JP6538389B2 - ダイヤモンド薄膜の製造方法、熱フィラメントcvd装置及びメカニカルシール - Google Patents

ダイヤモンド薄膜の製造方法、熱フィラメントcvd装置及びメカニカルシール Download PDF

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Description

本発明は、基材の表面にダイヤモンド薄膜などの薄膜を形成するための熱フィラメントCVD装置及びその装置を用いて薄膜を形成するための成膜方法、並びにダイヤモンド薄膜を用いたメカニカルシールに関する。
熱フィラメント化学蒸着法(以下、「熱フィラメントCVD法」という。)は、例えばダイヤモンド薄膜などの薄膜を基板などの基材の表面に形成するために用いられている。例えば、特許文献1には、ダイヤモンドの気相合成を行う熱フィラメントCVD法において、前処理として、高濃度の炭素源を導入して通電加熱し、タンタルフィラメントの両電極端にグラファイトを主体とするカーボンを鞘状に析出させて被覆形成するための炭化処理を施すようにした熱フィラメントCVD法であって、5体積%以上のメタン濃度を有するメタンと水素との混合ガスを炭素源として導入し、通電加熱によりフィラメントの温度を2000℃以上で少なくとも12時間保持することを特徴とする熱フィラメントCVD法が開示されている。
また、特許文献2には、可動部材と静止部材とを有する軸受又はシール構造において、部材同士の対向面が、多結晶ダイヤモンドが被覆されていることを特徴とするダイヤモンド被覆軸受又はシール構造が開示されている。特許文献3には、熱フィラメントCVD法を用いて基板の外側に複数本のフィラメントを等間隔で張り、対象の基材表面にダイヤモンドを析出することが記載されている。
特許文献3には、反応室と、原料供給系と、質量分析器とを有するCVD装置であって、前記反応室は、内部に導入した原料を用いて基板にCVD成膜を起こさせるものであり、前記原料供給系は、CVD反応を起こさせる原料を反応室に供給するものであり、前記原料は、室温で固体又は液体であり、質量分析器は、前記反応室の原料成分を分析し、分析結果に基づいて原料供給系に前記反応室へ供給する原料供給量を制御する指令を出力するものであることを特徴とするCVD装置が記載されている。
特開2004−91836号公報 特開2006−275286号公報 特許第3077591号公報
熱フィラメントCVD法は、原料ガスの熱分解による生成物や化学反応によって、基材の表面に薄膜を形成する化学気相成長(CVD)の一種であり、熱フィラメントから放出された熱電子により原料ガスの分解生成物や化学反応させることに特徴がある。熱フィラメントCVD法は、通常、少なくとも2000℃以上に加熱された一本以上のフィラメントによって導入した原料ガスを励起し、基材の表面に薄膜を形成する方法である。熱フィラメントCVD法を用いて、例えばダイヤモンド薄膜を成膜する技術が開発されてきている。
熱フィラメントCVD法により、ダイヤモンド薄膜を成膜する場合、原料ガスとして、炭素を含むガス(例えばメタンガス)を用いるが、それに加え、水素ガスをキャリアガスとして用いることが一般的である。ダイヤモンド薄膜の成膜に水素ガス(キャリアガス)を用いる場合、フィラメントからの熱により活性化された水素は、非ダイヤモンド炭素に対して強いエッチング作用を示し、一方、ダイヤモンドに対してはほとんどエッチング作用を示さない。水素ガスを用いる熱フィラメントCVD法は、この選択的エッチング作用をうまく利用して、基材上における非ダイヤモンド成分の成長を抑え、ダイヤモンドのみを析出させることにより、ダイヤモンド薄膜を成膜することができる。このように、ダイヤモンド薄膜の際には、水素ガスが重要な役割を果たしている。水素ガス(キャリアガス)と、炭素を含む原料ガスとを含む混合ガスを成膜用ガスとしてダイヤモンド薄膜を成膜する場合、成膜用ガス中の原料ガスの流量割合は、3〜4%程度である。
近年、大型の熱フィラメントCVD装置による大面積のダイヤモンド薄膜の成膜技術の開発が進められている。しかしながら、成膜面積の大面積化に伴い、成膜用ガスの使用量の増加によるコストや成膜に要する時間も増大する。また、爆発性の高い水素ガスを大量に使用することは危険性を伴う。したがって、ダイヤモンド薄膜の成膜面積の大面積化にあたっては、安全性に懸念が生じる。ダイヤモンド薄膜の製造コストを下げるためには、成膜用ガスの使用量を削減することも必要である。
そこで、本発明は、ダイヤモンド薄膜を低コストで成膜するための、ダイヤモンド薄膜の製造方法を得ることを目的とする。具体的には、本発明は、比較的安全で、速い成膜速度で、膜厚が均一なダイヤモンド薄膜を成膜するための、ダイヤモンド薄膜の製造方法を得ることを目的とする。さらに具体的には、キャリアガスの使用量を削減することにより、低コストで安全なダイヤモンド薄膜の製造方法を得ることを目的とする。
また、本発明は、熱フィラメントCVD法によって、ダイヤモンド薄膜を低コストで製造することのできる熱フィラメントCVD装置を得ることを目的とする。具体的には、本発明は、比較的安全で、速い成膜速度で、膜厚が均一なダイヤモンド薄膜を製造することのできる熱フィラメントCVD装置を得ることを目的とする。さらに具体的には、キャリアガスの使用量を削減することにより、低コストで安全にダイヤモンド薄膜を製造することのできる熱フィラメントCVD装置を得ることを目的とする。
本発明者らは、熱フィラメントCVD装置を用いるダイヤモンド薄膜の成膜について鋭意研究したところ、所定の成膜条件を満たす場合は、爆発性の高い水素ガスの使用量を、減少させたとしても、速い成膜速度で、膜厚が均一なダイヤモンド薄膜を成膜することができることを見出し、本発明に至った。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。本発明は、構成1〜7であるダイヤモンド薄膜の製造方法、構成8であるメカニカルシール、及び構成9〜13である熱フィラメントCVD装置である。
(構成1)
本発明の構成1は、熱フィラメントCVD装置を用いるダイヤモンド薄膜の製造方法であって、
前記熱フィラメントCVD装置が、成膜室と、前記成膜室内に配置され、基材を配置するための基材台と、前記成膜室内に配置され、電流を通電することにより加熱可能なフィラメントと、前記成膜室内に原料ガス及びキャリアガスを供給するためのガス供給手段とを含み、
ダイヤモンド薄膜の製造方法が、前記基材台に前記基材を配置する工程と、前記成膜室内に前記原料ガス及び前記キャリアガスを供給する工程と、前記フィラメントに通電することにより、前記フィラメントを所定の温度まで上昇させる工程とを含み、
前記キャリアガスの流量に対する前記原料ガスの流量の比率が5〜23%(例えば、水素100ml/分に対するメタン流量23ml/分)の範囲内となるように設定される、ダイヤモンド薄膜の製造方法である。
なお、本明細書において、気体の流量を「ml(ミリリットル)/分」の単位で表すことがあるが、この場合、気体の体積は、標準状態(常温、常圧)での気体の体積を示す。常温とは25℃、常圧とは1気圧である。
本発明の構成1によれば、キャリアガスの流量に対する原料ガスの流量の比率を5〜23%の範囲内となるように設定してダイヤモンド薄膜の成膜を行うことにより、ダイヤモンド薄膜を低コストで製造することができる。具体的には、本発明の構成1のダイヤモンド薄膜の製造方法により、比較的安全で、速い成膜速度で、膜厚が均一なダイヤモンド薄膜を製造することができる。さらに具体的には、本発明の構成1のダイヤモンド薄膜の製造方法によれば、キャリアガスの使用量を削減することにより、低コストで安全にダイヤモンド薄膜を製造することができる。
(構成2)
本発明の構成2は、熱フィラメントCVD装置を用いるダイヤモンド薄膜の製造方法であって、
前記熱フィラメントCVD装置が、成膜室と、前記成膜室内に配置され、基材を配置するための基材台と、前記成膜室内に配置され、電流を通電することにより加熱可能なフィラメントと、前記成膜室内に原料ガス及びキャリアガスを供給するためのガス供給手段とを含み、
ダイヤモンド薄膜の製造方法が、前記基材台に前記基材を配置する工程と、前記成膜室内に前記原料ガス及び前記キャリアガスを供給する工程と、前記フィラメントに通電することにより、前記フィラメントを所定の温度まで上昇させる工程とを含み、
前記フィラメントに通電するときの単位電力当たりの、前記原料ガス及び前記キャリアガスの1分当たりの合計流量が、3〜60ml/(分・KW)である、ダイヤモンド薄膜の製造方法である。
本発明の構成2によれば、フィラメントに通電するときの単位電力当たりの、原料ガス及びキャリアガスの1分当たりの合計流量(ml/分)が、3〜60ml/(分・KW)であるようにしてダイヤモンド薄膜の成膜を行うことにより、ダイヤモンド薄膜を低コストで製造することができる。具体的には、本発明の構成2のダイヤモンド薄膜の製造方法により、比較的安全で、速い成膜速度で、膜厚が均一なダイヤモンド薄膜を製造することができる。
(構成3)
本発明の構成3は、前記原料ガス及び前記キャリアガスの1分当たりの合計ガス流量を、成膜室内でダイヤモンド薄膜を成膜可能な面積である処理面積1cm当たり、0.05〜2ml/分の範囲内とする、構成1又は2に記載のダイヤモンド薄膜の製造方法である。
本発明の構成3によれば、合計ガス流量を、成膜室内でダイヤモンド薄膜を成膜可能な面積である処理面積1cm当たり所定の流量とすることにより、より安全で、速い成膜速度で、膜厚が均一なダイヤモンド薄膜を製造することができる。
(構成4)
本発明の構成4は、
前記成膜室の前記処理面積が100cm以上の値であり、前記合計ガス流量が、処理面積1cm当たり、毎分0.14〜2.0mlの範囲内であるように、前記ガス供給手段が前記原料ガス及び前記キャリアガスの流量を制御する、構成1から3のいずれかに記載のダイヤモンド薄膜の製造方法である。
本発明の構成4によれば、ダイヤモンド薄膜の成膜の際に、処理面積1cm当たりの原料ガス及びキャリアガスの合計ガス流量を所定の範囲とすることにより、安全で、速い成膜速度で、膜厚が均一なダイヤモンド薄膜を、確実に製造することができる。
(構成5)
本発明の構成5は、前記原料ガスが、炭化水素ガスであり、前記キャリアガスが、水素ガスである、構成1から4のいずれかに記載のダイヤモンド薄膜の製造方法である。
本発明の構成5によれば、キャリアガスとして爆発性の高い水素ガスを用いる場合であっても、水素ガスの流量を低減することができるので、より安全にダイヤモンド薄膜を製造することができる。
(構成6)
本発明の構成6は、前記基材と前記フィラメントとの距離を1〜7mmの範囲内のいずれかの値に設定する、構成1から5のいずれかに記載のダイヤモンド薄膜の製造方法である。
本発明の構成6によれば、基材とフィラメントとの距離を所定の範囲内の値に設定することにより、速い成膜速度でのダイヤモンド薄膜の成膜を、確実に行うことができる。
(構成7)
本発明の構成7は、前記基材台が、前記基材台に配置された前記基材を冷却するための冷却手段を含む、構成1から6のいずれかに記載のダイヤモンド薄膜の製造方法である。
本発明の構成7によれば、基材台に冷却手段が配置された基材を冷却することにより、成膜に適したフィラメント温度による基材の温度の上昇を低減し、ダイヤモンド薄膜のために適切な基材の温度を得ることができる。
(構成8)
本発明の構成8は、構成1〜7のダイヤモンド薄膜の製造方法によって製造されたダイヤモンド薄膜により、表面の少なくとも一部が被覆されるメカニカルシールである。
本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法により、ダイヤモンド薄膜を低コストで製造することができるので、メカニカルシールの表面の少なくとも一部を、ダイヤモンド薄膜により、低コストで被覆することができる。
(構成9)
本発明の構成9は、成膜室と、前記成膜室内に配置され、基材を配置するための基材台と、前記成膜室内に配置され、電流を通電することにより加熱可能なフィラメントと、前記成膜室内に原料ガス及びキャリアガスを供給するためのガス供給手段と、を含む、熱フィラメントCVD装置であって、
前記ガス供給手段が、前記キャリアガスの流量及び前記原料ガスの流量を制御する流量制御機構を含み、
前記流量制御機構が、前記キャリアガスの流量に対する前記原料ガスの流量の比率が5〜23%の範囲内となるように、前記キャリアガスの流量及び前記原料ガスの流量を制御可能である、熱フィラメントCVD装置である。
本発明の構成9によれば、キャリアガスの流量に対する原料ガスの流量の比率を5〜23%の範囲内となるように設定してダイヤモンド薄膜の成膜を行うことのできる熱フィラメントCVD装置により、ダイヤモンド薄膜を低コストで製造することができる。具体的には、本発明の構成9の熱フィラメントCVD装置により、比較的安全で、速い成膜速度で、膜厚が均一なダイヤモンド薄膜を製造することができる。さらに具体的には、本発明により、キャリアガスの使用量を削減することによって、低コストで安全にダイヤモンド薄膜を製造することのできる、熱フィラメントCVD装置を得ることができる。
(構成10)
本発明の構成10は、成膜室と、前記成膜室内に配置され、基材を配置するための基材台と、前記成膜室内に配置され、電流を通電することにより加熱可能なフィラメントと、前記成膜室内に原料ガス及びキャリアガスを供給するためのガス供給手段とを含む、熱フィラメントCVD装置であって、
前記ガス供給手段が、前記キャリアガスの流量及び前記原料ガスの流量を制御する流量制御機構を含み、
前記流量制御機構が、前記フィラメントに通電するときの単位電力当たりの、前記原料ガス及び前記キャリアガスの合計流量が、1分当たりの合計流量が、3〜60ml/(分・KW)となるように、前記キャリアガスの流量及び前記原料ガスの流量を制御可能である、熱フィラメントCVD装置である。
本発明の構成10によれば、フィラメントに通電するときの単位電力当たりの、原料ガス及びキャリアガスの合計流量が、3〜60ml/(分・KW)となるように設定してダイヤモンド薄膜の成膜を行うことのできる熱フィラメントCVD装置により、ダイヤモンド薄膜を低コストで製造することができる。具体的には、本発明の構成10の熱フィラメントCVD装置により、比較的安全で、速い成膜速度で、膜厚が均一なダイヤモンド薄膜を製造することができる。
(構成11)
本発明の構成11は、前記熱フィラメントCVD装置が、ダイヤモンド薄膜の製造用の熱フィラメントCVD装置である、構成9又は10に記載の熱フィラメントCVD装置である。本発明の構成11の熱フィラメントCVD装置により、ダイヤモンド薄膜の成膜を低コストで行うことができる。
(構成12)
本発明の構成12は、前記基材と前記フィラメントとの距離を1〜7mmの範囲内のいずれかの値に設定する、構成9から11のいずれかに記載の熱フィラメントCVD装置である。
本発明の構成12の熱フィラメントCVD装置によれば、基材とフィラメントとの距離を所定の範囲内の値に設定することにより、速い成膜速度でのダイヤモンド薄膜の成膜を、確実に行うことができる。
(構成13)
本発明の構成13は、前記基材台が、前記基材台に配置された前記基材を冷却するための冷却手段を含む、構成9から12のいずれかに記載の熱フィラメントCVD装置である。
本発明の構成13の熱フィラメントCVD装置によれば、基材台に冷却手段が配置された基材を冷却することにより、成膜に適したフィラメント温度による基材の温度の上昇を低減し、ダイヤモンド薄膜のために適切な基材の温度を得ることができる。
本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法により、ダイヤモンド薄膜及びダイヤモンド薄膜を施したメカニカルシールを低コストで製造することができる。具体的には、本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法により、比較的安全で、速い成膜速度で、膜厚が均一なダイヤモンド薄膜を製造することができる。さらに具体的には、本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法によれば、キャリアガスの使用量を削減することにより、低コストで安全にダイヤモンド薄膜を製造することができる。
本発明により、熱フィラメントCVD法によって、ダイヤモンド薄膜を低コストで製造することのできる熱フィラメントCVD装置を得ることができる。具体的には、本発明により、比較的安全で、速い成膜速度で、膜厚が均一なダイヤモンド薄膜を製造することのできる熱フィラメントCVD装置を得ることができる。さらに具体的には、本発明により、キャリアガスの使用量を削減することにより、低コストで安全にダイヤモンド薄膜を製造することのできる熱フィラメントCVD装置を得ることができる。
本発明の熱フィラメントCVD装置の装置構成の一例を示す模式図である。 本発明の熱フィラメントCVD装置の、成膜用ガス供給装置の一例を示す模式図である。 本発明の熱フィラメントCVD装置に用いることのできるフィラメントの配置の一例であって、15本のフィラメント、一対のフィラメント固定部及びフィラメント固定部用駆動装置の配置の一例を示す模式図である。 本発明の熱フィラメントCVD装置に用いることのできるフィラメントの配置の一例であって、15本のフィラメント、三対のフィラメント固定部及びフィラメント固定部用駆動装置の配置の一例を示す模式図である。 実験1のダイヤモンド薄膜の成膜において、原料ガス流量割合と、成膜速度との関係を示す図である。 実験2のダイヤモンド薄膜の成膜において、フィラメント/基材間の距離と、成膜速度との関係を示す図である。 実験3のダイヤモンド薄膜の成膜において、成膜用ガス圧力と、成膜速度との関係を示す図である。 実験1で成膜した薄膜の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
本発明は、熱フィラメントCVD装置を用いるダイヤモンド薄膜の製造方法及びその装置である。本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法では、成膜室内に原料ガス及びキャリアガスを供給する際の、原料ガス及びキャリアガスの流量を所定の範囲とすることに特徴がある。また、本発明のダイヤモンド薄膜の製造装置は、原料ガス及びキャリアガスの流量を所定の範囲とすることができることに特徴がある。
本発明の製造方法及び装置は、ダイヤモンド薄膜の製造及び当該ダイヤモンド薄膜を成膜したメカニカルシールの製造のために好適に用いることができる。また、本発明の製造方法及び装置は、ダイヤモンド薄膜以外の薄膜の製造のためにも用いることができる。
まず、本発明の熱フィラメントCVD装置について説明する。
図1に、本発明の熱フィラメントCVD装置の装置構成の模式図を示す。本発明の熱フィラメントCVD装置は、成膜室1と、基材台3と、フィラメント2と、ガス供給手段(成膜用ガス供給装置20)とを含む。
図1に示すように、本発明の熱フィラメントCVD装置は、成膜室1を含む。成膜室1は、真空気密を保つために金属などの剛性材料、例えばステンレス鋼からなる側壁等により包囲されて真空容器を形成する。成膜室1の外部と内部とを連通するためのポート等は、成膜室1の真空気密を保つために公知の方法によりシールされている。成膜室1の内部には基材台3が設けられ、基材台3に配置された基材4の表面に薄膜を形成することができる。
本明細書において「基材4」とは、本発明の熱フィラメントCVD装置によってその表面に薄膜を形成する物体のことをいう。本発明の熱フィラメントCVD装置により、基材4の少なくとも一部の表面に薄膜を形成することができる。基材4の形状は、具体的には、平板状の基板であることができる。しかしながら、基材4の形状は、平板状の基板に限られず、例えば、厚みを有する直方体、円筒状の外形を有する基材4の外表面等、後述するフィラメント2の配置を工夫することによって、任意の形状の基材4の表面への成膜を行うことができる。熱フィラメントCVD法では、一般的に、成膜中の基材4の温度が800〜1000℃となることが多いため、基材4の材料としては、シリコン、炭化ケイ素、アルミナなどの耐熱性の材料、モリブデン、ケイ素、タンタル、チタン、ニオブ及びそれらを組み合わせた炭化物材料並びにモリブデン及び白金等の高融点金属材料を好ましく用いることができる。また、他の耐熱性材料に上記炭化物系材料を被覆して基材4とすることもできる。
基材台3とは、成膜室1内に配置され、基材4をその上に配置するための台である。本発明の熱フィラメントCVD装置によって基材4の表面に薄膜を形成する際には、基材4は基材台3に載置される。良好な膜質の薄膜を成膜するためには、基材4の温度が成膜条件として重要である場合が多い。そのため、基材台3は、必要に応じて加熱及び/又は冷却可能な構造であることが好ましい。
本発明の熱フィラメントCVD装置では、基材台3が、基材台3に配置された基材4を冷却するための冷却手段を含むことが好ましい。冷却手段として、水等の冷媒を基材台3内部に循環させるための冷却管を、基材台3の内部に配置することができる。本発明の熱フィラメントCVD装置の基材台3に冷却手段が配置された基材を冷却することにより、成膜に適したフィラメント2の温度による基材4の温度の上昇を低減し、ダイヤモンド薄膜のために適切な基材4の温度を得ることができる。
熱フィラメントCVD法は、熱分解による生成物や化学反応によって、薄膜を形成する方法である。熱フィラメントCVD法は化学気相成長法(CVD)の一種であり、フィラメント2からの熱エネルギーによって原料ガスの分解生成物や化学反応を利用する成膜法である。本発明の熱フィラメントCVD装置は、フィラメント2で発生した熱エネルギーによる所定の原料ガスの分解生成物や化学反応を利用することによって形成することが可能な薄膜の成膜に、薄膜の種類を問わず用いることができる。
本発明の熱フィラメントCVD装置は、具体的には、炭素系薄膜、特にダイヤモンド薄膜(多結晶ダイヤモンド薄膜)の成膜のために好適に用いることができる。ダイヤモンド薄膜の成膜のための成膜用ガスとして、炭化水素、アルコール及び/又はアセトン等の炭素化合物ガス(原料ガス)と、水素ガス(キャリアガス)とを混合した混合ガス(成膜用ガス)が利用されている。この成膜用ガスを用いたダイヤモンド薄膜の成膜方法として、加熱したフィラメント2を用いる熱フィラメントCVD法、マイクロ波等を励起エネルギーとして用いる方法、火炎法及び紫外線放射併用法などがあるが、とりわけ熱フィラメントCVD法を好適に用いることができる。本発明の熱フィラメントCVD装置により、ダイヤモンド薄膜の成膜を低コストで行うことができる。
本発明の熱フィラメントCVD装置は、フィラメント2を用いて成膜用ガスを加熱し、所定の薄膜を成膜する。本発明の熱フィラメントCVD装置では、成膜室1内に配置されたフィラメント2に電流を通電することにより、フィラメント2を加熱することが可能である。フィラメント2の材料としては、タングステン、タンタル及びモリブデンなどの高融点金属を挙げることができる。取り扱い性の点などから、フィラメント2の材料としては、タンタル又はタングステンを用いることが好ましい。特に、良質な膜質の薄膜を高速に成膜することができることから、本発明の熱フィラメントCVD装置では、タンタルを材料とするフィラメント2を用いることが好ましい。
本発明の熱フィラメントCVD装置で用いるフィラメント2の直径は、0.05〜1mmであり、好ましくは0.05〜0.3mm、より好ましくは0.10〜0.2mmである。フィラメント2の長さ及び本数は、成膜する基材4の表面(成膜表面)の大きさに応じて適宜選択することができる。好ましくは、フィラメント2が、少なくとも成膜表面の全体を所定の間隔で覆うように、複数本のフィラメント2を平行に、等間隔に配置することが好ましい。より均一な膜厚の薄膜を成膜する点から、フィラメント2の間隔は、2〜20mmであることが好ましく、3〜18mmであることがより好ましい。特に、フィラメント2の間隔が4〜15mmである場合には、優れた膜厚の均一性を得ることができる。
本発明の熱フィラメントCVD装置では、基材4とフィラメント2との距離を1〜7mmの範囲内のいずれかの値に設定することが好ましく、2〜5mmの範囲内のいずれかの値に設定することがより好ましい。基材4とフィラメント2との距離を所定の範囲内の値に設定することにより、速い成膜速度、例えば1μm/時間を超える成膜速度でのダイヤモンド薄膜の成膜を、確実に行うことができる。
また、本発明の熱フィラメントCVD装置においては、基材台3が、フィラメント2の位置に対して相対的に移動可能なように構成されることが好ましい。通常、熱フィラメントCVD装置による成膜の際には、成膜用ガスの導入後、フィラメント2の温度を所定の温度まで上昇させた後に成膜を開始する。基材台3がフィラメント2の位置に対して相対的に移動可能であることにより、フィラメント2の温度が所定の温度まで上昇した後に、基材台3を移動して、フィラメント2/基材4間の距離を、所定の成膜速度が得られる程度に小さくする。この結果、基材4の表面に、所定の温度に達したフィラメント2によって成膜を開始することができる。
フィラメント2の位置に対する基材台3の相対的な移動は、基材台3が移動機構を有することにより、固定されたフィラメント2に対して基材台3が移動するように構成することができる。また、相対的な移動は、固定された基材台3に対してフィラメント2が移動するように構成することができる。また、相対的な移動は、基材台3及びフィラメント2の両方が移動するように構成することにより、固定されたフィラメント2に対して基材台3が移動するように構成することができる。一般的にフィラメント2は細くて破壊しやすいため、相対的な移動の際には、フィラメント2を移動させず、基材台3を移動させることが好ましい。したがって、基材台3が移動機構を有し、固定されたフィラメント2に対して基材台3が移動するような構成とすることが好ましい。基材台3の移動は、垂直方向及び/又は水平方向に移動するように構成することができる。装置構造を簡単にする点から、基材台3の移動は、垂直方向に移動するように構成することが好ましい。
本発明の熱フィラメントCVD装置は、少なくとも一本のフィラメント2を固定するための、少なくとも一対のフィラメント固定部40を含むことができる。
図1に側面模式図を示すように、一対のフィラメント固定部40a及び40bは、少なくとも一本のフィラメント2を二箇所で固定する。図3に、一対のフィラメント固定部40a及び40bにより15本のフィラメント2を固定した例の上面模式図を示す。フィラメント2の固定は、例えば、二つの固定部材の間にフィラメント2を挟み、ボルトなどにより締めこむことにより行うことができる。また、一対のフィラメント固定部40の材料を導電性材料とすることにより、フィラメント固定部40a及び40bがフィラメント2への電力供給のための電極を兼ねることができる。なお、フィラメント2の固定は、必ずしもフィラメント2の両端部で行う必要はなく、例えば中央付近の2点を固定することもできる。しかしながら、一対のフィラメント固定部40a及び40bが電極を兼ねることを考慮すると、基材4の表面での成膜面積を大きくすることができる点から、一対のフィラメント固定部40a及び40bによるフィラメント2の固定は、フィラメント2の両端部で行うことが好ましい。
本発明の熱フィラメントCVD装置は、複数対のフィラメント固定部40a及び40bを有し、各々のフィラメント固定部40a及び40bの対が、一本以上のフィラメント2を固定するように構成することもできる。例えば、基材4の表面の中央付近と、両端付近でフィラメント2の温度を調整して成膜する必要がある場合などには、図4に示すように、基材4の表面の中央付近のフィラメント2を固定するためのフィラメント固定部40a及び40bの対と、基材4の表面の両端付近のフィラメント2を固定するための二対のフィラメント固定部40a及び40bとを設け、各々のフィラメント固定部40a及び40bの対に独立に電力を印加することにより、フィラメント2の温度を調整しながら成膜することができる。図4に示す例では、両端の二対のフィラメント固定部40a及び40bに各々3本のフィラメント2を固定し、中央のフィラメント固定部40a及び40bに9本のフィラメント2を固定した構成を示している。図4に示す例では、それぞれのフィラメント固定40bには、それぞれに固定されたフィラメント2の温度変化に応じてそれぞれ独立して移動可能なように、フィラメント固定部移動機構がそれぞれ設置されている。なお、フィラメント固定部40の対の数に応じて、複数のフィラメント2の弛みを測定できるように、複数の電磁波測定機構32を配置することができる。
本発明の熱フィラメントCVD装置は、少なくとも一対のフィラメント固定部40の間の距離を変えるためのフィラメント固定部移動機構を含むことができる。
従来の熱フィラメントCVD装置では、フィラメント2の両端をフィラメント固定部40によって一定の距離に固定する方法を採用することができる。しかしながら、この方法では、フィラメント2は熱膨張に伴った伸びが発生するので、フィラメント2中央付近のフィラメント2/基材4間の距離と、フィラメント2両端付近のフィラメント2/基材4間の距離とは異なる距離になってしまう。また、熱フィラメントCVD法による薄膜の形成速度(成膜速度)は、フィラメント2/基材4間の距離に依存する。さらに、成膜が終了した後に、フィラメント2の温度を下げるときには、フィラメント2が収縮する。熱フィラメントCVD装置が、フィラメント固定部移動機構を備えることにより、フィラメント固定部40の間の距離を変えることができる。そのためフィラメント2の温度変化に伴う伸び又は収縮を補償することができる。一対のフィラメント固定部40の間の距離を変えるために、フィラメント固定部40の一つ又は両方にフィラメント固定部移動機構を備えることができる。コストの点から、一対のフィラメント固定部40のうち、片方のフィラメント固定部40にフィラメント固定部移動機構を備えることが好ましい。
図1に示す例では、フィラメント固定部用連結シャフト41及びフィラメント固定部用駆動装置42を含むフィラメント固定部移動機構を示している。フィラメント固定部用連結シャフト41は、一方のフィラメント固定部40bに取り付けられる。また、フィラメント固定部用連結シャフト41は、成膜室1の側壁の真空シール部18を貫通して、外部のフィラメント固定部用駆動装置42へと連結されている。フィラメント固定部用駆動装置42としては、手動式のマイクロメータ又は電動式のアクチュエータなどを用いることができる。フィラメント固定部移動機構のフィラメント固定部用駆動装置42を動作させることにより、フィラメント固定部40bを水平方向に移動させて、フィラメント2の温度変化に伴う伸び又は収縮を補償することができる。なお、図1に示す例では、フィラメント固定部40bがフィラメント2用の電極を兼ねているため、フィラメント固定部用連結シャフト41に電気絶縁部16が配置されている。なお、フィラメント固定部用駆動装置42として、外部からの信号により駆動可能な電動式のアクチュエータなどを用いる場合には、フィラメント固定部用駆動装置42を成膜室1の内部に配置することも可能である。
本発明の熱フィラメントCVD装置には、少なくとも一本のフィラメント2の伸縮状態の変化を検出するためのフィラメント2の伸縮状態検出手段を含むことが好ましい。フィラメント2の伸縮状態検出手段は、少なくとも一対のフィラメント固定部40a及び40bの間の略中央の検出領域30においてフィラメント2からの少なくとも一つの波長の電磁波の強度を測定するための電磁波測定機構32を含む。また、伸縮状態検出手段は、電磁波測定機構32によって測定された電磁波の強度変化又は電磁波の波長、強度若しくはそれらの組み合せの測定結果に基づいてフィラメント2の伸縮状態の変化を検出する。
なお、検出領域30(検出領域30a)からの電磁波の測定は、電磁波測定機構32aにより、フィラメント2に対して垂直に、水平方向に行うことができるがこれに限られない。電磁波測定機構32bによる検出領域30bの測定は、複数のフィラメント2が配置されている平面に対して斜め方向から行うこともできる。斜め方向からの測定により、最も外側のフィラメント2a以外のフィラメント2bの測定も可能となる。この測定方法は、図4に示すように、複数の対のフィラメント固定部40a及び40bを有することにより、複数のフィラメント固定部移動機構を独立して移動可能な構成とする場合に好ましく用いることができる。
検出領域30は、一対のフィラメント固定部40a及び40bの間の略中央に位置していることが好ましい。フィラメント2の温度変化による変形の大きさは、フィラメント2の中央付近が一番大きいため、フィラメント2の変形をより高い精度で測定することができるためである。略中央とは、具体的には、一対のフィラメント固定部40a及び40bの間の距離Lとして、中央(端からL/2の位置)を中心に長さL/2の範囲の任意の位置のことであり、好ましくは、L/5の範囲の任意の位置のことであり、より好ましくは、L/10の範囲の任意の位置のことである。また、検出領域30は、一対のフィラメント固定部40a及び40bの間の中央(端からL/2の位置)を含む領域であることが好ましい。また、検出領域30の上下方向の位置は、フィラメント2が一対のフィラメント固定部40a及び40bに直線状に懸架されたときのフィラメント2が電磁波測定機構32による測定の視野に含まれる領域である。
検出領域30の形状は、円形、矩形等の任意の形状から適宜選択することができる。基本的には、電磁波測定機構32による測定の視野を検出領域30とすることができる。
検出領域30の大きさは、少なくともフィラメント2の一部が入る大きさであれば良い。電磁波測定機構32の視野に依存する。具体的には、検出領域30は、直径0.1〜3mm、好ましくは0.2〜2mm、より好ましくは0.3〜1mmの円形、又は一辺の長さが、0.1〜3mm、好ましくは0.2〜2mm、より好ましくは0.3〜1mmの矩形であることができる。また、検出領域30は、直径又は一辺の長さが、フィラメント2の直径の1〜10倍、好ましくは2〜8倍の円形又は矩形であることが好ましい。なお、検出領域30の形状は、円形及び矩形に限られず、任意の形状であることができる。また、測定は大きな視野に対して行って、その一部を検出領域30として定めて、フィラメント2の弛みを判断するための領域とすることができる。また、例えば、ピンホールのような光学的な絞り(微小な開口部)によって、検出領域30の大きさを制限し、好ましい大きさの検出領域30を得ることができる。
電磁波測定機構32としては、放射電磁波を測定し温度情報に変換する放射温度計又は反射電磁波を測定するための撮像装置を用いることができる。
電磁波測定機構32は、成膜室1の外部又は内部に配置することができる。電磁波測定機構32が、成膜室1の内部に配置される場合には、電磁波測定機構32へ成膜中の薄膜が堆積し、及び電磁波測定機構32からの汚染粒子が成膜室1へ放出される恐れがあるという問題がある。この問題を避けるため、放射電磁波は、放射電磁波に対して実質的に透明な監視窓10を介して、成膜室1の外部の電磁波測定機構32によって測定することが好ましい。
電磁波測定機構32として用いることのできる放射温度計は、フィラメント2の温度上昇に伴うフィラメント2からの黒体輻射による放出電磁波の所定の波長の強度を測定し、温度に換算する。したがって、検出領域30にフィラメント2が存在するか否かは、放射温度計の温度変化から認識することができる。また、外部光をフィラメント2に照射し、フィラメント2からの反射光(反射電磁波)を測定するための撮像装置を用いることができる。また、撮像装置により、フィラメント2の形状を撮像し、フィラメント2が弛んだ状態であるかどうかを判断することもできる。撮像装置を用いる場合には、検出領域30全体にわたって、フィラメント2からの電磁波の波長、強度又はそれらの組み合せを測定することができる。その結果、検出領域30全体の光学的画像イメージを得ることができる。
少なくとも一つの波長の電磁波とは、電磁波測定機構32において測定可能な波長のうちの少なくとも一つのことである。例えば、放射温度計の場合、黒体輻射の電磁波のうち、所定の波長の電磁波の強度を測定することにより、測定対象物の温度に換算することができる。また、光学的測定法により電磁波測定を行う場合には、照射電磁波の波長の反射電磁波を測定することができる。
また、電磁波測定機構32による測定は、大きな視野、例えば直径5〜50mm程度の視野に対して光学的イメージの測定を行い、その一部を検出領域30として定めて、放射温度計によって検出領域30の温度を測定し、フィラメント2の弛みを判断するための領域とすることができる。
本発明の熱フィラメントCVD装置に用いる電磁波測定機構32の電磁波としては、可視又は赤外領域の波長の光に相当する電磁波を用いることが好ましい。
検出領域30にフィラメント2が存在するか否かは、電磁波測定機構32によって測定される電磁波の強度変化によって判断することができる。例えば放射温度計を用いる場合、検出領域30に存在するフィラメント2を加熱することにより、放射温度計の測定値が高温を示す。フィラメント2が高温になり弛みが生じると、フィラメント2が検出領域30から外れてしまい、放射温度計の測定値が急激に低下する。この結果、フィラメント2が弛んでいる状態であると認識することができる。このようにして、測定された電磁波の強度変化に基づいてフィラメント2の伸縮状態の変化を検出することができる。
また、図1に示すように、本発明の熱フィラメントCVD装置は、電磁波の強度変化に基づいて、フィラメント2の伸縮状態の変化を補償するようにフィラメント固定部40a及び40bの間の距離を変えるように構成される自動距離可変機構35をさらに含むことが好ましい。自動距離可変機構35としては、コンピューターなどの情報処理装置を用いることができる。電磁波測定機構32によって測定される電磁波の強度変化の情報は、信号線36によって、自動距離可変機構35に入力される。自動距離可変機構35は、電磁波測定機構32からの信号に基づき、自動的に検出領域30にフィラメント2が存在するか否かを判定する。自動距離可変機構35が、検出領域30にフィラメント2が存在しないと判定した場合には、フィラメント2の伸縮状態の変化を補償するように、フィラメント固定部移動機構のフィラメント固定部用駆動装置42を自動的に駆動するよう構成することができる。すなわち、自動距離可変機構35が、検出領域30にフィラメント2が存在しないと判定した場合には、自動距離可変機構35は、フィラメント固定部用駆動装置42に対して、フィラメント2の弛みを伸ばす方向にフィラメント固定部40bを移動するように、信号線37を介して信号を送る。なお、信号の送受信には無線を用いることもできる。このようにして、自動距離可変機構35からの所定の信号により、フィラメント固定部用駆動装置42を駆動することができる。さらに、自動距離可変機構35は、再度、検出領域30にフィラメント2が存在するようになったかを判定し、検出領域30にフィラメント2が存在するようになった場合には、フィラメント固定部用駆動装置42を自動的に停止するよう構成することができる。本発明の熱フィラメントCVD装置が、自動距離可変機構35を含むことにより、人為的な操作を介する必要なく、フィラメント2の伸縮状態の変化の補償を速やかにかつ確実に行うことができる。自動距離可変機構35は、成膜室1の内部に配置することが可能である。その場合、成膜室1の内部の汚染防止及びフィラメント固定部移動機構への薄膜材料の堆積による故障を防止する点から、自動距離可変機構35の内部の駆動部等は、成膜室1の雰囲気に対して気密な構造であることが好ましい。
フィラメント固定部用駆動装置42としてマイクロメータを用いる場合、例えば、マイクロメータを、ステッピングモータ等の外部からの所定の信号により駆動する装置に接続することができる。自動距離可変機構35からの信号線37を介した所定の信号によってステッピングモータを駆動させることにより、マイクロメータを回転させ、自動的にフィラメント2の伸縮状態の変化を補償することができる。また、フィラメント固定部用駆動装置42としては、アクチュエータなど、外部からの所定の信号により駆動可能な駆動装置を用いることもできる。その場合にも、自動距離可変機構35からの信号線37を介した所定の信号によって、アクチュエータなど駆動装置を駆動させることにより、自動的にフィラメント2の伸縮状態の変化を補償することができる。
上述の伸縮状態検出手段によって、フィラメント2の伸縮状態の変化を検出することができる。
図1に示すように本発明の熱フィラメントCVD装置は、ガス供給手段(成膜用ガス供給装置20)を有する。ガス供給手段(図1の成膜用ガス供給装置20参照)は、成膜室1内に原料ガス及びキャリアガスを供給する。図2に、ガス供給手段の一例として、成膜用ガス供給装置20を示す。成膜用ガス供給装置20は、成膜用ガス配管によって、成膜室1の成膜用ガス導入口14へと接続される。成膜用ガス配管には、成膜用ガスの通過を制御・遮断するための開閉弁を適宜設置することができる。成膜用ガス供給装置20により、所定の成膜用ガスを所定の流量で成膜室1へと導入することができる。
ガス供給手段(成膜用ガス供給装置20)は、キャリアガスの流量及び原料ガスの流量を制御する流量制御機構を含む。図2に示す成膜用ガス供給装置20では、流量制御機構として、キャリアガス流量制御器62及び原料ガス流量制御器52を示している。原料ガス流量制御器52は、原料ガス貯留器50から供給される原料ガスの流量を制御することができる。また、キャリアガス流量制御器62は、キャリアガス貯留器60から供給されるキャリアガスの流量を制御することができる。また、キャリアガス流量制御器62及び原料ガス流量制御器52の両方を適切に制御することにより、キャリアガスの流量に対する原料ガスの流量の比率が所望の比率となるようにすることができる。
本発明の熱フィラメントCVD装置では、流量制御機構が、キャリアガスの流量に対する原料ガスの流量の比率が5〜23%、好ましくは5〜9.5%の範囲内となるように、キャリアガスの流量及び原料ガスの流量を制御可能であることが好ましい。キャリアガスの流量に対する原料ガスの流量の比率を所定の範囲内となるように設定してダイヤモンド薄膜の成膜を行うことにより、ダイヤモンド薄膜を低コストで成膜することができる。具体的には、本発明の熱フィラメントCVD装置により、比較的安全で、速い成膜速度で、膜厚が均一なダイヤモンド薄膜を成膜することができる。
本発明の熱フィラメントCVD装置は、成膜中の成膜室1内部のガス分析を可能にするためのガス分析装置を含むことが好ましい。成膜中の成膜室1内部には、高熱のフィラメント2により原料ガスが分解するため、様々なガス種が存在する。成膜中のガス種の種類及び存在比をモニターすることにより、ダイヤモンド薄膜の成膜が適切に行われているかどうかを、判断することができる。もし、ダイヤモンド薄膜の成膜が適切に行われていないと判断した場合には、成膜条件、例えばフィラメント2に印加する電力、及び/又は成膜用ガス(原料ガス及びキャリアガス)の流量などを変化させることにより、成膜の状態を制御することができる。なお、ガス分析装置としては、四重極形質量分析計を好ましく用いることができる。
図1に示すように本発明の熱フィラメントCVD装置は、フィラメント2に電力を印加するための電源24を有することができる。電源24は、電流導入ケーブル12によって、成膜室1の壁に取り付けられた電流導入ポート13を介して、フィラメント2の電極(フィラメント固定部40a及び40b)に電気的に接続される。成膜室1の壁への電流の流出を避けるため、フィラメント2固定部用支柱5及びフィラメント固定部用連結シャフト41等には、電気絶縁部16が配置されて電気的に絶縁される。
熱フィラメントCVD装置の流量制御機構では、フィラメント2に通電するときの単位電力当たりの、原料ガス及びキャリアガスの1分当たりの合計流量(ml/分)が、3〜60ml/(分・KW)、より好ましくは3〜40ml/(分・KW)又は10〜30ml/(分・KW)、さらに好ましくは15〜25ml/(分・KW)、特に好ましくは15〜20ml/(分・KW)となるように、キャリアガスの流量及び原料ガスの流量を制御可能であることが好ましい。なお、具体的には、フィラメント2に通電する電力が24KW、原料ガス及びキャリアガスの1分当たりの合計流量が0.43リットル/分の条件で、ダイヤモンド薄膜を成膜することができる。
ダイヤモンド薄膜の成膜のためには、適切な成膜条件を選択することが重要である。本発明者らは、フィラメント2に通電する電力と、原料ガス及びキャリアガスの1分当たりの合計流量との関係を適切に制御することにより、少ないキャリアガスの流量にも関わらず、速い成膜速度でダイヤモンド薄膜の成膜を行うことができることを見出した。本発明者らの知見によると、フィラメント2に通電するときの単位電力当たりの、原料ガス及びキャリアガスの1分当たりの合計流量を、上述の範囲に制御することが可能な熱フィラメントCVD装置を用いることにより、少ないキャリアガスで比較的安全に、速い成膜速度で、膜厚が均一なダイヤモンド薄膜を成膜することができる。
図1に示すように本発明の熱フィラメントCVD装置は、成膜室1内の気体を外部に排出し、成膜室1を真空にするための真空ポンプ22を有することができる。真空ポンプ22は、排気用配管によって成膜室1の排気ガス口15へと接続される。排気用配管には、排気速度を制御するための制御弁及び/又は真空ポンプ22への接続をするための開閉弁等を適宜設置することができる。
本発明の熱フィラメントCVD装置の構造は、適宜、変更可能である。例えば、フィラメント2及び基材4の成膜表面は、水平方向に配置されるように説明したが、フィラメント2及び基材4の成膜表面が垂直になるように構成することもできる。また、基材4の成膜表面が下方を向き、成膜表面が下方にフィラメント2を配置するように構成することも可能である。
また、基材4の表面が曲面である場合には、その曲面に沿うようにフィラメント2を配置することにより、曲面の基材4の表面に対しても薄膜を形成することができる。
本発明の熱フィラメントCVD装置は、ダイヤモンド薄膜(多結晶ダイヤモンド薄膜)の形成のために用いることが好ましい。本発明の熱フィラメントCVD装置を用いるならば、速い成膜速度で大面積に均一な膜厚のダイヤモンド薄膜を形成することができる。
熱フィラメントCVD法によって、ダイヤモンド薄膜を形成する場合、成膜プロセス中の基材4の温度が800〜1000℃となる。そのため、ダイヤモンド薄膜を表面に形成するための基材4の材料として、シリコン、窒化ケイ素、アルミナ及び炭化珪素等の無機材料並びにモリブデン及び白金等の高融点金属を用いることができる。また、成膜中の基材4が高温であるため、基材4とダイヤモンド薄膜との熱膨張係数の差が大きいと、基材4の変形量が大きくなる傾向がある。基材4の材料として、ダイヤモンドの熱膨張係数に近い材料を用いたとき、変形量が小さくなり、例えば、ダイヤモンド薄膜をシール材の表面に形成する場合など、シール効果及び耐摩耗性を必要とする用途において、優れた特性を得ることができる。ダイヤモンドの熱膨張係数は、1.1×10−6/℃であるので、基材4の材料としては、熱膨張係数が8×10−6/℃以下であることが望ましい。なお、熱膨張係数が8×10−6/℃以下のものであれば、SiC、Siなどのセラミックス材料に限らず金属材料を用いることもできる。
次に、本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法について説明する。
本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法では、上述の熱フィラメントCVD装置を用いることができる。図1に示す熱フィラメントCVD装置を例に、本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法について説明する。
本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法は、フィラメント固定部40にフィラメント2を固定する工程を含むことができる。フィラメント固定部40及びフィラメント2については、上述した通りである。フィラメント固定部40が、例えば、二つの固定部材の間にフィラメント2を挟むような構造の場合には、二つの固定部材の間にフィラメント2を挟み、ボルトなどにより締めこむことにより、フィラメント2を固定することができる。均一な膜厚の薄膜を成膜する点から、フィラメント2は、互いに平行に、等間隔に配置されるように固定することが好ましい。より均一な膜厚の薄膜を成膜する点から、フィラメント2の間隔は、2〜20mmであることが好ましく、5〜15mmであることがより好ましい。特に、フィラメント2の間隔が6〜12mmである場合には、優れた膜厚の均一性を得ることができる。また、図5に示すように、1μm/時間以上の成膜速度を得るためには、フィラメント2/基材4間の距離を15mm以下にすることが好ましい。
本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法は、基材台3に基材4を配置する工程を含む。
本発明の製造方法では、基材台3に基材4を配置した後、基材43とフィラメント2との距離(フィラメント2/基材4の距離)を20mmより大きくすることが好ましい。基材43とフィラメント2との距離との距離は、基材台3を移動することによって、調節することができる。基材4とフィラメント2との距離が20mm、好ましくは50mmm、より好ましくは100mmより大きい場合には、基材4に対する成膜速度は非常に遅いので、フィラメント2が所定の成膜温度になる前の基材4の表面への成膜を防止することができる。成膜の膜質は、フィラメント2の温度によって異なるため、良好な膜質の薄膜を得るためには、フィラメント2が所定の成膜温度になった後に、成膜を開始する必要がある。
本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法は、成膜室1内に成膜用ガス(原料ガス及びキャリアガス)を導入する工程を含む。成膜用ガスは、ガス供給装置から成膜用ガス導入口14を経由して成膜室1内に導入することができる。成膜用ガスの種類及び流量は、成膜する薄膜の種類に応じて、適宜、調整することができる。
例えば、多結晶ダイヤモンド薄膜を成膜するための熱フィラメントCVD法の場合、原料ガスとして、炭化水素、アルコール、アセトン等の炭素化合物ガス(原料ガス)に水素ガス(キャリアガス)を混合した混合ガス(成膜用ガス)を用いることができる。また、成膜用ガスに水蒸気、酸素、一酸化炭素などを添加することもできる。また、半導体ダイヤモンド及び導電性ダイヤモンド等の薄膜を成膜するために、ボロンや窒素などを含むドーパントガスを添加することもできる。
成膜用ガスに水素ガスが含まれている場合、フィラメント2からの熱により活性化された水素は、非ダイヤモンド炭素に対して強いエッチング作用を示し、一方、ダイヤモンドに対してはほとんどエッチング作用を示さない。熱フィラメントCVD法は、この選択的エッチング作用をうまく利用して、基材4上における非ダイヤモンド成分の成長を抑え、ダイヤモンドのみを析出させることにより、ダイヤモンド薄膜を形成することができる。
高い品質のダイヤモンド薄膜を得ることができるため、本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法では、原料ガスは、炭化水素ガスであり、キャリアガスが、水素ガスであることが好ましい。また、原料ガスは、メタンガスであることが、より好ましい。本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法によれば、キャリアガスとして爆発性の高い水素ガスを用いる場合であっても、水素ガスの流量を低減することができるので、より安全にダイヤモンド薄膜を成膜することができる。
本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法では、キャリアガスの流量に対する原料ガスの流量の比率が5〜23%、好ましくは5〜9.5%の範囲内となるように設定されることが好ましい。キャリアガスの流量に対する原料ガスの流量の比率を所定の範囲内となるように設定してダイヤモンド薄膜の成膜を行うことにより、ダイヤモンド薄膜を低コストで成膜することができる。具体的には、本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法により、水素ガスのようなキャリアガスの流量を低減することができるので、比較的安全で、速い成膜速度で、膜厚が均一なダイヤモンド薄膜を成膜することができる。
本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法では、キャリアガスの流量を、成膜室1の体積1リットル当たり、毎分1〜17ミリリットルの範囲内とすることが好ましい。また、原料ガスの流量を、成膜室1の体積1リットル当たり、毎分0.1〜0.8ミリリットルの範囲内とすることが好ましい。キャリアガスの流量及び原料ガスの流量を、成膜室1の体積1リットル当たり所定の流量とすることにより、より安全で、速い成膜速度で、膜厚が均一なダイヤモンド薄膜を成膜することができる。
本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法では、原料ガス及びキャリアガスの1分当たりの合計ガス流量を、成膜室内でダイヤモンド薄膜を成膜する面積である処理面積1cm当たり、0.05〜2ml/分の範囲内とすることが好ましい。合計ガス流量を、成膜室内でダイヤモンド薄膜を成膜する面積である処理面積1cm当たり所定の流量とすることにより、より安全で、速い成膜速度で、膜厚が均一なダイヤモンド薄膜を製造することができる。
本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法では、成膜室1の体積が150〜200リットルの範囲内のいずれかの値である場合、キャリアガスを供給する流量が、毎分0.2〜3.0リットルの範囲内であり、原料ガスを供給する流量が、毎分0.02〜0.15リットルの範囲内であるように、ガス供給手段が原料ガス及びキャリアガスの流量を制御することが好ましい。ダイヤモンド薄膜の成膜の際に、成膜室1の体積、キャリアガスを供給する流量及び原料ガスを供給する流量を所定の範囲とすることにより、安全で、速い成膜速度で、膜厚が均一なダイヤモンド薄膜を、確実に成膜することができる。
本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法では、成膜室の処理面積が100cm以上の値であり、合計ガス流量が、処理面積1cm当たり、毎分0.14〜2.0mlの範囲内であるように、ガス供給手段が原料ガス及びキャリアガスの流量を制御することが好ましい。ダイヤモンド薄膜の成膜の際に、処理面積1cm当たりの原料ガス及びキャリアガスの合計ガス流量を所定の範囲とすることにより、安全で、速い成膜速度で、膜厚が均一なダイヤモンド薄膜を、確実に製造することができる。
本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法は、フィラメント2に通電することにより、所定の成膜温度までフィラメント2の温度を昇温させる工程を含む。電力は、所定の電源24から電流導入ケーブル12及び電流導入ポート13を経由して、電極としての役割を担う一対のフィラメント固定部40a及び40bへと印加することができる。一対のフィラメント固定部40a及び40bへ印加された電力は、フィラメント2へ印加され、フィラメント2を加熱する。フィラメント2へ印加する電流及び電圧を調整することにより、所定の成膜温度までフィラメント2の温度を昇温させることができる。
フィラメント2の温度を昇温させるときの昇温速度は、フィラメント2の伸縮状態検出手段によってフィラメント2の弛みを検出し、フィラメント固定部移動機構によって弛みを補償することができる範囲であることが必要である。具体的には、フィラメント2の昇温速度は、15〜120℃/分であることが好ましく、40〜90℃/分であることがより好ましい。
また、本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法では、フィラメント2に通電するときの単位電力当たりの、原料ガス及びキャリアガスの1分当たりの合計流量(ml/分)が、3〜60ml/(分・KW)、より好ましくは10〜30ml/(分・KW)、さらに好ましくは15〜25ml/(分・KW)、特に好ましくは15〜20ml/(分・KW)であることが好ましい。
ダイヤモンド薄膜の成膜のためには、適切な成膜条件を選択することが重要である。フィラメント2に通電するときの単位電力当たりの、原料ガス及びキャリアガスの1分当たりの合計流量を、上述の範囲に制御することにより、少ないキャリアガスで比較的安全に、速い成膜速度で、膜厚が均一なダイヤモンド薄膜を成膜することができる。
本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法は、基材4とフィラメント2との距離を20mm以下にすることにより、基材4の表面に薄膜を形成する工程を含むことができる。所定の成膜温度までフィラメント2の温度を昇温させた後、基材4とフィラメント2との距離を20mm以下にすることによって、基材4の表面に所定の薄膜の成膜を開始することができる。
本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法は、基材4とフィラメント2との距離を1〜7mmの範囲内のいずれかの値に設定することが好ましく、2〜5mmの範囲内のいずれかの値に設定することがより好ましい。本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法において、基材4とフィラメント2との距離を所定の範囲内の値に設定することにより、速い成膜速度、例えば1μm/時間を超える成膜速度でのダイヤモンド薄膜の成膜を、確実に行うことができる。
本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法では、ダイヤモンド薄膜の際に、基材台3に配置された冷却手段により、基材4を冷却することが好ましい。基材4を冷却することにより、成膜に適したフィラメント2の温度による基材4の温度の上昇を低減し、ダイヤモンド薄膜のために適切な基材4の温度を得ることができる。
本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法では、四重極形質量分析計などのガス分析装置によって、成膜中に成膜室1内部のガス分析を行うことが好ましい。成膜中の成膜室1内部には、高熱のフィラメント2により原料ガスが分解するため、様々なガス種が存在する。成膜中のガス種の種類及び存在比をモニターすることにより、ダイヤモンド薄膜の成膜が適切に行われているかどうかを、判断することができる。もし、ダイヤモンド薄膜の成膜が適切に行われていないと判断した場合には、成膜条件、例えばフィラメント2に印加する電力、及び/又は成膜用ガス(原料ガス及びキャリアガス)の流量などを変化させることにより、成膜の状態を制御することができる。
本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法では、フィラメント2の伸縮状態検出手段により検出されるフィラメント2の伸縮状態の変化を補償するように、少なくとも一対のフィラメント固定部40a及び40bの間の距離を変えることが好ましい。
本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法に用いる本発明の熱フィラメントCVD装置は、フィラメント固定部移動機構及びフィラメント2の伸縮状態検出手段を含むことができる。そのため、本発明の熱フィラメントCVD装置を用いる本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法は、フィラメント2の伸縮状態検出手段により検出されるフィラメント2の伸縮状態の変化を補償するように、少なくとも一対のフィラメント固定部40a及び40bの間の距離を変えることができる。したがって、熱フィラメントCVD法による成膜の際に、フィラメント2の弛みを修正することができる。そのため、熱フィラメントCVD装置を用いるならば、有効成膜面積を大面積化し、速い成膜速度で大面積に均一な膜厚の薄膜の形成を行うことができる。
また、成膜の終了後、フィラメント2の温度を下げる際には、フィラメント2の温度上昇の際とは逆に、フィラメント2が収縮することになる。そこで、フィラメント2の温度を下げる際には、フィラメント固定部移動機構によってフィラメント2を弛ませて検出領域30から外し、収縮により電磁波測定機構32によって検出領域30におけるフィラメント2の存在を認識した場合に、フィラメント2を弛ませるという操作により、フィラメント2の温度を下げる際の破壊を防止することができる。
本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法により、ダイヤモンド薄膜を成膜する際は、次の表の成膜条件にすることが好ましい。
本発明は、上述のダイヤモンド薄膜の製造方法によって製造されたダイヤモンド薄膜により、表面の少なくとも一部が被覆されるメカニカルシールである。本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法により、ダイヤモンド薄膜を低コストで成膜することができるので、メカニカルシールの表面の少なくとも一部を、ダイヤモンド薄膜により、低コストで被覆することができる。
(実験1)
実験1として、本発明の熱フィラメントCVD装置を用いて、表2に示す条件で、ダイヤモンド薄膜を基材4上に堆積させた。実験1では、成膜用ガス中のキャリアガス(水素ガス)流量に対する原料ガス(メタンガス流量)流量を5〜9.5%の範囲で変化させて、ダイヤモンド薄膜の成膜を行った。
基材4としては、市販のシリコンウエハー基板を用いた。基板の大きさは、φ300mmである。
熱フィラメントCVD装置は、図1に示すような構成のものを用いた。すなわち、熱フィラメントCVD装置は、ステンレス鋼製の真空容器(容積約180リットル)により成膜室1を構成した。成膜室1の排気のための真空ポンプ22は油回転ポンプのみで構成されている。原料ガスの励起源であるフィラメント2は、0.15mmの31本のタンタル線を、10mm間隔で互いに平行に直線状に張って用いた。フィラメント2の両端は、一対のフィラメント固定部40a及び40bで固定した。一対のフィラメント固定部40a及び40bのうちの一つ(フィラメント固定部40b)には、フィラメント固定部用連結シャフト41が側壁に取り付けられている。フィラメント固定部用連結シャフト41は、外部のフィラメント固定部用駆動装置42(マイクロメータ)に連結されているので、一対のフィラメント固定部40a及び40bのうちの一つの位置を移動することが可能である。
基材4(基板)の温度として、基材台3をアルメル−クロメル熱電対により測定した。
薄膜を形成する際の核生成密度を増加させるために、基板への傷つけ前処理をした。傷つけ前処理は、具体的には、ダイヤモンドペースト(ダイヤモンド粒径:1〜3μm)で基板表面にスクラッチ処理した後、エタノール中で数分間超音波洗浄することによって行った。
キャリアガスである高純度水素に、原料ガスであるメタンを混合した成膜用ガスを、フィラメント2の上方より導入した。各々のガス流量は流量計で調節し、装置内の圧力はピラニー真空計及び隔膜真空計により測定した。なお、多結晶ダイヤモンド薄膜を形成するために必要な各々のガス流量及びフィラメント2の温度等の成膜条件は、例えば表1に示す範囲から適宜選択することができる。また、多結晶ダイヤモンド薄膜の成膜条件は公知であり、例えば特許文献3に記載されている。本実施例では、成膜の際の各々のガス流量及びフィラメント2の温度は、多結晶ダイヤモンド薄膜の成膜可能な条件の中から選択し、すべて成膜において一定とした。
フィラメント2に通電し、加熱して、フィラメント2の温度を放射温度計で測定した。用いた放射温度計は、直径約10mmの光学的イメージを得ることができ、光学的イメージの中央のφ1mmの領域の温度を測定することができる。したがって、この放射温度計を用いて、放射温度計の温度測定値の変化からフィラメント2の弛みを認識する場合の検出領域30の大きさは、φ1mmの円形であるといえる。また、この放射温度計は、測定対象物であるフィラメント2に光学的イメージの焦点を合わせることができる。その結果、放射温度計によって測定する際の検出領域30の大きさを所定の大きさにすることができる。具体的には、この放射温度計を、放射温度計のφ1mmの円形の検出領域30が、最も外側に張架されたフィラメント2の中央を含み、放射温度計の焦点が張架されたフィラメント2に合うように配置した。本発明の電磁波測定機構32として用い、フィラメント2からの放射電磁波を測定した。フィラメント2の加熱により、フィラメント2が弛むことにより、フィラメント2が所定の検出領域30から外れると、放射温度計の温度の測定値が急激に下がる。その際に、フィラメント2の弛みを補償するようにフィラメント固定部用駆動装置42(マイクロメータ)を動作させた。このとき、放射温度計の温度の測定値が、再度、フィラメント2の温度である高温に戻り、フィラメント2の弛みが補償されたことを認識できるまで、フィラメント固定部用駆動装置42(マイクロメータ)を動作させた。
フィラメント2の加熱の際のみならず、成膜中も常に、所定の検出領域30を放射温度計により測定し、フィラメント2の弛みが検出された際には、上述のように、フィラメント2の弛みを補償した。
上述のようにして作製した薄膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察することにより、成膜した薄膜の膜厚を測定した。さらに、成膜した薄膜を、走査型電子顕微鏡(SEM)及びX線回折で評価し、膜質を評価した。
表3及び図5に、成膜用ガス中のキャリアガス(水素ガス)流量に対する原料ガス(メタンガス流量)流量を5〜9.5%の範囲で変化させて、多結晶ダイヤモンド薄膜を成膜した場合の、原料ガス/キャリアガスの流量割合(単に、原料ガス流量割合という。)と、成膜速度との関係を示す。成膜速度は、得られた多結晶ダイヤモンド薄膜の膜厚(平均膜厚)及び成膜時間から計算した。また、図8に、実験1で成膜した薄膜の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。
表3に示す実験1−2から実験1−5が、本発明の実施例である。表3及び図5に示すように、原料ガス流量割合が5%の場合(実験1−2)には、成膜速度が1μm/時間を超えたため、速い成膜速度であったといえる。また、原料ガス流量割合が10%の場合(実験1−6)には、得られた薄膜が非晶質であった(図8(d)参照)。なお、原料ガス流量割合が10%未満の場合には、得られた薄膜が、多結晶ダイヤモンド薄膜であった(図8(a)〜(c)参照)。以上のことから、キャリアガスの流量に対する原料ガスの流量の比率が、少なくとも5〜9.5%の範囲内であるならば、多結晶ダイヤモンド薄膜を速い成膜速度で成膜できることが明らかとなった。

(実験2)
実験2として、本発明の熱フィラメントCVD装置を用いて、表4に示す条件で、ダイヤモンド薄膜を基材4上に堆積させた。実験2では、フィラメント2と基板(基材4)との間の距離を4〜7mmまで変化させて、ダイヤモンド薄膜の成膜を行った。なお、表4に示すように、実験2の原料ガス流量割合を9%とした。
表5及び図6に、実験2のように多結晶ダイヤモンド薄膜を成膜した場合の、成膜速度と、フィラメント2/基材4間の距離との関係を示す。表5及び図6には、各条件で2回成膜を行った結果の成膜速度の範囲を示している。表5及び図6に示すように、フィラメント2/基材4間の距離が4〜7mmの範囲で多結晶ダイヤモンド薄膜を成膜した場合には、2.4μm/時間以上という速い成膜速度を得ることができた。また、表5及び図6から、フィラメント2/基材4間の距離が短い方が、速い成膜速度を得ることができることが見て取れる。
(実験3)
実験3として、本発明の熱フィラメントCVD装置を用いて、表6に示す条件で、ダイヤモンド薄膜を基材4上に堆積させた。実験2では、成膜用ガス圧力(ダイヤモンド薄膜を成膜する際の成膜室1内の成膜用ガスの圧力)を5〜7.5kPaまで変化させて、ダイヤモンド薄膜の成膜を行った。なお、表6に示すように、実験3の原料ガス流量割合は、9%だった。なお、成膜した薄膜は、すべて多結晶ダイヤモンド薄膜だった。
表7及び図7に、実験3のように多結晶ダイヤモンド薄膜を成膜した場合の、成膜速度と、成膜用ガス圧力との関係を示す。表7及び図7に示すように、成膜用ガス圧力が5〜7.5kPaの範囲で多結晶ダイヤモンド薄膜を成膜した場合には、2.5μm/時間以上という速い成膜速度を得ることができた。
1 成膜室
2 フィラメント
3 基材台
4 基材
5 フィラメント固定部用支柱
7 基材台用支柱
8 基材台駆動装置
9 成膜室側壁
10 監視窓
12 電流導入ケーブル
13 電流導入ポート
14 成膜用ガス導入口
15 排気ガス口
16 電気絶縁部
18 真空シール部
20 成膜用ガス供給装置
22 真空ポンプ
24 電源
30 検出領域
32 電磁波測定機構
35 自動距離可変機構
36 信号線(電磁波測定機構から自動距離可変機構へ)
37 信号線(自動距離可変機構からフィラメント固定部用駆動装置へ)
40、40a フィラメント固定部
40b フィラメント固定部(可動)
41 フィラメント固定部用連結シャフト
42 フィラメント固定部用駆動装置
50 原料ガス貯留器
52 原料ガス流量制御器
60 キャリアガス貯留器
62 キャリアガス流量制御器

Claims (13)

  1. 熱フィラメントCVD装置を用いるダイヤモンド薄膜の製造方法であって、
    前記熱フィラメントCVD装置が、
    成膜室と、
    前記成膜室内に配置され、基材を配置するための基材台と、
    前記成膜室内に配置され、電流を通電することにより加熱可能な直径0.05〜1mmのフィラメントと、
    前記成膜室内に原料ガス及びキャリアガスを供給するためのガス供給手段と
    を含み、
    ダイヤモンド薄膜の製造方法が、
    前記基材台に前記基材を配置する工程と、
    前記成膜室内に前記原料ガス及び前記キャリアガスを供給する工程と、
    前記フィラメントに通電することにより、前記フィラメントを所定の温度まで上昇させる工程と、
    を含み、
    前記キャリアガスの流量に対する前記原料ガスの流量の比率が7〜%の範囲内となるように設定され、
    前記フィラメントに通電するときの単位電力当たりの、前記原料ガス及び前記キャリアガスの1分当たりの合計ガス流量(ml/分)が、15〜20ml/(分・KW)である、ダイヤモンド薄膜の製造方法。
  2. 前記原料ガス及び前記キャリアガスの1分当たりの合計ガス流量を、成膜室内でダイヤモンド薄膜を成膜可能な面積である処理面積1cm当たり、0.05〜2ml/分の範囲内とする、請求項1に記載のダイヤモンド薄膜の製造方法。
  3. 前記成膜室の前記処理面積が100cm以上の値であり、
    前記合計ガス流量が、処理面積1cm当たり、0.14〜2.0ml/分の範囲内であるように、前記ガス供給手段が前記原料ガス及び前記キャリアガスの流量を制御する、請求項2に記載のダイヤモンド薄膜の製造方法。
  4. 前記原料ガスが、炭化水素ガスであり、前記キャリアガスが、水素ガスである、請求項1から3のいずれか1項に記載のダイヤモンド薄膜の製造方法。
  5. 前記基材と前記フィラメントとの距離を1〜7mmの範囲内のいずれかの値に設定する、請求項1から4のいずれか1項に記載のダイヤモンド薄膜の製造方法。
  6. 前記基材台が、前記基材台に配置された前記基材を冷却するための冷却手段を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のダイヤモンド薄膜の製造方法。
  7. 前記フィラメントの伸縮状態の変化を検出するための前記フィラメントの伸縮状態検出手段により、電磁波の強度変化又は電磁波の波長、強度若しくはそれらの組み合せの測定結果に基づいて前記フィラメントの伸縮状態の変化を検出することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載のダイヤモンド薄膜の製造方法。
  8. フィラメントの直径が、0.05〜0.2mmである、請求項1から7のいずれか1項に記載のダイヤモンド薄膜の製造方法。
  9. 前記フィラメントを所定の温度まで上昇させる工程において、基材の温度が800〜1000℃であるように、前記フィラメントを所定の温度まで上昇させることを含む、請求項1から8のいずれか1項に記載のダイヤモンド薄膜の製造方法。
  10. 前記フィラメントの前記所定の温度が、2400〜2500℃である、請求項1から9のいずれか1項に記載のダイヤモンド薄膜の製造方法。
  11. 前記フィラメントと、前記基材との間の距離が、1〜7mmである、請求項1から10のいずれか1項に記載のダイヤモンド薄膜の製造方法。
  12. 前記成膜室の体積が150〜200リットルの範囲であり、前記成膜室内に前記原料ガス及び前記キャリアガスを供給して、前記フィラメントを所定の温度まで上昇させたときの成膜室の圧力が1〜6kPaである、請求項1から11のいずれか1項に記載のダイヤモンド薄膜の製造方法。
  13. 請求項1から12のいずれか1項に記載のダイヤモンド薄膜の製造方法によって製造されたダイヤモンド薄膜により、表面の少なくとも一部を被覆する工程を含む、メカニカルシールの製造方法。
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