前記軸受保持部に保持された前記軸受は含油軸受であり、前記環状部は、軸方向視で前記整流子の外周面よりも径方向内側、かつ前記軸受保持部よりも径方向外側に設けられている。
この構成によれば、給電ブラシの摩耗粉が、整流子の外周面よりも内径側に位置する回転軸側に拡散することを効果的に抑制することができる。更に、含油軸受から漏れ出た潤滑油が、給電ブラシの摩耗粉が堆積しやすい外周側の方へ流れていくことを拡散防止部によって抑制することができる。これにより、給電ブラシの摩耗粉と潤滑油とが交わることによって生成される摩耗粉の塊によって絶縁不良が発生することを抑制できる。
・上記モータにおいて、前記拡散防止部は、前記回転軸の外周で放射状に延びる放射状部を有することが好ましい。
この構成によれば、整流子と対向部との間において、給電ブラシの摩耗粉が周方向に拡散することを効果的に抑制することができる。
・上記モータにおいて、前記ブラシホルダは、前記整流子の外周に、前記整流子の外周面と対向する開口部を有する収集凹部を有することが好ましい。
この構成によれば、回転する整流子の外周面に給電ブラシが摺接することにより生じた給電ブラシの摩耗粉は、収集凹部に入ることができる。従って、給電ブラシと回転軸との間や、給電ブラシと電機子コアとの間に摩耗粉が堆積することを抑制できるため、給電ブラシと回転軸との間や、給電ブラシと電機子コアとの間に摩耗粉によって導通経路が形成されることを抑制できる。その結果、給電ブラシの摩耗粉による絶縁不良の発生をより一層抑制することができる。
・上記モータにおいて、前記ブラシホルダは、前記給電ブラシと前記整流子との接触箇所における前記整流子の外周面の接線を含む位置に前記収集凹部としての接線収集凹部を有することが好ましい。
この構成によれば、ブラシホルダにおいて、給電ブラシと整流子との接触箇所における整流子の外周面の接線を含む位置に収集凹部としての接線収集凹部を設けている。整流子の外周面に給電ブラシが摺接することにより生じた摩耗粉は、給電ブラシと整流子との接触箇所における整流子の外周面の接線方向に飛散しやすいため、給電ブラシの摩耗粉を効率良く接線収集凹部に入れることができる。従って、給電ブラシと回転軸との間や、給電ブラシと電機子コアとの間に摩耗粉によって導通経路が形成されることをより抑制できる。その結果、給電ブラシの摩耗粉による絶縁不良の発生をより抑制することができる。
・上記モータにおいて、前記ブラシホルダは、周方向に隣り合う前記給電ブラシの間に、周方向に隣り合う当該前記給電ブラシの各々と前記整流子との接触箇所における前記整流子の外周面の接線を含む位置に設けられた前記接線収集凹部を有するとともに、周方向に隣り合う前記給電ブラシの間で周方向に隣り合う前記接線収集凹部の間に、前記収集凹部としての補助収集凹部を有することが好ましい。
この構成によれば、周方向に隣り合う給電ブラシの間で周方向に隣り合う接線収集凹部の間に、補助収集凹部が設けられている。そのため、周方向に隣り合う給電ブラシの摩耗粉は、2つの接線収集凹部だけでなく補助収集凹部にも入ることができる。従って、給電ブラシと回転軸との間や、給電ブラシと電機子コアとの間に摩耗粉によって導通経路が形成されることを更に抑制できる。また、補助収集凹部が設けられたことにより、ブラシホルダにおいて周方向に隣り合う給電ブラシ間の沿面距離が長くなる。従って、周方向に隣り合う給電ブラシ間でブラシホルダの表面に付着した摩耗粉によって周方向に隣り合う給電ブラシが短絡されることが抑制される。これらのことから、給電ブラシの摩耗粉による絶縁不良の発生を更に抑制することができる。
・上記モータにおいて、前記給電ブラシにおける前記整流子との接触箇所は、前記給電ブラシの周方向の中央から周方向にずれた位置にあることが好ましい。
この構成によれば、回転軸の回転時に整流子に摺接する給電ブラシの周方向の位置が安定しやすくなる。そして、この給電ブラシと整流子との接触箇所における整流子の外周面の接線を含む位置に設けられた接線収集凹部に、この給電ブラシの摩耗粉を効率良く入れることができる。従って、給電ブラシと回転軸との間や、給電ブラシと電機子コアとの間に摩耗粉によって導通経路が形成されることを、この接線収集凹部によってより抑制でき、その結果、給電ブラシの摩耗粉による絶縁不良の発生をより抑制することができる。
・上記モータにおいて、前記給電ブラシを一対備えるとともに、一対の前記給電ブラシは、前記整流子の外周に周方向に180°未満の間隔で配置され、前記ブラシホルダは、一対の前記給電ブラシのなす180°未満の角度範囲に、当該一対の前記給電ブラシの各々と前記整流子との接触箇所における前記整流子の外周面の接線を含む位置に設けられた前記接線収集凹部を有することが好ましい。
この構成によれば、周方向に隣り合う一対の給電ブラシが形成する2つの角度範囲のうち狭い方の180°未満の角度範囲に、2つの接線収集凹部が設けられている。従って、給電ブラシ間の周方向の間隔が狭いところに給電ブラシの摩耗粉が入ることができる2つの接線収集凹部が設けられるため、一対の給電ブラシが短絡されることを効果的に抑制することができる。その結果、給電ブラシの摩耗粉による絶縁不良の発生を一層抑制することができる。