JP6545517B2 - ブレーキ液圧ユニットの支持構造、及び、そのブレーキ液圧ユニットの支持構造を備えたブレーキ液圧制御装置 - Google Patents
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Description
ブレーキ液圧ユニットは、ブレーキ液回路内の作動液の圧力を増減させ、車輪に発生する制動力を調整することが可能である。
このようなブレーキ液圧ユニットは、車両側に設けたブラケットに対して防振ゴム等を介した支持構造により取り付けられている(特許文献1等を参照)。
従来のブレーキ液圧ユニットの支持構造では、単一硬度の防振ゴムがブレーキ液圧ユニットとブラケットとの間に介在し、ブレーキ液圧ユニットを支持している。
そして、共振現象が発生してしまうことを抑制するために、単一硬度の防振ゴムを設計変更したり、ブレーキ液圧ユニットの構造やその支持構造を設計変更したりして、対応する必要があった。
また、各図において、詳細部分の図示が適宜簡略化または省略されている。また、重複する説明については、適宜簡略化または省略されている。
以下に、本実施の形態に係るブレーキ液圧ユニットの支持構造、及び、そのブレーキ液圧ユニットの支持構造を説明する。
<ブレーキ液圧制御システム100の全体構成>
はじめに、ブレーキ液圧制御システム100の全体構成について説明する。
図1は、実施の形態1に係るブレーキ液圧ユニット1を含むブレーキ液圧制御システム100の概要構成図である。
図2は、実施の形態1に係るブレーキ液圧ユニット1を示す分解斜視図である。
図1、図2に示すように、ブレーキ液圧ユニット1は、たとえば、自動二輪車などの車両に組み込まれるものである。ブレーキ液圧ユニット1は、ブレーキ液が流れる内部流路4と、内部流路4内のブレーキ液を第1マスターシリンダ25および第2マスターシリンダ35側に搬送するのに用いられるポンプ装置2と、前輪液圧回路C1および後輪液圧回路C2に設けられた開閉自在の調整弁3と、を備えている。なお、調整弁3は、第1増圧弁3Aおよび第1減圧弁3Bと、第2増圧弁3Cおよび第2減圧弁3Dと、を含む。
ブレーキ液圧ユニット1は、金属製の基体10に内部流路4とポンプ装置2と調整弁3と各種ポートPと第1フロートリストリクタ5Aおよび第2フロートリストリクタ5Bと第1アキュムレータ部6Aおよび第2アキュムレータ部6Bとを一体化させている。
内部流路4は、基体10に形成され、前輪液圧回路C1の一部を構成する第1内部流路4A、第2内部流路4Bおよび第3内部流路4Cと、後輪液圧回路C2の一部を構成する第4内部流路4D、第5内部流路4Eおよび第6内部流路4Fと、を含む。
ポンプ装置2は、たとえばDCモータなどで構成することができる駆動機構2Aと、駆動機構2Aによって駆動力が与えられる2つのポンプエレメント2Bとを含む。駆動機構2Aは、固定子および回転子などを含み、回転数が電子制御ユニット7によって制御される。一方のポンプエレメント2Bは、前輪液圧回路C1内のブレーキ液の搬送に用いられる。また、一方のポンプエレメント2Bは、第3内部流路4C内のブレーキ液を第1内部流路4A側に搬送する。他方のポンプエレメント2Bは、後輪液圧回路C2内のブレーキ液の搬送に用いられる。また、他方のポンプエレメント2Bは、第6内部流路4F内のブレーキ液を第4内部流路4D側に搬送する。
調整弁3は、内部流路4に設けられた弁である。調整弁3は、電子制御ユニット7によって開閉が制御される。調整弁3は、第1増圧弁3A、第1減圧弁3B、第2増圧弁3Cおよび第2減圧弁3Dを含む。調整弁3は、たとえば、ソレノイドを備えた電磁弁を用いて構成することができ、電子制御ユニット7によって通電が制御されて開閉状態が切り替えられる。
ABS作動時において、第1減圧弁3Bを開く場合には、第1増圧弁3Aを閉じ、第1増圧弁3Aを開く場合には、第1減圧弁3Bを閉じる。
ABS作動時において、第2減圧弁3Dを開く場合には、第2増圧弁3Cを閉じ、第2増圧弁3Cを開く場合には、第2減圧弁3Dを閉じる。
各種ポートPは、ハンドルレバー24などの駆動機構に対応する第1ポートP1と、フットペダル34などの駆動機構に対応する第2ポートP2と、フロントブレーキパッド21などの駆動機構に対応する第3ポートP3と、リアブレーキパッド31などの駆動機構に対応する第4ポートP4とを含む。第1ポートP1は、ブレーキ液管27と第1内部流路4Aとに接続されている。第2ポートP2は、ブレーキ液管37と第4内部流路4Dとに接続されている。第3ポートP3は、第2内部流路4Bとブレーキ液管23とに接続されている。第4ポートP4は、第5内部流路4Eとブレーキ液管33とに接続されている。
第1フロートリストリクタ5Aは、第1内部流路4Aのうち一方のポンプエレメント2Bのブレーキ液の流出側の部分に設けられている。第2フロートリストリクタ5Bは、第4内部流路4Dのうち他方のポンプエレメント2Bのブレーキ液の流出側の部分に設けられている。第1フロートリストリクタ5Aの作用により、ブレーキ液が、一方のポンプエレメント2B側から第1マスターシリンダ25側に流出し、第1マスターシリンダ25のブレーキ液の圧力が急激に上昇することを抑制することができる。第2フロートリストリクタ5Bも、第1フロートリストリクタ5Aに対応する作用を有し、第2マスターシリンダ35のブレーキ液の圧力が急激に上昇することを抑制することができる。
第1アキュムレータ部6Aは、第3内部流路4Cに設けられている。第1アキュムレータ部6Aは、たとえば前輪液圧回路C1のブレーキ液の液圧の保持などに用いられる。第2アキュムレータ部6Bは、第6内部流路4Fに設けられている。第2アキュムレータ部6Bは、後輪液圧回路C2のブレーキ液の液圧の保持などに用いられる。
電子制御ユニット7は、検出部8からの信号を受けて、ポンプ装置2の駆動機構2Aの回転数および調整弁3の開閉などを制御するものである。電子制御ユニット7は、ABS作動時において、調整弁3の開閉を制御して、フロントホイールシリンダ22及びリアホイールシリンダ32内のブレーキ液圧を調整し、前輪20および後輪30がロックしてしまうことを回避している。
次に、ブレーキ液圧ユニット1の支持構造40について説明する。
図3は、実施の形態1に係るブレーキ液圧ユニット1の支持構造40を示す斜視図である。
図4は、実施の形態1に係るブレーキ液圧ユニット1の支持構造40を示す分解斜視図である。
ブレーキ液圧ユニット1は、図3に示すように、ブレーキ液圧ユニット1の支持構造40によって車両側ブラケット60、61に取付けられる。ブレーキ液圧ユニット1を支持構造40に組み付けた構成を本発明のブレーキ液圧制御装置80とする。
支持構造40は、板状部材で構成されたブラケット41と、弾性を有するマウントラバー50等により構成された第1支持部42及び第2支持部43と、により構成されている。
ブラケット41は、ブレーキ液圧ユニット1の基体10を支持する。
ブラケット41は、例えば鋼板等の平板部材を折り曲げて形成され、第1板状部41aと、第1板状部41aに略垂直に形成された第2板状部41bとにより大きく構成されている。
第1板状部41aは、第1支持部42を介して下面部10bを支持し、第2板状部41bは、第2支持部43を介して側面部10cを支持する。
また、第1板状部41aの一端には、第1板状部41aに対して略垂直に曲折された取付片41cが形成されている。取付片41cには、ブラケット41を車両側ブラケット60、61にボルト等で接続するための第1固定孔41fが、取付片41cの厚さ方向に貫通して形成されている。
さらに、第2板状部41bには、ブラケット41を車両側ブラケット60、61にボルト等で接続するための第2固定孔41gが第2板状部41bの厚さ方向に貫通して形成されている。
図5は、実施の形態1に係る第1支持部42及び第2支持部43の組み付け完了時の軸心Cを通る断面図である。
図6は、実施の形態1に係る第1支持部42及び第2支持部43の図5におけるA−A断面図である。
図7は、実施の形態1に係る第1支持部42及び第2支持部43の分解断面図である。
図4〜7を用いて第1支持部42の構成を説明する。
なお、第2支持部43の構成は、第1支持部42の構成と同一のため説明を省略する。
第1支持部42及び第2支持部43は、本発明の第1振動吸収体に相当する。
なお、以下に記載の第1支持部42及び第2支持部43において、説明の便宜上、図5、7に示すスペーサ46側(紙面上側)を第1支持部42及び第2支持部43の上面側とし、ワッシャ48側(紙面下側)を第1支持部42及び第2支持部43の下面側として説明する。
マウントラバー50は、軸心Cを中心軸とする略円筒形状で形成されている。マウントラバー50の軸心C方向の中央近傍には、凹形状の環状溝部50aが形成されている。環状溝部50aの外径は、ブラケット41に開口した第1開口41dの内径と略同じ大きさとなるよう形成されており、ブラケット41の第1開口41dの周縁は環状溝部50a内に収納される。
第1振動吸収部材51と第2振動吸収部材52とは、環状溝部50aを境界として上下方向に分割された構成となっている。
なお、第1振動吸収部材51は、本発明の振動吸収部材Bに相当する。また、第2振動吸収部材52は、本発明の振動吸収部材Aに相当する。
第1振動吸収部材51は、軸心Cを中心軸とする略円筒形状に形成された本体部51aを有している。本体部51aの軸心Cの周囲には、後述するスペーサ46が挿通する円柱状の貫通孔51dが開口している。
第1振動吸収部材51は、本体部51aの外径が環状溝部50aの外径(ブラケット41の第1開口41dの内径)よりも大きく構成されている。また、貫通孔51dの内径が環状溝部50aの外径(ブラケット41の第1開口41dの内径)よりも小さくなるように構成されている。
第2振動吸収部材52は、軸心Cを中心軸とする略円筒形状に形成されている。第2振動吸収部材52の軸心Cの周囲には、後述するボルト49が挿通する円柱状の貫通孔52dが開口している。
また、第2振動吸収部材52は、その外径が環状溝部50aの外径(ブラケット41の第1開口41dの内径)よりも大きくなるように構成されている。また、貫通孔52dの内径が環状溝部50aの外径(ブラケット41の第1開口41dの内径)よりも小さくなるように構成されている。
よって、 第2振動吸収部材52は、第1振動吸収部材51に組み付けられると、第1振動吸収部材51との間に第1板状部41aの第1開口41dの周縁を挟むように構成されている。
このとき、第1振動吸収部材51と、第2振動吸収部材52とは、組み付けたままでもよいし、接着剤等により接着されて一体化されてもよい。
スペーサ46は、図4〜7に示すように、円筒形状のスリーブ部46aと円板形状の座面部46bとで構成されている。
座面部46bは、スリーブ部46aの一端側に配置され、スリーブ部46aよりも大径に形成されている。また、スリーブ部46aと座面部46bとは、同軸上に形成されている。
これにより、スリーブ部46aが、第1振動吸収部材51内に組み付けられると、第1振動吸収部材51がブラケット41の第1板状部41aに沿って外方に押し広げるため、第1振動吸収部材51の第1爪部51bがブラケット41から抜け難くなる。
ワッシャ48は、円板形状であり、第2振動吸収部材52の第2嵌合部52aよりも大径で構成されている。また、ワッシャ48は、第1支持部42に組み付けられた状態で、第2振動吸収部材52の下面と面接触して配置される。
ボルト49は、第1支持部42に組み付けられた状態で、先端がワッシャ48及びスペーサ46を貫通する構成となる。
ボルト49は、ブレーキ液圧ユニット1に支持構造40が取付けられる際に、ワッシャ48、スペーサ46の順に貫通し、ブレーキ液圧ユニット1の基体10の下面部10bに形成されたねじ穴10dにねじ込まれて固定されるようになっている。このとき、ブレーキ液圧ユニット1は、基体10がスペーサ46に固定され、弾力性を有するマウントラバー50を介してブラケット41に支持される。
ここで、第1支持部42をブラケット41に取り付けるとともに、ブレーキ液圧ユニット1の支持構造40を車両に取り付けるときの手順について説明する。
はじめに、ブラケット41の第1開口41dに第1振動吸収部材51を組み付ける。第1爪部51bは、ブラケット41の第1開口41dに第1振動吸収部材51が一方側から組み付けられるときに弾性変形し、第1開口41dを通って第1板状部41aの他方側に突出する。そして、第1爪部51bは、第1振動吸収部材51の軸心Cから離間する方向に変形が解除され、第1板状部41aを挟む形状となる。
このとき、第1振動吸収部材51の第1爪部51bは、第1開口41dの周縁に引っ掛かるため、第1開口41dに組み付けられた第1振動吸収部材51は、容易に脱落しないようになっている。
そして、マウントラバー50の貫通孔51d、52dに対してマウントラバー50上面側からスペーサ46のスリーブ部46aを挿入し、下面側からワッシャ48が組み付けられたボルト49をスリーブ部46a内に挿入する。
最後に、支持構造40のブラケット41を車両側ブラケット60、61に対してボルト止めを行い、ブレーキ液圧ユニット1を車両に取り付ける。
実施の形態1に係る第1支持部42及び第2支持部43の有するマウントラバー50は、硬度の異なる2つの部材である第1振動吸収部材51と第2振動吸収部材52とを組み合わせることで構成されている。
硬度の異なる第1振動吸収部材51と第2振動吸収部材52とを組み合わせることにより、支持構造40の持つ動バネ定数Kcを調整し、ブレーキ液圧ユニット1の振動系が持つ固有振動数を避けるように支持構造40を設計することで共振現象の発生を抑制することが可能となる。
はじめに、図3に示す実施の形態1に係るブレーキ液圧ユニット1の支持構造40における振動試験の結果から最大変位量σ(mm)をX軸方向(σx)、Y軸方向(σy)、Z軸方向(σz)でそれぞれ計測する。
振動試験では、マウントラバー50全体(第1振動吸収部材51及び第2振動吸収部材52)の硬度をHS40(単一硬度)とした時の最大変位量σ40(mm)が、X方向σx=1.06(mm)、Y軸方向σy=0.19(mm)、Z軸方向σz=0.01(mm)となった。
Kc(N/mm)=m(N)÷σ(mm)
m=0.64(kg)×9.8(m/s2)÷2(支持点数)=3.316(N)
Kc40(N/mm)=3.136(N)÷1.06(mm)=2.924(N/mm)
Kc60(N/mm)=3.136(N)÷0.76(mm)=4.078(N/mm)
固有振動数f(Hz)=(Kc×1000/m)0.5
f40=((2.924×1000)÷3.136)0.5=30(Hz)
f60=((4.078×1000)÷3.136)0.5=36(Hz)
1/Kc40+60=1/Kc40+1/Kc60
Kc40+60=(Kc40×Kc60)÷(Kc40+Kc60)=(2.924×4.078)÷(2.924+4.078)=1.703(N/mm)
f40+60=((1.703×1000)÷3.136)0.5=23(Hz)
実施の形態1に係るブレーキ液圧ユニット1の支持構造40では、当該振動系が有する固有振動数を避けるように硬度の異なる振動吸収部材を自在に組み合わせ、支持構造40の動バネ定数Kcを簡易に調整してブレーキ液圧ユニット1の共振現象の発生を抑制することができる。よって、ブレーキ液圧ユニット1の故障を回避することができるとともに、ブレーキ液圧の正確な調整や計測を実現することが可能となる。
このように第1支持部42と第2支持部43の配置数量はそれぞれ1つに限定されるわけではなくそれぞれ複数個を配置することも可能である。
<実施の形態1に係る変形例(1)>
図8は、実施の形態1に係る変形例(1)の第1支持部42及び第2支持部43の分解断面図である。
実施の形態1に係る変形例(1)のブレーキ液圧ユニット1の支持構造40は、マウントラバー50の一部の構成のみが実施の形態1に係る支持構造40とは異なっている。
以下、実施の形態1と略同様の構成は同一符号を付して重複する説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
また、第2振動吸収部材52には、第1振動吸収部材51の第1嵌合部51c内に嵌め合わされる第2嵌合部52aが軸心Cの上方向に突出した円柱形状として形成されている。
変形例(1)に係る第1支持部42及び第2支持部43は、第2振動吸収部材52の第2嵌合部52aが第1振動吸収部材51の第1嵌合部51cに挿入、嵌合されるように形成されている。これにより、第2振動吸収部材52を第1振動吸収部材51に組み付けたときに、第2振動吸収部材52が脱落し難くなっている。このため、第2振動吸収部材52を第1振動吸収部材51に組み付けたときに、第2振動吸収部材52を支持する必要がなく、ボルト49等をマウントラバー50に挿入する作業を容易に行うことができる。
図9は、実施の形態1に係る変形例(2)の第1支持部42及び第2支持部43の分解断面図である。
実施の形態1に係る変形例(2)のブレーキ液圧ユニット1の支持構造40は、マウントラバー50の一部の構成のみが実施の形態1に係る支持構造40とは異なっている。
以下、実施の形態1と略同様の構成は同一符号を付して重複する説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
円筒形状である第1嵌合部51cの内径は、第2振動吸収部材52に形成された第2嵌合部52aの外径と略同径に形成されている。すなわち、マウントラバー50がブラケット41に組み付けられたときに、第2振動吸収部材52の第2嵌合部52aとブラケット41との間に第1振動吸収部材51が介在するようになっている。このため、スペーサ46のスリーブ部46aは、第2振動吸収部材52の貫通孔52dみに接するようにマウントラバー50内に挿入されるようになっている。
変形例(2)に係る第1支持部42及び第2支持部43は、第2振動吸収部材52の第2嵌合部52aが第1振動吸収部材51の上面側に奥深くまで挿入されるように形成されている。これにより、第2振動吸収部材52を第1振動吸収部材51に組み付けたときに、第2振動吸収部材52が脱落し難くなっている。このため、第2振動吸収部材52を支持する必要がなく、ボルト49等をマウントラバー50に挿入する作業を容易に行うことができる。
図10は、実施の形態1に係る変形例(3)の第1支持部42及び第2支持部43の分解断面図である。
実施の形態1に係る変形例(3)のブレーキ液圧ユニット1の支持構造40は、マウントラバー50の一部の構成のみが実施の形態1に係る支持構造40とは異なっている。
以下、実施の形態1と略同様の構成は同一符号を付して重複する説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
変形例(3)に係る第1支持部42及び第2支持部43は、第2振動吸収部材52が第2爪部52bを有している。これにより、第2振動吸収部材52が第1振動吸収部材51に組み付けられるときに、第2振動吸収部材52の第2爪部52bが第1振動吸収部材51の第1嵌合部51cに引っ掛かるようになっている。このため、第2振動吸収部材52が第1振動吸収部材51から脱落し難くなるとともに、第2振動吸収部材52が第1振動吸収部材51に適切に組み付けられたことの判断がし易くなる。
図11は、実施の形態1に係る変形例(4)の第1支持部42及び第2支持部43の分解断面図である。
実施の形態1に係る変形例(4)のブレーキ液圧ユニット1の支持構造40は、マウントラバー50の一部の構成のみが実施の形態1に係る支持構造40とは異なっている。
以下、実施の形態1と略同様の構成は同一符号を付して重複する説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
変形例(4)に係る第1支持部42及び第2支持部43は、第1振動吸収部材51が軸心C方向において第2振動吸収部材52よりも肉厚に形成されており、第1振動吸収部材51の容積を大きくすることで重量が大きいブレーキ液圧ユニット1を支持することが可能になる。また、第1振動吸収部材51と第2振動吸収部材52との接触面がブラケット41の第1開口41dから離れているため、第1支持部42及び第2支持部43の変形を抑制することができる。
図12は、実施の形態1に係る変形例(5)の第1支持部42及び第2支持部43の分解断面図である。
実施の形態1に係る変形例(5)のブレーキ液圧ユニット1の支持構造40は、マウントラバー50の一部の構成のみが実施の形態1に係る支持構造40とは異なっている。
以下、実施の形態1と略同様の構成は同一符号を付して重複する説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
この補強部材53は、圧延鋼板をプレスして成形されており、第2振動吸収部材52の変形を抑えるためのものである。
補強部材53の両端部は、ブラケット41と接触しないようにブラケット41との間に隙間が形成されて配置される。また、補強部材53は、ワッシャ48との接触面が平面で形成されている。
変形例(5)に係る第1支持部42及び第2支持部43は、第2振動吸収部材52の外面に補強部材53を備えている。これにより、ボルト49を締め付けると、マウントラバー50を下面部52c側から全体的に締め付けることができるため、マウントラバー50の剛性が向上し、重量の大きいブレーキ液圧ユニット1を支持することができる。
図13は、実施の形態1に係る変形例(6)の第1支持部42及び第2支持部43の分解断面図である。
実施の形態1に係る変形例(6)のブレーキ液圧ユニット1の支持構造40は、マウントラバー50の一部の構成のみが実施の形態1に係る支持構造40とは異なっている。
以下、実施の形態1と略同様の構成は同一符号を付して重複する説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
変形例(6)に係る第1支持部42及び第2支持部43は、スペーサ46がテーパ状に拡がったテーパ部46cを有している。これにより、スペーサ46がマウントラバー50に挿入されたときに、テーパ部46cが第1振動吸収部材51の上面領域dを押し広げてマウントラバー50を圧縮することができる。このため、マウントラバー50と、ブラケット41とがより密着して接触し、振動及び衝撃に対するブレーキ液圧ユニット1の保持力を向上させることができる。
実施の形態2に係るブレーキ液圧ユニット1の支持構造40の構成は基本的に実施の形態1と同様であるため、実施の形態1と略同様の構成は同一符号を付して重複する説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
実施の形態1では、2つの振動吸収部材を重ねてマウントラバー50を構成したが、実施の形態2では、3つの振動吸収部材を重ねてマウントラバー250を構成する。
図14は、実施の形態2に係る第1支持部242及び第2支持部243の分解断面図である。
図14を用いて第1支持部242の構成を説明する。
なお、第2支持部243の構成は、第1支持部242の構成と同一のため説明を省略する。
第1支持部242は、図14に示すようにマウントラバー250、スペーサ46、ワッシャ48及びボルト49(固定部材)を備えている。マウントラバー250は、弾力性を有するゴムや樹脂、またはシリコン等で形成された円筒形状の振動吸収部材である。マウントラバー250は、第1支持部42が組み上がった状態で、ボルト49によりスペーサ46とワッシャ48との間に固定される。
第3振動吸収部材253は軸心Cを中心軸とした円筒形状であり、第1振動吸収部材251の円筒形状に形成された本体部51aに密着して配置される。第3振動吸収部材253の外径は第1振動吸収部材251の外径と同一に形成されている。また、第3振動吸収部材253の軸心Cの周囲には、スペーサ46が挿通する円柱状の貫通孔53dが開口している。
このように、硬度の異なる第1振動吸収部材251と、第2振動吸収部材252と、第3振動吸収部材253とを組み合わせることにより、実施の形態1よりもさらにバリエーション豊かに第1支持部242及び第2支持部243の持つ動バネ定数Kcを調整することが可能となる。よって、ブレーキ液圧ユニット1の振動系が持つ固有振動数を避けるように支持構造40を設計することで共振現象の発生を抑制することが可能となる。
すると、ブレーキ液圧ユニット1の故障を回避することができるとともに、ブレーキ液圧の正確な調整や計測を実現することができる。
実施の形態3に係るブレーキ液圧ユニット1の支持構造40の構成は、基本的に実施の形態1と同様であるため、実施の形態1と略同様の構成は同一符号を付して重複する説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
実施の形態1では、2つの振動吸収部材を重ねてマウントラバー50を構成したが、実施の形態3では、第1振動吸収部材351と第2振動吸収部材352との間の一部に、空気等の流体が流通する隙間が形成された構成となっている。
図15は、実施の形態3に係る第1支持部342及び第2支持部343の分解断面図である。
図16は、実施の形態3に係る第2振動吸収部材352の上面図である。
図15、16を用いて第1支持部342の構成を説明する。
なお、第2支持部343の構成は、第1支持部342の構成と同一のため説明を省略する。
冷却流路55aは、例えば図16に示すように第2振動吸収部材352における上面(第1振動吸収部材351との接触面)に放射線状で形成されている。また、各放射状の冷却流路55a同士は、貫通孔52dの周囲に形成された円形形状の冷却流路55bにより互いに連通している。冷却流路55a、55bは、例えば溝形形状であり、例えば外気が流通するようにマウントラバー350の外面に連通している。
冷却流路55aは、マウントラバー350の外面に連通しているため、車両の走行風等が流通する。
このように、第1振動吸収部材351と、前記第2振動吸収部材352と、の間の一部に空気や冷却水等の流体が流通する隙間(例えば、冷却流路55a、55b)が形成されることによって、振動が継続して入力したときに第1振動吸収部材351と、第2振動吸収部材352との接触面で発生した摩擦熱をマウントラバー350の外部に排熱することが可能になる。よって、第1振動吸収部材351と、第2振動吸収部材352との接触面を冷却し、摩擦熱で接触面が融解してマウントラバー350の形状が崩壊することを防止することができる。
Claims (12)
- ブレーキ液の液圧を制御するブレーキ液圧ユニットを、車両にブラケットを介して取り付けるブレーキ液圧ユニットの支持構造であって、
前記ブレーキ液圧ユニットと前記ブラケットとの間に、弾性を有する複数の振動吸収部材を重ねて配置した第1振動吸収体が介在し、
前記第1振動吸収体は、振動吸収部材Aと、該振動吸収部材Aと前記ブレーキ液圧ユニットとの間に介在し、該振動吸収部材Aと異なった硬度で構成される振動吸収部材Bと、を少なくとも含み、
前記振動吸収部材Aと、前記振動吸収部材Bとの間の一部には、流体の流通する隙間が形成される、
ブレーキ液圧ユニットの支持構造。 - 前記振動吸収部材Bの硬度は、前記振動吸収部材Aの硬度よりも小さい、
請求項1に記載のブレーキ液圧ユニットの支持構造。 - 前記振動吸収部材Bの硬度は、前記振動吸収部材Aの硬度よりも大きい、
請求項1に記載のブレーキ液圧ユニットの支持構造。 - 前記振動吸収部材Aと前記振動吸収部材Bとの間には、前記ブラケットが挟まれて配置される、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のブレーキ液圧ユニットの支持構造。 - 前記振動吸収部材Aと、前記振動吸収部材Bとは、該振動吸収部材Aと該振動吸収部材Bの一方に突設された嵌合凸部と、他方に形成され前記嵌合凸部が嵌合する受部とにより係合される、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のブレーキ液圧ユニットの支持構造。 - 前記隙間は、前記振動吸収部材Aと、前記振動吸収部材Bとの接触面に形成され、流体が流通する溝形流路である、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のブレーキ液圧ユニットの支持構造。 - 前記第1振動吸収体の外面には、該第1振動吸収体の変形を抑制する補強部材が配置される、
請求項1〜6のいずれか1項に記載のブレーキ液圧ユニットの支持構造。 - 前記複数の振動吸収部材の一つは、前記ブラケットに開口した開口部の周縁が嵌合する環状溝部を有する、
請求項1〜7のいずれか1項に記載のブレーキ液圧ユニットの支持構造。 - 前記複数の振動吸収部材の一つは、前記環状溝部が形成され前記開口部の周縁を挟持する爪部を有する、
請求項8に記載のブレーキ液圧ユニットの支持構造。 - 前記ブラケットは、第1面部と、該第1面部に対して角度を付けて形成された第2面部とを有し、
前記第1振動吸収体は、前記第1面部と前記第2面部とに配置される、
請求項1〜9のいずれか1項に記載のブレーキ液圧ユニットの支持構造。 - 前記ブラケットは、第1面部と、該第1面部に対して角度を付けて形成された第2面部とを有し、
前記第1面部と前記第2面部の一方には、前記第1振動吸収体が配置され、
前記第1面部と前記第2面部の他方には、単一硬度の振動吸収部材で形成された第2振動吸収体が配置される、
請求項1〜9のいずれか1項に記載のブレーキ液圧ユニットの支持構造。 - 請求項1〜11のいずれか1項に記載のブレーキ液圧ユニットの支持構造を備えた、
ブレーキ液圧制御装置。
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