以下、本発明の一形態に係るゲーム機について説明する。図1は、本発明の一形態に係るゲーム機の外観を示す図である。図1に示すように、例えば、ゲーム機GMは業務用(商業用)のゲーム機として構成されてよい。業務用のゲーム機は、有料或いは無料で所定範囲のゲームをプレイさせるゲーム機である。一例として、ゲーム機GMは、有料で音楽ゲームを提供してよい。つまり、ゲーム機GMは、例えば、所定の対価の消費と引き換えに、その対価に応じた範囲で音楽ゲームを提供してよい。
具体的には、ゲーム機GMは、例えば、筐体1を備えていてよい。また、筐体1には、例えば、収容部CA及びコントロールパネル部2が設けられていてよい。収容部CAは、ユーザを内部に収容するための空間を形成する部分である。そして、例えば、ユーザは、収容部CAにおいて、つまり筐体1の内部において音楽ゲームをプレイしてよい。
例えば、収容部CAは、ステージ部3、囲い部4、及び開口部5を含んでいてよい。ステージ部3は、ユーザがゲームをプレイするための部分である。このため、ステージ部3は、ユーザを乗せるための部分として使用されてよい。換言すれば、ステージ部3は、筐体1の内部においてユーザが行動可能な範囲として機能してよい。なお、ステージ部3は囲い部4の一部として機能してもよい。或いは、ステージ部3は省略されてもよい。この場合、例えば、各ゲーム機GMにおいて共通の背景(床面)が形成されるように、ステージ部4の代わりに共通のカーペットが使用されてもよい。さらに、例えば、各店舗4の床が共通する場合等、後述のSRゲーム空間に大きな影響が生じない場合には、このようなカーペットも省略されてよい。つまり、筐体1は下方が床面等に開口していてもよい。
囲い部4は、ステージ部3を囲うように位置する部分である。例えば、囲い部4は、ステージ部3においてユーザがゲームをプレイする場合に正面に位置する正面壁4a、左右の側面にそれぞれ位置する二つの側面壁4b、及び上方において天井を形成する天井板4cを含んでいてよい。また、開口部5は、筐体1の内部と外部とを接続するために開口する部分である。開口部5には、例えば、柱部6が更に設けられていてよい。柱部6は、開口部5を左右に分断するように天井板4cからステージ部3まで延びる部分である。結果として、収容部CAには、柱部6を挟むように左右に位置する二つの開口部5が設けられてよい。
また、コントロールパネル部2は、各種の装置が設けられる部分である。例えば、このような各種の装置として、コントロールパネル部2には、コントロールパネルが設けられてよい。コントロールパネルは、ゲームに関する各種の操作を入力するための周知の入力装置である。さらに、コントロールパネル部2は、例えば、その他にも対価を徴収するための対価徴収装置、或いは音楽ゲームを提供するための制御ユニット等を各種の装置として収納するように構成されていてよい。同様に、コントロールパネル部2には、例えば、ユーザのプレイ行為を入力するための入力装置(例えば後述の棒状の操作部を有する入力装置)或いは各種の画像を表示する表示装置等の各種の接続機器が配置されていてもよい。また、コントロールパネル部2は、例えば、柱部6の内側に配置されてよい。つまり、柱部6の影(内部側)に位置するように収容部CAの内部に配置されてよい。
さらに、筐体1には、例えば、収容部CAの内部に位置検出装置7が設けられていてもよい。具体的には、例えば、収容部CAには、対角線上に位置するように天井板4cの二隅に二つの位置検出装置7が配置されていてもよい。そして、これらの位置検出装置7は、例えば、後述のように棒状(ユーザに把持して使用されるタイプ)の操作部を介してユーザの動作がプレイ行為として利用される場合に、収容部CA内におけるその棒状の操作部の位置を検出するために使用されてよい。なお、その他にも、ゲーム機GMには、電源スイッチ、電源ランプ或いはスピーカといった通常の業務用のゲーム機が備えている各種の入力装置及び出力装置が設けられ得るが、図1ではそれらの図示を省略している。
図2は、図1のII−II線における断面図を模式的に示す図である。図2に示すように、収容部CA(筐体1の内部)には椅子8が配置されてよい。つまり、筐体1は、ユーザが収容部CAにおいて椅子8に座って音楽ゲームをプレイするように構成されていてよい。具体的には、例えば、椅子8は、操作の便宜のために、ステージ部3上のコントロールパネル部2の付近に配置されてよい。また、この場合、コントロールパネル部2の操作や入力装置等の各種設定の第三者(ゲームをプレイするユーザ以外の者)による実行を許容するように、椅子8とコントロールパネル部2との間には間隔があけられていてよい。つまり、椅子8は、コントロールパネル部2との間に第三者が介在するための間隔をあけて配置されていてもよい。一方で、ユーザのプレイ行為を入力するための入力装置やゲームをプレイするためのゲーム空間を表示する表示装置等がコントロールパネル部2に配置される場合には、それらを椅子に座ったユーザが使用可能なように、椅子8は入力装置や表示装置等が使用される位置に配置される。つまり、椅子8は、例えば、第三者の介在と入力装置等の使用との両方を許容する程度の間隔がコントロールパネル部2との間に形成されるように、ステージ部3に配置されてよい。
さらに、椅子8は、ユーザの動作をプレイ行為として許容するように、囲い部4との間にも所定の間隔をあけて配置されてよい。例えば、所定の間隔として、少なくとも椅子8に座った状態においてユーザによって実行される動作を許容するための間隔が採用されてよい。具体的には、例えば、椅子8は、正面壁4aの方向を向くように配置されてよい。つまり、椅子8は、ユーザが正面壁4aの方向を向いて座るように配置されてよい。そして、正面壁4aとの間にユーザの動作を許容するための間隔をあけるように配置されてよい。同様に、椅子8は、左右の側面壁4bとの間にもユーザの動作を許容するための間隔をあけるように配置されていてよい。つまり、椅子8は、ユーザがそこに座っている場合に左右の側方及び前方へのユーザの動作を許容するように、正面壁4a及び側面壁4bとの間に所定の間隔(前方の間隔と側方の間隔とは相違していてもよい)をあけて配置されてよい。換言すれば、囲い部4は、椅子8の前方及び側方との間にユーザの動作を許容するための所定の間隔を形成するように設けられていてよい。なお、ユーザが椅子8に座ってプレイする場合には、天井板4cとの間にも間隔が形成されるため、上方への動作も当然許容されてよい。
次に、音楽ゲームを実現するためのゲーム機GMの制御系の要部について説明する。図3は、ゲーム機GMの制御系の要部の構成を示す図である。図3に示すように、ゲーム機GMには、コンピュータとしての制御ユニット10と、記憶ユニット11と、表示装置DPと、位置検出装置7と、入力装置12と、対価徴収装置13と、が設けられている。記憶ユニット11、表示装置DP、位置検出装置7、入力装置12、及び対価徴収装置13は、いずれも制御ユニット10に接続される。また、制御ユニット10、記憶ユニット11、及び対価徴収装置13は、例えば、コントロールパネル部2に収納されてよい。
制御ユニット10は、例えば、マイクロプロセッサと、そのマイクロプロセッサの動作に必要な内部記憶装置(一例としてROM及びRAM)等の各種周辺装置とを組み合わせたコンピュータユニットとして構成されてよい。なお、制御ユニット10には、上述のスピーカ等のその他の公知のゲーム機と同様の各種の入力装置或いは出力装置が接続され得る。しかし、それらの図示は省略した。
表示装置DPは、制御ユニット10の出力信号に応じて各種の画像を表示する周知の表示装置である。例えば、表示装置DPは、音楽ゲームの進行に使用されるゲーム空間を表示してよい。また、表示装置DPは、例えば、このようなゲーム空間としてバーチャルリアリティ(以下、VRと呼ぶ場合がある)を演出するための各種画像を含むゲーム空間(以下、VRゲーム空間と呼ぶ場合がある)を表示してよい。さらに、例えば、表示装置DPは、このようなVRゲーム空間を表示するために、誘導部DP1及び表示面DP2を有していてよい。誘導部DP1は、ユーザの視線をゲーム空間に誘導するための部分である。例えば、誘導部DP1は、ユーザの視界を覆うことによりそのユーザの視線を表示面DP2に誘導するように形成されていてよい。表示面DP2は、ゲーム空間に対応するゲーム画面を表示するための部分である。例えば、表示面DP2には、上述のVRゲーム空間等の各種のゲーム空間に対応するゲーム画面が表示されてよい。また、表示面DP2は、例えば、誘導部DP1が形成された筐体部に、この誘導部DP1を介して視認されるように、収容されていてもよい。そして、表示装置DPは、そのような筐体部を介して誘導部DP1の先に露出する表示面DP2を覗き込むように使用されてよい。
具体的には、例えば、このような表示装置DPとして、ヘッドマウント型の表示装置(いわゆるヘッドマウントディスプレイ。以下、このような表示装置DPをHMDと呼ぶ場合がある)が採用されてよい。HMDは、上述のような筐体部と表示装置とが一つに組み合わされた周知の表示装置である。HMDは、ユーザの意識がゲーム空間に入りこめるように、一般的に例えば上述の誘導部DP1等を介してユーザの視界をゲーム空間の表示に制限するように構成されている。このようなHMDは、装着用のベルト等を介してユーザの頭部にハンドフリーに(手が自由に動かせるように)装着される場合が多い。さらに、HMDは、ユーザの頭部に装着された状態においてユーザの視野範囲に位置する現時点の現実空間の映像(画像)を表示するように構成されている場合もある。このような場合、例えば、HMDには、視野範囲に位置する現時点の現実空間を撮影するためのカメラ(撮影装置)が設けられていてよい。一例として、このようなHMDが表示装置DPとして使用されてよい。つまり、ヘッドマウント型の表示装置DPは、一例として、ユーザの頭部に装着された状態においてユーザの視野範囲に応じた現実空間の映像をゲーム空間の少なくとも一部として利用するように構成されていてよい。さらに、ヘッドマウント型の表示装置DPは、例えば、現実空間の映像に仮想的画像を付加することにより現実空間を拡張した拡張現実ゲーム空間(以下、ARゲーム空間と呼ぶ場合がある)を表示するように構成されていてもよい。
入力装置12は、ユーザのプレイ行為を入力するための周知の入力装置である。入力装置12は、このような入力のために、例えば、プレイ行為に応じた信号を制御ユニット10に出力してよい。また、入力装置12は、例えば、このようなプレイ行為として、ユーザの動作を入力可能に構成されていてよい。より具体的には、入力装置12は、例えば、ユーザによって操作される操作部12aを有していてよい。また、このような操作部12aは、例えば、棒状に構成されていてもよい。そして、このような棒状の操作部12aを通じて、プレイ行為として、スポーツのテニスで使用されるラケットのように操作部12aを各種の方向に振る動作が採用されてもよい。つまり、入力装置12は、操作部12aを介してテニスラケットを振る場合と同様の動作をプレイ行為として入力するように構成されていてよい。また、例えば、上述のようにユーザが椅子8に座ってゲームをプレイする場合には、このようなテニスラケットを振るような動作として、主として椅子8の前方、左右の側方、及び上方において実行される動作がプレイ行為として利用されてよい。
位置検出装置7は、対象の位置を検出するための周知の検出装置である。例えば、位置検出装置7は、対象の位置として操作部12aの位置を検出するように構成されていてよい。つまり、棒状の操作部12aがユーザによって各種の方向に振られた場合に、その操作部12aの位置(操作部12aの移動の軌跡)を検出するように構成されていてよい。具体的には、例えば、位置検出装置7は、上述のように天井板4cの二隅に配置される二つの位置検出装置7を含んでいてよい。そして、これらの二つの位置検出装置7は、例えば、制御ユニット10からの信号に基づいて(或いは自己制御のもと所定の周期で)操作部12aに向かって赤外線を射出するように構成されていてよい。また、操作部12aは、各位置検出装置7からの赤外線を受信するように構成されていてよい。そして、操作部12aは、例えば二つの位置検出装置7から射出される赤外線の受信時期の相違等に基づいて位置を算出することにより自己の位置を取得し、それを制御ユニット10に出力してよい(或いは受信結果を制御ユニット10に出力し、制御ユニット10が操作部12aの位置を算出してもよい)。
なお、位置検出装置7は、このような構成に限定されない。例えば、位置検出装置7として、カメラが利用されてもよい。或いは、操作部12a(或いは入力装置12)に自己の位置を算出可能なジャイロセンサ等が設けられている場合には、位置検出装置7は省略されてもよい。一方で、精度向上のために、赤外線及びジャイロセンサ等、これらの各種方法が兼用されてもよい。
対価徴収装置13は、所定の対価を徴収するための周知の装置である。例えば、このような対価徴収装置13として、カードリーダ或いはコイン徴収装置が利用されてよい。具体的には、例えば、所定の対価としてカードに記憶された対価が利用される場合には、その対価の残量を読み取って消費するカードリーダが対価徴収装置13として利用されてよい。同様に、所定の対価としてコインが利用される場合には、そのコインを徴収するコイン徴収装置が対価徴収装置13として利用されてよい。そして、対価徴収装置13は、徴収結果に応じた信号を制御ユニット10に出力してよい。
一方、記憶ユニット11は、各種のデータ等の情報を記憶する周知のユニットである。例えば、記憶ユニット11は、電源の供給がなくても記憶を保持可能なように、例えば、磁気記録媒体や光記録媒体、フラッシュSSD(Solid State Drive)などにより構成されてよい。記憶ユニット11には、ゲームプログラム14及びゲームデータ15が記憶される。ゲームプログラム14は、ゲーム機GMが音楽ゲームを提供するために必要なコンピュータプログラムである。ゲームプログラム14の実行に伴って、制御ユニット10の内部には、例えば、ゲーム提供部17が設けられてよい。ゲーム提供部17は、音楽ゲームを提供するために必要な各種処理を実行する。また、ゲーム提供部17は、コンピュータハードウェアとコンピュータプログラムとの組み合わせにより実現される論理的装置である。なお、制御ユニット10の内部には、その他にも各種の論理的装置が設けられ得る。しかし、それらの図示は省略した。
ゲームデータ15は、ゲームプログラム14の実行に伴って参照されるデータである。ゲームデータ15は、例えば、音楽ゲームの提供に必要な各種のデータを含んでいてよい。また、このようなデータには、例えば、表示装置DPに画像(ゲーム空間を含む)を表示させるための画像データ、スピーカに楽曲を再生させるための楽曲データ、及び適切なプレイ行為を実行すべき実行時期を案内するためのシーケンスデータが含まれてよい。
さらに、上述のような画像データは、例えば、映像データ16を含んでいてよい。映像データ16は、予め撮影された映像を表示装置DPに表示させるためのデータである。具体的には、予め撮影された映像として、例えば、ユーザが表示装置DPを使用している時点の現実空間(現時点の現実空間)とは別時点の現実空間の映像が利用されてよい。また、このような別時点の現実空間の映像は、現時点の現実空間の映像を代替する代替現実(Substitutional Reality)空間として、ゲーム空間の少なくとも一部に使用されてよい。つまり、映像データ16は、現時点の囲い部4ではなく、例えば、別時点の囲い部4の映像を表示装置DPに表示させるように構成されていてよい。そして、そのような別時点の囲い部4の映像を利用した代替現実空間をゲーム空間(以下、SRゲーム空間と呼ぶ場合がある)として表示装置DPに表示させるために使用されてよい。
なお、SRゲーム空間は、複数の代替現実空間を利用してもよい。また、例えば、SRゲーム空間に使用されるべき代替現実空間は、これらの代替現実空間からプレイ状況等の各種の条件に応じて決定されてもよい。これらの場合、映像データ16は、各代替現実空間に対応する別時点の現実空間の映像を表示装置DPに表示させるように構成されていてよい。また、ゲームデータ15は、例えば、その他にもID管理データ(各ユーザを識別するためのユーザID等の各種のID管理に使用される)及びプレイデータ(過去のプレイ実績或いは各ユーザに固有の設定等を管理するために使用される)を含んでいてもよい。しかし、それらの図示は省略した。
次に、ゲーム機GMが提供する音楽ゲームについて説明する。ゲーム機GMは、一例として複合型の音楽ゲームを提供する。音楽ゲームは、適切なプレイ行為の実行時期を評価するタイプのタイミングゲームの一種である。音楽ゲームでは、このような実行時期として、楽曲のリズムと一致する時期が利用される。つまり、音楽ゲームは、音楽のリズムに対応する時期に適切なプレイ行為をユーザに要求するタイプのタイミングゲームである。例えば、音楽ゲームは、表示装置DPを通じて、そのような実行時期を案内してよい。また、例えば、表示装置DPは、このような実行時期を、現在時刻の基準として機能する基準標識及び各実行時期に対応する指示標識を含むゲーム空間の表示を通じて案内してよい。具体的には、例えば、このようなゲーム空間は、各指示標識と基準標識との位置が各実行時期において一致するように生じる相対的変位を通じて各実行時期を案内してよい。そして、ユーザによって実際にプレイ行為が実行された場合に、そのような実行時期に基づいてプレイ行為を評価してよい。
複合型の音楽ゲームは、上述のような音楽ゲームと別の種類のゲームとが複合的に組み合わされたゲームである。具体的には、例えば、ゲーム機GMは、このような複合型の音楽ゲームとして、上述の音楽ゲームにテニスゲームの要素が組み合わされたテニス型の音楽ゲームを提供してよい。テニス型の音楽ゲームは、テニスのラケットを振る動作を実行すべき実行時期を音楽のリズムに合わせて案内するタイプのゲームである。例えば、このような実行時期は、上述の指示標識に対応するテニスボールが各実行時期に基準標識に到達するように移動するゲーム空間を通じて案内されてよい。そして、そのようなテニスボールに対してラケットを振る動作が実行された場合には、その動作に応じてテニスボールの進行方向等を変化させてよい。
テニス型の音楽ゲームでは、そのような動作の実際の実行時期は、テニスボールが基準標識に到達すべき実行時期、つまり本来の実行時期に基づいて評価されてもよいし、評価されなくてもよい。例えば、実際の実行時期が評価される場合には、そのような評価結果として効果音の再生(演奏の一部の再生を含む)が採用されてもよいし、得点が付与されてもよい。或いは、これらの組合せが利用されてもよい。
同様に、ラケットを振る動作に応じて進行方向等が変化したテニスボール(打ち返されたテニスボール)も評価の対象とされてもよいし、されなくてもよい。具体的には、例えば、打ち返されたテニスボールは、いわゆるスポーツのテニスと同様に評価されてもよい。つまり、例えば、そのようなテニスボールは、所定の範囲内にダイレクトに打ち返され、対戦相手(コンピュータを含む)が返球できなかった場合に評価されてもよい。或いは、打ち返されたテニスボールは、対戦相手に衝突した場合にそのテニスボールの衝突速度や方向、位置等を基準にその対戦相手へのダメージの多寡として評価されてもよい。つまり、テニス型の音楽ゲームは、テニスボールを通じて対戦相手とバトルするバトル型のゲームとして構成されてもよい。
図4は、音楽ゲームの流れの一例を説明するための説明図である。図4に示すように、例えば、音楽ゲームは、導入工程、案内工程、及びプレイ工程を順に含んでいてよい。そして、これらの各工程では、別々の種類のゲーム空間が表示装置DPに表示されてよい。具体的には、テニス型の音楽ゲームのゲーム空間は、上述のようなテニスボール等を表示するプレイ用のゲーム空間だけでなく、ルールの案内を実行する案内用のゲーム画面等の各種のゲーム画面を含んでいてよい。そして、このような各種のゲーム空間を通じてテニス型の音楽ゲームは実現されてよい。
導入工程(ステップS1)は、ユーザの意識を現実世界(空間)からゲーム世界(空間)に移行(導入)させるための工程である。例えば、導入工程では、移行用のゲーム空間がHMD型の表示装置DPに表示されてよい。例えば、このような移行用のゲーム空間では、現実空間とゲーム空間との間を接続するために、ユーザの視野範囲に入る現実空間の映像が利用されてよい。具体的に、例えば、このような移行用のゲーム空間として、上述のARゲーム空間が利用されてよい。つまり、導入工程では、例えば、HMD型の表示装置DPを頭部に装着した状態においてユーザの視野範囲に位置する現実空間の映像に仮想画像が付加された映像がゲーム空間として表示装置DPに表示されてよい。
案内工程(ステップS2)は、音楽ゲームに関する各種の情報を案内する工程である。例えば、このような各種の情報として、音楽ゲームの世界観や設定、ルール等、各種の前提情報が案内されてよい。例えば、案内工程では、案内用のゲーム空間がHMD型の表示装置DPに表示されてよい。このような案内用のゲーム空間では、現実空間からゲーム空間への移行が更に進行するように、例えばARゲーム空間の仮想性を更に向上させるための映像が利用されてよい。具体的には、例えば、このような案内用のゲーム空間として、上述のSRゲーム空間が利用されてよい。SRゲーム空間は、上述の通り、例えば、ユーザが表示装置DPを使用している時点の現実空間とは別時点の現実空間の映像を利用するように構成されていてよい。また、例えば、このような別時点の現実空間の映像として、現在の現実空間の映像に変化(展開)が付加された映像が利用されてよい。つまり、案内工程では、ユーザのゲーム空間への移行が導入工程から更に進むように、ARゲーム空間に変化が付与されたSRゲーム空間がHMD型の表示装置DPに表示されてよい。
プレイ工程(ステップS3)は、ユーザが音楽ゲームを実際にプレイするための工程である。例えば、プレイ工程では、プレイ用のゲーム空間がHMD型の表示装置DPに表示されてよい。例えば、このようなゲーム空間は、現実空間からゲーム空間に完全に移行するように、仮想的ゲーム空間の画像が利用されてよい。具体的には、例えば、このようなプレイ用のゲーム空間として、上述のVRゲーム空間が利用されてよい。VRゲーム空間は、上述の通り、バーチャルリアリティを演出するための各種画像を含むゲーム空間として構成されてよい。また、このようなVRゲーム空間は、現実空間の映像を含んでいなくてもよい。つまり、プレイ工程では、ゲーム空間への移行が完了するように、完全な仮想空間として構成されるVRゲーム空間がHMD型の表示装置DPに表示されてよい。
一例として、テニス型の音楽ゲームは、このように現実空間からゲーム空間への移行が徐々に進むように、ARゲーム空間、SRゲーム空間、及びVRゲーム空間をそれぞれ利用する3つの工程を含んでいてよい。つまり、テニス型の音楽ゲームは、このようなゲーム空間の遷移を通じて進行してよい。なお、例えば、ゲームの終了時、つまりプレイ工程の終了後にも同様にSRゲーム空間を通じてプレイの終了を案内する案内工程、及びARゲーム空間を通じて現実空間に移行させるための導入工程が提供されてもよい。
次に図5〜図7を参照して、ARゲーム空間、SRゲーム空間、及びVRゲーム空間について説明する。図5は、ARゲーム空間として表示装置DPの表示面DP2に表示されるARゲーム画面の一例を模式的に示す模式図である。図5に示すように、ARゲーム画面30は、現実空間画像31及び仮想画像32を含んでいる。
現実空間画像31は、現実空間の映像を表現するための画像である。また、ARゲーム画面30では、現実空間画像31は現時点の現実空間の映像を表示するように構成されていてよい。図5の例は、ユーザが椅子8に座った状態で正面方向を向いている場合、つまり正面側がユーザの視野範囲に入る場合のARゲーム画面30の一例を示している。この場合、ARゲーム画面30には、椅子8に座った状態のユーザの視野範囲を形成する囲い部4が現実空間画像31として表示される。より具体的には、現実空間画像31は、例えば、ユーザの視野範囲に位置する囲い部4に対応する囲い部画像33を含んでいる。また、囲い部画像33は、例えば、正面壁4a、左右の側面壁4b、及び天井板4cにそれぞれ対応する正面壁画像33a、左右の側壁画像33b、及び天井板画像33cを含んでいてよい。さらに、現実空間画像31は、例えば、その他にもユーザの視線方向に応じて、ステージ部3に対応するステージ画像34、及び位置検出装置7に対応する装置画像35を含んでいてよい。
一方、仮想画像32は、現実空間には存在しない仮想的な画像である。つまり、ARゲーム画面30は、例えば、現時点の現実空間の映像(囲い部画像33等)に仮想画像32が付加された拡張現実空間として構成されてよい。また、例えば、仮想画像32は、ARゲーム空間とSRゲーム空間とがスムーズに接続されるように、ユーザの視線を誘導してよい。つまり、仮想画像32は、ユーザの視野範囲をSRゲーム空間とスムーズに接続される視野範囲に誘導するように使用されてよい。具体的には、例えば、SRゲーム空間が予め撮影された別時点の囲い部4の映像を使用している場合には、開始時点において位置すべき視野範囲が事前に決めっている場合がある。例えば、このような場合に、仮想画像32は、SRゲーム空間の開始時点の視野範囲にユーザの視野範囲を誘導するように、SRゲーム空間の開始時点の視野範囲に対応する位置にARゲーム画面の終了時期に合わせて移動してよい。さらに、仮想画像32は、例えば、ARゲーム空間とSRゲーム空間との切り替えに伴う変化を隠すために、ARゲーム画面の終了時においてユーザの視野範囲を覆うように表示されてもよい。
図6は、SRゲーム空間として表示装置DPの表示面DP2に表示されるSRゲーム画面の一例を模式的に示す模式図である。図6に示すように、SRゲーム画面40は、ARゲーム画面30と同様に、現実空間画像31を含んでいる。一方で、SRゲーム画面40では、現実空間画像31は現時点の現実空間ではなく別時点の現実空間の映像を表示するように構成されていてよい。
図6の例は、図5の例と同じ視野範囲に対応するSRゲーム画面40を示している。この場合、現実空間画像31は、現時点ではなく別時点の囲い部4に対応する別の囲い部画像43を含んでいる。また、このような別時点の囲い部4として、ゲーム機GMの囲い部4と同様に見える限り、これとは別のゲーム機GM、或いは別の施設等に設置された別の囲い部4が使用されてよい。このため、別の囲い部画像43も、囲い部画像33と同様に、例えば、ゲーム機GMの囲い部4とは別の正面壁4a、側面壁4b、及び天井板4cにそれぞれ対応する別の正面壁画像43a、側壁画像43b、及び天井板画像43cを含んでいてよい。さらに、現実空間画像31は、ARゲーム画面30と同様に、例えば、その他にもユーザの視線方向に応じて、ゲーム機GMの筐体1とは別のステージ部3及び位置検出装置7にそれぞれ対応する別のステージ画像44及び装置画像45を含んでいてよい。そして、例えば、SRゲーム画面40の別の囲い部画像43には、ゲーム機GMの囲い部4では実現できない展開が付加されてもよい。また、このような展開として、例えば、ゲーム機GMの収容部CAを形成する空間が広がるような変化が付与されてもよい。
具体的には、例えば、別の囲い部画像43の正面壁画像43aには、中央付近が左右に割れて左右にスライド式に移動する(開く)変化が付与されてもよい。つまり、正面壁画像43aは、中央付近から左右にスライド式に移動するように変化してよい。また、その正面壁画像43aの割れた部分(開いた部分)から人が収容部CAに入ってくるような演出、つまり正面壁画像43aの外側からステージ画像44の上に人が入ってくるような変化が付与されてもよい。より具体的には、SRゲーム画面40には、ARゲーム画面30と比べて、正面壁画像43aの開放(左右への移動)に伴い、例えば3人分の人画像46が付加されてよい。そして、例えば、これらの人画像46を通じて(例えば、これらの人画像46が話をすることにより)各種の情報が案内されてもよい。さらに、正面壁画像43aの割れた部分には、外部画像47が表示されてよい。例えば、このような外部画像47として、正面壁画像43aの向こう側(外側)にゲーム機GMの現実の配置場所とは別の空間(同一でもよい)が広がるような画像が表示されてもよい。
なお、例えば、このような正面壁画像43aが左右に開く変化は、左右に開く正面壁4aを実際に持つ別の囲い部4を撮影することにより実現されてもよい。つまり、現実の別の囲い部4の映像を通じて実現されてもよい。或いは、このような変化は、正面壁画像43aの事後的な加工により実現されてもよい。同様に、例えば、外部画像47として、実際に左右に開く正面壁4aが撮影されている場合にはその正面壁4aの向こう側に位置する実際の背景映像が表示されてもよいし、正面壁画像43aの向こう側に実際の空間とは別の空間が付加される場合には加工を通じて適宜の画像が表示されてもよい。また、このような適宜の画像として、VRゲーム空間との連続性を演出するために、例えばVRゲーム空間の画像等、VRゲーム空間に関連する画像が使用されてもよい。
図7は、VRゲーム空間として表示装置DPの表示面DP2に表示されるVRゲーム画面の一例を模式的に示す模式図である。また、図7の例は、テニス型の音楽ゲームがバトル型のテニスゲームとして構成されている場合の一例を示している。この場合、図7に示すように、VRゲーム画面50は、例えば、基準ライン画像51、ボール画像52、ラケット画像53、及び敵画像54を含んでいてよい。
基準ライン画像51は、所定の時期を示す基準として機能する画像である。例えば、基準ライン画像51は、ゲーム空間(立体感)を演出するために、矩形に形成されてよい。具体的には、基準ライン画像51は、ゲーム空間の左右方向及び上下方向の限界を示すように外延に位置する矩形に形成されてよい。また、基準ライン画像51は、例えば、所定の時期として音楽(楽曲)のリズムのうちの拍を示してもよい。そして、基準ライン画像51は、各拍を示す複数の基準ライン画像51を含んでいてよい。具体的には、例えば、基準ライン画像51は、手前側から奥側(奥行き方向)に向かって順に位置するように、第1基準ライン画像51A及び第2基準ライン画像51Bを含んでいてよい。また、奥行き方向は、奥側から手前側に向かうに従って時間経過を示す時間軸として機能してよい。そして、最も手前側の第1基準ライン画像51Aは、ラケットを振る動作をすべきベストタイミング(実行時期)に対応する基準ライン画像51として機能してよい。つまり、例えば、第1基準ライン画像51Aは、上述の基準標識として機能してよい。
ボール画像52は、上述のテニスボールとして機能する画像である。例えば、ボール画像52は、打ち返すべきテニスボールに対応する第1ボール画像52A、及び打ち返された後のテニスボールに対応する第2ボール画像52Bを含んでいてよい。つまり、適切なラケットを振る動作が実行された場合に、第1ボール画像52Aが第2ボール画像52Bに変化してよい。また、これらの第1ボール画像52A及び第2ボール画像52Bは、配色の相違を通じて区別されてよい。
ラケット画像53は、ラケットを振る動作としてボール画像52(テニスボール)を打ち返すための画像である。例えば、ラケット画像53は、入力装置12の操作部12aに対する操作に応じて位置が変化してよい。具体的には、例えば、ラケット画像53の位置は、現実空間における操作部12aの位置の変化に応じて移動(動作)するように変化してよい。そして、ラケット画像53の位置と第1ボール画像52Aの位置とが一致した場合に、その第1ボール画像52Aを第2ボール画像52Bに変化させてよい。つまり、このような場合に、第1ボール画像52A(テニスボール)が打ち返されてよい。また、例えば、ラケット画像53として、テニスラケットを模した形状の画像が使用されてよい。
敵画像54は、音楽ゲームを通じて倒すべき敵を示す画像である。例えば、敵画像54は、ボール画像52の出現位置として機能してよい。つまり、敵画像54は、例えば各拍の時期に各基準ライン画像51に到達するように奥側から手前側に向かって第1ボール画像52Aを放出してよい。そして、敵画像54は、例えば、第2ボール画像52Bとの衝突に伴いダメージを受け、そのダメージが所定値以上になった場合に消滅してもよい。つまり、第2ボール画像52Bを利用して敵画像54に所定値以上のダメージを与えた場合に、敵画像54が倒され、音楽ゲームはクリアされてよい。なお、敵画像54に所定値以上のダメージを与えた時点でクリアされたとして音楽ゲームが終了してもよいし、音楽ゲームが終了した時点で敵画像54に与えたダメージの合計が所定値以上の場合にクリアとされてもよい。
次に、表示切替処理について説明する。表示切替処理は、各種のゲーム空間の表示を切り替えるための処理である。例えば、表示切替処理は、ARゲーム空間、SRゲーム空間、及びVRゲーム空間を順に切り替えるために使用されてよい。より具体的には、上述の通り、ARゲーム空間はARゲーム画面30の表示を通じて、SRゲーム空間はSRゲーム画面40の表示を通じて、VRゲーム空間はVRゲーム画面50の表示を通じて、それぞれ実現されてよい。つまり、表示切替処理は、ARゲーム画面30、SRゲーム画面40、及びVRゲーム画面50を順に切り替えるために使用されてよい。さらに、導入工程、案内工程、及びプレイ工程は、例えば、これらのゲーム画面30、40、50の表示を通じて提供されてよい。したがって、表示切替処理は、例えば、導入工程、案内工程、及びプレイ工程を順に実現するために使用されてもよい。
例えば、表示切替処理は、図8のルーチンを通じて、ゲーム機GMの制御ユニット10によって実現されてよい。具体的には、図8のルーチンは、ゲーム提供部17を通じて制御ユニット10によって実行されてよい。なお、ゲーム機GMの制御ユニット10は、この処理の他にも各種の周知な処理等を実行し得る。しかし、それらの詳細な説明は省略する。
図8は、表示切替処理を実現するための表示切替処理ルーチンのフローチャートの一例を示す図である。図8のルーチンは、例えば、ゲーム開始条件が満たされた場合に実行されてよい。また、ゲーム開始条件は、例えば、所定の対価が徴収された場合に満たされてよい。さらに、ゲーム開始条件は、プレイモードの選択や各種の初期設定等、ゲームの開始に必要な各種の操作を要件に含んでいてもよい。
図8のルーチンが開始されると、ゲーム提供部17は、まずステップS11において、ARゲーム画面30を表示装置DPに表示させる。具体的には、ゲーム提供部17は、例えば、表示装置DPが撮影した現時点の現在空間(例えば囲い部4)の映像に仮想画像32を追加することにより拡張現実空間を生成してよい。そして、ゲーム提供部17は、そのような拡張現実空間を利用するARゲーム空間を表現するためのゲーム画面をARゲーム画面30として表示装置DPに表示させてよい。
続くステップS12において、ゲーム提供部17は、SRゲーム画面40を表示装置DPに表示させる。より具体的には、ゲーム提供部17は、ゲーム空間がARゲーム空間(例えば現時点の囲い部4の映像を使用したゲーム空間)からSRゲーム空間(例えば別時点の囲い部4の映像を使用したゲーム空間)に切り替えられるように、映像データ16に基づいてSRゲーム画面40を表示装置DPに表示させる。また、例えば、このような切り替えは、ARゲーム画面30の表示開始から所定期間経過後に実行されてよい。つまり、ゲーム提供部17は、例えば、ステップS12において、所定期間経過後に表示装置DPの表示がARゲーム画面30からSRゲーム画面40に切り替えられるように、表示装置DPの表示を制御してよい。
次のステップS13において、ゲーム提供部17は、VRゲーム画面50を表示装置DPに表示させる。より具体的には、ゲーム提供部17は、ゲーム空間がSRゲーム空間から更にVRゲーム空間(例えば完全に仮想的なゲーム空間)に切り替えられるように、VRゲーム画面50を表示装置DPに表示させる。例えば、このような切り替えは、SRゲーム画面50の表示開始から所定期間経過後に実行されてよい。また、例えば、このような所定期間として、映像データ16によって表示される代替現実空間の映像の再生時間が採用されてよい。つまり、ゲーム提供部17は、例えば、ステップS13において、映像データ16に基づく代替現実空間の映像の再生後に表示装置DPの表示をSRゲーム画面40からVRゲーム画面50に切り替えてよい。そして、ゲーム提供部17は、ステップS13の処理を終えると、今回のルーチンを終了する。これにより、ARゲーム画面30、SRゲーム画面40、及びVRゲーム画面50の順に表示装置DPの表示が切り替えられる。つまり、ARゲーム空間、SRゲーム空間、及びVRゲーム空間の順にゲーム空間が切り替えられる。そして、このようなゲーム空間の切り替えを通じて、導入工程、案内工程、及びプレイ工程が実現される。
以上に説明したように、この形態によれば、ゲーム機GMには収容部CAを有する筐体1が設けられている。そして、ユーザは収容部CAにおいてゲームをプレイする。また、収容部CAは、プレイ中のユーザの視野範囲に位置する囲い部4を有している。このため、視野範囲の現実空間の映像がゲーム空間として利用される場合であっても、このような囲い部4を利用し、プレイ中のユーザの視野範囲に入る現実空間を(少なくとも囲い部4の範囲では)ある程度固定化することができる。これにより、ゲーム空間として現実空間の映像が使用される場合の周辺環境の変化を抑制することができる。結果として、例えば、現時点の囲い部4(現実空間)ではなく別時点(別の場所である場合を含む)の囲い部4の映像を現実空間の映像として使用しても違和感が生じないので、現時点の現実空間(例えば囲い部4)の映像は元より、別時点の現実空間(例えば別の囲い部4)の映像をゲーム空間に使用することができる。具体的には、現時点の囲い部4の映像に仮想画像32が追加されるARゲーム空間だけでなく、現在の視野範囲に位置する囲い部4の映像を使用しているように見えるものの、現時点の囲い部4には生じ得ないはずの変化が付加されるSRゲーム空間をゲームに利用することができる。
また、筐体1には、ユーザが座ってプレイするための椅子8が配置されるステージ部3も設けられている。このため、このような椅子8を通じてユーザの動作範囲をある程度制限することができる。これにより、例えば、囲い部4がユーザのプレイに支障を与えることを抑制することもできる。このため、現実空間の映像を利用しつつ、椅子8に座った状態の前方或いは側方等への動作をプレイ行為として利用する音楽ゲームを提供することができる。より具体的には、棒状の操作部12aを利用し、ラケットを振るような動作をプレイ行為として採用するテニス型の音楽ゲームを提供することができる。結果として、ユーザの視界を覆うタイプの表示装置DPが使用される場合において、現実空間の映像の用途拡大(例えばSRゲーム空間の利用)及びプレイ行為の自由度の向上(例えば指先の操作だけでなく、腕を動かす動作の採用等)を両立させることができる。
また、例えば、囲い部4に各種の変化が付加された映像が別時点の現実空間の映像として予め用意されている場合には、このような映像を利用することにより、現時点の囲い部4(現実空間)にあたかも現時点の現各種の変化が生じているかのような演出を提供することができる。そして、このような変化の付加により、現実空間から仮想的な空間への移行を徐々に進めることができる。これにより、仮想的なゲーム空間への自然な移行を実現することもできる。さらに、視線を誘導する仮想画像32を含むARゲーム空間からSRゲーム空間に連続的に切り替えられる場合には、このような仮想画像32を利用し、ゲーム空間の切り替えに伴い生じ得る違和感を抑制することができる。このため、現時点の現実空間の映像(ARゲーム空間)とそれに変化が付与された映像(SRゲーム空間)とをシームレスに(より自然に)接続することができる。
さらに、SRゲーム空間を経て完全な仮想的なVRゲーム空間に切り替えられる場合には、VRゲーム空間への切り替え前にSRゲーム空間、つまり代替現実空間(現時点の現実空間に見えるものの、実際には別の現実空間)の映像を介在させることにより、現実空間からVRゲーム空間への移行をよりスムーズに実現することができる。また、例えば、SRゲーム空間にVRゲーム空間に関連する画像が含まれている場合、つまり別時点の囲い部4の映像を使用したゲーム空間にVRゲーム空間に関連する画像が含まれている場合には、SRゲーム空間とVRゲーム空間とを更にシームレスに接続することができるので、完全に仮想的なゲーム空間への移行をより自然に実現することができる。これらにより、ゲームの興趣性を向上させることができる。
以上の形態において、ゲーム機GMの制御ユニット10が、ゲーム提供部17を通じて図8のルーチンを実行することにより本発明の映像表示手段として機能する。また、ゲーム機GMの記憶ユニット11が、映像データ16を記憶することにより本発明のデータ記憶手段として機能する。
本発明は上述の形態に限定されず、適宜の形態にて実施することができる。例えば、上述の形態では、ARゲーム空間及びSRゲーム空間の両方が表示装置DPに表示されている。しかし、本発明は、このような形態に限定されない。例えば、これらのいずれか一方だけがゲーム空間として表示されてもよい。つまり、現時点の現実空間の映像、或いは別時点の現実空間の映像のいずれか一方がゲーム空間の少なくとも一部として使用されてもよい。
また、上述の形態では、プレイ用のゲーム空間として、完全に仮想的なVRゲーム空間が使用されている。しかし、本発明は、このような形態に限定されない。例えば、プレイ用のゲーム空間として、ARゲーム空間及びSRゲーム空間の少なくともいずれか一方が利用されてもよい。つまり、VRゲーム空間は省略されてもよい。
さらに、上述の形態では、ゲーム機GMは、複合型の音楽ゲームとしてテニス型の音楽ゲームを提供している。しかし、本発明は、このような形態に限定されない。例えば、ゲーム機GMは、野球型、サッカー型等の各種の他のゲームと組み合わされた複合型の音楽ゲームを提供してよい。また、複合型の音楽ゲームにも限定されず、ゲーム機GMは、ユーザの視界に影響を与えるように使用される表示装置を利用する限り、アクションゲーム、ロールプレイングゲーム、アドベンチャーゲーム、シミュレーションゲーム、パズルゲーム、カードゲーム、シューティングゲーム、スポーツゲーム等の各種のゲームを提供してよい。
また、ゲーム機GMには、表示装置DPや入力装置12が設けられていなくてもよい。例えば、このような表示装置DP及び入力装置12として、各ユーザが所有するスマートフォン等、携帯型のユーザ端末(例えば、上述のような筐体部に収容されることにより表示装置DPとして機能してもよい)が利用されてもよい。
さらに、ゲーム機GMは、業務用のゲーム機に限定されない。ゲーム機GMとして、例えば、筐体1を備える限り、家庭用の据置型ゲーム機等、適宜の形態が採用されてよい。また、上述の形態では、制御ユニット10及び記憶ユニット11がゲーム機GMに設けられている。しかし、本発明のゲーム機は、このような形態に限定されない。例えば、クラウドコンピューティングを利用してネットワーク上に論理的に制御ユニット10及び記憶ユニット11が設けられてもよい。つまり、ゲーム機GMは、ネットワークを通じて制御ユニット10の処理結果を提供するための端末として構成されていてもよい。
以下に、上述の内容から得られる本発明の一例を記載する。なお、以下の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
本発明のゲーム機は、ユーザの視界を覆うことにより当該ユーザの視線を誘導する誘導部(DP1)を介して視認されるようにゲーム空間(30、40、50)を表示するヘッドマウント型の表示装置(DP)を利用し、前記表示装置を使用中の前記ユーザの視野範囲に応じた現実空間の映像を前記ゲーム空間の少なくとも一部として使用するゲームを提供するゲーム機(GM)であって、前記ユーザが前記ゲームを座ってプレイするように前記表示装置が使用される位置に椅子(8)が配置されるステージ部(3)と、前記椅子の前方側に位置することにより前記椅子に座った状態において前記ユーザの視野範囲を形成するように前記ステージ部を囲う囲い部(4)と、が設けられている筐体(1)を備えている。
本発明によれば、筐体には、ゲームのプレイ中のユーザの視野範囲に位置するように囲い部が設けられている。このため、このような囲い部を利用し、プレイ中のユーザの視野範囲に入る現実空間を(少なくとも囲い部の範囲では)ある程度固定化することができる。これにより、ゲーム空間として現実空間の映像が使用される場合の周辺環境の変化を抑制することができる。結果として、例えば、現時点の囲い部ではなく別時点(別の場所である場合を含む)の囲い部の映像を現実空間の映像として使用しても違和感が生じないので、現時点の現実空間の映像は元より、別時点の現実空間の映像をゲーム空間に使用することができる。また、筐体には、ユーザが座ってプレイするための椅子が配置されるステージ部も設けられている。このため、このような椅子を通じてユーザの動作範囲をある程度制限することができる。これにより、例えば、囲い部がユーザのプレイに支障を与えることを抑制することもできる。結果として、ユーザの視界を覆うタイプのヘッドマウント型の表示装置が使用される場合において、現実空間の映像の用途拡大及びプレイ行為の自由度の向上を両立させることができる。これらにより、ゲームの興趣性を向上させることもできる。なお、ヘッドマウント型の表示装置は、眼鏡型或いはゴーグル型といったハンドフリーに(自由に手が動かせるように)頭部に装着されるものに限定されず、例えば視界を覆うように手で保持されて使用されるものを含んでよい。つまり、ヘッドマウント型の表示装置の用語は、視界に影響を与える各種の表示装置を含んでいる。
ゲーム空間として、適宜の現実空間の映像が利用されてよい。例えば、このような現実空間の映像として、上述の通り、現時点の現実空間の映像が使用されてもよいし、或いは別時点(別の場所である場合を含む)の現実空間の映像が使用されてもよい。具体的には、例えば、本発明のゲーム機の一態様として、前記表示装置が使用されている時点の前記ユーザの視野範囲に含まれる現時点の囲い部とは別時点の囲い部の映像(43)を前記表示装置に表示させるための映像データ(16)を記憶するデータ記憶手段(11)と、前記別時点の囲い部の映像を前記現実空間の映像として前記表示装置に表示させる映像表示手段(10)と、を更に備える態様が採用されてよい。この場合、例えば、囲い部に各種の変化が付加された映像を別時点の現実空間の映像として予め用意しておくことにより、現時点の囲い部(現実空間)にあたかも変化が生じているかのような演出を提供することができる。また、このような変化の付加により、現実空間から仮想的な空間への移行を徐々に進めることができる。これにより、仮想的なゲーム空間への自然な移行を実現することもできる。
また、現実空間の映像として現時点の現実空間の映像及び別時点の現実空間の映像のいずれか一方だけが使用されてもよいし、両方が使用されてもよい。例えば、現実空間の映像として別時点の現実空間の映像が利用される態様において、前記映像表示手段は、前記映像表示手段は、前記表示装置が前記現時点の囲い部の映像(33)を表示可能な場合に、前記現時点の囲い部の映像及び前記別時点の囲い部の映像の順に連続的に切り替えられるように、前記現時点の囲い部の映像を前記現実空間の映像として前記表示装置に更に表示させてもよい。
ゲーム空間として現時点の現実空間の映像が使用される場合において、現時点の現実空間の映像がそのまま使用されてもよいし、現時点の現実空間の映像に加工が付加されてもよい。例えば、このような加工として、現時点の現実空間に存在しない仮想画像の追加が採用されてもよい。つまり、ゲーム空間として、いわゆる拡張現実空間(現時点の現実空間に仮想画像が追加された空間)が使用されてもよい。具体的には、例えば、現時点の囲い部の映像が現実空間の映像として使用される態様において、前記映像表示手段は、前記現時点の囲い部の映像を前記表示装置に表示させる場合に、前記別時点の囲い部の映像の開始時点において位置すべき視野範囲に前記ユーザの視野範囲を誘導するための仮想画像(32)を追加することにより、前記現時点の囲い部の映像に前記仮想画像が付加された拡張現実空間(30)が前記ゲーム空間として使用されるように、前記拡張現実空間を前記表示装置に表示させてもよい。この場合、例えば、囲い部に各種の変化が付加された映像が別時点の現実空間の映像として利用される場合において、現時点の囲い部の映像とそれに変化が付与された囲い部の映像とをシームレスに(より自然に)接続することができる。
例えば、ゲームのプレイは、上述のような現実空間を利用したゲーム空間において実行されてもよいし、現実空間を利用しないゲーム空間において実行されてもよい。つまり、ゲーム空間は、例えば、現実空間の映像を使用しない完全に仮想的な仮想空間を更に含んでいてもよい。具体的には、例えば、別時点の囲い部の映像が表示装置に表示される態様において、前記映像表示手段は、前記別時点の囲い部の映像が仮想空間の画像(50)に切り替えられるように、前記ゲーム空間の少なくとも一部として前記仮想空間の画像を更に前記表示装置に表示させてもよい。この場合、仮想的空間の画像の切り替え前に別時点の囲い部の映像を介在させることにより、現実空間から仮想的空間への移行をよりスムーズに実現することができる。また、例えば、別時点の囲い部の映像として仮想的空間の画像に関連する画像が付加された映像が使用される場合には、別時点の囲い部の映像と仮想的空間の画像とをシームレスに接続することができるので、仮想的空間への移行をより自然に実現することができる。
ゲーム空間におけるプレイ行為として、各種の態様が採用されてよい。そして、そのような各種のプレイ行為に応じた各種の態様で囲い部は形成されてよい。同様に、囲い部はユーザの視野範囲に位置する限り、各種の態様で形成されてよい。例えば、ユーザの視野範囲が正面に限定される場合には囲い部は正面側の壁(形状は適宜でよい)として構成されてもよい。或いは、左右側方も視野範囲に含まれる場合には、囲い部は左右の側壁(形状は適宜でよい)を有していてもよい。また、ユーザの視野範囲に上方が含まれる場合には天井(形状は適宜でよい)を、後方が含まれる場合には後方の壁(形状は適宜でよい)を、それぞれ囲い部は有していてよい。例えば、囲い部が360度壁等に囲まれている場合には、囲い部には更にユーザの出入りのための入り口が設けられていてもよい。さらに、例えば、プレイ行為として操作部への操作が採用される場合には、囲い部と椅子との間の間隔はユーザの移動を許容しない間隔であってもよい。一方で、例えば、プレイ行為としてユーザの動作が利用される場合には、そのような動作を許容する間隔が囲い部と椅子との間にあけられてもよい。具体的には、例えば、本発明のゲーム機の一態様において前記ゲーム空間におけるプレイ行為として前記ユーザの前方及び側方に対する動作を入力するための入力装置(12)が接続され、前記囲い部は、前記椅子の前方及び側方との間に前記ユーザの動作を許容するための所定の間隔を形成するように位置していてもよい。この場合、現実空間の映像を利用しつつ、少なくとも前方及び側方への動作をプレイ行為として利用するゲームを提供することができる。