JP6538542B2 - 自励式無効電力補償装置 - Google Patents

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Description

本発明は、マルチレベルインバータを備えた自励式無効電力補償装置に関する。
近年、高圧大容量化を比較的容易に実現でき、出力高調波が少ない等の理由から、マルチレベルインバータが注目されている。たとえばSTATCOM(Static Synchronous Compensator)、SVG(Static Var Generator)あるいは自励式SVC(Static Var Compensator)などの自励式無効電力補償装置においては、高耐圧および大定格電流を有する半導体スイッチング素子を用いた電力変換装置に、中性点クランプ式のマルチレベルインバータを用いる構成が提案されている。
このマルチレベルインバータにおいては、従来より、スイッチングパターンにより、直流電源回路の中性点が半導体スイッチング素子およびダイオードを介して交流ラインに接続される期間があり、この期間に中性点を流れる電流によって中性点電位が変動することが知られている。このような中性点電位の変動は、半導体スイッチング素子への過大な印加電圧を招くおそれがある。
このような不都合を防止するための一つの方法として、たとえば、特開2013−255317号公報(特許文献1)には、直列接続された2つのコンデンサの直流電圧が互いに等しくなるように、当該2つのコンデンサの直流電圧の電圧差に応じて、3レベルインバータの電圧指令を補正する構成が開示されている。この特許文献1では、2つのコンデンサの直流電圧の電圧差に基づいて生成した補償量を、必要に応じて極性変換して3レベルインバータの各相出力電圧指令に加算することにより、最終的な出力電圧指令を生成する。以下では、中性点電位の変動を抑制するための制御を「バランス制御」と呼ぶこととする。
特開2013−255317号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されるバランス制御によれば、マルチレベルインバータの出力電力が0付近となる低出力運転時は、マルチレベルインバータに流れる電流の大きさが小さくなるため、2つのコンデンサの直流電圧を等しくするために両コンデンサの充電もしくは放電を促すことが難しくなり、結果的にバランス制御の効きが悪くなる。
このように、低出力運転時は、バランス制御を有効に実行することが難しいため、両コンデンサの直流電圧がアンバランスになる可能性が高くなる。両コンデンサの直流電圧がアンバランスになると、半導体スイッチング素子に過電圧が印加されるおそれが生じる。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、低出力運転時における中性点電位の変動を抑制可能な自励式無効電力補償装置を提供することである。
この発明のある局面に従う自励式無効電力補償装置は、第1の直流正母線および第1の直流負母線の間に直列に接続される第1および第2のコンデンサと、第1のマルチレベルインバータと、第2の直流正母線および第2の直流負母線の間に直列に接続される第3および第4のコンデンサと、第2のマルチレベルインバータと、前記第1および第2のマルチレベルインバータを制御する制御装置とを備える。第1のマルチレベルインバータは、電力系統と、第1の直流正母線、第1の直流負母線、および第1および第2のコンデンサの第1の中性点との間に接続され、直流電圧と少なくとも3つの電圧値の間で変化する交流電圧とを相互に変換可能に構成される。第2のマルチレベルインバータは、電力系統と、第2の直流正母線、第2の直流負母線および第3および第4のコンデンサの第2の中性点との間に接続され、直流電圧と少なくとも3つの電圧値の間で変化する交流電圧とを相互に変換可能に構成される。制御装置は、第1のインバータ制御部と、第2のインバータ制御部と、電力指令生成部とを含む。第1のインバータ制御部は、第1の電力指令値に従った進み無効電力を電力系統に出力するように、第1のマルチレベルインバータを制御するとともに、第1の中性点の電位変動を抑制するためのバランス制御を実行するように構成される。第2のインバータ制御部は、第2の電力指令値に従った遅れ無効電力を電力系統に出力するように、第2のマルチレベルインバータを制御するとともに、第2の中性点の電位変動を抑制するためのバランス制御を実行するように構成される。電力指令生成部は、進み無効電力と遅れ無効電力との合計電力が、電力系統の電圧変動に応じた無効電力指令値に一致するように、第1の電力指令値および第2の電力指令値を生成するように構成される。
この発明によれば、低出力運転時でも中性点の電位変動を抑制することが可能な自励式無効電力補償装置を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る自励式無効電力補償装置の主回路構成を示す概略ブロック図である。 図1に示した3レベルインバータの構成を詳細に説明する回路図である。 制御装置による、3レベルインバータの1相分のPWM制御を説明するための信号波形図である。 自励式無効電力補償装置の動作を示す図である。 3レベルインバータの出力電流の波形を示す図である。 制御装置の構成を説明するブロック図である。 中性点電位制御回路の構成を示す図である。 電力指令生成部の構成を示す図である。 電力指令値を示す波形図である。
以下に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下図中における同一または相当部分には同一の符号を付してその説明は繰返さない。
(自励式無効電力補償装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る自励式無効電力補償装置100の主回路構成を示す概略ブロック図である。図1を参照して、自励式無効電力補償装置100は、マルチレベルインバータ1A,1Bと、コンデンサC1〜C4と、連系リアクトルLA,LBと、電圧検出器5,11〜14と、電流検出器7,8と、制御装置10とを備える。
マルチレベルインバータ1A(第1のマルチレベルインバータ)は、連系リアクトルLAおよび変換器用変圧器2を介して電力系統3に接続される。マルチレベルインバータ1B(第2のマルチレベルインバータ)は、連系リアクトルLBおよび変換器用変圧器2を介して電力系統3に接続される。すなわち、マルチレベルインバータ1Aおよびマルチレベルインバータ1Bは、変換器用変圧器2に対して並列に接続される。
後述するように、マルチレベルインバータ1A,1Bの各々は三相3レベルインバータにより構成される。以下の説明では、マルチレベルインバータ1Aを「3レベルインバータ1A」と称し、マルチレベルインバータ1Bを「3レベルインバータ1B」と称する。
コンデンサC1,C2は直流正母線L1および直流負母線L2の間に直列に接続されて、直流正母線L1と直流負母線L2との間の電圧を平滑化する(図2参照)。コンデンサC1,C2の接続点である中性点N1には直流中性点母線L3が接続される。
3レベルインバータ1Aは、直流正母線L1、直流負母線L2およびコンデンサC1,C2の中性点N1に接続される。3レベルインバータ1Aは、直流正母線L1および直流負母線L2の間の直流電圧と3つの電圧値の間で変化する交流電圧とを相互に変換可能に構成される。
コンデンサC3,C4は直流正母線L4および直流負母線L5の間に直列に接続されて、直流正母線L4と直流負母線L5との間の電圧を平滑化する(図2参照)。コンデンサC3,C4の接続点である中性点N2には直流中性点母線L6が接続される。
3レベルインバータ1Bは、直流正母線L4、直流負母線L5およびコンデンサC3,C4の中性点N2に接続される。3レベルインバータ1Bは、直流正母線L4および直流負母線L5の間の直流電圧と3つの電圧値の間で変化する交流電圧とを相互に変換可能に構成される。
電圧検出器5は、変換機用変圧器2の二次側の三相交流電圧Vsを検出し、三相交流電圧Vsを示す信号を制御装置10に出力する。電流検出器7は、3レベルインバータ1Aの出力電流IAを検出し、電流IAを示す信号を制御装置10に出力する。電流検出器8は、3レベルインバータ1Bの出力電流IBを検出し、電流IBを示す信号を制御装置10に出力する。
直流正母線L1と直流負母線L2との間の電圧は中性点N1により電圧Vp_A,Vn_Aに分圧される。電圧検出器11は、コンデンサC1の両端の電圧Vp_Aを検出し、電圧Vp_Aを示す信号を制御装置10に出力する。電圧検出器12は、コンデンサC2の両端の電圧Vn_Aを検出して、電圧Vn_Aを示す信号を制御装置10に出力する。
直流正母線L4と直流負母線L5との間の電圧は中性点N2により電圧Vp_B,Vn_Bに分圧される。電圧検出器13は、コンデンサC3の両端の電圧Vp_Bを検出し、電圧Vp_Bを示す信号を制御装置10に出力する。電圧検出器14は、コンデンサC4の両端の電圧Vn_Bを検出し、電圧Vn_Bを示す信号を制御装置10に出力する。
制御装置10は、3レベルインバータ1A,1Bの動作を制御する。後に詳細に説明するが、3レベルインバータ1A,1Bは、半導体スイッチング素子を含む半導体スイッチにより構成される。なお本実施の形態では、半導体スイッチング素子としてIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が用いられる。また、本実施の形態では半導体スイッチング素子の制御方式としてPWM(Pulse Width Modulation)制御を適用することができる。
制御装置10は、電圧検出器5からの三相交流電圧Vsを示す信号、電流検出器7,8からの3レベルインバータ1A,1Bの出力電流IA,IBを示す信号、および電圧検出器11,12が検出した電圧Vp_A,Vn_Aを示す信号、電圧検出器13,14が検出した電圧Vp_B,Vn_Bを示す信号等を受けてPWM制御を実行する。
(3レベルインバータの構成)
図2は、図1に示した3レベルインバータ1A,1Bの構成を詳細に説明する回路図である。図2を参照して、3レベルインバータ1Aは、IGBT素子Q1u,Q1v,Q1w(総称してIGBT素子Q1とも称する)、IGBT素子Q2u,Q2v,Q2w(総称してIGBT素子Q2とも称する)、ダイオードD1u,D1v,D1w(総称してダイオードD1とも称する)、ダイオードD2u,D2v,D2w(総称してダイオードD2とも称する)、および交流スイッチS1〜S3を含む。
IGBT素子Q1u,Q1v,Q1wのドレインはともに直流正母線L1に接続され、それらのソースはそれぞれ交流端子T1,T2,T3に接続される。IGBT素子Q2u,Q2v,Q2wのドレインはそれぞれ交流端子T1,T2,T3に接続され、それらのソースはともに直流負母線L2に接続される。
ダイオードD1,D2のアノードはそれぞれIGBT素子Q1,Q2のソースに接続され、それらのカソードはそれぞれIGBT素子Q1,Q2のドレインに接続される。すなわち、ダイオードD1,D2は、それぞれIGBT素子Q1,Q2に逆並列に接続される。
交流スイッチS1〜S3の各々は、IGBT素子Q3,Q4およびダイオードD3,D4を含む。交流スイッチS1〜S3のIGBT素子Q4のソースはそれぞれ交流端子T1,T2,T3に接続され、交流スイッチS1〜S3のIGBT素子Q3のソースはともに中性点N1に接続される。交流スイッチS1〜S3の各々において、IGBT素子Q3,Q4のドレインは互いに接続され、ダイオードD3,D4はそれぞれIGBT素子Q3,Q4に逆並列に接続される。
IGBT素子Q1〜Q4の各々は、制御装置10によってPWM制御され、三相交流電圧Vsに同期して所定のタイミングでオンオフされる。たとえば、IGBT素子Q1u,Q1v,Q1wは、三相交流電圧Vsに同期して順次オンオフされる。IGBT素子Q1u,Q1v,Q1wがオンされている期間ではそれぞれIGBT素子Q2u,Q2v,Q2wがオフされ、IGBT素子Q1u,Q1v,Q1wがオフされている期間ではそれぞれIGBT素子Q2u,Q2v,Q2wがオンされる。
3レベルインバータ1Aは、直流正母線L1、直流負母線L2および直流中性点母線L3を介して供給される正電位、負電位および中性点電位に基づいて三相交流電圧を生成し、生成した三相交流電圧を交流端子T1〜T3に出力する。中性点電位は正電位と負電位との中間電位である。生成される三相交流電圧は、たとえば、正電位、中性点電位、負電位、中性点電位、正電位、・・・と変化する3レベルの交流電圧である。
3レベルインバータ1Bは、IGBT素子Q5u,Q5v,Q5w(総称してIGBT素子Q5とも称する)、IGBT素子Q6u,Q6v,Q6w(総称してIGBT素子Q6とも称する)、ダイオードD5u,D5v,D5w(総称してダイオードD5とも称する)、ダイオードD6u,D6v,D6w(総称してダイオードD6とも称する)、および交流スイッチS4〜S6を含む。
IGBT素子Q5u,Q5v,Q5wのドレインはともに直流正母線L4に接続され、それらのソースはそれぞれ交流端子T4,T5,T6に接続される。IGBT素子Q6u,Q6v,Q6wのドレインはそれぞれ交流端子T4,T5,T6に接続され、それらのソースはともに直流負母線L5に接続される。
ダイオードD5,D6のアノードはそれぞれIGBT素子Q5,Q6のソースに接続され、それらのカソードはそれぞれIGBT素子Q5,Q6のドレインに接続される。すなわち、ダイオードD5,D6は、それぞれIGBT素子Q5,Q6に逆並列に接続される。
交流スイッチS4〜S6の各々は、IGBT素子Q7,Q8およびダイオードD7,D8を含む。交流スイッチS4〜S6のIGBT素子Q8のソースはそれぞれ交流端子T4,T5,T6に接続され、交流スイッチS4〜S6のIGBT素子Q7のソースがともに中性点N2に接続される。交流スイッチS4〜S6の各々において、IGBT素子Q7,Q8のドレインは互いに接続され、ダイオードD7,D8はそれぞれIGBT素子Q7,Q8に逆並列に接続される。
IGBT素子Q5〜Q8の各々は、制御装置10によってPWM制御され、三相交流電圧Vsに同期して所定のタイミングでオンオフされる。たとえば、IGBT素子Q5u,Q5v,Q5wは、三相交流電圧Vsに同期して順次オンオフされる。IGBT素子Q5u,Q5v,Q5wがオンされている期間ではそれぞれIGBT素子Q6u,Q6v,Q6wがオフされ、IGBT素子Q5u,Q5v,Q5wがオフされている期間ではそれぞれIGBT素子Q6u,Q6v,Q6wがオンされる。
3レベルインバータ1Bは、直流正母線L4、直流負母線L5および直流中性点母線L6を介して供給される正電位、負電位および中性点電位に基づいて三相交流電圧を生成し、生成した三相交流電圧を交流端子T4〜T6に出力する。
図3は、制御装置10による、3レベルインバータ1Aの1相分のPWM制御を説明するための信号波形図である。IGBT素子Q1〜Q4のゲートには、それぞれゲート信号φ1〜φ4が与えられる。図3はゲート信号φ1〜φ4の作成方法および波形を示す図である。図3には、電圧指令値V*、正側三角波キャリア信号CA1、負側三角波キャリア信号CA2およびゲート信号φ1〜φ4の波形が示されている。
キャリア信号CA1,CA2の周期および位相は同じである。キャリア信号CA1,CA2の周期は電圧指令値V*の周期よりも十分に小さい。
電圧指令値V*のレベルと正側三角波キャリア信号CA1のレベルの高低が比較される。電圧指令値V*のレベルが正側三角波キャリア信号CA1のレベルよりも高い場合は、ゲート信号φ1,φ3がそれぞれHレベルおよびLレベルにされる。電圧指令値V*のレベルが正側三角波キャリア信号CA1のレベルよりも低い場合は、ゲート信号φ1,φ3がそれぞれLレベルおよびHレベルにされる。
したがって、電圧指令値V*のレベルが正である期間では、ゲート信号φ1およびφ3がキャリア信号CA1に同期して交互にHレベルにされ、IGBT素子Q1,Q3が交互にオンされる。また、電圧指令値V*のレベルが負である期間では、ゲート信号φ1,φ3はそれぞれLレベルおよびHレベルに固定され、IGBT素子Q1がオフ状態に固定されるとともにIGBT素子Q3がオン状態に固定される。
電圧指令値V*のレベルと負側三角波キャリア信号CA2のレベルの高低が比較される。電圧指令値V*のレベルが負側三角波キャリア信号CA2のレベルよりも高い場合は、ゲート信号φ2,φ4がそれぞれLレベルおよびHレベルにされる。電圧指令値V*のレベルが負側三角波キャリア信号CA2のレベルよりも低い場合は、ゲート信号φ2,φ4がそれぞれHレベルおよびLレベルにされる。
したがって、電圧指令値V*のレベルが正である期間では、ゲート信号φ2,φ4はそれぞれLレベルおよびHレベルに固定され、IGBT素子Q2がオフ状態に固定されるとともにIGBT素子Q4がオン状態に固定される。また、電圧指令値V*のレベルが負である期間では、ゲート信号φ2およびφ4がキャリア信号CA2に同期して交互にHレベルにされ、IGBT素子Q2,Q4が交互にオンされる。
(動作)
次に、本実施の形態に係る自励式無効電力補償装置100の動作について説明する。
図4は、自励式無効電力補償装置100の動作を示す図である。図4を参照して、本実施の形態に係る自励式無効電力補償装置100は、電力系統3に対して電気的に並列接続された2つの3レベルインバータ1A,1Bにより構成される。
3レベルインバータ1Aは、コンデンサC1,C2によって平滑化された電圧すなわち直流電圧に基づいて電力系統3へ無効電力を出力する。3レベルインバータ1Bは、コンデンサC3,C4によって平滑化された電圧すなわち直流電圧に基づいて電力系統3へ無効電力を出力する。変換器用変圧器2は、3レベルインバータ1A,1Bから出力された電圧を変圧して電力系統3へ出力する。
制御装置10は、3レベルインバータ1A,1Bの各々から電力系統3へ出力される無効電力を制御する。具体的には、制御装置10は、電力系統3へ進み無効電力QAを出力するように、3レベルインバータ1Aを構成するIGBT素子Q1〜Q4をPWM制御する。制御装置10はまた、電力系統3へ遅れ無効電力QBを出力するように、3レベルインバータ1Bを構成するIGBT素子Q5〜Q8をPWM制御する。
ここで、自励式無効電力補償装置100全体が出力する無効電力Qの基準値を示す無効電力指令値をQrefとし、3レベルインバータ1Aが出力する進み無効電力QAの基準値を示す電力指令値(第1の電力指令値)をQref_Aとし、3レベルインバータ1Bが出力する遅れ無効電力QBの基準値を示す電力指令値(第2の電力指令値)をQref_Bとすると、制御装置10は、以下の式(1)を満たすように電力指令値Qref_A,Qref_Bを生成する。
Qref=Qref_A+Qref_B …(1)
すなわち、制御装置10は、3レベルインバータ1Aが出力する進み無効電力QAと3レベルインバータ1Bが出力する遅れ無効電力QBとの合計値が無効電力指令値Qrefに一致するように、電力指令値Qref_A,Qref_Bを生成する。
図5は、3レベルインバータ1A,1Bの出力電流の波形を示す図である。図5を参照して、3レベルインバータ1Aから電力系統3に出力される無効電流Iq_Aは、三相交流電圧Vsよりも90度位相が進んでいる。一方、3レベルインバータ1Bから電力系統3に出力される無効電流Iq_Bは、三相交流電圧Vsよりも90度位相が遅れている。以下では、無効電流Iq_Aを進み無効電流とも称し、無効電流Iq_Bを遅れ無効電流とも称する。
図5に示されるように、進み無効電流Iq_Aの振幅と遅れ無効電流Iq_Bの振幅とが等しければ、3レベルインバータ1Aから出力された進み無効電流Iq_Aは電力系統3に供給されずに、遅れ無効電流Iq_Bとして3レベルインバータ1Bに供給される。その結果、3レベルインバータ1Aから出力される無効電力QAと3レベルインバータ1Bから出力される無効電力QBとは互いに打ち消し合う関係となるため、自励式無効電力補償装置100から電力系統3に出力される無効電力Qは実質的に0となる。
制御装置10はさらに、コンデンサC1,C2の接続点である中性点N1の電位変動を抑制するために、コンデンサC1,C2の直流電圧を互いに等しくする制御(バランス制御)を実行する。制御装置10はまた、コンデンサC3,C4の接続点である中性点N2の電位変動を抑制するために、コンデンサC3,C4の直流電圧を互いに等しくする制御(バランス制御)を実行する。
バランス制御では、従来より、2つのコンデンサの直流電圧の電圧差に基づいて零相電圧指令値を生成し、生成した零相電圧指令値を3レベルインバータの電圧指令値V*に重畳させる方法が採用されている(たとえば、特許文献1参照)。この方法では、零相電圧指令値加算後の電圧指令値V*と、キャリア信号CA1,CA2とが比較されることにより、3レベルインバータに含まれるIGBT素子を駆動するためのゲート信号が生成される。
たとえば、3レベルインバータ1Aにおいて、コンデンサC1の電圧Vp_AがコンデンサC2の電圧Vn_Aよりも大きい場合を想定する(Vp_A>Vn_A)。このような場合、バランス制御では、コンデンサC1の放電およびコンデンサC2の充電を促すように、ゲート信号φ1〜φ4がHレベルにされる時間が調整される。
具体的には、3レベルインバータ1Aは、出力電圧に対する出力電流の極性に応じて、コンデンサC1,C2の充電および放電が切替えられる。出力電圧のレベルが正である期間では、出力電流が正であるときにIGBT素子Q1がオンされる時間を短くすると、中性点N1に流入する電流が増えるため、コンデンサC1の放電およびコンデンサC2の充電が促され、出力電流が負であるときにIGBT素子Q1がオンされる時間を長くすると、中性点N1から流出する電流が減るため、コンデンサC1の充電およびコンデンサC2の放電が抑制される。
一方、出力電圧のレベルが負である期間では、出力電流が正であるときにIGBT素子Q2がオンされる時間を短くすると、中性点N1に流入する電流が増えるため、コンデンサC1の放電およびコンデンサC2の充電が促され、出力電流が負であるときにIGBT素子Q2がオンされる時間を長くすると、中性点N1から流出する電流が減るため、コンデンサC1の充電およびコンデンサC2の放電が抑制される。
なお、IGBT素子Q1,Q2がオンされる時間の調整は、3レベルインバータ1Aから出力される無効電流Iq_Aの極性に応じて、電圧指令値V*に重畳する零相電圧指令値の極性を切替えることによって行なうことができる。
しかしながら、3レベルインバータ1の出力電力が0付近となる低出力運転時は、出力電流が発生しない、もしくは出力電流の大きさが小さいため、上述したコンデンサC1,C2の充放電を促すことができず、バランス制御の効きが悪くなる。その結果、低出力運転時はコンデンサC1,C2の直流電圧がアンバランスになる可能性が高くなり、半導体スイッチング素子に過電圧が印加されるおそれが生じる。
このような不具合を回避するため、本実施の形態に係る自励式無効電力補償装置100では、図4に示したように、自励式無効電力補償装置100が電力系統3に出力すべき無効電力を、電力系統3に対して並列に接続された2つの3レベルインバータ1A,1Bで協働して出力する構成とする。これにより、低出力運転時においても、各3レベルインバータの出力電力を、バランス制御が有効となる大きさとすることができる。
詳細には、自励式無効電力補償装置100から電力系統3に対しては、3レベルインバータ1Aが出力する進み無効電力QAと、3レベルインバータ1Bが出力する遅れ無効電力QBとを合計した無効電力Qが供給される。これによれば、進み無効電力QAおよび遅れ無効電力QBをほぼ同じ大きさとすれば、進み無効電力QAと遅れ無効電力QBとが互いに打ち消し合うため、実質的に、電力系統3に供給される無効電力Qを約0とすることができる。よって、3レベルインバータ1A,1Bの各々は、バランス制御を有効に実行可能な大きさの無効電力を出力することができる。
(制御装置の構成)
次に、制御装置10の構成について説明する。
図6は、制御装置10の構成を説明するブロック図である。制御装置10において、有効電流成分および無効電流成分はそれぞれd軸、q軸とする回転座標系(dq座標系)で制御される。d軸は系統電圧と同位相の成分となり、q軸は系統電圧に直交した成分となるように、系統電圧に基づき制御される。
図6を参照して、制御装置10は、電力指令生成部20と、インバータ制御部22,24と、電圧検出部26とを含む。
電力指令生成部20は、無効電力指令値Qrefに基づいて電力指令値Qref_AおよびQref_Bを生成する。電力指令生成部20で生成された電力指令値Qref_A,Qref_Bは、インバータ制御部22,24へそれぞれ出力される。電力指令生成部20の詳細な構成については後述する。
電圧検出部26は、電圧検出器5によって検出された三相交流電圧Vsを三相/二相変換することにより、系統電圧検出値Vd,Vqを検出する。
インバータ制御部22(第1のインバータ制御部)は、三相交流電圧Vs、3レベルインバータ1Aの出力電流IA、コンデンサC1,C2の電圧Vp_A,Vn_Aなどをモニタしながらゲート信号を供給することにより、3レベルインバータ1Aを制御する。
インバータ制御部24(第2のインバータ制御部)は、三相交流電圧Vs、3レベルインバータ1Bの出力電流IB、コンデンサC3,C4の電圧Vp_B,Vn_Bなどをモニタしながらゲート信号を供給することにより、3レベルインバータ1Bを制御する。なお、インバータ制御部22とインバータ制御部24とは基本的構成が同じであるため、図4においては、インバータ制御部22の構成を代表的に示す。
インバータ制御部22は、電流検出部30と、無効電力検出部32と、減算器34,38と、PI演算部36,40と、加算器42,46,48,50と、電圧指令生成部44と、ゲート制御回路52と、中性点電位制御回路54とを含む。
電流検出部30は、電流検出器7により検出された3レベルインバータ1Aの出力電流IAに基づいて、3レベルインバータ1Aから電力系統3へ出力される無効電流Iq_Aおよび有効電流Id_Aを検出する。具体的には、電流検出部30は、電流検出器7により検出された三相交流電流IAを三相/二相変換することによって無効電流Iq_Aおよび有効電流Id_Aを検出する。
無効電力検出部32は、電圧検出部26により検出された系統電圧検出値Vd,Vqおよび電流検出部30により検出された無効電流Iq_Aおよび有効電流Id_Aに基づいて、3レベルインバータ1Aから電力系統3へ出力される無効電力Q_Aを検出する。具体的には、無効電力検出部32は、数式(Q=Vd×Iq_A−Vq×Id_A)を用いて、無効電力Q_Aを算出する。無効電力検出部32は、検出した無効電力Q_Aを減算器34へ出力する。
減算器34は、電力指令値Qref_Aと無効電力検出部32により検出された無効電力Q_Aとの偏差ΔQ_Aを演算し、その偏差ΔQ_AをPI演算部36に与える。PI演算部36は、少なくとも比例要素(P:Proportional element)および積分要素(Integral element)を含んで構成され、偏差ΔQ_Aを入力として比例積分演算を行なうことにより、3レベルインバータ1Aに要求される無効電流Iqref_A(以下、無効電流基準値Iqref_Aとも称する)を生成する。
減算器38は、無効電流基準値Iqref_Aと電流検出部30により検出された無効電流Iq_Aとの偏差ΔIq_Aを演算し、その偏差ΔIq_AをPI演算部40に与える。PI演算部40は、偏差ΔIq_Aを入力として比例積分演算を行ない、偏差ΔIq_Aを0とするための無効電圧の電圧基準値を生成する。
加算器42は、電圧検出部26により検出された系統電圧検出器Vqと、PI演算部40により生成された電圧基準値とを加算し、その加算結果を、3レベルインバータ1Aに要求される無効電圧Vq_A*(以下、無効電圧基準値Vq_A*とも称する)として電圧指令生成部44へ出力する。
すなわち、減算器34,38、PI演算部36,40および加算器42は、3レベルインバータ1Aから出力される交流電圧のうち、無効電流Iq_Aに関わる成分を制御する。
電圧指令生成部44は、電圧検出部26により検出された系統電圧検出値Vd、および加算器42により生成された無効電圧基準値Vq_A*を三相/二相変換することにより、3レベルインバータ1Aから出力すべき電圧として、電圧指令値Vu0*,Vv0*,Vw0*を生成する。
中性点電位制御回路54は、電圧検出器11が検出したコンデンサC1の電圧Vp_A、電圧検出器12が検出したコンデンサC2の電圧Vn_A、および電流検出部30が検出した無効電流Iq_Aを受けて、電圧Vp_A,Vn_Aの電圧差を0にするための電圧指令値V1*を生成する。中性点電位制御回路54の詳細な構成については後述する。
加算器46は、電圧指令値Vu0*およびV1*を加算して電圧指令値Vu*を生成する。加算器48は、電圧指令値Vv0*およびV1*を加算して電圧指令値Vv*を生成する。加算器50は、電圧指令値Vw0*およびV1*を加算して電圧指令値Vw*を生成する。
ゲート制御回路52は、PWM制御に従って、3レベルインバータ1Aが電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に相当する三相交流電圧を出力するためのゲート信号を、3レベルインバータ1AにおけるIGBT素子Q1〜Q4に供給する。
以上に述べたように、インバータ制御部22は、電力指令値Qref_Aに一致した無効電力を出力するとともに、中性点N1の電位変動を抑制するように、3レベルインバータ1を動作させる。インバータ制御部24もインバータ制御部22と同様に、電力指令値Qref_Bに一致した無効電力を出力するとともに、中性点N2の電位変動を抑制するように、3レベルインバータ1Bを動作させる。
(中性点電位制御回路の構成)
図7は、中性点電位制御回路54の構成を示す図である。図7では、3レベルインバータ1AのU相アームを制御するための構成を代表的に示す。
図7を参照して、中性点電位制御回路54は、減算器60と、増幅器62と、乗算器64,66と、極性判別回路68とを含む。
減算器60は、電圧検出器11が検出したコンデンサC1の電圧Vp_Aから電圧検出器12が検出したコンデンサC2の電圧Vn_Aを減算して電圧差(Vp_A−Vn_A)の値を出力する。
増幅器62は、電圧差(Vp_A−Vn_A)を示す値に所定のゲインGを乗算して、零相電圧指令値を生成する。乗算器64は、零相電圧指令値と6次高調波信号(sin6θ)との積を演算する。なお、6次高調波信号(sin6θ)は、電流検出部30での三相/二相変換に用いられる位相θを6倍した位相6θに基づいて、図示しない正弦波発生器により生成される信号である。
極性判別回路68は、電流検出部30により検出した無効電流Iq_Aの極性を判別し、判別結果を示す信号を乗算器66へ出力する。無効電流Iq_Aの極性は、3レベルインバータ1Aが進み無効電流を出力しているときに正となり、遅れ無効電流を出力しているときに負となるものと定義する。極性判別回路68は、無効電流Iq_Aの極性が正のときに値「−1」の信号を出力し、無効電流Iq_Aの極性が負のときに値「1」の信号を出力する。
乗算器66は、零相電圧指令値および6次高調波信号の積に、極性判別回路68の出力信号をさらに乗算し、電圧指令値Vu0*,Vv0*,Vw0*に重畳する電圧指令値V1*を生成する。
加算器46は、電圧指令値Vu0*,V1*を加算して電圧指令値Vu*を生成する。ゲート制御回路52は、電圧指令値Vu*に基づいて、3レベルインバータ1Aに含まれるIGBT素子Q1〜Q4を駆動するための信号(ゲート信号)を生成する。
ゲート制御回路52は、比較器70,74と、NOT回路72,76とを含む。比較器70は、電圧指令値Vu*と正側三角波キャリア信号CA1との高低を比較し、Vu*>CA1のときにゲート信号φ1をHレベルにし、Vu*<CA1のときにゲート信号φ1をLレベルにする。NOT回路72は、比較器70から出力されるゲート信号φ1を反転して、ゲート信号φ3を生成する。
比較器74は、電圧指令値Vu*と負側三角波キャリア信号CA2との高低を比較し、Vu*<CA2のときにゲート信号φ2をHレベルにし、Vu*>CA2のときにゲート信号φ2をLレベルにする。NOT回路76は、比較器74から出力されるゲート信号φ2を反転して、ゲート信号φ4を生成する。
(電力指令生成部の構成)
図8は、電力指令生成部20の構成を示す図である。図8を参照して、電力指令生成部20は、加算器80と、減算器82と、下限リミッタ84と、上限リミッタ86とを含む。
加算器80および減算器82には、自励式無効電力補償装置100が出力すべき無効電力Qの基準値(無効電力指令値Qref)が入力される。無効電力Qは、進み無効電力を出力しているときに正、遅れ無効電力を出力しているときに負になるものと定義する。
加算器80は、無効電力指令値Qrefに所定値X(X>0)を加算する。減算器82は、無効電力指令値Qrefから所定値Xを減算する。
所定値Xは、インバータ制御部22,24の各々がバランス制御を有効に実行することができる、3レベルインバータ1A,1Bの出力電力の絶対値の最小値に相当する。所定値Xは、たとえば、各3レベルインバータの定格出力の約5%に設定される。
加算器80の出力値(Qref+X)は、下限リミッタ84に入力される。下限リミッタ84は、加算器80の出力値(Qref+X)を下限値X以上に制限して、電力指令値Qref_Aを生成する。すなわち、下限リミッタ84は、上記所定値Xを下限値Xとして有しており、加算器80の出力値(Qref+X)が下限値X以上である場合には、出力値(Qref+X)を電力指令値Qref_Aとする。一方、出力値(Qref+X)が下限値Xより小さい場合には、電力指令値Qref_Aを下限値Xとする。
減算器82の出力値(Qref−X)は、上限リミッタ86に入力される。上限リミッタ86は、減算器82の出力値(Qref−X)を上限値(−X)以下に制限して、電力指令値Qref_Bを生成する。すなわち、上限リミッタ86は、上記所定値Xにマイナスをつけた上限値(−X)を有しており、減算器82の出力値(Qref−X)が上限値(−X)以下である場合には、出力値(Qref−X)を電力指令値Qref_Bとする。一方、出力値(Qref−X)が上限値(−X)より大きい場合には、電力指令値Qref_Bを上限値−Xとする。
図9は、無効電力指令値Qrefおよび電力指令値Qref_A,Qref_Bを示す波形図である。
図9を参照して、無効電力指令値Qrefは、進み無効電力(正の電力)と遅れ無効電力(負の電力)との間を変化する波形を有するものとする。
電力指令値Qref_Aは、無効電力指令値Qrefを正方向に所定値Xだけシフトさせた波形となっている。ただし、電力指令値Qref_Aは下限値X以上に制限されている。
電力指令値Qref_Bは、無効電力指令値Qrefを負方向に所定値Xだけシフトさせた波形となっている。ただし、電力指令値Qref_Bは上限値(−X)以下に制限されている。
電力指令値Qref_AおよびQref_Bは、合計値(Qref_A+Qref_B)が無効電力指令値Qrefに一致するという条件を満たしつつ、各々の絶対値が所定値X以上となるように設定されている。これによれば、電力指令値Qref_Aに基づいて3レベルインバータ1Aの動作を制御するときに、中性点N1のバランス制御を有効に実行することができる。また、電力指令値Qref_Bに基づいて3レベルインバータ1Bの動作を制御するときに、中性点N2のバランス制御を有効に実行することができる。この結果、自励式無効電力補償装置100から出力される無効電力Qの絶対値が所定値Xを下回る場合においても、3レベルインバータ1A,1Bの各々において中性点N1,N2の電位変動を抑制することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、自励式無効電力補償装置が、電力系統に並列に接続された2つの3レベルインバータにより構成され、かつ、当該2つの3レベルインバータが出力電力を互いに打ち消し合う関係となっている。これによれば、自励式無効電力補償装置から電力系統に出力される無効電力が低い場合であっても、各3レベルインバータにおいてバランス制御を有効に実行できるため、中性点電位変動を抑制することができる。
なお、本実施の形態では3レベルインバータを示したが、第1および第2のマルチレベルインバータは、直流電圧と少なくとも3つの電圧値を有する交流電圧とを相互に変換する回路であればよい。したがって、直流電圧と5つの電圧値を有する交流電圧とを相互に変換する5レベルインバータを、第1および第2のマルチレベルインバータに適用することができる。
また本実施の形態では、三相の電力系統3に適用可能な自励式無効電力補償装置を示したが、電力系統は三相に限定されず、単相のものであってもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1A 3レベルインバータ(第1のマルチレベルインバータ)、1B 3レベルインバータ(第2のマルチレベルインバータ)、2 変換器用変圧器、3 電力系統、5,11〜14 電圧検出器、7,8 電流検出器、10 制御装置、20 電力指令生成部、22,24 インバータ制御部、26 電圧検出部、30 電流検出部、32 無効電力検出部、34,38,60,82 減算器、36,40 PI演算部、42,46,48,50,80 加算器、44 電圧指令生成部、52 ゲート制御回路、54 中性点電位制御回路、62 増幅器、64,66 乗算器、68 極性判別回路、70,74 比較器、72,76 NOT回路、84 下限リミッタ、86 上限リミッタ、100 自励式無効電力補償装置、C1〜C4 コンデンサ、LA,LB 連系リアクトル、L1,L4 直流正母線、L2,L5 直流負母線、L3,L6 直流中性点母線。

Claims (2)

  1. 第1の直流正母線および第1の直流負母線の間に直列に接続される第1および第2のコンデンサと、
    電力系統と、前記第1の直流正母線、前記第1の直流負母線、および前記第1および第2のコンデンサの第1の中性点との間に接続され、直流電圧と少なくとも3つの電圧値の間で変化する交流電圧とを相互に変換可能に構成された第1のマルチレベルインバータと、
    第2の直流正母線および第2の直流負母線の間に直列に接続される第3および第4のコンデンサと、
    前記電力系統と、前記第2の直流正母線、前記第2の直流負母線および前記第3および第4のコンデンサの第2の中性点との間に接続され、直流電圧と少なくとも3つの電圧値の間で変化する交流電圧とを相互に変換可能に構成された第2のマルチレベルインバータと、
    前記第1および第2のマルチレベルインバータを制御する制御装置とを備え、
    前記制御装置は、
    第1の電力指令値に従った進み無効電力を前記電力系統に出力するように、前記第1のマルチレベルインバータを制御するとともに、前記第1の中性点の電位変動を抑制するためのバランス制御を実行するように構成された第1のインバータ制御部と、
    第2の電力指令値に従った遅れ無効電力を前記電力系統に出力するように、前記第2のマルチレベルインバータを制御するとともに、前記第2の中性点の電位変動を抑制するためのバランス制御を実行するように構成された第2のインバータ制御部と、
    前記進み無効電力と前記遅れ無効電力との合計電力が、無効電力指令値に一致するように、前記第1の電力指令値および前記第2の電力指令値を生成するように構成された電力指令生成部とを含み、
    前記電力指令生成部は、前記第1の電力指令値および前記第2の電力指令値の合計が前記無効電力指令値に一致するという条件下で、各々の絶対値が所定値以上となるように、前記第1の電力指令値および前記第2の電力指令値を生成する、自励式無効電力補償装置。
  2. 前記第1のインバータ制御部は、前記第1の電力指令値と前記第1のマルチレベルインバータの出力電力との差に応じた電圧指令値に、前記第1のコンデンサの両端の電圧と前記第2のコンデンサの両端の電圧との差に基づいた電圧指令値を加算するように構成され、
    前記第2のインバータ制御部は、前記第2の電力指令値と前記第2のマルチレベルインバータの出力電力との差に応じた電圧指令値に、前記第3のコンデンサの両端の電圧と前記第4のコンデンサの両端の電圧との差に基づいた電圧指令値を加算するように構成される、請求項1に記載の自励式無効電力補償装置。
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