JP3791188B2 - 電圧無効電力制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電力系統の制御に係り、特に常時観測点の電圧目標値に追従させるように電圧制御を行う電圧無効電力制御方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平8−211951 号公報にある無効電力補償装置は、自励式インバータを変圧器を介して系統母線に接続し、上記インバータ出力電圧を系統電圧と同位相で振幅制御することにより補償用無効電力を発生する自励式無効電力補償装置を運転するにあたり、負荷変動に基づくフリッカ、又は電圧変動、又は無効電力変動、或いは負荷からの運転指令信号を検出し、その検出信号から負荷変動が所定レベルよりも小さいことを検知した場合、上記インバータを出力停止、又は出力0に制御固定して運転損失を低減させることを特徴とする。
【0003】
また、特開平9−135535 号公報にある無効電力補償装置では、本発明は、配電線または送電線に接続され、進みから遅れの無効電力を発生する主回路と、前記配電線または送電線の電圧を検出する変圧器と、前記主回路の入力電流を検出する第1の変流器と、前記配電線または送電線に前記主回路の接続点よりも電源側に挿入された第2の変流器とを備え、前記第2の変流器の出力と前記変圧器の出力とにより前記配電線または送電線の潮流の方向を検出し、順方向潮流の場合には前記第2の変流器の出力と前記変圧器の出力とにより力率または無効電力を求め、逆方向潮流の場合には前記第2の変流器の出力の反転出力に前記第1の変流器の出力を加算した出力と前記変圧器の出力とにより力率または無効電力を求め、その値が目標値になるように前記主回路を制御することにより、潮流潮流方向にかかわらず前記配電線または送電線の力率または無効電力を一定制御するようにした静止型無効電力補償装置である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記した従来技術は全てフィードバック制御を基本としているため、制御時間遅れが生じ、応答時間が高速である静止型電圧無効電力制御装置の場合でも追従できない場合がある。また、今後複雑化が進む電力系統の制御においては複数の制御指標を満足する必要がある。このような制御を実施する場合、各制御指標毎に機器を設置する必要があるため設備コストは高くなる課題点がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明では、まず制御時間遅れによる制御の遅れを、フィードフォワード制御の考え方を導入した電圧無効電力制御装置により解決する。このために、電圧無効電力制御装置に時刻情報と、電圧無効電力制御に必要な物理量に関する過去の履歴データより、電圧変動を予測し、その電圧変化に制御が追従できるように該制御機器に関する電圧基準値の補正を行う。また、コスト削減の多機能型制御機器を提供する観点から制御対象時刻、たとえばピーク時,オフピーク時ごとに、一台の制御機器に対して役割の異なる制御を実施可能なように、時刻情報と前記した過去の履歴データをもとに、任意の時刻における制御機器の不感帯幅を逐次的に変更することにより時間帯に応じて多目的な制御が可能な制御機器を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を図面を用いて説明する。図1は本発明の第一の実施例を示す図である。本発明の電圧無効電力制御装置は従来からの電圧無効電力制御装置101,電圧制御の対象母線である制御対象設備102,詳細について後述する電圧補正装置103,時刻情報を電圧補正装置に伝達するタイマー104からなる。
【0007】
一般的な電圧無効電力制御装置の一例として静止型無効電力補償装置(SVC)を対象とした例について、図2を用いて説明する。静止型無効電力制御装置は配電線210における電圧値V(t)を検出し、その基準電圧値V(t)* との差を比較する。その差が不感帯幅設定装置201における不感帯幅よりも大きければ、ゲイン202にて前記電圧差より制御に必要な無効電力Iq* を算出し、センサ206にて計測する流れる無効電力を制御する。この無効電力Iq* を実際に制御するためにゲイン203にて、PWM204,インバータ205のようなパワエレ機器に印加する電圧値を決定する。なお、本図面での実施例は自励式の静止型無効電力補償装置を例としてあげているが、他励式の静止型無効電力補償装置を対象とすることも可能である。
【0008】
本発明の第一の実施例は電圧実績値V(t)の変動を小さくするために、逐次的に電圧基準値V(t)* を変更する。その機能の構成例を図3を用いて説明する。本発明の電圧補正装置はデータ収集装置301,データ収集装置にて収集したデータを蓄積するデータベース302,データ収集装置301とデータベース302 、さらにタイマー104からの時刻情報をもとに電圧指令値の補正量を算出する指令値補正ルール作成部303、指令値補正ルール作成部303にて算出した指令値補正ルールを蓄積する指令値補正テーブル304、指令値補正テーブル304にて蓄積された補正テーブルと前記時刻情報、さらにデータ収集装置からの電流観測値、電圧観測値に代表される電圧制御に必要な物理量、あるいは他の電圧無効電力制御装置の動作状況から電圧無効電力制御装置に対する電圧指定値の補正量を算出する指令値補正計算部305から構成される。
【0009】
次に電圧補正装置103中の各機能について説明する。データ収集装置301では制御対象である母線の電圧値に代表される物理量、タイマー104からの時刻情報、あるいは他の電圧無効電力制御装置の動作状況を収集する。収集したデータは図4中の表401に示す形態で格納される。表401の例では一例として実績電圧値,実績電流値,各時刻における基準電圧値,有効電力値,無効電力値を各時刻毎に格納する例を示している。また、表401に示したデータは図5に示すように曜日毎、あるいは天候毎に分類して各物理量毎の時系列データとして表すことも可能である。図5の例ではおおよそ11:00〜14:00までの有効電力量(負荷量)が大きく変動する時間帯のデータの傾向について、有効電力と電圧値の傾向を示している。501は平日における傾向、502は月曜日における傾向、503は土曜日における傾向、504は祝日,休日における傾向を示している。ここでは一例として曜日ごとの電圧・有効電力の傾向を示している。もちろん季節,気温,天候ごとに分類することも可能である。
【0010】
次に指令値補正ルール作成部303について説明する。指令値補正ルール作成部の実現には様々な方法が考えられる。本明細書ではその中でファジィ制御の考え方を用いた実施例と、クラスタ分析に基づいた実施例について以下に述べる。まずファジィ制御を用いた考え方について説明する。この方法は一日の電圧傾向が若干の時間のずれはあるものの、ほぼ一定周期で変動していることに着目して、大きな電圧変動が生じる時間を時刻情報をもとに予測を行い、予め電圧変動が少なくなるように電圧無効電力制御機器を制御する方法である。たとえば図5中の501に示すように、正午前後では昼休みの休憩時間とともに負荷量が減少しそれと同時に電圧値が急激に上昇している。このような急激な電圧上昇を防止するためには、12:00頃になると電圧が低下するように予め対象機器を制御しておけばよい。また、昼休みが終了すると考えられる13:00ごろには負荷の急上昇に伴い電圧が低下している。このような急激な電圧低下を防止するためには、13:00ごろに電圧が低下するように予め対象機器を制御しておけばよい。これらの制御を実施する正確な時間は、曜日毎の需要パターンの違い、あるいは気象条件に左右されることが多い。
【0011】
従って、以上に示した制御方針は毎日必ずしも同じではなく、ある程度の時間幅に入った時間内に制御を実施することが必要である。また、電圧値を一定値に保つためには単に機器の無効電力発生量を一定の電圧基準値に維持するのではなく、予め履歴データより高めに推移するとわかっていれば、電圧基準値を低めに設定することで、電圧変動を効果的に防止することが可能であり、予め履歴データより低めに推移するとわかっていれば、電圧基準値を高めに設定することで電圧変動を効果的に防止することが可能である。
【0012】
以上の考え方に基づくと、以下に示すファジィ制御ルールが抽出できる。
【0013】
if(負荷変動が増加する方向に大)and(電圧変動が減少する方向に大)
then(電圧基準値を高くする)
:
:
このような制御ルールをまとめると図6のルール表601となる。表601中の記号はNBが減少する方向に大、NSが減少する方向に小、ZRが増加も減少もしない、PSが増加する方向に小、PBが増加する方向に大であることを意味している。これらのNB,NS,ZR,PS,PBはそれぞれ図6中の602に示すメンバーシップ関数として表現できる。横軸が制御変数(たとえば負荷量,電圧の大きさを正規化した値)、縦軸がメンバーシップ値(帰属度)である。各メンバーシップ関数は底辺が2a(a:スケーリングファクタ)の二等辺三角形で表すこととする。もちろん釣り鐘型、あるいはその他の形状をもつメンバーシップ関数であっても構わない。
【0014】
以上のような考え方により、電圧基準値補正のための基本的な制御ルールを得ることができた。これらのルールをもとにたとえば負荷と電圧値を入力変数とし、電圧補正値を出力変数とする場合には図8中の801に示す関数関係が作成される。なお、この関数関係は入力変数に時刻、あるいは気象条件,曜日の種類等を入れることも可能である。801に示す関数関係が求まれば、制御実行時の負荷量,電圧値、あるいは時刻情報,気象条件,曜日種類を関数関係に入力することにより、各時刻における電圧基準値補正量V(t)cor を算出する。
【0015】
このような制御ルールは、実際の制御に用いるためには一般的にチューニングが必要である。このチューニングをデータベース302に格納した過去の履歴データをもとにチューニングを行う。制御ルールのチューニング方法を図7を用いて説明する。まず、制御ルールをチューニングすることは、図602に示したファジィルールを最適化することである。これは過去の履歴データをもとに、先に示した二等辺三角形の底辺の値であるスケーリングファクタaの大きさを各ファジィ数(NB,NS,ZR,PS,PB)ごとに最適な値に変更する。
【0016】
変更の基準としては任意の時刻の電圧基準値と実際の電圧値との差が小さいほど、ルールの一致度が高い(たとえば実績値と補正後の電圧基準値の差が小さく、かつ補正値が増加の方向に大であった場合)場合には、ルールはよりあいまい性が少ないことが望ましいため、スケーリングファクタaの値を小さくする。その逆にルールの一致度が小さい場合にはルールに対してさらにあいまい性を持たせることが望ましいため、スケーリングファクタaを大きくする。ここでのスケーリングファクタの変更の目安として、本実施例では初期状態のスケーリングファクタの10分の1と設定する(後述する図7中フローチャートのs)。なお、初期状態では隣り合う各ファジィ変数の重なりの程度を2分の1とする。
【0017】
以上のチューニング方法を図7のフローチャートに示す。まず処理701にて制御ルールのチューニング対象となる過去の履歴データを収集する範囲,対象時刻を設定する。次に処理702にて、処理701にて設定した範囲のデータをデータベース302より収集する。次に処理703にて処理701にて選択した制御対象期間に相当する基本制御ルールを指令値補正テーブル304より収集する。ここでの指令値補正テーブルには表601に示す初期状態におけるルール表、あるいは前記したスケーリングパラメータaを既にチューニングしたルール表のいずれかを収集する。どちらの種類のルール表を取得するかは、季節の変わり目に代表される気象条件の変化、あるいは至近日における一致度の高いルール選択状況により決定する。
【0018】
次に処理704にて収集したデータ数を変数Nに設定し、処理705にて前記した電圧基準値V(t)* と電圧実績値V(t)の差によりスケーリングファクタの変更量sを用いてスケーリングファクタを変更する。処理705中のεの値の目安はたとえばスケーリングファクタaの4分の1とする。処理705を対象データが無くなるまで実施し(処理706)、対象とするデータがなくなったことを処理707にて検出したら、チューニングしたルールの結果を処理708にて指令値補正テーブル304に格納する。
【0019】
指令値補正ルール作成部303において作成されたファジィルールを指令値補正テーブル304に対して格納する形態を図8に示す。図801は指令値補正ルール作成部303において作成された関数関係の一例である。図801に示すように関数関係は一般的に連続曲面として得られる。しかし計算機上に実装する場合には、図802に示すように関数関係の曲面を離散化し、テーブル上に表現することが便利である。図802中の各表は、811が平日における関数関係、812が月曜における関数関係、図813が土曜における関数関係、図814が祝日,休日における関数関係を示している。このように関数関係を離散化した場合には、入力変数も離散化(たとえば四捨五入)することにより、処理が高速であるテーブルルックアップ方式で電圧基準値補正機能を実装可能となる。
【0020】
次に指令値補正ルール作成部303のもう一つの実現方法として、クラスタ分析を用いた方法について説明する。図9は簡単のため、入力変数が電圧実績値,有効電力(負荷)実績値である場合のクラスタ分析結果の一例である。この例では簡単のため時間断面毎の電圧実績値と有効電力実績値の関係を図示している。もちろん実際には時間軸、あるいはその他の要因を入力データとしてクラスタ分析を行う。以下、本実施例ではクラスタ分析の変量として電圧実績値,有効電力実績値とし、尺度を電圧基準値補正量とした場合についての実施例を以下に述べる。図9の901〜904はクラスタ分析の結果、尺度である電圧基準値補正量毎に分類された結果である。クラスタの分類に際しては一般的に多く用いられる以下の重み付ユークリッド距離を用いる。
【0021】
【数1】
【0022】
もちろん、マハラノビス距離、
【0023】
【数2】
【0024】
あるいは内積による類似度
【0025】
【数3】
【0026】
により分類することも可能である。
【0027】
図10にクラスタ分析方法を用いた履歴データの分類方法のフローチャートを示す。処理1001ではクラスタ分析対象とする過去の履歴データを収集する範囲,対象時刻を設定する。次に処理1002にて、処理1001にて設定した範囲のデータをデータベース302より収集する。処理1003にて収集したデータの数を変数pに設定する。処理1004にて前記した数1〜数3のいずれかを用いて履歴データをクラスタ分類する。クラスタ分類が終了した後に処理1005にて各分類後のクラスタに補正量(ラベル)を設定する。本実施例においてこの補正量の設定は、各クラスタに含まれるデータの尺度の平均値とする。もちろん重み付け平均値等の他の指標を用いることも可能である。
【0028】
以上の算出結果を図8中の表802にある形式にて指令値補正テーブル304に格納する。
【0029】
最後に指令値補正計算部305では、指令値補正テーブル304に格納されている入力変数と出力変数との関数関係、あるいはテーブルをもとに電圧実績値,有効電力実績値に代表される入力の変数と、時刻情報をもとに電圧基準値の補正量を算出する。この処理は単なる代入計算にて実現が可能である。前記したようにここで算出した電圧基準値の補正量と予め設定されている電圧基準値とを加算することにより新たな電圧基準値とし、電圧無効電力制御装置の入力変数とする。
【0030】
本発明の第一の実施例を用いて任意の時刻における時刻情報と過去の電圧制御に関係する状態変数を記録した履歴データと、任意の時刻における前記状態変数を用いて作成した電圧基準値補正値と予め設定されている電圧基準値を加算した新たな電圧基準値を電圧無効電力制御装置の入力変数とすることにより、周期的な有効電力負荷の急激な変化に伴う電圧の急激な変動を低減することが可能となる。
【0031】
次に本発明の電圧無効電力制御装置の第二の実施例について説明する。第二の実施例は電圧無効電力制御装置101に対して、不感帯幅を時刻情報と履歴データを用いて逐次的に変更する装置である。第二の実施例は図11に示すように電圧無効電力制御装置101,制御対象設備102,不感帯幅補正装置1101,タイマー104から構成される。不感帯幅補正装置1101より電圧無効電力制御装置101の不感帯幅の補正値を算出し、その値で補正した不感帯幅を電圧無効電力制御装置101の不感帯幅とする。
【0032】
図11に示すような構成とするのは、電圧無効電力制御装置、特に静止型無効電力補償装置を単に電圧変動幅の低減のみならず、フリッカと呼ばれる小刻みな電圧変化の制御にも対応させる目的のためである。一日の間に必要な電圧制御を考えると、図12に示すように1201,1203の期間は電圧変動はそれほど大きくなく、どちらかというと小刻みで小さな変動であるフリッカ対策が必要な時間帯である。通常、フリッカに対する制御は電圧無効電力制御装置の不感帯幅がフリッカの変動よりも大きく設定されていることが多いため、フリッカ対策として用いるには手動で不感帯幅を適宜変更する必要がある。しかし、急激な電圧変動が発生する1202の期間はフリッカの対策よりも電圧一定制御が重視されるため、不感帯幅はフリッカ対策の際と比較して大きく設定することが望ましい。
【0033】
以上の観点に基づく電圧無効電力制御装置の第二の実施例を図13に示す。図13中の1101は第一の実施例とほぼ同様の構成であり、データ収集装置1301,データベース1302,不感帯幅補正ルール作成部1303,不感帯幅補正テーブル1304,不感帯幅補正計算部1305からなる。データ収集装置1301ではタイマー(図11,104)からの時刻情報と該時点での電圧不感帯幅,電圧観測値,有効電力(負荷)観測値、その他の気象条件に代表される要因を収集し、図14中の表1401に示す形式でデータベース1302に保存する。あるいは第一の実施例と同様に、図15に示すように各曜日毎、あるいは季節ごとに収集したデータを時系列データとして格納することも可能である。1501は平日における傾向、1502は月曜日における傾向、1503は土曜日における傾向、1504は祝日,休日における傾向を示している。ここでは一例として曜日ごとの電圧・有効電力の傾向を示している。
【0034】
該時点における電圧無効電力制御に必要なデータ収集装置1301から収集した物理量とデータベース1302,タイマー104からの時刻情報より、不感帯幅補正ルール作成部1303にて、制御機器の電圧不感帯幅を調整するための制御ルールを算出する。ここで作成された制御ルールは不感帯幅補正テーブル1304に格納され、制御時点における電圧無効電力制御に必要なデータ収集装置1301にて収集された物理量をもとに、電圧不感帯幅の修正量を算出し、電圧無効電力制御装置101の不感帯幅を不感帯幅調整装置である1306にて自動的に調整する。
【0035】
次に不感帯幅補正ルール作成部について説明する。この部分は第一の実施例と同様の処理にて実施が可能である。異なる点は第一の実施例にて各時刻毎の電圧基準値と電圧実績値がそれぞれ各時刻毎の不感帯幅基準値と、不感帯幅実績値に置き代えればよい。このことにより、不感帯幅補正ルール作成部1303、ならびに不感帯幅補正テーブル1304、そして不感帯幅補正計算部はデータベースから収集するデータを変更するだけで図7から図10までの実施例と同様の手順で実現することが可能となる。
【0036】
本発明の第二の実施例を用いて任意の時刻における時刻情報と過去の電圧制御に関係する状態変数を記録した履歴データと、任意の時刻における前記状態変数を用いて作成した不感帯幅補正値と予め設定されている不感帯幅を加算した新たな不感帯幅を電圧無効電力制御装置の入力変数とすることにより、時間帯に応じて多目的な制御が可能な制御機器が可能となる。
【0037】
次に以上の説明した第一の実施例,第二の実施例を実際の電圧無効電力制御装置に実装する方法について図16以後を用いて説明する。図16は静止型電圧無効電力制御装置の一実施例である。1601は制御装置の本体、1602は各種接続のための端子箱、1603は各種の設定を行う制御箱、装置1604は本発明の電圧補正装置103、あるいは不感帯幅補正装置1101が格納されているモジュール、あるいは後述する計算機を表している。装置1604は端子箱中から第一の実施例の場合は電圧値を、第二の実施例の場合には不感帯幅の設定値を収集する通信線1605にて接続され、また、制御箱1603中の制御設定値を変更する情報を伝達する通信線1606にて接続されている。
【0038】
図17は装置1404を1ボードマイコンで実装した場合の図である。1701はマイコンの基盤、1702は図16中の通信線1605,1606と接続するインターフェース端子、1703はプロセッサ、1704,1705はいずれもメモリを表している。プロセッサ1703は図3中の310、図13中の1311それぞれの補正ルール作成部303,1303,補正計算部305,1305の実行プログラムを内蔵している。実行プログラムはプロセッサ中に格納されても、ROMとして実現することも可能である。さらにまた、メモリ1704,1705はそれぞれ第一の実施例におけるデータベース302,指令値補正テーブル304 、第二の実施例におけるデータベース1302,不感帯幅補正テーブル1304を表している。
【0039】
一方図18は装置1404をパーソナルコンピュータ1801にインターフェースボード1805を介して電圧無効電力制御装置1501に接続した場合の図である。1802は制御動作をモニタするためのディスプレイ、1803はキーボード、1804はマウス、1806は通信線1605,1807は通信線1606を意味する。図18の例の場合、制御のために必要なソフトウエアは全てパーソナルコンピュータ1801中のハードディスクに内蔵され、制御はすべてインターフェースボード1805を通じて実施される。また、図18では各装置ごとにパーソナルコンピュータを設けているが、一つのパーソナルコンピュータで複数の機器を制御することも可能である。
【0040】
【発明の効果】
本発明の第一の実施例を用いて任意の時刻における時刻情報と過去の電圧制御に関係する状態変数を記録した履歴データと、任意の時刻における前記状態変数を用いて作成した電圧基準値補正値と予め設定されている電圧基準値を加算した新たな電圧基準値を電圧無効電力制御装置の入力変数とすることにより、周期的な有効電力負荷の急激な変化に伴う電圧の急激な変動を低減することが可能となる。また、本発明の第二の実施例を用いて任意の時刻における時刻情報と過去の電圧制御に関係する状態変数を記録した履歴データと、任意の時刻における前記状態変数を用いて作成した不感帯幅補正値と予め設定されている不感帯幅を加算した新たな不感帯幅を電圧無効電力制御装置の入力変数とすることにより、時間帯に応じて多目的な制御が可能な制御機器が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電圧無効電力制御装置の第一の実施例を示すブロック図。
【図2】一般的な静止型無効電力補償装置の構成を示す系統図。
【図3】電圧補正装置の構成図。
【図4】データベースへのデータ格納の一例を示す図。
【図5】データベースへのデータ格納の一例を示す図。
【図6】制御ルールの一例を示す図。
【図7】指令値補正ルール作成部の一実施例を示すフローチャート。
【図8】指令値補正テーブルへの格納の一例を示す図。
【図9】クラスタ分析の一例を示す図。
【図10】クラスタ分析を行うフローチャート。
【図11】本発明の電圧無効電力制御装置の第二の実施例を示す図。
【図12】一日の負荷変動の一例を示す特性図。
【図13】不感帯幅補正装置の構成図。
【図14】データベースへのデータ格納の一例を示す図。
【図15】データベースへのデータ格納の一例を示す図。
【図16】電圧無効電力制御装置の外観図。
【図17】ワンボードマイコンで実装した本発明の電圧無効電力制御装置を示す斜視図。
【図18】パーソナルコンピュータで実装した本発明の電圧無効電力制御装置を示す斜視図。
【符号の説明】
101…電圧無効電力制御装置、102…制御対象設備、103…電圧補正装置、104…タイマー、201…不感帯設定装置、202,203…ゲイン、204…PWM発生装置、205…インバータ、206…センサ、210…配電線、301,1301,1002…データ収集装置、302,1302…データベース、303…指令値補正ルール作成部、304…指令値補正テーブル、305…指令値補正計算部、310…プロセッサ実装時の対象部分、401,1401…データ格納テーブル、501,1501…平日における傾向、502,1502…月曜日における傾向、503,1503…土曜日における傾向、504,1504…祝日,休日における傾向、601…ファジィルール表、602…ファジィ変数、701,1001…対象期間設定処理、702…データ収集処理、703…基本ルール収集処理、704…変数設定処理、705…チューニング処理、706…カウンタ処理、707…判定処理、708…指令値補正テーブル格納処理、801…算出した関数関係曲面、802…算出した関数関係を離散的に表示した表、811…平日に対する関数関係表、812…月曜に対する関数関係表、813…土曜に対する関数関係表、814…祝日に対する関数関係表、901,902,903,904…クラスタ分類結果、1003…変数設定処理、1004…クラスタリング処理、1005…クラスタラベル設定処理、1101…不感帯幅補正装置、1201,1203…フリッカ対策対象時間帯、1202…電圧一定制御対象時間帯、1303…不感帯幅補正ルール作成部、1304…不感帯幅補正テーブル、1305…不感帯幅補正計算部、1311…プロセッサ実装時の対象部分、1306…不感帯幅設定装置、1601…静止型無効電力制御装置の外観図、1602…端子箱、1603…制御箱、1604…本発明の電圧無効電力制御装置、1605,1606,1806,1807…通信線、1701…マイコン基盤、1702…通信線とのインターフェース、1703…プロセッサ、1704,1705…メモリ、1801…パーソナルコンピュータの外観、1802…ディスプレイ、1803…キーボード、1804…マウス、1805…インターフェースボード。
Claims (2)
- 制御対象となる設備の電圧値を検出し、予め設定された基準電圧値に前記設備の電圧値を制御し、一定周期で電圧無効電力制御装置からの各時刻における電圧実績値と、電圧基準値,電圧制御設備における動作状態に関する情報を入手し、該情報と時刻情報をもとに、前記電圧無効電力装置の基準電圧値を自動的に変更する電圧補正装置を備え、前記電圧無効電力制御装置中の電圧補正装置が時刻情報と対象設備の電圧値を収集するデータ収集装置,前記データを格納するデータベース,前記データ収集装置にて収集したデータと前記データベース中のデータより電圧指令値の補正量を算出する指令値補正ルール作成部,指令値補正ルール作成部での演算結果を格納する指令値補正テーブル,前記指令値補正テーブルの内容と、前記対象設備の電圧値から指令値の補正量を算出する指令値補正計算部からなる電圧無効電力制御装置であって、前記電圧補正装置中の指令値補正ルール作成部において、任意の数のルールに対し、任意の周期をもって補正ルールを前記設備の電圧実績値,該時点での目標値,時刻情報からの任意の組合せをもとに前記各ルール間の相関性を逐次的に変更する特徴を有した電圧無効電力制御装置。
- 制御対象となる母線電圧値を検出し、予め設定された基準電圧値に前記母線電圧値を制御する電圧無効電力制御装置であって、一定周期で前記電圧無効電力制御装置からの各時刻における電圧実績値,電圧基準値,電圧制御設備における動作状態に関する情報を入手し、該情報と時刻情報をもとに、前記電圧無効電力制御装置の不感帯幅を自動的に変更する不感帯幅補正装置を備え、前記電圧無効電力制御装置中の電圧補正装置が時刻情報と対象設備の電圧値を収集するデータ収集装置,前記データを格納するデータベース,前記データ収集装置にて収集したデータと前記データベース中のデータより不感帯幅の補正量を算出する指令値補正ルール作成部,指令値補正ルール作成部での演算結果を格納する指令値補正テーブル,前記指令値補正テーブルの内容と、前記対象設備の電圧値から不感帯幅の補正量を算出する指令値補正計算部を備え、前記不感帯幅補正装置中の不感帯幅補正ルール作成部において、任意の数のルールに対し、任意の周期をもって補正ルールを時刻情報,前記設備の電圧実績値,該時点での目標値からの任意の組合せをもとに前記各ルール間の相関性を逐次的に変更する特徴を有した電圧無効電力制御装置。
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