JP6544554B2 - 電力管理システム、電力管理方法 - Google Patents
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Description
また、負荷変動補償開始時刻における蓄電池から出力される出力の初期値(以下、「出力初期値」と呼ぶ。)は、負荷変動補償開始時刻の後の時刻における蓄電池の出力に影響を与えるため、出力初期値はピーク電力削減量に対しても影響を及ぼす。
なお、本実施形態では、高域遮断周波数は固定値の場合を説明するので、決定補償帯域格納部30には、高域遮断周波数を固定値として格納しておき、決定毎に低域遮断周波数を新たに格納するようにしてもよい。
蓄電池出力指令値計算部31には、決定補償帯域格納部30から高域遮断周波数、低域遮断周波数、及び出力初期値が入力される。また、蓄電池出力指令値計算部31には、買電電力の値がリアルタイムで入力される。買電電力の値は、例えば売買電力を測定する図示しない電力計等によって所定の周期によって入力されるようにすることができる。また、蓄電池出力指令値計算部31には、定置用蓄電池部13からの蓄電池出力の値がリアルタイムで入力される。蓄電池出力の値は、例えば蓄電池出力を測定する図示しない電力計等によって所定の周期によって入力されるようにすることができる。
蓄電池出力指令値計算部31は、入力された高域遮断周波数、低域遮断周波数、出力初期値、買電電力及び蓄電池出力に基づいて、負荷電力を推定し、推定した負荷電力に基づいて蓄電池の出力を制御するための蓄電池出力指令値を算出する。
定置用蓄電池部13は、蓄電池出力指令値計算部31から入力された蓄電池出力指令値に従って、リアルタイムに蓄電池の出力を制御する。
以上で、図1を用いた、電力管理システムの構成の説明を終了する。
なお、太陽光発電等のマイクログリッド発電は、発電電力等を任意に制御できない電源であるので、本実施形態による制御では負の値をもつ負荷として取り扱い、図2に示す制御系に組み込まないものとする。
先ず、蓄電池補償帯域決定部22は、負荷電力に含まれる周波数成分を特定するため、負荷電力の過去実績データから、数式(1)の離散フーリエ変換の公式を用いて、負荷電力の各周波数fkにおける実数部R(fk)、及び虚数部I(fk)を計算する。x(t)は負荷電力、fkは周波数、X(fk)は周波数fkにおける負荷電力、kは1からサンプル数Nまでの数を表す。
次に、蓄電池補償帯域決定部22は、数式(2)に基づき、負荷電力の各周波数の振幅|X(fk)|[kW]を求める。kは、1からN/2までの数である。
次に、蓄電池補償帯域決定部22は、数式(3)に基づき、実数部R(fk)及び虚数部I(fk)を用いて、位相差φ(fk)[rad]を求める。
なお、基本周波数f1は、数式(3)に基づき、負荷電力のサンプリング間隔Δt、及びサンプル数Nから求められる。また、ナイキスト周波数fsは、数式(4)に基づき求められる。
図3において、縦軸は電力[kw]を表し、横軸は時間[sec]を表す。電力のグラフは、数式(2)より求めた各周波数fkに対する振幅|X(fk)|を示し、正弦波の半周期分において、数式(3)より求めた位相差φ(fk)[rad]を考慮して、蓄電池の充電期間における放電電力と放電期間における放電電力を示している。すなわち、図3における0〜φ(fk)[rad]における電力は充電電力[kW]を示し、φ(fk)〜1/2fk[rad]における電力は放電電力[kW]を示す。
ここで、負荷変動補償に必要な蓄電池容量は、放電量から充電量を引いた値、すなわち、図3斜線部分で示した放電量から充電量を引いた値によって算出することができる。周波数fkにおける蓄電池容量は、数式(6)に基づき求められる。蓄電池補償帯域決定部22は、離散フーリエ変換で求めた振幅|X(fk)|、周波数fk、及び位相差φ(fk)を用いて、図3図示半周期分において蓄電池の充電量及び放電量を算出する。
また、位相差φ(fk)を0[rad]として考えると、数式(6)においてcosφ(fk)=1となり、すなわち、周波数fkにおける蓄電池容量は、半周期において放電電力量に基づく値となる。一方、位相差φ(fk)が0[rad]でない値の場合を考慮すると、半周期分において、放電量に加えて充電量を考慮した電力量が計算される。位相差φ(fk)を考慮することにより、放電量のみを考慮した蓄電池容量に対して充電量を考慮するため、より小さい蓄電池容量を算出することになり、負荷変動補償に適切な蓄電池容量の決定をすることができる。
なお、蓄電池補償帯域決定部22は、実効蓄電池容量(電池残量(SOC)の使用範囲として定める下限値から上限値までに対応する容量)で最も補償帯域を広くとれる低域遮断周波数を2点の線形補間により決定する。
各周波数における容量W1は、数式(8)の(イ)に示す通り、数式(6)で求めた充放電電力量について、周波数を低域遮断周波数iから高域遮断周波数mまでを積算したものである。周波数fkを低域遮断周波数iから高域遮断周波数mまで積算することにより、低域遮断周波数と負荷変動補償に必要な充電電池容量を算出することができる。
図4において、1次バンドパスフィルタの周波数に対するゲインは、低域遮断周波数及び高域遮断周波数に対して図示のような特性を示す。すなわち、1次バンドパスフィルタの出力のゲイン特性は、波形のピークを0[dB]とした場合、低域遮断周波数及び高域遮断周波数において全ての入力が遮断される理想特性において、ゲインは2−1/2倍(−3dB)となる。エネルギーはゲインの2乗となるため、低域遮断周波数の容量W2及び高域遮断周波数の容量W3は、それぞれ1/2になる。数式(8)の(ロ)及び(ニ)おいて、低域遮断周波数の容量W2及び高域遮断周波数の容量W3の分母の2は、それぞれの容量をゲインの2乗で除したものである。
以上で、数式(8)、図4及び図5を用いた数式(7)の詳細説明を終了する。
ここで、数式(9)の第2項の(イ)及び第3項の(ニ)に示すルート2は、図4で説明したゲインが2−1/2倍(−3dB)になることに基づくものである。すなわち、低域遮断周波数の出力と高域遮断周波数の出力は、それぞれ2−1/2倍となる。
また、数式(9)の第2項(ロ)及び(ハ)の+π/4は、図5で説明した位相差が45°進むことに基づくものである。また、数式(9)の第3項(ホ)及び(ヘ)の−π/4は、図5で説明した位相差が45°遅れることに基づくものである。
以上で、数式(9)及び数式(10)を用いた出力初期値決定部23の説明を終了する。
図6は、気象類似日負荷電力データ取得部21において取得された負荷電力プロファイルを例示している。図6において、横軸は時刻[時]を示し、縦軸は負荷電力[kW]を示す。図6は、朝7時から夕方17時までの負荷電力を示している。負荷電力にマイナス電力があるのは、太陽光発電等のグリッド発電によって買電電力より発電電力が大きくなる場合があるからである。
制御パラメータ決定部41は、数式(9)で説明したとおり、気象類似日負荷電力データ取得部21から入力された負荷電力に対して、出力初期値決定部23において逆離散フーリエ変換を行う。逆離散フーリエ変換は、基本周波数の整数倍である各低域遮断周波数を下限として行われ、数式(9)において蓄電池出力z(t)を算出することができる。数式(9)において算出された蓄電池出力を基に算出される出力初期を図8に示す。図8は、蓄電池の出力初期値の算出結果を示すグラフである。
図9において、蓄電池補償帯域決定部22で算出した低域遮断周波数0.045mHzは、低域遮断周波数0.031mHzと0.061mHzの間にある。そこで、0.031mHzにおける90.0kWと0.061mHzにおける67.7kWの2点において線形補間した79.7kWを出力初期値として決定する。
また、ピーク電力は通常30分平均で求めるが、30分平均におけるピーク電力削減量は42.4kWとなる。
2 インターネット
10 システム演算部
11 過去実績データDB
12 リアルタイムコントローラ
13 定置用蓄電池部
20 気象情報取得部
21 気象類似日負荷電力データ取得部
22 蓄電池補償帯域決定部
23 出力初期値決定部
30 決定補償帯域格納部
31 蓄電池出力指令値計算部
40 負荷電力取得部
41 制御パラメータ決定部
42 蓄電池制御部
Claims (4)
- 蓄電池の出力を制御する電力管理システムであって、
負荷電力の過去実績データを取得する負荷電力取得部と、
前記負荷電力取得部によって取得された前記過去実績データに基づいて、前記蓄電池の補償周波数帯域を決定する補償帯域決定部と、
前記負荷電力取得部によって取得された前記過去実績データに基づいて、前記蓄電池の出力初期値を決定する出力初期値決定部と、
買電電力と前記蓄電池の出力の合計を入力値として、前記補償帯域決定部によって決定された前記蓄電池の補償周波数帯域と前記出力初期値決定部によって決定された前記蓄電池の出力初期値とに基づいて前記蓄電池の出力を指令する指令値を出力値として計算する蓄電池制御部とを備え、
前記補償帯域決定部は、前記負荷電力の過去実績データから離散フーリエ変換によって各周波数の振幅及び位相差を算出し、該振幅及び該位相差と周波数とに基づいて、前記蓄電池の補償周波数帯域の下限の周波数である低域遮断周波数と負荷変動補償に必要な蓄電池容量との関係を示す組み合わせを複数求め、求めた組み合わせのうち2つの組み合わせの線形補間により、実効蓄電池容量で最も補償帯域を広くとれる前記低域遮断周波数を決定し、
前記出力初期値決定部は、前記補償帯域決定部によって決定された前記低域遮断周波数に応じて定まる前記蓄電池の補償周波数帯域に基づいて、前記買電電力と前記蓄電池の出力との合計値をフィルタリングすることで求められる該合計値のフィルタリング出力の初期値を、前記蓄電池の出力初期値とする、電力管理システム。 - 前記出力初期値決定部は、前記蓄電池の補償周波数帯域の上限の周波数である高域遮断周波数としてナイキスト周波数を用いる、請求項1に記載の電力管理システム。
- 前記出力初期値決定部は、前記低域遮断周波数が基本周波数の整数倍でないときには、前記低域遮断周波数のうち、該基本周波数の整数倍である周波数の2点における出力初期値の線形補間によって前記出力初期値を算出する、請求項1又は請求項2に記載の電力管理システム。
- 蓄電池の出力を制御する電力管理方法であって、
負荷電力の過去実績データを取得する負荷電力取得ステップと、
前記負荷電力取得ステップによって取得された前記過去実績データに基づいて、前記蓄電池の補償周波数帯域を決定する補償帯域決定ステップと、
前記負荷電力取得ステップによって取得された前記過去実績データに基づいて、前記蓄電池の出力初期値を決定する出力初期値決定ステップと、
買電電力と前記蓄電池の出力の合計を入力値として、前記補償帯域決定ステップによって決定された前記蓄電池の補償周波数帯域と前記出力初期値決定ステップによって決定された前記蓄電池の出力初期値とに基づいて前記蓄電池の出力を指令する指令値を出力値として計算する蓄電池制御ステップとを有し、
前記補償帯域決定ステップは、前記負荷電力の過去実績データから離散フーリエ変換によって各周波数の振幅及び位相差を算出し、該振幅及び該位相差と周波数とに基づいて、前記蓄電池の補償周波数帯域の下限の周波数である低域遮断周波数と負荷変動補償に必要な蓄電池容量との関係を示す組み合わせを複数求め、求めた組み合わせのうち2つの組み合わせの線形補間により、実効蓄電池容量で最も補償帯域を広くとれる前記低域遮断周波数を決定し、
前記出力初期値決定ステップは、前記補償帯域決定ステップによって決定された前記低域遮断周波数に応じて定まる前記蓄電池の補償周波数帯域に基づいて、前記買電電力と前記蓄電池の出力との合計値をフィルタリングすることで求められる該合計値のフィルタリング出力の初期値を、前記蓄電池の出力初期値とする、電力管理方法。
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