以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
本実施形態に係るタッチパネル装置は、屈曲可能なタッチパネル装置である。そして、前記タッチパネル装置10は、図1に示すように、第1透明基材11と、前記第1透明基材11上に配置される透明電極層12と、前記透明電極層12上に配置される第2透明基材13とを備える。また、タッチパネル装置は、第2透明基材13上に、表面部材14を備えていてもよい。図1は、本実施形態に係るタッチパネル装置10の構成を示す概略図である。
また、前記透明電極層12は、図2及び図3に示すように、前記第1透明基材11上に配置され、前記第1透明基材11とは反対側(前記第2透明基材13側)に突出した凸部21を有する。また、前記第2透明基材13は、前記透明電極層12上に配置され、前記凸部21に相当する位置に穴31を有する。すなわち、タッチパネル装置10は、上述したように、前記透明電極層12の、前記第2透明基材13側に突出した凸部21の位置に相当する位置に穴31を有する第2透明基材13で、前記透明電極層12を覆う。このようなタッチパネルの構造は、折り曲げ耐性、すなわち、耐折性が高くなる構造であると考えられる。図2は、本実施形態に係るタッチパネル装置10における、透明電極層12の構造を示す概略図である。なお、図2には、第2透明基材13及び表面部材14を図示していない。また、図3は、本実施形態に係るタッチパネル装置10の断面図である。なお、図3は、図2において、切断線面III−IIIから見た断面図である。
また、前記凸部21としては、例えば、いわゆるブリッジ電極とよばれる接続部が挙げられる。具体的には、以下のような接続部である。前記透明電極層12としては、図2に示すように、第1方向に並ぶ複数の第1電極22と、前記第1方向に交差する第2方向に並ぶ複数の第2電極23と備えるものが挙げられる。このような電極を備える透明電極層12は、前記第1方向において隣り合う前記第1電極22を接続する第1接続部24と、前記第2方向において隣り合う前記第2電極23を接続する第2接続部25とを備える。前記第2接続部25は、図3に示すように、前記穴31を挿通し、前記第1接続部24上に位置する前記第2透明基材13aを介して前記第1接続部24と交差するように配置する。そうすることによって、前記第2接続部25は、前記第2方向において隣り合う前記第2電極23を接続する。そして、この第2接続部25は、前記第1透明基材11とは反対側に突出しており、凸部21に相当する。このようなタッチパネルの構造は、折り曲げ耐性、すなわち、耐折性がより高くなる構造であると考えられる。
また、前記透明電極層12には、前記第1電極22及び前記第2電極23に接続された配線27を備える。タッチパネル装置を、指等で押下した際の、前記第1電極22と前記第2電極23との間の静電容量の変化等に基づく変化を、前記配線27を通して出力する。この出力結果に基づいて、タッチパネル装置は、位置情報を入力する。
また、前記表面部材14は、タッチパネル装置10の表面を保護するために設けられている。前記表面部材14としては、屈曲可能なものであれば、特に限定されない。前記第1透明基材11としては、透光性の樹脂フィルム等が挙げられ、具体的には、ポリカーボネート(PC)フィルム、及びメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)フィルム等が挙げられる。
また、前記第1透明基材11は、屈曲可能なものであれば、特に限定されない。前記第1透明基材11としては、透光性の樹脂フィルム等が挙げられ、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、及びポリカーボネート(PC)フィルム等が挙げられる。また、前記第1透明基材11としては、後述する第2透明基材13と同じものも使用することができる。すなわち、前記第1透明基材11としては、穴が形成されていないこと以外、前記第2透明基材と同じものを使用することができる。
また、前記透明電極層12は、屈曲可能で、上記のような構造を有し、さらに、タッチパネル装置の電極層として使用可能なものであれば、特に限定されない。前記透明電極層12としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、SnO2、及びZnO等の透明導電材料、銀ナノワイヤー、及び銅線等が挙げられる。前記第1電極22、前記第2電極23、前記第1接続部24、及び前記第2接続部25としては、上記各材料をそれぞれ適宜選択してもよい。また、前記透明電極層12としては、屈曲性の観点から、銀ナノワイヤー、及び銅線が好ましい。
また、前記第2透明基材13は、線膨張率(Coefficient of Thermal Expansion:CTE)が、10〜60ppm/℃であり、ガラス転移温度(Tg)が、148〜580℃であれば、特に限定されない。また、前記第2透明基材13として、このような条件を満たすものを用いると、屈曲可能で、耐折性に優れたタッチパネル装置が得られる。このことは、このような構成の第2透明基材であれば、屈曲を可能とする柔軟性を有しつつ、前記凸部に相当する位置に、例えば、180℃以上に加熱した針等を刺して、穴をあけると、好適な穴を形成することができるようなものであることによると考えられる。よって、得られたタッチパネル装置は、屈曲可能で、かつ、耐折性が高くなるような構造を好適に実現できると考えられる。
また、前記第2透明基材13は、線膨張率が、上述したように、10〜60ppm/℃であり、10〜59ppm/℃であることが好ましく、25〜55ppm/℃であることがより好ましく、40〜52ppm/℃であることがさらに好ましい。前記線膨張率が低すぎても、高すぎても、前記凸部に相当する位置に、例えば、180℃以上に加熱した針等を刺して、好適な穴を形成することが困難になる傾向がある。具体的には、前記線膨張率が低すぎると、形成された穴の周辺が割れてしまう傾向がある。これは、第2透明基材が硬くなりすぎる傾向があることによると考えられる。また、前記線膨張率が低すぎると、第2透明基材が硬くなりすぎ、柔軟性が低下する傾向がある。よって、屈曲がしにくくなる傾向がある。また、前記線膨張率が高すぎると、穴を形成するための、加熱した針を刺すと、穴が形成されても、その針を抜いた後、形成された穴が、再び埋まってしまう傾向がある。よって、前記線膨張率が上記範囲内であると、第2透明基材が、屈曲を可能とする柔軟性を有しつつ、前記凸部に相当する位置に、180℃以上に加熱した針等を刺して、穴をあけると、好適な穴を形成することができるものになると考えられる。よって、タッチパネル装置において、耐折性に優れる構造を好適に実現できる。
なお、ここでの線膨張率は、例えば、面内の長手方向の線膨張率と、面内の幅手方向の線膨張率との平均値等が挙げられる。ここで、幅手方向とは、第2透明基材の面内において前記凸部を渡す方向であり、長手方向とは幅手方向に直交する方向である。面内の長手方向の線膨張率、及び面内の幅手方向の線膨張率は、例えば、熱機械分析法(TMA法、Thermo−mechanical analysis)により測定することができる。
また、前記第2透明基材13は、ガラス転移温度が、上述したように、148〜580℃であり、155〜320℃であることが好ましく、159〜169℃であることがより好ましい。前記ガラス転移温度が低すぎても、高すぎても、前記凸部に相当する位置に、例えば、180℃以上に加熱した針等を刺して、好適な穴を形成することが困難になる傾向がある。具体的には、前記ガラス転移温度が低すぎると、穴を形成するための、加熱した針を刺すと、穴が形成されても、その針を抜いた後、形成された穴が、再び埋まってしまう傾向がある。また、前記ガラス転移温度が高すぎると、形成された穴の周辺が割れてしまう傾向がある。これは、第2透明基材が硬くなりすぎる傾向があることによると考えられる。また、前記線膨張率が低すぎると、第2透明基材が硬くなりすぎ、柔軟性が低下する傾向がある。よって、屈曲がしにくくなる傾向がある。よって、前記ガラス転移温度が上記範囲内であると、第2透明基材が、屈曲を可能とする柔軟性を有しつつ、前記凸部に相当する位置に、180℃以上に加熱した針等を刺して、穴をあけると、好適な穴を形成することができるものになると考えられる。よって、タッチパネル装置において、耐折性に優れる構造を好適に実現できる。
なお、ここでのガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量測定(DSC)法や示差熱分析(DTA)法等により測定することができる。
前記第2透明基材13は、屈曲可能である。そして、前記第2透明基材13の屈曲を繰り返した際の耐久性として、前記第2透明基材13は、例えば、耐折試験での耐折回数が10万回以上である耐久性を有することが好ましい。また、耐折回数は、多いほど好ましいが、実際には、30万回程度が限界である。よって、耐折試験での耐折回数の上限値は、30万回である。すなわち、前記第2透明基材13は、耐折試験での耐折回数が10万回以上であることが好ましく、15〜30万回であることがより好ましく、25〜30万回であることがさらに好ましい。前記耐折回数が少なすぎると、タッチパネル装置の耐折性が不充分になる傾向がある。このことは、タッチパネル装置の長期反復使用により、基材にひびや割れが発生することによると考えられる。よって、前記耐折回数が上記範囲内であれば、耐折性に優れたタッチパネル装置が得られる。
なお、耐折回数は、屈曲を繰り返す耐折試験を行ったとき、測定対象物である第2透明基材が、大きく変形して破断する延性破壊を起こしたときの屈曲回数である。また、耐折試験は、例えば、MIT型耐折試験機(株式会社東洋精機製作所社製の、MIT TYPE FOLDING ENDURANCE TESTER)を用い、温度23℃、湿度55%RHの環境下で、折り曲げ速度175回/分、屈曲角左右135°、荷重0.5kgf(4.9N)、曲率半径2mmの条件で、屈曲を繰り返す試験等が挙げられる。すなわち、耐折試験での耐折回数としては、このような耐折試験を繰り返して、延性破壊を起こしたときの回数が挙げられる。
また、第2透明基材13は、上述した各条件を満たすものであれば、特に限定されない。上記条件を満たすために、第2透明基材13は、その組成や厚み等を調整して得られたもの等が挙げられる。
前記第2透明基材13の厚みは、9〜25μmであることが好ましく、13〜21μmであることがより好ましく、15〜18μmであることがさらに好ましい。前記第2透明基材が薄すぎても、厚すぎても、第2透明基材の屈曲を繰り返すと、第2透明基材が損傷してしまう傾向がある。具体的には、前記第2透明基材が薄すぎると、屈曲を繰り返した際、例えば、前記耐折試験を10万回行った際の第2透明基材の、前記穴の周辺が割れてしまう傾向がある。また、前記第2透明基材が厚すぎると、屈曲を繰り返した際、例えば、前記耐折試験を10万回行った際、第2透明基材が破断してしまう傾向がある。これらのことから、前記厚みが上記範囲内であると、第2透明基材が、前記穴が形成されていても、耐折性に優れた第2透明基材となると考えられる。よって、耐折性により優れたタッチパネル装置が得られる。
また、前記第2透明基材13としては、例えば、セルロースエステル樹脂を含有する樹脂フィルム、及びポリイミドを含む樹脂フィルム等が挙げられる。また、前記第2透明基材13としては、セルロースエステル樹脂もポリイミドも含む樹脂フィルムであってもよい。
まず、セルロースエステル樹脂を含有する樹脂フィルムとしては、例えば、セルロースエステル樹脂と添加剤とを含有するものが挙げられる。前記第2透明基材13としては、セルロースエステル樹脂を主成分とするセルロースエステルフィルムが挙げられ、樹脂成分としては、セルロースエステル樹脂からなる樹脂フィルムであってもよい。ここで、主成分とは、フィルム全量に対する含有量が50質量%以上のことをいう。そして、本実施形態における前記第2透明基材13は、セルロースエステルフィルムに、後述する添加剤を含有したものが挙げられる。
前記セルロースエステル樹脂としては、樹脂フィルムに用いることができるセルロースエステル樹脂であれば、特に限定されない。また、前記セルロースエステル樹脂としては、例えば、セルロースアセテート樹脂、セルロースジアセテート樹脂、セルローストリアセテート樹脂、セルロースブチレート樹脂、セルロースプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、及びセルロースアセテートプロピオネート樹脂等が挙げられる。前記セルロースアセテート樹脂は、上記例示した樹脂の中でも、セルローストリアセテート樹脂が好ましい。また、前記セルロースエステル樹脂は、上記例示した樹脂を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記セルロースエステル樹脂の数平均分子量は、30000〜200000であることが、樹脂フィルムに成型した場合の機械的強度が強く、かつ、溶液流延製膜法において適度なドープ粘度となる点で好ましい。また、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が、1〜5の範囲内であることが好ましく、1.4〜3の範囲内であることがより好ましい。
前記セルロースエステル樹脂等の樹脂の平均分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィーを用い測定できる。よって、これらを用いて数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を算出し、その比を計算することができる。
前記セルロースエステル樹脂は、置換基として、アシル基、具体的には、炭素数が2〜4のアシル基、例えば、アセチル基を有しているものが好ましい。このアシル基の置換度(アシル置換度)としては、例えば、2.9以上であることが好ましい。すなわち、アシル基の置換度が2.9〜3であることが好ましい。また、前記セルロースエステル樹脂としては、具体的には、アセチル基の置換度(アセチル置換度)が2.9以上(2.9〜3)のトリアセチルセルロースが、リタデーションの低い樹脂フィルムが得られる点で好ましい。なお、各置換度は、一般的に、平均置換度を指す。さらに、前記樹脂フィルムに対する、前記アセチル置換度が2.9以上のTACの含有量は、96〜100質量%であることが好ましく、98〜100質量%であることがより好ましく、99〜100質量%であることがさらに好ましい。アセチル置換度が2.9以上のTACの含有量を高くすることで、リタデーションが低く、かつ他の添加剤との相溶不良による透明度の低下や、靱性の劣化を抑制した樹脂フィルムにすることができる。
アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。これらのセルロースエステル樹脂は、公知の方法で合成することができる。アシル基の置換度の測定方法は、ASTM−D817−96の規定に準じて測定することができる。
前記セルロースエステル樹脂以外の樹脂は、セルロースエステル樹脂とともに含有させて、樹脂フィルムを構成することができる樹脂であれば、特に限定されない。このセルロースエステル樹脂以外の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、及びポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等のアクリル樹脂、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、セロファン、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、シンジオタクティックポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂、及びポリメチルペンテン樹脂等のビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンイミド樹脂、ポリアミド樹脂、及びフッ素樹脂等を挙げることができる。
まず、ポリイミドを含有する樹脂フィルムとしては、例えば、ポリイミドと添加剤とを含有するものが挙げられる。前記第2透明基材13としては、ポリイミドを主成分とするポリイミドフィルムが挙げられ、樹脂成分としては、ポリイミドからなる樹脂フィルムであってもよい。ここで、主成分とは、フィルム全量に対する含有量が50質量%以上のことをいう。そして、本実施形態における前記第2透明基材13は、ポリイミドフィルムに、後述する添加剤を含有したものが挙げられる。
前記添加剤は、後述する(A)〜(D)成分等が挙げられる。前記添加剤としては、(A)〜(D)成分を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記(A)成分は、炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸及び炭素数6〜12のアリールジカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種に由来のジカルボン酸単位と、炭素数2〜12のアルキレングリコール、炭素数6〜12のアリールグリコール、及び炭素数4〜12のオキシアルキレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種に由来のジオール単位とを有するエステル化合物である。このエステル化合物は、ジカルボン酸とジオールとを反応させて得られる繰り返し単位、具体的には、前記ジカルボン酸単位(カルボン酸残基)と前記ジオール単位(アルコール残基)とを含むエステル化合物である。また、このエステル化合物は、片末端又は両末端が、封止されていてもよいし、封止されていなくてもよい。また、この(A)成分としては、例えば、下記式(I)で表される化合物が挙げられる。
B−(G−A)n−G−B (I)
式(I)中、Bは、水酸基、酢酸基、脂肪族モノカルボン酸残基、又は芳香族モノカルボン酸残基を示す。Gは、炭素数2〜12のアルキレングリコール残基、炭素数6〜12のアリールグリコール残基、又は炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール残基を示す。Aは、炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基、又は炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を示す。nは、1以上を示す。なお、Aは、前記ジカルボン酸単位(カルボン酸残基)である。Gは、前記ジオール単位(アルコール残基)である。Bは、末端基である。nは、重合度である。
前記(B)成分は、分子末端にアシル基を有するエステル化合物である。このエステル化合物としては、水酸基末端の水素原子が、モノカルボン酸由来のアシル基で置換されたポリエステル等が挙げられる。また、このエステル化合物は、脂環式骨格を含むことが好ましい。前記(B)成分の好適な具体例としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸とエチレングリコールとを反応させて得られる繰り返し単位を有するエステル化合物(シクロヘキサンジカルボン酸とエチレングリコールとの共重合体)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
また、前記(C)成分は、フラノース環及びピラノース環からなる群から選ばれる少なくとも1種を、分子内に1〜12個有する糖エステル化合物である。前記糖エステル化合物は、ピラノース構造及びフラノース構造の少なくとも1種を1〜12個有する化合物(糖類)の、ヒドロキシ基の全て又は一部がエステル化された、セルロースエステルを除くエステル化合物(糖エステル化合物)である。また、前記糖類としては、単糖であっても、糖構造が2〜12個連結した多糖であってもよい。前記(C)成分の好適な具体例としては、例えば、アセチルサッカロースが挙げられるが、これに限定されるものではない。
また、前記(D)成分は、バルビツール酸骨格を分子内に有する化合物である。また、この(D)成分としては、例えば、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数5〜20のヘテロアリール基、又は、炭素数6〜20のアリール基を示す。R3は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、又は、炭素数6〜20の芳香環を含む置換基を示す。
前記(D)成分の好適な具体例としては、例えば、下記式(2)に示す化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
また、前記樹脂フィルムは、上述したように、例えば、前記セルロースエステル樹脂からなる樹脂フィルムであってもよい。このため、前記樹脂フィルムには、前記添加剤が含有されていなくてもよい。前記添加剤を含有する場合の前記添加剤の含有量としては、前記セルロースエステル樹脂や前記ポリイミドに対して、3〜18質量%であることが好ましく、6〜16質量%であることがより好ましく、10〜12質量%であることがさらに好ましい。前記添加剤の含有量が少なすぎると、前記添加剤を添加した効果が少なくなり、フィルムの透湿度が高くなって、電極の劣化が進みやすいという傾向がある。また、前記添加剤の含有量が多くなりすぎると、相溶不良によりフィルムの透明度が低下したり、高温高湿の環境下において添加剤がブリードアウトしやすくなるという傾向がある。これらのことから、前記含有量が上記範囲内であると、第2透明基材が、屈曲を可能とする柔軟性を有しつつ、加熱した針を刺して、好適な穴を形成することができる第2透明基材となると考えられる。
また、前記第2透明基材13には、本発明の効果を阻害しない範囲で、前記セルロースエステル樹脂及び前記添加剤以外の他の成分を含有してもよい。前記添加剤以外の成分としては、例えば、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定化剤、導電性物質、難燃剤、滑剤、及びマット剤等が挙げられる。
また、前記第2透明基材13は、波長589nmにおける面内方向リタデーションが、0〜5nmであることが好ましく、0〜3nmであることがより好ましい。また、前記第2透明基材13は、波長589nmにおける厚み方向リタデーションが、−5〜5nmであることが好ましく、−3〜3nmであることがより好ましい。
前記面内方向リタデーションが大きすぎたり、前記厚み方向リタデーションが小さすぎたり、大きすぎたりすると、画像表示装置に表示される画像の色味等の画質に与える影響が大きくなる傾向がある。よって、画像表示装置によって表示される画像の画質が、タッチパネル装置によって、低下する傾向がある。このことから、前記面内方向リタデーション及び前記厚み方向リタデーションが、それぞれ上記範囲内である第2透明基材を用いれば、画質の低下を充分に抑制でき、画質の優れたタッチパネル装置が得られる。このことは、前記第2透明基材としては、面内方向リタデーション及び厚み方向リタデーションが、上述したように小さいものであるので、画像表示装置に表示される画像の色味等の画質に与える影響が少ないことによると考えられる。このことから、画質の低下を充分に抑制することができると考えられる。
また、面内方向リタデーションRe(589)は、下記式(II)から求められる。
Re(589)=(nx−ny)×d (II)
また、厚み方向リタデーションRth(589)は、下記式(III)から求められる。
Rth(589)={(nx+ny)/2−nz}×d (III)
上記式(II)及び上記式(III)ここで、nxは、フィルムの遅相軸方向の屈折率を示し、nyは、進相軸方向の屈折率を示し、nzは、厚み方向の屈折率を示し、dは、フィルムの膜厚(nm)を示す。
また、Re(589)及びRth(589)は、自動複屈折率計を用いて測定することができる。例えば、自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器株式会社製)を用いて、温度23℃、湿度55%RHの環境下で、波長589nmで求めることができる。
また、前記第2透明基材13の製造方法は、前記樹脂フィルムを製造することができれば、特に限定されない。前記樹脂フィルムの製造方法としては、例えば、溶液流延製膜法による製造方法等が挙げられる。この樹脂フィルムの製造方法としては、具体的には、前記セルロースエステル樹脂と前記微粒子とを含有する樹脂溶液を、走行する支持体上に流延ダイから流延して流延膜を形成する流延工程と、前記支持体から前記流延膜を剥離して、フィルムを得る剥離工程とを備える方法等が挙げられる。また、この溶液流延製膜法による樹脂フィルムの製造方法としては、上記各工程に加えて、他の工程を備えていてもよい。
また、前記第2透明基材13は、上述したように、前記透明電極層12の凸部21に相当する位置に穴31を有する。この穴31の形成方法としては、適切な位置に、適切な形状の穴を形成することができれば、特に限定されない。穴の形成方法としては、例えば、前記第2透明基材に、加熱した針等を刺して、第2透明基材を軟化又は溶融させながら、穴を形成する方法等が挙げられる。このように穴を形成した第2透明基材を用いて、上述したタッチパネル装置の構成となるように組み立てることによって、前記タッチパネル装置を製造することができる。このようにして得られたタッチパネル装置は、屈曲可能で、かつ、位置情報の入力を好適に行うことができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
(第2透明基材)
第2透明基材は、セルロースエステル樹脂であるセルローストリアセテート樹脂(TAC)(アセチル基の置換度2.9)を含有する樹脂フィルム(TACフィルム)である。
具体的には、セルロースエステル樹脂であるセルローストリアセテート樹脂(アセチル基の置換度2.9)100質量部に対して、メチレンクロライド380質量部及びエタノール42質量部を加えた溶液をドープとして用いて、溶液流延製膜法で、延伸させずに、厚み25μmの樹脂フィルム(TACフィルム)を得た。この樹脂フィルムを第2透明基材として用いた。
また、得られた第2透明基材の線膨張率(CTE)は、熱機械分析(TMA)装置(株式会社リガク製のTMA8310)を用いて、測定した。具体的には、まず、第2透明基材を、CTEを測定する方向の長さが20mm、その長さに直交する長さ(幅)が4mmとなるように切断した。この切断した第2透明基材を測定対象物として用い、この測定対象物に対し、50mNの引っ張り張力を負荷した状態で、5℃/分の昇温速度で30℃から200℃まで昇温した。その際に、50℃から200℃までの範囲の膨張率を測定した。このとき、面内の長手方向の線膨張率と面内の幅手方向の線膨張率とを測定した。この測定によって得られた膨張率の平均値をCTEとした。その結果、CTEは、59ppm/℃であった。
また、得られた第2透明基材のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定(DSC)装置(TA Instruments社製のQ2000)を用いて、測定した。具体的には、まず、第2透明基材を、窒素気流下で30℃から最大660℃まで、10℃/分の昇温速度で昇温して、DSC曲線を得た。そして、このDSC曲線の低温側のベースラインと、ベースラインの変曲点における接線との交点の温度を、ガラス転移温度(Tg)として得た。この測定結果であるTgは、148℃であった。
(第1透明基材及び透明電極層)
第1透明基材として、セルロースエステルフィルム(コニカミノルタ株式会社製のKC2CT1)上に、銀ナノワイヤーで、図2及び図3に示すような、ブリッジ電極を備える透明電極層を形成した。
(タッチパネル装置)
そして、第2透明基材に、180℃に加熱した穴あけ用の針を刺して、ブリッジ電極を形成するための穴(直径0.5mm)を形成した。この際、図3に示すように、ブリッジ電極1箇所につき、2つの隣接する穴をあけており、前記隣接する2つの穴は、1.5mm間隔で形成させた。さらに、前記凸部(ブリッジ電極)の間隔に合わせて、前記隣接する2つの穴の中点が、前記隣接する2つの穴を結ぶ直線の方向、及び前記直線と直交する方向のそれぞれに5mm間隔となるように形成した。
透明電極層が形成された第1透明基材と、穴を形成した第2透明基材とを用い、フレキシブルな有機ELディスプレイ(OLED方式の画像表示装置)に備えられた、図1に示すようなタッチパネル装置を、常法に従い製造した。
[実施例2〜4]
実施例2〜4は、第2透明基材として、厚みが、表1に示す値となるように製造したこと以外、実施例1と同様である。
[実施例5]
(第2透明基材)
第2透明基材は、下記式(3)に示すポリイミドを含有する樹脂フィルム(PIフィルム)である。
上記式(3)中、R1〜R3は、1つがメチル基で、2つがエチル基である。また、1分子の平均繰り返し単位数nは、86である。
具体的には、上記式(3)に示すポリイミド100質量部に対して、メチレンクロライド350質量部及びマット剤(日本アエロジル株式会社製のアエロジル R812)0.5質量部を加えた溶液をドープとして用いて、溶液流延製膜法で、延伸させずに、厚み9μmの樹脂フィルム(PIフィルム)を得た。この樹脂フィルムを第2透明基材として用いた。
また、得られた第2透明基材の線膨張率(CTE)は、10ppm/℃であった。また、得られた第2透明基材のガラス転移温度(Tg)は、320℃であった。
そして、第2透明基材として、上記のものを用いる以外、実施例1と同様である。
[実施例6〜8]
実施例6〜8は、第2透明基材として、厚みが、表1に示す値となるように製造したこと以外、実施例5と同様である。
[比較例1]
(第2透明基材)
第2透明基材は、ポリビニルピロリドンを含有する樹脂フィルム(NVPフィルム)である。
具体的には、まず、N−ビニルピロリドン(NVP)95質量部とスチレン(St)5質量部とを、重合開始剤を用いて重合させた。この重合により、NVPとStとの質量組成比が51:49の重合体(NVP−St)が得られた。得られた重合体と、ポリエーテルスルホン(PES、住友化学株式会社製のスミカエクセル4100G)とを、それぞれNVPに溶解させた。得られた2つの溶液を、NVP−StとPESとが、質量比85:15となるように、混合した。得られた混合溶液からNVPを乾燥させた。そして、乾燥により得られた組成物をプレス成形機により、240℃でプレス成形して、厚み101μmの樹脂フィルム(NVPフィルム)を得た。この樹脂フィルムを第2透明基材として用いた。
また、得られた第2透明基材の線膨張率(CTE)は、62ppm/℃であった。また、得られた第2透明基材のガラス転移温度(Tg)は、155℃であった。
そして、第2透明基材として、上記のものを用いる以外、実施例1と同様である。
[比較例2]
(第2透明基材)
第2透明基材は、アクリル樹脂を含有する樹脂フィルム(アクリルフィルム)である。
具体的には、まず、アクリル樹脂(住友化学株式会社製のスミペックスMH)100質量部に対し、紫外線吸収剤(株式会社ADEKA製のLAF70)0.9質量部と、紫外線吸収剤(ケミプロ化成株式会社製のKemisorb102)0.5質量部とを加えて、組成物を得た。この得られた組成物を、スクリュー径65mmベント付き単軸押出機で溶融混練して、得られた溶融物を設定温度260℃のTダイに供給した。そして、供給された溶融物をTダイから連続的にフィルム状に押出し、さらに、Tダイから連続的に押出されたフィルム状の溶融物を、一対の表面が平滑な金属製のロールの間に挟み込んで、成形及び冷却して、厚み25μmの樹脂フィルム(アクリルフィルム)を得た。この樹脂フィルムを第2透明基材として用いた。
また、得られた第2透明基材の線膨張率(CTE)は、57ppm/℃であった。また、得られた第2透明基材のガラス転移温度(Tg)は、103℃であった。
そして、第2透明基材として、上記のものを用いる以外、実施例1と同様である。
[比較例3]
(第2透明基材)
第2透明基材は、MgOを4質量%含むガラス組成からなるガラスフィルム(ガラスフィルム1)である。
具体的には、ガラス組成が、SiO2を71質量%、Al2O3を2質量%、MgOを4質量%、CaOを9質量%、Na2Oを13質量%、K2Oを1質量%となるように調製したガラス原料を用いて、常法に従い、厚み700μmのガラスフィルム(ガラスフィルム1)を得た。このガラスフィルムを第2透明基材として用いた。
また、得られた第2透明基材の線膨張率(CTE)は、9ppm/℃であった。また、得られた第2透明基材のガラス転移温度(Tg)は、615℃であった。
そして、第2透明基材として、上記のものを用いる以外、実施例1と同様である。
[比較例4]
(第2透明基材)
第2透明基材は、MgOを含まないガラス組成からなるガラスフィルム(ガラスフィルム2)である。
具体的には、ガラス組成が、SiO2を51質量%、Al2O3を10質量%、B2O3を13質量%、BaOを24質量%、Sb2O3を2質量%となるように調製したガラス原料を用いて、常法に従い、厚み100μmのガラスフィルム(ガラスフィルム2)を得た。このガラスフィルムを第2透明基材として用いた。
また、得られた第2透明基材の線膨張率(CTE)は、5ppm/℃であった。また、得られた第2透明基材のガラス転移温度(Tg)は、580℃であった。
そして、第2透明基材として、上記のものを用いる以外、実施例1と同様である。
[比較例5]
比較例5は、下記樹脂フィルムを第2透明基材として用いて製造したこと以外、実施例1と同様である。
(第2透明基材)
セルロースエステル樹脂であるセルローストリアセテート樹脂(アセチル基の置換度2.8)100質量部に対して、酢酸ビニル(VA)2質量部、メチレンクロライド390質量部及びエタノール44質量部を加えた溶液をドープとして用いて、溶液流延製膜法で、延伸させずに、厚み25μmの樹脂フィルム[TAC(VA含有)フィルム]を得た。この樹脂フィルムを第2透明基材として用いた。
また、得られた第2透明基材の線膨張率(CTE)は、63ppm/℃であった。また、得られた第2透明基材のガラス転移温度(Tg)は、148℃であった。
[比較例6]
比較例6は、下記樹脂フィルムを第2透明基材として用いて製造したこと以外、実施例1と同様である。
(第2透明基材)
上記式(3)に示すポリイミド100質量部に対して、リン酸ジルコニウムフィラー(Zp、東亜合成株式会社製のウルテア)4質量部、及びメチレンクロライド365質量部を加えた溶液をドープとして用いて、溶液流延製膜法で、延伸させずに、厚み9μmの樹脂フィルム[PI(Zp含有)フィルム]を得た。この樹脂フィルムを第2透明基材として用いた。
また、得られた第2透明基材の線膨張率(CTE)は、9ppm/℃であった。また、得られた第2透明基材のガラス転移温度(Tg)は、338℃であった。
[穴あけ加工性]
タッチパネル装置を製造する際、第2透明基材に、上記のように穴をあけた後の状態を、目視で確認した。
目視で確認したところ、好適な穴の形成が確認されれば、「○」と評価し、穴が埋まっている部分が確認されれば、「×1」と評価し、穴の周辺に割れている箇所が確認されれば、「×2」と評価した。
[耐折試験]
また、前記第2透明基材を耐折試験にかけた。具体的には、まず、第2透明基材を、穴をあけた部分を中心として、幅15mm、長さ110mmに切断した。この切断した第2透明基材を、MIT型耐折試験機(株式会社東洋精機製作所社製の、MIT TYPE FOLDING ENDURANCE TESTER)を用い、温度23℃、湿度55%RHの環境下で、折り曲げ速度175回/分、屈曲角左右135°、荷重0.5kgf(4.9N)、曲率半径2mmの条件で、屈曲を10万回繰り返す試験を行った。この試験を行った後の第2透明基材の状態を目視で確認した。
目視で確認したところ、好適な穴が維持され、破断等の損傷が確認されなければ、「○」と評価し、フィルムの破断が確認されれば、「△1」と評価し、穴の周辺が割れていることが確認されれば、「△2」と評価した。なお、上記「穴あけ加工性」の評価で、「×1」や「×2」となったものは、耐折試験前から、好適な穴が形成されていないので、この試験を行っていない。表中には、「−」と示す。
[不良率]
得られたタッチパネル装置において、第2透明基材の穴による不良が発生したタッチパネル装置の、全タッチパネル装置に対する比率(不良率)が、1%以下であれば、「○」と評価し、1%より高く5%以下であれば、「△」と評価し、5%より高いと、「×」と評価した。
表1からわかるように、線膨張率が、10〜60ppm/℃であり、ガラス転移温度が、148〜580℃である第2透明基材(実施例1〜8)は、そうでない場合(比較例1〜6)と比較して、穴あけ加工性に優れ、その穴が形成された第2透明基材は、10万回の耐折試験後であっても、好適に維持された。その結果、得られたタッチパネル装置は、第2透明基材の穴による不良が発生しにくかった。このことから、第2透明基材として、線膨張率が、10〜60ppm/℃であり、ガラス転移温度が、148〜580℃である第2透明基材を用いると、耐折性に優れたタッチパネル装置が得られることがわかった。
また、厚みが9〜25μmの場合(実施例1,2,5,6)は、TACフィルムであっても、PIフィルムであっても、10万回の耐折試験後であっても、穴が形成された第2透明基材は、その穴の形状等がより好適に維持されたことがわかった。このような第2透明基材を用いると、耐折性により優れたタッチパネル装置が得られることがわかった。
次に、TACフィルムについて、用いる原料や厚みについて、さらに検討した。
[実施例9,11,12]
実施例9,11,12は、第2透明基材として、セルロースエステル樹脂として、セルローストリアセテート樹脂(TAC)(アセチル基の置換度2.8)を用い、厚みが、表2に示す値となるように製造したこと以外、実施例1と同様である。
[実施例10]
実施例10は、第2透明基材として、厚みが、表2に示す値となるように製造したこと以外、実施例1と同様である。
[比較例7]
比較例7は、下記樹脂フィルムを第2透明基材として用いて製造したこと以外、実施例1と同様である。
(第2透明基材)
セルロースエステル樹脂であるセルローストリアセテート樹脂(アセチル基の置換度2.8)100質量部に対して、アセチルグルコース(AcGlc)3質量部、メチレンクロライド380質量部及びエタノール42質量部を加えた溶液をドープとして用いて、溶液流延製膜法で、延伸させずに、厚み9μmの樹脂フィルム(TAC(AcGlc含有)フィルム)を得た。この樹脂フィルムを第2透明基材として用いた。
[リタデーション(Re、Rth)]
また、得られた第2透明基材のRe(589)及びRth(589)は、自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器株式会社製)を用いて、温度23℃、湿度55%RHの環境下で、波長589nmの光を用いて測定した。
[色味変化]
タッチパネル装置の画像の色味と、タッチパネル装置に備えられる画像表示装置である有機ELディスプレイのみの画像の色味とを比較観察し、色味への影響の有無を一般モニター10人が評価した。その結果、表示された画像の色味に変化がない判断した人数が9人以上であれば、「○」と評価し、5〜8人であれば、「△」と評価し、4人以下であれば、「×」と評価した。なお、通常、一般モニターによる評価で、半数以上が色味に変化がない判断をすることが、タッチパネル装置に要求される水準であり、この観点において、「○」と「△」の評価がそれぞれその水準を満たしており、特に「○」の評価であることが望ましい。
表2からわかるように、アセチル置換度2.9のTACを用いた場合(実施例1,2,10)は、アセチル置換度2.8のTACを用いた場合(実施例9,11,12)より、Re(589)及びRth(589)が低い第2透明基材(樹脂フィルム)が得られた。そして、Re(589)とRth(589)とがともに低い樹脂フィルムを用いた、実施例9,11,12に係るタッチパネル装置は、色味変化の少ない、画質に優れたタッチパネル装置であった。