JP6543745B2 - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ハイブリッド車両の制御装置に関する。
特許文献1には、バッテリが満充電時に制御装置により駆動モータに印加する電圧を減少させることにより電流を増加させる電気自動車用回生制動装置が記載されている。電流の増加により駆動モータの銅損及びインバータ内の抵抗による損失が増加し、発生した電力がジュール熱となって消費される。また、この発生した熱を放熱するために、ラジエタ、冷却ポンプ及び冷却ファンが備えられている。この装置によれば、回生電力をバッテリに返還できないほぼ満充電時において、発生した電力を駆動モータ内部にて発熱・消費させ、不足する回生制動力を補うことができる。
また、特許文献2には、車両に搭載されたエンジンに駆動されるモータ発電機と、モータ発電機の発電した電力により充電されるバッテリと、バッテリ又はモータ発電機から電力供給を受けて駆動力を発生すると共に車両を回生制動し得るように構成された駆動用モータと、回生制動時にバッテリの端子電圧が第一の所定値を超えたとき、駆動用モータから出力される回生電力の一部をモータ発電機に供給してエンジンを駆動させるエンジン逆駆動手段(インバータコントローラ)とを備えて構成されたハイブリッド電気自動車用回生制御装置が記載されている。この装置によれば、回生電力を全てバッテリに充電できない場合であっても回生制動を継続できる。
特許第3156340号公報 特開2006−280161号公報 特許第3505826号公報 特許第5324015号公報 特開2014−103771号公報 特開2010−143511号公報
上記説明した特許文献1に記載の装置は、バッテリがほぼ満充電時において、駆動モータ入力電圧を通常よりも低く制御することで駆動モータに流れる電流が増加し、電流の増加によって駆動モータが発熱することで、電力消費を行う。このように、この装置では、駆動モータの発熱量を増すことで余剰な回生電力を消費している。したがって、駆動モータ単体で回生電力の余剰分を消費する必要がある。
一方、上記説明した特許文献2に記載の装置では、回生電力を全てバッテリに充電できない場合であっても、回生制動を継続するために、駆動用モータから出力される回生電力の一部をモータ発電機に供給してエンジンを駆動させている。また、回生制動時にバッテリの端子電圧が上昇すると、余剰な回生電力を消費するために、エンジンの回転数を上昇させることによってエンジン負荷を増大させる。しかし、エンジンの回転数が上昇すると騒音及び振動が大きくなるため、NV(Noise Vibration)性能が低下する。
本発明の目的は、ハイブリッド車両の制動時に蓄電器が回生電力を充電できない状態であっても高いNV性能を実現可能なハイブリッド車両の制御装置を提供することである。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、
内燃機関(例えば、後述の実施形態でのエンジンENG)と、
前記内燃機関の動力によって発電する第1モータジェネレータ(例えば、後述の実施形態での第1モータジェネレータMG1)と、
蓄電器(例えば、後述の実施形態での高圧バッテリBATh)と、
前記蓄電器及び前記第1モータジェネレータの少なくとも一方からの電力供給によって駆動する第2モータジェネレータ(例えば、後述の実施形態での第2モータジェネレータMG2)と、
前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータの入出力電圧(例えば、後述の実施形態でのV2電圧)を昇圧する昇圧器(例えば、後述の実施形態でのVCU101)と、
前記蓄電器及び前記第1モータジェネレータの少なくとも一方からの電力供給によって駆動する補機(例えば、後述の実施形態での補機105)と、
を備えたハイブリッド車両の制御装置(例えば、後述の実施形態でのコントローラ部103)であって、
前記ハイブリッド車両の制動時に前記第2モータジェネレータを発電機として作動して得られた回生電力によって前記第1モータジェネレータを電動機として駆動し、前記第1モータジェネレータの負荷を前記内燃機関とする際、前記昇圧器が前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータの入出力電圧を昇圧することによって拡大した非効率的な動作点で前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータが駆動するよう前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータを制御し、
前記回生電力のうち、前記補機に供給される電力と、前記蓄電器に供給される電力と、前記第2モータジェネレータを非効率な動作点で駆動する電力と、前記内燃機関を負荷として前記第1モータジェネレータを駆動する電力と、で消費しきれない分の電力を、前記第1モータジェネレータを非効率な動作点で駆動することによって消費する。
請求項2に記載の発明は、
内燃機関(例えば、後述の実施形態でのエンジンENG)と、
前記内燃機関の動力によって発電する第1モータジェネレータ(例えば、後述の実施形態での第1モータジェネレータMG1)と、
蓄電器(例えば、後述の実施形態での高圧バッテリBATh)と、
前記蓄電器及び前記第1モータジェネレータの少なくとも一方からの電力供給によって駆動する第2モータジェネレータ(例えば、後述の実施形態での第2モータジェネレータMG2)と、
前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータの入出力電圧(例えば、後述の実施形態でのV2電圧)を昇圧する昇圧器(例えば、後述の実施形態でのVCU101)と、
運転者によるブレーキペダルの操作に応じてハイブリッド車両を制動する電動サーボブレーキ(例えば、後述の実施形態での電動サーボブレーキESB)と、
を備えたハイブリッド車両の制御装置(例えば、後述の実施形態でのコントローラ部103)であって、
前記ハイブリッド車両の制動時に前記第2モータジェネレータを発電機として作動して得られた回生電力によって前記第1モータジェネレータを電動機として駆動し、前記第1モータジェネレータの負荷を前記内燃機関とする際、前記昇圧器が前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータの入出力電圧を昇圧することによって拡大した非効率的な動作点で前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータが駆動するよう前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータを制御し、
前記回生電力のうち、前記第2モータジェネレータを非効率な動作点で駆動する電力と、前記内燃機関を負荷として前記第1モータジェネレータを駆動する電力と、前記第1モータジェネレータを非効率な動作点で駆動する電力と、で消費しきれない分の電力を、前記電動サーボブレーキに供給することによって消費する。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、
前記ハイブリッド車両の制御装置は、前記蓄電器及び前記第1モータジェネレータの少なくとも一方からの電力供給によって駆動する補機(例えば、後述の実施形態での補機105)を備え、
前記回生電力のうち、前記補機に供給される電力と、前記蓄電器に供給される電力と、前記第2モータジェネレータを非効率な動作点で駆動する電力と、前記内燃機関を負荷として前記第1モータジェネレータを駆動する電力と、前記第1モータジェネレータを非効率な動作点で駆動する電力と、で消費しきれない分の電力を、前記電動サーボブレーキに供給することによって消費する。
請求項に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明において、
前記第1モータジェネレータを電動機として、前記第2モータジェネレータを発電機として駆動する際、前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータに対し強め界磁制御を行う。
請求項に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の発明において、
前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータの各々の入力電圧は、供給可能な最大電流による制約及び印加される電圧による制約の範囲内で取り得る最大の電圧である。
請求項1及び請求項2に記載の発明によれば、第1モータジェネレータの入力電圧を昇圧することによって、第1モータジェネレータの運転可能範囲を拡大することができる。この拡大された運転可能範囲内の非効率的な動作点で第1モータジェネレータを駆動すれば、第1モータジェネレータの電流の振幅を増大できるため、第1モータジェネレータでの消費電力を上げることができる。第1モータジェネレータでの消費電力を上げれば、第1モータジェネレータによって逆駆動される内燃機関の回転数を低く抑えることができる。このように、内燃機関の回転に伴う騒音及び振動を低減できるため、制動力を下げることなく、ハイブリッド車両のNV(Noise Vibration)性能を向上できる。また、内燃機関の回転数を抑えることによって、内燃機関に対する負荷を低減できる。
さらに、非効率的な動作点で前記第2モータジェネレータが駆動するよう制御することにより、第2モータジェネレータでの電力消費が発生し、回生電力を効率的に消費することができる。
シリーズ方式のHEV(ハイブリッド車両)の内部構成を示すブロック図である。 高圧バッテリ、VCU、第1インバータ、第2インバータ、第1モータジェネレータ及び第2モータジェネレータの関係を示す電気回路図である。 ハイブリッド車両の制動時に、第2モータジェネレータが発生した回生電力によって第1モータジェネレータを電動機として駆動する場合のエネルギーの流れを示す説明図である。 第2モータジェネレータが発生した回生電力によって第1モータジェネレータを電動機として駆動してエンジンを逆駆動する際に、非効率制御を行う場合と行わない場合の第1モータジェネレータで消費される電力とエンジンの回転数の変位の一例を示す説明図である。 第2モータジェネレータが発生した回生電力によって第1モータジェネレータを電動機として駆動してエンジンを逆駆動する際に、非効率制御を行う場合と行わない場合の第1モータジェネレータで消費される電力とエンジンの回転数の関係の一例を示す説明図である。 dq軸電流ベクトル空間におけるモータジェネレータの動作点の電流による制約と電圧による制約を示す図である。 強め界磁制御を行う前後のモータジェネレータの動作点の遷移を示す図である。 非効率制御を行う際のモータジェネレータの目標動作点と最大電流Imaxの定電流円との関係の一例を示す図である。 非効率制御を行う際のモータジェネレータの目標動作点と最大電流Imaxの定電流円との関係の他の例を示す図である。 コントローラ部がモータジェネレータの目標動作点及び目標V2電圧を算出する際の手順を示すフローチャートである。 Bレンジが選択されている場合及びDレンジが選択されている場合のハイブリッド車両の降坂時の変位を示す説明図である。 ハイブリッド車両の制動時に第2モータジェネレータが発生した回生電力のケース1における消費形態を示す説明図である。 ハイブリッド車両の制動時に第2モータジェネレータが発生した回生電力のケース2における消費形態を示す説明図である。 ハイブリッド車両の制動時に第2モータジェネレータが発生した回生電力のケース3における消費形態を示す説明図である。 ハイブリッド車両の制動時に第2モータジェネレータが発生した回生電力のケース4における消費形態を示す説明図である。 ハイブリッド車両の制動時に第2モータジェネレータが発生した回生電力のケース5における消費形態を示す説明図である。 ハイブリッド車両の制動時に第2モータジェネレータが発生した回生電力のケース6における消費形態を示す説明図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
HEV(Hybrid Electrical Vehicle:ハイブリッド電気自動車)は、モータジェネレータ及びエンジンを備え、車両の走行状態に応じてモータジェネレータ及び/又はエンジンの駆動力によって走行する。HEVには、大きく分けてシリーズ方式とパラレル方式の2種類がある。シリーズ方式のHEVは、モータジェネレータの動力によって走行する。エンジンは主に発電のために用いられ、エンジンの動力によって別のモータジェネレータで発電された電力はバッテリに充電されるか、モータジェネレータに供給される。一方、パラレル方式のHEVは、モータジェネレータ及びエンジンのいずれか一方又は双方の駆動力によって走行する。
(構成)
図1は、シリーズ方式のHEVの内部構成を示すブロック図である。図1に示すように、シリーズ方式のHEV(以下、「ハイブリッド車両」という)は、エンジンENGと、第1モータジェネレータMG1と、第2モータジェネレータMG2と、高圧バッテリBAThと、コンバータCONVと、低圧バッテリBATlと、VCU(Voltage Control Unit)101と、第1インバータINV1と、第2インバータINV2と、電動サーボブレーキESBと、コントローラ部103とを備える。なお、図1中の太い実線は機械連結を示し、二重点線は電力配線を示し、細い実線は制御信号を示す。
エンジンENGは、第1モータジェネレータMG1を発電機として駆動する。また、エンジンENGは、ハイブリッド車両の制動時に電動機として動作する第1モータジェネレータMG1の負荷としても機能する。第1モータジェネレータMG1は、エンジンENGの動力によって駆動され、電力を発生する。また、第1モータジェネレータMG1は、ハイブリッド車両の制動時には電動機として動作し得る。第2モータジェネレータMG2は、高圧バッテリ及び第1モータジェネレータMG1の少なくとも一方からの電力供給によって電動機として動作し、前記ハイブリッド車両が走行するための動力を発生する。第2モータジェネレータMG2で発生したトルクは、減速機Dを介して駆動輪Wに伝達される。また、第2モータジェネレータMG2は、ハイブリッド車両の制動時には発電機として動作する。
高圧バッテリBAThは、直列に接続された複数の蓄電セルを有し、例えば100〜200Vの高電圧を供給する。蓄電セルは、例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池である。コンバータCONVは、高圧バッテリBAThの直流出力電圧を直流のまま降圧する。低圧バッテリBATlは、コンバータCONVによって降圧された電圧を蓄電し、例えば12Vの定電圧を補機105に含まれる電装品107に供給する。
VCU101は、第2モータジェネレータMG2が電動機として動作する際の第2モータジェネレータMG2の入力電圧を昇圧する。また、VCU101は、ハイブリッド車両の制動時に第2モータジェネレータMG2が発電機として動作する際の第2モータジェネレータMG2の出力電圧を昇圧する。なお、第2モータジェネレータMG2の出力電圧を昇圧する際には、高圧バッテリBAThの出力が用いられる。さらに、VCU101は、ハイブリッド車両の制動時に第2モータジェネレータMG2が発電して直流に変換された電力や、エンジンENGの駆動によって第1モータジェネレータMG1が発電して直流に変換された電力を降圧する。VCU101によって降圧された電力は、補機105に含まれる電動エアコンコンプレッサー109に供給されるか、高圧バッテリBAThに充電される。
図2は、高圧バッテリBATh、VCU101、第1インバータINV1、第2インバータINV2、第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2の関係を示す電気回路図である。図2に示すように、VCU101は、高圧バッテリBAThが出力するV1電圧を入力電圧として2つのスイッチング素子をオンオフ切換動作することによって、出力側のV2電圧をV1電圧よりも高い電圧に昇圧する。なお、VCU101の2つのスイッチング素子がオンオフ切換動作しないときのV2電圧はV1電圧に等しい。
第1インバータINV1は、エンジンENGの駆動によって第1モータジェネレータMG1が発電した交流電圧を直流電圧に変換する。また、第1インバータINV1は、ハイブリッド車両の制動時に第2モータジェネレータMG2で発電され第2インバータINV2によって変換された直流電圧を交流電圧に変換して3相電流を第1モータジェネレータMG1に供給する。第2インバータINV2は、直流電圧を交流電圧に変換して3相電流を第2モータジェネレータMG2に供給する。また、第2インバータINV2は、ハイブリッド車両の制動時に第2モータジェネレータMG2が発電した交流電圧を直流電圧に変換する。
電動サーボブレーキESBは、ハイブリッド車両の運転者によるブレーキペダルの操作に応じて制御される油圧によって、ハイブリッド車両を制動する。
コントローラ部103は、第1インバータINV1、第2インバータINV2、VCU101、エンジンENG、電動サーボブレーキESB及び補機105の制御を行う。コントローラ部103の詳細については後述する。
(作用)
本実施形態では、ハイブリッド車両の制動時に、第2モータジェネレータMG2を発電機として作動する回生ブレーキを利用する。但し、高圧バッテリBAThが満充電であるために、第2モータジェネレータMG2が発生した回生電力を高圧バッテリBAThに充電できない場合には、この回生電力によって第1モータジェネレータMG1を電動機として駆動し、第1モータジェネレータMG1の負荷をエンジンENGとする。図3は、ハイブリッド車両の制動時に、第2モータジェネレータMG2が発生した回生電力によって第1モータジェネレータMG1を電動機として駆動する場合のエネルギーの流れを示す説明図である。
本実施形態では、図3に示すように、第1モータジェネレータMG1を力行運転してエンジンENGを逆駆動する際、第1モータジェネレータMG1に印加するV2電圧をVCU101が昇圧し、第1モータジェネレータMG1のd軸電流が正の値に大きくなるよう強め界磁制御を行うことによって、第1モータジェネレータMG1を非効率的な動作点で駆動する。なお、第1モータジェネレータMG1に印加するV2電圧を昇圧することによって、第1モータジェネレータMG1の運転可能範囲は拡大する。また、強め界磁制御が行われた第1モータジェネレータMG1では、出力効率が低下して、主に銅損による発熱量が増加する。以下の説明では、力行運転する第1モータジェネレータMG1に印加するV2電圧の昇圧と第1モータジェネレータMG1の強め界磁制御をまとめて「非効率制御」という。
図4は、第2モータジェネレータMG2が発生した回生電力によって第1モータジェネレータMG1を電動機として駆動してエンジンENGを逆駆動する際に、非効率制御を行う場合と行わない場合の第1モータジェネレータMG1で消費される電力とエンジンENGの回転数の変位の一例を示す説明図である。また、図5は、第2モータジェネレータMG2が発生した回生電力によって第1モータジェネレータMG1を電動機として駆動してエンジンENGを逆駆動する際に、非効率制御を行う場合と行わない場合の第1モータジェネレータMG1で消費される電力とエンジンENGの回転数の関係の一例を示す説明図である。図4に示すように、非効率制御を行った方が第1モータジェネレータMG1で消費される電力量は大きく、エンジンENGの回転数(エンジン回転数)Neは低く抑えられる。例えば、図5に示すように、第1モータジェネレータMG1で電力量P3が消費されるために、非効率制御を行わなければエンジン回転数NeをNeT3まで上げる必要があるが、非効率制御を行えばエンジン回転数NeをNeT3よりも低いNeT3´まで上げれば十分である。また、非効率制御を行わずに第1モータジェネレータMG1がエンジンENGを逆駆動すると、所定の回転数とトルク(∝消費電力/回転数)での運転領域ではエンジンENGの共振等によって異音や振動が発生するが、非効率制御を行えばこういった異音発生領域を避けて第1モータジェネレータMG1はエンジンENGを逆駆動することができる。
次に、非効率制御を行う場合のdq軸座標上の第1モータジェネレータMG1を代表とするモータジェネレータの動作点及びモータジェネレータに印加されるV2電圧について説明する。
モータジェネレータの動作点の範囲は、このモータジェネレータに供給可能な最大電流Imaxとモータジェネレータに印加される電圧によって制約される。モータジェネレータの電流(Id,Iq)の振幅は、最大電流Imaxによって制約されるため、式(1)を満たす必要がある。
Figure 0006543745
また、モータジェネレータの誘起電圧(Vdo,Vqo)は式(2)で表される。
Figure 0006543745

但し、Ld,Lq:dq軸インダクタンス、ω:モータジェネレータの角速度、ψa:鎖交磁束である。
式(2)よりdq誘起電圧(d軸電機子に生じる誘起電圧とq軸電機子に生じる誘起電圧のベクトル和の大きさ)Voは、式(3)で表せる。
Figure 0006543745

このとき、図2に示したV2電圧の制限電圧をVom(VomはV2電圧によって決まり、関係式はVCU101の制御の変調方式によって変わる)とすると、式(4)に示すように、dq誘起電圧Voは制限電圧Vom以下である必要がある。
Figure 0006543745

すなわち、式(3)と式(4)により、モータジェネレータの動作点の範囲には電圧による制約があるため、式(5)を満たす必要がある。
Figure 0006543745
このように、モータジェネレータの動作の電流による制約は式(1)で表され、式(1)は、図6に示すdq軸電流ベクトル空間上の定電流円の内部領域によって表される。また、モータジェネレータの動作の電圧による制約は式(5)で表され、式(5)は、図6に示すdq軸電流ベクトル空間上の定電圧楕円の内部領域によって表される。モータジェネレータに供給可能な電流の範囲は、式(1)かつ式(5)を満たす範囲であり、この範囲は図6にハッチングした領域で示される。
一方、モータジェネレータのトルクTは式(6)で表される。
Figure 0006543745

但し、Pn:モータジェネレータの極対数である。
この式(6)を変形した定トルク曲線を表す式は、式(7)で表される。
Figure 0006543745

この式(7)は、Id=ψa/(Lq−Ld),Iq=0を漸近線とする双曲線である。
ところで、非効率制御を行わないモータジェネレータの動作点の制御では、例えば、電流に対するトルクが最大となる最大トルク制御(動作点における定トルク曲線の接線と電流ベクトルが直交する制御)や、銅損だけでなく鉄損等を考慮した損失が最小となる最大効率制御(動作点は最大トルク制御よりも進み位相、すなわちd軸電流を負の方向へ移動させることが多い)が行われる。すなわち、図7に示した例では、点線の丸印で示した動作点でモータジェネレータは駆動する。
これに対し、本実施形態で行う非効率制御では、図7に示すようにモータジェネレータのd軸電流が正の値に大きくなるよう強め界磁制御を行い、モータジェネレータに印加するV2電圧を上げることによってモータジェネレータの電流(Id,Iq)の振幅が増大するよう、モータジェネレータの動作点を移動させる。モータジェネレータの負荷であるエンジンの逆駆動に要するトルクは、エンジン回転数Neや温度等に伴って変化するオイル粘度等に応じたフリクションによって決まるが、定性的には、当該トルクが小さいときは定トルク曲線が漸近線に近づくため、d軸電流を正の方向に移動させやすい。また、V2電圧の制限電圧Vomが大きく、モータジェネレータの角速度ωが小さいときには、定電圧楕円の面積が大きくなるため、モータジェネレータの電流(Id,Iq)の振幅を増大させやすい。このため、V2電圧の制限電圧Vom及びモータジェネレータの角速度ωを適切に制御すれば、モータジェネレータの非効率制御を効率的に行うことができる。
ここで、モータジェネレータの角速度ωは、モータジェネレータの負荷であるエンジンENGの回転数Neに比例する値である。エンジンENGの逆駆動による騒音及び振動を抑制するためには、低回転及び異音発生領域での運転を避けることが望まれるが、本実施形態では、非効率制御を行うことによってエンジンの逆駆動を低速化できるが、エンジンの逆駆動を低速化するとモータジェネレータの角速度ωも小さくなる。したがって、モータジェネレータの角速度ωを小さくするためには、制限電圧Vom、すなわちV2電圧を制御することが重要である。
ここで、VCU101におけるスイッチング制御の変調方式によって決まる定数をkとすると、式(8)が与えられる。
Figure 0006543745

さらに、エンジンENGの目標回転数をNe_cとし、目標回転数Ne_cから換算されるモータジェネレータの目標角速度をω_cとすると、図6に示した定電圧楕円は式(9)によって表される。
Figure 0006543745
目標回転数Ne_cから決まるエンジンENGの逆駆動トルクをT_cとすると、定トルク曲線は式(10)で表される。
Figure 0006543745

また、非効率制御を行うことによるモータジェネレータでの銅損による消費電力P_cは、式(11)で表される。
Figure 0006543745

但し、Ra:モータジェネレータの相巻線抵抗である。
式(10)と式(11)の交点は、これら2式による四次方程式の解であり、代数的に求められるが、モータジェネレータが逆突極型であれば、図7に示すように、力行時にはq軸電流が最大となる解(Id_c,Iq_c)、回生時にはq軸電流が最小となる解(Id_c,Iq_c)が、非効率制御を行う際のモータジェネレータが消費電力P_cを満たすためのdq電流として表される。
上記交点(Id_c,Iq_c)が式(1)を満たすとき、すなわち、図8に示すように「Id_c+Iq_c≦Imax」であるとき、非効率制御を行う際のモータジェネレータの目標動作点は、最大電流Imaxの定電流円によっては制約を受けず、目標定電圧楕円によって制約を受ける。したがって、この交点を動作点とする電流ベクトルを与えるためのV2電圧が必要である。このときのV2電圧が、最大電流Imaxの定電流円による制約及び目標定電圧楕円による制約の範囲内で取り得る最大の電圧、すなわち目標V2電圧V2_cである。
一方、上記交点(Id_c,Iq_c)が式(1)を満たさないとき、すなわち、図9に示すように「Id_c+Iq_c>Imax」であるとき、非効率制御を行う際のモータジェネレータの目標動作点は、最大電流Imaxの定電流円によって制約を受ける。この場合、モータジェネレータを目標動作点(Id_c,Iq_c)で駆動することはできないため、式(1´)を満たす目標動作点(Id_i,Iq_i)で駆動するのが最適である。
Id_i+Iq_i=Imax …(1´)
式(1´)は定電流円の円周を表すため、変更後の目標動作点(Id_i,Iq_i)は、式(10)と式(1´)の交点として表される。式(10)と式(1´)の交点は、これら2式による四次方程式の解であり、代数的に求められるが、モータジェネレータが逆突極型であれば、図9に示すように、力行時にはq軸電流が最大となる解(Id_i,Iq_i)であり、回生時にはq軸電流が最小となる解(Id_i,Iq_i)が、非効率制御を行う際のモータジェネレータが最大限に電力を消費するためのdq電流として表される。この交点によって表されるモータジェネレータの変更後の目標動作点は、変更後の目標定電圧楕円によって制約を受ける。したがって、この交点を動作点とする電流ベクトルを与えるためのV2電圧が必要である。このときのV2電圧が、最大電流Imaxの定電流円による制約及び目標定電圧楕円による制約の範囲内で取り得る最大の電圧、すなわち目標V2電圧V2_cである。
目標V2電圧V2_cは、式(9)を変形した式(9´)によって表される。
Figure 0006543745
図8に示したようにモータジェネレータの目標動作点(Id_c,Iq_c)が電流の制約を受けないときは、式(9´)の(Id,Iq)に(Id_c,Iq_c)を代入して、式(12)から目標V2電圧V2_cが算出される。
Figure 0006543745
また、図9に示したようにモータジェネレータの目標動作点(Id_c,Iq_c)が電流の制約を受けるときは、式(9´)の(Id,Iq)に(Id_i,Iq_i)を代入して、式(13)から目標V2電圧V2_cが算出される。
Figure 0006543745
さらに、V2電圧はモータジェネレータに印加可能な最大電圧Vmax以下である必要があるため、式(12)又は式(13)から算出された目標V2電圧V2_cが最大電圧Vmaxを超える場合は、目標V2電圧V2_cに式(14)が設定される。
Figure 0006543745
なお、式(13)又は式(14)から得られた目標V2電圧V2_cでは所望の消費電力P_cを非効率制御によって賄えないため、消費しきれない分の電力を電動サーボブレーキESBが消費する。
次に、コントローラ部103によるモータジェネレータの目標動作点及び目標V2電圧の算出方法について説明する。図10は、コントローラ部103がモータジェネレータの目標動作点及び目標V2電圧を算出する際の手順を示すフローチャートである。図10に示すように、コントローラ部103は、ハイブリッド車両の制動時にエンジンENGを逆駆動するモータジェネレータに要求される消費電力を、ブレーキペダルの踏力等に基づいて導出する(ステップS101)。次に、コントローラ部103は、ステップS101で導出した要求消費電力に応じたエンジンENGの目標回転数Ne_cを算出する(ステップS103)。次に、コントローラ部103は、ステップS103で算出した目標回転数Ne_cから換算されるモータジェネレータの目標角速度をω_cを算出する(ステップS105)。
次に、コントローラ部103は、ステップS103で算出したエンジンENGの目標回転数Ne_cから決まるエンジンENGの逆駆動トルクT_cに応じた定トルク曲線(式(10)と、非効率制御を行うことによるモータジェネレータでの銅損による消費電力P_c(式(11))とに基づいて、モータジェネレータの目標動作点(Id_c,Iq_c)を算出する(ステップS107)。次に、コントローラ部103は、目標動作点(Id_c,Iq_c)でモータジェネレータを駆動した場合の電流の振幅が、このモータジェネレータに供給可能な最大電流Imax以下(Id_c+Iq_c≦Imax)であるかを判断し(ステップS109)、Id_c+Iq_c≦ImaxであればステップS111に進み、Id_c+Iq_c>ImaxであればステップS121に進む。
ステップS111では、コントローラ部103は、モータジェネレータの目標動作点をステップS107で算出した目標動作点(Id_c,Iq_c)に決定する。次に、コントローラ部103は、式(12)から目標V2電圧V2_cを算出する(ステップS113)。次に、コントローラ部103は、ステップS113で算出した目標V2電圧V2_cがモータジェネレータに印加可能な最大電圧Vmax以下(V2_c≦Vmax)であるかを判断し(ステップS115)、V2_c≦VmaxであればステップS117に進み、V2_c>VmaxであればステップS119に進む。
ステップS117では、コントローラ部103は、目標V2電圧V2_cをステップS113で式(12)から算出した値に決定する。また、ステップS119では、コントローラ部103は、ステップS113で式(12)から算出した値を取り消して、目標V2電圧V2_cを最大電圧Vmaxに決定する。
一方、ステップS121では、コントローラ部103は、モータジェネレータの目標動作点を、同一の定トルク曲線(式(10))上における「Id_i+Iq_i=Imax」の条件を満たす目標動作点(Id_i,Iq_i)に変更する。次に、コントローラ部103は、式(13)から目標V2電圧V2_cを算出する(ステップS123)。次に、コントローラ部103は、ステップS123で算出した目標V2電圧V2_cがモータジェネレータに印加可能な最大電圧Vmax以下(V2_c≦Vmax)であるかを判断し(ステップS125)、V2_c≦VmaxであればステップS127に進み、V2_c>VmaxであればステップS119に進む。ステップS127では、コントローラ部103は、目標V2電圧V2_cをステップS123で式(13)から算出した値に決定する。
以上説明したように、本実施形態では、ハイブリッド車両の制動時に第2モータジェネレータMG2が発生した回生電力によって第1モータジェネレータMG1を力行運転してエンジンENGを逆駆動する際、第1モータジェネレータMG1に印加するV2電圧をVCU101が目標V2電圧V2_cまで昇圧し、第1モータジェネレータMG1の強め界磁制御を行うことによって、第1モータジェネレータMG1の非効率制御を行う。この非効率制御を行うにあたり、第1モータジェネレータMG1に印加するV2電圧を目標V2電圧V2_cまで昇圧することによって、V2電圧によって制約される第1モータジェネレータMG1の運転可能範囲を拡大することができる。この場合、モータジェネレータの電流(Id,Iq)の振幅を増大できるため、第1モータジェネレータMG1での消費電力を上げることができる。このように、非効率制御を行うことによって第1モータジェネレータMG1での消費電力を上げることができれば、図4及び図5に示すように、第1モータジェネレータMG1によって逆駆動されるエンジンENGの回転数を、非効率制御を行わない場合と比較して低く抑えることができる。このように、エンジンENGの回転に伴う騒音及び振動を低減できるため、非効率制御を行わない場合と同じ制動力を実現しつつ、ハイブリッド車両のNV(Noise Vibration)性能を向上できる。また、エンジンENGの回転数を抑えることによって、エンジンENGに対する負荷を低減できる。
また、非効率制御が行われる第1モータジェネレータMG1では、動作点におけるd軸電流が正の値に大きくなるよう強め界磁制御を行うことによって、出力効率が低下して、主に銅損による発熱量が増加する。その結果、第1モータジェネレータMG1での電力消費が増大する。また、第1モータジェネレータMG1の強め界磁制御を行うことによって、第1モータジェネレータMG1におけるスラスト方向のロータの変動を抑制することができる。なお、強め界磁制御が行われる第1モータジェネレータMG1では、図示しない電機子による磁束が磁石界磁を強める方向に働くため、磁石減磁が発生しにくい。磁石の減磁耐力は高温時には低下するが、強め界磁制御を行えば第1モータジェネレータMG1のコイルや磁石が高温となっても、磁石に反磁界を与えず、着磁する方向の磁界を与える。このため、強め界磁制御が行われる第1モータジェネレータMG1では、磁石減磁の耐性が向上する。
また、VCU101によって昇圧されたV2電圧が大きいほど第1モータジェネレータMG1での消費電力を上げることができるため、目標V2電圧V2_cとしては取り得る最大のV2電圧が望ましい。取り得る最大の目標V2電圧V2_cとは、図8に示した場合では目標定電圧楕円と定トルク曲線が交わる目標動作点で第1モータジェネレータMG1を駆動するためのV2電圧であり、図9に示した場合では最大電流Imaxの定電流円によって制約を受けた変更後の目標動作点で第1モータジェネレータMG1を駆動するためのV2電圧である。
但し、第1モータジェネレータMG1によってエンジンENGが低回転数で逆駆動されると、エンジントルク変動を原因とする機械系ねじり共振やエンジン懸架系共振等による低周波こもり音(数十Hz〜百数十Hz)が発生するため、逆駆動時であってもエンジンENGの回転数は図5に示す最低Ne条件より高い回転数に保つ必要がある。したがって、第1モータジェネレータMG1に要求される消費電力が小さい場合には、エンジンENGの回転数は最低Ne条件より高い回転数に保たれるため、目標V2電圧V2_cは必ずしも最大値である必要はない。このように、目標V2電圧V2_cを適切な値に決定することによって、NV性能をさらに向上できる。
[実施例1:降坂時の非効率制御の実施]
図1に示したハイブリッド車両には、シフトレバー111の位置によって選択されるシフトレンジとして、駐車レンジに駐車レンジに対応する「Pレンジ」と、ニュートラルレンジに対応する「Nレンジ」と、後退走行レンジに対応する「Rレンジ」と、第1前進走行レンジに対応する「Dレンジ」と、第2前進走行レンジに対応する「Bレンジ」とが設けられている。Dレンジ及びBレンジは、いずれもシフトレンジとしての前進走行レンジである。Dレンジは、通常走行時(Bレンジ以外の走行時)に用いられる。Bレンジは、運転者がハイブリッド車両における回生量を大きくしたいと望む場合において回生量をDレンジのときよりも大きくするシフトレンジである。したがって、ハイブリッド車両の降坂時には、Dレンジのときよりも大きな回生量が得られるための制御をコントローラ部103は行う。
図11は、Bレンジが選択されている場合及びDレンジが選択されている場合のハイブリッド車両の降坂時の変位を示す説明図である。図11に示すように、ハイブリッド車両が平地を走行時に下り坂に差し掛かりアクセルペダルが戻される(AP開度←0)と、力行運転していた第2モータジェネレータMG2が回生駆動することによってハイブリッド車両には制動力が働く。このとき、高圧バッテリBAThが満充電であれば、第2モータジェネレータMG2で発生した回生電力は第1モータジェネレータMG1に供給され、コントローラ部103は、第1モータジェネレータMG1がエンジンENGを負荷とした力行運転を行うよう制御する。
このとき、Dレンジが選択されていれば、コントローラ部103は、路面勾配に応じた要求消費電力に応じて、上記説明した非効率制御を行わずに、第1モータジェネレータMG1がエンジンENGを負荷とした力行運転を行うよう第1インバータINV1を制御する。しかし、下り坂の勾配が大きくなると、エンジンENGの逆駆動にて第1モータジェネレータMG1が消費する電力では十分な制動力が得られないため、車速は増大してしまう。一方、Bレンジが選択されていれば、コントローラ部103は、路面勾配に応じた要求消費電力に応じて、上記説明した非効率制御を行って、第1モータジェネレータMG1がエンジンENGを負荷とした力行運転を行うよう第1インバータINV1及びVCU101を制御する。このとき、第1モータジェネレータMG1での消費可能電力は大きいため、下り坂の勾配が大きくなっても一定の車速を維持することができる。
以上説明したように、本実施例によれば、ハイブリッド車両の降坂時に高圧バッテリBAThが満充電であっても、Bレンジが選択されていれば非効率制御が行われるため、運転者がブレーキペダルを操作しなくても(BP開度=0)、路面勾配に応じた制動力が得られる。
[実施例2:非効率制御を行う対象と実施条件]
図1に示したハイブリッド車両には、第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2が搭載されている。また、ハイブリッド車両の制動時には、第2モータジェネレータMG2を発電機として作動する回生ブレーキを利用する。したがって、上記説明した非効率制御は、第1モータジェネレータMG1だけでなく、第2モータジェネレータMG2に対しても行うことができる。第2モータジェネレータMG2に対して非効率制御を行えば、第2モータジェネレータMG2の主に銅損による発熱量が増加して、第2モータジェネレータMG2での電力消費が発生する。
以下、ハイブリッド車両の制動時に第2モータジェネレータMG2が発生した回生電力の消費形態を、回生電力の大きさによって6つのケースに分けて図12〜図17を参照して説明する。なお、各ケースでの回生電力の消費制御はコントローラ部103によって行われる。以下の説明において、「補機消費電力」とは、図1に示した補機105によって消費される電力である。また、「バッテリ受入可能電力」とは、図1に示した高圧バッテリBAThに充電可能な電力である。
<ケース1>
回生電力≦補機消費電力
ケース1では、上記の関係が成立しているため、図12の矢印で示される回生電力を補機105が消費する。
<ケース2>
補機消費電力≦回生電力≦[補機消費電力+バッテリ受入可能電力]
ケース2では、上記の関係が成立しているため、図13の矢印で示される回生電力のうち、補機105で消費しきれない分の電力(バッテリ充電電力Cbc)を、高圧バッテリBAThに充電する。
<ケース3>
[補機消費電力+バッテリ受入可能電力]≦回生電力≦[補機消費電力+バッテリ受入可能電力+MG2非効率制御消費電力]
ケース3では、上記の関係が成立しているため、図14の矢印で示される回生電力のうち、[補機消費+バッテリ充電]で消費しきれない分の電力(MG2非効率制御消費電力Cmg2)を、第2モータジェネレータMG2の非効率制御によって消費する。
<ケース4>
[補機消費電力+バッテリ受入可能電力+MG2非効率制御消費電力]≦回生電力≦[補機消費電力+バッテリ受入可能電力+MG2非効率制御消費電力+エンジン逆駆動消費電力]
ケース4では、上記の関係が成立しているため、図15の矢印で示される回生電力のうち、[補機消費+バッテリ充電+MG2非効率制御消費]で消費しきれない分の電力(エンジン逆駆動消費電力Ceng)を、エンジンENGを負荷とした非効率制御を行わない第1モータジェネレータMG1の力行運転によって消費する。
なお、ケース4の回生電力の一部は、エンジンENGの回転数によるNV性能の観点から、後述のケース5によって消費されても良い。
<ケース5>
[補機消費電力+バッテリ受入可能電力+MG2非効率制御消費電力+エンジン逆駆動消費電力]≦回生電力≦[補機消費電力+バッテリ受入可能電力+MG2非効率制御消費電力+エンジン逆駆動消費電力+MG1非効率制御消費電力]
ケース5では、上記の関係が成立しているため、図16の矢印で示される回生電力のうち、[補機消費+バッテリ充電+MG2非効率制御消費+エンジン逆駆動消費電力]で消費しきれない分の電力(MG1非効率制御消費電力Cmg1)を、第1モータジェネレータMG1の非効率制御によって消費する。
(ケース4を行わない場合⇒[補機消費+バッテリ充電+MG2非効率制御消費]で消費しきれない分の電力(エンジン逆駆動消費電力Ceng+MG1非効率制御消費電力Cmg1)を、エンジンENGを負荷とした第1モータジェネレータMG1の力行運転と第1モータジェネレータMG1の非効率制御によって消費する。)
<ケース6>
[補機消費電力+バッテリ受入可能電力+MG2非効率制御消費電力+エンジン逆駆動消費電力+MG1非効率制御消費電力]≦回生電力
ケース6では、上記の関係が成立しているため、図17に示すように、[補機消費+バッテリ充電+MG2非効率制御消費+エンジン逆駆動消費+MG1非効率制御消費]で消費しきれない分の電力(熱消費電力Cesb)を、電動サーボブレーキESBが消費する。
以上説明したように、本実施例によれば、ハイブリッド車両の制動時に第2モータジェネレータMG2が発生する回生電力の大きさに応じて、コントローラ部103が各ケースのように制御することによって、回生電力を効率的に消費することができる。また、電動サーボブレーキESBによる電力消費は、非効率制御を含む他のコンポーネントによる電力消費によって回生電力を賄えない場合にのみ行われるため、電動サーボブレーキESBに要求される消費電力は小さい。このため、電動サーボブレーキESBの容量を抑制することができる。すなわち、ハイブリッド車両に搭載する電動サーボブレーキESBは小型のもので十分である。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。例えば、上記説明したハイブリッド車両は、シリーズ方式のHEVであるが、パラレル方式のHEVであっても、シリーズ方式とパラレル方式とを切り換え可能なHEVであっても良い。
101 VCU
103 コントローラ部
105 補機
BATh 高圧バッテリ
BATl 低圧バッテリ
CONV コンバータ
ENG エンジン
ESB 電動サーボブレーキ
INV1 第1インバータ
INV2 第2インバータ
MG1 第1モータジェネレータ
MG2 第2モータジェネレータ

Claims (5)

  1. 内燃機関と、
    前記内燃機関の動力によって発電する第1モータジェネレータと、
    蓄電器と、
    前記蓄電器及び前記第1モータジェネレータの少なくとも一方からの電力供給によって駆動する第2モータジェネレータと、
    前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータの入出力電圧を昇圧する昇圧器と、
    前記蓄電器及び前記第1モータジェネレータの少なくとも一方からの電力供給によって駆動する補機と、
    を備えたハイブリッド車両の制御装置であって、
    前記ハイブリッド車両の制動時に前記第2モータジェネレータを発電機として作動して得られた回生電力によって前記第1モータジェネレータを電動機として駆動し、前記第1モータジェネレータの負荷を前記内燃機関とする際、前記昇圧器が前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータの入出力電圧を昇圧することによって拡大した非効率的な動作点で前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータが駆動するよう前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータを制御し、
    前記回生電力のうち、前記補機に供給される電力と、前記蓄電器に供給される電力と、前記第2モータジェネレータを非効率な動作点で駆動する電力と、前記内燃機関を負荷として前記第1モータジェネレータを駆動する電力と、で消費しきれない分の電力を、前記第1モータジェネレータを非効率な動作点で駆動することによって消費する、ハイブリッド車両の制御装置。
  2. 内燃機関と、
    前記内燃機関の動力によって発電する第1モータジェネレータと、
    蓄電器と、
    前記蓄電器及び前記第1モータジェネレータの少なくとも一方からの電力供給によって駆動する第2モータジェネレータと、
    前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータの入出力電圧を昇圧する昇圧器と、
    運転者によるブレーキペダルの操作に応じてハイブリッド車両を制動する電動サーボブレーキと、
    を備えたハイブリッド車両の制御装置であって、
    前記ハイブリッド車両の制動時に前記第2モータジェネレータを発電機として作動して得られた回生電力によって前記第1モータジェネレータを電動機として駆動し、前記第1モータジェネレータの負荷を前記内燃機関とする際、前記昇圧器が前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータの入出力電圧を昇圧することによって拡大した非効率的な動作点で前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータが駆動するよう前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータを制御し、
    前記回生電力のうち、前記第2モータジェネレータを非効率な動作点で駆動する電力と、前記内燃機関を負荷として前記第1モータジェネレータを駆動する電力と、前記第1モータジェネレータを非効率な動作点で駆動する電力と、で消費しきれない分の電力を、前記電動サーボブレーキに供給することによって消費する、ハイブリッド車両の制御装置。
  3. 請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置であって、
    前記ハイブリッド車両の制御装置は、前記蓄電器及び前記第1モータジェネレータの少なくとも一方からの電力供給によって駆動する補機を備え、
    前記回生電力のうち、前記補機に供給される電力と、前記蓄電器に供給される電力と、前記第2モータジェネレータを非効率な動作点で駆動する電力と、前記内燃機関を負荷として前記第1モータジェネレータを駆動する電力と、前記第1モータジェネレータを非効率な動作点で駆動する電力と、で消費しきれない分の電力を、前記電動サーボブレーキに供給することによって消費する、ハイブリッド車両の制御装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置であって、
    前記第1モータジェネレータを電動機として、前記第2モータジェネレータを発電機として駆動する際、前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータに対し強め界磁制御を行う、ハイブリッド車両の制御装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置であって、
    前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータの各々の入力電圧は、供給可能な最大電流による制約及び印加される電圧による制約の範囲内で取り得る最大の電圧である、ハイブリッド車両の制御装置。
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