JP6538623B2 - 樹脂モールド構造 - Google Patents
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Description
本発明は、樹脂モールド構造に係り、特に寿命予測が可能な樹脂モールド構造に関する。
鉄道車両や発電所等のインフラには、開閉器や変圧器等の設備が設置されている。これらの設備が故障すると、設備自体の修理費用に加え、鉄道や発電所が非稼働状態になることによる経済的な損失が生じるため、その影響が大きくなる。これらの設備における故障の発生状況は、同一仕様のものであっても、温度や振動等の使用環境や使用頻度に応じて変動するため、定期的に設備点検を行い、故障の前兆が見られたときに補修や交換等を行うことで、故障発生リスクを防止する処置がとられている。
上記した開閉器等の設備では、電極等の導電体を含む部材を樹脂モールドした構造が多用されている。このような樹脂モールド構造における故障原因として、使用環境における周囲との熱交換やモールド樹脂自身のジュール発熱に起因する熱応力により、主に部材近傍においてモールド樹脂のひずみが増大し、モールド樹脂が部材から剥離したり割れたりする現象が挙げられる。モールド樹脂の剥離や割れが樹脂内部で発生した場合、外観検査では検出できず、またX線等を用いる非破壊検査では、被検査体のサイズが1m超となると検査室内に入らないため、検査自体が不可能となる。このため、上記した故障原因を被検査体毎に検知して、交換や補修が必要となる時期までの残り寿命を被検査体毎にモニタリングする技術が求められている。
例えば特許文献1には、ひずみゲージ等の荷重センサにより、真空容器に作用する軸方向の力を、絶縁部材及び連結金具を介して検知し、真空容器の真空度劣化を判定するようにした真空度劣化検出装置付き真空開閉器が開示されている。また、近年、ひずみ検知用センサとして、光ファイバを通過させた光の反射波を検知して、所定位置におけるひずみや温度の変化を得る光ファイバひずみセンサを用いる技術が知られている。
特許文献1において、荷重センサとして用いられているひずみゲージは、高電圧下では作動しなくなるため、高電圧が印加される領域を避けて設置する必要があり、設置領域が制限される。また、上記した樹脂モールド構造は、成型時におけるモールド樹脂が液状であるため、所謂貼付型のひずみゲージは設置し難いことから、樹脂内部のひずみ測定を行うことは困難である。
一方、光ファイバひずみセンサは、電圧の影響を受けることなく使用できるため、高電圧印加領域の近傍にも設置することができる。また、光ファイバひずみセンサは、液状の樹脂内部にも設置し易いため、モールド樹脂内部のひずみ測定が可能である。
しかしながら、光ファイバひずみセンサを用いた場合、光ファイバを設置した領域では、光ファイバを設置していない領域のモールド樹脂の樹脂状態と異なる状態となることがある。この場合、本来のひずみ状態を正確に検知できず、残り寿命の正確な予測が困難となる。
本発明の目的は、残り寿命を高精度に予測して使用できる樹脂モールド構造を提供することにある。
本発明に係る樹脂モールド構造の好ましい実施形態としては、被巻回部材に光ファイバが螺旋状に巻回されてなる複合体と、前記複合体の外周を樹脂材料によりモールドする樹脂モールド部とを有し、前記光ファイバは、該光ファイバの巻回領域内の少なくとも一部の領域において、前記被巻回部材において前記光ファイバが巻回された面である光ファイバ巻回面と前記光ファイバとの距離dが、該光ファイバの径の3倍以上となるように巻回されていることを特徴とする。
本発明によれば、残り寿命を高精度に予測して使用できる樹脂モールド構造を実現することができる。
図1を用いて、実施例1に係る樹脂モールド構造100を説明する。なお、図1(a)は、樹脂モールド構造100の正面図であり、図1(b)は、図1(a)に示す樹脂モールド構造100を、図1(a)中右側から見た側面図であり、図1(c)は、図1(b)のA−A´線断面図である。
樹脂モールド構造100は、固定電極110と、固定電極110と対向させて固定電極110と接離可能に設置された可動電極120と、固定電極110及び可動電極120とを収容する筐体150とを有している。固定電極110、可動電極120は、金属材料等の導電体により形成されており、可動電極120が、不図示の動力源により駆動されて固定電極110に接離することで、開閉器として機能する。筐体150は、セラミックスや樹脂材料等の非導電体からなり、その外周には、光ファイバ161が螺旋状に巻回されている。なお、図1(c)は、図1(b)のA−A´線断面において、光ファイバの巻回状態を模式的に示したものである。
以下、固定電極110、可動電極120及び筐体150からなる構造体を、被巻回部材130と示す。また、被巻回部材130に光ファイバ161が巻回された構造体を、複合体170と示す。被巻回部材130に光ファイバ161が巻回された複合体170の外周は、その全体が、樹脂材料からなる樹脂モールド部140によりモールドされている。
樹脂モールド部140には、光ファイバコネクタ162が設置されており、光ファイバ161の一端部が、この光ファイバコネクタ162に接続されている。光ファイバコネクタ162には、適宜測定モニタ等の処理部が接続される。これにより、光ファイバ161が、光ファイバひずみセンサとして機能し、任意のタイミングでモールド樹脂におけるひずみ分布を測定することができる。具体的には、光ファイバ161を通過した光の反射波は、光ファイバコネクタ162を介して測定モニタに送信され、この反射波が、測定モニタにより出力信号に変換されて、樹脂モールド部140のひずみ量が算出される。
なお、図1に示す例では、筐体150として、その全体がセラミックス等の非導電体で形成されたものを用いた例を示した。但し、筐体150は、必ずしも全体が非導電体でなくてもよく、例えばその一部が導電体で形成されていてもよい。
図1に示す例では、光ファイバ161は、被巻回部材130を構成する筐体150の外周面の全域に亘って巻回されている。従って、この例では、筐体150の外周面が、光ファイバ巻回面151となる。また、複合体170において、筐体150の図1(a)中右側端部から左側端部までの領域が、光ファイバの巻回領域となる。光ファイバ161は、巻回領域内の少なくとも一部の領域において、光ファイバ巻回面151と光ファイバ161との距離dが、光ファイバ161の径Rの3倍以上となるように、筐体150の外周に巻回されている。図2に、光ファイバ巻回面151近傍の光ファイバ161を拡大して示す。
なお、以下の説明において、光ファイバ161の径Rとは、光ファイバの直径であり、光ファイバの外周が、例えばゴム材等の被覆材161aにより被覆されている場合には、その被覆材も含めた直径を、光ファイバ161の径Rとする。
光ファイバ巻回面151と光ファイバ161との距離dは、図2に示すように、光ファイバ161の外周面のうち光ファイバ巻回面151に最も近い点から、光ファイバ巻回面151までの距離をいう。
本発明者らは、光ファイバ161の巻回領域内に上記した領域を有することで、樹脂モールド部140のひずみ状態を光ファイバ161により高精度に検出でき、樹脂モールド構造100において、交換や補修が必要となる時期までの残り寿命を高精度に予測して使用できることを、実験により見出した。
即ち、樹脂モールド部140を構成する樹脂材料の弾性率は、一般に、被巻回部材130を構成するセラミックスや金属材料の弾性率や、光ファイバ161の弾性率と比較して小さい。このため、光ファイバ巻回面151と光ファイバ161との距離dが、光ファイバ161の径Rの3倍未満である箇所では、光ファイバ161と光ファイバ巻回面151との間の領域(以下、検知領域172と示す)に存在するモールド樹脂が、被巻回部材130や光ファイバ161の変形に追従している可能性がある。この場合、検知領域172に存在するモールド樹脂では、光ファイバ161が存在していない本来の状態下でのモールド樹脂で生じる変形が生じないため、ひずみ状態を正確に検知できない。
また、光ファイバ巻回面151と光ファイバ161との距離dが、光ファイバ161の径Rの3倍未満である箇所では、検知領域172にモールド樹脂が完全に充填されず、一部に空隙が形成されている可能性がある。この場合も、この箇所の検知領域172では、光ファイバ161が存在していない本来の状態下でのモールド樹脂で生じる変形が起こらないため、ひずみ状態を正確に検知できない。
また、光ファイバ巻回面151と光ファイバ161との距離dが、光ファイバ161の径Rの3倍未満である箇所では、被巻回部材130や光ファイバ161が放熱経路として機能することがある。この場合、この箇所の検知領域172に存在する樹脂材料の硬化プロセスや、硬化後のモールド樹脂におけるひずみの発生状況が変動するため、光ファイバが存在していない本来の状態下で発生するひずみ状態を、正確に検知できない。
以上の点より、光ファイバ巻回面151と光ファイバ161との距離dが、光ファイバ161の径Rの1.5倍、2.0倍、2.5倍、3倍未満である箇所では、モールド樹脂のひずみ状態を正確に検知できないことがあった。実施例1の樹脂モールド構造100は、光ファイバ巻回面151と光ファイバ161との距離dが、光ファイバ161の径Rの3倍以上である領域を有するため、この領域の光ファイバ161により、モールド樹脂内部のひずみ状態を、正確に検知することができる。このため、例えばモールド樹脂が被巻回部材130から剥離する等の、故障発生までの残り寿命を正確に予測することができる。
上記した構成の樹脂モールド構造100は、例えば、以下に説明するスペーサ180を用いることで、簡易に製造することができる。図3(a)に、スペーサ180を用いて製造した樹脂モールド構造の断面図を示し、図3(b)に、スペーサ180の正面図を示す。
まず、スペーサ180を用意する。スペーサ180は、凹部181を有する矩形柱体であり、凹部が、光ファイバ161の保持部となる。スペーサ180としては、凹部181の底面と、スペーサ180の底面との間の厚さwが、光ファイバ161の径Rの3倍以上の厚さを有するものを使用する。スペーサ180としては、セラミックスや樹脂材料等の非導電材料により形成される弾性材を好適に用いることができる。
このようなスペーサ180を、光ファイバ161の巻回領域における光ファイバ巻回面151、即ち筐体150の外周面上に設置し、接着剤等により固定する。スペーサ180は、複数個を所定の間隔毎に断続的に設置することが好ましい。
次に、筐体150の外周面上に設置したスペーサ180をガイドとして、光ファイバ161を巻き付ける。具体的には、光ファイバ161を、スペーサ180の凹部181に保持させつつ、筐体150の外周面に対して螺旋状に巻き付けていく。この際、例えば接着剤や板ばねを用いて、光ファイバ161をスペーサ180に固定しながら巻き付けることが好ましい。これにより、光ファイバ161の形状安定性が増し、モールド樹脂成形時の樹脂流動による、光ファイバの変形を抑制することができる。
またこの際、光ファイバ161の三次元形状測定等を行い、光ファイバ161を筐体150の外周面に巻き付けた時点でのファイバ形状を把握しておくことがよい。この時点での光ファイバ161の形状情報を、被巻回部材130近傍の樹脂ひずみの推定に反映させることで、光ファイバ161の巻きつけ精度に起因するひずみ推定誤差を低減することができる。
次に、筐体150の外周面に光ファイバ161を巻回した複合体170を、金型内の所定の位置に設置し、金型を閉じて内部に樹脂材料を注入する。樹脂材料注入後、所定時間放置することで、樹脂材料が硬化し、複合体170の周りに樹脂モールド部140が形成される。樹脂材料の硬化時には、必要に応じて熱処理を行ってもよい。この際、光ファイバコネクタ162に不図示の測定モニタを接続して、金型内の樹脂材料が硬化する過程のひずみ分布をモニタリングしておき、樹脂材料の硬化時点でのひずみ分布を、初期ひずみ分布として記憶しておくことがよい。
光ファイバ161と光ファイバ巻回面151との距離dが、光ファイバ161の径Rの3倍以上である領域が、光ファイバ161の巻回領域に占める割合が多いほど、モールド樹脂のひずみ状態を光ファイバ161により正確に検知できる確率が増すため好ましい。ただし、光ファイバ161は、光ファイバ巻回面151に部分的に接触していてもよい。光ファイバ161と光ファイバ巻回面151との接触部分では、モールド樹脂のひずみ量の測定誤差は大きくなるが、例えばこの領域が、樹脂モールド構造100における残り寿命の予測に与える影響が小さい領域であれば、残り寿命の予測値の誤差は、小さい範囲内に抑えられる。
上記のようにして得られた樹脂モールド構造100としての製品出荷後、任意のタイミングにおいて、光ファイバコネクタ162に測定モニタを接続し、樹脂モールド部140のひずみ測定を行う。そして、得られたひずみ測定値を、先に得られた初期ひずみ分布により算出される初期ひずみ値と比較対比し、ひずみ変化量を算出する。得られたひずみ変化量を、製品出荷後の経過時間、即ち初期ひずみ測定時点から現ひずみ測定時点までの経過時間で除して、ひずみ増加速度(又はひずみ減少速度)を算出する。
次に、検査対象である樹脂モールド構造100において、剥離・割れが発生するひずみ限界値と、現ひずみ測定値との差分を算出し、この差分値を、先に得られたひずみ増加速度(又はひずみ減少速度)で除して、残り寿命を算出する。算出された残り寿命が規定値より少ない場合には、適宜、故障検知に伴う補修や、新品との交換等を実施する。
樹脂モールド構造100が、例えば開閉器等の設備である場合には、これらの設備の故障を事前に検知し、上記した適切な処置を行うことで、これらの設備が設置された鉄道車両や発電所等の非稼働状態の発生を防止することができる。
なお、光ファイバを用いてひずみ検知を行う光ファイバひずみセンサとしては、例えば、光ファイバの所定位置に設置した回折格子を利用して、反射波の波長変化を検出する方式や、光ファイバに混入させた不純物等のレイリー散乱光を検出する方式が挙げられる。樹脂モールド構造100は、これらのいずれの方式の光ファイバひずみセンサも適用することが可能である。この点は、以下の実施例2〜4の樹脂モールド構造についても同様である。
光ファイバひずみセンサは、一般に、直径100μm程度の細径の光ファイバが用いられる。また、光ファイバひずみセンサの測定仕様は、一般に、測定ピッチが数mm程度、サンプリング周期が数秒程度、繰り返し測定誤差が数μ程度である。従って、樹脂モールド構造において、光ファイバひずみセンサを適用することで、例えば従来のひずみゲージ等の測定機器では測定できなかった、被巻回部材130近傍のモールド樹脂のひずみ状態を検知することができ、また、従来の測定機器と比較して、より高精度なひずみ検知が可能となる。
実施例1では、樹脂モールド構造100を開閉器に適用した場合を例に説明したが、樹脂モールド構造は、開閉器以外にも、例えば変圧器や電動機等の、種々の設備に適用することが可能である。
図4(a)に、実施例2に係る樹脂モールド構造200の断面を模式的に示す。実施例2の樹脂モールド構造200は、被巻回部材130を構成する筐体150の外周に、第一の光ファイバ163、第二の光ファイバ164の二本の光ファイバが、それぞれ螺旋状に巻回されている。なお、実施例2の樹脂モールド構造200は、上記の点以外の構成は、実施例1の樹脂モールド構造100と同様である。このため、実施例1と共通する点については、説明を省略する。
図4(a)に示すように、第一の光ファイバ163、第二の光ファイバ164は、螺旋の進行方向が、互いに異なる方向となるように、筐体150の外周面に巻回されている。図4(b)には、第二の光ファイバ164の螺旋の進む向きを矢印で示している。第二の光ファイバ164は、筐体150の図4(a)中右側端部側から、左側端部側に螺旋が進むように巻回されており、その一端が、光ファイバコネクタ166に接続されている。また、第一の光ファイバ163は、筐体150の図4(a)中左側端部側から、右側端部側に螺旋が進むように巻回されており、その一端が、光ファイバコネクタ165に接続されている。
図4(c)に、図4(a)のB−B´線断面図を示す。図4(c)に示す断面図は、第一の光ファイバ163(又は第二の光ファイバ164)の一方の端部から他方の端部に向かう光ファイバ巻回軸に沿う方向に垂直な断面である。図4(c)に示す断面において、光ファイバ巻回面151と第一の光ファイバ163との距離d1は、第一の光ファイバ163の径Rの3倍以上であり、光ファイバ巻回面151と第二の光ファイバ164との距離d2は、第二の光ファイバ164の径Rの3倍以上である。この断面において、距離d1と距離d2は、互いに異なる距離となっており、かつ距離d1と距離d2との差|d1−d2|は、第一の光ファイバ163又は第二の光ファイバ164の径Rの3倍以上となっている。
実施例2の樹脂モールド構造200は、距離d1、距離d2が上記した関係を有する断面を、第一の光ファイバ163及び第二の光ファイバ164の巻回領域内に有している。なお、実施例2においても、第一の光ファイバ163及び第二の光ファイバ164は、いずれも、被巻回部材130を構成する筐体150の外周面の全域に亘って巻回されており、筐体150の図4(a)中右側端部から左側端部までの領域が、第一の光ファイバ163及び第二の光ファイバ164の巻回領域となる。
以下に、第一の光ファイバ163及び第二の光ファイバ164により測定されたひずみ量を用いた、樹脂ひずみの推定方法について、図5を用いて説明する。図4(c)に示す断面において、第一の光ファイバ163により測定された、距離d1におけるひずみの任意の方向における成分をε1とし、図4(c)に示す断面において、第二の光ファイバ164により測定された、距離d2におけるひずみの前記方向における成分をε2としたとき、ε1、ε2を、それぞれ距離d1、距離d2についてプロットし、線形補完して近似曲線を作成する(図5参照)。この近似曲線を用いることで、ひずみ測定を行っていない位置におけるひずみ量を推定することができる。例えば、図5中、点Pのひずみ量の値により、光ファイバ巻回面151近傍におけるモールド樹脂のひずみ量を推定することができる。また、例えば、図5中、点Qのひずみ量の値により、光ファイバ巻回面151から樹脂モールド部140の厚さ方向に離れた位置におけるモールド樹脂のひずみ量を推定することができる。このようにして得られた、ひずみ量の推定値を用いることで、樹脂モールド構造200における残り寿命を、より高精度に予測することができる。
また、距離d1と距離d2との差|d1−d2|を、第一の光ファイバ163又は第二の光ファイバ164の径Rの3倍以上とすることで、第一の光ファイバ163と第二の光ファイバ164との間に、径Rの3倍以上の距離が確保される。これにより、第一の光ファイバ163と第二の光ファイバ164との間の領域に存在するモールド樹脂が、第一の光ファイバ163や第二の光ファイバ164の動きに追従したり、この領域に空隙が発生したり、第一の光ファイバ163や第二の光ファイバ164が放熱経路となる現象が防止される。このため、第一の光ファイバ163及び第二の光ファイバ164により、モールド樹脂のひずみ状態を、正確に検知することができる。
なお、図4に示す例では、第一の光ファイバ163、第二の光ファイバ164の二本の光ファイバを、筐体150の外周に巻回した例を示したが、三本以上の光ファイバを、筐体150の外周に巻回してもよい。
図6(a)に、実施例3に係る樹脂モールド構造300の断面を模式的に示す。実施例3の樹脂モールド構造300は、被巻回部材130を構成する筐体150の外周に、一本の光ファイバ161が、筐体150の図6(a)中右側端部側から左側端部側に向かう方向に螺旋が進行するように巻回された後、筐体150の図6(a)中左側端部近傍の位置Sにおいて、螺旋の進む向きが反転され、この光ファイバ161が、筐体150の図6(a)中左側端部側から右側端部側に向かう方向に螺旋が進行するように巻回されている。光ファイバ161は、その一端が、光ファイバコネクタ162に接続されている。
なお、実施例3の樹脂モールド構造300は、上記の点以外の構成は、実施例1の樹脂モールド構造100と同様である。このため、実施例1と共通する点については、説明を省略する。
図6(b)には、光ファイバ161の螺旋の進む向きを矢印で示している。図6(b)に示すように、光ファイバ161が、同じ領域内で、図6(a)中左側方向に螺旋が進むように巻回され、かつ図6(a)中右側方向に螺旋が進むように巻回されている領域を、光ファイバの反転領域と示す。なお、実施例3では、筐体150の図6(a)中右側端部から左側端部までの領域が、光ファイバ161の巻回領域であり、かつ反転領域である。
図6(c)に、図6(a)のC−C´線断面図を示す。図6(c)に示す断面図は、光ファイバ161の一方の端部から他方の端部に向かう光ファイバ巻回軸に沿う方向に垂直な断面である。図6(c)に示す断面において、光ファイバ巻回面151と、図6(a)中右側から左側に向かう方向に螺旋が進行するように巻回された光ファイバ部分161Aとの距離d3は、光ファイバ161の径Rの3倍以上であり、光ファイバ巻回面151と、図6(a)中左側から右側に向かう方向に螺旋が進行するように巻回された光ファイバ部分161Bとの距離d4は、光ファイバ161の径Rの3倍以上である。
この断面において、距離d3と距離d4は、互いに異なる距離となっており、かつ距離d3と距離d4との差|d3−d4|は、光ファイバ161の径Rの3倍以上となっている。実施例3の樹脂モールド構造300は、距離d3、距離d4が上記した関係を有する断面を、反転領域内に有している。
上記した構成とすることで、一の断面において、距離d3、距離d4において、それぞれひずみ量の測定を行うことができる。複数のひずみ量の測定値を用いて、実施例2と同様にして線形補完により近似曲線を作成することで、ひずみ測定を行っていない位置でのひずみ量を推定することができる。このようにして得られた、ひずみ量の推定値を用いることで、樹脂モールド構造300における残り寿命を、より高精度に予測することができる。
なお、距離d3と距離d4との差|d3−d4|を、光ファイバ161の径の3倍以上としたことによる効果は、実施例2と同様であり、その説明を省略する。
図7に、実施例4に係る樹脂モールド構造400の断面を模式的に示す。図7に示す樹脂モールド構造400は、実施例3の樹脂モールド構造300において、光ファイバ161の螺旋の進行方向を半回転毎に変えて、筐体150の外周に巻回した構造である。このようにして光ファイバ161を巻回することで、一の断面に存在する光ファイバ161の数を増やすことができる。即ち、一の断面において、複数箇所においてひずみ測定を行うことができるため、より詳細なひずみ分布を得ることができる。このため、樹脂モールド構造400における残り寿命を、より高精度に予測することができる。
なお、実施例4の樹脂モールド構造400は、上記の点以外の構成は、実施例3の樹脂モールド構造300を同様である。このため、実施例1と共通する点については、説明を省略する。
図7は、実施例3に係る樹脂モールド構造において、光ファイバ161の螺旋の進行方向を半回転毎に変えて巻回した例を示したが、実施例1〜2の構成においても同様に、この構成を適用することができる。
100、200、300、400…樹脂モールド構造、110…固定電極、120…可動電極、130…被巻回部材、140…樹脂モールド部、150…筐体、151…光ファイバ巻回面、161…光ファイバ、161a…光ファイバ161の被覆材、162…光ファイバコネクタ、163…第一の光ファイバ、164…第二の光ファイバ、165、166…光ファイバコネクタ、170…複合体、172…検知領域、180…スペーサ、181…凹部、w…凹部181の底面とスペーサ180の底面との間の厚さ、R…光ファイバ161の径、d、d1、d2、d3、d4…光ファイバ巻回面151と光ファイバとの距離
Claims (6)
- 被巻回部材に光ファイバが螺旋状に巻回されてなる複合体と、
前記複合体の外周を樹脂材料によりモールドする樹脂モールド部とを有し、
前記光ファイバは、該光ファイバの巻回領域内の少なくとも一部の領域において、前記被巻回部材において前記光ファイバが巻回された面である光ファイバ巻回面と前記光ファイバとの距離dが、該光ファイバの径の3倍以上となるように巻回されていることを特徴とする樹脂モールド構造。 - 前記被巻回部材には、第一の光ファイバと、前記第一の光ファイバと異なる第二の光ファイバとが巻回されており、
前記第一の光ファイバ及び前記第二の光ファイバは、前記巻回領域内の少なくとも一部の領域において、前記第一の光ファイバ又は前記第二の光ファイバの一方の端部から他方の端部に向かう光ファイバ巻回軸に沿う方向に垂直な断面における、前記光ファイバ巻回面と前記第一の光ファイバとの距離d1と、前記光ファイバ巻回面と前記第二の光ファイバとの距離d2とが異なり、かつ前記距離d1と前記距離d2との差|d1−d2|が、前記第一の光ファイバ又は前記第二の光ファイバの径の3倍以上となるように巻回されていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂モールド構造。 - 前記光ファイバの巻回領域は、前記光ファイバが、前記被巻回部材の第一の端部側から第二の端部側に向かう第一の方向に螺旋が進行するように巻回され、かつこの光ファイバが前記被巻回部材の前記第二の端部側から前記第一の端部側に向かう第二の方向に螺旋が進行するように巻回された光ファイバ反転領域を有し、
前記光ファイバは、前記光ファイバ反転領域内の少なくとも一部の領域において、前記光ファイバの一方の端部から他方の端部に向かう光ファイバ巻回軸に沿う方向に垂直な断面における、前記光ファイバ巻回面と、前記第一の方向に螺旋が進行するように巻回された光ファイバ部分との距離d3と、前記光ファイバ巻回面と、前記第二の方向に螺旋が進行するように巻回された光ファイバ部分との距離d4とが異なり、かつ前記距離d3と前記距離d4との差|d3−d4|が、前記光ファイバの径の3倍以上となるように巻回されていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂モールド構造。 - 前記光ファイバは、半回転毎に螺旋の進行方向が変わるように、前記被巻回部材に巻回されていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂モールド構造。
- 前記光ファイバの巻回領域には、前記光ファイバを保持する保持部を有するスペーサが、前記光ファイバ巻回面に設置されており、
前記光ファイバは、前記スペーサの前記保持部に保持された状態で、前記被巻回部材に巻回されていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂モールド構造。 - 前記被巻回部材は、固定電極と、前記固定電極と対向させて該固定電極に接離可能に設置された可動電極と、前記固定電極及び前記可動電極とを収容する筐体とを備えることを特徴とする請求項1に記載の樹脂モールド構造。
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