JP6541383B2 - 高流動性フライアッシュの判別方法、およびフライアッシュ混合セメントの製造方法 - Google Patents
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Description
通常、フライアッシュの流動性は、JIS A 6201「コンクリート用フライアッシュ」、およびその付属書2に記載のフロー値比により規定されている。ちなみに、フライアッシュI種、II種、III種、およびIV種のフロー値比は、それぞれ105%以上、95%以上、85%以上、および75%以上である。なお、前記フロー値比は下記式により求める。
フロー値比(%)=100×試験モルタルのフロー値/基準モルタルのフロー値
ここで、試験モルタルとは、フライアッシュ含有モルタルをいい、基準モルタルとは、フライアッシュを含有しないモルタルをいう。
したがって、フライアッシュの高流動性の有無を、フロー値比よりも簡易に判別できる手段があれば、高流動性フライアッシュが容易に得られ、流動性が向上したフライアッシュ含有コンクリートを安定的に製造できる。
したがって、フロー試験を実施しなくても、簡易に高流動性フライアッシュを判別できる方法が望まれる。
すなわち、本発明は下記の構成を有する高流動性フライアッシュの判別方法、高流動性フライアッシュ、およびフライアッシュ混合セメントである。
Rr=R1/R2 ・・・(1)
ただし、(1)式中、R1は680〜780nmの範囲から任意に選ばれる1つの波長の拡散反射率を表し、R2は380〜780nmの全範囲の波長の拡散反射率の平均値を表す。
[2]前記Rr値が1.10以上である、前記[1]に記載の高流動性フライアッシュの判別方法。
[3]前記[1]または[2]に記載の高流動性フライアッシュの判別方法を用いて、高流動性フライアッシュとして判別されたフライアッシュと、セメントを混合して、フライアッシュ混合セメントを製造する、フライアッシュ混合セメントの製造方法。
以下、本発明について、前記高流動性フライアッシュの判別方法、前記高流動性フライアッシュ、および前記フライアッシュ混合セメントに分けて説明する。
本発明の判別方法で用いる指標は、前記(1)式に示すように、380〜780nmの全範囲の波長の拡散反射率の平均値に対する、680〜780nmの範囲から任意に選ばれる1つの波長の拡散反射率の比(Rr)である。後掲の図4に示すように、680〜780nmの範囲で、Rrは一定かつ最大値(1.10)を取るから、他の範囲の波長よりも、より広い範囲の波長が選択でき、また数値が大きい分、誤差も小さくなり、指標として好適である。
高流動性フライアッシュを判別するための基準値は相対的であり、まず、要求性能を満たすフロー値を定め、さらに該値から基準値となるRr値を定める。そして、該基準値を満たすフライアッシュを、高流動性フライアッシュとして判別する。例えば、後掲の図1の例では、要求性能を満たすフロー値を200mmと定めると、Rr値は1.10が基準値になり、Rr値が1.10以上のフライアッシュを高流動性フライアッシュとして判別する。
また、拡散反射率は市販の色差計を用いて、例えば、JIS P 8152「紙、板紙及びパルプ−拡散反射率係数の測定方法」に準拠して測定することができる。
なお、380〜780nmの全範囲の波長の拡散反射率は、任意の波長の間隔で測定することができ、例えば、後記の実施例では10nm間隔で測定した。
本発明の高流動性フライアッシュは、前記[1]または[2]に記載の高流動性フライアッシュの判別方法を用いて、高流動性フライアッシュとして判別されたフライアッシュからなるものである。
また、本発明のフライアッシュ混合セメントは、前記高流動性フライアッシュとセメントを混合してなる混合セメントである。該セメントは、特に制限されず、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、およびエコセメントからなる群から選ばれる1種以上である。また、前記セメントと前記高流動性フライアッシュの混合装置は、例えば、ボールミルやヘンシェルミキサ等が挙げられる。
1.使用材料
(1)フライアッシュ
表1に示すフライアッシュa〜p
(2)セメント
普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)
(3)細骨材
JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に規定する標準砂
(4)減水剤
ポリカルボン酸系高性能AE減水剤、商品名:レオビルドSP8N[登録商標](BASFポゾリス社製)
表1に示すフライアッシュa〜pのそれぞれ5gを、色差計専用の測定セルに入れて蓋を閉じ、測定セルを15回タッピング(約5cmの高さからテーブルの上に落下させる操作)した。次に、色差計(Spectrophotometer SE6000、日本電色工業社製)を用いて、380〜780nmの範囲において10nmおきに、前記フライアッシュの拡散反射率を測定し、
前記(1)式を用いてRr値を算出した。これらのRr値のうち、680nmと780nmの拡散反射率をR1の値として用いて、算出したRr値を表1に示す。
また、フライアッシュ中の未燃炭素は、コンクリート中の減水剤を吸着して、コンクリートの流動性を低下させるため、フライアッシュ中の未燃炭素量を主に表す強熱減量(ig.loss)は、フライアッシュの流動性に関係する。そこで、フライアッシュの流動性の指標としての優劣をRr値と比較するため、フライアッシュの強熱減量を、JIS R 5202「セメントの化学分析方法」に準拠して測定した。その結果を表1に示す。
前記フライアッシュの流動性を測定するため、前記フライアッシュを含むモルタルを作製してフロー試験を行った。
具体的には、モルタルの配合は質量比で、細骨材/(セメント+フライアッシュ)=2.0、水/(セメント+フライアッシュ)=0.35、および減水剤/(セメント+フライアッシュ)=0.0065とした。
モルタルの混練は、20℃の室内で、ホバートミキサーを用いて低速で2.5分間、続けて高速で3分間混練した。次に、前記混錬したモルタルを、ミニスランプコーン(JIS A 1171:2000「ポリマーセメントモルタルの試験方法」に規定する鋼製スランプコーン)の中に投入し、該コーンを上方へ取り去った後のモルタルの広がり(フロー値)を測定した。その結果を表1に示す。
680nmおよび780nmの拡散反射率をR1の値として用いて算出したRr値と、前記フロー値の相関を、それぞれ図1の(a)および(b)に示す。また、これらと比較するため、前記強熱減量と前記フロー値の相関を図2に示す。図1、2から分かるように、強熱減量とフロー値の相関(決定係数)は0.372であるのに対し、Rr値とフロー値の相関は、680nmで0.8047、780nmで0.7676と格段に高い。したがって、680nmおよび780nmの拡散反射率をR1の値として用いて算出したRr値は、従来用いられてきたフロー値比よりも簡易にフライアッシュの流動性を評価できるため、高流動性フライアッシュを判別するための指標として優れている。また、図1から、高流動性フライアッシュを判別するためのRrの基準値として1.10を採用した場合、Rr値が1.10以上のフライアッシュを高流動性フライアッシュとして判別する。
さらに、600〜780nmの範囲で10nmおきに測定して得た拡散反射率をR1の値として用いて算出したRr値と、当該波長との関係を図4に示す。波長が680〜780nmの比較的広い範囲で、Rr値は波長によらず一定(1.10)になるから、当該範囲のRr値は高流動性フライアッシュを判別できる指標として、更に優れている。
Claims (3)
- 下記(1)式を用いて算出したRr値に基づき、高流動性フライアッシュを判別する、高流動性フライアッシュの判別方法。
Rr=R1/R2 ・・・(1)
ただし、(1)式中、R1は680〜780nmの範囲から任意に選ばれる1つの波長の拡散反射率を表し、R2は380〜780nmの全範囲の波長の拡散反射率の平均値を表す。 - 前記Rr値が1.10以上である、請求項1に記載の高流動性フライアッシュの判別方法。
- 請求項1または2に記載の高流動性フライアッシュの判別方法を用いて、高流動性フライアッシュとして判別されたフライアッシュと、セメントを混合して、フライアッシュ混合セメントを製造する、フライアッシュ混合セメントの製造方法。
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