図1〜図16を参照して、実施の形態の画像形成装置を、実施例の画像形成装置51によって説明する。まず、画像形成装置51を含んで構成される再転写方式の印刷機PR(再転写印刷機)について、図1〜図5を参照して説明する。
印刷機PRは、図1の右方部位において、インクリボン11用の供給リール12及び巻き取りリール13が装脱自在に取り付けられている。供給リール12及び巻き取りリール13は、それぞれ駆動用のモータM12及びモータM13の駆動により回転する。モータM12,M13の回転速度及び回転方向は、印刷機PRに備えられた制御部CTにより制御される。
インクリボン11は、供給リール12に巻回されて印刷機PRに供給される。
インクリボン11は、供給リール12と巻き取りリール13との間で、複数のガイドシャフト14に案内され所定の走行経路に掛け渡される。インクリボン11の走行経路における供給リール12の近くには、頭出し用のインクリボンセンサ15が配置されている。インクリボンセンサ15は、インクリボン11の頭出しマーク11d(図3参照)を検出し、リボンマーク検出情報J1(図2参照)を制御部CTに向け送出する。
インクリボン11の走行経路におけるインクリボンセンサ15と巻き取りリール13との間に、サーマルヘッド16が配置されている。サーマルヘッド16は、掛け渡されたインクリボン11のリボンベース11a側の面(図3参照)に対し離接する(図5の矢印Da方向)。サーマルヘッド16の離接動作は、制御部CTの制御の下でヘッド離接駆動部D16により実行される。
印刷機PRは、図1の左方部位において、被転写体である中間転写フィルム21用の供給リール22及び巻き取りリール23が装脱自在に取り付けられている。供給リール22及び巻き取りリール23は、それぞれ駆動用のモータM22及びモータM23の駆動により回転する。モータM22,M23の回転速度及び回転方向は、制御部CTにより制御される。
中間転写フィルム21は、供給リール22に巻回されて印刷機PRに供給される。
中間転写フィルム21は、供給リール22と巻き取りリール23との間で、複数のガイドシャフト24に案内されて所定の走行経路に掛け渡される。中間転写フィルム21の走行経路における供給リール22の近くには、頭出し用のフィルムセンサ25が配置されている。フィルムセンサ25は、中間転写フィルム21のフレームマーク21d(図4参照)を検出し、フレームマーク検出情報J2(図2参照)を制御部CTに向け送出する。
中間転写フィルム21の走行経路におけるフィルムセンサ25と巻き取りリール23との間には、プラテン駆動用のモータM26の駆動により回転するプラテンローラ26が配置されている。モータM26の回転速度及び回転方向は、制御部CTにより制御される。
サーマルヘッド16は、ヘッド離接駆動部D16による離接動作で、プラテンローラ26との間に中間転写フィルム21及びインクリボン11を挟んで圧接させる圧接位置(図5に示される位置)と、中間転写フィルム21とインクリボン11とを互いに離隔した状態とする離隔位置(図1に示される位置)との間を移動する。サーマルヘッド16が圧接位置にあるときに、後述するインクの転写が行われる。
インクリボン11及び中間転写フィルム21は、サーマルヘッド16が離隔位置にある状態で、それぞれ、モータM12,M13及びモータM22,M23の動作により、巻き取りリール13,23側への巻き取り及び供給リール12,22への巻き戻しが、それぞれ独立してできるようになっている。
インクリボン11及び中間転写フィルム21は、サーマルヘッド16が圧接位置にある状態で、互いに密着して供給リール12,22側又は巻き取りリール13,23側に移動可能となっている。
インクリボン11及び中間転写フィルム21は、制御部CTの制御に基づき、モータM12,M13,M22,M23,M26の駆動による供給リール12,22、巻き取りリール13,23、及びプラテンローラ26の回転により移動する。
少なくともモータM12,M13は、インクリボン11を搬送するインクリボン搬送機構を構成する。少なくともモータM22,M23は、被転写体である中間転写フィルム21を搬送する被転写体搬送機構を構成する。サーマルヘッド16をプラテンローラ26に圧接させて、インクリボン11と中間転写フィルム21とが密着した状態では、モータM26もインクリボン搬送機構及び被転写体搬送機構を構成してもよい。
制御部CTは、画像データ送出部CT1を有する。サーマルヘッド16が圧接位置にあるとき、画像データ送出部CT1は、中間転写フィルム21に転写する画像データを適宜のタイミングでサーマルヘッド16に送出する。制御部CTは、フレームマーク検出情報J2などに基づいて、画像データ送出部CT1が画像データを送出するタイミングを決定する。
インクリボン11は、図3(a),(b)に示されるように、帯状のリボンベース11aと、リボンベース11a上に塗布形成されたインク層11bとを有している。
インク層11bには、インクリボン11の搬送方向に並ぶ複数色(ここでは4色)のインク層の組であるインク組11b1が、搬送方向に沿って繰り返し並べて塗布されている。搬送方向とは、インクリボン11の長手方向であり、インクリボン11が供給リール12側又は巻き取りリール13側に搬送される方向である。
インク組11b1は、イエロインク層Y、マゼンタインク層M、シアンインク層C、及びブラックインク層BKよりなり、この順で搬送方向に塗布されている。イエロインク層Yにおける、隣接するブラックインク層BKの境界部位の一方縁部には、頭出しマーク11dが形成されている。各インク層Y,M,C,BKの搬送方向の長さLaは、互いに同じである。従って、インク組11b1のピッチLapは、長さLaの4倍となっている。
インクリボンセンサ15の位置は、インクリボンセンサ15が頭出しマーク11dを検出したときに、サーマルヘッド16の圧接位置がイエロインク層Yの搬送方向先頭縁の位置と一致するように設定されている。すなわち、圧接位置からインクリボンセンサ15の検出位置までの走行経路長が、ピッチLapの整数倍とされている。
中間転写フィルム21は、図4(a),(b)に示されるように、帯状のフィルムベース21aと、フィルムベース21a上に積層形成された、剥離層21b及び転写用受像層21cを有している。フィルムベース21aの幅は、インクリボン11のリボンベース11aの幅と同じである。
フィルムベース21a又は転写用受像層21cには、フレームマーク21dが、搬送方向に所定のピッチLbで繰り返し形成されている。搬送方向とは、中間転写フィルム21の長手方向であり、中間転写フィルム21が供給リール22側又は巻き取りリール23側に搬送される方向である。フレームマーク21dは、搬送方向と直交する方向の全幅に亘り形成されている。
ピッチLbは、インクリボン11における長さLaと同じ(La=Lb)である。中間転写フィルム21においてピッチLbで区切られる領域を、フレームFと称する。すなわち、フレームマーク21dは、各フレームの境界部位に付与されている。
フィルムセンサ25の位置は、フィルムセンサ25がフレームマーク21dを検出したときに、サーマルヘッド16の圧接位置がフレームマーク21dの搬送方向先頭縁の位置と一致するように設定されている。すなわち、圧接位置からフィルムセンサ25の検出位置までの走行経路長が、ピッチLbの整数倍とされている。
画像形成装置51において、中間転写フィルム21とインクリボン11とは、図5に示されるように、転写用受像層21cとインク層11bとが対向する向きで掛け渡される。転写用受像層21cは、加熱されたインク層11bのインクを受容して固定する性質を有する。
これにより、図5に示されるサーマルヘッド16の圧接状態において、転写用受像層21cに圧着したインク層11bからインクが転写され、転写用受像層21cに画像が形成される。インクは、サーマルヘッド16に供給された画像データに応じた加熱パターンで転写される。
以上詳述した画像形成装置51は、使用者によりセットされたインクリボン11及び中間転写フィルム21を、密着させて移動させるようになっている。この密着移動と同時に、サーマルヘッド16を、供給された画像データに基づいて加熱すると、インクリボン11のインク層11bのインクは中間転写フィルム21の転写用受像層21cに転写される。
これにより、転写用受像層21cのフレームFに所望の画像を形成することができる。この画像形成動作の詳細は、後述する。
図1又は図2において、印刷機PRは、転写用受像層21cに形成した画像(以下、中間画像とも称する)を、さらに別の被転写体に再転写する再転写装置52を備えている。再転写装置52は、制御部CTを画像形成装置51と共有している。
再転写装置52は、中間転写フィルム21の走行経路における、プラテンローラ26と巻き取りリール23との間に設けられた再転写部ST1と、再転写部ST1に被転写体31を供給する供給部ST2と、再転写部ST1を通過した被転写体31を搬出する搬出部ST3とを有している。被転写体31は、例えばカードである。以下、カード31と称する。
再転写部ST1は、ヒートローラ41と、ヒートローラ41を回転駆動させるモータM41と、ヒートローラ41に対向配置された対向ローラ42と、ヒートローラ41を対向ローラ42に対して離接させるヒートローラ駆動部D41とを有している。
供給部ST2は、カード31を挟持して搬送させる搬送方向(図1の左右方向)に離隔配置された一対二組の搬入ローラ32と、各組の一対の一方の搬入ローラ32を回転駆動するモータM32A,M32Bとを有している。
搬出部ST3は、カード31を挟持搬送する一対の搬出ローラ33と、一方の搬出ローラ33を回転駆動するモータM33とを有している。モータM41,M32A,M32B,M33及びヒートローラ駆動部D41の動作は、制御部CTにより制御される。
再転写装置52において、図1の右方外部から供給されたカード31は、供給部ST2により再転写部ST1に搬送供給される。
再転写部ST1では、ヒートローラ駆動部D41の動作により、昇温したヒートローラ41と対向ローラ42との間に、中間転写フィルム21とカード31とを圧接挟持し、モータM41の駆動により搬出部ST3に向け移動させる。この移動において、カード31には転写用受像層21cが圧接している。
この圧接移動で、画像形成装置51により転写用受像層21cに形成された画像が、カード31に転写される。すなわち、カード31の表面上に画像が再転写により形成される。
画像が再転写形成されたカード31は、搬出部ST3に搬送され例えば外部のストッカに排出される。
画像形成装置51は、制御部CTに接続された記憶部MRを有している。記憶部MRには、画像形成装置51を含む印刷機PR全体の動作を実行するための動作プログラム、及び転写する画像の情報である転写画像情報などが予め記憶されている。記憶部MRの記憶内容は、制御部CTにより適宜参照される。
転写画像情報とは、フレームF(カード31)にどのような画像(文字を含む)を印刷するかを示す情報である。制御部CTは記憶部MRより転写画像情報に含まれる画像データを読み出し、画像データ送出部CT1がサーマルヘッド16に画像データを送出する。
次に、画像形成装置51による中間転写フィルム21への画像形成動作及び方法について、図6〜図15を主に参照して説明する。
画像形成装置51における画像形成方法は、4色の転写動作において、各色の転写を行う度に巻き戻し動作及び頭出し動作を必要とする従来の方法とは異なり、4色の転写動作を巻き戻し動作及び頭出し動作を伴わず連続的に行うようになっている。従って、巻き戻し動作及び頭出し動作の分だけ画像形成時間が短縮できる。
さらに、巻き戻し動作及び頭出し動作を行う際に必要となるサーマルヘッド16の離接動作を省くことも可能なため、その分も画像形成時間を短縮できる。
まず、画像を形成する最初のフレームに、画像P(1)を形成する手順について、図6〜図10を主に参照して説明する。
図6〜図10には、サーマルヘッド16に対するインクリボン11及び中間転写フィルム21の位置と転写内容とが示されている。また、転写動作で密着対向させているインクリボン11のインク層11bの面と中間転写フィルム21の転写用受像層21cとを、並べて記載している。
図6〜図10において、転写に供するインク組11b1に、便宜上、1から連番を付してある。例えば、Y1〜BK1は、1番目の組のイエロインク層〜ブラックインク層を示す。
フレームFについては、画像を形成するフレーム順に1から連番を付してある。例えば、F1は最初に画像を形成するフレーム、F2は2番目に画像を形成するフレーム、F3は3番目に画像を形成するフレームを示す。
符号にxが付されているインク組Yx〜BKx及びフレームFxは、不使用のインク組及びフレームであることを示す。
転写する画像を括弧付の連番で示す。例えば、図6に示す画像Y(1)は、イエロインクで転写する1番目の画像(フレームF1に形成する画像)を意味する。図7に示す画像Y(2)は、イエロインクで転写する2番目の画像(フレームF2に形成する画像)を意味する。
同様に、図9に示す画像C(2)は、シアンインクで転写する2番目の画像(フレームF2に形成する画像)を意味し、画像M(3)は、マゼンタインクで転写する3番目の画像(フレームF3に形成する画像)を意味する。
図7〜図12のインクリボン11において、斜線を付したインク層は、転写に使用されたインク層である。
まず、図6に示されるように、制御部CTは、イエロインク層Y1とフレームF1とをそれぞれ頭出しして、両者の位置を合わせる。
次に、制御部CTは、サーマルヘッド16を圧接状態としてインクリボン11と中間転写フィルム21とを図6の下方に転写走行速度Vで密着移動させながら、サーマルヘッド16により、イエロインク層Y1のインクで画像Y(1)をフレームF1に転写させる。ここで、転写走行速度Vとは、転写動作におけるサーマルヘッド16に対するインクリボン11及び中間転写フィルム21の移動速度を意味する。転写走行速度Vは予め一定値で設定されている(詳細は後述する)。
制御部CTは、インクリボン11及び中間転写フィルム21を、1フレーム分、密着移動させる。送り方向は、インクリボン11は巻き取り方向(順送り方向)であり、中間転写フィルム21は巻き戻し方向(逆送り方向)である。
フレームF1への画像Y(1)の転写が完了したら、制御部CTは、サーマルヘッド16を離隔位置にし、図7に示されるように、イエロインク層Y2とフレームF2とをそれぞれ頭出しして、両者の位置を合わせる。すなわち、制御部CTは、インクリボン11を巻き取りリール13側にインク層3つ分(M1,C1,BK1)順送りさせ、中間転写フィルム21をフレームF1及びフレームF2の2フレーム分、順送りさせる。
次に、制御部CTは、サーマルヘッド16を圧接状態としてインクリボン11と中間転写フィルム21とを図7の下方に、転写走行速度Vで密着移動させながら、サーマルヘッド16により、イエロインク層11Y2のインクで画像Y(2)をフレームF2に転写させる。
イエロインク層Y2の転写が完了したら、制御部CTは、引き続き走行速度を変えずに転写走行速度Vにて、サーマルヘッド16により、マゼンタインク層11M2のインクで画像M(1)をフレームF1に転写させる。
すなわち、制御部CTは、インクリボン11及び中間転写フィルム21を、フレームF2とフレームF1の2フレーム分、密着移動させる。
この2フレーム分の移動による画像Y(2)及び画像M(1)の転写により、フレームF2には画像Y(2)が形成され、フレームF1には画像Y(1)と画像M(1)とが重畳形成される。
フレームF1への画像M(1)の転写が完了したら、制御部CTは、サーマルヘッド16を離隔位置にし、図8に示されるように、イエロインク層Y3とフレームF3とをそれぞれ頭出しして、両者の位置を合わせる。すなわち、制御部CTは、インクリボン11を巻き取りリール13側にインク層2つ分(シアンインク層C2及びブラックインク層BK2)順送りさせ、中間転写フィルム21をフレームF1〜F3の3フレーム分、順送りさせる。
次に、制御部CTは、サーマルヘッド16を圧接状態としてインクリボン11と中間転写フィルム21とを図8の下方に転写走行速度Vで密着移動させながら、サーマルヘッド16により、インク層Y3のインクで画像Y(3)をフレームF3に転写させる。
イエロインク層Y3の転写が完了したら、制御部CTは、引き続き走行速度を変えずに転写走行速度Vにて、サーマルヘッド16により、マゼンタインク層M3のインクで画像M(2)をフレームF2に転写させる。
マゼンタインク層M3の転写が完了したら、制御部CTは、引き続き走行速度を変えずに転写走行速度Vにて、サーマルヘッド16により、シアンインク層C3のインクで画像C(1)をフレームF1に転写させる。
すなわち、制御部CTは、インクリボン11及び中間転写フィルム21を、フレームF3〜フレームF1の3フレーム分、密着移動させる。
この3フレーム分の移動による画像Y(3),M(2),C(1)の転写により、フレームF3には画像Y(3)が転写される。フレームF2には画像Y(2)と画像M(2)とが重畳転写される。フレームF1には画像Y(1)と画像M(1)と画像C(1)とが重畳転写される。
フレームF1への画像C(1)の転写が完了したら、制御部CTは、サーマルヘッド16を離隔位置にし、図9に示されるように、イエロインク層Y4とフレームF4とをそれぞれ頭出しして、両者の位置を合わせる。すなわち、制御部CTは、インクリボン11を巻き取りリール13側にインク層1つ分(ブラックインク層BK3)順送りさせ、中間転写フィルム21をフレームF1〜F4の4フレーム分、順送りさせる。
次に、制御部CTは、サーマルヘッド16を圧接状態としてインクリボン11と中間転写フィルム21とを図9の下方に転写走行速度Vで密着移動させながら、サーマルヘッド16により、イエロインク層Y4のインクで画像Y(4)をフレームF4に転写させる。
インク層Y4の転写が完了したら、制御部CTは、引き続き走行速度を変えずに転写走行速度Vにて、サーマルヘッド16により、マゼンタインク層M4のインクで画像M(3)をフレームF3に転写させる。
マゼンタインク層M4の転写が完了したら、制御部CTは、引き続き走行速度を変えずに転写走行速度Vにて、サーマルヘッド16により、シアンインク層C4のインクで画像C(2)をフレームF2に転写させる。
インク層C4の転写が完了したら、制御部CTは、引き続き走行速度を変えずに転写走行速度Vにて、サーマルヘッド16により、ブラックインク層BK4のインクで画像BK(1)をフレームF1に転写する。
すなわち、制御部CTは、インクリボン11及び中間転写フィルム21を、フレームF4〜フレームF1の4フレーム分、密着移動させる。
この4フレーム分の移動による画像Y(4),M(3),C(2),BK(1)の転写により、フレームF4には画像Y(4)が転写される。フレームF3には画像Y(3)と画像M(3)とが重畳転写される。フレームF2には画像Y(2)と画像M(2)と画像C(2)とが重畳転写される。
また、フレームF1には画像Y(1)と画像M(1)と画像C(1)と画像BK(1)とが重畳転写されて、イエロ,マゼンタ,シアン,ブラックの4色によるカラー画像P(1)の形成が完了する。4色のインクによる転写を完了したカラー画像を完成画像とする。
インク組の色数を、n(nは2以上の整数)として一般化した場合、連続するn個の転写領域(フレーム)F1〜Fnに、それぞれ完成画像P(1)〜P(n)を形成する画像形成動作における、最初の完成画像P(1)を形成する手順は、次のようになる。
画像形成装置51は、連続する第1〜第nのインク組11b1を利用する。画像形成装置51は、第k(1≦k≦nなる整数)のインク組の1〜k番目までのインク層のインクを、フレームF1〜Fnのうちのk〜1番目のフレームFk〜F1に、各フレームFk〜F1に形成する完成画像P(k)〜P(1)に対応した画像で転写する。
この場合のインクとフレームの対応は、1〜kを昇順と降順とで対応させる逆順対応である。画像形成装置51は、例えば、1番目のインク層のインクをk番目のフレームFkに転写し、k番目のインク層のインクを1番目のフレームF1に転写する。
そして、画像形成装置51は、この転写動作を、k=1からnまで実行することで、1番目のフレームF(1)に1〜n番目のインクを重畳的に転写した最初の完成画像P(1)を形成することができる。
フレームF1に形成された完成画像P(1)は、図10に示されるように、被転写体に再転写される。再転写装置52は、任意のタイミングで再転写を実行してよい。複数の完成画像を形成した中間転写フィルム21を画像形成装置51から取り外して、別の再転写装置で複数の完成画像それぞれを被転写体に再転写させてもよい。
フレームF1に完成画像P(1)が形成された後は、次回の転写動作である4色の連続転写動作で1つのフレームFの画像が形成される。
そこで、m番目(mはn以上の整数)のフレームFmへの画像P(m)の形成について、図11及び図12を参照して説明する。
図11は、m番目のフレームFmに対し、Y,M,Cの各色のインクの転写が完了し、フレームFmに対する残りの画像BK(m)の転写を含む4色の連続転写前の状態が示されている。
すなわち、フレームFmには、すでに画像Y(m),M(m),C(m)が重畳転写され、フレームFm+1には、画像Y(m+1),M(m+1)が重畳転写され、フレームFm+2には、画像Y(m+2)が転写されている。m−1番目以前のフレームは、すでに再転写済みとなっている。
画像形成装置51は、この状態から、4色分の連続転写を実行する。すなわち、図11に示されるように、制御部CTは、イエロインク層Ym+3とフレームFm+3との位置合わせを、巻き戻し動作及び頭出し動作で行う。
次に、サーマルヘッド16を圧接状態として、インクリボン11と中間転写フィルム21とを図11の下方に密着移動させながら、サーマルヘッド16は、イエロインク層Ym+3のインクによって、画像Y(m+3)をフレームFm+3に転写させる。
イエロインク層Ym+3の転写が完了したら、引き続き走行速度を変えずに、サーマルヘッド16は、マゼンタインク層Mm+3のインクによって、
画像M(m+2)をフレームFm+2に転写させる。
マゼンタインク層Mm+3の転写が完了したら、引き続き走行速度を変えずに、サーマルヘッド16は、シアンインク層Cm+3のインクによって、画像C(m+1)をフレームFm+1に転写させる。
シアンインク層Cm+3の転写が完了したら、引き続き走行速度を変えずに、サーマルヘッド16は、ブラックインク層BKm+3のインクによって、画像BK(m)をフレームFmに転写させる。
この4フレーム分の移動による画像Y(m+3),M(m+2),C(m+1),BK(m)の転写により、図12に示されるように、フレームFmには、画像Y(m),M(m),C(m),BK(m)が重畳転写された画像P(m)が形成される。
インク組の色数を、n(nは2以上の整数)として一般化した場合、以上説明した転写動作の手順は以下のように表すことができる。
図6〜図10で説明した最初のn箇所の転写領域に対する転写動作は次のとおりである。
中間転写フィルム21に設定されている連続したn箇所の転写領域を、インク組における第1から第nのインク層の並び順とは逆方向に第1から第nの転写領域とする。制御部CTは、第1から第nのインク組を利用して、n箇所の転写領域に対し、第1から第k(1≦k≦n)の色までのインク層のインクを第kから中間転写フィルム21に転写させる転写動作をk=1からk=nまで実行させる。すると、第1の転写領域に、n色のインクが転写されたカラー画像が形成される。
制御部CTは、引き続き、第(n+1)から第{n+(n−1)}のインク組を利用して、第2から第nの転写領域に対し、第q(2≦q≦n)から第nの色までのインク層のインクを第nから第qの転写領域に転写させる転写動作をq=2からq=nまで実行させる。すると、第2から第nの転写領域それぞれに対し、n色のインクが転写されたカラー画像が形成される。
このとき、インクリボン搬送機構及び被転写体搬送機構は、インクリボン11におけるk箇所のインク層と中間転写フィルム21におけるk箇所の転写領域とを同じ搬送方向に連続的に搬送させる。制御部CTは、第1から第kの色までのインク層のインクを第kから第1の転写領域に連続的に転写させる転写動作を実行させる。
m番目のフレームFm以降の転写動作は次のとおりである。nを4とする本実施形態においては、フレームF5以降、カラー画像の形成を中断させない限り、以下の転写動作が繰り返される。
インクリボン搬送機構及び被転写体搬送機構は、インクリボン11におけるn箇所のインク層と中間転写フィルム21におけるn箇所の転写領域とを同じ搬送方向に連続的に搬送させる。このとき、制御部CTは、n箇所のインク層における第1から第nのインク層を、インク層の並び順とは逆方向である中間転写フィルム21における第1から第nの転写領域のそれぞれに連続的に転写させる転写動作を実行させる。
具体的には、イエロインク層Y5からブラックインク層BK5までのインクがフレームF5〜F2のそれぞれに連続的に転写される。イエロインク層Y6からブラックインク層BK6までのインクがフレームF6〜F3のそれぞれに連続的に転写される。イエロインク層Y7からブラックインク層BK7までのインクがフレームF7〜F4のそれぞれに連続的に転写される。以下、同様の動作が繰り返される。
これにより、中間転写フィルム21におけるn箇所の転写領域のうち、最も巻き取りリール23側に位置する第1の転写領域にn色のインクが転写されたカラー画像が形成される動作が繰り返される。
n箇所のインク層のインクがn箇所の転写領域に転写される転写動作の際には、インクリボン11及び中間転写フィルム21の頭出し及び位置合わせの動作は不要である。一連のn箇所の連続的な転写動作と次の一連のn箇所の連続的な転写動作との間に、インクリボン11及び中間転写フィルム21の頭出し及び位置合わせの動作が行われる。
ところで、中間転写フィルム21における任意の最後の4フレームにおける最後のフレームでカラー画像の形成を中断させる場合には、制御部CTは、図13A〜図13Cに示すように制御すればよい。
ここでは、図6〜図10で説明した最初の4フレームF1〜F4を最後の4フレームとし、フレームF4を最後のフレームとして、カラー画像の形成を中断させる場合の動作を説明する。
図13A〜図13Cにおいて、インクリボン11に斜線を付したインク層は、転写に使用された状態を示しており、白抜きのインク層は、転写に使用されていない状態を示している。
図13Aに示すように、制御部CTは、インクリボン11と中間転写フィルム21とを図13Aの下方に、3フレーム分、密着移動させる。このとき、サーマルヘッド16は、マゼンタインク層M5のインクによって画像M(4)をフレームF4に転写させる。サーマルヘッド16は、シアンインク層C5のインクによって画像C(3)をフレームF3に転写させる。サーマルヘッド16は、ブラックインク層BK5のインクによって画像BK(2)をフレームF2に転写させる。
これにより、フレームF2には、4色のインクによる完成画像が形成される。図13Bは、フレームF2の完成画像が被転写体に再転写された後に、シアンインク層C6とフレームF4との位置合わせが行われた状態を示している。
図13Bに示すように、制御部CTは、インクリボン11と中間転写フィルム21とを図13Bの下方に、2フレーム分、密着移動させる。このとき、サーマルヘッド16は、シアンインク層C6のインクによって画像C(4)をフレームF4に転写させ、ブラックインク層BK6のインクによって画像BK(3)をフレームF3に転写させる。
これにより、フレームF3には、4色のインクによる完成画像が形成される。図13Cは、フレームF3の完成画像が被転写体に再転写された後に、ブラックインク層BK7とフレームF4との位置合わせが行われた状態を示している。
図13Cに示すように、制御部CTは、インクリボン11と中間転写フィルム21とを図13Cの下方に、1フレーム分、密着移動させる。このとき、サーマルヘッド16は、ブラックインク層BK7のインクによって画像BK(4)をフレームF4に転写させ、最後のカラー画像を形成する。
制御部CTは、連続したn箇所の転写領域における第nの転写領域を最後の転写領域とする際には、次のように制御すればよい。制御部CTは、第1から第nのインク組を利用して、第r(1≦r≦n)のインク組の第rから第nの色までのインク層のインクを、n箇所の転写領域における第nから第rの転写領域に転写させる転写動作をr=1からr=nまで実行させる。これによって、制御部CTは、第nの転写領域にn色のインクが転写された最後のカラー画像を形成させる。
図13Dは、任意の最後の組の転写領域に対して最後のカラー画像を形成したときの、インクリボン11の状態及び各インクの転写先を示している。図13A〜図13Cと同様に、インクリボン11に斜線を付したインク層は、転写に使用されるインク層であり、白抜きのインク層は、転写に使用されずに残るインク層である。
図13Dにおいて、P(z)〜P(z−3)は、任意の最後の組の転写領域に形成される完成画像である。zは4を含む4の倍数である。
上述の動作から明らかなように、画像形成の開始時である最初の画像P(1)の形成では、インク層M1,C1,BK1,C2,BK2,BK3とが不使用となる。
完成画像P(z)を形成する転写動作において、イエロインク層については、P(z)に供されたYzより後の、Yz+1〜Yz+3は不使用となる。マゼンタインク層については、完成画像P(z)に供されたMz+1より後の、Mz+2及びMz+3は不使用となる。シアンインク層については、完成画像P(z)に供されたCz+2より後の、Cz+3は不使用となる。
画像形成装置51において、最初の完成画像P(1)が形成された以降、完成画像P(2)から完成画像P(z−1)までの転写(以下、定常転写とも称する)では、不使用のインク層を生じることなくインクリボンの各インク層が全て転写に使用される。
次に、画像形成装置51による定常転写での転写動作と、再転写装置52による再転写動作との協働動作の一例を、図14に示すタイミング図を参照して説明する。
図14において、期間Tf1(時刻t1〜時刻t19)が、定常転写による、1つの完成画像の形成動作及びその完成画像の再転写動作に要する時間である。ここでは、図11及び図12で示された、BK(m)の転写で画像P(m)の形成が完了する4色分の転写動作、及び形成された画像P(m)の再転写動作について説明する。
(1)時刻t1〜t2
制御部CTは、インクリボン11及び中間転写フィルム21の頭出しを行う。制御部CTは、インクリボンセンサ15からのリボンマーク検出情報J1と、フィルムセンサ25からのフレームマーク検出情報J2とに基づいて、イエロインク層の先頭位置と、フレームFm+3がイエロインク層Ym+3に対応しその先頭位置同士が合致するように、各モータを制御して頭出しを行う。
この頭出しでは、サーマルヘッド16の圧接位置が、Fm+3とFm+4の境界のフレームマーク21d4に対し、図11に位置Bで示されるようにFm+4側に位置するようにする。位置Bは、フレームマーク21d4よりも少なくとも距離L16以上離れた位置とされる。
制御部CTは、時刻t2よりも前の時刻t2aから時刻t2までの間に、サーマルヘッド16を離隔位置から圧接位置へと移動させる。
(2)時刻t2〜t3
制御部CTは、サーマルヘッド16を圧接位置にし、プラテンローラ26を回転させて、インクリボン11及び中間転写フィルム21を、図1及び図6の下方となる方向で走行させる。すなわち、制御部CTは、サーマルヘッド16がフレームFm+3を移動するように走行させる。走行速度は、時刻t3に達するまでに定速(所定の転写走行速度)に達する。
距離L16は、プラテンローラ26の始動においてインクリボン11及び中間転写フィルム21が定速に達するまでに必要な走行距離(助走距離)以上の距離に設定される。
(3)時刻t3
フィルムセンサ25がフレームFm+4とフレームFm+3との間のフレームマーク21d4を検出しフレームマーク検出情報J2を出力する。制御部CTは、フレームマーク検出情報J2が入力されたら、時刻t3からの経過時間を監視する。
(4)時刻t4〜t6
制御部CTは、時刻t3から所定の時間taが経過したら、サーマルヘッド16に対し、フレームFm+3に転写するイエロの画像Y(m+3)の画像データの供給を開始する。この例では、ta=(t4−t3)であり、データの供給時間は、時刻t4〜t5である。
所定の時間ta及びデータ供給時間は、記憶部MRに記憶されている転写画像情報に含まれている、フレームFm+3に形成する画像P(m+3)のイエロ画像Y(m+3)に応じて予め決まる。時刻t5以降、制御部CTは次のフレームマーク検出情報J2の入来を待つ。
(5)時刻t6
フィルムセンサ25が、フレームFm+3とフレームFm+2との間のフレームマーク21d3を検出しフレームマーク検出情報J2を出力する。制御部CTは、フレームマーク検出情報J2が入力されたら、時刻t6からの経過時間を監視する。
(6)時刻t7〜t9
制御部CTは、時刻t6から所定の時間tbが経過したら、フレームFm+2に形成するマゼンタの画像データM(m+2)のサーマルヘッド16へ
の供給を開始する。この例では、tb=(t7−t6)であり、データの供給時間は、時刻t7〜t8である。
所定の時間tb及びデータ供給時間は、転写画像情報に含まれている、フレームFm+2に形成する画像P(m+2)のマゼンタ画像M(m+2)に応じて予め決まる。時刻t8以降、制御部CTは次のフレームマーク検出情報J2の入来を待つ。
(7)時刻t9
フィルムセンサ25が、フレームFm+2とフレームFm+1との間のフレームマーク21d2を検出しフレームマーク検出情報J2を出力する。制御部CTは、フレームマーク検出情報J2が入来したら、時刻t9からの経過時間を監視する。
(8)時刻t10〜t12
制御部CTは、時刻t9から所定の時間tcが経過したら、フレームFm+1に形成するシアンの画像データC(m+1)のサーマルヘッド16への
供給を開始する。この例では、tc=(t10−t9)であり、データの供給時間は、時刻t10〜t11である。
所定の時間tc及びデータ供給時間は、転写画像情報に含まれている、フレームFm+1に形成する画像P(m+1)のシアン画像C(m+1)に応じて予め決まる。時刻t11以降、制御部CTは次のフレームマーク検出情報J2の入来を待つ。
(9)時刻t12
フィルムセンサ25が、フレームFmとフレームFm+1との間のフレームマーク21d1を検出しフレームマーク検出情報J2を出力する。制御部CTは、フレームマーク検出情報J2が入来したら、時刻t12からの経過時間を監視する。
(10)時刻t13〜t14
制御部CTは、時刻t12から所定の時間tdが経過したら、フレームFmに形成するブラックの画像データBK(m)のサーマルヘッド16への供給を開始する。この例では、td=(t13−t12)であり、データの供給時間は、時刻t13〜t14である。
所定の時間td及びデータ供給時間は、転写画像情報に含まれている、フレームFmに形成する画像P(m)のブラック画像BK(m)に応じて予め決まる。
(11)時刻t14〜t15
制御部CTは、時刻t14でブラック画像BK(m)の画像データの供給を停止し、時刻t15で転写動作を完了する。
(12)時刻t15〜t16
時刻t15〜t16の時間は、転写動作から次の再転写動作の開始までの動作リセット時間である。制御部CTは、中間転写フィルム21及びインクリボン11の走行を停止させ、サーマルヘッド16を離隔位置へ移動させる(時刻t15〜t15a)。
(13)時刻t16〜t18
時刻t16〜t18の時間は、再転写動作の実行期間である。制御部CTは、時間t16で再転写部ST1の再転写動作を開始する。制御部CTは、中間転写フィルム21に形成された画像P(m)を再転写部ST1でカード31に再転写するために中間転写フィルム21を頭出しする。
(14)時刻t18〜t19
時刻t18〜t19の時間は、再転写動作から次の転写動作の開始までの動作リセット時間である。制御部CTは、中間転写フィルム21及びインクリボン11の走行を停止させ、サーマルヘッド16の位置を離隔位置のまま維持させる。
時刻t19が次の転写動作の時刻t1に対応する。すなわち、時刻t1から時刻t19が、1つのフレームFの完成画像を形成するための転写動作期間Tf1となる。
以上のタイミングで、印刷機PRは、画像形成装置51及び再転写装置52の協働による転写動作と再転写動作とを実行する。
図15は、中間転写フィルム21への画像形成における、転写と頭出しとの切り替えについて、サーマルヘッド16の離接動作と併せて説明するための模式図である。図15(a)は従来の方法、図15(b)は画像形成装置51が実行する方法を示す。
上述のように、図15(b)に示される画像形成装置51による方法は、定常転写において、中間転写フィルム21の連続する4つのフレームF(m+3)〜F(m)に対し、インクリボン11からインクの転写をフレームF(m+3)〜F(m)それぞれに対応した画像Y(m+3),M(m+2),C(m+1),BK(m)で連続的に行い、フレームFmの画像形成を完了させる。
従って、4色分の転写開始時に、中間転写フィルム21については、4フレーム分の巻き取り(順送り)と頭出しが、またインクリボン11についてはインク組の頭出しが必要になるのみで、4色分の転写終了まで巻き戻し及び頭出しは不要である。
サーマルヘッド16は、転写開始前の離隔位置から圧接位置への時間th1での移動と、転写終了後の圧接位置から離隔位置への時間th2での移動とが行われるのみである。
一方、従来の方法は、図15(a)に示されるように、1つのフレームFに対してインクリボンから各色のインクをそのフレームFに対応した画像で順次行うものであり、各色の転写それぞれで、1フレーム分の巻き戻しと頭出し動作が必要となる。また、その際にサーマルヘッドの往復離接動作が合わせて行われる。
例えば実施の形態のような4色の転写を行う場合、1フレーム分の巻き戻し動作及び頭出し動作と、サーマルヘッドの往復離接動作とを合わせた時間が3回分、すなわち、時間Tm1〜Tm3が必要となる。
従って、画像形成装置51を用いることで、この時間Tm1,Tm2,Tm3の合計時間だけ、画像形成時間が短縮できる。
画像形成装置51は、例えば図11に示されるフレームFmへのインクの転写動作において、制御部CTが、フレームFmに対応したフレームマーク21d1のフレームマーク検出情報J2の入来時点を基準として、転写するインク画像データのサーマルヘッド16への送出タイミングを決めるようになっている。
インクリボン11及び中間転写フィルム21が転写走行速度Vの等速移動をしているので、送出タイミングを、フレームマーク検出情報J2の入来時点からの経過時間で図ることができる。
これにより、各インクの、フレームFmに対する搬送方向の転写位置が高精度に維持され、いわゆるレジストレーションずれと称される色のずれが生じにくくなっている。
本発明の実施の形態は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形可能である。
図13Dに示されるように、連続して実行する1群の転写動作の開始時及び終了時に生じるインクリボンの不使用インク層のうち、少なくとも終了時に生じるインクリボンの不使用インク層は、次回(又はそれ以降)の転写動作の際に使用可能である。詳しくは、終了時に生じる不使用のインク層Yz+1は、次回の転写動作の開始時のイエロインク層Y1として使用可能である。
図13に示す完成画像P(1)〜P(z)を転写する1群の転写動作の次の転写動作で使用される各インク層には、便宜上、再び1からの連番を付して説明することとする。
同様に、不使用のインク層Yz+2及びインク層Mz+2は、次回の転写動作の開始時のインク層Y2及びM2として使用可能である。同様に、不使用のインク層Yz+3,Mz+3,Cz+3は、次回の転写動作の開始時のインク層Y3,M3,C3として使用可能である。
制御部CTは、次回の転写動作の開始時におけるインクリボン11の頭出し位置を、前回の終了時位置である位置RB1(図13参照)ではなく、終了時位置からインク組11b1を3組分巻き戻った位置RB2としてもよい。これにより、不使用のインク層の数を少なくしてインクリボン11の利用効率を高めることができる。
但し、この不使用インク層の巻き戻し利用をしても、インクリボン11の一方端側の開始部分及び他方端側の終了部分の不使用インク層は利用できずに残る。しかしながら、インクリボン11は極めて長尺であるから、両端側に残存する不使用インク層は全体比率で極めてわずかであり、中間部分の不使用インク層をなくすことでの利用効率向上効果は極めて大きい。
図14を用いて説明した例では、中間転写フィルム21に転写画像を形成したら、直ちに再転写動作を実行している。これに限らず、再転写動作は、後で実行してもよい。
また、中間転写フィルム21を画像形成装置から取り外して、他の再転写装置で再転写を行ってもよい。これらの場合、制御部CTは、図14に示されるタイミング図から再転写動作部分が除かれた動作を実行するよう制御する。
図16は、再転写動作を行わず、フレームFへの画像形成を連続して実行する場合の動作が示されている。すなわち、画像形成期間Tf2は、図14に示された時刻t16〜t19が除かれた時刻t1〜t16となる。
また、再転写動作時に実行してもよいとした、インクリボン11の次転写のための頭出し動作を、制御部CTは、中間転写フィルム21の頭出しと同じ時刻t1〜t2に実行する。
制御部CTは、必ずしも画像形成装置51に備えられてなくてもよい。外部のコンピュータなどを用いることもできる。この場合、画像形成装置51は、その外部のコンピュータとの間での信号授受を、有線又は無線で可能とする通信部(図示せず)を備える。
同一のフレームFに対する複数色の転写は、そのフレームFに形成する画像に応じて、転写画像が重なり合う重畳転写になる場合と、フレームF内の別の場所に独立して転写される独立転写になる場合がある。
従って、インクリボン11のインク組は、重畳してフルカラー画像が形成される実施の形態で説明したような色構成に限らず、任意の色を任意の色数で構成してもよい。
実施の形態では、サーマルヘッド16がプラテンローラ26に離接するものを説明したが、相対的に離接するものであればよい。すなわち、プラテンローラ26がサーマルヘッド16に離接するもの、又は、プラテンローラ
26及びサーマルヘッド16の両方が離接するものであってもよい。
制御部CTは、図14の時刻t19〜t20で行うインクリボン11の画像P(m+1)の転写形成のための頭出しを、時刻t16〜t18の再転写動作中に前倒しで実行させてもよい。
実施の形態では、使用する第1〜第nのインク組を、全てが連続するインク組として説明したが、これに限るものではない。すなわち、使用する第1〜第nのインク組は、一部が連続するものであってもよく、また、いずれもが連続しないインク組であってもよい。
画像形成装置51は、再転写装置52と複合されて印刷機PRに搭載された例を説明したが、これに限定されない。画像形成装置51は、他の装置と複合されてもよい。もちろん、画像形成装置として単独の装置であってもよい。
画像形成装置51は、上述のように、中間転写フィルム21への転写を、サーマルヘッド16に対する中間転写フィルム21の走行速度である転写走行速度Vを一定にして行う。すなわち、転写走行速度Vは、転写するフレームが中間転写フィルム21の長手方向のどこに位置しているか、によらず一定とされる。
これは、フレームに転写した中間画像Pの、フレーム毎の位置ずれの防止と、中間画像それぞれでの色ずれの防止と、中間画像同士の色の安定化のためである。
詳しく説明する。未使用の中間転写フィルム21は、供給リール22に巻かれた一巻として供給される。その一巻において、中間転写フィルム21は、例えばボビン直径26mmの供給リール22に最大巻き径(直径)57.4mmで巻かれている。また、フレームマーク21dのピッチLb(図3参照)は70mmとされ、長さは1000フレーム分を有する。
従って、装着された供給リール22を回転駆動するモータM22をステップモータとした場合、モータM22を、すべてのフレームへの転写において等しい回転速度(パルス間隔)で駆動すると、中間転写フィルム21の繰り出しに伴い繰り出し位置(巻き径)が小さくなり、モータM22の1ステップあたりの繰り出し長が短くなる。すなわち、転写走行速度Vは小さくなる。
そこで、画像形成装置51に、中間転写フィルム21の供給リール22からのモータM22の1ステップあたりの繰り出し長によらず、すべてのフレームにおいて転写走行速度Vを一定にするよう調整する走行速度調整部を設けてある。走行速度調整部は、転写走行速度Vが高精度に一定となるようモータM22の回転速度を制御する。以下、モータの回転速度(回転数/秒)を回転速度MVと称する。
図17は、制御部CTに、さらに走行速度調整部CT2を設けてなる制御部CTAを備えた画像形成装置51Aと、再転写装置52と、を含んで構成された再転写方式の印刷機PRAを示すブロック図である。
走行速度調整部CT2は、モータM22を含め、転写動作における中間転写フィルム21及びインクリボン11の送り動作及びバックテンションの付与に関与するモータM12,M13,M22,M23,M26の動作を制御する。
図18は、中間転写フィルム21の使用フレーム数FNと、中間転写フィルム21の供給リール22における巻き外径R(mm)及び転写走行速度Vを一定にするためのモータM22の回転速度MV(回転数/秒)と、の関係を示すグラフである。
このグラフでは、横軸が使用フレーム数FN、左縦軸が巻き外径R(対応する径特性Rtは一点鎖線)、右縦軸がモータM22の回転速度MV(対応する回転速度特性MVtは実線)である。
モータM22の回転速度を制御する一つの方法は、次の通りである。
すなわち、予め、供給リール22に未使用の中間転写フィルム21が巻回された一巻に基づく回転速度特性MVtを求め、記憶部MRに記憶させておく。
走行速度調整部CT2は、未使用状態からの使用フレーム数を、フィルムセンサ25によって検出したフレームマーク21dの数で把握し、記憶した回転速度特性MVtに基づいてモータM22の回転速度MVを制御する。
また、他の方法として以下に説明する方法を用いてもよい。
まず、中間転写フィルム21を転写走行速度V(mm/秒)で走行させるための単位時間(秒)あたりのステップ数PF(数/秒)は、フレームマーク21d間のフレーム距離をLF(mm)、フレーム距離LFを移動させるための要するステップ数をMP(数)、とすると、
PF=V×MP/LF・・・(式1)
で表される。
ステップ数MPは、中間転写フィルム21の供給リール22からの繰り出し量に応じて変わる変数となる。
従って、フレーム毎に、そのフレーム距離LFを移動するために要するモータM22のステップ数MPがわかれば、そのステップ間隔を調整することで転写走行速度Vを一定にすることができる。
すなわち、モータM22の1ステップあたりの回転角度θm(度)とすると、モータM22の回転速度MV(回転数/秒)は、ステップ数PFを用いて、
MV=PF/(360°/θm)・・・(式2)
として算出される。
走行速度調整部CT2は、この方法(以下、速度調整方法Sと称する)でモータM22の速度を制御してもよい。
すなわち、速度調整方法Sは、転写走行速度Vを一定とするために、モータM22の回転速度MV(単位時間あたりのステップ数PF)を、転写するフレーム毎に更新して最適化する方法である。
速度調整方法Sでは、走行速度調整部CT2が、転写するフレーム毎の、転写走行速度Vを一定にする毎秒のステップ数PF(数/秒)を転写動作前に取得する。そして、そのステップ数PF、及びステップ数PFから(式2)によって算出される回転速度MVを、フレーム対応速度情報J4として記憶部MRに記憶させる。ステップ数PFは、例えば頭出し動作において取得する。
以下、速度調整方法Sについて詳述する。
<速度調整方法Sについて>
まず、図19を参照し、中間転写フィルム21のフレームF1に画像Y(1)を転写し、次のフレームF2の頭出しを行う動作で、フレームF2の転写を一定の転写走行速度Vで行うためのモータM22の回転速度MVF2を設定する方法を説明する。
図19(a)は、フレームF1に画像Y(1)を転写し終えた転写終了状態TA1が示されている。理解容易のため、この画像Y(1)を転写する際の回転速度MVF1は、予め求めてあるものとする。
また、サーマルヘッド16とフィルムセンサ25とは、フレームFのピッチLbの3倍離隔して設けられているものとする。従って、サーマルヘッド16が画像Y(1)の転写が完了したフレームF1にある状態で、フィルムセンサ25は、フレームF4に位置する。
転写終了状態TA1から、制御部CTAの制御により、中間転写フィルム21を巻き取りリール23側に順巻きで移動し、図19(b)に示された状態である頭出し中間状態TA2とする。この移動におけるモータ22の回転速度は任意でよい。
この転写終了状態TA1から頭出し中間状態TA2までの移動で、フィルムセンサ25は、フレームF4とフレームF5との境界のフレームマーク21d4と、フレームF5とフレームF6との境界のフレームマーク21d5と、を通過する。
従って、フィルムセンサ25は、フレームマーク21d4及びフレームマーク21d5を検出し、図21(a)に示される検出信号をフレームマーク検出情報J2として出力する。
また、この移動により、サーマルヘッド16も、フレームF1からフレームF2を通過してフレームF3に至る距離DT16bだけ相対移動する。この中間転写フィルム21の移動は、巻き取り(順送り)移動である。
走行速度調整部CT2は、中間転写フィルム21が、フレームマーク21d4とフレームマーク21d5との間のフレーム距離LFを移動するためのモータM22のステップ数MP2を把握する。すなわち、図21(a)に示される時間TAF2におけるステップ数MP2を把握する。
このステップ数MP2は、サーマルヘッド16がフレームF2を相対移動するために必要なステップ数に相当する。
走行速度調整部CT2は、このステップ数MP2を、モータM22がフレームF2のフレーム距離LFを移動するために必要な回転数情報J5として記憶部MRに記憶させる。
走行速度調整部CT2は、(式1)のMPに、把握したステップ数MP2を代入して、フレームF2への転写を他のフレームと同じ転写走行速度Vで実行させる単位時間(秒)あたりのステップ数PF2を求める。
すなわち、PF2=V×(MP2)/LFである。
求めたステップ数PF2及びステップ数PF2から(式2)によって算出される回転速度MVF2を、フレームF2における転写走行速度Vを得るためのフレーム対応速度情報J4として記憶部MRに記憶する。
次いで制御部CTAは、図19(c)に示されるように、サーマルヘッド16が、フレームF2とフレームF3との境界のフレームマーク21d2におけるフレームF2側の端部に位置するように、距離DT16bだけ巻き戻し(逆送り)して、頭出し動作を終了する。
この頭出し動作に続いて、フレームF2への画像Y(2)の転写とフレームF1への画像M(1)の重畳転写とを連続的に実行したら、フレームF3の頭出し動作の際にステップ数MP3を把握する同様の動作を実行する。
そして、ステップ数MP3を(式2)に代入して得たステップ数PF3に基づく回転速度MVF3でモータM22を駆動して転写を行う。
これにより、フレームF3への画像Y(3)の転写が等速の転写走行速度Vで行われる。
次に、フレームFmに四色重畳の中間画像P(m)を形成した後の、次の転写開始フレームFm+4の頭出し動作と、フレームFm+4〜Fm+1への転写の際の、モータM22の回転速度MVFm+4〜MVFm+1を設定する方法を、図20を参照して説明する。
図20(a)は、フレームFmに中間画像P(m)を形成し終えた転写終了状態TA3を示している。すなわち、フレームFm+1には、画像Y(m+1)と画像M(m+1)と画像C(m+1)とが重畳転写され、フレームFm+2には、画像Y(m+2)と画像M(m+2)とが重畳転写され、フレームFm+3には、画像Y(m+3)が転写されている。
転写終了状態TA3において、サーマルヘッド16はフレームFmに位置し、フィルムセンサ25はフレームFm+3に位置している。
ここでは、形成した中間画像P(m)を再転写せずに次の中間画像の形成を連続的に行う場合を説明する。従って、図20(a)に示されるように、フレームFm−1,Fm−2それぞれには、形成した中間画像P(m−1),P(m−2)が残されている。
図20(a)に示された転写終了状態TA3から、制御部CTAの制御により、中間転写フィルム21を、巻き取りリール23側に順巻きで移動し、図20(b)に示された頭出し中間状態TA4とする。すなわち、フィルムセンサ25は、フレームFm+3からフレームFm+8まで相対移動する。
この転写終了状態TA3から頭出し中間状態TA4までの移動で、フィルムセンサ25は、フレームFm+3とフレームFm+4との境界のフレームマーク21d(m+3)から、フレームFm+7とフレームFm+8との境界のフレームマーク21d(m+7)までの5本を通過する。
従って、フィルムセンサ25は、フレームマーク21d(m+3)〜フレームマーク21d(m+7)の5本のフレームマークを検出し、図21(b)に示される検出信号をフレームマーク検出情報J2として出力する。
この移動により、サーマルヘッド16の位置も、フレームFmからフレームFm+5まで、間の四つのフレームを通過して、移動距離DT16cだけ相対移動する。この中間転写フィルム21の移動は、巻き取り(順送り)移動である。
走行速度調整部CT2は、図20(b)に示された検出信号における、各フレームマークの間のフレーム距離LFを移動するためのモータM22のステップ数MPm+1〜MPm+4を把握する。すなわち、図21(b)に示される時間TAFm+1〜TAFM+4におけるステップ数MPm+1〜MPm+4を把握する。このステップ数MPm+1〜MPm+4は、それぞれサーマルヘッド16がフレームFm+1〜Fm+4を相対移動するために必要なステップ数に相当する回転数情報J5である。走行速度調整部CT2は、把握したステップ数MPm+1〜MPm+4を、回転数情報J5の一組として記憶部MRに記憶させる。
走行速度調整部CT2は、ステップ数PF2を求めるのと同様に、(式1)のMPにステップ数MPm+1〜MPm+4をそれぞれ代入して、フレームFm+1〜Fm+4それぞれへの転写を同じ転写走行速度Vで実行させる単位時間(秒)あたりのステップ数PFm+1〜PFm+4を求める。
例えば、PFm+1=V×(MPm+1)/LFである。
走行速度調整部CT2は、求めたステップ数PFm+1〜PFm+4及びそれらから(式2)によって算出される回転速度MVFm+1〜MVFm+4を、それぞれフレームFm+1〜Fm+4と対応づけて記憶部MRに記憶させる。
次いで制御部CTAは、図20(c)に示されるように、サーマルヘッド16が、フレームFm+4とフレームFm+5との境界のフレームマーク21d(m+4)のフレームFm+4側の端部に位置するように、距離DT16dだけ巻き戻し(逆送り)して、頭出し動作を終了する。
制御部CTAは、この頭出し動作に続いて、フレームFm+4への画像Y(m+4)の転写と、フレームFm+3への画像M(m+3)の重畳転写と、フレームFm+2への画像C(m+2)の重畳転写と、フレームFm+1への画像BK(m+1)の重畳転写と、を連続的に実行する。
この転写動作において、走行速度調整部CT2は、モータM22の回転速度をフレーム毎に次のように切り替える。
すなわち、モータM22を、フレームFm+4への転写では、ステップ数MPm+4に基づく回転速度MVFm+4で駆動する。フレームFm+3への転写では、ステップ数MPm+3に基づく回転速度MVFm+3で駆動する。フレームFm+2への転写では、ステップ数MPm+2に基づく回転速度MVFm+2で駆動する。フレームFm+1への転写では、ステップ数MPm+1に基づく回転速度MVFm+1で駆動する。
これにより、フレームFm+4〜Fm+1への転写において、中間転写フィルム21の転写走行速度Vが一定となる。
この段階から再転写をせずに、さらに転写を連続実行する場合は、フレームFm+5の頭出し動作を、フレームFm+4の頭出し動作と同様に行ってステップ数MPm+2〜MPm+5を把握する動作を実行する。
そして、フレームFm+5〜Fm+2それぞれに対し、モータM22を、所定の単位時間(秒)あたりのステップ数MPm+5〜MPm+2に基づく回転速度MVFm+5〜MVFm+2で駆動することで、一定の転写走行速度Vで転写を実行する。
このように、速度調整方法Sを用い、フレームへの中間画像の形成を、再転写動作を介さずに連続的に行う場合には、頭出し動作で把握した、例えばフレームFm+1〜フレームFm+4に対応するステップ数MPm+1〜MPm+4の内のステップ数MPm+2〜MPm+4は、次のフレームFm+5への中間画像の形成で行うフレームFm+5〜Fm+2への転写におけるフレームFm+2〜Fm+4それぞれの転写走行速度Vを取得するための回転数情報J5として利用できる。
そこで、この場合は、頭出し動作で、新たに転写するフレームであるフレームFm+5に対応したステップ数MPm+5のみを把握してもよい。
一方、例えば図20に示されるフレームFmに中間画像P(m)を形成した後、次のフレームFm+1への中間画像の形成の前に中間画像Pを再転写した場合、は、次のようにするとよい。
すなわち、図20及び図21(b)を参照して説明した頭出し動作を実行して、次の転写動作で転写するフレームFm+4〜Fm+1にそれぞれ対応するステップ数MPm+4〜MPm+1を改めて把握し、記憶している回転数情報J5の内のフレームFm+4〜Fm+1に対応するステップ数MPm+4〜MPm+1を更新する。
図22は、上述の速度調整方法Sの実施手順例を説明するためのフロー図である。この例は、中間転写フィルム21における最初の四つのフレームに中間画像P形成し、その中間画像Pを再転写した後に、次の中間画像を形成する場合の手順である。
まず、m=1とする(Step1)。
フレームF1〜F4の転写を実行する際のモータM22の回転速度を、フレームF1〜F4それぞれに対応した回転速度MVF1〜MVF4とする。
この回転速度MVF1〜MVF4は、予め記憶部MRに記憶させておき、走行速度調整部CT2が読み込む。頭出し動作(Step14)を実行して取得してもよいが、印刷時間短縮の観点では、前者の方が好ましい。
走行速度調整部CT2は、モータM22の回転速度を回転速度MVF4に設定する(Step3)。
フレームF4にイエロインクで画像Y(1)を転写する(Step4)。
走行速度調整部CT2は、モータM22の回転速度を回転速度MVF3に変更(更新)する(Step5)。
フレームF3にマゼンタインクで画像M(1)を転写する(Step6)。
走行速度調整部CT2は、モータM22の回転速度を回転速度MVF2に変更(更新)する(Step7)。
フレームF2にシアンインクで画像C(1)を転写する(Step8)。
走行速度調整部CT2は、モータM22の回転速度を回転速度MVF1に変更(更新)する(Step9)。
フレームF1にブラックインクで画像BK(1)を転写する(Step10)。
(Step10)の実行でフレームF1に中間画像P(1)が形成される。
mをm+1とし(Step11)、制御部CTAは、mが所定値に達したか否かを判定する。
達した場合(Yes)は、動作を終了する。
達していない場合(No)、制御部CTAは、頭出し動作を実行する。
この頭出し動作において、走行速度調整部CT2は、フレームF2〜フレームF5それぞれのフレーム距離LFを移動させるのに必要なモータM22のステップ数MP2〜MP5を、回転数情報J5として把握する。そして、把握したステップ数MP2〜MP5を(式1)に代入してステップ数PF2〜PF5を取得する。取得したステップ数PF2〜PF5を(式2)に代入してモータM22の回転速度MVF2〜MVF5を算出し(Setp14)、(Step3)に戻る。
ここまでモータM22がステップモータの場合について説明したが、モータM22は、ステップモータに限定されず、例えばAC又はDCのサーボモータであってもよい。
モータM22がAC又はDCのサーボモータの場合、モータ軸の回転角度を検出するエンコーダを設けておく。走行速度調整部CT2は、フレーム毎にフレーム距離LFを移動させるために必要なモータ軸の回転角度をエンコーダの検出結果から回転数情報J5として把握する。
把握した回転角度に基づいて、各フレームに対応したモータの回転速度を設定し、中間転写フィルム21の転写走行速度Vが一定となるようにモータの回転速度をフレーム毎に変更する。
以上詳述した速度調整方法Sによれば、中間転写フィルム21の繰り出し量によらず、各フレームにおける転写走行速度Vを一定にできる。
これにより、転写した中間画像Pのフレーム毎の位置ずれ、及び各中間画像における色ずれが防止できる。また、各フレームに形成した中間画像同士の色の安定化が図れる。