JP6543981B2 - β型チタン合金板 - Google Patents
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Description
質量%で、V:14〜25%、Al:2.5〜5%、Sn:0.5〜4%、Cr:4%以下を含有し、残部はTiおよび不純物からなり、表面に硬質層を有し、表面から深さ10μmでの硬さが板厚中心の硬さの1.2倍以上であり、前記硬質層の厚さが板厚の2.0〜10%/片面であることを特徴とするβ型チタン合金板。
1.化学組成
・V:14〜25%
Vはβ相を安定化し、室温にて時効処理前の合金組織をβ相単相にするための重要な元素である。高温酸化促進の観点では4%以上であれば十分であるが、14%未満の場合は高温のβ相状態からの水冷などの急冷による溶体化処理の際、マルテンサイト型組織が生じ、冷間加工性を劣化させる。このため14%以上が好ましい。25%を超える場合は、固溶強化による延性の低下に伴い、合金の冷間加工性が著しく劣化する。さらにβ相の安定度が高くなりすぎてα相が析出しにくくなるため、時効処理に要する時間が長くなり、さらに時効処理による強化が十分得られない。好ましくは23%以下である。より好ましくは21%以下である。
β合金は最終製品では時効処理による強化が施されるが、その際に十分な強度上昇が得られるために、α相安定化元素のAlを含有する。また、Alは時効処理において脆性なω相析出を抑制しα相の析出を促進させる効果もある。2.5%未満では強度上昇およびω相抑制の効果が十分得られない。5.0%を超える場合はβ相単相の状態で硬くなりすぎてしまい冷間加工性を低下させる。好ましくは4.5%以下である。
Snは上記のAlと同様な作用があるが、Alほど固溶強化能が大きくないため、Alに代わりSnに置き換えることにより、冷間加工性を損なわずに強化することができる。0.5%未満では含有量が少ないため、強化が乏しくなる。4.0%を超える場合は、Alを下限の2.5%としてもβ相単相の状態で硬くなりすぎてしまい冷間加工性を低下させる。
Crは共析反応型の元素であり、β相を安定化させ冷間加工性を確保する上で有効な元素である。しかし、4.0%を超えるとβ相が安定しすぎてα相が析出しにくくなるため、時効処理に要する時間が長くなり、さらに時効処理による強化が十分得られない。好ましくは3.5%以下である。
Oは固溶強化能力が高い元素である。0.05%未満では強度が不十分である。好ましくは0.06%以上である。一方、0.15%を越えると強度が高くなりすぎて成形加工性を著しく低下させてしまう。好ましくは0.14%以下である。
2.硬質層
・表面から深さ10μmの硬さ/板厚中心の硬さが1.2以上
本発明では、表面から深さ10μmの硬さを硬質層の硬さとみなす。表面から深さ10μmの硬さ/板厚中心の硬さが1.2未満、すなわち表面の硬さと板厚中心の硬さが近い値になると面圧が高くなり表面が塑性変形しやすくなるため、型かじりが生じやすくなってしまう。上限値は特に限定されないが、硬質層の硬度が高すぎることによる成形性の劣化を抑制するため、硬さの比が2.0以下であることが好ましい。硬質層の硬度は、面圧を下げて型かじりを抑制する観点から、300HV以上であることが好ましい。
硬質層の厚さが板厚の10%/片面より厚いと、表層から内部への硬度分布の勾配が小さくなり、型かじりが生じる。よって、上限値は板厚の10%/片面とする。一方、硬質層の厚さが薄すぎると型かじりを抑制するため、下限値は板厚の2.0%/片面とする。硬質層の膜厚はチタン板の板厚にもよるが、10〜100μm程度でよい。
本発明のβ型チタン合金板は表面に硬質層を有する。本発明で規定する硬質層は酸素が固溶した層であることが望ましい。硬質層が「酸素が固溶した」層である理由は以下の通りである。
本発明のチタン板は主に板熱交換器などの用途に利用される。このため、0.3〜1.5mm程度の板厚であればよい。
(1)熱間圧延、焼鈍、冷間圧延
熱間圧延に供する母材は真空アーク溶解(VAR)もしくは電子ビーム溶解(EBR)にて製造する。得られた鋳塊は必要であれば表面の切削などを行い、800〜1100℃程度に加熱して熱間加工を行う。熱間加工は熱間鍛造、熱間圧延(分塊圧延も含む)をさす。必要に応じて表面切削などを行い、800〜1100℃程度の温度範囲に加熱し、圧下率50%以上の熱間圧延を行い、熱延板を製造する。その後、熱延板を850〜1000℃の範囲で焼鈍し、ショットブラスト、硝ふっ酸酸洗などの従来と同様の酸洗処理を行い、スケールを除去する。そして、圧延率が75〜95%の冷間加工を行い0.3〜1.5mmの冷延板を製造する。
冷延板を焼鈍(熱処理)する温度は、β変態温度以上880℃以下である。β変態温度以上でないとα相が析出し延性が低下するとともに硬化層の硬さが高まらない。また、880℃以下でないと酸素が固溶した硬質層が厚くなってしまい型かじりが発生しやすくなる。
焼鈍後はスケールを除去するため、NaOHを主成分としたソルトでスケールを改質し、硝ふっ酸溶液で酸洗する。スケールが存在すると前述の通り延性の低下や金型の摩耗を招くため、スケールは除去する必要がある。
表1に示す組成のチタン合金を、水冷銅るつぼの消耗電極式真空アーク溶解にて鋳塊を製造し、この鋳塊を800〜1100℃の範囲での熱間鍛造、熱間圧延にてコイルにした後、850〜1000℃の範囲で熱延コイル焼鈍し、ショットブラスト、硝ふっ酸酸洗により脱スケールを行った。これを圧下率が68〜82%の範囲で厚さ1.0または0.8mmまで冷間圧延した後、大気中で焼鈍し、ソルト処理、硝ふっ酸酸洗により脱スケールを行った。冷間圧延後の焼鈍条件、ソルト処理条件、硝ふっ酸酸洗条件は以下の通りである。
・ソルト条件:480〜550℃×15s
・硝ふっ酸酸洗:硝酸濃度(6、9、12mass%)、ふっ酸濃度(0.5、2、5mass%)、40℃×60s
2.評価方法
脱スケール後のチタン合金板について、冷間加工性、硬度および型かじりの有無の評価を行った。詳細は以下の通りである。
Claims (1)
- 質量%で、V:14〜25%、Al:2.5〜5%、Sn:0.5〜4%、Cr:4%以下を含有し、残部はTiおよび不純物からなり、表面に酸素が固溶した硬質層を有し、前記硬質層の酸素濃度は2.5%以上5.0%以下であり、表面から深さ10μmでの硬さが板厚中心の硬さの1.2倍以上1.6倍以下であり、前記硬質層の厚さが板厚の2.0〜10%/片面であることを特徴とするβ型チタン合金板。
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