JP6545531B2 - 磁気印刷方法 - Google Patents

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本発明は、インクジェット等の印刷方法に好適な磁気印刷方法であって、磁性インクを用いて,良好な磁気特性を保持するとともに所望の色彩を備えた画像を形成できる方法に関する。
小切手や紙幣などの印刷に用いられるセキュリティ印刷の一種として、磁性顔料を含んだ画像を形成する磁気印刷が知られている。磁気印刷で用いられる印刷方法としては、従来、磁性インクを用いた方法の他に、磁性トナーや磁性インクリボンを用いた方法が知られているが、近年、印刷コスト等の点から磁性インクを用いたインクジェット印刷方法の開発が進められている。
上記インクジェット印刷方法で用いられる磁性インクでは、磁性顔料として、コバルトやマンガン等の金属を含有するフェライトの数十nmの微粒子が主として用いられている(特許文献1参照)。しかし、かかる磁性顔料の微粒子からなる粉体は黒褐色をしており、その印刷画像が通常の黒インクの印刷画像に比べ不自然に茶色く見える場合があった。
上記磁性顔料粉体は、一般的に、顔料粒径が小さいほど、その色は茶色に近づく傾向があるとされている。その詳しいメカニズムは解明されていないが、表面酸化の影響であろうと推定される。液状の磁性インクをインクジェット印刷する場合は、磁性トナーや、磁性インクリボンとドットインパクトプリンターを用いて印刷する場合に比べ、顔料粒径が小さいことが要求されるので、印刷画像の色がより茶色になりやすい。また、紙等の基材への浸透、にじみ又は広がりに起因して、顔料の濃度が薄くなり、印刷画像がより茶色味を増す場合がある。この現象は、インクが紙等の基材に浸透しやすく、裏抜けしやすい油性インクの場合において、より顕著に表れる傾向にある。
一方、銀行券、株券、商品券等の有価証券などの印刷物に用いられるセキュリティ印刷では、セキュリティ性の向上の点から、磁性顔料を用いて印刷した磁気パターンを第三者が目視で認識できないようにするために、磁気パターンの色を通常のインクによるバーコードや文字などの印刷画像の色に近づけたいという要求がある(特許文献2参照)。
上記有価証券などの印刷物においてバーコードや文字などの印刷画像は、多くの場合、黒インクで印刷される。その理由は、紙などの淡色系の基材を用いる場合、視認性はもちろんであるが、バーコードリーダーやOCRなど光学式自動読み取り機を用いて有価証券の種別を判定する際に、非印刷部とのコントラストの点から、黒インクが最も有利だからである。したがって、バーコードや文字などの画像が黒インクで印刷されている場合、磁気パターンも上記黒インクと同様の色味を備えていれば、よりセキュリティ性を向上させることが可能となる。また、小切手などでは、磁性インク文字認識(MICR)のための磁性インクによる印刷部の色が、黒インクによる他の印刷部と明らかに異なった茶色を呈していると、違和感を持たれる場合があり、前者の印刷部の色を後者の印刷部の色に近付けたいという要求がある。しかしながら、油性の磁性インクでインクジェット印刷した印刷部は、茶色味を帯びる傾向があるため、通常の黒インクで印刷した印刷部と識別しやすいという課題があった。
特許文献3では、磁性顔料に、黒色系着色剤を加えて、黒色をより鮮明にするという手法が提案されている(特許文献3請求項2参照)。一方、磁性インクによる印刷物の磁性信号強度は、基材に塗布された磁性顔料の量に大きく依存するため、磁性インク中の磁性顔料の濃度は高いほど望ましい。しかしながら、磁性顔料の濃度を高くし過ぎると、粘度が高くなりすぎてインクジェットノズルから吐出できなくなったり、インクの安定性が悪くなったりする。そこで、インクジェットインク中の磁性顔料の濃度は、吐出性と安定性を維持できる最大量まで(通常、インク全量の15〜40質量%)とすることが多い。従って、磁性インクに、磁性信号強度を維持しつつ、前記特許文献3のように、さらに黒色系着色剤を加えると、粘度が上昇して吐出性と安定性が損なわれるおそれがある。また、黒色系着色剤が染料の場合には、染料のにじみや浸透の影響で印刷画像の品質が劣り、その傾向は、基材に対するインク主溶剤の浸透性が大きい油性インクにおいては殊に顕著になり、印刷画像は許容できないほどに劣化することがある。
特開2012−233053号公報 特開2002−127648号公報 特開平2−130902号公報
本発明の目的は、磁性インクを用いた磁気印刷方法において、磁性インクによる印刷画像を、磁気特性を落とさずに所望の色味で形成できる方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的の下に鋭意研究した結果、磁性顔料を含有する油性インクを基材上に印刷することにより画像を形成した後、着色剤を含有するインクを該画像に重ねて印刷して同様の画像を形成することで、所望の色味の画像が良好な磁気特性を維持した状態で得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、第一のインクを用いて基材上に画像を印刷した後、第二のインクを用いて前記画像に重ねて前記基材上に前記画像と同じ画像を印刷することを含み、前記第一のインクは、磁性顔料を含有する油性の磁性インクであり、前記第二のインクは、着色剤を含有する色インクである、磁気印刷方法が提供される。
本発明によれば、磁性顔料を含有する油性インクを用いて印刷することにより基材上に画像を形成した後、該画像に重ねて、所望の色彩の着色剤を含有するインクを用いて印刷することとしたので、これらの合計2回の印刷工程で形成された画像は、前記着色剤による所望の色味を帯びるとともに、前記磁性顔料による磁気特性を良好に発揮する。その詳細なメカニズムは不明であるが、最初に印刷されるインクの顔料は紙の表面近くに定着する傾向があり、後から印刷されるインクの顔料は紙の内部に入り込む傾向があるためと考えられる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
1.第一のインク
本発明で使用する第一のインクは、磁性顔料を含有する油性の磁性インクであり、非水性溶媒中に磁性顔料が分散されたものであれば特に限定されない。なお、第一のインクは、上記成分以外に、顔料分散剤等の他の成分を含有してもよい。
磁性顔料としては、コバルト、ニッケル、マンガン、亜鉛、ストロンチウム、バリウム等の金属酸化物を含んだ複合フェライトの粉体を用いることができる。これらの材料は、バルクでは黒に近い色をしているが、μmまたはnmサイズにまで小さくした場合、茶褐色を示す。これらのうち、磁性特性(残留磁化や保持力)やインク適性の点から、特開2012−233053号公報などに開示されるような、コバルトマンガンフェライト、コバルトフェライトが好適である。磁性顔料の平均粒径は、インクジェットインクに関しては数十nmが好適であり、具体的には5nm〜50nmが好ましい。この平均粒径は、走査型電子顕微鏡で観察して求めた算術平均径として求めることができる。磁性顔料の含有量は、インク全量を100質量%として、15〜40質量%であることが好ましい。
非水性溶媒としては、インクの溶媒すなわちビヒクルとして機能するものであれば特に限定されず、例えば、沸点が好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃以上、特に好ましくは250℃以上の非水性溶媒が挙げられる。非水性溶媒としては、非極性有機溶剤及び極性有機溶剤の何れも使用できる。これらは、単独で使用してもよく、組み合わせて使用することもできる。なお、本発明において、非水性溶媒としては、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合しない非水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
非極性有機溶剤としては、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素溶剤、芳香族炭化水素溶剤等の石油系炭化水素溶剤を好ましく挙げることができる。脂肪族炭化水素溶剤及び脂環式炭化水素溶剤としては、パラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系等の非水性溶媒を挙げることができ、市販品としては、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、カクタスノルマルパラフィンN−10、カクタスノルマルパラフィンN−11、カクタスノルマルパラフィンN−12、カクタスノルマルパラフィンN−13、カクタスノルマルパラフィンN−14、カクタスノルマルパラフィンN−15H、カクタスノルマルパラフィンYHNP、カクタスノルマルパラフィンSHNP、アイソゾール300、アイソゾール400、テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、AFソルベント4号、AFソルベント5号、AFソルベント6号、AFソルベント7号、ナフテゾール160、ナフテゾール200、ナフテゾール220(いずれも商品名;JX日鉱日石エネルギー株式会社製);アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、エクソールD40、エクソールD60、エクソールD80、エクソールD95、エクソールD110、エクソールD130(いずれも商品名;東燃ゼネラル石油株式会社製)等を好ましく挙げることができる。芳香族炭化水素溶剤としては、グレードアルケンL、グレードアルケン200P(いずれも商品名;JX日鉱日石エネルギー株式会社製)、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200、ソルベッソ200ND(いずれも商品名;東燃ゼネラル石油株式会社製)等を好ましく挙げることができる。石油系炭化水素溶剤の蒸留初留点は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることがいっそう好ましく、250℃以上であることが特に好ましい。蒸留初留点はJIS K0066「化学製品の蒸留試験方法」に従って測定することができる。
極性有機溶剤としては、脂肪酸エステル系溶剤、高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤等を好ましく挙げることができる。例えば、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ヘキシル、パルミチン酸イソオクチル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、オレイン酸ヘキシル、リノール酸メチル、リノール酸エチル、リノール酸イソブチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソオクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ピバリン酸2−オクチルデシル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル等の1分子中の炭素数が13以上、好ましくは16〜30の脂肪酸エステル系溶剤;イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、イソエイコシルアルコール、デシルテトラデカノール等の1分子中の炭素数が6以上、好ましくは12〜20の高級アルコール系溶剤;ラウリン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、α−リノレン酸、リノール酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の1分子中の炭素数が12以上、好ましくは14〜20の高級脂肪酸系溶剤等が挙げられる。脂肪酸エステル系溶剤、高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤等の極性有機溶剤の沸点は、150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることがさらに好ましい。なお、沸点が250℃以上の非水性溶媒には、沸点を示さない非水性溶媒も含まれる。
これらの非水性溶媒は、単独で使用してもよく、単一の相を形成する限り2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、使用する非水性溶媒と単一相を形成できる範囲で他の有機溶剤を含ませてもよい。
2.第二のインク
本発明で使用する第二のインクは、着色剤を含有する色インクであれば特に限定されず、水性溶媒中又は非水性溶媒中に着色剤を含有するものであれば特に限定されず、各種市販の印刷用色インクを用いることができる。なお、第二のインクは、上記成分以外に、顔料分散剤等の他の成分を含有してもよい。
上記着色剤としては、通常の印刷方法に使用されている染料及び顔料の何れも使用できるが、にじみ等の画像品質の点から、顔料が好ましい。なお、第二のインクの着色剤には、上記磁性顔料は包含されない。着色剤の含有量は、インク全量を100質量%として、5〜40質量%であることが好ましい。
上記着色剤の色は、第一のインクの印刷画像の色彩を調整できるものであれば良く、黒に限定されることはなく、イエロー、マゼンタ、シアン等であってもよく、また、これらの色の着色剤を複数組み合わせて使用してもよい。着色力の点から、上記着色剤としては、第一のインクで使用する磁性顔料の色味よりも暗色の着色剤を使用することが好ましい。例えば、第一のインクで使用する磁性顔料が茶色又は褐色である場合、第二のインクで使用する着色剤は黒褐色又は黒色であることが好ましい。黒褐色又は黒色の顔料は、カーボンブラックが好ましい。
上記非水性溶媒としては、上記第一のインクについて記載した非水性溶媒を使用することができる。上記水性溶媒としては、水及び低級アルコールなどの水と混和性の溶媒からなる群より選択された1種以上を使用することができる。したがって、第二のインクとしては、溶媒として水性溶媒を使用した水性インク、及び、溶媒として非水性溶媒を使用した油性インクの何れも使用できる。しかしながら、印刷画像の磁力信号強度の点から、油性インクを使用することが好ましく、特に、沸点が好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃以上、特に好ましくは250℃以上の非水性溶媒を使用した油性インクが好ましい。
3.印刷方法
本発明の印刷方法では、第一のインクを用いて基材上に画像を印刷した後、第二のインクを用いて前記画像に重ねて前記基材上に前記画像と同じ画像を印刷することが要求され、この印刷順序は非常に重要である。すなわち、初めに磁性インクである第一のインクを印刷した後に、色彩を調整するための色インクである第二のインクを印刷することが本発明の効果を達成するために重要である。詳細なメカニズムは不明であるが、最初に印刷したインクの顔料が紙の表面近くに定着する傾向があり、後から印刷されるインクの顔料は紙の内部に入り込む傾向があるためと考えられる。特に、インクジェット印刷に用いるインクのような低粘度インク(23℃において2〜20mPa・s程度)の場合、この傾向が顕著である。また、磁性信号検出器の読み取りヘッドは紙表面をこすりながら検出するため、紙の中での磁性顔料の定着位置が、紙表面に近い方が、読み取りヘッドと磁性顔料の距離が短くなり、磁性信号が強くなる傾向があることも一因と考えられる。
第一のインクを印刷してから、第二のインクを印刷するまでの間隔時間に特に制限はないが、5秒以内など短い方が本発明の効果がより達成されやすい。このメカニズムの詳細は不明であるが、上記間隔時間が長いと、最初に印刷した第一のインクの磁性顔料が紙の表面から時間経過とともに紙の内部に移動して定着するからであると推定される。通常、一台の印刷機で、第一のインクと第二のインクを連続的に印刷する場合、上記間隔時間は問題視する必要はないほど短くできるが、例えば、第一のインクのみを異なる印刷機で印刷し、一以上の第二のインクを他の印刷機で印刷する場合などには、上記間隔時間を本発明の効果を達成するに十分短い時間に設定するように注意する必要がある。本発明の効果を十分達成するには、上記間隔時間を、通常、数分以内に設定することが望ましく、具体的には1ミリ秒〜10分とすることが好ましく、10ミリ秒〜1分とすることがより好ましい。磁性インクである第一のインクの溶媒が蒸発乾燥速度の速い揮発性溶剤である場合、第一のインクが乾燥する前に第二のインクを基材に浸透させる必要がある。一方、磁性インクである第一のインクの溶媒が蒸発乾燥速度の遅い難揮発性溶剤である場合、蒸発乾燥よりも浸透乾燥が支配的であるため、上記間隔時間が長いと磁性顔料が基材の内部に浸透してしまう。上記間隔時間を上記の範囲に設定することで、第一のインクの磁性顔料が基材の内部に浸透する前に、第二のインクの溶媒を浸透させてして基材内部を濡らして占有するため、磁性インクの浸透を防ぐことができると考えられる。
本発明により印刷される基材の種類に特に制限はなく、上記第一及び第二のインクで用いられる溶媒を浸透させることができる基材であればよい。かかる浸透性の基材の具体例としては、コート紙及び非コート紙等の印刷用紙が挙げられる。コート紙としては、いわゆる塗工印刷用紙やインクジェット用コート紙を好ましく用いることができる。塗工印刷用紙とは、従来、凸版印刷、オフセット印刷及びグラビア印刷等で使用されている印刷用紙であって、クレーや炭酸カルシウム等の無機顔料と澱粉等のバインダーを含む塗料を用いて、上質紙や中質紙の表面に塗工層を設けた印刷用紙である。塗工印刷用紙は、塗料の塗工量や塗工方法により、微塗工紙、上質軽量コート紙、中質軽量コート紙、上質コート紙、中質コート紙、アート紙及びキャストコート紙等に分類される。インクジェット用コート紙としては、マット紙及びフォト光沢紙等を挙げることができる。
非コート紙としては、普通紙やMICR用紙を好ましく用いることができる。普通紙は、その面上にインク受容層やフィルム層等が形成されていない印刷用紙である。普通紙の一例としては、上質紙、中質紙、PPC用紙、更紙及び再生紙等を挙げることができる。MICR用紙は、その原料は特に上質紙と異なるものではないが、鉄分などの磁性物質を含まない印刷用紙である。主に小切手や手形などに使用されて いる。用紙中に鉄分などの異物が含まれると、磁気読み取り装置の誤動作の原因となるため、原料パルプ、用水、機械などに鉄分などの磁性物質が混入 しないよう厳重な管理下で製造されている。
特に、本願発明の磁気印刷方法では、高価なMICR用紙を用いなくとも、汎用紙である普通紙においても十分な磁気特性を得ることができる。また、油性インクの浸透性が高い(すなわち、裏抜けしやすい)基材ほど、第一のインクを浸透させ易く、そこに含まれる磁性顔料の色味が薄くなり、茶色く見える傾向が高いため、本発明を利用する必要性が高く、また、本発明による印刷画像の色味及び磁気特性の改善効果も大きい。
本発明で使用される印刷方法に特に制限はなく、インクジェット、孔版、グラビア、オフセットなどの各種印刷方法の他、ヘラ塗り、バーによる塗工等が含まれ、用途に応じていずれの方法も適用することができる。しかしながら、前述の通り、インクジェットの場合、第一のインクに含まれる磁性顔料の粒径が小さいことが要求され、顔料粒径が小さいほど、色味が薄くなり、茶色く見える傾向が高いため、本発明を利用する必要性が高く、また、本発明による印刷画像の色味及び磁気特性の改善効果も大きい。
本発明によって印刷された画像の磁力の検出方法としては、一般的には、磁気ヘッドを用いて磁化した後に残留磁化を検出する方法が用いられる。
以下、本発明を実施例及び比較例により詳細に説明するが、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
<実施例1および比較例1、2>
インクジェットインク用に市販されているDiversified Nano Solutions Corporation製「HD-2a(商品名)」水性分散体を高温乾燥させて磁性顔料粉体を取り出した。この顔料の平均粒径はSEM(scanning electron microscope)観察の結果より約28nmであり、組成はEDX(Energy dispersive X-ray spectrometry)分析よりコバルトマンガンフェライト(Mn0.40Co0.60Fe2O4)であった。
次に、上記磁性顔料粉体19部、JX日鉱日石エネルギー社製「AFソルベント6号(商品名)」80部、日本ルーブリゾール社製分散剤「ソルスパース12000(商品名)」1部を、ジルコニアビーズ0.5mmφとともに、50mL容器に入れて、セイワ技研社製のビーズミル「ロッキングミルRM05型(商品名)」により65Hzで1時間分散し、ビーズを除去し、油性の磁性インクAを得た。
次に、このインクを理想科学工業株式会社製のインクジェットプリンター「オルフィスEX7200(商品名)」にて、理想科学工業株式会社製の普通紙「理想用紙薄口(商品名)」に印刷した。印刷した画像は、バーコード状の長方形が並んだ画像である。
得られた磁性インクAのみの印刷画像は、茶色で、黒色インクと明確に区別がつくものであり、同じ紙面に黒色インクで印刷された他の画像や文字と比較して違和感を持つものであった(比較例1)。
次に、磁性インクAで印刷してから30秒経過後に、上記磁性インクAのみの印刷画像に重ねて、まったく同じ画像を、理想科学工業株式会社製のインクジェットプリンター「オルフィスEX7200(商品名)」にて油性黒色インク(理想科学工業株式会社製「RISO EXインクFブラック<K>(商品名)」)を用いて印刷した。
このようにして重ねて印刷することにより得られた画像は、黒色インクのみで作られた画像に非常に近い色であった(実施例1)。
実施例1及び比較例1で印刷されたバーコード状の各画像の磁力信号を下記の方法で測定した結果、両者の信号強度は、ほぼ同じ値(比較例1に対する変化率96%)であった。結果を表1に示す。
実施例1の印刷順を逆にして、油性黒色インクを印刷した後、磁性インクAを印刷した結果、画像の色味は黒く最も良好であったが、磁力信号強度は低下した(比較例2)。結果を表1に示す。
<実施例2および比較例3,4>
印刷用紙を、理想科学工業株式会社製のマット紙「理想用紙IJマット(商品名)」に変えた他は、実施例1および比較例1、2と同様の条件で印刷したところ、実施例2で色味が良く且つ磁力信号強度も高い印刷画像(比較例3に対する変化率95%)が得られた。結果を表1に示す。
<実施例3および比較例5,6>
磁性顔料として特開2012−233053号公報の段落0080〜0084(ii)に開示された方法で得られたMnxCoyFe2O4磁性粉体(x/y=0.7、つまりMn0.41Co0.59Fe2O4、平均粒径23nm)を使った他は、実施例1および比較例1、2と同様の条件で印刷したところ、実施例3で色味が良く且つ磁力信号強度も高い印刷画像(比較例5に対する変化率95%)が得られた。結果を表1に示す。
<実施例4および比較例7,8>
磁性顔料として特開2012−233053号公報の段落0080〜0084(vi)に開示された方法で得られたMnxCoyFe2O4磁性粉体(x/y=0.8、つまりMn0.44Co0.56Fe2O4、平均粒径27nm)を使った他は、実施例1および比較例1、2と同様の条件で印刷したところ、実施例4で色味が良く且つ磁力信号強度も高い印刷画像(比較例7に対する変化率95%)が得られた。結果を表1に示す。
<比較例9,10,11>
磁性インクとして、水性の磁性インクを用い、エプソン社製インクジェットプリンタ「PX-045A(商品名)」を用いて印刷したこと以外は、実施例1および比較例1、2と同様の条件で印刷した。詳細には、上記水性の磁性インクは、Diversified Nano Solutions Corporation製「HD-2a(商品名)」水性分散体80質量部に水20質量部を加えて調製した。
油性黒色インクは、実施例1および比較例1、2と同様、上記「オルフィスEX7200(商品名)」で印刷した。水性磁性インクを印刷した後、油性黒色インクを印刷した比較例9では、水性磁性インクのみを印刷した比較例10よりも色味は向上したが、磁気信号強度が大幅に低下し(比較例10に対する変化率76%)、比較例9と印刷順を逆にして、油性黒インクを印刷した後、水性磁性インクを印刷した比較例11では更に大幅に磁気信号強度が低下した。結果を表1に示す。
<実施例5および比較例1,11>
油性黒色インクの代わりに、水性黒色インク(セイコーエプソン株式会社製「ICBK69(商品名)」)を用い、セイコーエプソン株式会社製インクジェットプリンター「カラリオPX-045A(商品名)」を用いて印刷した以外は、実施例1および比較例1、2と同様の条件で印刷したところ、実施例5で色味が良く且つ磁力信号強度も高い印刷画像(比較例1に対する変化率90%)が得られた。結果を表1に示す。
<比較例13,10,14>
磁性インクに比較例9と同じ水性インク、黒色インクに実施例5と同じ水性黒色インクを用い、何れのインクもセイコーエプソン株式会社製インクジェットプリンター「カラリオPX-045A(商品名)」を用いて印刷した。水性磁性インクを印刷した後、水性黒色インクを印刷した比較例13では、水性磁性インクのみを印刷した比較例10よりも色味は向上したが、磁気信号強度が大幅に低下し(比較例10に対する変化率69%)、比較例13と印刷順を逆にして、水性黒色インクを印刷した後、水性磁性インクを印刷した比較例14では更に大幅に磁気信号強度が低下した。結果を表1に示す。
Figure 0006545531
表1の磁力信号強度及び印刷物の色味は下記の方法で測定し評価した。
・磁力信号強度:グローリー株式会社製リーダースキャナー「FFB−20(商品名)」を用いて、プログラム「FB20MTR(商品名)」にて、磁力信号を読み、比較例1の磁性インクの強度を100として相対比較した。
・印刷物外観(色味):印刷されたバーコード状の画像の色味を目視で観察し、下記基準に従い評価した。
A:黒
B:黒褐
C:褐
表1の結果から、磁性顔料を含有する油性インクを印刷用紙上に印刷することにより画像を形成した後、黒色インクを該画像に重ねて印刷して同様の画像を形成することで、磁性顔料で形成された印刷画像の色味が黒色インクで形成された印刷画像の色味に近似し、かつ、良好な磁気特性を維持することが判る。また、この技術的効果は、黒色インクとして油性黒色インクを使用する場合により顕著になることが判る。
本発明の磁気印刷方法は、セキュリティ印刷等の磁性顔料を用いた印刷の分野で広く利用することができる。

Claims (4)

  1. 第一のインクを用いて基材上に画像を印刷した後、第二のインクを用いて前記画像に重ねて前記基材上に前記画像と同じ画像を印刷することを含み、前記第一のインクは、非水性溶媒中に磁性顔料が分散された油性の磁性インクであり、前記第二のインクは、水性溶媒中又は非水性溶媒中に着色剤を含有する色インクである、磁気印刷方法。
  2. 前記色インクが油性インクである、請求項1に記載の磁気印刷方法。
  3. 前記基材が普通紙である、請求項1または2に記載の磁気印刷方法。
  4. 前記第一のインク及び第二のインクを用いた印刷は何れもインクジェット印刷により行われる、請求項1乃至3の何れか1項に記載の磁気印刷方法。
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