JP6544961B2 - 画像処理装置、画像記録装置、画像処理方法、およびプログラム - Google Patents

画像処理装置、画像記録装置、画像処理方法、およびプログラム Download PDF

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本発明は、記録媒体に記録される画像をシミュレートするための画像処理装置、記録装置、画像処理方法、およびプログラムに関するものである。
特許文献1には、記録媒体にインクを付与することによって記録される画像をシミュレートする方法が記載されている。すなわち、ドットパターンを記録して、その記録結果の画像情報を記憶媒体に記憶しておき、その記憶された画像情報に基づいてシミュレーション画像を生成する。
特開2014−112802号公報
記録媒体に付与されるインクは、インクのにじみの違いにより、様々にゆがんだドットを形成することにより、このような現象はフェザリングと称されている。フェザリングは、記録媒体としての紙に使用されている繊維の材質、紙の漉き方による繊維の絡まり方、紙の製造工程で使用される処理剤の種類などによって様々に異なる。
特許文献1には、このようなフェザリングを考慮することに関する記載がない。
本発明の目的は、記録媒体の種類によって異なるフェザリングを考慮して、記録媒体に記録される画像を効率よくシミュレーションを実行することができる画像処理装置、画像記録装置、画像処理方法、およびプログラムを提供することにある。
本発明の画像処理装置は、インクのドットによって記録媒体に記録される画像をシミュレートするためのシミュレーション画像を生成する画像処理装置であって、前記記録媒体の所定領域内に、複数の吐出口を有する記録ヘッドによって形成された複数のドット測定値を取得する取得手段と、前記複数のドットの前記測定値のばらつきを算出する算出手段と、前記シミュレーション画像に前記ばらつきを反映させる反映手段と、を備え、前記取得手段は、前記記録ヘッドの前記複数の吐出口のうちの一部の複数の吐出口から吐出されたインクによって形成されたドット各々の測定値を取得し、前記算出手段は、前記取得手段によって取得された前記測定値の標準偏差が正規分布をとるとして、前記記録ヘッドの前記一部の複数の吐出口および他の吐出口を含む複数の吐出口から吐出されるインクによって形成されるドット各々の測定値のばらつきを算出することを特徴とする。
本発明は、所定領域内における複数のドットに関する測定値のばらつきを算出し、そのばらつきをシミュレーション画像に反映させることにより、フェザリングの影響を考慮したシミュレーションを効率よく実行することができる。また、シミュレーション画像においてドットを円として表現することにより、より効率よくシミュレーションを実行することができる。
本発明の第1の実施形態におけるインクジェット記録装置の概略構成図である。 図1における記録ヘッドの説明図である。 図1における制御部の説明図である。 本実施形態における量子化処理を説明するためのフローチャートである。 本実施形態における混合比率テーブルの説明図である。 本実施形態におけるディザテーブルの説明図である。 図6のディザテーブルによる量子化処理の説明図である。 本実施形態におけるドット混合比率の処理を説明するためのフローチャートである。 ドット混合比テーブルの説明図である。 本実施形態におけるシミュレーションを説明するためのフローチャートである。 本実施形態における着弾ばらつきデータの一例の説明図である。 シミュレーションにおけるドットの配置例の説明図である。 シミュレーション画像の一例の説明図である。 ドット混合比率が異なるシミュレーション画像の説明図である。 異なる記録媒体におけるフェザリングの説明図である。 パラメータおよび測定パターンの説明図である。 ノズル毎の実測データの説明図である。 ゆらぎのパラメータと、フェザリングと、の関係の説明図である。 シミュレーション結果の説明図である。 Xゆらぎと、スジ評価値と、の相関図である。 Yゆらぎと、スジ評価値と、の相関図である。 異なる記録媒体において最適化したドット混合比率の説明図である。 異なる記録媒体において最適化したドット混合比率の説明図である。 本発明の第3の実施形態におけるシミュレーションを説明するためのフローチャートである。 図24のシミュレーションを実行するシミュレーションシステムの説明図である。 本発明の第4の実施形態におけるノズル毎の実測データの説明図である。 重心モーメントと、スジ評価値と、の相関図である。 ディザテーブルの作成方法の説明図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態における記録装置は、液体としてのインクを吐出可能なインクジェット記録ヘッドを用いて、記録媒体にインクを付与することによって画像を記録するインクジェット記録装置としての適用例である。
<装置構成>
図1は、本実施形態のインクジェット記録装置(画像記録装置)1の構成例を説明するための要部の斜視図である。
本例の記録装置1は、いわゆるフルラインタイプの記録装置であり、記録媒体Pの幅に相当する長さのインクジェット記録ヘッド2を用いて画像を記録する。記録ヘッド2として、複数のインク色に対応する複数の記録ヘッドが配備されている。具体的には、イエローインクを吐出する記録ヘッド2Yと、マゼンタインクを吐出する記録ヘッド2Mと、シアンインクを吐出する記録ヘッド2Cと、ブラックインクを吐出する記録ヘッド2Bkと、が配備されている。これらの記録ヘッド2(2Y,2M,2C.2Bk)は、記録媒体Pの搬送方向(矢印X方向)と直交する方向(矢印Y方向)に延在する。記録ヘッド2(2Y,2M,2C.2Bk)には、それぞれに対応するインクを貯留するインクタンク3(3Y,3M,3C,3Bk)に対して、接続配管4によって接続される。インクタンク3は、それぞれ独立して着脱可能である。記録ヘッド2は、搬送ベルト5を挟んでプラテン6と対向する位置に配備され、ヘッド移動部10によって、プラテン6との対向方向に昇降される。ヘッド移動部10は、制御部9によって制御される。
記録ヘッド2には、インクを吐出する複数の吐出口と、インクタンク3からインクが供給される共通液室と、この共通液室内のインクを各吐出口へ導くインク流路と、が設けられている。本例においては、吐出口からインクを吐出するため吐出エネルギー発生素子として、ピエゾ素子が備えられている。ピエゾ素子は、ヘッドドライバ2aを介して制御部9に電気的に接続されており、制御部9から送られてくるオン/オフ信号(吐出/不吐出信号)に応じて変形するように制御される。吐出エネルギー発生素子としては、ピエゾ素子の他、電気熱変換素子(ヒータ)、静電素子、あるいはMEMS素子などを用いることができる。
図2(a)は、記録ヘッド2を吐出口の方向から見た下面図である。本例の記録ヘッド2は、台形の吐出口ユニット20が長手方向に4つ配置されており、それらのユニット20は、ピエゾ素子を備えたアクチュエータユニット(圧電アクチュエータユニット)を構成する。それらの台形のユニット20の斜辺同士は、記録ヘッド2の短手方向において部分的にオーバーラップしている。図2(b)は、1つのユニット20における吐出口列の説明図である。本例の場合、互いに接近している吐出口200の長手方向における間隔Pは600dpiに対応し、それぞれのユニットにおいて吐出口200の形成数は2558である。本例の記録ヘッド2は、吐出エネルギー発生素子としてピエゾ素子を用いることにより、1つの吐出口200から吐出するインクの量を異ならせて、大きさが異なる大,中,小のドットを形成することができる。
図1において、記録ヘッド2から、記録ヘッド2の配列間隔の半ピッチずらした位置には、記録ヘッド2の回復処理を行なうためのキャップ7が配置されている。キャップ移動部8は制御部9によって制御され、記録ヘッド2の直下にキャップ7を移動させることにより、吐出口から排出される廃インクをキャップ7に受けさせる。搬送ベルト5は、記録媒体Pを搬送するために、ベルト駆動モータ11に連結される駆動ローラに掛け渡されている。搬送ベルト5は、モータドライバ12を介して制御部9によって制御される。搬送ベルト5の上流側に設けられている帯電器13は、搬送ベルト5を帯電させることによって、搬送ベルト5に記録媒体Pを密着させる。帯電器13は、帯電器ドライバ13aを介して、制御部9によって通電のオン/オフが切り換えられる。搬送ベルト5上に記録媒体Pを供給するための一対の給送ローラ14は、給送用モータ15によって回転駆動され、その給送用モータ15は、モータドライバ16を介して制御部9によって制御される。
本発明の記録装置1は、このようなフルラインタイプの記録装置に限定されず、例えば、いわゆるシリアルスキャンタイプであってもよい。シリアルスキャンタイプの場合は、記録ヘッドが主走査方向に移動しつつインクを吐出する動作と、記録媒体を副走査方向に搬送する動作、とを繰り返すことによって画像を記録する。要は、記録ヘッドと記録媒体との相対移動を伴って画像を記録する構成であればよい。
図3(a)は、制御部9の構成例の説明図である。制御部9には、データ入力部31、表示操作部32、CPU33、記憶部34、RAM35、画像処理部36、および記録ヘッド制御部37が備えられている。
データ入力部31は、画像入力機器(例えば、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ)から多値の画像データを入力する。RAM35は、CPU33による各種プログラムの実行時にワークエリアとして使用され、各種演算結果や画像処理結果等を一時的に記憶する。表示操作部32は、ユーザからの指示(例えば、パラメータの設定指示、記録開始の指示)を装置内に入力するための操作部(例えば、タッチパネル、ボタン)と、ユーザに各種情報を表示する表示部(例えば、タッチパネル、ディスプレイ)と、を含む。CPU33は、装置全体の動作を統括的に制御する。例えば、記憶部34に格納されたプログラムに従って、装置の各部の動作を制御する。記憶部34は、各種データが格納される。例えば、記録媒体の種類に関する情報、インクに関する情報、温度や湿度等の環境に関する情報、着弾位置の補正に関する情報(レジ調整情報)、記録ヘッド2に関する情報、各種制御プログラム、および3次元LUT(ルックアップテーブル)等が格納される。
画像処理部36は、データ入力部31から入力された多値の画像データに対して、画像処理を施す。例えば、多値の画像データを画素毎にN値の画像データに量子化し、その量子化した各画素が示す階調値“K”に対応するドット配置パターンを割り当てる。より具体的な例としては、256階調で表現される多値の画像データの階調値をK値に変換する。このような処理においては、多値誤差拡散法、または平均濃度保存法、ディザマトリックス法等、任意の方法を用いることができる。これにより、画像処理部36は各吐出口に対応する記録データを生成する。この記録データの生成に際しては、記憶部34に格納されたレジ調整情報に基づいて、記録媒体へのインクの着弾位置が調整される。記録ヘッド制御部37は、記録ヘッド2による記録動作を制御する。
制御部9は、このような構成のみに限定されない。例えば、これら構成の一部は、CPU33がRAM35をワーク領域として利用して、記憶部34に格納されたプログラムを実行することによって実現してもよく、また専用回路等のハードウェア構成によって実現してもよい。
図3(b)は、画像処理部36による記録データの生成処理を説明するためのフローチャートである。
ユーザは、データ入力部31および表示操作部32を用いて、記録装置1において記録する画像データを作成することができる。記録を行う際には、データ入力部31から入力された画像データが画像処理部36に転送される。画像処理部36は、前段処理S1、後段処理S2、γ補正S3、量子化処理S4、および記録データの作成処理S5を実行する。
前段処理S1では、表示操作部32のモニタに表示する画像の色域を、記録装置1によって記録する画像の色域に変換(色域変換)する。具体的には、例えば、記憶部34に格納されている3次元LUTを参照することにより、8ビットで表現された画像データR,G,Bを記録装置1の色域内の8ビットデータR,G,Bに変換する。次の後段処理S2では、前段処理S1にて得られた8ビットデータR,G,Bが4色のインク(C,M,Y,K)によって表現されるように、信号値を変換する。具体的には、記憶部34に格納されている3次元LUTを参照することにより、前段処理S1にて得られた8ビットデータR,G,Bを、4色のインクに対応するC,M,Y,Kの8ビットデータに変換する。
次のγ補正S3では、後段処理S2にて得られたC,M,Y,Kのデータについてγ補正を行う。具体的には、色分解により得られた8ビットデータC,M,Y,Kが記録装置の階調特性に線形的に対応付けられるように、1次変換を行う。次の量子化処理S4では、γ補正がなされた8ビットデータC,M,Y,Kを、所定の量子化処理法によって、2ビットデータC,M,Y,Kに変換する。
記録データ作成処理S5では、量子化処理S4にて生成されたインク色毎の2ビットデータに対して、記憶部34に格納されている記録媒体情報、記録品位情報、および給紙方法等の記録動作に関わる制御情報を付して、記録データを作成する。このようにして生成された記録データは、記録ヘッド制御部37から記録装置1へ供給される。
次に、量子化処理S4について説明する。量子化とは、原画像データの階調値(本実施形態では、256階調)を、記録装置1が画素毎に表現可能な階調値に変換する処理である。本実施形態では、後述するように、「ドットの形成なし」、「小ドットの形成」、「中ドットの形成」、および「大ドットの形成」に対応する4階調値に変換する。しかし、より多くの階調値への変換を行うようにしてもよい。また、本実施形態における量子化方法はディザテーブルを用いる方法であるが、誤差拡散法を用いてもよい。
図4は、本実施形態における量子化処理を説明するためのフローチャートである。本実施形態においては、256×256画素サイズのディザテーブルを縦および横方向に繰り返し用いて、量子化処理を行う。ここでは説明を簡単にするために、より小さいサイズのテーブルを用いて説明する。
まず、8ビットの画像データを入力する(ステップS11)。その画像データは、γ補正S3にて処理された8ビットデータC,M,Y,Kであり、それぞれ256階調に対応する。次に、閾値が画素毎に設定されたディザテーブルを用いて、ドットのオン/オフ(形成/非形成)を判定する。そのディザテーブルは、大きさが異なる複数のドット毎に設定されていて、記憶部34に記憶されている。本例の場合は、図5のように、大きさが異なる複数種のドットとして大ドット、中ドット、および小ドットが形成され、それらに対応するディザテーブルが図6(a),(b),(c)のように設定されている。
ドットのオン/オフの判定においては、まず、大ドット用のディザテーブル(図6(a))を用い、入力画像の画素の階調値LVと、その画素に対応する大ドット用のディザテーブルの位置の閾値LTHと、を比較する(ステップS12)。階調値LVが閾値LTHよりも大きい場合は大ドットのオン(形成)と判定し(ステップS15A)、階調値LVが閾値LTH未満の場合は、ステップS13に移行する。ステップ13では、中ドット用のディザテーブル(図6(b))を用い、入力画像の画素の階調値LVと、その画素に対応する中ドット用のディザテーブルの位置の閾値MTHと、を比較する。階調値LVが閾値MTHよりも大きい場合は中ドットのオン(形成)と判定し(ステップS15B)、階調値LVが閾値MTH未満の場合は、ステップS14に移行する。ステップ14では、小ドット用のディザテーブル(図6(c))を用い、入力画像の画素の階調値LVと、その画素に対応する小ドット用のディザテーブルの位置の閾値STHと、を比較する。階調値LVが閾値STHよりも大きい場合は小ドットのオン(形成)と判定し(ステップS15C)、階調値LVが閾値STH未満の場合は、ドットの形成なしと判定する(ステップS15D)。
このような判定処理を入力された画像データの全画素に関して行うことによって、それぞれに画素について、「大ドットのオン」,「中ドットのオン」,「小ドットのオン」,「ドットなし」に対応する4値化された画像データが作成される。4値化後の画像データは、記録装置1の記録解像度に対応する個々の画素に対して、大,中,小のドットのいずれを形成するか、もしくは、それらのドットのいずれを形成しないかを定める2ビット情報である。本実施形態の量子化処理では、このような2ビット、4値化の処理であるが、更に多くのビット数および量子化の処理を行ってもよい。
図6(a),(b),(c)のディザテーブルには、1〜255までの閾値が設定されている。実際には、16×16サイズのディザテーブルであるが、ここでは説明を簡単にするために、8×8サイズのマトリックス状のテーブルとする。これらのディザテーブルは、前述したように、図5のような大ドット、中ドット、および小ドットの混合比率を反映したテーブルである。混合比率(ドット混合比率)とは、ある階調のべた領域を記録する際に、その領域内の画素に対して、その領域内に形成されるドットが占める割合をいう。例えば、8×8画素のべた領域において階調値128の画像データが入力された場合、図5の混合比率テーブルにおける混合比率は、大ドットが23%、中ドットが34%、小ドットが11%であると仮定する。ディザテーブルは、このような混合比率テーブルを反映している。すなわち、結果的に、8×8画素のべた領域内の全画素に対して、その領域内に形成される大ドット、中ドット、および小ドットが占める割合が23%、34%、および11%となるように、図6(a),(b),(c)のディザテーブルの閾値が設定されている。
図7(a),(b),(c)は、図6(a),(b),(c)のディザテーブルに対して、階調値128の画像データが入力されたときにオンとなる画素を黒塗りした図である。8×8の全64画素に対して、オンのドットが占める割合が混合比率となる。記録ヘッド2は、ある階調において、1つの画素に対して1つのサイズのドットしか形成できないため、大ドット用、中ドット用、および小ドット用のディザテーブルにおいて、同じ閾値をもつ画素に関しては、相対的に大きいドットの形成を優先させる。そのため、図7(b),(c)において階調値128よりも閾値が小さい画素に関しては、それらのディザテーブルに対応するサイズのドットは形成されず、それらよりも大きいサイズのドットの形成が優先される。
また、このような複数サイズのドットに対応するディザ方式の量子化処理においては、階調値が増加したときのドットの形成方法が制約される。すなわち、何れかのサイズのドットがオンとなった画素に関しては、そのドットよりも大きいサイズがオンとならなければ変化させることができない。そのため、相対的に小さいサイズのドット用のディザテーブルの閾値は、相対的に大きいサイズのドット用のディザテーブルの閾値よりも大きくなることはない。このような制約を満たし、かつ図5のような混合比率テーブルにおける混合比率を全階調において実現するように、複数サイズのドットに対応するディザテーブルを用意する。
本実施形態で用いた複数ドットのディザテーブルの作成方法について、図28を用いて説明する。まず、予め階調毎に決定されている複数ドットの混合比率とマトリックスの要素の数だけ数字が記載されて、かつ、記録に用いるディザテーブルと等しいテーブルを1枚用意する。本説明では説明を分かりやすくするため、図28には、3×3のマトリックス上のテーブル1901で階調値を最大7にした。そして、一階調ずつ、テーブル1901の数値が小さい順に、ドットを配置していく。その一例が配置状態1903、1904、1905であり、配置状態1903は階調値1の場合、配置状態1904は階調値2の場合、配置状態1905が階調値4の場合を示している。そして、これらのドットが配置される最初の階調値から、1を引いた値がその閾値となる。例えば、表1902の4の階調値の場合、小ドットは2個、中ドットは5個、大ドットは1個の比率であり、大ドットを3×3のテーブルの数字が一番小さいところに配置し、その後、中ドットと小小ドット置いていく。このとき、大ドットは、この階調で初めて左上に置かれたので、大ドットのディザテーブルの左上の閾値が3になる、というように、複数ドットの閾値を決めていく。テーブル1906、1907、1908は、この混合比率とテーブル1901によって作成された複数ドットのディザテーブルである。なお、閾値の配置は、ブルーノイズパターンになることが望ましい。これによれば、記録されるドットの配置を分散したものとすることができる。また、本実施形態は説明を分かりやすくするために、ドットを配置したように表記した。しかし、必ずしもドットを配置する必要はなく、コンピュータ上のプログラムによって、これ準ずる処理を行うようにしてもよい。さらに、本実施形態で説明した複数ドットの配置方法は一例であり、これに限定されるものではない。
<ドットの混合比率の選択処理>
次に、複数サイズのドットの混合比率の選択処理方法について説明する。本実施形態では、大,中,小ドットの3つのサイズのドットを用い、それらを形成するためのインクの吐出量は、それぞれ5pl、7pl、12plである。また、以下においては、単色インクを例にして説明する。しかし、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインク、および濃度が薄い淡インクなどの種々のインクに対して同様の処理を行うことによって、それらのドットの混合比率が求めることができる。
<選択処理のフロー>
図8(a)は、全階調に関する混合比率の選択処理を説明するためのフローチャートである。
まず、全階調0〜255の256階調の中から、所定数Nの階調を離散的に設定する(ステップS21)。より多くの階調を離散的に設定するようにNを多くした場合には、後述する選択処理を多く実施して、良好な画質が得られやすくなる。しかし、その分、処理時間が増えるため、現実的には、Nを10程度にすることが望ましい。なお、全階調は256階調に限定されない。
次に、N個の階調毎に対応する画像データとして、混合比率が異なる複数の画像データを生成して、それらの画像データに対応する画像を記録あるいはシミュレーションし、それらの画像を画像評価値(評価結果)によって順位付けする(ステップS22)。このような階調毎の処理については後述する。この処理によって、後述する画質評価の対象としての粒状性やスジに対して、良好な結果をもたらす混合比率が順位付けられる。次に、N個の階調毎に、画質評価値の高いものから順番に選択し、階調性の条件などを考慮して、全階調において滑らかに連続するような混合比率を選択する(ステップS23)。N個の階調間の混合比率から、線形補間などによって、他の階調の混合比率を求めから、全階調において連続する混合比率を求める。N個の階調間の混合比率を補完する方法は、線形補間に限定されず、スプライン補間法などを用いてもよい。その後、全階調における混合比率は、図3(a)の記憶部34に格納され、前述した図3(b)の量子化処理(ステップS4)において用いられるディザテーブルに反映される。つまり、図8(a)のステップS23にて求めた全階調における混合比率を実現するように、図3(b)の量子化処理(ステップS4)において用いられるディザテーブルを作成する。前述したように、このディザテーブルによって画像データが4値化される。
<階調毎の処理のフロー>
図8(b)は、ステップS22の処理、つまり階調毎の混合比率を画像評価値によって順位付ける処理を説明するためのフローチャートである。
ステップ31にて、N個の階調毎に、その階調に対応する画像データとして、大,中,小ドットの混合比率が異なる画像データを作成する(ステップS31)。具体的には、まず、階調毎に、大,中,小ドットの記録率の組み合わせを設定する。本実施形態においては、大,中,小ドットの記録率を0%〜100%まで10%ずつ変化させる。また本実施形態では、大,中,小ドットを重ねて形成することができないため、大,中,小ドットの記録率の総和は100%を超えない。そのため、例えば、記録率の総和が100%、小ドット記録率が10%である場合、残りの90%(100−10=90(%))が中小ドットの記録率となる。このように、大,中,小ドットの記録率のそれぞれを0%〜100%まで10%ずつ変化させる。そして、図9のように、大,中,小ドットのそれぞれの記録率が0%,0%,0%から、大,中,小ドットのそれぞれの記録率が100%,0%,0%まで変化する混合比率を設定する。記録率が0,10,20,・・・,90,100の11(k)個の場合、大,中,小ドットの記録率の組み合わせの数は、Σ((k+1)×k/2)となる。本実施形態では、記録率の変化幅を10%ずつとしたが、良好な画質を得るためには、その変化幅をできるだけ小さくした方がよい。しかし、変化幅を小さくした分、シミュレーションに要する処理時間が増加するため、それを数%程度にすることが望ましい。
次に、N個の階調毎に、それらの階調に対応する濃度(以下、「目標濃度」という)の画像を記録するための大,中,小ドットの記録率の組み合わせを図9の中から選択する。具体的には、大,中,小ドットのインク体積などを考慮して、N個の階調毎に対応する混合比率として、図9の混合比率の中から複数の混合比率を選定する。そして、それらの混合比率に対応する画像データに基づいて、画像を記録あるいはシミュレーションし、それらの画像の中から、N個の階調のそれぞれに対応する濃度に近い画像を複数選出する。そして、それらの選出された画像に対応する画像データを階調毎の画像データの候補として選択する。また、N個の階調のそれぞれに対応する濃度に近い2つの画像を選出し、それらに対応する画像データから、補完法によって、階調毎の画像データの候補を求めてもよい。
ここでは、N個の階調に対応する混合比率の候補を求めることを目的としているため、画像データに基づいて記録あるいはシミュレーションする画像は、その画像の濃度が測定できる程度の小さなパッチであればよい。なお、階調レベルが高い高濃度(高デューティ)の画像は、小ドットのみでは記録できないため、図9の混合比率の内のいつくかは、高濃度の画像を記録するための画像データの候補から外れることになる。したがって、図9の混合比率の全て関して記録あるいはシミュレーションする必要はなく、N個の階調のそれぞれに対応する画像データは、予め絞り込むことができる。また、N個の階調のそれぞれに対応する画像データの候補の数は、必ずしも同じではない。
さらにステップS31において、画像データの候補における大,中,小ドットの混合比率を用いて、シミュレーションする4値化されたビットマップの画像データを生成する。大,中,小ドットの配置方法としては、誤差拡散法やディザ法等を用いることができる。本実施形態では、前述したようなディザ法を用いて大,中,小ドットの配置方法を決定した。また画像データのサイズは後述する画質評価に必要なサイズ確保する必要がある。本実施形態は、10mm×10mm程度のサイズで行った。
次のステップS32では、ステップS31にて生成した画像データによって記録される画像をコンピュータによってシミュレートする。その際には、画像データだけでなく、実際の記録装置の特性などの影響を考慮して、実際の記録画像に近い画像をシミュレートする。
そして、次のステップS33において、シミュレートした画像を評価する。本実施形態の場合は、後述するように、粒状度とスジに関する評価値と、それらを総合的に評価する総合評価値と、を用いる。全ての画像についての評価が完了した後にステップS34からステップS35に移行し、後述するように、評価対象の画像を評価が良いものから並べ替えて、評価値と、大,中,小ドットの混合比率と、を出力する。
<混合比率が異なる画像データのシミュレーション方法>
前述したように、図8(b)のステップS32において、大,中,小ドットの混合比率を異ならせた複数の画像データに基づいて、その画像データに基づいて記録される画像をシミュレーションする。その処理について、図10のフローチャートを用いて説明する。本例のシミュレーションシステムは、コンピュータ上で動作するプログラムによって実現することができる。また、シミュレーションによる出力画像の解像度は、数μm程度が望ましい。それより高解像とした場合には、記録媒体上に形成されるドットの形状の精度は高くなるものの、計算処理に要する時間が長くなる。一方、解像度が低すぎた場合には、ドットの形状の精度が低下し、さらに、本実施形態のように後述する着弾ばらつきを使用して画像のシミュレーションを行う場合には、その着弾ばらつきの値が反映しにくくなる。
まず、画像データ、インクドットに関するデータ、および着弾ばらつきデータを読み込む(ステップS41,S42,S43)。これらのデータの読み込み順序は任意である。
ステップ41にて読み込まれる画像データは、シミュレーションを実施するためのデータである。本例の場合は、前述したように量子化処理により4値化されたビットマップデータである。ステップS42にて読み込まれるインクドットに関するデータは、シミュレーションに用いる大,中,小のドットの形状、径、およびドットを構成する階調値である。さらに、後述するように、フェザリングの形態の違い起因するドットの歪やドット濃度を反映したデータを入力することにより、フェザリングを考慮したシミュレーションを行うことができる。
また、本例におけるシミュレーションの場合には、ドットを構成する画素の階調値は、大、中、小ドットの総てについて最大値(255値)としている。しかし、ドットを構成する画素の全てを同じ階調値にする必要はなく、例えば、大、中、小ドットに対応する階調値を互いに異ならせてもよい。さらには、光学顕微鏡等を用いてドットの濃度を測定し、その値を用いてもよい。特に、明度の高いインク色によって大、中、小ドットの混合比率の選択処理を行う場合には、低い階調値を使用することが望ましい。
ステップS43にて読み込まれる着弾ばらつきデータは、ドットを形成するインク滴が記録媒体に着弾する着弾位置に関して、理想的な着弾位置からのずれ量に関するデータである。また、着弾ばらつきデータとして、記録ヘッドの特性や気流の影響による着弾位置ずれの誤差および吐出量の誤差も含まれる。さらに、経時的に変化する後述の着弾ゆらぎや吐出量ゆらぎもこれに含まれる。このような誤差は、予め記録装置によって記録した記録物から、光学顕微鏡などによって測定することができる。シミュレーションのために入力する着弾ばらつきデータとして、記録ヘッドにおける全ての吐出口に関する誤差の測定値を入力してもよい。しかし、この場合には入力データが膨大となる。そのため、本実施形態では、100個程度の吐出口に関して、誤差の測定値の中心値と標準偏差を算出し、それらの値が正規分布に従うと想定して全吐出口に関する誤差を算出する。本実施形態における着弾ばらつきデータの一例を図11に示す。このような着弾ばらつきデータに基づいて、後述するように、X方向(記録媒体の搬送方向)およびX方向と交差(本例の場合は、直交)するY方向に関する7つのパラメータを用いて、シミュレーションを行う。また、このような着弾のばらつき量は、インク色毎およびドットサイズ毎に異なるため、それぞれについて7つのパラメータを用意する。
ステップS44においては、シミュレーションする画像のビットマップデータ(画像データ)と着弾ばらつきデータから、インクの着弾位置の座標(xmm、ymm)を求める。図12に入力された大,中,小ドットのビットマップデータの一例を示す。入力された画像データの左上の画素を原点(0mm、0mm)として、解像度に対応する各ドットの座標を求める。本実施形態の場合は解像度が600dpiであるため、図12中の中ドット1601の理想の着弾位置の座標は、(0.0423mm、0.1692mm)となる。その理想の着弾位置に、前述した着弾ばらつきデータを加算することによって、シミュレーションするための着弾位置を確定する。ここで、中ドット1601を形成するための吐出口に関するX,Y方向の着弾ズレ量が(0.005mm、0.012mm)の場合を想定する。この場合、シミュレーションするための着弾位置の座標は、(0.0473(=0.0423+0.005)mm、0.1704(=0.1692+0.012)mm)となる。このようにして、全てのドットの着弾位置を確定する。
ステップS45においては、ステップS44にて確定した着弾位置に、ステップS42にて読み込んだインクドットに関するデータに対応するドットを形成するように、シミュレーションを行う。このようなシミュレーションにより、図13のように、着弾ばらつきデータを反映した画像データが出力される。その画像は、8ビットグレースケールのビットマップ画像である。
このような画像を評価するために、その画像の解像度を変換する。本実施形態において、画像評価に必要な解像度は800dpiであるため、シミュレーションによる画像の解像度は8400dpiから800dpiに変換する。その際、バイキュービック法を用いる。しかし、画像のフォーマット、解像度、および解像度の変換方式などは、必ずしも本実施形態に限定されるものではない。
図14は、図5の混合比率テーブルにおける階調値128に対応する複数の画像をシミュレーションした結果である。図14(a)のシミュレーション画像は中小ドットのみを含むため、スジが目立つものの、粒状感は目立ちにくい。一方、図14(b)のシミュレーション画像は大ドットを多く含むため、スジは目立ちにくいが、粒状感は目立つ。このように大,中,小ドットの混合比率が異なるシミュレーション画像を後述するように評価して、全階調に関して最適な混合比率テーブルを作成する。そして、その混合比率テーブルにおける全階調の混合比率を実現するように、図3(b)の量子化処理(ステップS4)において用いられるディザテーブルが作成される。
<画質評価値>
前述したように、図8(b)のステップS33において、シミュレーション画像を評価する。画像の評価値としては、画像の粒状度を表す評価値と、スジを表す評価値と、を用いた。
まず、画像の粒状度を表す評価値について説明する。評価範囲の明度データI(x,y)をフーリエ変換し、空間周波数特性 i (u,v)を求める。この空間周波数特性( i (u,v)に視覚特性VTF 2D (u,v)を掛け、ウィーナースペクトルWS VTF (u,v)を求める。
M:評価範囲の縦・横画素数
DPI:スキャン解像度
R:DooleyのVTFの式における観察距離
そして、このウィーナースペクトルWS VTF (u,v)の積分値を粒状度評価値Gとする。Gの値が大きいほど粒状度が大きいことを表している。
次に、画像のスジに関する評価値について説明する。
評価範囲の画像において、画素のライン(x方向)の平均明度を求める。画像の位置(x,y)における明度をI(x,y)とすると、ライン平均明度L 1D (y)は、下式によって求められる。
M:評価範囲の横画素数
次に、ライン毎の平均明度をフーリエ変換し、空間周波数特性F(v)を求める。この空間周波数特性F(v)に視覚特性VTF 1D (v)を掛け、ウィーナースペクトルWS VTF (v)を求める。
N:評価範囲の縦画素数
DPI:スキャン解像度
R:DooleyのVTFの式における観察距離
そして、下式により、ウィーナースペクトルWS VTF (v)の積分値を求めて、スジ評価値Bとする。Bの値が大きいほどスジが大きいことを表している。
なお、これらの粒状度とスジに関する評価値は一例であり、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、粒状性の評価値として、RMS粒状度、またはISO−TS24790を用いてもよい。
<総合的な評価値>
上記で算出した粒状度評価値Gとスジ評価値Bを用いて、下式により総合評価値Tを算出する。
G:粒状度評価値
B:スジ評価値
α:スジ視認限界閾値
β:重み付けパラメータ
この総合評価値Tを用いて画像を評価し、その評価が良いものから順に並べ替える。本例の場合は、評価値が小さいものから順に並べ替えることになる。
ここで、この総合評価値に関して詳細に説明する。
我々の検討の結果、スジに関しては、総合評価値Tが一定値を越えるまではほとんど視認されず、それが一定値を越えると急激に視認されることが分かった。一方、粒状性に関しては、総合評価値Tの連続的な上昇に応じて、連続的に視認されやすくなることが分かった。そこで、スジが視認される総合評価値Tの閾値Tthを境にして、総合評価値Tが閾値Tth以下の画像は、粒状性に関する評価値Gによって評価し、総合評価値Tが閾値Tthを越える画像は、粒状性とスジの総合的な評価値Tによって評価する。つまり、スジが視認されない画像に関しては、粒状性とスジのバランスを考慮せずに、粒状性のみを抑制する。一方、スジが視認される画像に関しては、粒状性とスジのバランスを考慮する。
一般的に、これらの評価値は画像の階調毎に変化する。記録媒体、インク、ハーフトーンなどによって多少は異なるものの、一般的に、階調値が低い画像はスジが小さくなる傾向にあり、階調値が高い画像はスジが大きくなる傾向にある。そのため、画像を階調毎に評価することによって、階調値が低い範囲では粒状性を抑制し、階調値が高くなるにしたがって粒状性とスジを抑制することが可能となる。つまり、全階調において良好な画像の記録に役立つ評価ができることになる。
本実施形態では、スジが視認される閾値Tthを0.3とした。しかし、記録媒体、インク、ハーフトーンによって閾値Tthは異なる。また、それぞれの評価値に対する重み付けパラメータは、記録媒体、記録装置、経過時間、要求画質に応じて、ユーザが自由に変更することができる。また、総合評価値Tが閾値Tth以下の場合に、粒状性のみを考慮することに限定されず、スジの評価値をも考慮しても評価してもよい。
<フェザリングに関する情報の入力方法(1)>
フェザリングに関する情報として、ドットの歪データを図10のステップS42において入力することができる。その歪データは、インクドットに関する情報の1つである。図15に、ドットの歪データの具体例を示す。この歪データは、異なる記録媒体A,B,C,Dに形成したインクドットのにじみを光学顕微鏡によって観察した結果に基づくものである。本例では、シミュレーションの計算速度を向上させるために、ブラック(bk)などの単色のインクドットの歪データを用いた。しかし、歪データとして、グレーあるいは色情報をもつRGBデータを用いてもよい。フェザリングによるドットにじみは、あらゆる方向にランダムに起こる現象であるため、歪データを反映させたシミュレーションにおいては、ドットの重心を中心として、ドットの歪をランダムに回転させる。
<フェザリングに関する情報の入力方法(2)>
フェザリングに関する情報は、記録媒体毎の着弾ばらつきデータとして、図10のステップ43において入力することもできる。記録媒体毎のフェザリングを記録媒体毎の着弾ばらつきデータに反映させることにより、それらのフェザリングを再現することができる。
<ドットの測定>
フェザリングを考慮したシミュレーションにおいては、図16(a)のような7つのパラメータを入力する。それらのパラメータを求めるために、次のようにドットを測定する。
測定対象の記録画像は、実際に使用する記録媒体に、記録装置を用いて測定パターンを記録したものである。図16(b)のように、記録装置に搭載されている記録ヘッド2の吐出口200からインク滴を吐出させて、記録媒体上にドットDを形成することにより測定パターンを記録する。図16(b)においては、模擬的に、吐出口200に対応するノズルの1つによって、イベント数mに対応するm個のドットDが形成されている。図において、ドットDは略真円で表されている。しかし、実際に記録媒体に形成されるドットDには、図15のように、記録媒体の種類に応じた種々の形状のフェザリングが生じる。
図16(b)のように、n個のノズルのそれぞれによって、イベント数mに対応するm個のドットを形成する。そして、このような測定パターンの記録結果から、X方向(記録媒体の搬送方向)におけるドットの理想着弾位置に対して、ドットDの形成位置がずれる量を(以下、「Xヨレ」という)を計測する。同様に、Y方向(ノズルの配列方向)におけるドットの理想着弾位置に対して、ドットDの形成位置がずれる量(以下、「Yヨレ」という)を計測する。このように、記録媒体上のX,Y座標上におけるX軸方向のドットのずれ量(Xヨレ)と、Y軸方向のドットのずれ量(Yヨレ)と、を計測する。さらに、それぞれのドットDの径(以下、「ドット径」という)を計測する。これらのXヨレ、Yヨレ、ドット径は、種々の画像処理方法用いて計測することができる。本例においては、ドットが形成された画像の読み取りデータを2値化して、その2値画像におけるドットDの重心位置座標と、そのドットDの理想の重心位置座標と、のズレ量をXヨレおよびYヨレとした。また、その2値画像におけるドットDの形状を真円に換算し、その真円の直径をドット径とした。
このように、イベント1からイベントmまでのm個のイベントにおいて、1番目からn番目のn個のノズルによって、(n×m)のドットを形成する。図17は、このように形成されたドットについて、Xヨレ、Yヨレ、およびドット径の測定結果をまとめた表である。つまり、n(ノズル)×m(イベント)分のデータが測定される。その測定のためには、例えば、CCDカメラなどのエリアスキャナ或いはラインスキャナを記録装置に搭載して、図16(b)のような測定パターンの記録結果を読み取る。そして、その読み取り画像を画像処理することにより、ドットの着弾位置の理想位置からのズレ(Xヨレ,Yヨレ)とドット径を算出することができる。n(ノズル)×m(イベント)分の記録領域はn(ノズル)に対応するドットが形成される所定領域であり、この所定領域内のドットに関する測定値のばらつきが、n(ノズル)に対応するドットのゆらぎとなる。また、1つのノズルに対応するドットに関しては、そのドットの測定値のばらつきを算出するための領域は、m(イベント)分の領域となる。
<パラメータの計算方法>
フェザリングを考慮したシミュレーションにおいては、図16(a)のような7つのパラメータ(Xヨレ,Yヨレ,Xゆらぎ,Yゆらぎ,平均ドット径,ドット径ゆらぎ,ノズルばらつき)を用いる。これらのパラメータは、上述したXヨレ、Yヨレ、およびドット径の測定結果から算出する。本例では、下式11のような一般的な統計処理の公式から求められる「平均値」や「標準偏差」によって、それぞれのパラメータを定義する。
Ave:平均値
σ:標準偏差
N:サンプリング個数(測定ノズル数)
次に、7つのパラメータ(Xヨレ,Yヨレ,Xゆらぎ,Yゆらぎ,平均ドット径,ドット径ゆらぎ,ノズルばらつき)のそれぞれの計算式について説明する。このようなパラメータを用いてシミュレーションした結果は、前述したように画質評価の対象となる。
<Xヨレの計算方法>
下式12は、Xヨレの計算式を示す。
n:測定ノズル数
m:測定イベント数
式8によって、図17のn×m個の実測のXヨレから、その平均値Ave xall を求めて、最終的に、標準偏差値としてのXヨレを算出する。
<Yヨレの計算方法>
Xヨレと同様に、下式13によって、標準偏差値としてのYヨレを算出する。Ynzl,eventは、図17における実測のYヨレに相当する。
<Xゆらぎの計算方法>
下式14は、Xゆらぎの計算式である。Xeventは、図17における各ノズルに関するm個のXヨレに相当する。
Xゆらぎは、ノズル毎のmイベント内におけるXヨレのばらつき(標準偏差)をnノズル分の平均値としたものである。すなわち、先ずは、ノズル毎に、mイベント内におけるXヨレの平均値Avenzlを計算し、次に、ノズル毎にmイベント内におけるXヨレのばらつき(標準偏差)σnzlを計算し、最後に、nノズル分のσnzlの平均値を求めて、これをXゆらぎとする。
<Yゆらぎの計算方法>
下式15は、Yゆらぎの計算式であり、その求め方はXゆらぎと同様である。Yeventは、図17における各ノズルのm個のYヨレに相当する。
<平均ドット径の計算方法>
下式16は、平均ドット径(Dot Diameter)の計算式である。この平均ドット径は、n×m個のドット径の測定データの平均値である。
otnzl,eventは、図17におけるドット径に相当する。
<ドットゆらぎの計算方法>
下式17は、ドット径ゆらぎの計算式である。doteventは、図17における各ノズルのm個のドット径に相当する。
同一ノズルのmイベント分のドット径のデータから平均値Avenzlを計算してから、mイベント内のドット径のばらつき(標準偏差)σnzlを求める。最後に、nノズル分のσnzlから平均値を求めて、それをドット径ゆらぎとする。
<ノズルばらつきの計算方法>
下式18は、ノズルばらつきの計算式である。
ノズルばらつきは、実測したnノズル間の平均ドット径のばらつき(標準偏差)を意味する。
<パラメータとフェザリングとの関係>
記録ヘッドの各ノズルから吐出されるインク滴は、同一ノズルから吐出されたものであれば、本来、そのノズルの電気的あるいは機械的な特性によって吐出方向と吐出量が決定される。このような関係は、本来、使用する記録媒体の種類に依存しない。例えば、インクジェット記録用の専用紙などにおいては、インクによって形成されるドットは略真円となり、Xヨレ、Yヨレ、およびドット径の値はm個のイベント内において安定する。しかし、それらは、大きなフェザリングが生じる普通紙においては安定しない。本実施形態においては、パラメータとしてのゆらぎ(Xゆらぎ,Yゆらぎ,ドット径ゆらぎ)によって、フェザリングの発生の程度の違いを表現する。
<パラメータとシミュレーションとの関係>
平均ドット径を除くXヨレ,Yヨレのパラメータは、標準偏差としてシミュレーションシステムに入力される。シミュレーションのプログラムによって、入力された標準偏差を用いてノズル毎に与えるXヨレとYヨレを算出する。
例えば、256ノズルを使用して600dpiの解像度で記録する画像をシミュレーションした場合を想定する。この場合には、標準偏差値として与えられたXヨレとYヨレから、計算ソフトのExcel(商標)のランダム関数を用いて、その与えられた標準偏差になるようなXヨレとYヨレの256ノズル分の正規分布データを作成する。このデータをノズル毎のXヨレおよびYヨレとして用いる。また、イベント毎のゆらぎに関しては、同様に与えられたXゆらぎ,Yゆらぎの標準偏差値を用いてイベント毎にゆらぎを発生させる。そして、そのゆらぎの値を、先に求めたノズル毎のXヨレとYヨレの値に加算することによって、最終的なドットの着弾位置を求める。
また、ノズル毎のドット径としては、先ず、シミュレーションに使用する256ノズル全てに対して平均ドット径の値を与え、入力したノズルばらつきの値を標準偏差としてもつように、各ノズルのドット径をばらつかせる。但し、平均値は入力した平均ドット径が保たれる。また、ノズル毎のドット径ゆらぎについては、Xゆらぎ、Yゆらぎと同様に、イベント毎にゆらぎを与えてドット径を変化させる。
本例では、Xヨレ、Yヨレ、ノズル毎のドット径は、予め、計算ソフトのExcel(商標)がもつランダム関数機能を用いてノズル毎に算出する。その他のXゆらぎ、Yゆらぎ、ドット径ゆらぎは、シミュレーションプログラムによって、関数を用いた計算を実行することにより算出する。但し、これらの算出方法は限定されず、全ての計算をプログラムによって行ってもよい。
<「ゆらぎ」のパラメータ>
次に「ゆらぎ」のパラメータについて説明する。図18は、シミュレーションした結果としての出力画像(シミュレーション画像)のイメージ図であり、ドットの形状は略真円としている。図18(a)においては、各ノズルに対応するドットの径は略同一としている。つまり、ノズルばらつきは、ゼロとしている。各ドットにXヨレ、およびYヨレがなくて、理想的な位置に形成された場合には、図18(a)のように、シミュレーション画像にはスジなどは現れない。
一方、あるノズルにYヨレが発生した場合、フェザリングの小さい普通紙などの記録媒体においては、図18(b)のように、そのYヨレに対応する位置にドットがずれて形成されて、スジが目立つ。つまり、フェザリングが小さくて、Xゆらぎ、およびYゆらぎが小さい値であるため、部分Pa,Pbに、Yヨレの影響によるスジが目立つ。これに対して、フェザリングが大きな紙などの記録媒体においては、Xゆらぎ、およびYゆらぎが大きいために、図18(c)のように、同一ノズルによって形成されるドットは、その着弾位置がイベント毎に変化することになる。この結果、部分Pa,Pbのスジが目立たなくなる。図18(c)に対して、さらに、ドット径ゆらぎを考慮することにより、図18(c)のように、イベント毎に各ノズルに対応するドットの径が変化する。これにより、部分Pa,Pbのスジがより目立たなくなる。
このようなシミュレーション画像におけるフェザリングの大きさ起因するスジの見え方は、フェザリングの大きさが異なる記録媒体に画像を実際に記録したときのスジの見え方と一致する。すなわち、実際に、異なる種類の記録媒体に画像を記録した場合、記録媒体によってスジの見え方が異なり、フェザリングが大きい紙、つまりインクがにじみやすい紙を使用した方がスジは目立たなくなる。
<シミュレーションの具体例>
本発明者らは、ノズル数nを40、イベント数mを30程度としてドットを形成し、それらのドットの実測値から前述した7つのパラメータを計算し、それらの値を、256ノズルを使用するシミュレーションに用いた。その結果を図19に示す。より具体的には、フェザリングの形態が異なる13種類の普通紙(普通紙AからM)のそれぞれについて、先述した7つのパラメータを取得した。そして、それらのパラメータを入力して、それぞれの普通紙に対して3種類の異なる濃度の画像を記録した状況をシミュレートし、そのシミュレート画像におけるスジを定量評価した。一方、それぞれの普通紙に3種類の異なる濃度の画像を実際に記録し、その実記録画像におけるスジを定量評価した。両者の定量評価の値は、図19のような関係となった。図19には、合計39点がプロットされており、両者の定量評価の値に高い相関があることが分かった。このことは、シミュレーションを想定する256ノズルの全てに関して実測データを取得する必要はなく、代表する40ノズル程度の実測データからパラメータを算出することによって、高精度のシミュレーションが可能なことを意味する。
(第2の実施形態)
本実施形態では、フェザリングの形態に応じて記録媒体を複数のグループに分け、それぞれのグループに対して、大,中,小の打ち込み比率が異なるテーブルを割り当てる。
グループ分けを数値化する方法としては、次のような第1,第2,第3の方法がある。
<第1の方法(重心モーメント)>
フェザリングは、図15を用いて説明したようにドットの歪みで表すことができ、その歪は、重心モーメントによって数値化できる。
その重心モーメントは、図15のようなドットについて、ドットを構成する各画素の濃度から求めた重心位置と、そのドットが着弾すべき理想位置と、の距離をもとめ、各画像の濃度の合計値をかけたものである。この値が大きいほどフェザリングの影響が大きいと考えることができる。図27に、この結果を示す。重心モーメントとスジの間に大きな相関があることがわかる。
<第2の方法(Xゆらぎ,Yゆらぎ)>
Xゆらぎ、およびYゆらぎは、図18を用いて説明したように、フェザリングと高い相関をもっている。図20に、その相関の一例を示す図である。図20の横軸は、Xゆらぎ(μm)であり、その縦軸は、スジ評価値(大きい場合はスジが目立ち、小さい場合はスジが目立たない)であり、それらは高い相関がある。すなわち、Xゆらぎが大きい記録媒体、つまりフェザリングの影響が大きい記録媒体の場合には、スジが目立たなくなる。逆に、Xゆらぎが小さい記録媒体、つまりフェザリングの影響が小さい記録媒体の場合には、スジが目立つことになる。図21は、Yゆらぎとスジ評価値の相関の一例を示す図である。Yゆらぎとスジ評価値との間にも同様に高い相関がある。したがって、Xゆらぎ,Yゆらぎによってフェザリングを数値化して、記録媒体を複数のグループに分けることができる。つまり、複数種の記録媒体に記録された画像の測定値を評価し、その測定値評価の結果に基づいて、それらの記録媒体をグループ分けすることができる。
<第3の方法(シミュレーション)>
前述した第1の実施形態において、異なる記録媒体について大,中,小ドットの混合比率を最適化した後、それらの混合比率のプロファイルから、フェザリングの程度に応じて記録媒体を複数のグループに分けることができる。図22および図23は、第1の実施形態において、6つの異なる記録媒体について最適化した混合比率を示し、図22(a),(b),(c)、図23(a),(b),(c)は、フェザリングの程度が少ない順である。これらの図の横軸は濃度、縦軸は、大,中,小ドットのそれぞれの混合比率である。これら図から、図22(a)における記録媒体はフェザリングの程度が小さいもの、プロファイルが似ている図22(b),(c)における記録媒体は、フェザリングの程度が中のものとしてグループ分けすることができる。また、プロファイルが似ている図23(a),(b),(c)における記録媒体は、フェザリングの程度が大のものとして、同一グループに分けすることができる。
第2および第3の方法の説明から明らかなように、フェザリングの程度が大きい記録媒体は、スジが発生しにくく、結果として、より小さなドットを用いることが可能である。一方、フェザリングの程度が小さい記録媒体は、スジが見えやすいため、より大きなドットを用いることによってスジを目立たなくすることができる。
(第3の実施形態)
上述した第1および第2の実施形態においては、大きさの異なるドットによって画像を記録する場合に、フェザリングを考慮したシミュレーションによってドットの最適な混合比率を選択し、その混合比率を実現するためのディザテーブルを作成する。しかし、画像を形成するドットは、必ずしも異なる大きさのものでなくてもよい。
本実施形態は、ドットの大きさの如何に拘らず、フェザリングを考慮したシミュレーションを実行して、フェザリングの影響を反映したシミュレーション画像を生成する場合の適用例である。当然ながら、同じ大きさのドットによって画像を記録する場合を含み、また、フェザリングの影響を反映したシミュレーション画像の活用の目的は問わない。
図24は、本実施形態におけるシミュレーションを説明するためのフローチャートである。本実施形態におけるシミュレーションは、前述した実施形態と同様に実行される。
まず、測定パターンの記録画像から、前述した7つのパラメータの算出に必要な測定値(Xヨレ,Yヨレ,ドット径)を取得する(ステップS51)。次に、前述した実施形態と同様に、それらの測定値と式12から18に基づいて、7つのパラメータ、つまりXヨレ,Yヨレ,Xゆらぎ,Yゆらぎ,平均ドット径,ドット径ゆらぎ,ノズルばらつきを算出する(ステップS52)。次に、前述した実施形態と同様に、それらのパラメータを用いてフェザリングを考慮したシミュレーションを実行する(ステップS53)。
図25は、本実施形態におけるシミュレーションシステムの説明図である。
本実施形態においては、記録装置の外部の測定器908を用いて、測定パターンの記録画像におけるXヨレ,Yヨレ,ドット径を測定し、さらに、それらの測定値に基づいて前述した7つのパラメータを計算する。前者の測定機能および後者の計算機能は、記録装置がもっていてもよい。計算されたパラメータは、オペレータからユーザーインターフェース903を通して、シミュレーションシステムに入力される。シミュレーション対象の元画像901は、同様に、ユーザーインターフェース903を通して入力されてから、画像データ変換部905によって、ノズル情報、着弾データ、ドット径データ、吐出順番等、記録に必要なデータに変換された後、格納される。オペレータによって入力されたパラメータは入力パラメータ記憶部907に記憶される。
その後、前述した実施形態と同様のシミュレーションを実行する。まず、インク着弾データ変換部/出力画像データ変換部906は、記憶部907に記憶されているパラメータを用いて、ノズル毎に与えるXヨレ,Yヨレ,ドット径,ゆらぎ(Xゆらぎ,Yゆらぎ,ドット径ゆらぎ)を計算する。具体的には、画像データ変換部905に記憶されている元画像901のデータに、ノズル毎のXヨレ,Yヨレ,ドット径,ゆらぎ(Xゆらぎ,Yゆらぎ,ドット径ゆらぎ)を反映させる。その情報に基づいて、それぞれのドットが配置されたシミュレーション画像902を出力する。
(第4の実施形態)
前述した第3の実施形態においては、図24のステップ52にて実測したn×mの測定データから、入力パラメータとしての平均ドット径やゆらぎを算出し、それによってフェザリング状態の異なる記録媒体(普通紙など)に対するシミュレーションを実行する。このようなシミュレーションによって、前述した第1の実施形態と同様に、256ノズルのそれぞれに対するシミュレーションにおいて、40ノズル程度の実測値を代表値として用いることにより、良好なシミュレーション結果を得たことができた。つまり、Xヨレ、Yヨレ、さらには、各ゆらぎを標準偏差によって与えて、外部の計算ソフトのExcel(商標)などの関数機能、またはシミュレーションのプログラムによって、ノズル毎のシミュレーション用のデータを作成する。
本実施形態においては、測定時間はかかるものの、シミュレーションを想定した全ノズル(例えば、256ノズル)関するデータを記録画像から実測して、それらの値から、ノズル毎の7つのパラメータを求めて、それをそのままシミュレーションに用いる。以下、その方法について説明する。
図26は、全ての256ノズルについて、前述した実施形態における図4のようなドットパターンから、30イベント分のXヨレ、Yヨレ、およびドット径を測定した結果をまとめた表である。これらの測定データから、以下の手順によって、ノズル毎に与える7つのパラメータを求める。
先ず、XヨレとYヨレは、各ノズルについて、30イベントの平均値とする。
X event は、図26におけるノズル毎の30イベントのそれぞれにおけるXヨレであり、30イベントの平均値がノズルのXヨレ nzl になる。
ノズル毎のXゆらぎnzlは、下式22によって計算される。
Xゆらぎ nzl は、各ノズルが30イベントの中において、どの程度のXヨレのばらつき(標準偏差)をもっているかを表している。
同様に、各ノズルのYヨレ nzl およびYゆらぎ nzl は、下式23,24によって計算される。
event は、図26におけるノズル毎の30イベントのそれぞれにおけるYヨレであり、30イベントの平均値がノズルのYヨレとなる。
次に、各ノズルのドット径は、30イベント分のドット径の測定値の平均値として下式25によって計算される。
dot event は、図8におけるノズル毎の30イベントのそれぞれにおけるドット径であり、30イベントの平均値がノズルの平均ドット径となる。
ドット径ゆらぎnzlは、各ノズルについて測定した30イベントのドット径データのばらつきであり、下式26によって計算される。
ノズルばらつきは、測定した256ノズルの平均ドット径のばらつきであるため、下式27によって計算される。
このように、式21から27によって、256ノズルのそれぞれについて、7つの入力パラメータ(ノズルばらつきは、ノズル毎ではない)が決定される。前述した第3の実施形態においては、外部の測定器あるいは記録装置のシミュレーションプログラムによって与えた標準偏差から、各ノズルのXヨレ、Yヨレ、ドット径、およびゆらぎ(Xゆらぎ,Yゆらぎ,トッド径ゆらぎ)を決定した。一方、本実施形態においては、計算により求めた各ノズルの標準偏差値をそのまま使用することになる。
本実施形態においては、前述した実施形態と同様に、実画像を再現するシミュレータとしては良好な結果を得ることができた。
(他の実施形態)
本発明は、記録媒体にインクを付与して画像を記録する種々の記録装置に対して広く適用することができ、その記録装置は、例えば、図1のようなフルラインタイプの他、いわゆるシリアルスキャンタイプなどであってよい。また、インクを付与する方式は、インクジェット記録ヘッドを用いる方式のみに特定されない。
本発明の画像処理装置は、ホスト装置として構成することもでき、また、シミュレーション画像を含む画像を記録可能な記録装置と組み合わせてもよい。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
2 記録ヘッド
36 画像処理部
37 記録ヘッド制御部
200 吐出口
P 記録媒体
D ドット

Claims (10)

  1. インクのドットによって記録媒体に記録される画像をシミュレートするためのシミュレーション画像を生成する画像処理装置であって、
    前記記録媒体の所定領域内に、複数の吐出口を有する記録ヘッドによって形成された複数のドットの測定値を取得する取得手段と、
    前記複数のドットの前記測定値のばらつきを算出する算出手段と、
    前記シミュレーション画像に前記ばらつきを反映させる反映手段と、
    を備え、
    前記取得手段は、前記記録ヘッドの前記複数の吐出口のうちの一部の複数の吐出口から吐出されたインクによって形成されたドット各々の測定値を取得し、
    前記算出手段は、前記取得手段によって取得された前記測定値の標準偏差が正規分布をとるとして、前記記録ヘッドの前記一部の複数の吐出口および他の吐出口を含む複数の吐出口から吐出されるインクによって形成されるドット各々の測定値のばらつきを算出することを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記測定値は、前記ドットの重心位置のずれ量、および前記ドットを真円に換算したときの直径のうち、少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記ずれ量は、前記記録媒体上のX,Y座標上におけるX軸方向、およびY軸方向のうち、少なくとも一方におけるずれ量を含むことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
  4. 前記シミュレーション画像は、前記ドットを円として表現することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  5. 前記測定値は、異なる記録媒体に形成された前記複数のドットの測定値を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  6. 前記測定値は、所定のパターンを形成する前記複数のドットの測定値を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の画像処理装置と、
    前記シミュレーション画像を記録可能な記録手段と、
    を備えることを特徴とする画像記録装置。
  8. インクを吐出可能な記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドと前記記録媒体とを相対移動させる移動手段と、
    を備えることを特徴とする請求項7に記載の画像記録装置。
  9. インクのドットによって記録媒体に記録されるべき画像をシミュレートするためのシミュレーション画像を生成する画像処理方法であって、
    前記記録媒体の所定領域内に、複数の吐出口を有する記録ヘッドによって形成された複数のドットの測定値を取得する取得工程と、
    前記複数のドットの前記測定値のばらつきを算出する算出工程と、
    前記シミュレーション画像に前記ばらつきを反映させる工程と、
    を含み、
    前記取得工程は、前記記録ヘッドの前記複数の吐出口のうちの一部の複数の吐出口から吐出されたインクによって形成されたドット各々の測定値を取得し、
    前記算出工程は、前記取得工程によって取得された前記測定値の標準偏差が正規分布をとるとして、前記記録ヘッドの前記一部の複数の吐出口および他の吐出口を含む複数の吐出口から吐出されるインクによって形成されるドット各々の測定値のばらつきを算出することを特徴とする画像処理方法。
  10. 請求項9に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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