以下では、図中に示した矢印に従って、前後方向、上下方向及び左右方向をそれぞれ定義する。
まず、図1及び図2を用いて、第一実施形態に係る計量装置1の構成の概略を説明する。
計量装置1は、被計量物の重量を計量するものである。ここで、被計量物とは、計量装置1によって計量される種々の物を意味する。計量装置1は、主として本体部10及び計量皿20を具備する。
本体部10は、計量装置1の主たる構造体となるものである。本体部10は、主として筐体11、乾電池12、ロードセル13、操作キー群14、液晶表示部15、LED表示部16及び制御基板17を具備する。
筐体11は、略箱状に形成される部材である。筐体11の前面は、後上方から前下方に向けて傾斜するように形成される。
乾電池12は、計量装置1の電力源となるものである。乾電池12は、筐体11内の前部に配置される。
ロードセル13は、荷重を検出するセンサである。ロードセル13は、筐体11内の前後中途部から後部に亘って配置される。ロードセル13は、荷重が加わることによって生じるひずみを検出することで、当該荷重を検出することができる。
操作キー群14は、計量装置1に関する操作を行うためのものである。操作キー群14は、筐体11の前面の左端部近傍に配置される。操作キー群14は、主として第一操作キー14a、第二操作キー14b、第三操作キー14c及び第四操作キー14dを具備する。なお、本実施形態に係る操作キー群14は、本発明に係る操作部の実施の一形態である。
第一操作キー14aは、主として計量装置1の電源を入り切りする際に使用される。第一操作キー14aが押し込み操作されると、計量装置1の電源が入る。また計量装置1の電源が入れられた状態で、第一操作キー14aが所定時間の間押し込み操作され続ける(長押しされる)と、当該計量装置1の電源が切れる。
第二操作キー14bは、主として液晶表示部15の表示を切り替える際に使用される。具体的には、計量皿20に何も載置されていない状態で第二操作キー14bが押し込み操作される度に、液晶表示部15に表示される情報(例えば、各種の設定値等)が所定の順番で切り替えられる。
また、第二操作キー14bは、後述する「設定モード」において、液晶表示部15に表示される項目を切り替える際に使用される。
第三操作キー14cは、主として風袋引きを行う際に使用される。第三操作キー14cを用いて風袋引きが行われる様子については、後述する。
また、第三操作キー14cは、後述する「設定モード」において、液晶表示部15に表示される設定値を増加させる際に使用される。
第四操作キー14dは、主として零点リセットを行う際に使用される。第四操作キー14dを用いて零点リセットが行われる様子については、後述する。
また、第四操作キー14dは、後述する「設定モード」において、後述する液晶表示部15に表示される設定値を減少させる際に使用される。
液晶表示部15は、計量装置1に関する各種の情報を表示するものである。液晶表示部15は、筐体11の前面の左右略中央部に配置される。なお、本実施形態に係る液晶表示部15は、本発明に係る報知部の一実施形態である。また、本発明に係る報知部は、液晶表示部15に限定されるものではなく、例えば、計量値を案内するスピーカーなどでもよい。
LED表示部16は、被計量物の重量が予め設定された範囲に含まれているか否かを表示するものである。LED表示部16は、筐体11の前面の左右略中央部、かつ液晶表示部15の前下方に配置される。LED表示部16は、赤色、青色又は黄色に点灯することが可能である。
制御基板17は、計量装置1に関する各種の演算や記憶等の制御を行うためのものである。制御基板17には、後述する記憶部33aや演算部33b等が配置される。制御基板17は、筐体11内の前部(当該筐体11の前面のすぐ背後)に配置される。
計量皿20は、略矩形板状の部材である。計量皿20は広い上面を有し、当該上面に載置された被計量物を保持することができる。計量皿20は本体部10の上方に配置される。計量皿20の下面略中央部は、ロードセル13に固定されて支持される。これによって、計量皿20に載置される被計量物の荷重が、ロードセル13に加えられることになる。
次に、図3を用いて、計量装置1の制御に関する構成について説明する。
計量装置1は、制御に関する構成として、制御部33、ロードセル13、増幅回路31、A/Dコンバータ32、操作キー群14、液晶表示部15及びLED表示部16を具備する。
制御部33は、計量装置1に関する制御を行うものである。制御部33は、主として記憶部33a及び演算部33bを具備する。
記憶部33aは、種々の情報を記憶するものである。記憶部33aは、RAM及びROM等により構成される。記憶部33aには、計量装置1の制御に関するプログラム等が予め記憶されている。また、記憶部33aには、計量装置1の制御に関する新たな情報を記憶することができる。
演算部33bは、種々の演算を行うものである。演算部33bは、CPU等により構成される。演算部33bは、記憶部33aに記憶されているプログラムを実行することにより、計量装置1の制御を行う。
増幅回路31は、ロードセル13から受信したアナログ信号を増幅するものである。増幅回路31は、増幅したアナログ信号を、後述するA/Dコンバータ32に送信する。
A/Dコンバータ32は、増幅回路31から受信したアナログ信号をデジタル信号へと変換するものである。A/Dコンバータ32は、変換されたデジタル信号を、制御部33(演算部33b)に送信する。
また、操作キー群14からの操作信号は、制御部33(演算部33b)に送信される。制御部33は、当該操作信号に基づいて計量装置1の制御を行う。
また、制御部33(演算部33b)は、液晶表示部15に表示信号を送信することにより、当該液晶表示部15に所定の情報を表示させることができる。
また、制御部33(演算部33b)は、LED表示部16に表示信号を送信することにより、当該LED表示部16を赤色、青色又は黄色に点灯させることができる。
なお、本実施形態に係る制御部33は、本発明に係る計量部、設定部の一実施形態である。また、本実施形態に係る記憶部33aは、本発明に係る記憶部の一実施形態である。
次に、上述の如く構成された計量装置1が有する「計量モード」及び「設定モード」について説明する。
計量装置1が有する「計量モード」とは、単に被計量物の重量を計量したり、所定の機能を実行して被計量物の重量を計量したりするためのモードである。
まず、「計量モード」において、被計量物の重量が計量される様子について説明する。
計量皿20に被計量物が載置されると、当該計量皿20に加わる荷重がロードセル13によって検出される。ロードセル13からのアナログ信号は、増幅回路31において増幅された後、A/Dコンバータ32においてデジタル信号へと変換される。当該変換されたデジタル信号は、制御部33の演算部33bに送信される。
演算部33bは、記憶部33aに記憶されたプログラムに従って、受信したデジタル信号からロードセル13に加えられた荷重(ひいては、計量皿20に載置された被計量物の重量)を算出する。演算部33bは、算出された被計量物の重量を液晶表示部15に表示させる。作業者は、液晶表示部15の表示を見ることで、被計量物の重量を確認することができる。
次に、「計量モード」において、第三操作キー14cを用いて風袋引きが行われる様子について説明する。
被計量物の容器(風袋)が計量皿20に載置された状態で第三操作キー14cが押し込み操作されると、制御部33は、当該状態で液晶表示部15に表示される重量(前記容器の重量)が0になるように、重量の算出結果を調整する。この状態で容器に入れられた被計量物を当該容器ごと計量すると、当該容器の重量が差し引かれた被計量物だけの重量が液晶表示部15に表示される。これによって、容器に入れられた被計量物の正味の重量を容易に計量することができる。
次に、「計量モード」において、第四操作キー14dを用いて零点リセットが行われる様子について説明する。
第四操作キー14dが押し込み操作されると、制御部33は、当該状態で液晶表示部15に表示される被計量物の重量が0になるように、重量の算出結果を調整する。従って、被計量物が計量皿20に載置されていない状態で第四操作キー14dを押し込み操作することによって、零点(被計量物が計量皿20に載置されていない状態での液晶表示部15の表示)のずれを修正することができ、正確な計量を行うことができるようになる。
また、「計量モード」においては、所定の機能(「チェッカ機能」、「ランク選別機能」等)を実行して被計量物の重量を計量することができる。当該機能の内容については後述する。
計量装置1が有する「設定モード」とは、計量装置1を所定の機能が実行できる状態に変更したり、各種の設定を変更したりするためのモードである。
操作キー群14を用いて所定の操作が行われる(例えば、第三操作キー14cと第四操作キー14dが同時に押し込み操作される)と、制御部33は、計量装置1の状態を「計量モード」から「設定モード」に切り替える。
図4に示すように、「設定モード」では、主に「機能の選択」(項目01)、「下限値通常設定」(項目02)、「上限値通常設定」(項目03)、「上下限値簡単設定方法変更」(項目04)、「上下限値簡単設定の割合変更」(項目05)及び「上下限値簡単設定の目量数変更」(項目06)等を選択して実行することができる。なお、上記項目01から項目06までは一例として示したものであり、「設定モード」はその他の項目も有しているものとする。以下では、図3及び図4を用いて、「設定モード」における各項目(項目01から項目06まで)の選択方法を説明した後に、各項目(項目01から項目06まで)の詳細についてそれぞれ説明する。
制御部33は、「設定モード」に切り替えられると、まず項目01を示す表示(例えば、「01」という数字)を液晶表示部15の左側部分に表示させる。この状態で作業者が第二操作キー14bを押し込み操作すると、制御部33は次の項目(すなわち、項目02)を示す表示(例えば、「02」という数字)を液晶表示部15に表示させる。
同様に、作業者が第二操作キー14bを押し込み操作する度に、制御部33は項目03を示す表示(例えば、「03」という数字)、項目04を示す表示(例えば、「04」という数字)、項目05を示す表示(例えば、「05」という数字)及び項目06を示す表示(例えば、「06」という数字)を順に液晶表示部15に表示させる。
計量装置1が有する最後の項目を示す表示が液晶表示部15に表示されている状態で、さらに第二操作キー14bが押し込み操作された場合、制御部33は再び項目01を示す表示を液晶表示部15に表示させる。
このように、作業者は、第二操作キー14bを繰り返し押し込み操作することで、各項目の中から所望の項目を選択して液晶表示部15の左側部分に表示させることができる。
また、各項目を示す表示が液晶表示部15の左側部分に表示された状態においては、当該項目に関する設定値が液晶表示部15の右側部分に表示される。ここで、当該設定値とは、各項目の設定内容を示す値である。各項目における設定値の詳細については後述する。
作業者が第三操作キー14cを押し込み操作すると、制御部33は液晶表示部15に表示された設定値を増加させる。また、作業者が第四操作キー14dを押し込み操作すると、制御部33は液晶表示部15に表示された設定値を減少させる。このように、作業者は第三操作キー14c又は第四操作キー14dを繰り返し押し込み操作することで、設定値を所望の値に変更することができる。
このようにして、作業者は所望の項目を選択し、当該項目の設定値を所望の値に変更することができる。また、設定値を変更した後で、操作キー群14を用いて所定の決定操作が行われる(例えば、第一操作キー14aが1回押し込み操作される)と、制御部33は、当該項目の設定値を記憶する。またこの際、制御部33は、当該設定値に所定の機能が割り当てられている場合には、計量装置1を当該機能が実行できる状態に変更する。その後、制御部33は、計量装置1の状態を「設定モード」から「計量モード」に切り替える。
次に、各項目(項目01から項目06まで)の詳細についてそれぞれ説明する。
「機能の選択」(項目01)は、計量装置1が有する機能を選択し、当該機能を実行可能な状態とするための項目である。項目01の設定値には、計量装置1が有する機能がそれぞれ割り当てられている。具体的には、設定値001には「チェッカ機能」、設定値002には「ランク選別機能」がそれぞれ割り当てられている。なお、上記設定値001及び設定値002は一例として示したものであり、その他の設定値にはその他の機能が割り当てられているものとする。
「チェッカ機能」(設定値001)は、被計量物の重量が、予め設定された範囲に含まれるか否か(具体的には、下限値LLと上限値ULとの間の値であるか否か)を、LED表示部16に表示させる機能である。
具体的には、「計量モード」において、「チェッカ機能」が実行された状態で計量皿20に被計量物が載置されると、制御部33は当該被計量物の重量を算出する。制御部33は、被計量物の重量が下限値LL未満である場合、LED表示部16を赤色に点灯させる。制御部33は、被計量物の重量が上限値ULよりも大きい場合、LED表示部16を黄色に点灯させる。制御部33は、被計量物の重量が下限値LL以上かつ上限値UL以下である場合、LED表示部16を青色に点灯させる。作業者は、当該LED表示部16の色を確認することで、被計量物の重量が軽量(下限値LL未満)であるか、過量(上限値ULより大きい)であるか、適量(下限値LL以上かつ上限値UL以下)であるか、を容易に判別することができる。
ここで、下限値LL及び上限値ULは、作業者が予め設定することができる。当該下限値LL及び上限値ULの設定方法の詳細については後述する。
「ランク選別機能」(設定値002)は、被計量物の重量が、予め設定された複数のランク(重量の範囲)のうち、どのランクに含まれるかを液晶表示部15に表示させる機能である。
このように、項目01(「機能の選択」)においては、上述の設定値001及び設定値002、並びにその他の設定値に、それぞれ異なる機能が割り当てられている。
「下限値通常設定」(項目02)は、上述の「チェッカ機能」で用いられる下限値LLを設定するための項目である。項目02の設定値は、下限値LLの値として記憶される。
具体的には、作業者は、項目02を示す表示を液晶表示部15に表示させた状態で、第三操作キー14c又は第四操作キー14dの押し込み操作を繰り返すことで、液晶表示部15に表示された設定値を増加又は減少させ、所望の値に変更する。設定値が所望の値になった場合、作業者は操作キー群14を用いて所定の決定操作を行う。当該決定操作が行われると、制御部33は、液晶表示部15に表示された設定値を下限値LLの値として記憶する。この際、制御部33は、下限値LLを記憶部33aのEEPROM等の不揮発性メモリに記憶する。このため、計量装置1の電源が切られたとしても、当該下限値LLの設定(記憶)が消去されることはない。
「上限値通常設定」(項目03)は、上述の「チェッカ機能」で用いられる上限値ULを設定するための項目である。項目03の設定値は、上限値ULの値として記憶される。
具体的には、作業者は、項目03を示す表示を液晶表示部15に表示させた状態で、第三操作キー14c又は第四操作キー14dの押し込み操作を繰り返すことで、液晶表示部15に表示された設定値を増加又は減少させ、所望の値に変更する。設定値が所望の値になった場合、作業者は操作キー群14を用いて所定の決定操作を行う。当該決定操作が行われると、制御部33は、液晶表示部15に表示された設定値を上限値ULの値として記憶する。この際、制御部33は、上限値ULを記憶部33aのEEPROM等の不揮発性メモリに記憶する。このため、計量装置1の電源が切られたとしても、当該上限値ULの設定(記憶)が消去されることはない。
ここで、上述の項目02及び項目03で説明したように、下限値LL及び上限値ULを第三操作キー14c又は第四操作キー14dの押し込み操作を繰り返すことでそれぞれ設定する方法を、以下では「上下限値通常設定」と称する。
これに対して、後述するように、所定の操作で下限値LLを設定することで、自動的に上限値ULを設定する方法を、以下では、「上下限値簡単設定」と称する。
「上下限値簡単設定方法変更」(項目04)は、上下限値簡単設定を用いて上限値ULを設定する際の、当該上限値ULの算出方法を変更するための項目である。項目04の設定値(設定値001及び設定値002)には、上限値ULの算出方法がそれぞれ割り当てられている。具体的には、設定値001には「割合」を用いた算出方法、設定値002には「目量数」を用いた算出方法がそれぞれ割り当てられている。
「割合」を用いた算出方法(設定値001)は、下限値LLを基準として、当該下限値LLを所定の割合Rだけ増加させた値を上限値ULとして設定する方法である。本実施形態においては、割合Rは百分率(%)で表されるものとする。また本実施形態においては、割合Rの取り得る値は「5<割合R<100」に設定されると共に、上限値ULは、「上限値UL=下限値LL×(100+割合R)」の数式を用いて算出されるものとする。このようにして求められた上限値ULは、下限値LLを割合R(%)だけ増加させた値になる。
「目量数」を用いた算出方法(設定値002)は、下限値LLを基準として、当該下限値LLに所定の目量数S(すなわち、所定の重量)を加算した値を上限値ULとして設定する方法である。本実施形態においては、目量数Sの取り得る値は「10<目量数S<300」に設定されると共に、上限値ULは、「上限値UL=下限値LL+目量数S」の数式を用いて算出されるものとする。このようにして求められた上限値ULは、下限値LLを目量数Sだけ増加させた値になる。
「上下限値簡単設定の割合変更」(項目05)は、上述の割合Rの値を変更するための項目である。項目05の設定値は、割合Rの値として記憶される。
具体的には、作業者は、項目05を示す表示を液晶表示部15に表示させた状態で、第三操作キー14c又は第四操作キー14dの押し込み操作を繰り返すことで、液晶表示部15に表示された設定値を増加又は減少させ、所望の値に変更する。設定値が所望の値になった場合、作業者は操作キー群14を用いて所定の決定操作を行う。当該決定操作が行われると、制御部33は、液晶表示部15に表示された設定値を割合Rの値として記憶する。
「上下限値簡単設定の目量数変更」(項目06)は、上述の目量数Sの値を変更するための項目である。項目06の設定値は、目量数Sの値として記憶される。
具体的には、作業者は、項目06を示す表示を液晶表示部15に表示させた状態で、第三操作キー14c又は第四操作キー14dの押し込み操作を繰り返すことで、液晶表示部15に表示された設定値を増加又は減少させ、所望の値に変更する。設定値が所望の値になった場合、作業者は操作キー群14を用いて所定の決定操作を行う。当該決定操作が行われると、制御部33は、液晶表示部15に表示された設定値を目量数Sの値として記憶する。
次に、図4及び図5を用いて、上下限値簡単設定の手順について具体的に説明する。
上下限値簡単設定を行う前提として、作業者は、「設定モード」の項目05及び項目06において、予め割合R及び目量数Sの値を設定しておく。また、作業者は、「設定モード」の項目04において、「割合」を用いた算出方法(設定値001)又は「目量数」を用いた算出方法(設定値002)のいずれか一方を選択しておく。
以下の説明では、作業者は、「設定モード」の項目04において「割合」を用いた算出方法(設定値001)を選択すると共に、項目05において割合Rの値として「10(%)」を設定しているものとする。
図5のステップS110において、作業者は、「計量モード」に切り替えられた計量装置1の計量皿20に、被計量物を載置する。この際作業者は、液晶表示部15に表示される被計量物の重量が、下限値LLとして設定したい値になるように、計量皿20に載置される被計量物の量を調節する。例えば、下限値LLの値として「100(g)」を設定したい場合には、液晶表示部15に「100(g)」と表示されるように、作業者は被計量物の量を調節する。
次に、ステップS120において、作業者は、第二操作キー14bを1回押し込み操作する。
ここで、上述の如く、計量皿20に何も載置されていない状態で第二操作キー14bが押し込み操作されると、液晶表示部15に表示される情報が切り替えられる。しかし、計量皿20に被計量物が載置されている状態では、第二操作キー14bが押し込み操作されても、液晶表示部15に表示される情報が切り替えられることはない。
なお、計量皿20に何も載置されていない状態であるか否かは、制御部33によって算出された重量に基づいて判別することができる。具体的には、制御部33は、算出された重量が0(又は、0に近い値)である場合には、計量皿20に何も載置されていない状態であると判別する。また、制御部33は、算出された重量が0ではない(又は、0よりも所定値以上大きい)場合には、計量皿20に何かが載置されている状態であると判別する。
次に、ステップS130において、制御部33は、第二操作キー14bの操作信号を受信した時点で算出されている重量(この例では、「100(g)」)を、下限値LLの値として設定する。この際、制御部33は、下限値LLを記憶部33aのRAM等の揮発性メモリに記憶する。このため、計量装置1の電源が切られると、当該下限値LLの設定(記憶)は消去される。
次に、ステップS140において、制御部33は、下限値LLを基準として上限値ULを設定する。具体的には、制御部33は、下限値LLを10(%)だけ増加させた値、すなわち110(g)を上限値ULの値として設定する。
以上のように、上下限値簡単設定においては、作業者は、第二操作キー14bを1回だけ押し込み操作するだけで、計量皿20に載置された被計量物の重量を下限値LLとして設定することができる。また、下限値LLが設定されると、自動的に上限値ULも設定される。
このようにして、下限値LL及び上限値ULが設定された後に、「設定モード」の項目01において設定値001(「チェッカ機能」)を選択することで、設定された下限値LL及び上限値ULを用いた「チェッカ機能」を実行することができる。
なお、ステップS110において計量皿20に載置される被計量物は、「チェッカ機能」を用いて計量が行われる被計量物とは異なる物であっても良い。例えば、「チェッカ機能」を用いて食品の計量を行う場合であっても、ステップS110(下限値LLを設定する際)では分銅など前記食品とは異なる物(被計量物)を用いて下限値LLを設定することが可能である。
なお、上述の説明では、作業者は、「設定モード」の項目04において「割合」を用いた算出方法(設定値001)を選択しているものとしたが、作業者が「目量数」を用いた算出方法(設定値002)を選択した場合も同様の操作で下限値LL及び上限値ULを設定することができる。
例えば、項目06において、目量数Sの値として「10(g)」が設定されている場合、ステップS130で下限値LLの値として「100(g)」が設定されると、制御部33はステップS140において、下限値LLを10(g)だけ増加させた値、すなわち110(g)を上限値ULとして設定する。
このように、上下限値簡単設定においては、少ない操作回数(具体的には、第二操作キー14bを1回押し込み操作するだけ)で、下限値LL及び上限値ULの値を設定することができる。すなわち、上下限値通常設定においては、第三操作キー14c及び第四操作キー14dを繰り返し押し込み操作して下限値LL及び上限値ULの値をそれぞれ設定する必要があり、操作が煩雑であるのに対し、上下限値簡単設定は操作が簡単である。
なお、本実施形態に係る下限値LLは、本発明に係る第1基準重量値の一実施形態である。また、本実施形態に係る上限値ULは、本発明に係る第2基準重量値の一実施形態である。
また、本実施形態に係る割合Rは、本発明に係る所定の演算値および所定の割合の一実施形態である。また、本実施形態に係る目量数Sは、本発明に係る所定の演算値および所定の値の一実施形態である。
また、本実施形態に係る第二操作キー14bの1回押し込み操作は、本発明に係る所定の第1操作の一実施形態である。また、本実施形態に係る第三操作キー14cおよび第四操作キー14dの押し込み操作は、本発明に係る所定の第2操作の一実施形態である。
上述の通り、本実施形態に係る計量装置1は、被計量物の重量を計量する計量部(制御部33)と、第1基準重量値(下限値LL)および第1基準重量値とは異なる第2基準重量値(上限値UL)を設定する設定部(制御部33)と、所定の演算値(所定の割合Rまたは所定の目量数S)を記憶する記憶部33aとを備える。
また、計量部(制御部33)で計量された計量値を第1基準重量値(下限値LL)として設定するとともに、第1基準重量値(下限値LL)と前記所定の演算値(所定の割合Rまたは所定の目量数S)とに基づいて第2基準重量値(上限値UL)を設定する。
さらに、計量値を報知する報知部(液晶表示部15)と、作業者により操作される操作部(操作キー群14)とを備え、計量値が報知部(液晶表示部15)により報知(表示)されている状態で、作業者が、操作部(操作キー群14)により所定の第1操作(第二操作キー14bの1回押し込み操作)を行った場合、計量値を第1基準重量値(下限値LL)として設定する。
このように構成することにより、下限値LL及び上限値ULを容易に設定することができる。すなわち、下限値LLを設定すると、当該下限値LLを基準として上限値ULが自動的に設定されるため、下限値LL及び上限値ULを設定するための作業者の操作回数を削減することができる。これによって、操作の効率化を図るために、新たな操作キー(例えば、数値を入力するためのテンキー等)を増設する必要がなくなる。
また、所定の演算値(所定の割合R)は、第1基準重量値(下限値LL)を所定の割合だけ増加又は減少させるための値である。
このように構成することにより、上限値ULを適度な値になるように設定することができる。すなわち、下限値LLの値に応じて当該下限値LLと上限値ULとの差(すなわち、適量範囲)を決定することができる。
また、所定の演算値(所定の目量数S)は、第1基準重量値に所定の値を加算又は減算るするための値である。
このように構成することにより、上限値ULを適度な値になるように設定することができる。すなわち、下限値LLの値にかかわらず、当該下限値LLと上限値ULとの差(すなわち、適量範囲)を決定することができる。
また、下限値LLは、上限値ULよりも小さい値になるように設定されるものである。
このように構成することにより、下限値LLが所望の値になるように正確に設定することができる。すなわち、下限値LLを、作業者の所望の値になるように被計量物を用いて正確に設定することができる。また、下限値LLを正確に設定することができるため、当該下限値LLの計量ミスを防止することができ、特に被計量物の下限値LLが規格等によって定められている場合に好適である。
なお、本発明に係る計量装置の構成は、本実施形態に係る計量装置1に限るものではない。例えば、計量皿20は被計量物を保持することができればよく、その形状や大きさは任意に変更することが可能である。また、ロードセル13は計量皿20に加わる荷重を検出することができればよく、その構成は任意に変更することが可能である。
また、本発明に係る第一操作部は、本実施形態に係る第二操作キー14bに限るものではない。例えば、操作キー群14に含まれるその他の操作キー(例えば、第一操作キー14a等)であっても良い。また、第一操作部は、押し込み操作可能なものに限らず、例えばタッチパネルや各種のスイッチ等であっても良い。
また、本実施形態においては、下限値LLが設定されると、当該下限値LLに基づいて上限値ULが自動的に設定されるものとしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、上限値ULが設定されると、当該上限値ULに基づいて下限値LLが自動的に設定される構成とすることも可能である。この場合、上限値ULが本発明に係る第一基準値、下限値LLが本発明に係る第二基準値にそれぞれ対応する。またこの場合、上限値ULを割合Rだけ減少させた値、又は上限値ULに目量数Sを減算した値を下限値LLとすることができる。
また、本実施形態においては、下限値LLを設定する際に操作される第二操作キー14bは、他の用途(液晶表示部15に表示される情報を切り替える用途)にも使用するものとしたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、第二操作キー14bとは別に、下限値LLを設定する際に操作される操作キーを設けることも可能である。
また、上下限値通常設定によって設定される下限値LL及び上限値ULは、それぞれ複数設定する構成とすることも可能である。例えば、被計量物の種類(品種等)毎に下限値LL及び上限値ULを設定しておくことで、1つの計量装置1で複数種類の被計量物を計量する際の作業効率を向上させることができる。
以下では、図6を用いて、第二実施形態に係る計量装置1について説明する。
なお、第二実施形態に係る計量装置1が第一実施形態に係る計量装置1と主に異なる点は、上下限値簡単設定の手順である。具体的には、第二実施形態においては、第一実施形態に係るステップS130(図5参照)の手順に代えて、ステップS131からステップS134まで(図6参照)の手順で上下限値簡単設定が行われる。以下、具体的に説明する。
図6のステップS110において、作業者は、「計量モード」に切り替えられた計量装置1の計量皿20に、被計量物を載置する。この際作業者は、液晶表示部15に表示される被計量物の重量が、下限値LLとして設定したい値に近い値となるように、計量皿20に載置される被計量物の量を調節する。例えば、下限値LLの値として「100(g)」を設定したい場合には、液晶表示部15に「100(g)」近い値が表示されるように、作業者は被計量物の量を調節する。本説明では、例えば液晶表示部15に「105(g)」と表示されるように、被計量物を計量皿20に載置するものとする。
次に、ステップS120において、作業者は、第二操作キー14bを1回押し込み操作する。
次に、ステップS131において、制御部33は、第二操作キー14bの操作信号を受信した時点で算出されている重量(この例では、「105(g)」)を、下限値LLの値として一時的に記憶する。制御部33は、当該下限値LLを液晶表示部15に表示させる。
次に、ステップS132において、作業者は、第三操作キー14c又は第四操作キー14dの押し込み操作を繰り返すことで、液晶表示部15に表示された下限値LLを増加又は減少させ、所望の値(すなわち、下限値LLとして設定したい値)に変更する。この例では、作業者は、第四操作キー14dを複数回押し込み操作することで、液晶表示部15に「100(g)」と表示させる。
次に、ステップS133において、作業者は、第二操作キー14bを1回押し込み操作する。
次に、ステップS134において、制御部33は、第二操作キー14bの操作信号を受信した時点で液晶表示部15に表示されている重量(この例では、「100(g)」)を、下限値LLとして設定する。
次に、ステップS140において、制御部33は、下限値LLを基準として上限値ULを設定する。
以上のように、第二実施形態における上下限値簡単設定においては、作業者は、計量皿20に載置される被計量物の量を調節するだけではなく、第三操作キー14c及び第四操作キー14dも用いて、下限値LLの値を設定することができる。このように、第三操作キー14c及び第四操作キー14dを用いることによって、被計量物の量が調節し難い場合(例えば、被計量物の1つ1つが大きな塊であり、重量の微調整が困難な場合等)であっても、下限値LLが所望の値になるように正確に設定することができる。
上述の通り、本実施形態に係る計量装置1は、計量値が報知部(液晶表示部15)により報知(表示)されている状態で、作業者が、所定の第1操作(第二操作キー14bの1回押し込み操作)を行う前に、操作部により所定の第2操作(第三操作キー14cおよび第四操作キー14dの押し込み操作)を行った場合、所定の第2操作に基づいて計量値を変更するとともに、作業者が、所定の第2操作の後に、所定の第1操作(第二操作キー14bの1回押し込み操作)を行った場合、変更された計量値を第1基準重量値(下限値LL)として設定する。
このように構成することにより、必要に応じて下限値LLの微調整を行うことができる。これによって、下限値LLを所望の値になるように正確に設定することができる。
なお、本発明に係る第二操作部は、本実施形態に係る第三操作キー14c及び第四操作キー14dに限るものではない。すなわち、第二操作部は押し込み操作可能なものに限らず、例えばジョグダイヤル、タッチセンサ式のホイール、十字形のカーソルキー等、値(数値)の変更操作が行い易いものを用いても良い。
以下では、第三実施形態に係る計量装置1について説明する。
なお、第三実施形態に係る計量装置1が第一実施形態に係る計量装置1と主に異なる点は、上下限値簡単設定によって設定された下限値LLが、RAM等の揮発性メモリではなく、EEPROM等の不揮発性メモリに記憶される点である。
具体的には、図5に示すステップS130において、制御部33は、下限値LLを記憶部33aのEEPROM等の不揮発性メモリに記憶する。このため、計量装置1の電源が切られたとしても、当該下限値LLの設定(記憶)が消去されることはない。
このように構成された第三実施形態に係る計量装置1においては、一度電源が切られたとしても下限値LLの設定は消去されずに残っているため、再度電源を入れれば下限値LL及び上限値ULの設定を行うことなく「チェッカ機能」を実行することができる。
また、制御部33は、下限値LLの設定が残っている状態で割合Rや目量数Sが変更(図4の項目05及び項目06参照)された場合、当該割合Rや目量数Sに基づいて上限値ULを再度算出し直す。
このように、作業者は、下限値LLはそのままで上限値ULだけを変更したい場合には、割合Rや目量数Sを変更することで、上限値ULを当該割合Rや目量数Sに応じた値に変更することができる。これによって、下限値LLを変更する必要がない(規格等により定められている)被計量物を計量する際の、上限値ULの設定作業の効率を向上させることができる。
なお、第三実施形態に係る計量装置1においては、下限値LLは必ずEEPROM等の不揮発性メモリに記憶されるものとしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、操作キー群14を用いて所定の操作が行われた場合にのみ、下限値LLを不揮発性メモリに記憶する構成とすることも可能である。
以上の如く、上記各実施形態に係る計量装置1は、割合Rの値を変更可能な制御部33(第一変更部)を具備するものである。
このように構成することにより、下限値LLに対する上限値ULの値を任意に変更することができる。
また、上記各実施形態に係る計量装置1は、目量数Sの値を変更可能な制御部33(第二変更部)を具備するものである。
このように構成することにより、下限値LLに対する上限値ULの値を任意に変更することができる。
また、第三実施形態に係る計量装置1は、設定された下限値LLを記憶する制御部33(基準値記憶部)と、制御部33に下限値LLが記憶された後で、割合R(又は目量数S)の値が変更された場合、上限値ULの値を算出(設定)し直す制御部33(再設定部)と、を具備するものである。
このように構成することにより、下限値LLの値はそのままで上限値ULの値だけを変更して被計量物を計量する場合の作業効率を向上させることができる。
また、上記各実施形態に係る制御部33は、被計量物が計量皿20に保持されていない状態で第二操作キー14bが操作された場合、下限値LLを設定することなく、所定の制御を行う(液晶表示部15に表示される情報を切り替える)ものである。
このように構成することにより、操作キーの個数を削減することができる。すなわち、下限値LLを設定するための操作キー(第二操作キー14b)を、他の用途(液晶表示部15に表示される情報を切り替える用途)にも使用することができるため、操作キーの個数を削減することができる。また、操作キーの個数の増加に伴う操作の複雑化を防止することができる。