JP6555505B2 - 電力管理システム、電力管理方法 - Google Patents
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Description
また、負荷変動補償開始時刻における蓄電池から出力される出力の初期値(以下、「出力初期値」と呼ぶ。)は、負荷変動補償開始時刻の後の時刻における蓄電池の出力に影響を与えるため、出力初期値はピーク電力削減量に対しても影響を及ぼす。
また、実際の負荷変動が予測した負荷変動と異なり誤差(負荷予測誤差)を生じる場合がある。
なお、本実施形態では、高域遮断周波数は固定値の場合を説明するので、決定補償帯域格納部30には、高域遮断周波数を固定値として格納しておき、決定毎に低域遮断周波数を新たに格納するようにしてもよい。
蓄電池出力指令値計算部31には、決定補償帯域格納部30から高域遮断周波数、低域遮断周波数、及び出力初期値が入力される。また、蓄電池出力指令値計算部31には、買電電力の値がリアルタイムで入力される。買電電力の値は、例えば売買電力を測定する図示しない電力計等によって所定の周期によって入力されるようにすることができる。また、蓄電池出力指令値計算部31には、定置用蓄電池部13からの蓄電池出力の値がリアルタイムで入力される。蓄電池出力の値は、例えば蓄電池出力を測定する図示しない電力計等によって所定の周期によって入力されるようにすることができる。
蓄電池出力指令値計算部31は、入力された高域遮断周波数、低域遮断周波数、出力初期値、買電電力及び蓄電池出力に基づいて、負荷電力を推定し、推定した負荷電力に基づいて蓄電池の出力を制御するための蓄電池出力指令値を算出する。
定置用蓄電池部13は、蓄電池出力指令値計算部31から入力された蓄電池出力指令値に従って、リアルタイムに蓄電池の出力を制御する。
以上で、図1を用いた、電力管理システムの構成の説明を終了する。
なお、太陽光発電等のマイクログリッド発電は、発電電力等を任意に制御できない電源であるので、本実施形態による制御では負の値をもつ負荷として取り扱い、図2に示す制御系に組み込まないものとする。
先ず、蓄電池補償帯域決定部22は、負荷電力に含まれる周波数成分を特定するため、負荷電力の過去実績データから、数式(1)の離散フーリエ変換の公式を用いて、負荷電力の各周波数fkにおける実数部R(fk)、及び虚数部I(fk)を計算する。x(t)は負荷電力、fkは周波数、X(fk)は周波数fkにおける負荷電力、kは1からサンプル数Nまでの数を表す。
次に、蓄電池補償帯域決定部22は、数式(2)に基づき、負荷電力の各周波数の振幅|X(fk)|[kW]を求める。kは、1からN/2までの数である。
次に、蓄電池補償帯域決定部22は、数式(3)に基づき、実数部R(fk)及び虚数部I(fk)を用いて、位相差φ(fk)[rad]を求める。
なお、基本周波数f1は、数式(3)に基づき、負荷電力のサンプリング間隔Δt、及びサンプル数Nから求められる。また、ナイキスト周波数fsは、数式(4)に基づき求められる。
図3において、縦軸は電力[kw]を表し、横軸は時間[sec]を表す。電力のグラフは、数式(2)より求めた各周波数fkに対する振幅|X(fk)|を示し、正弦波の半周期分において、数式(3)より求めた位相差φ(fk)[rad]を考慮して、蓄電池の充電期間における放電電力と放電期間における放電電力を示している。すなわち、図3における0〜φ(fk)[rad]における電力は充電電力[kW]を示し、φ(fk)〜1/2fk[rad]における電力は放電電力[kW]を示す。
ここで、負荷変動補償に必要な蓄電池容量は、放電量から充電量を引いた値、すなわち、図3斜線部分で示した放電量から充電量を引いた値によって算出することができる。周波数fkにおける蓄電池容量は、数式(6)に基づき求められる。蓄電池補償帯域決定部22は、離散フーリエ変換で求めた振幅|X(fk)|、周波数fk、及び位相差φ(fk)を用いて、図3図示半周期分において蓄電池の充電量及び放電量を算出する。
また、位相差φ(fk)を0[rad]として考えると、数式(6)においてcosφ(fk)=1となり、すなわち、周波数fkにおける蓄電池容量は、半周期において放電電力量に基づく値となる。一方、位相差φ(fk)が0[rad]でない値の場合を考慮すると、半周期分において、放電量に加えて充電量を考慮した電力量が計算される。位相差φ(fk)を考慮することにより、放電量のみを考慮した蓄電池容量に対して充電量を考慮するため、より小さい蓄電池容量を算出することになり、負荷変動補償に適切な蓄電池容量の決定をすることができる。
なお、蓄電池補償帯域決定部22は、実効蓄電池容量(電池残量(SOC)の使用範囲として定める下限値から上限値までに対応する容量)で最も補償帯域を広くとれる低域遮断周波数を2点の線形補間により決定する。
各周波数における容量W1は、数式(8)の(イ)に示す通り、数式(6)で求めた充放電電力量について、周波数を低域遮断周波数iから高域遮断周波数mまでを積算したものである。周波数fkを低域遮断周波数iから高域遮断周波数mまで積算することにより、低域遮断周波数と負荷変動補償に必要な充電電池容量を算出することができる。
図4において、1次バンドパスフィルタの周波数に対するゲインは、低域遮断周波数及び高域遮断周波数に対して図示のような特性を示す。すなわち、1次バンドパスフィルタの出力のゲイン特性は、波形のピークを0[dB]とした場合、低域遮断周波数及び高域遮断周波数において全ての入力が遮断される理想特性において、ゲインは2−1/2倍(−3dB)となる。エネルギーはゲインの2乗となるため、低域遮断周波数の容量W2及び高域遮断周波数の容量W3は、それぞれ1/2になる。数式(8)の(ロ)及び(ニ)おいて、低域遮断周波数の容量W2及び高域遮断周波数の容量W3の分母の2は、それぞれの容量をゲインの2乗で除したものである。
以上で、数式(8)、図4及び図5を用いた数式(7)の詳細説明を終了する。
ここで、第2項の(イ)及び第3項の(ニ)に示すルート2は、図4で説明したゲインが2−1/2倍(−3dB)になることに基づくものである。すなわち、低域遮断周波数の出力と高域遮断周波数の出力は、それぞれ2−1/2倍となる。
また、数式(9)の第2項(ロ)及び(ハ)の+π/4は、図5で説明した位相差が45°進むことに基づくものである。また、数式(10)の第3項(ホ)及び(ヘ)の−π/4は、図5で説明した位相差が45°遅れることに基づくものである。
以上で、数式(9)及び数式(10)を用いた出力初期値決定部23の説明を終了する。
xn:バンドパスフィルタの入力値[kW]
xn−1:バンドパスフィルタの1ステップ前の入力値[kW]
yn:中間出力値[kW]
yn−1:1ステップ前の中間出力値[kW]
zn:バンドパスフィルタの出力値[kW]
zn−1:バンドパスフィルタの1ステップ前の出力値[kW]
T:制御周期[秒]
fL:高域遮断周波数[mHz]
fH:低域遮断周波数[mHz]
ここで、x1、y1、及びz1は、それぞれ、バンドパスフィルタの入力値の初期値(入力初期値)、中間出力値の初期値(中間出力初期値)、及び出力値の初期値(出力初期値)である。従来技術における電力管理システムは、出力初期値を0として制御を開始していた。本実施形態では、出力初期値を予め算出して蓄電池の運転を開始するものである。
数式(12)に示すとおり、期待値Eは、負荷予測誤差(出力初期値の変化)に対するピーク電力削減量の変化が小さい程大きな値となる。期待値Eが大きい制御パラメータを用いることにより、ピーク電力削減量の変化が小さくなることが期待できる。
なお、本実施形態では、ピーク電力削減量と実効電池容量を考慮して、出力初期値は定格出力の半分(中央値)を、制御パラメータ決定部41から出力される制御パラメータとする。制御パラメータとして出力初期値を中央値とすることにより、実効蓄電池容量の範囲内で高いピーク電力削減量を得ることがある程度期待できる。
図6は、気象類似日負荷電力データ取得部21において取得された負荷電力プロファイルを例示している。図6において、横軸は時刻[時]を示し、縦軸は負荷電力[kW]を示す。図6は、朝7時から夕方17時までの負荷電力を示している。負荷電力にマイナス電力があるのは、太陽光発電等のグリッド発電によって買電電力より発電電力が大きくなる場合があるからである。
図7(a)及び(b)において、低域遮断周波数が小さくなる程、また出力初期値が小さい程、蓄電池容量及びピーク電力削減量が大きくなる。例えば、蓄電池容量が106kWh以下でピーク電力削減量が最大となるのは、図7(a)により、低域遮断周波数が0.01mHzにおいて出力初期値が25.0kWのときである。このとき、図7(b)により、ピーク電力削減量は56.1kWである。
しかし、図7によって、低域遮断周波数が小さくなる程出力初期値の変動(負荷予測誤差)に対して蓄電池容量とピーク電力削減量の変動が大きくなることがわかる。したがって、低域遮断周波数を小さくすると、負荷予測誤差に対する蓄電池容量とピーク電力削減量の変動が大きくなることがわかる。
図8において、期待値Eは、低域遮断周波数が0.04mHzのときに最大値をしめしている。すなわち、低域遮断周波数が0.04mHzのときに負荷予測誤差に対する蓄電池容量とピーク電力削減量の変動が最小になることを示している。
図9において、出力初期値を高めにして、例えば90kWとすると、ピーク電力削減量は44.3kWとなって大きくなるものの、蓄電池容量が107.8kWhとなって実行蓄電池容量である106kWhを超える。
また、出力初期値が90kWのときにピーク電力削減量が44.3kWであるのに対して、出力初期値を45kWとしたときのピーク電力削減量は39.9kWhである。すなわち、出力初期値を45kWhにしたときであっても、ピーク電力削減量の低下は、4.4kWh(44.3−39.9=4.4)程度であることがわかる。したがって、出力初期値を定格の半分(中央値)である45kWとしても、ピーク電力削減量の低下を低減しつつ、蓄電池容量に余裕を持たせることが可能となる。
図11において、出力初期値は、上記説明したとおり、45kWである。補償帯域は0.04〜10mHzとする。本実施形態では、図11(a)に示すとおり、8時から13時15分までの間において、本実施形態における電力管理システムで蓄電池出力によるピーク電力削減を行っている。
図11(a)はサンプリング周期が1秒の場合の負荷電力[kW]、買電電力[kW]、蓄電池出力[kW]、及び蓄電池容量[kWh]を示している。
買電電力[kW]は、実際の負荷電力に対して蓄電池出力による電力削減の効果を示している。負荷変動補償に必要な蓄電池容量は、蓄電池出力の時間積分の最大値であり、80.3kWhである。本実施形態で使用した蓄電池の実効蓄電池容量(106kWh)であるので、使用した蓄電池は必要な負荷変動補償の条件を満たしている。
図11(b)は、30分平均における負荷電力と買電電力を示している。図11(b)において、負荷電力と買電電力の差分が電力削減量であり、電力削減量は42.7kWとなることがわかる。
2 インターネット
10 システム演算部
11 過去実績データDB
12 リアルタイムコントローラ
13 定置用蓄電池部
20 気象情報取得部
21 気象類似日負荷電力データ取得部
22 蓄電池補償帯域決定部
23 出力初期値決定部
30 決定補償帯域格納部
31 蓄電池出力指令値計算部
40 負荷電力取得部
41 制御パラメータ決定部
42 蓄電池制御部
Claims (3)
- 蓄電池の出力を制御する電力管理システムであって、
負荷電力の過去実績データを取得する負荷電力取得部と、
前記負荷電力取得部によって取得された前記過去実績データに基づいて、負荷変動補償開始時刻における蓄電池から出力される出力の初期値である前記蓄電池の出力初期値を含む前記蓄電池の制御パラメータを決定する制御パラメータ決定部と、
買電電力と前記蓄電池の出力の合計を入力値として、前記制御パラメータ決定部によって決定された前記制御パラメータに基づいて前記蓄電池の出力を指令する指令値を出力値として計算する蓄電池制御部と
を備え、
前記制御パラメータ決定部は、低域遮断周波数における前記蓄電池の出力初期値を変化させた場合の前記蓄電池の出力初期値の変化に対するピーク電力削減量の変化の大きさを示すピーク電力削減量の期待値であって、前記蓄電池の出力初期値の変化に対する前記ピーク電力削減量の変化が小さい程大きな値となるピーク電力削減量の期待値を算出し、前記期待値が最大となる前記制御パラメータを決定する、電力管理システム。 - 前記制御パラメータ決定部は、
前記負荷電力を離散フーリエ変換して前記低域遮断周波数及び高域遮断周波数を算出し、
前記期待値が最大となる前記低域遮断周波数に基づいて前記出力初期値を算出する、請求項1に記載の電力管理システム。 - 蓄電池の出力を制御する電力管理方法であって、
負荷電力の過去実績データを取得する負荷電力取得ステップと、
前記負荷電力取得ステップによって取得された前記過去実績データに基づいて、負荷変動補償開始時刻における蓄電池から出力される出力の初期値である前記蓄電池の出力初期値を含む前記蓄電池の制御パラメータを決定する制御パラメータ決定ステップと、
買電電力と前記蓄電池の出力の合計を入力値として、前記制御パラメータ決定ステップによって決定された前記制御パラメータに基づいて前記蓄電池の出力を指令する指令値を出力値として計算する蓄電池制御ステップと
を有し、
前記制御パラメータ決定ステップは、低域遮断周波数における前記蓄電池の出力初期値を変化させた場合の前記蓄電池の出力初期値の変化に対するピーク電力削減量の変化の大きさを示すピーク電力削減量の期待値であって、前記蓄電池の出力初期値の変化に対する前記ピーク電力削減量の変化が小さい程大きな値となるピーク電力削減量の期待値を算出し、前記期待値が最大となる前記制御パラメータを決定する、電力管理方法。
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