JP6536991B2 - 接合構造体および接合構造体の製造方法 - Google Patents

接合構造体および接合構造体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、接合構造体および接合構造体の製造方法に関する。
複数の部材を互いに一体化させて接合することが知られている。例えば、半導体装置では、半導体チップが基板上に接合層を介して実装される。近年、しばしば高温環境下で使用される半導体素子(特に、パワー半導体素子)を基板に、銀粒子を焼結させた銀接合層を用いて実装することが検討されている(特許文献1参照)。
特許文献1には、銀粒子に加えて、溶剤、分散剤としての2−ブトキシエトキシ酢酸、および、反応抑止剤としてのベンゾトリアゾールを含有した接合材が開示されている。
特開2014−235942号公報
しかしながら、従来の接合材を用いて作製された接合構造体は、高温環境下で長時間使用すると、接合材の接合強度が著しく低下してしまうことがあった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高温環境下で長時間使用しても接合強度の低下を抑制可能な接合構造体および接合構造体の製造方法を提供することにある。
本発明による接合構造体は、第1接合対象物と、第2接合対象物と、前記第1接合対象物と前記第2接合対象物とを接合する接合層とを備える。前記接合層は、金属粒子と、前記金属粒子の結晶成長を抑制する抑制粒子とを含有する。
ある実施形態において、前記金属粒子は多孔体構造を有する。
ある実施形態において、前記抑制粒子は、セラミックスまたは金属間化合物を含有する粒子を含む。
ある実施形態において、前記抑制粒子の平均粒径は、前記金属粒子の平均粒径よりも小さい。
ある実施形態において、前記金属粒子は銀粒子を含む。
ある実施形態において、前記抑制粒子は炭化ケイ素粒子を含む。
ある実施形態において、前記金属粒子の含有量に対する前記抑制粒子の含有量の比率は0.05質量%以上2.5質量%以下である。
ある実施形態において、前記接合構造体は、前記第1接合対象物および前記第2接合対象物のうちの少なくとも一方の表面に設けられた金属層をさらに備える。
ある実施形態において、前記金属層は、前記金属粒子を構成する金属と同じ金属を含む。
本発明による接合構造体の製造方法は、第1接合対象物を用意する工程と、第2接合対象物を用意する工程と、媒体に金属粒子および抑制粒子を添加した粒子含有物を生成する工程と、前記粒子含有物を介して前記第1接合対象物および前記第2接合対象物を積層させた積層体を形成する工程と、前記積層体を加熱することにより、前記第1接合対象物と前記第2接合対象物とを接合する接合層を前記粒子含有物から形成する工程とを包含する。
ある実施形態において、前記粒子含有物を生成する工程は、前記金属粒子および前記抑制粒子を液体に添加して溶液を生成する工程と、前記溶液から前記液体を蒸発させて前記金属粒子および前記抑制粒子の粉末を抽出する工程と、前記媒体に前記粉末を混合してペーストを生成する工程とを含む。
ある実施形態において、前記ペーストを生成する工程では、前記粉末の混合された前記媒体を撹拌する。
ある実施形態において、前記接合構造体の製造方法は、前記第1接合対象物および前記第2接合対象物のうちの少なくとも一方の表面に、金属層を形成する工程をさらに包含する。
ある実施形態において、前記金属層を形成する工程では、前記金属層は、前記金属粒子を構成する金属と同じ金属を含む。
本発明によれば、接合構造体を高温環境下で長時間使用しても接合構造体の合強度の低下を抑制できる。
本実施形態による接合構造体の模式図である。 (a)〜(e)は本実施形態による接合構造体の製造方法を示す模式図である。 本実施形態による接合構造体の模式図である。 (a)〜(e)は図3に示した実施形態による接合構造体の製造方法を示す模式図である。 (a)〜(d)は、比較のための焼結体の写真を示す図である。 (a)〜(d)は、実施例の接合構造体に含まれる接合層に相当する焼結体の写真を示す図である。 (a)は比較のための焼結体における金属粒子の粒径増加量の加熱時間変化を示すグラフであり、(b)は実施例の接合構造体に含まれる接合層に相当する焼結体における金属粒子の粒径増加量の加熱時間変化を示すグラフである。 実施例および比較例の接合構造体の剪断強度の加熱時間変化を示すグラフである。 (a)は実施例および比較例の接合構造体の剪断強度のSiC添加量変化を示すグラフであり、(b)は実施例および比較例の接合構造体に含まれる接合層に相当する焼結体における抵抗率のSiC添加量変化を示すグラフである。
以下、図面を参照して本発明による接合構造体および接合構造体の製造方法の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されない。
図1に、本実施形態の接合構造体100の模式図を示す。接合構造体100は、接合対象物110と、接合対象物120と、接合層130とを備える。接合層130は、接合対象物110と接合対象物120とを接合する。なお、本明細書の以下の説明において、2つの接合対象物110、120のうち、接合対象物110を第1接合対象物と記載することがあり、接合対象物120を第2接合対象物と記載することがある。
本実施形態の接合構造体100において、接合層130は、金属粒子132と、抑制粒子134とを含有する。抑制粒子134は、金属粒子132の結晶成長を抑制する。
金属粒子132の多くは、サイズの異なる凝集体を構成している。金属粒子132の凝集体の多くは他の凝集体と接触しており、金属粒子132は、粒子自体およびそれらの凝集体がネットワーク状に接続された多孔体構造を有している。
抑制粒子134は金属粒子132に分散している。抑制粒子134の一部は、他の抑制粒子134と凝集することなく、他の抑制粒子134から分離された状態で存在している。また、抑制粒子134の他の一部は、サイズの異なる凝集体を構成している。
抑制粒子134は、金属粒子132の凝集体内部に存在している。典型的には、抑制粒子134は、互いに分離しており、ほとんど凝集していない。このような抑制粒子134は金属粒子132の凝集体の内部に存在している。
なお、例えば、2つの接合対象物を接合する接合層が抑制粒子を含有することなく金属粒子を含有する場合、一時的に比較的に高い接合強度を実現できても、高温環境下(例えば、200℃以上)で長時間使用すると、金属粒子が結晶成長して肥大化してしまい、接合強度が大きく低下してしまうことがある。また、同様に、このような接合構造体を高温環境下で長時間使用すると、接合層の抵抗率が大きく低下してしまうことがある。
これに対して、本実施形態の接合構造体100では、金属粒子132を含有する接合層130は、接合対象物110、120のうちの一方の熱を他方に効率的に伝導させることができる。また、金属粒子132を含有する接合層130は、必要に応じて、接合対象物110、120のうちの一方の接触対象物から他方の接触対象物に効率的に電流を流すことができる。さらに、本実施形態の接合構造体100では、接合層130により、接合対象物110の熱膨張率と接合対象物120の熱膨張率との差に起因する熱応力を緩和する。
さらに、本実施形態の接合構造体100では、接合層130が金属粒子132だけでなく抑制粒子134を含有しているため、接合構造体100を長時間高温下で使用しても、金属粒子の結晶成長を抑制する抑制粒子134が金属粒子132の過度な肥大化を抑制し、結果として、接合層130の接合強度の低下が抑制される。
接合対象物110は、絶縁性部材であってもよく、導電性部材であってもよい。あるいは、接合対象物110は半導体部材であってもよい。
接合対象物120は、絶縁性部材であってもよく、導電性部材であってもよい。あるいは、接合対象物120は半導体部材であってもよい。
例えば、接合対象物110は絶縁性基板であり、接合対象物120は半導体チップであってもよい。一例として、半導体チップは、SiCまたはGaNを含有するパワー半導体チップである。
金属粒子132は、銀、銅、ニッケルおよび亜鉛からなる群から選択された少なくとも1つを含有することが好ましく、この場合、金属粒子132は、上記金属を主成分として含有することが好ましい。例えば、金属粒子132は、上記金属を50質量%以上含有することが好ましく、上記金属を70質量%以上含有することがさらに好ましく、上記金属を900質量%以上含有することがさらに好ましい。
また、金属粒子132は、上記金属群のうち、銀または銅を含有することが好ましく、この場合、接合層130は、より高い導電特性および高い放熱特性を実現できる。
また、金属粒子132は銀を含有することがさらに好ましい。銀原子は250〜300℃程度の環境下で酸素と反応しながら表面上を移動する表面反応が発生する特性を有している。このような特性を有する銀を金属粒子132として用いると、抑制粒子134との相互作用により、接合層130の接合強度の低下を抑制すると考えられる。
金属粒子132は、球状であってもよい。この場合、金属粒子132の平均粒径は、0.1μm以上3μm以下であることが好ましく、0.2μm以上2μm以下であることがさらに好ましい。
あるいは、金属粒子132は、フレーク状であってもよい。この場合、金属粒子132の平均粒径は、2μm以上15μm以下であることが好ましく、4μm以上10μm以下であることがさらに好ましい。また、金属粒子132の厚さは、50nm以上600nm以下であることが好ましく、100nm以上400nm以下であることがさらに好ましい。
抑制粒子134は、金属粒子132に対して充分に分散可能なものであることが好ましい。また、抑制粒子134は、熱伝導率および電気伝導度の比較的高い成分を含有していることが好ましい。
例えば、抑制粒子134は、セラミックスまたは金属間化合物を含有する粒子を含む。抑制粒子134のセラミックスとして、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物などの無機化合物を含有することが好ましく、炭化物または窒化物を含有することが特に好ましい。一例として、抑制粒子134は、Ti、Hf,Cr等の炭化物、窒化物もしくはホウ化物、または、アルミナ、シリカなどの酸化物を含有することが好ましい。また、抑制粒子134として、炭化ケイ素粒子が好適に用いられる。あるいは、抑制粒子134の金属間化合物として、例えば、銀またはニッケルなどを含むスズ含有物、チタンまたはニッケルなどを含むアルミナイド含有物を用いることが好ましい。
抑制粒子134の平均粒径は、10nm以上3.0μm以下であることが好ましく、20nm以上2.0μm以下であることがさらに好ましい。また、抑制粒子134の平均粒径は、金属粒子132の平均粒径よりも小さいことが好ましい。ここで、平均粒径は、メディアン径であってもよい。あるいは、平均粒径は、モード径であってもよく、あるいは、算術平均径であってもよい。
接合層130内において、金属粒子132の含有量に対する抑制粒子134の含有量の比率は、0.05質量%以上2.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上2.0質量%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態の接合構造体100では、接合層130内の金属粒子132を構成する金属の融点に達する温度まで、接合対象物110と接合対象物120との接合を維持することができる。
なお、接合層130には、金属粒子132および抑制粒子134のいずれも存在しないミクロポア136が存在していてもよい。この場合、抑制粒子134はミクロポア136中に存在していてもよい。ただし、接合層130の接合強度を向上させるためには、単位体積当たりのミクロポア136の体積および数を低減させることが好ましい。
また、第1接合対象物110のうち少なくとも接合層130と接する表面には、金属が膜状に存在していることが好ましい。あるいは、第2接合対象物120のうち少なくとも接合層130と接する表面には金属が膜状に存在していることが好ましい。
ここで、図2を参照して、本実施形態の接合構造体100の製造方法を説明する。
図2(a)に示すように、接合対象物110を用意する。接合対象物110は、例えば、絶縁部材であってもよく、導電部材であってもよい。あるいは、接合対象物110は、半導体部材であってもよい。
図2(b)に示すように、接合対象物120を用意する。接合対象物120は、例えば、絶縁部材であってもよく、導電部材であってもよい。あるいは、接合対象物120は、半導体部材であってもよい。
図2(c)に示すように、媒体Mに金属粒子132および抑制粒子134を添加した粒子含有物Sを生成する。金属粒子132は、例えば、銀、銅、ニッケルまたは亜鉛を含有する粒子である。金属粒子132の平均粒径は、2μm以上15μm以下であることが好ましく、4μm以上10μm以下であることがさらに好ましい。
抑制粒子134は、セラミックスまたは金属間化合物を含有する粒子である。抑制粒子134の平均粒径は、10nm以上3.0μm以下であることが好ましく、20nm以上2.0μm以下であることがさらに好ましい。
例えば、媒体Mは溶液またはペーストである。この場合、粒子含有物Sにおいて、金属粒子132および抑制粒子134は媒体M内で充分に分散されていることが好ましい。例えば、金属粒子132および抑制粒子134は、媒体M内、または、媒体Mに添加する前に充分に撹拌されることが好ましい。媒体M内において、金属粒子132の含有量に対する抑制粒子134の含有量の比率は、0.05質量%以上2.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上2.0質量%以下であることがさらに好ましい。
例えば、粒子含有物Sはペーストであってもよい。例えば、ペーストは以下のように生成される。
まず、液体に金属粒子132および抑制粒子134を添加する。例えば、液体としてアルコールが用いられ、一例として、エタノールが挙げられる。
金属粒子132および抑制粒子134を液体に添加して溶液を生成する。金属粒子132および抑制粒子134は溶液に充分溶解しなくてもよく、溶液は懸濁液であってもよい。あるいは、金属粒子132および抑制粒子134が液体に充分に溶解されてもよい。
次に、溶液から上記液体を蒸発させて金属粒子132および抑制粒子134の粉末を抽出する。その後、媒体Mに粉末を混合してペーストを生成する。例えば、媒体Mとしてアルコールが用いられる。一例として、好適な媒体Mとしてエチレングリコールが挙げられる。
なお、ペーストを生成する際には、上記粉末の混合された媒体Mを充分に撹拌することが好ましい。例えば、撹拌は、5分から2時間にわたって行うことが好ましい。
図2(d)に示すように、粒子含有物Sを介して第1接合対象物110および第2接合対象物120を積層させた積層体Lを形成する。例えば、積層体Lは、第1接合対象物110の表面に粒子含有物Sを付着させた後、粒子含有物Sを介して第1接合対象物110と対向するように第2接合対象物120を配置してもよい。あるいは、粒子含有物Sは第2接合対象物120の表面に付着させてもよい。また、積層体Lは、予め所定の間隔だけ離れて主面が対向するように配置された第1接合対象物110と第2接合対象物120との間に粒子含有物Sを注入することによって形成されてもよい。
図2(e)に示すように、積層体Lを加熱することにより、第1接合対象物110と第2接合対象物120とを接合する接合層130を粒子含有物Sから形成する。積層体Lが加熱されると、接合層130が焼結し、接合層130が形成される。
例えば、加熱温度は、150℃以上300℃以下であり、より好ましくは、200℃以上250℃以下である。典型的には、加熱温度は媒体Mの沸点よりも高い温度である。加熱時間は、例えば、10分以上3時間以下であることが好ましく、20分以上2時間以下であることがさらに好ましく、30分以上1時間以下であることがさらに好ましい。
加熱により、粒子含有物Sの媒体Mを気化させるとともに、粒子含有物S内の金属粒子132が多孔体構造を形成する。これにより、第1接合対象物110と第2接合対象物120とを接合する接合層130が形成される。
なお、接合層130を形成する際には、第1接合対象物110と第2接合対象物120が接合層130を介して充分な強度で接合するように、積層体Lを加熱する際に積層体Lに圧力を印加してもよい。ただし、積層体Lに圧力を印加することなく、積層体Lを加熱してもよい。
なお、第1接合対象物110のうちの接合層130と接合する接合面に膜状の金属が存在していることが好ましい。また、この金属は、接合層130内の金属粒子132を構成する金属と同じであることが好ましい。
また、第2接合対象物120のうちの接合層130と接合する接合面に膜状の金属が存在していることが好ましい。また、この金属は、接合層130内の金属粒子132を構成する金属と同じであることが好ましい。
さらに、接合対象物110、120と接合層130との間に、金属層を別途形成してもよい。
以下、図3を参照して本実施形態の接合構造体100を説明する。図3は、本実施形態の接合構造体100の模式図を示す。
図3に示した接合構造体100は、接合対象物110と接合層130との間に金属層142を備えており、また、接合対象物120と接合層130との間に金属層142を備えている点を除いて、図1を参照して上述した接合構造体100と同様の構成を有している。したがって、冗長を避けるために、重複する記載の一部を省略することがある。
本実施形態の接合構造体100では、接合対象物110と接合層130との間に金属層142が設けられており、接合対象物120と接合層130との間に金属層144が設けられている。
金属層142は、金属粒子132を構成する金属と同じ金属を含有することが好ましい。この場合、接合対象物110が任意の材料から形成されていても、接合対象物110を接合層130に好適に接着させることができる。
また、金属層144は、金属粒子132を構成する金属と同じ金属を含有することが好ましい。この場合、接合対象物120が任意の材料から形成されていても、接合対象物120を接合層130に好適に接着させることができる。
なお、接合層と接触する金属層を構成する金属が接合層内の金属粒子を構成する金属と同じである場合、接合層が抑制粒子を含有しなければ、接合層内の金属粒子が結晶成長して肥大化するとともに金属層内の金属が接合層内に拡散してしまい、金属層の強度が低下することがある。
これに対して、本実施形態の接合構造体100では、接合層130は金属粒子132とともに抑制粒子134を含有しているため、接合層130内の金属粒子132の結晶成長および肥大化を抑制できる。したがって、金属層142、144から接合層130に向かう金属の拡散を抑制し、結果として、金属層142、144の強度の低下を抑制できる。
なお、金属層142は積層構造を有してもよい。例えば、金属層142は、第1接合対象物110の主面と直接接触する下地膜と、上記下地膜を覆う導電膜とを有してもよい。例えば、下地膜は、ニッケルおよび/またはパラジウムを含有する。また、導電膜は、接合層130内の金属粒子132を構成する金属と同じ金属を含む。
同様に、金属層144は積層構造を有してもよい。例えば、金属層142は、第1接合対象物110の主面と直接接触する下地膜と、上記下地膜を覆う導電膜とを有してもよい。例えば、下地膜は、ニッケルおよび/またはパラジウムを含有する。また、導電膜は、接合層130内の金属粒子132を構成する金属と同じ金属を含む。
以上のように、第1接合対象物110と接合層130との間に金属層142が存在し、第2接合対象物120と接合層130との間に金属層144が存在するため、接合層130と金属層142、144とがより強く結合することになり、接合構造体100の接合強度を増大させることができる。
なお、接合対象物110および金属層142の材料として、金属層142の熱膨張率が接合対象物110の熱膨張率よりも大きく、両者の熱膨張率の差が大きくなるような材料を選択することにより、金属層142においてストレスマイグレーションを発生させて、接合層130と金属層142との間の接合を実現してもよい。ストレスマイグレーションとは、異なる熱膨張率を有する材料を接触させた状態で温度が変化した場合に、温度変化に伴う熱膨張の違いから材料内部に応力勾配が生じた結果、熱膨張率の高い材料の元素が移動する現象である。
本実施形態の接合構造体100は、このようなストレスマイグレーションを敢えて利用することにより、良好な接合を実現できる。具体的には、熱膨張率の差が大きい2種類の材料を接触させた状態で温度を変化させると、金属層142に応力勾配が発生する。この勾配によりストレスマイグレーションが生じて、金属層142の金属が表面から溢れ出すように拡散する。金属層142の金属が拡散すると、金属は、接合層130と金属層142との界面、又は、金属層142の内部の界面の凹凸の空隙を埋めて一体化し、金属層142によって接合対象物110と接合層130とが良好に接合される。なお、ストレスマイグレーションの発生は、接合断面を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)などの装置を用いて撮影することで確認できる。また、接合部形成においては、接合雰囲気中の表面反応により、ナノ粒子やアモルファス状ナノ組織を形成させ、接合ネッキングの成長を促進させることもできる。
なお、金属層142と同様に、金属層144においてもストレスマイグレーションを発生させて、接合層130と金属層144との間の接合を実現してもよい。
図3に示した接合構造体100は以下のように製造できる。以下、図4を参照して、本実施形態の接合構造体100の製造方法を説明する。
図4(a)に示すように、主面に金属層142の設けられた接合対象物110を用意する。例えば、接合対象物110を用意し、接合対象物110の主面に金属層142を形成してもよい。一例として、金属層142はメッキ処理によって形成される。あるいは、金属層142は、スパッタリングによって形成されてもよい。
図4(b)に示すように、主面に金属層144の設けられた接合対象物120を用意する。例えば、接合対象物120を用意し、接合対象物120の主面に金属層144を形成する。一例として、金属層144はメッキ処理によって形成される。あるいは、金属層144は、スパッタリングによって形成されてもよい。
図4(c)に示すように、媒体Mに金属粒子132および抑制粒子134を添加した粒子含有物Sを生成する。金属粒子132は、例えば、銀、銅、ニッケルまたは亜鉛を含む粒子である。抑制粒子134は、セラミックスまたは金属間化合物を含有する粒子である。
図4(d)に示すように、粒子含有物Sを介して、第1接合対象物110および第2接合対象物120を積層させた積層体Lを形成する。例えば、積層体Lは、第1接合対象物110の表面に粒子含有物Sを付着させた後、粒子含有物Sを介して第1接合対象物110と対向するように第2接合対象物120を配置してもよい。あるいは、積層体Lは、予め所定の間隔だけ離れて主面が対向するように配置された第1接合対象物110と第2接合対象物120との間に粒子含有物Sを注入してもよい。
図4(e)に示すように、積層体Lを加熱することにより、第1接合対象物110と第2接合対象物120とを接合する接合層130を粒子含有物Sから形成する。例えば、加熱温度は、150℃以上300℃以下であり、より好ましくは、200℃以上250℃以下である。
なお、図3および図4を参照した上述の説明では、第1接合対象物110および第2接合対象物120の対向する2つの主面に金属層142、144が設けられており、第1接合対象物110および第2接合対象物120は、金属層142、接合層130および金属層144を介して接合されていたが、本発明はこれに限定されない。第1接合対象物110および第2接合対象物120の対向する2つの主面のうちの一方に、金属層142、144の一方が設けられており、第1接合対象物110および第2接合対象物120は、接合層130および金属層142または金属層144を介して接合されてもよい。
[加熱時間に伴う金属粒子の構造の変化]
以下のようにして、加熱時間に伴う金属粒子の構造の変化を測定した。
(粒子含有物aの作製)
100質量部のフレーク状の銀粒子(福田金属箔粉工業株式会社製、製品名「AgC−239」)、および、2質量部のSiC粒子(Superior Graphite社製、製品名「HSC059」)を100mlのエタノール液に一部溶かした。銀粒子は、メディアン径6.0μmおよび厚さ260mmであり、比表面積は5.0m2/gであった。SiC粒子は、メディアン径0.6μmの多角形状であった。生成した懸濁液を10分間撹拌し、超音波処理を30分間行った。
その後、50℃で5時間放置することにより、懸濁液からエタノール液を充分に気化させて乾燥させて粉末を取り出した。この粉末をエチレングリコールに混合し、10分間撹拌してペーストを生成した。ペーストの粘度は300±100Pa・Sであった。以上のようにして、ペースト状の粒子含有物aを作製した。
(焼結体aの作製)
長さ76mm、幅26mmのガラス基板に、長さ76mm、幅3mmおよび厚さ0.04mmのシート状になるように粒子含有物aを塗布した。その後、粒子含有物aをホットプレート上で大気中において250℃30分間加熱して粒子含有物aを焼結させた後、温度を室温まで低下させて焼結体aを複数作製した。なお、説明するまでなく、焼結体aは、実施例の接合構造体の接合層に相当するものである。
(撮像)
電界放出形走査電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製、製品名「SU8200」)を用いて1つの焼結体aを撮像した。また、別の焼結体aを250℃で50時間、100時間、200時間それぞれ加熱して同様に撮像した。また、別の焼結体aの加熱温度を250℃から200℃に変更して50時間、100時間、200時間それぞれ加熱して同様に撮像した。さらに別の焼結体aの加熱温度を250℃から150℃に変更して50時間、100時間、200時間それぞれ加熱して同様に撮像した。
また、比較のために、エタノール液にSiC粒子を添加しなかったことを除いて、粒子含有物aと同様にペースト状の粒子含有物hを作製した。また、粒子含有物hから、焼結体aと同様に焼結体hを複数作製し、焼結体aと同様に焼結体hを撮像した。また、別の焼結体hを250℃で50時間、100時間、200時間それぞれ加熱して同様に撮像した。
図5(a)〜図5(d)は比較のための焼結体hの写真を示す図である。図5(a)は、加熱しなかった焼結体hの写真を示す図であり、図5(b)は、50時間加熱した焼結体hの写真を示す図であり、図5(c)は、100時間加熱した焼結体hの写真を示す図であり、図5(d)は、200時間加熱した焼結体hの写真を示す図である。
図5(a)〜図5(d)から明らかなように、焼結体hが抑制粒子を含有しない場合、加熱時間の増加とともに焼結体h内の銀粒子の粒径が大きくなった。
図6(a)〜図6(d)は、実施例の接合構造体における接合層に相当する焼結体の写真を示す図である。図6(a)は、加熱前の焼結体aの写真を示す図であり、図6(b)は、50時間加熱した後の焼結体aの写真を示す図であり、図6(c)は、100時間加熱した後の焼結体aの写真を示す図であり、図6(d)は、200時間加熱した後の焼結体aの写真を示す図である。
図6(a)〜図6(d)から明らかなように、焼結体aが銀粒子とともにSiC粒子を含有する場合、加熱時間が増加しても、焼結体a内の銀粒子の粒径はほとんど変化しなかった。
図7(a)は、比較のための焼結体hにおける銀粒子の平均粒径増加量の加熱時間変化を示すグラフである。なお、銀粒子の粒径増加量は、撮像した銀粒子の粒径を粒子含有物hの作製時に添加した銀粒子の平均粒径と比較して求めた。
図7(a)のグラフにおいて、線T1は、加熱温度が150℃の場合の銀粒子の粒径増加量の加熱時間変化を示し、線T2は、加熱温度が200℃の場合の銀粒子の粒径増加量の加熱時間変化を示し、線T3は、加熱温度が250℃の場合の銀粒子の粒径増加量の加熱時間変化を示す。
図7(a)のグラフから理解されるように、加熱温度が150℃および200℃の場合、加熱時間が変化しても粒径増加量はほとんど変動しなかった。一方、加熱温度が250℃の場合、加熱時間が長くなるほど、粒径増加量は著しく増大した。
図7(b)は、実施例の接合構造体における接合層に相当する焼結体における銀粒子の平均粒径増加量の加熱時間変化を示すグラフである。なお、銀粒子の粒径増加量は、撮像した銀粒子の粒径を粒子含有物aの作製時に添加した銀粒子の平均粒径と比較して求めた。
図7(b)のグラフにおいて、線T1は、加熱温度が150℃の場合の銀粒子の粒径増加量の加熱時間変化を示し、線T2は、加熱温度が200℃の場合の銀粒子の粒径増加量の加熱時間変化を示し、線T3は、加熱温度が250℃の場合の銀粒子の粒径増加量の加熱時間変化を示す。
図7(b)のグラフから理解されるように、加熱温度が150℃、200℃および250℃のいずれであっても、加熱時間の増加にもかかわらず粒径増加量はほとんど変動しなかった。
[接合構造体の剪断強度の測定]
以下のようにして、接合構造体の剪断強度を測定した。
(接合構造体aの作製)
厚さ0.8mmの銅板の表面に無電解Ni/Agメッキ処理を行い、その後、銅板から、長さ30mm、幅30mmおよび厚さ0.8mmの基板と、長さ3mm、幅3mmおよび厚さ0.8mmのチップとを取り出した。次に、基板の表面に粒子含有物aを塗布し、粒子含有物aの上にチップを搭載した積層体を作製した。その後、スチール製の重りを用いて、積層体に約0.4MPaの圧力を印加し、ホットプレート上で大気中において250℃30分間加熱した。以上のようにして実施例の接合構造体aを複数製造した。
(接合構造体a1の作製)
SiC粒子の添加量を2質量部から0.3質量部に変更した以外は、粒子含有物aと同様に粒子含有物a1を作製した。粒子含有物aを粒子含有物a1に変更した以外は、接合構造体aと同様に、実施例の接合構造体a1を複数作製した。
(接合構造体a2の作製)
SiC粒子の添加量を2質量部から5質量部に変更した以外は、粒子含有物aと同様に粒子含有物a2を作製した。粒子含有物aを粒子含有物a2に変更した以外は、接合構造体aと同様に、実施例の接合構造体a2を複数作製した。
(接合構造体hの作製)
粒子含有物aを粒子含有物hに変更した以外は、接合構造体aと同様に、比較例の接合構造体hを複数作製した。
(剪断試験)
接合構造体aに対して、剪断試験機(Dage社、製品名「XD−7500」)を用いて剪断試験を行った。剪断試験は、同様に作製した少なくとも5つのサンプルについて行い、それらの平均を求めた。
また、別の接合構造体aを250℃で50時間加熱して同様に剪断試験を行った。さらに別の接合構造体aを250℃で100時間加熱して同様に剪断試験を行った。さらに別の接合構造体aを250℃で200時間加熱して同様に剪断試験を行った。
また、接合構造体a1に対しても、剪断試験を行った。また、接合構造体a1を250℃で50時間、100時間および200時間それぞれ加熱して同様に剪断試験を行った。
さらには、接合構造体a2に対しても、剪断試験を行った。また、接合構造体a2を250℃で50時間、100時間および200時間それぞれ加熱して同様に剪断試験を行った。
また、接合構造体hに対しても、剪断試験を行った。また、接合構造体hを250℃で50時間、100時間および200時間それぞれ加熱して同様に剪断試験を行った。
図8は、実施例の接合構造体a、a1、a2および比較例の接合構造体hの剪断強度の加熱時間変化を示すグラフである。図8のグラフにおいて、線Cは、接合構造体hの剪断強度の加熱時間変化を示し、線S1は、接合構造体aの剪断強度の加熱時間変化を示し、線S2は、接合構造体a1の剪断強度の加熱時間変化を示し、線S3は、接合構造体a2の剪断強度の加熱時間変化を示す。
図8の線Cから明らかであるように、接合構造体hでは、接合層が金属粒子を含有したが、抑制粒子を含有しなかったため、加熱時間の増加とともに剪断強度が大きく低下した。これに対して、図8の線S1、S2、S3から明らかであるように、接合構造体a、a1、a2では、接合層が金属粒子及び抑制粒子を含有したため、加熱時間が増加した際の剪断強度の低下が抑制されていた。特に、接合構造体aでは、加熱時間が50時間のときに剪断強度が一旦低下するものの、加熱時間がさらに増加すると、剪断強度が増加し、比較的高い剪断強度を維持できた。
[SiC粒子添加量に応じた剪断強度の測定]
以下のようにして、SiC粒子の添加量に応じて剪断強度を測定した。
(接合構造体a3の作製)
接合構造体製造時の加熱時間を30分から60分間に変更した以外は、接合構造体aと同様に実施例の接合構造体a3を作製した。
(接合構造体a4の作製)
SiC粒子の添加量を2質量部から1質量部に変更した以外は、接合構造体a3と同様に実施例の接合構造体a4を作製した。
(接合構造体a5の作製)
SiC粒子の添加量を2質量部から0.3質量部に変更した以外は、接合構造体a3と同様に実施例の接合構造体a5を作製した。
(接合構造体a6の作製)
SiC粒子の添加量を2質量部から0.1質量部に変更した以外は、接合構造体a3と同様に実施例の接合構造体a6を作製した。
(接合構造体b3の作製)
SiC粒子の種類を製品名「HSC059」から製品名「HSC007」(Superior Graphite社製:メディアン径1.3μmの多角形状)に変更した以外は、接合構造体a3と同様に実施例の接合構造体b3を作製した。
(接合構造体b4の作製)
SiC粒子の添加量を2質量部から1質量部に変更した以外は、接合構造体b3と同様に実施例の接合構造体b4を作製した。
(接合構造体b5の作製)
SiC粒子の添加量を2質量部から0.3質量部に変更した以外は、接合構造体b3と同様に実施例の接合構造体b5を作製した。
(接合構造体b6の作製)
SiC粒子の添加量を2質量部から0.1質量部に変更した以外は、接合構造体b3と同様に実施例の接合構造体b6を作製した。
(接合構造体c3の作製)
SiC粒子の種類を製品名「HSC059」から製品名「SiC−35」(CEA(フランス原子力・代替エネルギー庁製):メディアン径0.035μmの球状)に変更した以外は、接合構造体a3と同様に実施例の接合構造体c3を作製した。
(接合構造体c4の作製)
SiC粒子の添加量を2質量部から1質量部に変更した以外は、接合構造体c3と同様に実施例の接合構造体c4を作製した。
(接合構造体c5の作製)
SiC粒子の添加量を2質量部から0.3質量部に変更した以外は、接合構造体c3と同様に実施例の接合構造体c5を作製した。
(接合構造体c6の作製)
SiC粒子の添加量を2質量部から0.1質量部に変更した以外は、接合構造体c3と同様に実施例の接合構造体c6を作製した。
(接合構造体h1の作製)
加熱時間を30分から60分間に変更した以外は、接合構造体hと同様に比較例の接合構造体h1を作製した。
(剪断試験)
接合構造体a3〜a6、b3〜b6、c3〜c6、h1に対して、剪断試験機(Dage社、製品名「XD−7500」)を用いて剪断試験を行った。剪断試験は、同様に作製した少なくとも5つのサンプルについて行い、それらの結果の平均を求めた。
図9(a)は接合構造体a3〜a6、b3〜b6、c3〜c6、h1の剪断強度のSiC添加量変化を示すグラフである。図9(a)のグラフにおいて、点Cは、接合構造体h1の剪断強度を示し、線S1は、接合構造体a3〜a6の剪断強度のSiC添加量変化を示し、線S2は、接合構造体b3〜b6の接合構造体の剪断強度のSiC添加量変化を示し、線S3は、接合構造体c3〜c6の剪断強度のSiC添加量変化を示す。
図9(a)の点Cから明らかであるように、接合構造体h1では、接合層が金属粒子を含有したが、抑制粒子を含有しなった場合、接合構造体h1は、比較的高い剪断強度を有していた。これに対して、図9(a)の線S1、S2、S3から明らかであるように、接合構造体a3〜a6、b3〜b6、c3〜c6では、SiC添加量が増加すると、接合構造体の剪断強度は若干低下する傾向を示した。
詳細には、SiC粒子の粒径が0.6μm、1.3μmの場合、SiC粒子添加量の変化に関わらず、接合構造体の剪断強度はあまり変化しなかった。一方、SiC粒子の粒径が0.035μmの場合、SiC粒子添加量の増加に伴い剪断強度は大きく低下した。これは、粒径の小さいSiC粒子は、撹拌したものの充分には分散されず、その結果、銀粒子の肥大化を抑制できなったからと考えられる。
[SiC粒子添加量に応じた抵抗率の測定]
以下のようにして、SiC粒子の添加量に応じて抵抗率を測定した。
(焼結体a3の作製)
焼結体作製時の加熱時間を30分から60分間に変更した以外は、焼結体aと同様に焼結体a3を作製した。
(焼結体a4の作製)
SiC粒子の添加量を2質量部から1質量部に変更した以外は、焼結体a3と同様に焼結体a4を作製した。
(焼結体a5の作製)
SiC粒子の添加量を2質量部から0.3質量部に変更した以外は、焼結体a3と同様に焼結体a5を作製した。
(焼結体a6の作製)
SiC粒子の添加量を2質量部から0.1質量部に変更した以外は、焼結体a3と同様に焼結体a6を作製した。
(焼結体a7の作製)
SiC粒子の添加量を2質量部から5質量部に変更した以外は、焼結体a3と同様に焼結体a7を作製した。
(焼結体b3の作製)
SiC粒子の種類を製品名「HSC059」から製品名「HSC007」(Superior Graphite社製:メディアン径1.3μmの多角形状:比表面積14−18.5)に変更した以外は、焼結体a3と同様に焼結体b3を作製した。
(焼結体b4の作製)
SiC粒子の添加量を2質量部から1質量部に変更した以外は、焼結体b3と同様に焼結体b4を作製した。
(焼結体b5の作製)
SiC粒子の添加量を2質量部から0.3質量部に変更した以外は、焼結体b3と同様に焼結体b5を作製した。
(焼結体b6の作製)
SiC粒子の添加量を2質量部から0.1質量部に変更した以外は、焼結体b3と同様に焼結体b6を作製した。
(焼結体b7の作製)
SiC粒子の添加量を2質量部から5質量部に変更した以外は、焼結体b3と同様に焼結体b7を作製した。
(焼結体c3の作製)
SiC粒子の種類を製品名「HSC059」から製品名「SiC−35」(CEA(フランス原子力・代替エネルギー庁製):メディアン径0.035μmの球状)に変更した以外は、焼結体a3と同様に焼結体c3を作製した。
(焼結体c4の作製)
SiC粒子の添加量を2質量部から1質量部に変更した以外は、焼結体c3と同様に焼結体c4を作製した。
(焼結体c5の作製)
SiC粒子の添加量を2質量部から0.3質量部に変更した以外は、焼結体c3と同様に焼結体c5を作製した。
(焼結体c6の作製)
SiC粒子の添加量を2質量部から0.1質量部に変更した以外は、焼結体c3と同様に焼結体c6を作製した。
(焼結体c7の作製)
SiC粒子の添加量を2質量部から5質量部に変更した以外は、焼結体c3と同様に焼結体c7を作製した。
(焼結体h1の作製)
加熱時間を30分から60分間に変更した以外は、焼結体hと同様に比較のための焼結体h1を作製した。
(電気抵抗率の測定)
抵抗率計(株式会社三菱アナリテック社製、製品名「Loresta−GP」)を用いて焼結体a3〜a7、b3〜b7、c3〜c7、h1の抵抗率をそれぞれ測定した。
図9(b)は焼結体a3〜a6、b3〜b6、c3〜c6、h1の抵抗率のSiC添加量変化を示すグラフである。図9(b)のグラフにおいて、点Cは、焼結体h1の抵抗率を示し、線S1は、焼結体a3〜a7の抵抗率のSiC添加量変化を示し、線S2は、焼結体b3〜b7の抵抗率のSiC添加量変化を示し、線S3は、焼結体c3〜c7の抵抗率のSiC添加量変化を示す。
図9(b)の点Cから明らかであるように、焼結体h1では、接合層が金属粒子を含有していたが、抑制粒子を含有していなかった。焼結体h1は、比較的低い抵抗率を示した。これに対して、図9(a)の線S1、S2、S3から明らかであるように、焼結体a3〜a7、b3〜b7、c3〜c7では、SiC添加量が増加すると、焼結体の剪断強度は若干増加する傾向を示した。
詳細には、SiC粒子の粒径が0.6μm、1.3μmの場合は、SiC粒子添加量が増加しても、焼結体の抵抗率はほとんど変化しなかった。一方、SiC粒子の粒径が0.035μmの場合、SiC粒子添加量の増加に伴い焼結体の抵抗率は著しく増加した。これは、粒径の小さいSiC粒子は、単純に撹拌したのみでは、充分に分散されず、その結果、銀粒子の肥大化を抑制できなったからと考えられる。
本発明によれば、高温環境下に長時間曝されても、接合強度の低下が抑制される。
100 接合構造体
110 第1接合対象物
120 第2接合対象物
130 接合層
132 金属粒子
134 抑制粒子
136 ミクロポア

Claims (14)

  1. 第1接合対象物と、
    第2接合対象物と、
    前記第1接合対象物と前記第2接合対象物とを接合する接合層と
    を備える、接合構造体であって、
    前記第1接合対象物および前記第2接合対象物のいずれか一方はパワー半導体チップであり、
    前記接合層は、金属粒子と、前記金属粒子の結晶成長を抑制する抑制粒子とを含有し、
    前記抑制粒子は、セラミックスまたは金属間化合物を含有する、接合構造体。
  2. 前記金属粒子は多孔体構造を有する、請求項1に記載の接合構造体。
  3. 前記パワー半導体チップは、SiCまたはGaNを含有する、請求項1または2に記載の接合構造体。
  4. 前記抑制粒子の平均粒径は、前記金属粒子の平均粒径よりも小さい、請求項1から3のいずれかに記載の接合構造体。
  5. 前記金属粒子は銀粒子を含む、請求項1から4のいずれかに記載の接合構造体。
  6. 前記抑制粒子は炭化ケイ素粒子を含む、請求項1から5のいずれかに記載の接合構造体。
  7. 前記接合層において、前記金属粒子の含有量に対する前記抑制粒子の含有量の比率は0.05質量%以上2.5質量%以下である、請求項1から6のいずれかに記載の接合構造体。
  8. 前記第1接合対象物および前記第2接合対象物のうちの少なくとも一方の表面に設けられた金属層をさらに備える、請求項1から7のいずれかに記載の接合構造体。
  9. 前記金属層は、前記金属粒子を構成する金属と同じ金属を含む、請求項8に記載の接合構造体。
  10. 第1接合対象物を用意する工程と、
    第2接合対象物を用意する工程と、
    媒体に金属粒子および抑制粒子を添加した粒子含有物を生成する工程と、
    前記粒子含有物を介して前記第1接合対象物および前記第2接合対象物を積層させた積層体を形成する工程と、
    前記積層体を加熱することにより、前記抑制粒子が前記金属粒子の結晶成長を抑制し、前記第1接合対象物と前記第2接合対象物とを接合する接合層を前記粒子含有物から形成する工程と
    を包含し、
    前記第1接合対象物および前記第2接合対象物のいずれか一方はパワー半導体チップであり、
    前記抑制粒子は、セラミックスまたは金属間化合物を含有する、接合構造体の製造方法。
  11. 前記粒子含有物を生成する工程は、
    前記金属粒子および前記抑制粒子を液体に添加して溶液を生成する工程と、
    前記溶液から前記液体を蒸発させて前記金属粒子および前記抑制粒子の粉末を抽出する工程と、
    前記媒体に前記粉末を混合してペーストを生成する工程と
    を含む、請求項10に記載の接合構造体の製造方法。
  12. 前記ペーストを生成する工程において、前記粉末の混合された前記媒体を撹拌する、請求項11に記載の接合構造体の製造方法。
  13. 前記第1接合対象物および前記第2接合対象物のうちの少なくとも一方の表面に、金属層を形成する工程をさらに包含する、請求項10から12のいずれかに記載の接合構造体の製造方法。
  14. 前記金属層を形成する工程において、前記金属層は、前記金属粒子を構成する金属と同じ金属を含む、請求項13に記載の接合構造体の製造方法。
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